人生の半分はとうに過ぎたはずなんだが、過ぎてどうなったという実感はない。(バーベナ) 六十代の半分も今日過ぎたんだが、過ぎてどうなったという実感はない。(バ…
物書きブログです。エッセイ、詩、短歌、俳句、ショートショート、小説、ギャグ。渾然一体。(^m^)
ショートストーリーの『えとわ(絵と話)』を中心に、ノンジャンルでいろいろ書いています。中・短編小説も公開してありますので、ご一読いただければ幸いです。(^^)
やっぱり 忙しさには勝てなかったよ(ヒメリュウキンカ) ようやく一息ついた時には 三月が尽きていた(サイネリア) いまを無理に削ってまで 為すべきこと…
第十五話 終の旅(8) 俺の軽と施設の福祉車両二台。総勢十名近い大所帯で野原に向かったが。到着時、野原のアプローチ下にある駐車スペースはすでに芋洗い状態だった…
第十五話 終の旅(7) 急に決まった話だ。日常のスケジュール優先になるから子供らには声をかけないつもりだったが、豊島さんにたしなめられた。「あんたねえ。早苗さ…
第十五話 終の旅(6) 考え事をしていた時間は思ったよりも長かったようだ。とっくに中天を越した太陽は、すでに反対側にぐらりと傾き始めていた。飲まず食わずでずっ…
第十五話 終の旅(5) 野原の主はこれまで誰にも認知されていない。綾瀬さんの前に現れても、存在を認めてもらえないだろう。出て行ってくれという懇願や恫喝を直接行…
第十五話 終の旅(4)「隠す……か。どこに?」 ここで、初めてどこに隠したかという話になるが。その前に、野原の主が何をどこまで動かせるかを考えてみよう。改めて…
第十四話 終の旅(3)「苦労して作土を持ち込んだことで、草木が生えやすくなってしまったんだろうな」 死んだ男が生前掲げていた最終目標は、尾根を畑にすること。だ…
第十五話 終の旅(2) 野原の主が農夫だとして、彼がどのような立場だったのかを考えてみよう。 まず年齢。若いはずだ。痩せこけた疎林を開拓するには一にも二にも体…
第十五話 終の旅(1) 冬と春の間で振り子が揺れ続けているものの、三月初旬になればだいぶ春めいてくる。年度末ゆえ業務多忙だが土日も出てこいというほどではないの…
「寒波も一段落で、これから春の陽気らしいが」「体はあったまるかもしれないが、懐が寒いよ。なにせ、野菜も果物もばか高くてな」「野菜のくせに、お高く止まりやがって…
おかしいなあ。 どあほのわたしは、風邪なんか絶対に引かないはずなんですが。 花粉症による鼻炎が例年以上にひどいなあとびーびー鼻をかみまくっているうちに、喉が…
「枯れると味が出るっていうから、枯れてみたんだけど」「どうだった?」「ただ枯れただけで 味にはならなかったわ」「ま、そんなものかも」(カニクサ)「枯れるのが嫌…
読書ノートの302回めは、梨木香歩さんの『りかさん』(1999年発表。文庫版は新潮文庫)です。 梨木さんは児童文学分野の作家さんですね。これまで著作をいくつ…
幸福の形を描き出そうとしない方がいい筆を重ねれば重ねるほど輪郭が不鮮明になってどんどん嘘くさくなる幸福はもとよりぼんやりしたものだそれなのに形を定めようとする…
《ショートショート 1509》『影を均す』 (ラフ・キャンバス 4)「オトコはね、少し影があるくらいがいいのよ」 お姉ちゃんは普段からよく言う。だから、わたし…
「男ってのはな、引き際が肝心なんだよ!」「ええー?」「おめえは往生際が悪すぎる! いつまで過去の栄光にしがみついてんだ!」「そんなこと言ったって」(カシワ)(…
「どうも好不調の波が激しいんだよなあ」「おまえの気分はともかく、仕事の質は不調のベタ凪だ。少しは社会の荒波に揉まれろ!」(ヒメシロアミタケ?)「大波小波を乗り…
「ああ。角度の問題じゃない。角度が問題なんだよ」 三角形の内角の和は180度になるが、三角関係の和解は180度回転して修羅場になることが多い。 ……かあ。 平…
「危険物が目前にある場合と、安全柵の向こうに危険物がある場合と、どっちがましなんだろ」「どっちもどっちだな」「目前に危険物があるなら、近づかず、十分に用心し、…
読書ノートの301回めは、加納朋子さんの『二百十番館にようこそ』(2020年発表。文庫版は文春文庫)です。 加納さんについてはこれまでもたくさん著書を取り上…
花粉症で絶不調のため、今日は短いです。(T^T)◇ ◇ ◇ トキワマンサク。花には白と赤があるんですが。 冬に葉が変色する際、色がそれぞれ違うんですね。 白…
「どれくらい頭上が開けていれば、見通しが明るいと感じられるんだろう」 業績が芳しくない小さな会社を苦労して切り盛りしている佐藤が、居酒屋で付き合いの長い広瀬と…
まったくもって勝手なものだ。呆れてしまう。咲き始めの秋は「もうそんな季節か」と言われ咲き進んだ冬は「けなげだなあ」と言われ咲き残りの早春は「まだがんばるのか…
