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  • 小林信彦ラストコラム「映画が目にしみる 増補完全版」はニコール・キッドマン作品多め

    映画が目にしみる 増補完全版 小林信彦 文春文庫 2010年11月10日初版発行 小林信彦が1989年から中日新聞紙上に連載していたコラムが2007年はじめに終了し、文庫本になっていなかった単行本「コラムの逆襲」「映画が目にしみる」の2冊から映画関係の記事をピックアップした文庫本が「映画が目にしみる 増補完全版」である、といったことが、あとがきに書いてある。 文庫本なのに本文2段組みで詳細な索引が付いて総ページ数530超というすごいボリューム。帯には「小林信彦 最後の映画コラム集」とある。 この本に収められているのは1999年から2007年まで。この時期の小林先生はニコール・キッドマンのファン…

  • 「刑事コロンボ」を見る_2◎死者の身代金

    死者の身代金 RANSON FOR A DEAD MAN 放送◎米1971.3.1 日1973.4.22 120分フォーマット 犯人◎野心家の女性弁護士 被害者◎その夫の大物弁護士 トリック◎殺害後の偽装誘拐 コロンボをシリーズ化しよう、との話が出て、テレビ局側がパイロット版の製作を要求してきたことで誕生したのが、刑事コロンボ第2話「死者の身代金」。もともと舞台劇だった「殺人処方箋」と違い、はじめからテレビ用ドラマ(この当時なら、作り方は映画とほぼ変わらないだろうけど)として構想された「死者の身代金」は、小型飛行機での身代金の受け渡しシーンなど、ダイナミックな映像的見どころが随所に用意されてい…

  • 埋草日記◎筒井康隆の小説「敵」が映画化!

    ぼんやりネットを眺めていたら、「筒井康隆の小説『敵』が映画化」ってのを発見! しかも監督は「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八! 2025年1月17日公開であるとのこと! 私は筒井さんの小説のファンで、「敵」は筒井作品の中でも特に好きな作品のひとつであり、さらに吉田大八監督の映画もお気に入り。 ただ、今回のニュースを聞いて率直に不安を感じる。はたして小説「敵」を映画にして面白くなるのか? 筒井さんの作品のほとんどは、映画化に向いていない。「敵」もその中の一つだと思う。 小説「敵」は、退職した元大学教授75歳の生活を仔細に描いた老人小説である。明確なストーリーが無いというか、あるといえばあるとい…

  • 筒井康隆老人小説「敵」元大学教授の優雅な生活を詳細に描く

    「敵」 筒井康隆 新潮社 1998年1月30日 発行 1997年8月4日脱稿 とある。 筒井康隆14年振りの書下ろし、と帯に銘打たれた長編小説「敵」は1998年、新潮社から発行された。筒井氏の断筆解除が1997年のことで、だから「敵」は部分的には断筆中に執筆されたものと推測される。 小説「敵」は、退職した元大学教授75歳の生活を、仔細に描いた老人小説。 発刊時、筒井さんは64歳。帯に著者近影なのか筒井さんの写真が載っているが、これが完全に老人のコスプレとなっているのが、一種の仕掛け。当時、発売されてすぐに読んだので、当然そのときには内容も知らず、だから、最初にその写真を見たときは単純に「筒井さ…

  • 「刑事コロンボ」を見る_1◎殺人処方箋

    殺人処方箋 PRESCRIPTION:MURDER 放送◎米1968.2.20 日1972.8.27 120分フォーマット 犯人◎精神分析医 被害者◎その妻 トリック◎共犯者が被害者を演じるアリバイ工作 テレビドラマ「刑事コロンボ」の第一作目とされる「殺人処方箋」は単発ドラマの枠で放映されたものなので、オープニングのタイトル映像のスタイルが、後のシリーズ化されてからのものと、まったく違う。シリーズ化後は物語発端の映像にタイトル文字「COLUMBO as Peter Folk」が、あくまでもさりげなくかぶるシンプルなものだが、「殺人処方箋」のオープニングタイトルは精神分析の試験に用いられるロール…

  • 他人(ひと)は何を考えてるのか、わからないという映画?「よこがお」

    筒井真理子が美容院へやってくるというのがファーストシーン。池松壮亮が演じる美容師を指名する。会話の中で「仕事を辞めたので、気分を変えるために髪を変えたくて」といったことを話していたはず。 次のシーンでは、筒井真理子が高齢者の女性を介護している。どうやら介護されているのは画家らしく、場所は女流画家の家。同じ部屋で介護を手伝っているのは画家の孫のようで、演じているのは市川実日子。 市川は介護のために訪れる筒井と親しくなっていったらしく、喫茶店で一緒に介護の勉強をしているシーンが現れる。筒井真理子は優しく気の好いオバチャンの雰囲気で、市川実日子の高校生の妹(小川未祐)も仲良く一緒に喫茶店で宿題を始め…

  • 豪華な俳優陣が次々登場「ある男」を贅沢に楽しむ

    映画「ある男」をDVDで見た。俳優陣が豪華なのに驚いた。 まず、安藤サクラが登場する。地方の文房具店で働いている。彼女には小学生の息子がいて、その幼い弟が難病で亡くなり、離婚して、実家の文房具店にいるといった設定らしい。 そこに窪田正孝が演じる流れ者の男がスケッチブックを買いに訪れる。窪田正孝は暗いけど、優しい性格であるようで、安藤サクラと次第に親しくなる。また、地元の林業に携わる流れ者の男は、少しずつこの地域に受け入れられていく。やがて事件が起き、安藤サクラはかつて世話になった弁護士・妻夫木聡に人探しを依頼することになる。妻夫木聡が登場すると、映画は、この弁護士を主人公とした話にスイッチする…

