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Fish On The Boat https://blog.goo.ne.jp/mask555

本や映画のレビューや、いろいろな考え事の切れ端を記事にしています。

本や映画のレビュー中心。「生きやすい世の中へ」をメインテーマとして、いろいろな考察、考え事を不定期記事しています。

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2014/07/08

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  • 『方法序説』

    読書。『方法序説』ルネ・デカルト山田弘明訳を読んだ。世界でもっとも読まれている哲学書とも言われる、デカルト初期の代表著作です。デカルトの生きた時代は、日本で言えば江戸時代の初期のころです。全6部構成。本書のはじめは、デカルトの自伝的叙述になっています。そこで、「書を捨て旅に出る」ことの大切さが、デカルト自らの経験から語られますが、世間の実態に触れて学ぶという意味では、大きく言うと社会学のススメとも言えるのではないか、と思えました。象牙の塔となるな、ということでもあります。かつて戯曲家・寺山修司にも「書を捨てよ、街に出よう」という言葉があり、デカルトに共感しての言葉だったのかもしれないですね。速断や偏見には厳重に注意せよ、とデカルトは言います。問題を解くためにはそれがまず大事だと。そうした仕事をやり遂げるた...『方法序説』

  • あとがきとして。

    本作は、2023年5月15日から設定などを作り始め、執筆に移り、推敲を終え完成したのが9月15日でした。あしかけ4か月の仕事です。その間、家庭問題の説明資料づくりにあらたな1万字を書き、何度か役所などとの面談もありましたし、今思えば笑ってしまいますが国際ロマンス詐欺に10日前後巻き込まれてもいました。例年以上に暑かった夏にはパート労働をしましたが、やっぱり家庭が落ち着かないなかでは続けていくのがむずしく、1週間ほどでリタイアしました。体調面ではずっと胃薬を手放せなかったので、本作品の主人公にもそういった影響が出たのだと思います。執筆は、朝方3~5時の間に起床して7時前まで、というスタイルになっていき後半二カ月半くらいは定着していたと思います。毎日は書けず、早朝に起きても読書に時間を費やすなどの日も多くあり...あとがきとして。

  • 『陽だまりのこちら、暗がりのとなり』 第五話(完結)

    *毎夜の悪夢のその途中で目が覚めた。罪の意識そのものよりも、この罪を隠し通さねばらないその重苦しさが堪えた。罪を贖うために、自分のこれからの人生の自由を放棄することにこそ耐えられない。だから、罪を告白して裁かれるか、無理をしてでも逃れ続けるか、という選択肢に、前者を選ぶなんてできないのだった。目が覚めると、罪の気配はすうっと去っていく。そのちろちろとうごめく尻尾の先だけは少しだけ確認できるくらいにして。だが今回はそれとは別に、こちらへ押し寄せてくるものがあった。永遠に思い出したくない記憶だった。スナッフビデオ。二十歳かそこらだったと思う。佳苗と出会うよりも少し前のことだ。フェイクビデオだった可能性もある。白黒の動画で、ドットが粗かった。でも、胃液がせりあがってきてしまうほど真に迫っていた。喉を掻き切られた...『陽だまりのこちら、暗がりのとなり』第五話(完結)

  • 『陽だまりのこちら、暗がりのとなり』 第四話

    *そんな出来事のあった日の夜でも、意識を席巻するあの夢は容赦なかった。僕は人を殺めてしまった想いに、やはり苛(さいな)んでいた。無条件にそんな夢の中へと放り込まれる。自分が罪を犯したときの記憶はなかった。具体的に思い出せることはなにも無いのだ。にもかかわらず、自責の念と、取り返しのつかないことをしたという想いだけが胸に充満し、全身を脱力させる。将来への希望は塵となり風のひと吹きで消え去ってしまう。そのあとすぐに無風状態の時間が訪れるのだけれど、その時間が表現しているものがまさになんら混じりけのない絶望というやつで、それはたった数十秒のワンシーンのたかだか五分の一を観ただけでも、無理やり泣かせようとしてきているのがわかるベタなドラマくらいわかりやすくそこに存在していて、心底嫌になった。何日か経った平日の休み...『陽だまりのこちら、暗がりのとなり』第四話

