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有沢翔治のlivedoorブログ https://shoji-arisawa.blog.jp/

哲学や小説を独学で勉強しています。誤読・勘違いもありますが、指摘して下さるとありがたいです。

ミステリから出発し、文学を経て哲学を独学で勉強しました。

有沢翔治
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2010/04/04

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  • 中桐雅夫『会社の人事』(晶文社)

    概要 中桐雅夫は平易なことばで詩を書き、「足と心」は国語の教科書にも載っている。しかし、テーマが浅いわけではない。むしろ比喩も含め、簡単な言葉であるが、「足と心」などは生きていく中で大事な物を失っていくと気付くのである。そして現代にも通じている。はじめに

  • 永田耕衣、秋元不死男、平畑静塔『永田耕衣 秋元不死男 平畑静塔集』(朝日新聞)

    概要 京大俳句事件といえば、西東三鬼が弾圧にあったが、永田耕衣、秋元不死男、平畑静塔もまたこの憂き目に遭っている。平畑静塔は執行猶予になり、秋元不死男は起訴され、拘置所の中で十ヶ月過ごした。獄中の中でも「胸寒く見下ろす獄衣袂なし」などの俳句を詠んでいる。

  • ジュリア・アナス、ジョナサン・バーンズ『古代懐疑主義入門』(岩波書店)

    概要 古代懐疑主義の創始者はピュロンであるが、セクストス『ピュロン主義哲学の概要』しか体系的に述べられていない。しかもピュロンからセクストスまでは百年以上の隔たりがあるのである。どのように変遷していったかは、他の哲学者たちの記述に頼るほかない。特にアイネ

  • 橋本多佳子、三橋鷹女『橋本多佳子 三橋鷹女集』(朝日新聞社)

    概要 俳句は自然を客観的に描写するべきだと高浜虚子は考えた。もちろん橋本多佳子、三橋鷹女にも客観写生の句はあるが、ともに哀しさなどを俳句にしている。例えば橋本多佳子は「霧はさびし海の燕がゐて飛ばず」「押しならぶ海燕さへ霧はさびし」などと詠んでいるし、三横

  • フーゴ・フォン・ホーフマンスタール『ホーフマンスタール詩集』(思潮社)

    概要 十九世紀末のドイツ・オーストリアでは、それまでの写実主義に異を唱える文学運動が起こった。写実性にとらわれずに、感情のおもむくまま、詩を書こうとしたのである。これを新ロマン主義と呼ぶが、ホフマンスタールもその一人。寡作ながらも例えば「詩集」では多くの

  • レイ・ブラッドベリ『さよなら、コンスタンス』(文藝春秋)

    あらすじ 往年の女優、コンスタンス・ラティガンの家に百年前の電話帳が置かれていた。しかも十字架などの落書きがしてあったという。いたずらの主を探ってほしいと探偵作家の〈私〉へ頼む。しかし、彼女の廻りで不審な死が相次ぎ、ついにはコンスタンスも行方不明に……。

  • 高浜年尾、大野林火『高浜年尾 大野林火集』(朝日新聞社)

    概要 高浜年尾は虚子の長男であり、中学ごろから虚子の手ほどきを受けた。句誌「俳諧」を主宰していたが、戦時下の物質不足で虚子の『ホトトギス』と合併する。一方、大野林火も『ホトトギス』と縁が深い。『ホトトギス』を批判しながらも、あるいは批判しているからこそ、

  • レイ・ブラッドベリ『万華鏡』(東京創元社)

    あらすじ 事故でロケットが破壊され、ホリスたち乗組員たちは宇宙空間へ投げ出された。次第に交信は途絶え……。ブラッドベリ特有の孤独は「やさしく雨ぞ降りしきる」などにも見られる。全自動の家は人間がいないにもかかわらず、動いているのである。しかしブラッドベリは

  • カール・サンドバーグ『シカゴ詩集』(岩波書店)

    概要 サンドバーグは職を転々としながら、シカゴの自然や人物などを詩に描いてきた。特に女工などの労働者を描いているが、あまりプロレタリア文学の印象は受けない。むしろ、「おれは民衆だ、暴徒だ」などからは彼ら、彼女らを含め、大衆そのものを扱いたかったと解釈でき

  • 神塚淑子『道教思想10講』(岩波書店)

    概要 後漢未、社会は混乱し、農民は飢えや病に苦しんでいた。そのような時代背景の中で、黄老道が起こってきたのである。この信仰では伝説上の君主、黄老と老子を崇めた。これ道教の最初期の宗教集団である。やがて神仙への道を説くようになり、儒教や仏教を取り込んでいく

  • ジョン・コリア『ナツメグの味』(河出書房)

    あらすじ 新人社員のチャップマン・リードは過去に殺人の容疑がかけられていたが、動機の点が弱く、釈放された。しかしなおも白い目で見られるなど、疑惑で見られていると〈語り手〉たちに語った。〈語り手〉は同情して、家に招かれるが……。表題作「ナツメグの味」他、異

