先週のことです.梅雨空の下,他のサボテンは全く咲いていいない中で鮮やかなピンクの花がポツンと見えました.銀牡丹(Pelecyphora strobiliformis)です.硬い菱形の鎧を纏ったような姿は,覗き込むとなかなか趣があるのですが,遠目には実に地味で,花が咲いていないと栽培棚ではその存在そのものが目に入って来ません. そんな地味系サボテンの代表のような奴ですが,花時は華やかです.なるほど精巧丸(P. aselliformis)...
ランポーたちを何気なく見ていたら,何やらぽっちりが. 何がついているんだろうと覗き込んでみると,なんと稜間のあたりから芽が伸び出ていました.本来の定芽がない場所で芽吹く芽のことを不定芽と呼ぶのですが,この不定芽の出方は珍しい,今まで見たことがありません. ちゃんとしたランポーの顔をしていますし,今まさに成長しているようです. 「めがでる」という言葉がありますが,“芽が出る”でも“目が出る”でも良いよ...
ここで紹介する般若の若苗たちは,数年前に小さな株を手にしたものです.少し時間が経過して揃って開花してきたので記録しておきます. 最初はライオン般若です.これは白条複隆般若の中の特異優良タイプのようです.コロンさんの親木の写真を見て,これは優れものだと思い手に入れました.以前どこかで書きましたが,複隆系のアストロは必ずしも全てが美しいわけではありません.はっきり言ってそんなに好きではありません.こ...
奇想天外の種子をもらって蒔いてみたのは昨年の7月のことでした.ポリポットに蒔いていたのですが,この春に丈のあるプラ鉢に植え替えました.その時,鉢の用土表面からの乾燥を避けるため小石を敷いておきました.こうすることで牡丹類の調子が良かったので,奇想天外にもきっと良いだろうとの思いからです. 一株は子葉が枯れてしまいましたが,もう一方は子葉も元気です.これがどんな意味を持つのかわかりませんが,子葉が...
亀甲竜の移植を記事にしたのはつい先日です.移植後はハウスに戻さず,ウチの家の北側の犬走り,つまり外に置いておりました.その方が涼しくて良いだろうと思ってのことです.一度ザッと水をかけましたがその後は放置.暑くて人様の方が参ってしまい,遠目にちらっとみて通り過ぎていました. 記事にした小株と同時にウチに以前からいる中苗も移植してやったのです.これは葉の枯れた枝を切って,同じように植え替えました.ふ...
夏の暑さを物ともせずブーリー(Mammillaria boolii MG1392)が,可愛くかつ素敵な花を咲かせています.桜富士という和名をいただいていますが、名前負けしない素敵なサボテンです.暑い中に咲くこの穏やかなピンク色は,見るものの心を和ませてくれます. このブーリーを少し増やしてみようと昨年交配した実が,冬の間に熟しました.こんな形の実ができるんだなーと感心しました. その種子をこの春に蒔いてみたのですが,...
これまで何度も夏に咲くマミラリアの代表として緋縅(Mammillaria mazatlanensis)がこのブログに登場してきました.古くから知られた種でありますが,故郷の緋縅はどんなものだろうか知りたくて,FNのついた種子を蒔いてみました.小さな実生苗が今年ようやく開花しました.緋縅は,ミチョアカン,コリマ,ハリスコ,ナリヤット,シロアナ、ソノラの各州の太平洋岸に広く分布するとされますが,SB703はソノラが故郷のようです....
多肉植物の特集だそうなので,久しぶりに買ってみました.夏に負けない最強多肉植物ってタイトル.頑丈な多肉の紹介かと思いきや,長田さんの記事は丁寧でオーソドックスな栽培方法の解説でした.そりゃそうだろう,NHK趣味の園芸の視聴者がこの雑誌のメインターゲットですものね.最強の医者知らずとか朧月なんて紹介はできませんものね. 本気のサボテンではコロンカクタスの芳山さんが,とっておきのコレクションの写真を載...
これはヘキランの実生です.ここ数年の経験から,変わった形態の子孫を出す系統がだんだん明らかになっています.近親交配にならぬよう,さらに確度を高めるべく,それ専用の親木を作ってきました.親木自体は大したことなくても良いのです,良い後代さえ生み出してくれれば.そうした親木同士の種子を蒔いてみた様子を紹介します. この写真の系統では,双葉が展開した後,早くも稜線に突起が見られ,かなりのものが特異な亀甲...
