──水の呼吸 拾壱の型…凪 義勇の構えた刀の間合いに入った鬼の攻撃がことごとく消えていく。 錆兎の事は強いと認識していた村田だったが、義勇がここまですごいとは思っていなかった。
ノマカプのオリジナルとAPH(ヘタリア)のギルアサ、アンアサの二次創作BL小説のサイトです。
5年間ほどPixivで書き続けていた小説を移行しつつ、毎日1P分くらいの更新を続けています。 ゆえに…記事の数だけは多いです(*゜―゜)b 今現在1000記事以上っ!
1件〜100件
──水の呼吸 拾壱の型…凪 義勇の構えた刀の間合いに入った鬼の攻撃がことごとく消えていく。 錆兎の事は強いと認識していた村田だったが、義勇がここまですごいとは思っていなかった。
そういうことで進むしかないということは決まったわけなのだが、前方からは何かとても嫌な圧がある。 特に気配に敏いというわけでもない村田ですらどこか身震いしてしまうような恐ろしい空気が……
──炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり!!! 煉獄を中心に渦巻く炎が彼を囲む鬼を一掃する。
──館内は広いし敵も多いから班に分かれて行動しようと思う。 全員が揃ったところで水柱はそう言った。
「確かに。 今日は任務で来たんだし、開始時間前とは言え無駄口は控えるべきだな。 すまなかったな、不死川」 ひょいっと顔に付けた面を上にずらす少年。 すると口元から右頬にかけて大きな傷跡があるが、それでも端正な顔がのぞく。 そんな風に面を取るとその容姿の見栄えの良さ品の良さからよけ...
──村田っ、久しいなっ! 急にふわりと圧を感じた。 別にそれは殺気とかそういう類のものではなく、単に強烈な存在感というものだったが、不死川は一瞬あわてて刀に伸ばしかけ、しかし寸でで堪えて、そんな自分の過剰な反応を内心恥じる。
「今日の任務は桃太郎と鬼退治らしいぜ」 「俺たち、運が良かったな」 集合場所にはだいぶ早めについたのだが、もうほとんど集まっていて、目の前で何人かの参加者がにこやかに話をしている。
不死川実弥は新米隊士である。 鬼になってしまって6人いた弟妹達の5人までを殺してしまった母親を殺して、それを唯一生き残った弟玄弥に目撃され、誤解されたまま分かれて数か月。
「おかえり。お疲れ様、錆兎」 帰宅時…錆兎に鍵を開けずにチャイムを鳴らす習慣がついて早半年。 ピンポ~ン!と鳴らすと、愛しい伴侶と可愛い娘のお出迎えがあるからだ。
人間に戻って想いを伝えたい… と、その願いが叶ったのは良いが、錆兎はもういまさらだが女性の真菰にまで素っ裸を見られて恥ずか死ぬかと思った。
…あ、気づいたよ…… 誰かに抱かれている。 錆兎よりもだいぶん小さくて柔らかいその感触には覚えがあった。
普段はエレベータで1階につくとそこからは出口とは反対側にある駐車場へ向かうのだが、今日は早朝のランニング時と同じく出口の方へ。
赤ん坊…可愛かった。 小さかった、ふわふわしてた。 錆兎に似た綺麗な宍色の髪と、美人として名高かった義勇の祖母に似た愛らしい顔立ち。 あの子は確かに錆兎の子ではないのかもしれないが、自分がいなければ錆兎はあんな風に愛らしい子どもを持って幸せになれるのかもしれない。
「…接近禁止、忘れてますか?」 「忘れてませんよ。 でもマンションに押し入っているわけでもなければ、話しかけちゃダメなのはこじぎに対してで鱗滝さんに対してじゃなくて、こじぎには話しかけてないからセーフです」
こうして接近禁止も無事決まり、これでもう今日分かれたら今後マリに会うことはないだろうと心の底から安堵した義勇は、そのまま立会人の弁護士と錆兎と共に、マリの退去を手伝うことになった。
やっぱり怖い…緊張する… いったん錆兎の部屋の方に来た弁護士と今日の流れを再確認して、10時10分前に義勇は弁護士と錆兎と3人で久々に自分の部屋に足を踏み入れた。
朝… 人間になってからの義勇の朝は子猫の頃よりもさらに早い。 子猫の頃は起こすだけだったのだが、今は錆兎と自分の朝食を作ってから錆兎を起こすからだ。
そうして隣の部屋を売って錆兎と暮らすことにした義勇がまず始めなければならなかったのは、マリが置いたまま出ていった荷物の整理である。
珠世が訪ねて来て錆兎に諸々を打ち明けて、弁護士から資産の引き継ぎをしてもらって…それからは色々が怒涛だった。
「すまんな、でかくて…」 悲報!借りた錆兎の服がぶかぶかだったっ!!
