「マーメイド クロニクルズ〜第三部配信中!」「第一部 神々がダイスを振る刻」幻冬舎より出版中!
マーメイド クロニクルズ 第二部 第5章−3 トーミ(再編集版)
夢が始まったのは、カンザスの早い夏が始まった6月上旬だった。「ナオミや、元気かい?よろこぶがよい。わしもプルートゥ様の元へ行く日が近づいたようじゃ」「それって、おばあさまが亡くなるってことでしょ!よろこんだりなんて、できないわ。ずっと生きていて欲しかったのに」「おやおや、亡くなるなんて、人間の使うような言葉を使うじゃないよ。魂は不滅じゃ。わしにも生まれ変わりの時期が来たのじゃ」「生まれ変わり?」「そうじゃ。しばらくは霊界で過ごし、その後、転生するのじゃ。わしは神々のように果てしない時を生きたいとは思わないし、これまでの数千年間は十分すぎるほど長かったわい」「おばあさまに、もう連絡は取れなくなるの?」「まず人間界で守護霊として過ごして、いつかどこかで生まれ変わる」「そうしたら、おばあさまに会えるの?」「さあ、プル...マーメイドクロニクルズ第二部第5章−3トーミ(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第5章−2 全米ディベート選手権(再編集版)
マクミラが極右組織に接触して以来、メンバーのレベルの低さに辟易していたのとは対照的に、ナオミはリベラルで知性的、つきあっていて気持ちのよい人々に囲まれていた。全米トップクラスの大学で上位の成績を取るディベーターたちは、卒業後、法科大学院やコミュニケーション学部大学院への進学を目指すものも多かった。彼らの中には、卒業後に政治家や大学教授、裁判官や検事になるものも多い。たとえば、1976年に3年生で全米選手権を制したロバート・“ロビン”・ローランドは、ノースウエスタン大学で修士、母校カンザス大学で博士号取得後、同大学コミュニケーション学部教授になり学部長を務めた。また、パートナーのフランク・クロスは、ハーバード大学法科大学院を最優秀等の成績で卒業し、名門テキサス大学法科大学院及び経営学大学院兼任教授になっていた。全...マーメイドクロニクルズ第二部第5章−2全米ディベート選手権(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第5章−1 ナオミの憂鬱(再編集版)
1992年9月から翌年4月にかけて、ナオミは聖ローレンス大学2年目をディベート部の活動にどっぷりつかって過ごした。アメリカでは、大学対抗の政策ディベート大会シーズンは9月の北アイオワ大学大会で幕を開ける。一つの山場が11月のシカゴ近郊ノースウエスタン大学のオーエン・クーン記念大会であり、その次の山場がクリスマス直前に開かれるロスでの南カリフォルニア大学大会である。年が明けて、2月に開かれる南部のウェイク・フォレスト大学ディキシー大会を経て、3月のカンザス大学ハート・オブ・アメリカ大会で招待制大会が終了すると、そのシーズンの通算成績のよかった大学による年間最大のイベント、4月の全米ディベート選手権に備えることになる。ディベート部に所属する学生は、一つの論題を9ヶ月にわたってリサーチし、資料を作成し、ほぼ毎週末各地...マーメイドクロニクルズ第二部第5章−1ナオミの憂鬱(再編集版)
マーメイドクロニクルズ第一部 序章〜エピローグのバックナンバー
財部剣人です!おかげさまで第二部序盤の再配信も終了しました。来週からは、第二部中盤の再配信を始める予定です。今後ともどうかよろしくお願いいたします。「マーメイドクロニクルズ」第一部神々がダイスを振る刻篇あらすじ深い海の底。海主ネプチュヌスの城では、地球を汚し滅亡させかねない人類絶滅を主張する天主ユピテルと、不干渉を主張する冥主プルートゥの議論が続いていた。今にも議論を打ち切って、神界大戦を始めかねない二人を調停するために、ネプチュヌスは「神々のゲーム」を提案する。マーメイドの娘ナオミがよき人間たちを助けて、地球の運命を救えればよし。悪しき人間たちが勝つようなら、人類は絶滅させられ、すべてはカオスに戻る。しかし、プルートゥの追加提案によって、悪しき人間たちの側にはドラキュラの娘で冥界の神官マクミラがつき、ナオミの...マーメイドクロニクルズ第一部序章〜エピローグのバックナンバー
マーメイド クロニクルズ第二部(再編集版)序章〜第四章バックナンバー
「第一部神々がダイスを振る刻」をお読みになりたい方へ第二部のストーリーマーメイドの娘ナオミを軸とする神々のゲームを始めたばかりだというのに、再び最高神たちが集まらざるえない事態が起こった。神官マクミラが人間界に送られた後、反乱者や魔界からの侵入者を閉じこめた冥界の牢獄の結界がゆるんできていた。死の神トッド、悩みの神レイデン、戦いの神カンフ、責任の神シュルドが堕天使と契って生まれた魔女たちは、冥界の秩序を乱した罪でコキュートスに閉じこめられていた。「不肖の娘たち」は、彼女たちを捕らえたマクミラに対する恨みをはらすべく、人間界を目指して脱獄をはかった。天主ユピテルは、ゲームのルール変更を宣言した。冥界から助っ人として人間界に送られるマクミラの兄アストロラーベとスカルラーベ、妹ミスティラは、彼女を救うことができるのか...マーメイドクロニクルズ第二部(再編集版)序章〜第四章バックナンバー
マーメイド クロニクルズ 第二部 第4章−9 四人の魔女、人間界へ(再編集版)