烏羽玉(Lophophora williamsii)は,子供の頃から馴染みのサボテンでした.サボテンを本格再開した10数年前にいくつか烏羽玉を手にしたのですが,その後何度か訪れたメキシコの烏羽玉とはあまりにも雰囲気が違いすぎて,正直あまり魅力を感じなくなっていました.久しぶりにまじまじと彼らを眺め,いわゆる綺麗に育った烏羽玉もそれはそれで悪くないかと思い直しました.穏やかに咲く姿はなんだか幸せそうです. これは白肌烏...
先日アカントグラウカムの花比べを記事にしたのですが,別のFNのもの, WR872がまた違ったテイストの花でしたので,記録にとどめておきたいと思います.なおWR872の記録では学名表記はA. thionanthum var.glaucaとなっていました.とても綺麗なレモンイエローで花弁の下側はほとんど色がなく,喉が白くさえ見えます. そうこうしていると先に花比べしたLF38の実が膨らんできたのですが,ご覧の通り果皮の色が随分と違います.あ...
何度か記事にしてきたガッセリアーナ(Mammillaria gasseriana)です.普通はそれほど大きくはならず,かつ単頭です.キリン台で育成してみたものはずいぶんと胴太になり,これなら多頭株にしてみるかと思いました.マミラリアは蕾が見える頃に胴切りすると仔が吹きやすいと廣仙園の中川さんがよく言っていました.なので花を見ずに切るのはちょっと忍びなかったのですが,思い切って切りました.2月下旬のことでした. それか...
ユーフォルビアは,ほぼ守備範囲外です.結構な大家族なのに,ウチにいるのはわずかに数種,しかも無加温ハウスでサボテンと同居させても元気に過ごせるという条件をクリアーするものだけ.おのず珍しいものは皆無.ボクにとって,ユーフォは沼でもなんでもありません.それでも時々目の前を通過するユーフォを少しでも理解すべしと思い,この新刊を手にしました.90種余りを写真で解説されていて,ユーフォ全般を眺められるよう...
少し古い写真を取り出し,ヘキランに出る病気を記録しておきます.他の有星類にも出ますが,特にヘキランで目につく病気です. まずは古い写真ですが,7年前の三角ヘキラン,秋の姿です.茶褐色のシミが次々と広がっていました.ダコニールを塗布し,さらに半年後の様子です. こうした処理により病斑はそれ以上は広がらず,下の写真は現在の様子.増稜してすっかり風貌は変わりましたが,その後病気の再発はありません. 次...
昨年7月にキリンに乗せたヒルホの一つが咲いてきました.これはEriosyce occulta RS1958です.Neochilenia occultaだったりPyrrhocactus occultusだったりThelocephala occultaだったりと収まりの悪い種です.このRS1958の故郷情報は,チリのタルタルとラスブレアスの間で アグアベルデ山の方向とあります.GEで見ると乾燥したガレ山のような風景です. このオクルタの花色は,白っぽいものから黄色味を帯びたもの,さらにはピ...
一年を通じて雨の少ない讃岐地方にしては,今年は陽性の梅雨,よく雨が降っています.おかげで作業の出遅れた畑は,すっかり雑草に覆われ,どうしたものかとため息が出ます. 外で雨よけ栽培をしている金鯱くんも,今は強い陽射しを待ってじっとしています.その稜間でアマガエルがひっそりへばりつき,こちらを見ているようです. 春に生まれたたくさんのカマキリの子が,ハウス内にまで棲息場所を広げていますが,雨続きのハ...
マイニアエ(M.mainiae)のオシャレな花が咲いてきました.ピンクのストライプの花弁の基部に黄色い葯がまとまり,その中をこの仲間特有の先端が大きく割れるピンクの雌しべが伸びます.どうしてこんなにオシャレな花に進化したんだろう,と見るたびに感心します. このマイニアエはどれぐらいの種内変異があるのだろうか,と思いFNの付いた種子を蒔いてみました.これはSB540,故郷はメキシコ ソノラ州のエルモシージョ(Hermo...
亀甲竜の小さい株が揃って梅雨とともに休眠に入りました.枯れた枝をむしり取ってやり,表面の軽石を取り除いてやると,ようやく亀甲模様の出てきた球根が見えました.何年移植していないのか分からなくなっていましたので,気まぐれではありますが移植することに. 鉢から抜いてみるとしっかり根が張っていました.鉢底に日向土の中粒,その上にバークを入れ,さらにその上に普通サボテンに使っている用土を用いて植えられてい...