  • レイ・ブラッドベリ『十月の旅人』(早川書房)

    概要 ブラッドベリの作品にはハロウィンがたびたび登場する。「十月のゲーム」もその一つだ。ミッチは妻、ルイーズを憎み、娘を愛せない。ハロウィンの日に、毎年、近所の子供たちを集めて驚かせていた。そのイベントで彼はルイーズへの復讐を企てる……。いわゆる「意味が

  • 湯浅邦弘『諸子百家』(中央公論)

    概要 孔子や老子・荘子などをはじめ、中国ではさまざまな思想家が誕生した。それらをまとめて「諸子百家」と呼び、「韓非子」などの「矛盾」はすでに日本語として定着している。また、「論語」の「有朋自遠方来 不亦楽」などは学校教育でも習う。本書は日本(語)にとってな

  • 中村汀女、星野立子『中村汀女 星野立子集』(朝日新聞社)

    概要 江戸時代以来ほとんどが男性の俳人だった。このような男性中心の俳壇にあって、中村汀女、星野立子はともに戦前の女性俳人としてリードしてきたのである。二人とも、「咳の子のなぞなぞあそびきりもなや」(中村汀女)、「風邪の子の客よろこびて襖あく」(星野立子)

  • セクストス・エンペイリコス『ピュロン主義哲学の概要』(京都大学学術出版会)

    概要 ピュロンは古代懐疑主義の代表的な思想家である。ストア派と同様、何物にも動じないことで幸せに至ると説いたが、その手段は大きく異なる。ストア派は理性によって判断し、何事にも動じないように努めていたが、ピュロン主義は判断を保留して、何事にも動じないように

  • ゾフィア・ナウコフスカ『メダリオン』(松籟社)

    あらすじ ナチス・ドイツの戦争犯罪を巡って、七人の男女が凄絶な証言する。例えば、ある者は片目を失いながら逃げ延び、ある者は怪我人を見殺しに、またある者は収容所近くの森で墓を掘っている中、家族の死体に出会い……。様々な証人を円形の肖像画、メダリオンに喩えた

  • 加藤楸邨『加藤楸邨集』(朝日新聞社)

    概要 加藤楸邨は石田波郷、中村草田男らとともに自己の内面を俳句に詠んだ。いわゆる「人間探求派」の代表的な俳人である。例えば、我が子の成長がする喜びや戦争の怒り、悲しみなどを題材にした。中でも句集「火の記憶」では空襲の事細かな前書きとともに、戦時下で心がど

  • 宮下志朗『モンテーニュ』(岩波書店)

    概要 モンテーニュの『エセー』は日本語訳で文庫六~七分冊にもなる。名著とは呼ばれていても、この大著に尻込みしてしまう人も多い。しかも、小説とは異なり、思索の書である。さらに焦点が定まらないばかりか、話が脱線しているのである。宮下志朗が『エセー』をまだ読ん

  • ミシェル・ド・モンテーニュ『エセー』(岩波書店)

    概要 モンテーニュは自分の経験、身の周りの人々などを題材に綴ってた。『エセー』にはフランス語で「試み」の意味がある通り、人間を主題とした試論である。とりとめもなく綴っているので、題材もギリシア・ローマの歴史、ウェルギリウスやホラティウスなどの文学から性愛

  • ラジスラフ・フクス『火葬人』(松籟社)

    あらすじ 1930年代のチェコ。火葬場で働くコップフルキングルは家族に囲まれてながら生活していた。業務にも真面目に打ち込んでいたが、友人の誘いでズデーテン・ドイツ党に入党する。この党のマニフェストはナチスの政策に賛成し、併合に希望すると謳っていた。やがてコッ

  • 三木清『読書と人生』(講談社)

    概要 戦前の哲学者、三木清は西田幾多郎やハイデガーにし、『パスカルに於ける人間の研究』などの著作を残したが、戦時中の言論統制で逮捕され、獄中死する。西田幾多郎との出会いや人柄、古典の重要性、哲学において何が重要か、教養についてなどを語る。この読書論は現代

  • 富安風生、阿波野青畝『富安風生 阿波野青畝集』(朝日新聞社)

    概要 富安風生、阿波野青畝ともに虚子に師事し、街の風景を季節とともに客観写生の技法を活かして詠んだ。富安風生は「工女帰る浴衣に赤い帯しめて」「ハンケチ振つて別れも愉し少女らは」などの句を残している。 その一方で、富安風生は人生観どころか作者の存在すら多く

  • ミルチャ・カルタレスク『ぼくらが女性を愛する理由』(松籟社)

    概要 ルーマニアの現代作家、ミルチャ・カルタレスクのエッセイ集。サリンジャーなどの文学を、実存を、人生の意味を、短い断章とともに綴っている。しかしいずれの章にも女性を中心となっており、例えば「黒い少女」では高校時代の愛読書、サリンジャーとともに、その頃、

  • 森三樹三郎『神なき時代』(講談社)