《ショートショート 1508》『ひび割れ』 (ラフ・キャンバス 3) 跋扈する魔物ですら退屈すぎて近寄らない片田舎のさらに片隅で、エスタスという老人が一人工房…
なし終えたから軽くなった解き放ったから軽くなった(ススキ)振り切ったから軽くなった(アキノエノコログサ)かたちがあるとこれ以上軽くはなれないんだだからゆっくり…
男の子も女の子も。 一人の時と大勢いる時とでは、言動も行動も変化しますよね。見栄だったり、同調圧だったり、気後れだったり。本心以外にいろいろ作用しますので。…
なんだ知らなかったのか、とか必ず知らせてね、とか知る権利があるぞ、とか君が知らなくてもいいことだ、とか(フヨウカタバミ)ここにいても何も知ることはできない、と…
ふとしたはずみで水の扉が開くことがある扉の向こうに特別変わったものがあるわけじゃないそれは現実の写しに過ぎないんだけど写しを目にして初めて気づく現実もあるのさ…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「どうしよう。すっかり出遅れちゃった。今から赤くなってももう間に合わないよね」「どうだろ。残り物に福ってい…
シーズン9 第三話 調和(2) ペテルの案を容れ、マルタを蜘蛛に戻した。脚を全て失い、小さな球体になってしまった蜘蛛を羅紗を敷いた水晶の容器に納め、テオに世話…
シーズン9 第三話 調和(1)それは。私にとって敗北にも等しい撤退であった。だが私怨、私憤に駆られている間はあの化け物竜を制することができぬ。この屈辱は必ずや…
暖める必要はなく自ずと暖まるようになる(ラムズイヤー)凍えて赤くなるのではなく自ずと赤熱するようになる(シャリンバイ)あえて花を模らなくても自ずと花に見えるよ…
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人生の半分はとうに過ぎたはずなんだが、過ぎてどうなったという実感はない。(バーベナ) 六十代の半分も今日過ぎたんだが、過ぎてどうなったという実感はない。(バ…
シーズン9 第七話 航路(2) 有能な魔術師であれば、魔術で万事を解決できるか。決してそんなことはない。むしろ、精進すればするほど魔術で成しうることの限界が見…
シーズン9 第七話 航路(1) 巨竜との戦いは、能うる限り短時間で終わらせねばならなかった。事実その通りになった。だが滅したのは巨竜だけだ。月にあるオストレク…
底は天上よりも涼しいのだだから望んで底にいる底にいれば光が当たらない卑屈になるそれはあながち誤りではないんだがよく考えてみたまえ本当に光が届かない暗所ならば底…
田水が引かれる前。乾いた圃場のそこここに不規則な水たまりができていた。それが六月の始まりだった。 田ではなく畑であっても、まとまった雨が降ったあとに水たまり…
《ショートショート 1512》『流紋』 (ラフ・キャンバス 7)「ううー、うまく描けないなあ」 通っている高校の近くに結構大きな公園があって。そこの中央噴水周…
一面に敷き詰める。 敷き詰められることで面の印象は単調になるはずだが、我々はなぜかその光景を愛でる。(クリーピングタイム)「一面ピンクっていうのはエロくない…
全国一千万のもふもふファンのみなさま。 お待たせいたしました。 ごちゃごちゃ面倒くさいことは申しません。 心ゆくまでもふもふをご堪能くださいませ。 ひあうい…
いや……事実そのものなので、コメントのしようがございませぬ。ナデシコ科の園芸植物は、ほとんどが外来のお客様ですね。しかも。どういうわけか濃いピンクの花が多い…
先だっての記事でもちょこっと触れましたが。 長らくユリ科という寄り合い所帯に同居していた一族は、分子生物学的系統分類の進化に伴って、現在ばらばらに解体されて…
太陽を天空から下ろし夜に仕舞うまでのわずかな時間帯その間だけ太陽は偽物になる地を温めることはできず闇を焼き尽くす力もなくまといつく夕雲を払い除けられずぼんやり…
干してあったパンツが風で飛ばされてしまうのは、事故だから仕方がない。 だが、これみよがしに路上に捨てるのは、趣味の悪い軽犯罪だ。 そうだろ? 気づいた人が見…
映画は、明るいタイトルで男前が主演なのにどろっどろのミステリーでしたが。 冬から春にかけてのお寒い時期に地を照らすキク科の太陽たちは、ミステリー抜きの『太陽…
春花のまとめもなかなか画像在庫が減っていきません。六月いっぱいは引っ張ろうかな。 で、此度登場の面々はキンポウゲの仲間です。美しい花を咲かせる園芸植物が多い…
先日、運転免許証を更新してまいりましたが、毎度のこと写真がひどい有様で。(笑 まあ、年も年やし、身繕いもいい加減なので、最初から盛りようがないと諦めておりま…
シロツメクサの葉は三枚でワンセット。 四つ葉を見つけたらラッキー……ですね。 三枚でなければならぬという規則があるでなし。葉っぱなんか何枚セットでもええやん…