キリンウチワに花が咲き始めたことを報告したのは5月のことでした.あれからも次々と花が咲き,5つの異なる系統で花が見られました.今回は花の特徴などを報告しておきます.5系統のうち2つは花径が他の3系統より大きい感じでした。ただ,花芽の着いた位置や樹勢により花の大きさは変わることもあるので決定的ではないかも知れません.参考に大きいもの,小さいものの写真を載せました. またある系統では下の写真のように星形の...
春に交配した綾波の果実が日に日に赤みを増し,ある日ウチのハウスを訪れた方が,赤いプラスチック,ピンポン玉のようだと言うのを聞いてなるほどピンポン玉だなーと感心しました. 梅雨が入って間も無く,ピンポン玉を収穫しました.まだしっかり母体にくっ付いているのですが,これが簡単に外れるまで待っていると種子の休眠が深まってしまうとされています.どのタイミングで休眠に入るのかなど詳細な情報はありません.趣旨...
夏に咲いて来るマミたちが次々と開花しています.その中で荒目丸が綺麗に先揃っていました.この荒目丸は学名のM. alamensisから来たものかと思いますが,現在はM.sheldoniiに統合されています.カリフォルニア半島のメキシコ側の対岸に広く分布し,このシェルドニーはかなり変異に富んだ種とされ,幾つものシノニムがあります. 花はほぼ白で薄茶色のストライプの入るものからピンクまであるようで,何が典型的なのかは決めが...
いかにもアカントらしい風貌のサボテン,Acanthocalycium munitum HD10です.A.thionanthum var. munitum ともされ,どうやらA.thionanthumに包含される流れのようです.グラウカムとはごく近いものです.故郷はアルゼンチン,広く分布しているようです.種小名のmunitumは武装している,つまり刺があるという意味ですが,確かに刺がうねるような個体もありますが,この種が特にアカントの中で強刺ということでもなさそうです....
効率良くカプトメデューサエの実生を生育させるのにはどれぐらいの密度で播種すれば良いか,昨年7月に小さな実験をしてみました.種子はイヤというほど採れるのです.発芽もまずまずです.しかし生えたものを移植すると歩留まりが低い.これはどこか栽培方法に問題がるものと思われました.出来ることなら発芽後の移植を省いて何とかならないでしょうか.そこでいつも使っている25穴のトレーを用いて播種密度を5,10,15,20,25...
この南米の柱ものアレキパは,6年前の春に山城さんのところで,これは一体なんだろう?と思って手にしたモノです.当初名前が分からず困ってましたが,どうやらArequipa spinosissimaらしいと言うことで落ち着きました.すっかり立派になったなと感心して眺めています. 彼らの花は,ハチドリ受粉に適応した形態を進化させています.こうして2花が揃って咲くとそれ自体が何か鳥の様にも見えます.残念ながらここにはハチドリは...
梅雨空の下,舞衣(Mammillaria wrightii)が大きな花を咲かせていました.このライティーは,何度か登場するウィルコキシー の元となる種です.1800年代にすでに記載されており,古くから知られた種ですが,日本で広く流通しているかと言えばそうでもありません.勿体ないなと思います.この株はSB86で,故郷はニューメキシコ州Manzano Mountainsです.かなり分布が広いらしくメキシコ北部のソノラ砂漠にまで広がっている様です...
黒王丸など一部のコピが欲しい人がまだ結構居るらしく,サイズのある株は高価です.そんなに興味あるなら自分で種子を蒔けばよいのにと思うのですが,どうやらそんな人は少数派のようです.確かに少し時間がかかりますが,コピたちは,自分で育てたぞという達成感というか満足感というか優越感というか,一言で言えば栽培の楽しみを存分に享受できる代表的な種類です.まず交配すれば種は簡単に採れます. 蒔けばよく発芽します...
3年前の夏に“夏のロビビア”という記事を書いています.多分この時に交配してみたのだと思うのですが,ミズクエンシス×紫野の一つが開花しました.草姿,刺の様子などはかなりミズクエンシス(Lobivia calorubra var. mizquensis)に近い印象です.花型は中間型ですが,花色は相当紫野(L. winteriana)に引っ張られている感じです.紫野と交配したものを色々見て来ましたが,喉が白くなるのは潜性なのか,後代には現れません....