    概要 日本人と中国人は無神論だと言われているが、多神論が背景になっている。ここで無神論の中には二種類あるので、注意しなければいけない。神は存在しないとの主張を無神論、神が存在するか否かは関係ないとの主張をぐうたら無神論だと定義した上で、日中の「神」、さら

  • 川端茅舎、松本たかし『川端茅舎 松本たかし集』(朝日新聞社)

    概要 川端茅舎と松本たかしは同時期、高浜虚子へ師事した。厚い親交を結び、互いに高め合ったのである。このため、「師友老いぬ童顔老いざる茅舎の忌」「童顔の永久にあはれや茅舎の忌」などのように松本たかしの俳句では茅舎を偲んでいる。二人の共通点はそれだけではない

  • トランプ大統領の再選をめぐって──あるいは一つの幸福論

    まず、不幸な人生より幸福な人生のほうが良い。これは誰もが認めることであるう。 それなら幸福とは何か。幸福の一般論 無意識のうちでもネガティブな感情に支配されていたら幸福だと言えない。ネガティブな感情とは例えば{苛立ち、恐れ、悲しみ、怒り、後悔}などで

  • 石田波郷『石田波郷集』(朝日新聞社)

    概要 石田波郷は、「生活のあらはれ」で言い表される通り、日常に密着して俳句を詠んだ。弟の出征や結婚、子供の誕生はもちろん、「朝刊を大きくひらき葡萄食ふ」「ティータイム茶をのみに行く雷の下」などの些細な行動も俳句としたのである。また何回も入院し、その時の心

  • レイ・ブラッドベリ『火の柱』(大和書房)

    あらすじ ラントリーは墓から甦るが、地球の様子はすっかり変わっていた。死がないことになっていたのである。したがって殺人事件もないことになっていた。しかし、ラントリーはそのような世界で連続殺人を行なう。やがて図書館へ行くと、作家たちの小説が焚書されていると

  • デボラ・フォーゲル『アカシアは花咲く』(松籟社)

    概要 デボラ・フォーゲルは街などの情景描写のみで、『アカシヤは花咲く』を描いた。したがって登場人物らしい登場人物はいない。強いていえば、マネキン人形などの無生物や市井の人々、兵士たちなどの群衆である。しかしそれらは緩やかなイメージのつながりを持っている。

  • 西東三鬼『西東三鬼集』(朝日新聞社)

    概要 西東三鬼は口語体でモダンな俳句を多く作った。例えば「水枕ガバリと寒い海がある」「昇降機しづかに雷の夜を昇る」などがある。しかし「昇降機しづかに雷の夜を昇る」の句は政情不安に乗じて共産主義が高揚してくると解釈され、当局から弾圧を受けた。戦前は無季俳句

  • 国木田独歩『武蔵野』(新潮社)

    あらすじ 武蔵野は今でこそ都会であるが、明治時代は林が広がっていた。国木田独歩はこのような田舎の風景を描いて、自分の内面を見詰めたのである。浪漫主義の代表作で、武蔵野の自然を描いた「武蔵野」や、自然に生きる人々を描いた「忘れえぬ人々」など18編の短編集。概

  • レイ・ブラッドベリ『火星の笛吹き』(徳間書店)

    概要 火星人の音楽家、ケラックが流刑から戻ると故郷は荒廃していた。木星人の植民地であり、火星人はほぼ虐殺されていたのである。音楽塔からは不協和音の木星音楽が流れていた。ケラックは鉱山労働者の酒場で無理やり演奏させられたことをきっかけに音楽塔の役人から仕事

  • 森三樹三郎『老荘と仏教』(講談社)

    概要 仏教は少なくとも二○○○年以上の歴史を持っている。その間に中国で浄土三部経など、独自の発展を遂げた。もちろん、中国にとっては外来の仏教であり、儒教や老子・荘子などの思想家がすでにいた。それにもかかわらず中国の知識人たちは老荘思想を足掛かりに、仏教を

  • 中村草田男『中村草田男集』(朝日新聞出版)

    概要 中村草田男は「萬緑の中や吾子の歯生え初むる」「降る雪や明治は遠くなりにけり」などの代表句がある。特に「萬緑の中や吾子の歯生え初むる」は日常のささやかな感動を季語に託している。また、この句で「萬緑」が季語として認知され、歳時記に載るようになった。一方

  • メシャ・セリモヴィッチ『修道師と死』(松籟社)

    あらすじ 舞台はオスマン帝国統治下のボスニア。〈私〉ことイスラム教のスーフィー、アフメド・ヌルディンは人々の尊敬を集めていた。運命、死の意味、善悪などの宗教的な話を人々に説いていたのである。しかし、弟のハルンが不当逮捕されたと知り、葛藤に苛まれる。日ごろ

  • 九九の表を全部足すと答えはいくつ?