最初は、煉獄界の入り口に開いた小さな四つの点に見えた。だんだんと、人間界に近づくにつれて四羽の巨大なチョウに見えた。秩序を乱した罪で閉じ込められていたが、冥界からの脱獄を果たした四人の魔女たちであった。「爆破するもの」悪魔姫ドルガは、翼竜の羽を持っており羽ばたきの度に小さい竜巻が起こる。ドルガを救うことには、父親で死の神トッドの嘆願があった。「いたぶるもの」氷天使メギリヌは、美しい16枚の黒い羽を持っている。その気高さとサディストとしての内面は、遠縁にあたるかつての天使長ルシファーと大魔王となったサタンの両面を表していた。「酔わすもの」蛇姫ライムは、母で「遠くへ飛ぶ女」エウリュアレ譲りの青銅の腕と黄金の翼によって誰よりも力強く、遠くまで飛べた。だが、怒りに身をまかせて変身すれば、顔にイノシシの牙を見せ、髪が蛇に...マーメイドクロニクルズ第二部第4章−9四人の魔女、人間界へ(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第4章−8 堕天使ダニエル生誕(再編集版)
マクミラがいない間もクリストフは、死んだように眠っていた。「インフォームド・コンセント無しだが、覚悟はよいな?」アポロノミカンを開くと言った。「さあ、目を見開いて見るがよい!このまま行ったきりで、くやしくないのか?」クリストフは、ピクリともしない。「一瞬でいい、目を開けよ!」それでも動きはない。意を決して、今度は右手首にマクミラが“ドラクール”の眷属の証である鋭い牙を突き立てた。血が、再びクリストフにしたたり落ち始める。「行くんじゃない!カモン、帰ってこい!」その時、呼びかけに答えるように薄くクリストフの目が開いた。「よし、見るがよい。アポロノミカン!」その瞬間、天界にいた頃の人格、人間界に来てからの人格、マクミラの血によって生まれたヴァンパイアの人格のすべてを隔てる壁が一気に崩壊した。さらにアポロノミカンが語...マーメイドクロニクルズ第二部第4章−8堕天使ダニエル生誕(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第4章−7 走れマクミラ(再編集版)
(ヴラドの娘か?ほう、パラケルススの義理の孫でもあるのか。他の者ならそう簡単には持ち出させぬところだが、お主との因縁に免じて許してやるとするか。だが、ぞんざいな扱いをしたならば一生後悔することになるぞ)マクミラは、生まれかわってから初めてゾッとした。父を死よりツライ目に会わせた元凶を手にし、思わず投げ捨てたい気持ちをおさえつけて、ゾンビーランドで彼女の待つ男ためにきびすを返した。古びた一冊の本とは思えぬほど、アポロノミカンは重かった。大量の血を流したためもあったが、まるで重力にあらがうかのように歩みが重かった。数百年を越える歴史と人々の感情を吸収したアポロノミカンには信じられないほどの重量があった。心配したキル、ルル、カルが、目を閉じたまま声をかける。マクミラが、空元気を出して答える。「何のことはない。これくら...マーメイドクロニクルズ第二部第4章−7走れマクミラ(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第4章−6 神導書アポロノミカン(再編集版)
「アポロノミカン!?」「たいへんな時間がかかりましたが、神導書の修復はほぼ終わっております。神導書を見たもののほとんどが発狂するか人間以外に変化してしまうため、取り扱いには最高度の注意を要します。ですがマクミラ様なら・・・・・・」「盲目の我になら、何かが起こる心配はないか!だが、この男は耐えられるだろうか?」「オーラから判断して、おそらくこの男も天界から送り込まれたゲームの一部。そうであれば、アポロノミカンの衝撃も乗り切れる可能性大です。それにこの状態では・・・・・・もはや、他に打つ手はないかと」「わかったわ」言うが早いか、3匹をしたがえると部屋を飛び出した。一人残されたジェフは、つぶやいた。「ついにマクミラ様にも愛する男が現れた。ご本人は、まだ意識されておられないが、あのあわてようにまちがいはない。父親のオー...マーメイドクロニクルズ第二部第4章−6神導書アポロノミカン(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第4章−5 血の契りの儀式(再編集版)
ジェフは途方に暮れたように言った。「魔道、いやマッド抜きで、これだけ損傷を受けた患者を救えるのですか?」「現代医学の力など、端から当てにする気はないわ。さあ、ひさびさに祭祀を執り行うとするか」マクミラがハスキーボイスで続ける。腕まくりをしようとした時、3匹がワンと一声吠えた。「我としたことが・・・・・・まず血を吸わなくては」青白い顔がなぜか赤らんだ。するどい牙をクリストフの首筋に突き立て、わずかに残った血流を探し当てる。安堵の表情が浮かぶが、儀式に十分な血を吸えたかは確信がなかった。「いざ、“ドラクール”一族の契りの儀式を始めん。この者、我らとの縁ありや。もしも前世よりのなんらかの縁あるならば、黄泉がえり我が眷属とならんことを願う。もしもなんの縁もなかりせば、プルートゥ様の元へと向かい裁きを受けるがよい」マクミ...マーメイドクロニクルズ第二部第4章−5血の契りの儀式(再編集版)
「ブログリーダー」を活用して、財部剣人さんをフォローしませんか?
指定した記事をブログ村の中で非表示にしたり、削除したりできます。非表示の場合は、再度表示に戻せます。
画像が取得されていないときは、ブログ側にOGP(メタタグ)の設置が必要になる場合があります。