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油屋種吉
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2013/08/16

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  • 米とともに生きて。 (2)

    一番初めにわたしのこころのスクリーンに登場するのは、若き日の母の姿です。わたしは五歳くらいだったでしょう。母はわたしの目からは後ろ向き、お風呂で使うくらいの高さの腰掛にすわって、何やらジャブジャブ音立ててやっています。はいているのは、モンペでした。わたしはほかのことに夢中。母が何をやっているかなど、まったく興味がありませんでした。苗間の水口から流れ込んでくる水を、一心に見つめていました。いったい、何が目当てでそんなふうにしていたのでしょうね。「気をつけるんやで。苗間でおぼれるようなことになったらあかんよ」母のやさしい声が、ときどき、わたしの耳に届きます。「いたあ。石亀さんの赤ちゃんだ」ひとつひとつつかんでは、バケツに入れていきました。わたしの嬌声に、母がふりむいて、にこりと笑いました。母だけではありません...米とともに生きて。(2)

  • 三月二十二日(土)晴れ。

    久しぶりに、墓地につづく坂道をのぼる。風がひんやりしている。鳥の声がしたので、あっ、ひょっとしたらと思い、耳傾けた。ちょっとかすれ気味。(鳥でも風邪をひくのだろうか)だが、そんな心配はすぐに解消した。春告げ鳥である。季節をあやまたず、けなげにさえずろうとする姿に感動してしまう。いつもはこれほど気持ちを動かさないのにと、自分のこころの動きに驚く。ここ半月あまり体調がすぐれず、ほんの数日前、医師の手をわずらわせてしまったからである。ふたたびのopeだった。さいわいにも一泊二日の入院で済んだ。「お歳を召しておられるので、治療のさなかに、何がおきるやしれません」そう言われたのが、こたえた。いつの間にやら、喜寿となった身。今朝は花冷え。まわりの風景が、まるで、初めて目にするごとく映る。心を新たに、これからの人生を送...三月二十二日(土)晴れ。

  • 米とともに生きて。 (1)

    「米がとっても高くてね。困ったわ。年金暮らしだし、収入はきまってるし。しょうがないからパンやうどんにスパゲッティ、ああそうそう、それから、すいとんなんてご存じかしら。若い方はわからないでしょうね」ある年老いた婦人の嘆きです。「米だけじゃないぞ。電気代に水道代。なんだって値段が上がってる。おれたち年寄りはどうやって生きて行けばいいんだろ」もうひとりの老人がこう応える。ちょっと前は十キロで四千円くらいだった精米がなんと二倍にも値が上がりましたね。昨年の「令和の米騒動」以来、ほんとうに庶民の生活が苦しくなりました。一方では、マスメディアがテレビニュースなどで盛んに危機意識をあおる。「ウクライナとロシアの戦いを見なさい。たくさんの人が傷ついたり命を落としたりしている」「日本ひとりだけが、もはや平安ではいられない。...米とともに生きて。(1)

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