    東洋経済オンラインにあった問題を、パズル気分で解いてみた。①、1の段について考える1+2+3+4+5+6+7+8+9=(1+9)+(2+8)+(3+7)+(6+4)+510のペアが4つと5のペアが1つできるので10×4+5=40+5=45ここで計算が面倒なので50-51の段:(50-5)×1=50-52の段:(50-5)×2=100-10

  • サムコ・ターレ『墓地の書』(松籟社)

    あらすじ 作中人物のサムコ・ターレは古紙回収をしている障害者である。雨の日は休業を余儀なくされているが、ある日、占い師から『墓地の書』という題名の小説を書くようにと言われた。言う通りに小説を書いた体で書かれている。しかし墓地の話は直接的にあまり触れられて

  • 山口誓子『山口誓子集』(朝日新聞出版)

    概要 「ピストルがプールの硬き面もにひびき」などの俳句を残した山口誓子。水原秋櫻子などと並んで高浜虚子から俳句の指導を受けた。虚子は情景を、特に季語を客観的に描写するべきだと提唱し、秋櫻子は疑問を抱いたが、山口誓子は虚子の「客観写生」に賛同したのである。

  • ナダーシュ・ペーテル『ある一族の物語の終わり』(松籟社)

    あらすじ 舞台は社会主義で独裁政権下のハンガリー。ユダヤ人の幼稚園児を〈語り手〉として友人たちや祖父との思い出を語る。ユダヤ教徒の祖父は旧約聖書に基づく、伝統的な価値観を〈語り手〉の僕に植え付けようとするが、独裁政権の支配が幼い子にも忍び寄っていた……。

  • 河東碧梧桐『碧梧桐俳句集』(岩波書店)

    概要 河東碧梧桐は「赤い椿白い椿と落ちにけり」の句が知られている。しかし、字余り、季語が二つなどの基本からは逸脱しているもののまだ、彼の句としては大人しい。自由律、口語、そして親字とは関係なくルビを振るようになる。このルビ俳句を巡っては、俳句に保守的な高

  • 森三樹三郎『「無」の思想』(講談社)

    概要 古代中国の老子と荘子はありのままの自然を受け入れるように説いた。運命に逆らおうとせず、ただ自然に身を任せることを説いたのである。この「無為自然」の考えは人の死にも及んでいる。孔子などの「有為自然」、そして仏教との影響を通じて、老荘思想の自然観に迫っ

  • イヴォ・アンドリッチ『宰相の象の物語』(松籟社)

    概要 オスマン・トルコの暴君ヂェラルゥデン宰相は一頭の象を買う。二歳の仔象で名前はフィルと言う。オスマン・トルコ治下のボスニア人が護送に当たったが、大層、気を遣った。何せ宰相の機嫌を損ねると、命がないのである。しかしボスニアの人々は宰相への憎しみをフィル

  • 水原秋櫻子『水原秋櫻子集』(朝日新聞社)

    概要 水原秋櫻子は高浜虚子に師事し、彼の句誌「ホトトギス」に入会。山口誓子、高野素十らとともに「ホトトギスの四S」と称ばれた。しかし虚子の文学観に疑問を持ち始め、「ホトトギス」を脱退する。花鳥諷詠と呼ばれ、自然のもの、特に季語を客観的に描写しなければいけな

  • ミロラド・パヴィッチ『帝都最後の恋』(松籟社)

    あらすじ 時はナポレオンの時代。フランスで軍人の家系、オプイッチ家、オーストリアの軍人カロペロヴィッチ、そして画家テネツキの一家を巡って繰り広げられる、神話的な恋物語。タロットカードで占ってからその順番通りに読むと、別の物語が現れるようにできている。はじ

  • 井筒俊彦『意識と本質』(岩波書店)

    概要 中国哲学、イスラム教、仏教、ユダヤ教神秘主義のカバラ、そして本居宣長「もののあはれ」など東洋思想にはある共通のパターンがあるという。同時代の文献を読み解いて、互いの関係を調べていくことで明らかにしていく。東洋哲学では全体の関係において各概念がどのよ

  • 高浜虚子『虚子句集』(岩波書店)

    概要 俳句は絵画のように写実的であるべきだ、と高浜虚子は主張した。これを「花鳥諷詠」「客観写生」と呼ぶ。確かに「春雨に濡れては乾く古城かな」「春の寺パイプオルガン鳴り渡る」などはその理念が発揮されていると癒える。しかし、「人生は陳腐なるかな走馬燈」などの

  • 井筒俊彦『意味の深みへ』(岩波書店)

    概要 ソシュールなど、西洋では言葉が意味を区切ると考えられてきた。もちろん、老荘思想や仏教などの東洋哲学でもこれは変わらない。しかし、東洋哲学ではこの奥に混沌とした「もの」があると考えられている。老荘思想、大乗仏教などの比較を通して言葉以前の「認識」に迫

  • ウジェーヌ・イヨネスコ『孤独な男』(白水社)

    あらすじ 莫大な遺産を相続し、退職した〈語り手〉の「ぼく」は心の平穏を手に入れるかと思われた。同僚が近くにいるため、アパートを引き払い、早速、新居へ。しかし、待っていたのは退屈で孤独な生活だった。しかしそうかと言って働きたくない。次第に精神に変調を来して

