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Maximaで綴る数学の旅 https://maxima.hatenablog.jp/

数式処理システムMaxima/Macsymaを使って、数学を楽しみましょう。Maxima入門あり。

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2012/12/30

  • -数学- 有限体のガウス和による平方剰余の相互法則の証明(8)

    いよいよ山本先生の本数論入門 (現代数学への入門)による相互法則の証明を見ていきます。有限体$F_p$におけるフロべニウス写像とガウス和を用いた証明です。今回はいくつかの補助定理を紹介し、それらを使った相互法則の証明を紹介します。それぞれの補助定理の証明は次回以降にしましょう。 まずは平方剰余の相互法則を再掲します。 命題4.9 相互法則 $p,q$を奇素数とします。$$\left(\frac{q}{p}\right)\,\left(\frac{p}{q}\right)=(-1)^{\frac{p-1}{2}\,\frac{q-1}{2}}=\begin{cases}1 & p\equiv 1…

  • -数学- 有限体のガウス和による平方剰余の相互法則の証明(7) 第2補充則の証明

    今回はいきなり第2補充則の証明から行きます。前回の記事 では第2補充則において$\sqrt{2}^p$の指数の$p$が変化するとそれに伴って平方剰余記号の値$\left(\frac{2}{p}\right)$が周期$8$で変化することを観察しました。 今回は山本先生の数論入門 (現代数学への入門)で紹介されている証明を見ていきます。ここでは$\sqrt{2}$を有限体$F_{p^2}$の中の$1$の原始$8$乗根の適当な和で表しています。これを$p$乗すると和の$p$乗は$p$乗の和を使い、$\sqrt{2}^p$を$1$の$8$乗根の$p$乗の適当な和で表すことができます。 これが周期$8$…

  • -数学- 有限体のガウス和による平方剰余の相互法則の証明 (6) フロべニウス写像と2つの補充則

    以下の式は$F_p$のフロべニウス写像によって$a$がいつ平方剰余になるのかを特徴づけているとも見えます。 $$\sqrt{a}^p=\left(\frac{a}{p}\right)\,\sqrt{a}\tag{A}$$ それが前回の記事の最後のステートメントでした。それらを再掲します。 「このことから第1補充則、第2補充則、相互法則をフロべニウス写像の言葉で言うと次のようになります。 $\sqrt{-1}^p=\sqrt{-1}$となる$p$の条件を求めること。 $\sqrt{2}^p=\sqrt{2}$となる$p$の条件を求めること。 $\sqrt{q^{\ast}}^p=\sqrt{q^…

  • -数学- 有限体のガウス和による平方剰余の相互法則の証明 (5) フロべニウス写像と平方剰余

    ちょっとだけおさらいから入りましょう。 $p$を素数、$F_p$を 位数$p$の有限体とします。$F_p$の$0$以外の元の集合$F_p^{\times}$は位数$p-1$の巡回群になります。そうするとフェルマーの定理から任意の$x\in F_p$について$x^{p-1}=1$が分かります。両辺に$x$を掛ければ$x^p=x$となります。この式は$x=0$も含めて$F_p$の全ての元で成り立ちます。また$x^p=x$を$F_p$あるいはその拡大体での方程式と見た時、その解の個数は多項式の理論から高々$p$個です。一方、実際に$p$個の要素を持つ有限体$F_p$の元は全てこの方程式の解となってい…

  • -数学- 有限体のガウス和による平方剰余の相互法則の証明 (4) 平方剰余の定義と相互法則

    いよいよこのシリーズも核心に入っていきます。今回は平方剰余の定義を与え、平方剰余記号を定義します。また平方剰余の基本的な性質を示した後、平方剰余の相互法則と関連する補充則などを紹介し、簡単なものには証明をつけます。最後に平方剰余の相互法則をより対称な形で表した命題を提示し、それが成り立つことをMaximaで再確認してみます。 定義 \(p\)を奇素数として\(a\)を\(p\)と互いに素な整数とします。\(a\)がある整数\(n\)の平方と法\(p\)で合同である時、\(a\)を\(p\)の平方剰余であるといいます。式で書けば、方程式\(X^2\equiv a\,(mod\,p)\)が解を持つ…

  • -数学- -数学- 有限体のガウス和による平方剰余の相互法則の証明 (3) GFパッケージ

    window.addEventListener('message', function(e) { var iframe = document.getElementById("tako"); var eventName = e.data[0]; var data = e.data[1]; switch(eventName) { case 'setHeight': console.log(data); iframe.style.height = data + "px"; break; } }, false); 前の記事で有限体\(F_p\)やその拡大体\(F_{p^f}\)で成り立つ幾つかの命題と…

