指揮者にしろ、演奏家にしろ音楽に携わる人の著作は非常にタメになることが多いので、図書館で目かけたら必ず借りることにしている。とりわけ、日本の女性ヴァイオリニスト「千住真理子」さんは、演奏はともかく「お人柄」にひそかに敬愛の念を抱いている演奏家の一人なので「ヴァイオリニストは音になる」を興味深く読ませてもらった。207頁に「バッハは自分を消さないと弾けない」との小見出しのもとに次のような叙述があった。「バッハは私の人生そのものであり、私の心の中にある聖書、神でもある。バッハは一生追い続けていくと思うのですが、バッハを弾くときというのは<お坊さんがミソギをする心境ってこんなかなと思う>そこまでいかないとバッハが弾けないと思っています。それはどういうことかというと、<自分を表現しよう>と思ったら弾けなくなるのが...バッハの鑑賞を通じて「己を無にする」ことの難しさを悟る