  • 正岡子規『子規句集』(岩波書店)

    概要 正岡子規は脊椎カリエスにかかり35歳で生涯を終えが、約二万句以上を詠んでいる。例えば「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」は国語の教科書にも載っている。また病床でも「いくたびも雪の深さを尋ねけり」」などの俳句を詠んでいる。本書はその中から高浜虚子が精選。はじ

  • xのx乗の時について(xが自然数の場合)

    xは自然数である。xx=3125のときxはいくらかxの下一桁が5なのでx{5、15、25……}である。①ここで1515と3125を比較する。105<1515であり、かつ3125<105なので1515>105>3125となるxx=3125なので、xx>1051515>xxであるつまり、15>x②①の候補のうち②を満たす数

  • 寺山修司『続・寺山修司詩集』(思潮社)

    概要 前衛的な演劇を多く手掛けた寺山修司は、中学・高校より短歌や俳句を書いてきた。例えば「ふるさとの訛りなくせし友といてモカ珈琲はかくまで苦し」などである。本書は第一作品集「われに五月を」などから短歌や俳句を中心に収録。「われに五月を」では病や共産主義を

  • ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ『タッソオ』(岩波書店)

    あらすじ ルネサンスのイタリア。偏屈な詩人、タッソオはアルフォンス二世の依頼で詩を書いていたが、推敲したいと言い、なかなか献辞しようとはしない。妹のレオノオレが催促しているところへ、大臣のアントニオがバチカンから戻る。詩のことで言い争いになり、決闘にまで

  • 数学小ネタ、あるいは知能検査について

    老人の認知症テストに「100から7を引いていって下さい」という設問がある。これを少し変えて「100から7を引いていくと、最後にいくつ残りますか?」と変えた時、2回の演算で求めることができる①100-7×10=30②30-7×4=2 最後に残った数があまりだと気付けば、合同式

  • レイ・ブラッドベリ『バビロン行きの夜行列車』(角川春樹事務所)

    概要 レイ・ブラッドベリの手にかかれば、平凡な日常でも抒情的な色彩を帯びてくる。例えば、老姉妹の家に男が入って、昔のラヴレターを盗む。しかし数日後、再びポストに返却されていく(「窃盗犯」)。歌詞から昔の恋人、サリーを連想し、会いに行くが……(「いとしのサ

  • ディーノ・ブッツァーティ『七人の使者・神を見た犬 他十三篇』(岩波書店)

    概要 王子一行は国境付近の様子を調査するようにと国王から命じられ、家来とともに都を出発した。その間、親しい者たちと連絡が取れるようにと騎馬陽の伝令役を七人、選りすぐる。しかし国境には辿り着く様子もない……。「七人の使者」などカフカのような不条理の世界15篇

  • レイ・ブラッドベリ『瞬きよりも速く』(早川書房)

    概要 〈わたし〉は妻とマジック・ショーへ行かけ、その先で双生児と思うような男を見かける。女スリ師のマジシャンから瞬く間に次々と品物を取られていった。親近感を覚えていただけに、惨めさを覚え、文句を言おうと男の後を追う。表題作「瞬きよりも速く」他、幻想と郷愁

  • 八木重吉『八木重吉詩集』(思潮社)

    概要 八木重吉は第一詩集「秋の瞳」の序文で「私は、友が無くては耐へられぬのです。しかし、私にはありません」と述べている通り、孤独だったようである。その証拠に悲哀を多くの詩で詠んでいる。また続く詩集「貧しき信徒」キリスト教の信仰に基づいて、多くの詩を書いた

  • アマルティア・セン『グローバリゼーションと人間の安全保障』(日本経団連出版)

    概要 今やグローバル化が進み、西洋の価値観がどこでも見られるようになったと言われる。しかし、インドの経済学者、アマルティア・センはこの考えを否定する。グローバル化は昔から起きており、今の流れはこの延長上にある、と。グローバル化の影響を再分配の観点から考察

  • フリードリヒ・フォン・シラー『メッシーナの花嫁』(岩波書店)

    あらすじ イタリア、シチリアの都市メッシーナ。先王には二人の王子以外に娘、ベアトリーセがいたが、不吉な夢を見たため、殺害を命じる。しかし妃、イザベラは夢のお告げに従い、僧院に託した。やがて王の葬儀の際、王子の一人がベアトリーセに一目惚れ。禁断の恋が悲劇を

  • ねじめ正一『ねじめ正一詩集』(思潮社)

    概要 ねじめ正一の詩は決して上品と言いがたい。糞尿や性を露骨に題材としているのだ。それゆえ、「便所の落書き」などと批評家からは顰蹙を買った。しかし、ねじめ正一は現代詩、そして詩的言語への問題意識を抱き、その克服のためにあえて糞尿を題材にしたのである。はじ

  • ジョン・スチュアート・ミル『ミル自伝』(みすず書房)

