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  • ヴェルディ歌劇の愉悦/METライブ・ナブッコ

    〇METライブビューイング2023-24『ナブッコ』(新宿ピカデリー)先日、東劇にシネマ歌舞伎を見に行ったら、MET(ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場)ライブビューイングのチラシが置かれていて、そういえば、オペラは(実演も映像も)久しく見ていないなあ、と思った。私の好きなヴェルディ作品、今シーズンは『ナブッコ』がエントリーされていた。写真を見ると演出もよさそうなので、思い切って、見て来た。作品のあらすじは大体知っていたけれど、全編通しで視聴するのは、たぶん初めてだったと思う。しかし全く問題はなくて、第1幕から(いや、序曲から)雄弁で美しい旋律をシャワーのような浴びせられ、幸福感に浸った。舞台は紀元前6世紀のエルサレム。神殿に集まったヘブライ人たちは、バビロニア国王ナブッコの来襲に怯えている。ヘブライ人た...ヴェルディ歌劇の愉悦/METライブ・ナブッコ

  • 古くて若い大国/インド(近藤正規)

    〇近藤正規『インド:グローバル・サウスの超大国』(中公新書)中央公論新社2023.9最近、政治や経済でも、エンタメでも名前を聞くことの多いインド。しかし私がこの国について思い浮かぶことといえば、堀田善衞の名著『インドで考えたこと』(1957年刊、高校の国語の教科書に載っていた)くらいである。さすがに少し認識をアップデートしようと思い、本書を読んでみた。本書は政治、経済、外交、社会などの切り口で、現在のインドの姿を分かりやすく解説している。知らないことが多すぎて、ファンタジー小説に登場する架空の国家の設定書を読むような面白さがあった。はじめに社会の多様性。インド人は「出身地、言語、宗教、カースト」という4つのアイデンティティで規定される。インドは世界最大の民主主義国家で、IT大国らしく、総選挙では9億人の有...古くて若い大国/インド(近藤正規)

  • 水道橋でワインと和食ディナー再び

    めずらしく友人との会食が続いた。半年ぶりに水道橋駅前の「ワイン処Oasi(オアジ)」で和食ディナー。旬の食材を使った上品なお料理を少しずつ。この日は赤出汁に筍の炊き込みご飯。前回はとうもろこしご飯だったことを思い出した。日本酒と自家製サングリアも美味で大満足~。水道橋でワインと和食ディナー再び

  • 秋葉原で雲南料理

    中華料理好きの友人と会食することになって、雲南伝統料理の「過橋米線秋葉原店」に出かけた。私も友人も、一度だけ雲南省に旅行したことはあるのだが、東京で雲南料理を食べるのは初めてである。9品の「元気促進コース」に飲み放題をつけてもらった。三七入り気鍋鶏。三七は三七人参かな?気鍋というのは、たっぷり時間をかけて水蒸気で作るらしい。アツアツでなかなか冷めないので、寒い日にはありがたかった。一気に身体が暖まった。スズキ魚の雲南風付け。実は中国ツアーの食事では、コースの終わり頃にこういう淡泊な魚料理がよく出た記憶がある。いつもお腹がいっぱいで食べ切れなかったのだが、この日は裏表とも、しっかりいただく。美味。千張肉。豚肉スライスの下には、角切りの豚肉と高菜みたいな漬物が詰まっている。これも蒸し料理。薬膳健美菜。このほか...秋葉原で雲南料理

  • 2024金沢散歩:兼六園、泉鏡花記念館、近江市場

    金沢半日観光の続き。■兼六園~成巽閣~白鳥路石川県立博物館から兼六園へ。随身坂口から入ると梅園が見ごろで楽しかった。幕末に13代藩主前田斉泰が母君・真龍院のために建てた隠居所・成巽閣も見ていく。1階では前田家ゆかりの雛人形・雛道具を展示中。2階の「群青の間」は、ウルトラマリンブルーの青とベンガラの赤、さらに襖の白(灰色)が、計算された空間美を作り出している。名物の雪吊りは、全然役に立っていなかったが、青空にそびえ立つ縄の三角錐は、どこか南方ふうな感じもして楽しかった。ほぼ初夏の日差しだったので、池・渓流・滝・噴水など、変化に富んだ水辺の風景が気持ちよかった。さすが大名庭園、贅沢でよいなあ。兼六園を出て、金沢城公園の脇の細道(白鳥路)を抜けていく。深い緑を背景に、さまざまな彫像が並んでいた。その中のひとつ「...2024金沢散歩:兼六園、泉鏡花記念館、近江市場