スイバ(酸葉)はごくありふれた雑草だ。 冬の間は地面に張り付いて寒さに耐え、春の足音が聞こえてくると同時に花穂を上げる。スイバという名を知らない人でも、咲き…
サザンカも含め、ツバキの仲間は晩秋から翌春までの花の少ない時期を彩る花木だと思われている。 だが、ナツツバキやヒメシャラのように夏に咲くものもあり、交配の進…
季節は夏に向かってまっしぐらなので、春花の画像消化を急ぎます。同系統の記事を連投しますが、どうかご容赦くださいまし。◇ ◇ ◇ 人間は、何かと分けたがるもの…
抑えていた感情が溢れて涙に変わる涙はいつまでも流れ続けるわけではないだが誤解してはいけない涙は止まったわけでも涸れたわけでもないただ乾いたのだ 涙はいろいろな…
ああ、そうさ他の何かに生まれ変わることはできないよどれだけ転生だとか前世だとか言ったところでそうなったのを証明できた人は誰もいないただの一人もねでも新しい自分…
シーズン8 第七話 鷲羽(2) 「手出し無用もなにも、私の出る幕などどこにもないわい。ビクセン公もよう言うわ」 あまりに鮮やかなビクセン公の作戦行動に呆れてぼ…
シーズン8 第七話 鷲羽(1) ケッペリアが酷暑に侵される真夏がやってきた。もちろん、暑さが天敵であるソノーの機嫌はずっと悪い。だが、その機嫌の悪さは暑さがも…
木陰で憩うといい涼しいよ君はそう言ったああそうだね葉群に解き漉かれた優しい光は夏の棘を優しく丸めるきっと木陰は他の誰よりも優しいのだろうでも木陰で憩うことがで…
雨筋が見えない弱い雨にすら隠されてしまう内情がある雨滴の重さを感じられないのに無情にのしかかる定めがある降っている時間はわずかなのに雨音がいつまでも止まない洗…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ ちょい興味があって、野生タヌキのおトイレを定期的にチェックしております。タヌキの溜め糞と言って、彼らは…
読書ノートの275回めは、桂望実さんの『嫌な女』(2010年発表。文庫版は光文社文庫)です。久しぶりにボリュームのある紙本を完読したなあ。(笑 桂さんについ…
「警報ってのは、迫り来る危機に速やかに備えなさいと鳴らされるものだろ?」「ああ」「その危機が来なかったら、俺たちは言うわけだよ。なんだ、脅かしやがってと」「ま…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「野菜が高くてかなわん」「特にブロッコリー。ついこの前、国の指定野菜に格上げされたんだろ? 安値で流通さ…
《ショートショート 1473》『俯くやつは嫌いだ』 すぐに俯くやつは嫌いだ。卑屈だとか意気地がないとか決めつけているからじゃない。俯くのはコミュニケーション遮…
夏の花が全て白いわけではない。 だが、気づけば白い花を追い、白い花ばかりを集めている。 ああ、そうだよ。 色なんかいつでも着けられる。 自分の色を選ぶまでは…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ ずうっと待てるのはちゃんとメリットがあるからよ。 無目的にぼけっと待ってるなんて阿呆のすること。 そう…
読書ノートの274回めは、窪美澄さんの『いるいないみらい』(2019年発表。文庫版は角川文庫)です。電子本での読書。 窪さんについては『晴天の迷いクジラ』を…
花束と寄せ植え。 どちらも様々な花々の集合体だが、微妙に異なる。 花束はもらうと嬉しいけど、寄せ植えはびみょー。だって、花束は花がダメになったら処分できるけ…
ストック画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ ナズナにしてもタネツケバナにしても、春を代表する野草のはずなんですが、そういう季節感をさっくり無視…
《ショートショート 1472》『涙袋』「朝もはよから何をやっとるんだ、ちみは」「ほっといてんか」 部活の朝練明け。制服に着替えて教室一番乗りーと踏み込んでみた…
「鍛え方が甘いのか、最近は未熟者ばかりじゃのう」「時が来ればちゃんと一人前になりますよ」「尻の青い連中ばかりで頭が痛いわい」「未熟なのにもう赤かったら、尻の叩…
ストック画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 変なやつだと言われて喜ぶ人はあまりませんよね。 いたとしたら、その人がリアルに変なのでしょう。(笑…
第六話 涙雨(5) しばらく黙っていた男が、俺にではなく自分に言い聞かせるようにしてぼそっと呟いた。「俺は……どうすりゃいいんだ」「さあ。それはあんたにしか決…
第六話 涙雨(4) 男は、俯いたまましばらく口を開かなかった。髪や髭に溜まっていた雨滴が、まるで涙のように一斉に男の足元に降り注ぐ。俺は男が何か言い出すまで黙…