    概要 功利主義の哲学者、ジョン・スチュアート・ミル。彼はいかなる教育を受けてきたのだろうか。経済学者の父、ジェームズ・ミルから古代ギリシャ語を学び、八歳のころ歴史の本に興味を持つようになった。父親は職業柄、リカードやジェレミー・ベンサムとも親交があった。

  • アレクサンドル・ソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』(新潮社)

    あらすじ イワン・デニーソヴィチ・シューホフはラーゲル、すなわち刑務所で生活を送っている。しかもただの刑務所ではない。政治犯・思想犯専用の刑務所である。そこで過酷な生活の一日を克明に描いた作品だ。酷寒の中で薄着の身体検査、反発したら刑期は延長など。 しか

  • 粕谷栄市『粕谷栄市詩集』(思潮社)

    概要 粕谷栄市は、寓意的な散文詩を多く書いている。ほとんどは不条理な世界観で、短い詩だ。第一詩集『世界の構造』は主として暴力を材題としており、その延長線上に死があるが、社会と無関係でない。ベトナムの公開処刑などの不条理な死を扱っているのだ。また『副身』で

  • 石原吉郎『サンチョ・パンサの帰郷』(思潮社)

    概要 石原吉郎はシベリアに抑留され、強制収容所の体験を詩に現した。例えば「脱走」などは直説的に題材を取っているが、「コーカサスの商業」などもシベリアの体験がもととなっていると窺える。また「サンチョ・パンサの帰郷」でもシベリア抑留からの生還を、ドン・キホー

  • ジェレミー・ベンサム『道徳および立法の諸原理序説』(筑摩書房)

    概要 功利主義の提唱者、ジェレミー・ベンサムは最大多数の最大幸福を基礎付けた。快と苦痛、二つの感情に根拠を求めたのである。さらに、この「最大多数の最大幸福」の理論に法律とはどうあるべきなのか、特に刑罰とはどうあるべきなのかを論じていく。さらにこの理論はパ

  • 川崎洋『川崎洋詩集』(角川春樹事務所)

    概要 川崎洋は海を題材に多くの詩を書いた。そして鳥、魚などへの慈しみが垣間見える。例えば、「動物たちの恐しい夢のなかに」などがこの優しさ、愛情への典型例だと言えよう。また言葉遊びのユーモラスな詩も残している。「言葉いろいろ」、「鳥獣虫魚の歌」など六つの章

  • コント「アルファベット」

    なまむぎなまこさんのツイートを見て思い浮かびました「アルファベットを言うときは聞き違いを防ぐために地名とかを入れて説明すること。パソコンでのメモを忘れないように」「解りました! アリバイのAとかですね!」「なんでスー・グラフトンなんだよ! 確かにA、B

  • レイ・ブラッドベリ『ウは宇宙船のウ』(東京創元社)

    概要 ブラッドベリの文章は単なるSFの枠には留まらない。詩的要素を感じるのだ。例えば海洋SF「霧笛」などはその典型と言えよう。また当然ながら宇宙を題材とした小説も書いており、どれも科学の発展ではなく人間の心情を描写している。そしてこの抒情性が星空に広がってい

  • 竹中郁『竹中郁詩集』(思潮社)

    概要 竹中郁の詩は洒落ていて、どこかフランス文学のようでもある。空想、そして現実の光景が一体となって詩的イメージを作り上げているのだ。また散文詩や独創的な形の詩やユーモアあふれる詩も書いているが、晩年になると老いや自らの死をテーマにするようになっていく。

  • ピート・モンドリアン『新しい造形』(中央公論美術出版)

    概要 モンドリアンはカンディンスキーなどと並んで抽象画の代表的な画家である。長方形に区切って、その中を赤色・青色・黄色などで塗っただけの作品を描いたのである。彼はなぜこのような作品を描いたのだろうか。絵画のみだけでなく音楽、文学など新たな芸術について論述

  • 中上健次『中上健次短篇集』(岩波文庫)

    概要 戦後生まれ初の芥川賞受賞者、中上健次は紀州を舞台にして、神話と宗教の世界を描いた。この作風は、紀州熊野サーガとして知られるが彼自身、和歌山の被差別部落の出身者だったのである。また、紀州こそ舞台ではないが、世間への怒りは「十九歳の地図」にも現れている

  • ジョン・スチュアート・ミル『自由論』(光文社)

    概要 ミル『自由論』は社会的な自由を扱っている。誤解を恐れず言えば、他人に迷惑を掛けていないならなにをしても自由だと説いているのである。したがって、自分やその回りが迷惑しないなら「好き嫌いの問題」に過ぎないと考えた。そして、このような個人の自由を認めてこ

  • 北川冬彦『北京郊外にて 他』(時事通信社)

    概要 北川冬彦は陸軍報道班員として徴用され、マレー半島に滞在し、その時に記録として詩を残した。この他にも一九七〇年代の中国・朝鮮の情勢を詩に書いている。この他、物語的な詩など。はじめに 詩は文学の基本だと、僕は思っているので、ここ最近、詩を図書間から借り

  • ジョン・スチュアート・ミル『功利主義』(岩波書店)