この紅籠はちょうど10年前の京都シャボテン大会でグランカクタスさんから分けてもらったものです.当時の日本ではまだ紅籠はとても珍しく,興味津々で眺めたのを思い出します.竜神木接でしたので,台を短くして栽培して来ました.すっかり竜神木の部分は木質化しています.自然とたくさんの分枝を出して多頭株になっており,一斉に開花するととてもかわいい姿です.過去記事を辿るとこの紅籠が登場するのは大変久しぶりのことで...
パキプス オペルクリカリアがあまりに人気なので,一体何が良いのだろう?と一鉢手にしたのが2019年春のことです.ラベルを見ると62歳の誕生日に自分のプレゼントとして購入したようです.手にしてみて,ああこれはただの盆栽やな,と直感したのですが,何故かこの盆栽が今も衰えることない人気を保っています.地植えが良いと聞いて鉢を埋めたのが2年前のこと.鉢が傾いて来たのは,どうやら地中で鉢から外に出た根が,押し上...
銀姫(Mammillaria slevinii)が大好きなマミラリアの一つだということを何度か書きましたし,事実何度も登場して来ました.少し前にFN付きの種子を蒔いていたのですが,ようやく開花して来ました.このSB1251の故郷はカリフォルニア半島の先端近く,San Juan de la Costaです.何か種内変異が見られるかなと思っていましたが,基本皆同じ顔つきでした.花は大小あるように見えますが,まだ小株なのでなんとも言えません. 下の...
数年前からこの短刺の琴系丸(Mammillaria camptotricha)が出回り,マミ好きのボクとしてはぜひ観察してみたいものでした.なかなか良い機会に恵まれず最近ようやく手にしてじっくりと観察してみました.ユーモラスな感じさえするこの短刺カンプトくん,人気者となったのがなんとなく頷けます.なおこのタイプの琴系丸をモンストと称する向きもありますが,これはモンストに当たらないと思います. 下の写真はウチに居る普通に...
昨年の夏に種採りのことを記事にしました.今年も春から手交配をして種採りに励んでいます.毎朝見て柱頭が出ているものに小さな絵筆で花粉をつけます.柱頭は先が3つに分かれ赤いのですぐに目に付きます. しばらくすると丸三角の果実が見えて来ます.手交配しても100%着果するわけではありませんが,放置して,アリさんに任せているよりは格段に着果数は増えます. 今年はタピオカストローなる胴太のプラスチックストローが...
「ブログリーダー」を活用して、さぼちゃんだいすきさんをフォローしませんか?
先週のことです.梅雨空の下,他のサボテンは全く咲いていいない中で鮮やかなピンクの花がポツンと見えました.銀牡丹(Pelecyphora strobiliformis)です.硬い菱形の鎧を纏ったような姿は,覗き込むとなかなか趣があるのですが,遠目には実に地味で,花が咲いていないと栽培棚ではその存在そのものが目に入って来ません. そんな地味系サボテンの代表のような奴ですが,花時は華やかです.なるほど精巧丸(P. aselliformis)...
これはMammillaria glochidiata var. xiloensis ML45です.故郷はメキシコ イルダゴ州AlmolónとGiloの間付近とのことです. 肌色が黄緑に近くカギ刺の色が黄色なので,全体としてボヤッとした印象です.小型のマミで,花は大変小さく覗き込まないとよく分かりません.草姿とともに大変地味ですね. このグロチディアータM. crinita のシノニムという見方もありますが,KewはM. glochidiataを認めています.佐藤さんの事典に...
ヤヨイアーナという種小名をみて弥生を連想するのはボクだけではないはずです.しかも女性の弥生さんを勝手に連想するのは行き過ぎでしょうか.紅傘丸なんて色気のない名前は好きになれません.Lobivia jajoianaはのど黒系ロビの代表選手,この春にL. jajoiana var. glauca WR218の花が咲いたことを報告しました.その後もいくつか連続して花を咲かせてくれましたが,今はすっかり成長の方に力が入っているようです. そんな中...
これはMesaから入れたMammillaria meridiorosei RAR34です.故郷はアリゾナ州Madera Canyon,このFNは検索サイトでヒットしないのですが,Mesaのカタログでは使っています.かなりの大輪で,ピンクの細弁がスッキリ伸びてとてもよく目立ちます. 横から見ると長いカギ刺を持っていることが分かります.側刺は白いので全体として優しい雰囲気でもあります. このメリディオロゼイはM wrightii subsp. wilcoxiiとされたり, Kewは...
