傷つきて一段一だん降りてゆく 階(きざはし)よりも野菊は低し
閉じ開く 自動扉の人と影に 人生の一こまをかいまみており
桃の木の枯葉は桃の形なりに まろき弧を画き ひらひらと落つ
旅路より帰りし夫(つま)と温き飯(いい) かみしめる朝のひととき
同じ血の絆より濃くならまほし 小包の紐切に結びぬ
冷水に昆布の砂を流しゆく 世俗の行事果たさむとして
五月雨のやや強まりし昼下り 芍薬の花咲き初めにけり
梅雨明けの近づきぬらし熱帯夜 息子はイランへ旅立つという
峠には霧立ちぬらし対行の 消さぬライトが春陽に光る
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