    概要 ジョン・スチュアート・ミルはベンサムの「最大多数の最大幸福」を修正し、功利主義の理論を形成した。刹那的な快楽の追求だけではなく、芸術作品の鑑賞などのより高次元の快楽や人類愛も幸福の源泉と考えたのである。このような幸福観のもとで、法律はどのように捉え

  • 齋藤純一、田中将人『ジョン・ロールズ』(中央公論社)

    概要 ロールズの『正義論』、これに続く『政治的リベラリズム』は様々な批判はあったものの政治哲学に多大な影響を与えた。しかもこの二つの間には大きな転回があったという。また晩年には宗教と向き合っていて、これは彼の青年期とも深く関わっている。青年期から晩年にい

  • ジョン・ロールズ『正義論 改訂版』(紀伊國屋書店)

    概要 英米の政治哲学はベンサム、ミルらの功利主義の価値体系をもとに築き上げていった。最大多数の最大幸福をいかに実現していくかが問われていたのである。しかし、ロールズは功利主義を否定し、ルソーの契約説を一般化して、社会正義を再定義した。またこれにより、公共

  • あけましておめでとうございます。令和六年一日一日

    去年今年貫く棒の如きもの(高浜虚子)

  • アマルティア・セン『合理的な愚か者』(勁草書房)

    概要 アマルティア・センは、単純に定量化していると従来の経済学を批判して新たな経済学を打ち立てようとした。アダム・スミスに立ち返り、倫理学と経済学を接合したのである。本書は表題の論文他、全会一致と自由尊重の逆説を論じた「パレート派リベラルの不可能性」など

  • イズマイル・カダレ『死者の軍隊の将軍』(松籟社)

    あらすじ 第二次世界大戦で戦士した兵士たちの遺骨を回収しに、将軍と司祭はアルバニアへ降り立った。アルバニア人の将校、脱走兵の手記、村人たち……。遺骨とともに記憶や敵意も掘り起こす。二人には徒労感だけが残り、滞在期間を終え、帰国する。死者と生者が織りなす物

  • 風邪を引きました

    風邪を引きました。喉が痛いです。咳も出ます。おやすみなさい。合わせて読みたいヒポクラテス『古い医術について 他八篇』(岩波書店)前嶋信次『アラビアの医術』(中央公論)朝から頭痛が

  • 小野十三郎『小野十三郎詩集』(思潮社)

    概要 小野十三郎はダダイズムの詩人であり、従来の価値観を否定しようとした。それは理性、宗教的な神などに留まらない。自然信仰、森羅万象……。あらゆる形而上のものを否定しようとした。しかし、単に否定したのではなく、形而上学的なものから自己を隔離しようとしたの

  • ダニロ・キシュ『砂時計』(松籟社)

    概要 ユダヤ人のE・Sは強制収容所で命を落とし、彼の手紙が後に発見される。彼の時代・思想などが予審記録、精神病患者のメモなどととも段々と浮かび上がってくる……。最初は一般論や漠然とした思想が語られ、〈語り手〉の正体すら解らない。しかし、読み進めいくうちに、

  • 尾形亀之助『尾形亀之助詩集』(思潮社)

    概要 尾形亀之助は「私の詩は短い」と語っている。確かに「雨になる朝」の「昼」などは一行の詩だが、「長い詩も書きたい」と綴っている通り、「障子のある家」の詩は長い。それ以上に目を引くのは同じタイトルの詩や「無題詩」が多いことである。例えば「昼」は二つ同じ題

  • 鈴村興太郎、後藤玲子『アマルティア・セン』(実教出版)

    概要 アマルティア・センはノーベル経済学賞を受賞した。彼の業積は多岐にわたる。しかし主な関心は経済学と倫理学との関係、とりわけ、貧困や飢餓に対して理論付けを行なった。自由や社会福祉もその延長上に体系づけている。アマルティア・センの全体を俯瞰する解説書であ

  • レイ・ブラッドベリ『ハロウィーンがやってきた』(晶文社)

    あらすじ トム・スケルトンたちは例年のようにハロウィーンを楽しみにしていた。しかし、その年のハロウィーンは違っていた。ピップことピプキンがいないのだ。家へ行ってみると、どうやら腹痛らしい。遅れるだろうが行くと言うので、待ち合わせ場所に。しかし、マウンドシ

  • 大岡信『自選 大岡信詩集』(岩波書店)

    概要 自意識の問題からシュールレアリスム、そして伝統や郷土の問題……。これらを巧みに大岡信は詩で現した。十五才の習作から戦争を経験し、最晩年の詩まで時系列に収録。 詩の変遷とともに大岡信の内面の移り変わりも反映していると言えよう。はじめに 文学の基本は

  • フランシス・マクドナルド・コーンフォード『ソクラテス以前以後』(岩波書店)

    概要 ソクラテスは対話を重んじ、「無知の知」を説いた。これが教科書通りの解釈である。もちろんこれも間違いではない。しかしソクラテスの思想革命はそれだけにとどまらないとイギリスの文献学者、コーンフォードはこの講演で指摘する。自然の起源、万物の根源から人生へ