  • 2024金沢散歩:石川県立美術館、石川県立歴史博物館

    出張で金沢に行ってきた。昨年も同時期に出張があったのだが、全く自由時間がなく、今年も月火が仕事でいっぱいだったので、自腹で前泊をつけて半日だけ観光してきた。日曜のお昼頃、金沢駅に到着。昨年は駅前にも雪が残っていたが、今年は雪国の面影なし。特にこの日は初夏のような陽気。コートを丸めてバッグに突っ込んで、観光に出かける。金沢市内を観光するのは、30年ぶりくらいではないかと思う。■石川県立美術館コレクション展のみの期間だったが初訪問。第1展示室は「雉香炉の部屋」で、仁清の国宝『色絵雉香炉』が常設されている。写真撮影もOK。展示はオス・メス並んでいるのだが『色絵雉香炉』は華麗な色彩のオスを指し、茶色系の地味なメスは『色絵雌雉香炉』と呼び分けていた。第2展示室は「前田育徳会尊経閣文庫分館」で『天神画像と文房具』(2...2024金沢散歩:石川県立美術館、石川県立歴史博物館

  • ブロマンス古装劇?/シネマ歌舞伎・アテルイ

    〇シネマ歌舞伎『歌舞伎NEXT阿弖流為〈アテルイ〉』(東劇)2015年7月に新橋演舞場で上演された作品で、シネマ歌舞伎(映像作品)としての公開は2016年6月だという。ただし、いま調べて思い出したのだが、もとは2002年に劇団☆新感線が上演した舞台劇である。私は題材に興味があって、舞台劇のときも歌舞伎になったときも、見たいと思いながら果たせなかった。シネマ歌舞伎になってからも、上映予定ないかな~と、時々チェックしていたのだが、先日サイトを見たら、久々の上映が2/15(木)で終わっていた。え!?と慌てたが、幸い、東劇では上映延長になっていたので、さっそく見てきた。面白かった!!!10年越し、いや20年越しの大願成就だが、実は、具体的にどんなストーリーなのかは全く調べていなかったので、新鮮な気持ちで見ることが...ブロマンス古装劇?/シネマ歌舞伎・アテルイ

  • 北斎サムライ画伝(すみだ北斎美)+鳥文斎栄之展(千葉市美)

    ■すみだ北斎美術館特別展『北斎サムライ画伝』(2023年12月14日〜2024年2月25日)北斎(1760-1849)や門人たちがサムライを描いた作品を集めた展覧会。私は浮世絵に対して、そんなに関心が高いわけではないのだが、描かれたサムライという着眼点に、歴史・伝奇好きの性癖をくすぐられて見に行った。はじめは、北斎が実際に見ていた「江戸のサムライ」の姿。同時代の世態風俗を描いた浮世絵には、刀を差していることでそれと分かるサムライたちが描き込まれている。ぶらぶら物見遊山をしたり、酔っ払ったり、旅をしたり、登城するサムライたち。まあ今のビジネスマンか公務員程度には、ふつうに身の回りにいたわけである。一方、理想化された「名うてのサムライ」も描かれた。時代順に、坂上田村麻呂、俵藤太秀郷に始まり、頼光、義家、為朝、...北斎サムライ画伝(すみだ北斎美)+鳥文斎栄之展(千葉市美)

  • 2024向島百花園の梅

    そろそろ梅の季節なので、「梅まつり」(2024年2月10日~3月3日)を開催中の向島百花園を見てきた。私は両親ともに東京の下町生まれなので、向島(むこうじま)という地名にはなじみがある。子供の頃、百花園に連れてきてもらって、萩のトンネルを喜んだ記憶もある。大人になってから、一度だけ来てみたのだが、なんだか手狭な庭園で、子供のときの感動が得られなくて、それきり何十年もご無沙汰していた。確かに広くはない庭園だが、梅の木はかなり多い。マスクを外して香を楽しむ。萼や花芯まで純白の印象が強い「白加賀」という品種が目立っていた。白梅は一輪を楽しむのもよし、遠目に見る樹の姿も、なつかしい人に出会うような気持ち。人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける(紀貫之)である。紅梅はまた、華やかでよいけど。向島百花園は...2024向島百花園の梅

  • 茶碗と書跡と謡本/本阿弥光悦の大宇宙(東京国立博物館)

    〇東京国立博物館特別展『本阿弥光悦の大宇宙』(2024年1月16日~3月10日)「始めようか、天才観測。」という(東博にしては)しゃれたキャッチコピーが一部で話題になった特別展。本阿弥光悦(1558-1637)が確固とした美意識によって作り上げた諸芸の優品の数々を紹介し、大宇宙(マクロコスモス)のごとき光悦の世界の全体像に迫る。会場に入ると、いきなり本展のメインビジュアルになっている『舟橋蒔絵硯箱』が単立ケースで展示されていた。玉子寿司とか磯辺焼きとか言われているもの。インパクトのある造型であることは確かだ。舟橋の表現に鉛板を用いたのは、光悦が家職として刀剣の鑑定にかかわり、金属の特質・見せ方を知悉していたからだという研究があること(Wikiに記載あり)をぼんやり思い出した。その関連か、はじめに文書資料等...茶碗と書跡と謡本/本阿弥光悦の大宇宙(東京国立博物館)