春に咲いたマミラリアの実が見えるようになりました.少し繁殖しておこうと思ったものは積極的に手交配しますが,そんな意図とは関わりなく生まれた果実は眺めるだけに留めます. アルビコマは果実の様子を確かめたくてきちんと手交配をしました.記載では果実は赤いとされていたのですが,本当にそうだっけ?と不安になり,実際に見てみたかったのです.なるほど赤い果実でした.アルビコマはダラダラとずっと先続けるので,こ...
6月中旬には梅雨がどこかに行ったような日が続き,その後やっぱり梅雨だったのねと言った天気に戻りました.そして昨日,異例の速さで梅雨明け宣言.そんな天気の気まぐれに左右されず,夏マミたちが始動しました.全体としてマミたちの成長がひと段落して花も少なくなるこの時期にしっかりと主張してくる彼らの花を見るとおおっと思います. まずは舞衣ことライティーくん,小さいながらも立派な花をグンと広げています.仲間...
曇天の日は黄色い花を観賞するのに良い日です.黄色い花がとても綺麗に見えるとともに写真に撮ってもあまり違和感を感じない黄色に写ります.まずはロビビア(エキノプシス)オーレア(Echinopsis aurea var. quinesensis WR112).これまでなんとか咲いてくれましたが,やはり曇りの日が良いですよね. 次は旧トリコテレ金星(Mammillaria longimamma).子供の頃から馴染みのサボテンですが,今ウチにいるのはごく幼い株です...
昨日アストロの接降ろしを話題にしたのですが,コピはどうやってんの?って聞かれたので,ご紹介しておきます.コピは基本キリンで育成するので,キリンの降ろし方そのものです.残すキリンの茎の長さは3cmほど.決して長くしません. カットした後は乾かすことなく6cmポリポットに普通の用土を入れてそこに挿して,最初の1−2週間ほどは新聞紙をかけておきます.用土が乾かないように水はきちんとやります.高温期なので腐る...
梅雨の中頃,季節のお仕事がやって来ます.いわゆる接降ろしです.柱類もキリンもこの高温の時期に一斉に接降ろしすることにしています.なぜこの時期なのかって聞かれるのですが,第一には作業の都合上そうなっているだけですが,高温期は勝負が早いというのも理由の一つです. アストロは基本もぎ取りで,台木を付けずに降ろします.もぎ取った面に台木の維管束が残っている時は彫刻刀などできれいに取り除きます.1週間ほど...
あるサボテンに人気が出る,これは末端の趣味家にとってみると実に不思議な現象です.誰もが知ってはいるが,決してメジャーではなかったコピアポアが注目され始め,黒王丸,孤竜丸そして栗星玉(Copiapoa griseoviolacea)へと広がりました.サボテンを始めたばっかりの方からグリセオはありませんか?と聞かれ,何でそんなもんが欲しいの?と驚きました.それじゃ種子を蒔こうかと思っていたら,友人から実生苗をいただきまし...
しばしば花を着けたサボテンが人の顔に見える事はいろんなサボテンの項で書いて来ました.あるところでサボテン話をした時に「Human-face cactus」としていろんな写真を見ていただいたのですが,面白いと喜んでいただきました.ヒトの脳にある顔認識機能は共通するようで,誰かからこれは顔に見える!と言われた瞬間に本当に顔に見えてくるのです.実に面白いことですね. さて,この春から撮った「顔」の写真を見ていただくこ...
鬱陶しい天気が続きましたが,気温はそれなりにあるので,プシスの仲間は,色々と蕾を上げて来ます.レウカンサ(Echinopsis leucantha HUN409)が,まるでカタツムリのように2本の蕾をあげていました. お天気が不安定でいつ咲くのか気をもみましたが,なんとか無事開花しました.すっかりカタツムリの面影はなく,シャキッと目を見開く様は,何か別の生き物の顔のようでもあります. 梅雨時に花の写真を撮ろうと待ち構えてい...
月影丸には古くから綴化が知られています.ウチにいる綴化株はすでに古参の仲間入りをするほど古株で,これまで素晴らしい開花を見せてくれたり,死にかけたりしましたが,今もなんとか生きています.その株と普通の月影丸を交配して得られた種子を何度か蒔いてみました.出てきた苗の大半は,こんな感じのごく普通の株です.大きくなってから綴れ出すのが理想です.なので我慢して待っていましたが,なかなかそんな風にはなりま...