  • ルキアノス『本当の話』(筑摩書房)

    概要 冒険心に駆られて〈私〉は大西洋の端を目指していた。しかしつむじ風に巻き上げられ、空へ飛ばされる。一週間、空をさまよった後、月へと到着。しかし金星の支配権を巡って月と太陽は開戦を目前に控えていた。巨大な蚤に跨り手にはアスパラガスの槍。辛子大根を遠くか

  • 田中冬二『田中冬二詩集』(思潮社)

    概要 田中冬二は難解な語彙に頼らず、「青い夜道」などの抒情詩を書いた。「青い夜道」では寂しさや悲しみを夜道に託しているのだ。詩「青い夜道」だけではない。詩集「青い夜道」には、「皿」、「洋燈」の詩が収められており、どの詩も寂しさが詠まれているのである。また

  • 葉山嘉樹『葉山嘉樹短篇集』(岩波書店)

    概要 松戸与三は仕事でセメント樽あけをやっている。ある日、その中で小箱を見つけたが、金目の物は入っていない。腹立ちまぎれに踏みつけると、中から手紙が出てきた……。初期の短編「セメント樽の中の手紙」を始め、後期の私小説風の作品「安ホテルの一日」を収録。はじ

  • 合同式の問題

    問題の発端 素数について調べていくうちに、いくつかの素数はa2+b2=4c+1の形で現すことができると知った(ただしa、b、cともに自然数である)。例えば、a=1、b=2の時、12+b2=1+41+4=5これは素数である。この他にもa=2、b=3でも13となり、4×3+1となる。しかし、この問題

  • 堀辰雄『楡の家・菜穂子』(新潮社)

    あらすじ 娘の菜穂子から避けられていると感じ、語り手の〈私〉は、自宅の楡の下へ日記を埋めることにする。死後、掘り返して読んでもらおうと思ったのだ。彼女の自宅は別荘地にあり、作家の森於菟と交流していくうちに、彼はある恋愛詩のようなものを見つける。年上の女性

  • スティーヴン・グリーンブラット『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』(柏書房)

    概要 ルクレティウスは哲学書『物の本性について』は古代原子論を基に死後の世を否定し、現世での幸福を説いたが、一〇〇〇年もの間、忘れ去られていた。しかし一四一七年、ブックハンターのポッジョが修道院の図書室で再発見する。この功績により、ルネサンス以降、ヨーロ

  • 安西均『安西均詩集』(思潮社)

    概要 安西均は国文学、特に古事記などの古典を題材に詩を書いた。その関心は詩論で枕詞と「間」との関係を論じていることからも伺えるだろう。また鎌倉などを古都を題材にしながら詩を詠んでいる。さらには都市生活者の孤独、戦争中の経験を詠んだ詩などもあり、題材が幅広

  • 立原道造『立原道造詩集』(思潮社)

    概要 中原中也と同様、立原道造は悲哀を中心に詩を作った。現に中原中也「汚れつちまつた悲しみに」に関しての評論も書いている。しかし、立原道造の場合は、関東大震災、東京大空襲などで東京が失なわれていくことへの悲しみである。立原道造は下町で生まれ育ったのでより

  • フィリップ・K・ディック『流れよわが涙、と警官は言った』(早川書房)

    あらすじ デザイナーベイビーでマルチタレントのジェイスン・タヴァナーは、今や火星のコロニーにまでその名を轟かせている。ファンの総計は三千万。しかしテレビの収録を終えて、目が覚めると、安ホテルにいた。身分証明書もなくなっている。しかも誰に電話を掛けても、彼

  • 中日新聞に載ったらしいです。

    中日新聞「中部の文芸」で僕の小説が取り上げられたらしいです。しかしどのような内容か全く知りません……。

  • 中桐雅夫『中桐雅夫詩集』(思潮社)

    概要 中桐雅夫は社会的な詩、特に戦争を題材に多く詩を書いた。しかし、原民喜とは異なり、戦争の光景を直接、描いたのではない。大衆と戦争との関係、もっと言えば大衆の戦争責任を考え、詩にしていたように思える。事実、彼は詩論「『われ』から『われわれ』へ」に於いて

  • レイ・ブラッドベリ『黄泉からの旅人』(福武書店)

    あらすじ 私とロイは映画脚本家として大手映画会社に雇われている。一方の親友のロイは特撮の人形などを作って二人でプロデューサーからの無理難題にも応えてきた。あるハロウィーンの日、私のもとに何者かから手紙が届く。「ベストセラー小説か、傑作シナリオの題材」があ

  • 日夏耿之介『日夏耿之介詩集』(思潮社)

    概要 日夏耿之介は難読字を多用し、異様な雰囲気の詩を作った。妖怪などは登場しないものの、怪しげな雰囲気であり、どこか悪魔的な美しさですらある。「ゴスィック・ローマン詩体」と自身の作風を呼んでおり、神秘主義的とも言えよう。現に神秘主義にも興味をいだいており

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