  • 『陽だまりのこちら、暗がりのとなり』 第三話

    車中ではまず、牧さんと自己紹介をしあった。牧さんは一月に六十九歳になり、仕事は数年前までコンビニのオーナー兼店長を務めていたそうだ。もともと自営業だった自分の小さな酒屋を二十数年前にフランチャイズのコンビニにし、今は息子夫婦に経営を譲っているのだ、と。顔なじみの客の多いまずまず安定した利益の出ている店で、このご時世でも安泰なほうらしい。自己紹介が僕の番になり、スーパーの従業員をやっていることを教えると、同じ商売だね、と牧さんの顔はほころんでいた。何年目なんですか?と聞かれて、二年目になったばかりです、と答えた。その前はどんな仕事をされていたのですか?とさらに聞かれた。「Uターンするまでは札幌に居たんです。いくつかの職には就きましたが、目立った職歴はありません」正直にすらすらと出た。職歴の無いことを見下すな...『陽だまりのこちら、暗がりのとなり』第三話

  • 『陽だまりのこちら、暗がりのとなり』 第二話

    *夕飯はとうに済み、両親と三人分の食器洗いを終えて風呂にも入り、上りしなの風呂掃除もやり終えて、Tシャツと下着という恰好で自室の布団に寝そべっていた。かつて、どれだけの闇を知っているか、で他人と張り合おうとしていた時期があった。スマホのニュースアプリの画面を眺めながら、それとはまったく関係なく大学生の頃を思い出していた。悪友というべき二人の男と僕はつるんでいて、彼らとだけは張り合っていたのだ。彼らはその後、どのような人間になっただろうか。それにしても、瑤子が僕をピーターパン・シンドロームと見なしていただなんて、実に心外だった。外からはそういうふうに見えてしまうらしい。ネット世界からの闇の見聞が多かっただけで、まともな社会経験の乏しい、おそらく世間離れしているに違いない自分が、他者からどう見られている存在な...『陽だまりのこちら、暗がりのとなり』第二話

  • 『陽だまりのこちら、暗がりのとなり』 第一話

    晴れ渡り、空気の澄んだすばらしい朝でも、今日一日つまづくことはない、と約束されたわけではない。坪野老人に呼び止められて、しまった、の心の声が顔に出てしまった。振り向く自分の右頬が軽く引き攣ったのだ。たぶんまた昔のことを尋ねられてしまう。正直に話すとややこしくなる僕の暗部を、どうやら坪野さんはその憎たらしい嗅覚で探り当てているらしかった。きまって気安く、好奇心だけでずいずいと踏み込んでくるのが坪野さんだ。僕という藪に蛇はいない、とあっさり決めつけているかのように。完全になめられているんだよなあと思いつつも、ただそうやって安牌扱いされているがための心理的な組みやすさはあった。まず、頼み事はされない。いわゆる味噌っかす扱いなのだ。でも、そうではあるのだけど、坪野さんを僕はやっぱり苦手としていた。年齢はたしか七十...『陽だまりのこちら、暗がりのとなり』第一話

  • 文學界落選

    『文學界4月号』を確認したわけではないのですが、新人賞には落選したようです。応募作『陽だまりのこちら、暗がりのとなり』を、本ブログに分割してアップします。Wordで46587文字の分量なので、5~6分割になります。落選作ですが、読んでくださるとうれしいです。それでは、明朝よりはじめます。文學界落選

  • 『ハンチバック』

    読書。『ハンチバック』市川沙央を読んだ。第169回芥川賞受賞作で、作家のデビュー作です。背骨が右肺を押し潰すようなかたちで湾曲しているせむし(ハンチバック)の要介護中年女性・井沢釈華が主人公。人工呼吸器も入浴介助も必要な人です。彼女は零細ツイッターアカウントで、零細であるがゆえに大胆なツイートをしています。「普通の人間の女のように子どもを宿して中絶するのが私の夢です」などがそう。読んでいて面白かった表現や描写は多かったです。たとえば会話を、長調、短調、そして無調と表現するだとか。また、「愛のテープは違法」事件って初めて知った事柄でした。視覚障がい者の方たちでも本が読めるようにという配慮として音読が録音されたテープを貸し出したことが、著作権違反になるとされたらしいです。そして、それが押し通されたのでした。障...『ハンチバック』

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