  • -数学- 有限体のガウス和による平方剰余の相互法則の証明(2) 有限体入門

    駆け足で有限体を復習しましょう。 定義 有限体\(F_p\) 整数をある素数\(p\)で割った余りの集合\(\{0,1,\cdots,p-1\}\)には整数の加算や乗算の結果を\(p\)で割った余りとして自然に加算、乗算が定義でき、それらの単位元は\(0,1\)です。また全ての元に対して加算の逆元があり、\(0\)を除く全ての元に対して乗算の逆元があります。従って\(\{0,1,\cdots,p-1\}\)は体になります。この集合は要素数\(p\)の有限体であり記号\(F_p\)で表します。 具体的に\(p=3\)の有限体を例として考えてみましょう。\(F_3=\{0,1,2\}\)です。加算…

  • -数学- 有限体のガウス和による平方剰余の相互法則の証明(1)

    小島寛之先生のブログ記事 で山本芳彦先生の著書「数論入門」 数論入門 (現代数学への入門) 作者:山本 芳彦 岩波書店 Amazon が絶賛されていました。その中で印象に残ったのが、有限体を使った平方剰余の相互法則の証明が秀逸、という点でした。 山本先生のこの本にはこのブログの以前の記事でも色々とお世話になっていますが、平方剰余は個人的に苦手意識もありちゃんと読んでいませんでした。改めて第3章剰余環から読んでみました。1週間くらいかけて有限体の復習、平方剰余と\(F_p\)とフロべニウス写像\(x^p\)、有限体のガウス和、そして平方剰余の相互法則の証明を理解することができました。 その過程で…

  • -その他- M1 Mac上の新しい仮想環境 VMware Fusion Player 13(とKali Linux)

    昨年の11月にVMwareからVMware Fusion Player 13がリリースされました。VMware Fusion PlayerはmacOS上で仮想マシンを実行できるソフトウェアで、UTMやVirtualboxなどと同様のカテゴリの製品です。 store-jp.vmware.com セキュリティ関係でKali Linuxを使いたくてUTMにインストールしたのですが、Apple virtualizationではキーボードのマッピングが変で や_が入力できずshell操作がろくに出来ません。QEMUではキーボードはいいのですがスピードが遅くて困りました。 VMware Fusion Pl…

  • -その他- ラブソングの中の数学 Answers by Da-iCE

    今年最後の記事は最近よく聴く楽曲の話です。 www.youtube.com Da-iCEのAnswersという楽曲です。最近お気に入りでよく聞いていたのですが、歌詞の中に「円周率」という言葉が聞こえることに気がつきました。おっ!と思って歌詞を調べてみると数学の用語が散りばめられていることがわかりました。 以下は数学に関係する単語とフレーズを抜き出してみたものです。 確率を知る為の公式、方程式、割り切れない円周率、導き出した答え、 理解して解くまでなどでもやり直そう 0をかけて台無しにしない 自然数、定義、数学 そもそも曲のタイトルがAnswersですね。数学をとても意識して作詞されたのでしょう…

  • -数学- ラマヌジャンのシンギュラーモジュリ

    この記事では最も簡単なシンギュラーモジュリ\(x_2\)を求めてみます。この値は前回の記事で求めた式 $$\frac{2}{\pi}=\sum_{k=0}^{\infty}(-1)^k\,A_k\,(4\,k+1), ただしA_k=\frac{\left( \frac12\right)_k^3}{k!^3}$$ でも使いました。 シンギュラーモジュリ\(x_2\)を求めるにあたりもう一度その定義を復習しておきましょう。アイゼンシュタイン級数の議論では一貫して次のような記号を定義して使ってきました。 $$q=e^{-y}, f(-q)=\prod_{n=1}^{\infty}(1-q^n), z…

  • -数学- 2次変換公式を取り替えて、さらに別のラマヌジャンの円周率公式を証明しよう(2)

    P3C 今回は次の公式を証明します。 $$\frac{2}{\pi}=\sum_{k=0}^{\infty}(-1)^k\,A_k\,(4\,k+1), ただしA_k=\frac{\left( \frac12\right)_k^3}{k!^3}$$ Nayandeepさんの論文 "EISENSTEIN SERIES AND RAMANUJAN-TYPE SERIES FOR 1/π" では多くの円周率公式についてその証明が一定のフォーマットで与えられています。このシリーズではそのフォーマットをフレームワークと呼び、その一部を取り替えることで円周率公式とその証明が量産される様を見てきています。 …

  • -数学- 2次変換公式を取り替えて、さらに別のラマヌジャンの円周率公式を証明しよう(1)