ウチには大してギムノはいませんが,梅雨時にハウスで何かしらが咲いているとすればギムノだったりします. このホルスティは,2012年に鶴仙園さんで手にしたものです.当時はまだ駒込の本店が自由に入れた時代でした.時を経てそれなりに大きくなったのですが,肌もやや汚れ歳をとった風体になりました.でも相変わらず大きな花をポツポツと咲かせます. 次は子供の頃から馴染みのバッテリー.最近やたら強刺のバッテリーが出...
曇天の日は,黄色の花の写真を撮るのに最適な日です.明る過ぎる光条件ではカメラに収まった黄色の花は,人の見た目を大きく異なる色に写ります.後で画質調整はできるのですが,なにもする必要のない曇天での撮影がやはり最高です. このマグドガリーは随分前から居るのですが,上に伸びることもなく扁平な群生株に仕上がりつつあります.一昨年から交配相手ができ,開花時期がなかなか合わない中でもなんとか種子を得られるよ...
曇り空が続く中,ハウスのマミ棚では小さくもとても目につく緑の花が健気に咲いていました.M.heidiae L1154です.3年前にまだ本当に小さな株だった姿を紹介しています.あれから2回りほど大きくなり,元気に過ごしています. この黄色とも緑ともつかない花は,晴天下より曇天のもとで見た方が,幾分蛍光色のようにも見えて綺麗です.また写真を撮る際も晴天日より明るい曇天日の方が黄色の発色が良くなります. このヘイディ...
鬱陶しい天気が続く中で,風蓮丸(M.fraileana = Cochemiea fraileana)など夏マミが咲き始めています.この個体はREP580で,カリフォルニア半島の先端ラパス付近が故郷です.毎年比較的早い時期から咲いてくるのですが,ウチに古くからいる国内実生の個体は完全に夏咲きです.開花特性においてかなりの系統間差があるようですね. バハ付近に分布するマミはいずれも先端が長く割れた特徴的な雌しべを持ちます.これを覗き込ん...
この時期フェロたちが花をあげて来ます.特に緑花とも言える黄花のフェロはとても目につきます.この紅裳竜は2011年サボテン趣味を再開した直後に西沢サボテン園さんから通販で手に入れたものです.小さな株でしたが,時間の経過とともに大きくなりました.でも小型のフェロなので場所を取ることもなく,それなりの刺ものらしい姿になり,花も咲かせるので良い種だと思います. もう一つは偉壮玉.これもまた2011年にヤフオクで...
紅葉ヘキランを初めてご覧になった方は,たいていその派手な色合いに驚かれます.そしてこれが初夏になると色を失い緑のヘキランに戻るというとなお驚かれます.ただ,どうしてそうなるのかという原理についてはちゃんとした説明がなされていません.そして成長するに従い紅葉が現れにくくなるものが多いことも面白いことです. さて昨年接木した紅葉亀甲ヘキランの3月の様子はこんなでした.他ものも綺麗に紅葉しています. ...
これは御旗です.いつものようにこの時期に花を上げてきました.ふと見ると小さい方の蕾が何か変です. まるで体の中から突き出ているかのように見えます.下から覗いてみるとまさに表皮を突き破って蕾が出てきているようです.これはどうしたことでしょうか. 花は最初こそ楕円形でしたが,花弁は正常に開き,特に形態的異常は見られません. 花が終わり,花ガラをとって改めて観察してみました.取り出した花ガラは普通の花...
パキプス オペルクリカリアがあまりに人気なので,一体何が良いのだろう?と一鉢手にしたのが2019年春のことです.ラベルを見ると62歳の誕生日に自分のプレゼントとして購入したようです.手にしてみて,ああこれはただの盆栽やな,と直感したのですが,何故かこの盆栽が今も衰えることない人気を保っています.地植えが良いと聞いて鉢を埋めたのが2年前のこと.鉢が傾いて来たのは,どうやら地中で鉢から外に出た根が,押し上...
銀姫(Mammillaria slevinii)が大好きなマミラリアの一つだということを何度か書きましたし,事実何度も登場して来ました.少し前にFN付きの種子を蒔いていたのですが,ようやく開花して来ました.このSB1251の故郷はカリフォルニア半島の先端近く,San Juan de la Costaです.何か種内変異が見られるかなと思っていましたが,基本皆同じ顔つきでした.花は大小あるように見えますが,まだ小株なのでなんとも言えません. 下の...