  • ついに完結/中華ドラマ『大江大河之歳月如歌』

    〇『大江大河之歳月如歌』全34集(東陽正午陽光影視、2024年)2018年公開の第1部、2021年公開の第2部に続く第3部。おそらくこれが完結編になるのだろう。1993年、宋運輝は東海化工を追われ、彭陽という田舎の農薬工場勤務を命じられる。新しい同僚たちからは暖かく迎えられるが、工場の経営は振るわず、やがて停業命令が下る(国営なので政府から)。東海化工に呼び戻されかけた宋運輝は、別れ際に中年女性の技術者・曹工から託された資料に目を通すうち、彭陽工場を救う希望を見出して戻ってくる。それは、竹胺という物質を用いた新しい安全な農薬を製造することだった。最終的に、屋外の農地で使用する農薬としては成功できなかったものの、家庭用の殺虫剤として製造ラインに乗せる見通しが立ち、彭陽工場は存続を認められる。この竹胺プロジェ...ついに完結/中華ドラマ『大江大河之歳月如歌』

  • 織田長好の魅力/織田有楽斎(サントリー美術館)

    〇サントリー美術館四百年遠忌特別展『大名茶人織田有楽斎』(2024年1月31日~3月24日)有楽斎(織田長益/おだながます、如庵、1547-1622)は織田信秀の子、織田信長の弟として生まれ、武将として活躍し、秀吉、家康にも仕えた。2021年に400年遠忌を迎えた織田有楽斎という人物を、いま一度総合的に捉えることを試みる。私は有楽斎のことは、名前くらいしか知らなかったので、軽い気持ちで見に行ったら、意外とお客さんの姿が多く、みんな地味な古文書を熱心に眺めていたので感心した。有楽斎の風貌を伝えるのは、僧形の坐像(江戸時代)。温和だが意志の強そうな四角い顔である。有楽斎が再興したことで知られる正伝院の流れを汲む建仁寺塔頭・正伝永源院に伝わった。同寺院からは、ほかにもたくさん書状や文書、ゆかりの品が出陳されてい...織田長好の魅力/織田有楽斎(サントリー美術館)

  • 民藝の王道/鈴木繁男展(日本民藝館)

    〇日本民藝館特別展『柳宗悦唯一の内弟子鈴木繁男展-手と眼の創作』(2024年1月14日~3月20日)鈴木繁男(1914-2003)は、柳宗悦の唯一の内弟子として1935年に入門、陶磁器、装幀、漆絵など多岐な分野にわたる作品を残した。没後20年に合わせ、工芸家・鈴木繁男の手と眼による仕事を顕彰する。というのは、本展を見たあとに、あらためて確認したもの。実は、鈴木繁男の名前もよく知らずに、ふらりと見に行った。玄関を入ると、階段の壁には大きな藍染の布が2枚。暴れ熨斗と熨斗に菊散らしの文様でどちらもめでたい。踊り場の箪笥の上と、階段下の左右の展示ケースには螺鈿、漆絵、卵殻貼などの漆工芸品。なんだかとても懐かしい感じがした。同館は、中世ヨーロッパの木製椅子とか、アフリカや中南米の工芸品など、幅広い収蔵品を誇るけれど...民藝の王道/鈴木繁男展(日本民藝館)

  • 説話と史料から/地方豪族の世界(森公章)

    〇森公章『地方豪族の世界:古代日本をつくった30人』(筑摩選書)筑摩書房2023.10先日、久しぶりに神保町に行って、三省堂の仮店舗をのぞいた。ふだんと違う書店に入ると、ふだんと違う本が目につくもので、本書が気になって手に取ってみた。そうしたら、読みかけの『謎の平安前期』に出て来た春澄善縄の名前に出会ってしまったので、運命を感じて買って帰った。本書は、著者の専門である地方支配・地方豪族の様相の探究をふまえて「これまでの名言・名場面や人の動向ではほとんど取り上げられていない人物」30人を紹介したものである。神話・伝承の時代から奈良時代末までが15人、平安時代末までが15人、地方豪族が主題なので、坂東武士のような中央からの土着者は除く。著者は、女性の事例が少ないことを遺憾としているが、思ったよりも女性が混じっ...説話と史料から/地方豪族の世界(森公章)

  • 桓武王朝の試行錯誤/謎の平安前期(榎村寛之)

    〇榎村寛之『謎の平安前期:桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年』(中公新書)中央公論新社2023.12今年の大河ドラマ『光る君へ』が紫式部を取り上げていることもあって、平安時代に関する書籍がけっこう注目を集めているように思う。平安時代は平安京遷都の794年から12世紀末期まで約400年間、我々がイメージする、なよやかで上品な貴族たちの時代は、だいたい後半の200年間であるが、本書はそこに至るまで、奈良時代に導入された律令制がこの国の実体に合わなくなり、いろいろ試行錯誤を繰り返して、ひとまずの安定したシステムを作りあげるまでの200年間を論じている。制度的な要点は、序章に挙げられた「徴兵制による軍団の廃止」「私有地開発の公認」「地方官の自由裁量権の拡大」になるだろう。大きな政府(律令国家)から小さな政...桓武王朝の試行錯誤/謎の平安前期(榎村寛之)

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