    以下の記事でNayandeepさんによるラマヌジャンの円周率公式の証明の構造を示し、フレームワークと呼んでみました。 maxima.hatenablog.jp このフレームワークの中でポイントとなる部分を変更すると異なる円周率公式を得ることができます。そのポイントの1つがガウス超幾何関数の2次変換公式を別のものに取り替えることです。 すると、「クローゼンの公式の特別な場合」の式が影響を受け別のものになります。そのため\(z^2\)が違う式になります。その微分も変わるためアイゼンシュタイン級数の変換公式に代入する式が変わり、得られる\(P(e^{-2\,\pi\,\sqrt{n}})\)の式も変…

  • -数学- Number Theory in the Spirit of Ramanujan, by Bruce C. Berndt

    ラマヌジャン型の円周率公式の証明を理解する上で、\(q\)級数、超幾何関数、楕円積分、テータ関数、アイゼンシュタイン級数などをある程度理解しておくことが必要です。このためにとても役に立ったのが、このシリーズでも何度も紹介しているBerndtさんの次の本です。 Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematical Library) 作者:Berndt, Bruce C. Amer Mathematical Society Amazon この本の5章と6章に証明の細かいところまでが書いてあり、非常に勉強になりました。 一方、ち…

  • -数学- 他の円周率公式も証明してみよう!

    このシリーズでも折に触れて紹介してきたNayandeep BaruahさんとBerndtさんの論文 "EISENSTEIN SERIES AND RAMANUJAN-TYPE SERIES FOR 1/π" には多くの\(\frac{1}{\pi}\) 級数公式とその証明がフレームワークに基づいて示されています。今回はその中から次の公式の証明を紹介します。 $$\frac{1}{\pi}=\sum_{k=0}^{\infty}((8-5\,\sqrt{2})\,k+3-2\,\sqrt{2})\,A_k\,(2\,\sqrt{2}-2)^{3\,k}\, ただし A_k=\frac{\left…

  • -数学- ラマヌジャンの円周率公式証明の仕組みを調べる

    ラマヌジャンの円周率公式のひとつである $$\frac{16}{\pi}=\sum_{k=0}^{\infty }{\frac{\left(42\,k+5\right)\,A_{k}}{2^{6\,k}}}$$ の証明を調べてMaximaで式変形を追いながら理解することができました。2021年10月21日に書いた記事 から始まるこの1年間の数学の記事は全てこの証明に関係した記事になっています。 参考文献としては以下の3つを参照しました。 メインは平田典子氏の「数理科学2020年8月号」の記事「ラマヌジャンと円周率近似公式」です。証明の全体の流れを日本語で把握できたのは貴重でした。 また楕円積分…

  • -数学- ラマヌジャンの円周率公式の証明(アイゼンシュタイン級数とその応用)

    今回は今までに得られたアイゼンシュタイン級数の公式を元にして、ラマヌジャンの円周率公式のひとつを証明します。今回証明するのは次の式です。 $$\frac{16}{\pi}=5+ \frac{47}{64}\,\left(\frac12\right)^3 + \frac{89}{64^2}\,\left(\frac{1\cdot 3}{2\cdot 4}\right)^3+ \frac{131}{64^3}\,\left(\frac{1\cdot 3\cdot 5}{2\cdot 4\cdot 6}\right)^3 + \cdots$$ この式を総和記号、ポッホハマー記号などを使って書くと、\…

  • -数学- アイゼンシュタイン級数とその応用

    今回は今までに求めてきた2つの\(P(q)\)に関する数式を、\(n\)を適当な自然数として\(q=e^{-2\,\pi\,\sqrt{n}}\)の場合に特化した数式として計算してみます。とは言ってもおおむね代入して整理するだけです。 その系として次の式がほぼ自明に得られることも示します。 $$1-24\,\sum_{n=1}^{\infty }{\frac{n\,e^ {- 2\,\pi\,n }}{1-e^ {- 2\,\pi\,n }}}=\frac{3}{\pi}$$ 7年前に書いた記事: maxima.hatenablog.jp で示した$$ \sum_{n=1}^{\infty }…

  • -数学- アイゼンシュタイン級数の変換公式(その5)

    庭で見つけた足長蜂の巣。業者の方に退治してもらいました。 今回は次の公式を証明します。 \(P(q)=1-24\,\sum_{n=1}^{\infty}\frac{n\,q^n}{1-q^n}, a\,b=\pi^2\)として、 $$ 6-a\,P\left(e^{-2\,a}\right)=b\,P\left(e^{-2\,b}\right)$$ 参考文献としては以前のブログ記事 maxima.hatenablog.jp でも紹介した、Nayandeep Deka BaruahさんとBruce C. Berndtさんの論文Eisenstein series and Ramanujan-typ…