数年前からこの短刺の琴系丸(Mammillaria camptotricha)が出回り,マミ好きのボクとしてはぜひ観察してみたいものでした.なかなか良い機会に恵まれず最近ようやく手にしてじっくりと観察してみました.ユーモラスな感じさえするこの短刺カンプトくん,人気者となったのがなんとなく頷けます.なおこのタイプの琴系丸をモンストと称する向きもありますが,これはモンストに当たらないと思います. 下の写真はウチに居る普通に...
昨年の夏に種採りのことを記事にしました.今年も春から手交配をして種採りに励んでいます.毎朝見て柱頭が出ているものに小さな絵筆で花粉をつけます.柱頭は先が3つに分かれ赤いのですぐに目に付きます. しばらくすると丸三角の果実が見えて来ます.手交配しても100%着果するわけではありませんが,放置して,アリさんに任せているよりは格段に着果数は増えます. 今年はタピオカストローなる胴太のプラスチックストローが...
雨がちの日は,何となく暗い雰囲気です.こんな時は黄色の花がハウスを明るくしてくれます.最初はバウミー綿花玉(M.baumii),春から何度も咲いてくれます.この鮮やかな黄色は本当に素敵です. 次は金星(M.longimamma)です.子供の時始めて金星を見た時,なんと大味なサボテンだろうと思いました.種小名にあるように長いイボが特徴です.株が大きくなるに従いこのイボの大きさも増し,なんとなく大味なマミラリアになるの...
接降ろしの時期がやって来ました.大体7月にキリンの接木をするのですが,1年で降ろすか,もう一年台の上に居てもらうか,いつも悩むところです.ただ1年である程度のサイズまで成長したものは,2年間据え置くと穂木はすっかり間延びしてしまいます.下の写真は昨年の接木たち,この中でサイズの出たものは,降ろすことにします. 太平たちはいつもキリンの上に2年間居てから接降ろし,その際は短い茎を着けて挿し木します.今...
昨年のこと,マグドガリーはありませんか?と友人から聞かれ,ウチに居るのは一株だけで,種子は採れませんとお答えしました.そしてネットを探すと結構な値段,おやこんなものが品薄なのかと驚きました.早速小苗を手に入れ開花するのを待っていました. 不思議なことですが,ウチに以前からいる大株はまだ蕾さえ見えない4月の初旬に次々と開花しました.そんなに開花期が違うのはどうしてだろうかと唸ってしまいました.とり...
梅雨の最中,ウチにいくつか居る神竜太平の一つが開花しました.実に綺麗な花です.神竜×太平は,用いた太平のタイプが異なるためでしょうか,それぞれ花の様相が少しずつ違うのが楽しいですね. この株は神竜×翠平と言うことで入手したものですが,ただどんな翠平なのかの情報はありません.しかし,神竜×太平は大概このような形態のサボテンになります.肌は燻んだ緑で,稜の数は多く,刺は太平と神竜の中間型ですが,大抵は...
この3月にカクタスクラブのツアーでお邪魔しましたので,それほど間が空いたわけでもありません.ただボクの気分は随分久しぶりのような感じがしていました.ハウスの入り口には多肉の寄せ植え、こんな寄せ植え置いてあったっけ?と見つめてしまいました. ようやく梅雨入りした三河地方,曇りがちなのでハウスも過ごしやすい温度でした。遮光のない強刺類のハウスでは,フェロの大株たちが気持ちよさそうに過ごしていまし...
前年に採種したパキポジウムの種子は,いつも気温が上がる6月以降に播種しています.パキポの芽生えが揃った様子はなかなか可愛いものです.この段階では全く普通の双子葉類の芽生えですが,この後下胚軸が肥大して,あのパキポになってゆくのですから面白いことです. 今年はプラグトレー育苗にも挑戦してみました.箱蒔きに比べて生育はどうか,植え替えが楽になるかどうか見ておきたいと思います. 今年の3月に交配したパキ...
いよいよ関東も梅雨入りしたようですね.何事も東京中心のこの国では,お天気の話でも東京の暑さや風雨,そして雪に至っては国の一大事のようにテレビで盛んに伝えられます.梅雨入り直前の西武屋上を覗いてみました. しばらくぶりの西武屋上です.あの騒動以降,屋上のベンダーさんの多くが店を閉めてしまい,かつての賑わいはありません.でも嬉しいことに鶴仙園さんは現在です. いつもながら,幅広い品揃えはビギナーから...
