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日めくり 短歌 百十八
ふしくれし指もて びわの皮をむき 我に与えし父の在りし日
2011/12/26 08:00
日めくり 短歌 百十七
師の訃報聞くとも知らず黒揚羽 桔梗のめぐりゆるく舞いおり
2011/12/22 08:00
日めくり 短歌 百十六
幾曲り農道の坂上り来て しやがの花咲く丘に出でにき
2011/12/21 08:00
日めくり 短歌 百十五
あまさぎの白き翼のきらめきて 早苗田去れば海風匂う
2011/12/20 08:00
日めくり 短歌 百十四
雪けぶる竹林の中凍結の 信号の点滅激しく光る
2011/12/19 08:00
日めくり 短歌 百十三
六十路越えし姉妹二人のささめきに 八つ手の玉の燿う陽春
2011/12/16 08:00
日めくり 短歌 百十二
朝な夕な紅まさりゆく紅葉も 老いづきぬれば只に美わし
2011/12/15 08:00
日めくり 短歌 百十一
散り敷ける栗の病葉うず高く 梢の一葉照らす朝焼け
2011/12/14 08:00
日めくり 短歌 百十
媼一人黄菊携え登りゆく 墓地への坂に秋の陽は射す
2011/12/13 08:00
日めくり 短歌 百九
秋の音さやかに運ぶ涼風に そそと揺れいる曼珠沙華の群
2011/12/12 08:00
日めくり 短歌 百八
暮れなずむ秋の冷気に幼等の 一番星賞ずる声 とおりくる
2011/12/09 08:00
日めくり 短歌 百七
さわさわと若きすすき穂さゆらぎて 朝の光に輝きわたる
2011/12/08 08:00
日めくり 短歌 百六
移りゆきし人の手植えの三つ葉芹 垣根をくぐり清しく香る
2011/12/07 08:00
日めくり 短歌 百五
せんもとの薄皮を剥き土に埋む この不確かなる日々の中にて
2011/12/06 08:00
日めくり 短歌 百四
おおいなる春の光の中にいて 子等に送らむ繊切(せんぎ)りを干す
2011/12/05 08:00
日めくり 短歌 百三
尖りたるつららの先の一雫 春の光を写し落ちゆく
2011/12/02 12:54
日めくり 短歌 百二
傷つきて一段一だん降りてゆく 階(きざはし)よりも野菊は低し
2011/11/30 08:00
日めくり 短歌 百一
閉じ開く 自動扉の人と影に 人生の一こまをかいまみており
2011/11/29 08:00
日めくり 短歌 百
桃の木の枯葉は桃の形なりに まろき弧を画き ひらひらと落つ
2011/11/28 08:00
日めくり 短歌 九十九
旅路より帰りし夫(つま)と温き飯(いい) かみしめる朝のひととき
2011/11/27 08:00
日めくり 短歌 九十八
同じ血の絆より濃くならまほし 小包の紐切に結びぬ
2011/11/26 08:00
日めくり 短歌 九十七
冷水に昆布の砂を流しゆく 世俗の行事果たさむとして
2011/11/25 08:00
日めくり 短歌 九十六
五月雨のやや強まりし昼下り 芍薬の花咲き初めにけり
2011/11/24 08:00
日めくり 短歌 九十五
梅雨明けの近づきぬらし熱帯夜 息子はイランへ旅立つという
2011/11/23 08:00
日めくり 短歌 九十四
峠には霧立ちぬらし対行の 消さぬライトが春陽に光る
2011/11/22 08:00
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