  • -数学- アイゼンシュタイン級数の変換公式(その4) 補足

    ひとつ前の記事 maxima.hatenablog.jp を書き終えてからひとつ心に引っ掛かっていることがありました。普通は保型性を関数が\( z+1 \)や\(1/z\)で不変という形で表します。しかしラマヌジャンは\(a, b \gt 1, a\,b=\pi^2\)ならば\(h(a)=h(b)\)のような形で表している、という話をどこかで読んだという記憶が蘇ってきたのです。 多分黒川先生の本だろうと思い、家にある黒川先生の本を全て確認してみたところありました! ラマヌジャンζの衝撃 (双書―大数学者の数学) 作者:黒川 信重 現代数学社 Amazon この本の第9章「保型性の展開」のp12…

  • -数学- アイゼンシュタイン級数の変換公式(その4)

    今回はラマヌジャンのテータ関数の変換公式と呼ばれる次の式を証明します。次回以降でこの式からアイゼンシュタイン級数の変換公式を導きます。 $$ b^{\frac{1}{4}}\,e^ {- \frac{b}{12} }\,f\left(-e^{- 2\,b\,n }\right)=a^{\frac{1}{4}}\,e^ {- \frac{a}{12} }\,f\left(1-e^ {- 2\,a\,n }\right) $$ ただし\( f(-q)=\prod_{n=1}^{\infty}(1-q^n) \)及び\( a,b\gt 1, \, a\,b=\pi^2 \)です。 証明はデデキントの…

  • -数学- アイゼンシュタイン級数の変換公式(その3)

    前回、アイゼンシュタインの変換公式を証明しました。この公式は数理科学2020年8月号の平田典子さんの記事においても、そのほかのラマヌジャンの円周率公式の証明の論文を見ていても基本的な式となっています。 今回はアイゼンシュタインの変換公式の応用として次の式を証明します。 $$P(q^2)=(1-2\,x)\sum_{k=0}^{\infty}(3\,k+1)A_k\,X^k\, ただし A_k=\frac{\left(\frac12\right)_k^3}{k!^3}$$ ここまでくると平田さんの記事や、このブログの以前の記事 maxima.hatenablog.jp でも紹介した、次のような式…

  • -数学- アイゼンシュタイン級数の変換公式(その2)

    前回の記事 maxima.hatenablog.jp ではラマヌジャンの円周率公式の証明を理解したい、という動機を説明し、そこで使われるアイゼンシュタイン級数の変換公式について説明しました。 この記事ではその証明をMaximaで追っていきます。 window.addEventListener('message', function(e) { var iframe = document.getElementById("tako"); var eventName = e.data[0]; var data = e.data[1]; switch(eventName) { case 'setHeig…

  • -数学- アイゼンシュタイン級数の変換公式

    ラマヌジャンの円周率公式は少なくとも17種類がラマヌジャンのノートブックに記載があり、さらにその後の研究で大量に類似の公式が見つかっています。それらの証明はいろいろな手法が使われており難易度も様々なようですが、数学愛好家としてはその1つくらいは理解したい、と思います。 多くの証明に共通する基本的な道具立ての部分として以下があります。 楕円積分 \(K(k)=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}{\frac{1}{\sqrt{1-k^2\,\sin ^2\vartheta}}\;d\vartheta}\) 超幾何関数\({}_pF_q(a_1,,,a_p;b_1,,,b_q,;z)\…

  • -その他- maxima-jupyterのインストールでエラー invalid number of arguments: 5 (直りました)

    このブログのmaximaの記事を書くにあたって多用してきたmaxima-jupyterですが、最近新たにインストールしようとするとエラーが発生するようになってしまいました。例えば以前に掲載した次の記事の手順でもエラーが発生します。 maxima.hatenablog.jp (%i2) jupyter_install(); を実行するとinvalid number of arguments: 5というエラーが発生します。このエラーに気が付いたのが七夕の頃で、作者のロバートさんに連絡したり、github上でissueを登録したり、、、色々とコードを読んで原因はわかって来たので修正を作ってテストして…

  • -その他- UTMの整備

    以前の記事で紹介した、macOSで動作する仮想マシン環境ソフトUTMをM1 iMacで本格的に使おうと思い、その前にいくつか不満点を解消しました。 maxima.hatenablog.jp 以下は不満だった点のリストです。これら全て一応解消できました。 ホストに物理接続している日本語キーボードがASCII配列と認識されてしまい、記号文字の入力が困難。 下線が入力できない。 解像度があっていないのか、ぼやっと表示される。 突然インターネット接続が切れて繋がらなくなった。 Google Chromeの表示が乱れて使えない。 これだけ不満があれば全部直すよりも、ちゃんと動く仮想環境を探しますよね。実…

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