「鱗滝さん、お話があります。そこに座って下さいな」 もう来てくださって結構ですと呼ばれて居間に戻るといきなり笑顔でそう言われて、正直錆兎は少しビビった。 綺麗な人だけに笑顔も美しいが、なんだかそのフレーズは叱られる時のそれのようで、緊張をする。
「ねえ鱗滝さん、30分ほどでいいからこの子と二人にして頂けないかしら? この子のことで少し集中して確認したいことがあるの。 安否が気になるようなら隣の部屋でペット用の見守りカメラか何かでみていてくださっても構わないから」
──ぎゆうはもう俺の家族なんです。 そう言った青年には珠世も見覚えがあった。 最近経済紙などでも顔を見る祖父から会社を引き継いだ若き社長だ。
一人暮らしが長くなり、テレビをつける時間が増えた。 見ているわけではない。 自分がたてる音以外に音のない生活がなんとなく物足りないだけだ。
「ぎゆう、寝てて食事遅れてごめんな」 錆兎が猫缶をもって寝室に戻ると、ぎゆうが眠たげに目を開けて、クアァァとあくびをしたあと、ゆっくりとした足取りで寄ってきた。
久々に風邪をひいた日…我ながら実に頑丈にできているものだと感心するが、一日粥を食って薬を飲んで寝て…としていたら、朝に計った時には38度あった熱が夜には平熱の36度5分に下がっていた。
数年ぶりに風邪をひいて寝込んだその日、幸せな夢を見た。 飼い猫のぎゆうが人間になって恩返しをする夢だ。
…お前が言葉が話せたらもっと楽しかったかもな… と、時折錆兎の口から洩れる言葉。 確かに義勇もそう思う。
当事者である義勇でも改めて聞くとまるでドラマのようだなと思う諸々。 つつましい生活を続けてきた貧乏学生には現実感のない大金の話。 なのに淡々と何の思い入れもなさげに話を進める弁護士達。 それと対照的にヒステリックに泣きわめくマリ。
「先生、どうぞこちらに…」 と、普段は悠然としているしのぶがカチンコチンで上座の椅子を引く。 それに礼を言いつつ、 「ああ、お前さんはあれか、悲鳴嶼君のとこの事務所の子だな」 と笑顔を向ける桑島の表情は、弁護士会の重鎮というより、孫の友人を見る祖父の目だ。
「鱗滝さん、この度はご迷惑をおかけしております。 こちら、つまらないものですが、猫好きさん達の間で有名なお店の猫ちゃんが喜んで食べると評判の猫ちゃん用ケーキです。 成分表ももちろん明記してありますし、よろしければ猫ちゃんにと思って持参してきました」 と、最初に到着した代理人弁護士...
「私はぎゆうのお世話係してるから、気にしないでね」 とにこやかに宣言する真菰。
弁護士が訪ねて来て数日後…錆兎の巻き込まれっぷりはある意味すごかった。 本当なら冨岡義勇とはただの元隣人。 その従姉妹の角田マリとはただの隣人。 冨岡義勇の亡き父の代理人である弁護士なんて、一生相手を認識することもないくらいの人間だったはずだ。
世の中というものは全く思いも寄らぬ方へと転がっていくものである。 そんなことは、子猫になった時点で思い知っているはずなのだが、義勇もさすがにここにきてこんな形で実感させられることになるとは、思ってもみなかった。
錆兎が車に乗せるのをきっぱりと断ってくれた日の夜のこと。 毎日帰宅後はすぐ、錆兎は義勇をいったんリビングのソファに下ろすと背広からシャツとジーンズに着替えエプロンを付け、その後、
最初は朝。 しかし偶然だと思っていた。 錆兎は会社に出かけるときは必ず義勇を背広の左ポケットに入れて出社する。
──孤児の義勇、乞食のこじぎねっ 両親を亡くして5歳の時に引き取られた伯母の家の一人娘マリ。 彼女はよく義勇のことをそう言って見下していた。
人間、何が幸いするかわからないものである。 いや、すでに人間ではない身としては、この言葉はおかしいのだろうか…
「鱗滝さん、おはようございますぅ~」 錆兎が出社しようと家を出たところで、隣家の住人に声をかけられた。 錆兎の出社時間が早かったこともあり、前の住人である冨岡義勇とはあまり顔を合わせることがなかったが、その従姉妹であるこの女子大生角田マリとは実によく会う。 …というか、おそらく待...