  • 埋草日記◎NHK連続テレビ小説「おむすび」で橋本環奈を心配する

    老化現象のひとつに「若い人の顔が全部同じに見える」というのがあるようで、となると、若いころから人の顔が覚えられない私など、還暦を過ぎ「若い人の顔が全部同じに見える」どころの騒ぎではない。だから、たぶんCMなどで日常的に目にしているはずの橋本環奈だが、先日始まったNHK連続テレビ小説「おむすび」を見るようになって、はじめて橋本環奈を見たような気持ちになっている始末である。 1000年にひとりの逸材と称されていた、というのは認識できているのだが、いままでキチンと見た記憶がないのである。主演映画を見ていないし、ドラマも見ていない。もしかすると、見てるのに単に記憶がないだけかもしれない(まさに老化現象…

  • 傑作ミステリーとの噂は常々耳にしていた「葉桜の季節に君を想うということ」は如何にして私を騙したか

    葉桜の季節に君を想うということ 歌野晶午 文春文庫 2007年5月10日初版発行 単行本2003年3月発行 いちおうはじめにお断りするが、もちろんメインのトリックには触れません。しかし、感想を述べる際にトリックをほのめかす結果となる場合もあろう。なので「葉桜の季節に君を想うということ」をこれから読もうと思っている方は、以下は読まないで! っていうか、「きっとあなたは騙される」系の小説である「葉桜の季節に君を想うということ」は叙述トリックのミステリーであり、ネタバレ紹介は営業妨害であろう。 っていうか、この小説は「叙述トリック」である、といったレッテル自体が「ネタバレ」ではあるが、まあ、このご時…

  • いしいひさいち好きなので、ジブリアニメ「ホーホケキョ となりの山田くん」をいまさら見る

    ジブリアニメ「ホーホケキョ となりの山田くん」をレンタルDVDで見た。 あたりまえの話だが、漫画家いしいひさいちは絵が上手い。ラフな線でありながらとても美しいと感じる。そして、このアニメは、その流麗な絵の雰囲気のままに動いている感じ。無造作な線とシンプルな背景がアニメになっている、というのは、素人目にもすごい技術なのだろうなあ、と思うが、四コマ漫画の世界を長編映画にするというのは、少々キビシイのではないか、とも感じた。 そういえば思い出したが、いしいひさいちを一気に有名にした「がんばれ!タブチくん」もかつてアニメで劇場公開されていた。もう大昔だが、2本立ての同時上映が謎のホラー映画「ファンタズ…

  • 埋草日記◎映画「バービー」をDVDで見たけど、実はよくわからなかった

    フェミニズムというものが何か、が実はよくわかっていない私である。 そんな体たらくだから、映画「バービー」は何も考えずに楽しめる、というわけにはいかない。 マーゴット・ロビーは相変わらずのブロンド美女っぷりであるが、この方、なにか「正統派」という気がしないのはどういうわけか。そもそも認知したのが「スーサイド・スクワッド」のハーレイ・クイン役という一種のキワモノだったせいか? だけど映画「バービー」の主演と聞いた際は、確かに今バービー人形の映画を作るのなら、それを演じるのにピッタリっていえば、マーゴット・ロビーをおいてほかにはいないよなあ、といった印象を持つ。やっぱりアメリカンな金髪美女代表はマー…

  • 映画「LOVE LIFE」は矢野顕子の曲が原作なのか?

    深田晃司監督の映画は「ほとりの朔子」「淵に立つ」の二本を見ている。どちらも面白かった。 矢野顕子の「LOVE LIFE」は発売当時にCDを買い、よく聴いていた。深田監督もこのアルバムが好きらしく、触発されて映画「LOVE LIFE」を作ったとのこと。アルバム表題作「LOVE LIFE」はおだやかな優しい曲だ。発売は1991年のことで、映画「LOVE LIFE」が2022年というから、なんと30年以上前の曲ということになる。 さて、映画「淵に立つ」などは容赦のない不穏な映画といった記憶だけに、優しさにあふれた矢野顕子「LOVE LIFE」の世界と深田映画とはイメージが合わないというか、いったいど…

  • 埋草日記◎つかこうへいの小説「寝取られ宗介」を再読する

    ずいぶん久しぶりに、つかこうへいの小説を読んだ。「蒲田行進曲」で直木賞賞を受賞したつかこうへいが、受賞後第一作として発表した「寝取られ宗介」だ。1982年に小説として発表された作品。 つかこうへいの小説をすべて読んでいるわけではないが、読んだ中では一番好きな小説が「寝取られ宗介」である。 「寝取られ宗介」のどこが好きなのかを考えてみる。なんといってもラストの盛り上がりが素晴らしい。 劇団の音響係の青年が病床の妻に宛てた手紙という形式の小説なので、メインの話となる座長と妻レイ子の愛の物語、そして音響屋の妻への愛がラストで交差し、交響曲的な大音響を響かせるのである。 演劇的な「盛り上がり」でしか生…

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