3年前にフレーム1号を作り,ウチに居るほとんどのテフロをその中に移しました.最初は少し焼けたのですが,だんだん慣れたのか今はごく普通に過ごしています.ここに置くことで長らく咲いたことのなかった白狐が咲いたことを以前に記事にしました. 今年もいくつかのTephrocactus articulatusたちが花を咲かせたり,気まぐれに新しい茎節を伸ばしたりしています.アルティクラータスたちは,刺の有無を始め, 刺の形も実に様々...
全国的にようやく梅雨に入ったのかと思われる天気になっています.先日,梅雨の中休みを狙って,ハウスに遮熱遮光資材ふあふわを掛け,夏の備えも完了しました.ハウスは陽が射すと40℃に迫る状態ですが,サボテンたちもだんだん慣れてきています.幸い今のところ最低気温は20℃以下まで下がるので,まだ暑さはあまり心配する必要はない状態です. ハウスでは夏マミが咲き始めており,朝のうちにハウスに入る楽しみを作り出してく...
Frailea buenekeri var. densispina の花が綺麗だという記事を書いたのはもう3年も前です.当時3株あったのですが,だんだんと調子を崩して今は一株になっています.株自体はそれほど大きくはなっていませんが,以前と変わらない綺麗な花です.フライレアの仲間は花を開かずに種子を残す性質があり,花が咲かずに種子ができてしまうことがあります.このデンシスピナは比較的よく咲いてくれます.今ウチのフライレア達の多くは少...
昨年秋にFNの着いたグラウカム(Acanthocalycium glaucum=Echinopsis glaucina)種子由来の初花を記事にしました.春になり幾つもの個体が花を着けました.それぞれ特徴があることが分かりましたので,記録しておきます. 最初はFR970,爽やかなレモンイエローの花です.アカントカリキウムは大体球体の側面のアレオレに花芽が着き,花筒は短いのが特徴です.FR970の故郷は,アルゼンチンCatamarca州North of Belenです. グラ...
早春に咲いたマミたちが赤い果実をあげています.中には花よりもこっちの方が観賞価値があるんじゃないかと思われるものもあります.花と実,2回楽しめるのは嬉しいですね. 景清(M.sempervivi).この時期白い綿毛に赤い身が突然生えてきてしばらくこの姿を楽しめます. 小型のマミ,コロンビアナ(M. columbiana)です.花時もやや地味な彼らですが,赤い実を着けた今が一番の見頃なのかもしれません. 小型のタイプのグラ...
この偉壮玉は,〇〇偉壮玉と岡山のO氏の名を冠につけたものとして随分前に入手しました.長い間ゆっくりと成長していましたが,ここ数年で急に大きくなってきています. 偉壮玉にはFerocactus acanthodes var. rostiiという学名が使われ,鯱頭の変種とされていましたが,現在ではF.cylindraceusの1タイプとされています.花を見ると確かに鯱頭と同じなのだなと思えてきます.鯱頭といえば,赤やオレンジのうねる刺が特徴ですが...
この紅裳竜は2011年に西沢さんのところからきたウチに居る古参のフェロです.毎年元気成長して花も咲かせていますが,株の下側がだんだん萎縮するのか,この十数年で大してサイズは伸びていませんが,すっかり大人顔.これはある意味フェロの理想形です. この紅裳竜はFerocactus viridescens subsp. littoralisすなわち竜眼の変種とされます.littoralisとは海岸に生えるという意味で,バハカリフォルニア北部の西海岸が主な生...
サボテンの花に赤や黄色があるのは,花弁の中にベタシアニン系の色素があるためです.生体内で前駆物質から様々な酵素により修飾され最終的に色のついた物質になります.その過程で何らかの突然変異が起こる,多くの場合はある酵素の機能が欠損すると色がつかない花,すなわち白花になります. これは太陽の白花変異品種.太陽の特徴である赤紫の雌しべも色が抜けて緑になり,大変印象的な白花になります. 次は白花テレサエ....
テレサエ(Mammillaria theresae)は,軟質マミの代表選手.水を吸うとぐっと伸び,成長が止まると思いっきり縮みます.なんといってもその刺の奇妙な形態と柔らかさが彼らの最大の特徴でしょうか.あるサイトでテレサエの刺はクラゲのようだと書いてありました.なるほどクラゲねーと眺めて感心しました. まずは咲き始めの写真.花は柔らかな雰囲気で,開いてまもない時間に最も色が濃く,二日目になるとより柔らかな色合いに...