数日後…興信所から手配していた人間の義勇の情報が届いた。 もちろん子猫のぎゆうが人間になったということではなく、ぎゆうがいたベランダの部屋の住人であった、冨岡義勇という青年のことである。
──はい、これちゃんとやってねっ!出ないと最終的にぎゆうが困るんだからねっ!! と、ある日真菰から手渡されたのは猫缶とドライフード。 そう、推定月齢3週間強。 ぎゆうもそろそろ離乳食を始める時期である。
──おかえり~、ぎゆうはいい子にしてたよ~。ミルクもいっぱい飲んだしね。 錆兎が応接室で取引先との会談を終えて大急ぎで部屋に戻ると、その間に真菰からミルクをもらってポンポンのおなかのぎゆうを真菰が抱きあげて出迎えた。
錆兎の朝はもともと遅いものではなかったが、ぎゆうを拾ってからさらに30分ほど早いものになった。 起きて顔を洗ってぎゆうのミルクを作って部屋に戻ると、ベッドの端で青い目をキラキラと期待に輝かせて待っているぎゆうを抱き上げて、手のひらに乗せて子猫用の哺乳瓶を顔に近づけてやる。 すると...
──…にゃあ…… ぽふ、ぽふ、と、頬に柔らかく温かいものが触れる。 ふわふわと心地よいが少しくすぐったいそれに錆兎がわずかばかり眉を寄せると、今度は遠慮がちにふわふわとしたものがスリスリと錆兎のこめかみのあたりに擦り付けられた。 それは目覚ましのアラームなんかよりもずっと心地よい...
鱗滝錆兎は社長である。 正確には5年前、大学を卒業と同時に祖父の経営する会社に入社。 3年の修業期間を経て、25で事業を祖父から引き継いだ。
みぃぃ…みぃぃ… 何度声をあげても口から出るのはやっぱり小さくか細い子猫のそれで、義勇はさきほどまでとは全く違う意味で途方に暮れた。 初志貫徹とばかりに飛び降りるにしたって、小さな子猫の体でははるか頭上高くなった柵まで手…もとい足が届かない。 そこで…では部屋に入ろうかと思ったら...
──本当に申し訳ないけど、もう限界なの…… と、言葉通りの申し訳なさを滲ませて義勇に言ってきた伯母は、義勇が5歳の時に亡くなった実母の姉である。 両親と姉が亡くなって以来、義勇は彼女の家に引き取られて育てられた。
彼女は優秀な科学者だった。 彼女の開発した医薬品は多くの人を死から救った。 だが、彼女が人であり神ではない以上、当然ながらすべての人を救えるわけではない。 そして…そんな彼女が救えなかった命の中に、彼女自身の愛娘の命がある。 夫が若くして事故死したあとに残された忘れ形見。 親族が...
1_天才科学者の願い とある優秀な科学者は自身の娘が自殺したのをきっかけに、自殺するほど追い詰められた人間がすべてを捨てて逃げることによって幸せになれるようにと、薬の研究に没頭する。 そして完成した薬をこれから不幸に見舞われるかもしれないと思った一人の子どもにこっそり飲ませた。
こうして全てを終えた後、いまさらのように救援が来た。 「遅えよっ!」 と班から離れてそちらに駈け寄った宇髄が文句を言うと、救援に来た風柱は 「お館様が下弦できつねっこの力を図ろうっていうから近くで待機してたんだよ。 まあ、きつねっこに倒せなくてもいざとなったら天元がいたからねっ」...
──やっぱりこれ…鬼は一匹だったんだな… いったん中央まで戻って、中央の廊下を奥へと進む道々、錆兎が少しがっかりしたようにそう零した。 自分の力量を見誤ったのが理由だったとしても、仮にも甲の隊士の犠牲も出ているのだから、今回の任務は決して難易度の低いものではない。 なのに出てくる...
とりあえず部屋の状況を観察して記憶するのは引き受けてやる。 そして検分を終えたところで、宇髄は錆兎と廊下に戻った。
食い散らかされた遺体にひどくショックを受けているようなのに、そのあとに錆兎の口から出てきたのは、 「少し動揺しているので判断を間違って、その間違った判断で行動するのはとてもまずいから…今から言う事がおかしくないか、判断してもらっていいか?」 と、言う言葉だった。 それに宇髄は呆れ...
──カアァ、津雲班、半壊ィ!現在生存者ハ逃走中デアルー バサバサッという羽音と共に飛び込んできた鴉は血だらけで、そう告げたあとにそのまま力なく落ちてきた。
おとぎ話の麒麟児、きつねっこの少年錆兎は、その背景にふさわしいくらいには、強いだけではなく賢い少年だった。 「…焼いた痕からは再生しないという事は、焼けたところは変形できないと言う事らしいし、逃げられなくなるんだな。 ということは、本体が鬼の形状のものを出せる数が最初の8体分だと...
