ようやく梅雨が明けた。これからたけだけしいほどの暑さに日々たえねばならぬ。このところの雨でぬかった田んぼがひとしきり乾くのを待って、野良に出た。二十五馬力のトラクターがおらの相棒である。朝七時にはじめ、お昼くらいにすべて耕し終えた。田んぼの出入りに転ばぬよう、要注意だ。きのうのニュースは衝撃的だった。トラクターのロータリーの下からほとんど骨になってしまった人のからだが見つかったとあった。あまりに音信不通なので、遺体となってしまった方の友が訪ねて来られて事故を目撃、警察に通報されたようだ。お年寄りがトラクターを動かすのは大変。家族の者はそう心得るべし。「お父さん、田んぼにいるよ。のどが渇いてしょうがないから、お茶持ってきておくれ」家でゲームやテレビに夢中の孫に連絡した。「大きなの、ペットボトルのお茶、持って...老兵は死なず、ただ……。