こうして館の左側の棟を探索。 手前からどんどん確認していくと、途中の部屋でわずかな気配を感じた。
「さびと、さびと、私は何をすればいい? これだと刀が振るえない」 結局、きつねっこ3人とその同期の村田、そして宇髄が5人一班で中央から入って館の左側の棟を、津雲他4名の計5名の班が右側の棟を探索することに決定し、それぞれ左右に分かれてすぐ、きつねっこ達の末娘だと言う囮役になった青...
それはなかなか衝撃的な光景だった。 その屋敷は非常に頑丈そうな石造りの門に閉ざされているので、奉公を希望する娘を連れて来たということで門を開けさせて一気に中に突入する予定だったのだが、なんと名を名乗った途端、いきなり伸びてきた腕がきつねっこの少女の腕を掴んで、その反対側の腕を掴ん...
宇髄がこの作戦に入る際に聞いた話によると、この数か月ほどだろうか… 街はずれの豪邸に借金と引き換えに奉公に行った娘たちが戻ってこないという現象が続いているという。
こうして作戦決行の前日、宇髄は今回の作戦の責任者である甲の津雲の泊まる宿にひょっこり顔を出した。 藤の家と呼ばれる鬼殺隊の協力者の宿に顔を出して来訪を告げると通された一室で、 「音柱様、何か御用ならこちらから出向きましたのに…」 と、津雲がずいぶんと恐縮して頭を下げてくる。
ポケモンのくせにボールに入れないなんてありえないことを受け入れてくれたサビトは、面倒だろうし重いだろうにギユウを背負って歩いてくれた。 だが、この上戦えないとなったら、さすがに何のために連れて歩いているのかわからない、と、連れて歩くのが嫌になるかもしれない。 それだけは嫌だ。 だ...
「いけぇ!ゼニガメ!お前に決めたぁっ!!」 「マイパートナー、ヒトカゲ!カモンッ!!!」 「フシギダネ、頑張ってこいっ!!」
「この部屋にいるんだけどな。個体名はギユウだ。 まあ食いものはあるし、わしもよくここで寝泊まりするから、ソファの下にブランケットもあるし、そうなったら適当に使ってくれ。 わしはあとの3人送りだして来る」 あとは若い2人だけで…などと、まるで見合いの仲人のような台詞を吐いてウロコダ...
そうして1年。 今年もあの日がやってきた。 ギユウが初めて貰われた日…そして捨てられた日の前日……。 博士のデスクに乗って窓から外を覗いていると、子どもが数人研究所に向かって歩いてくる。 そこに無意識に立派な服を身につけたあの少年の姿を探すが、彼は去年、あれからヒトカゲを受け取っ...
──今日から俺がお前のトレーナーだよ。よろしくな、おちびちゃん ギユウが初めてポケモンボールに入ったのは1年前。 ウロコダキ博士の研究所で産まれて半年ほどたった頃のことだった
──今度の津雲が仕切る任務にね、狭霧山のきつねっこ達が参戦するんだよ。 宇髄にとっては柱になって二度目となる柱合会議でのこと。 お館様こと産屋敷耀哉様がどこか楽し気にそうのたまわった。
1章_出会い 鱗滝博士が持ち帰った卵から生まれた新種のポケモン義勇は最初のトレーナーから返却されてボール恐怖症になっていた。 そのまま博士の元で1年を過ごして、次年度、ポケモンをもらいに来た新米トレーナーの錆兎と出会う。 1 2 3 2章_旅立ち 錆兎と心を通わ...
その夜… 化け物が消えてから宇髄が亜美と連れの男を拘束したことに関しては、幼馴染組の申告通り、縄が燃えた時に外にいた事、そしてその後カバンにライターを戻していたことなどを告げて、わざわざ化け物を招き入れるような行動を取った可能性があることを理由に念の為ということで皆に説明した。
悲鳴をあげるひまり&姫君二人。 見張りの位置から走り寄ってそれを囲む男性陣。 プスップスッと宇髄から苦無が放たれるが効果は全くないようだ。
拠点についた時にはすでに夕方で、それぞれの小屋に一袋ずつ蝶の入ったビニール袋を配りつつ、錆兎は最後に袋を渡しに行った不死川達の小屋で状況報告を終えると、夜の見張りの前に一旦食事を取りに自分の小屋へと戻っていった。
どうやら拠点にした場所は荒縄とお札で守られた場所らしい。 誰がこれを作ったのか…また、化け物を倒す術を描いた建造物が何故あんな所にあるのか…色々謎が多い。
遠くで我らが皇帝が剣…もとい大振りナイフを構えている。 欲を言えばもう少し大きめの武器が良かったが、それでもそのナイフを脳内で剣変換できるのがオタクである。
結局…長谷川はその後自首をして、全てを自白した。 動機は痴情のもつれ。 長谷川は木村に手を出したものの、別の生徒が気になりだして木村に別れを切り出したが、別れるなら関係を学校側にばらすと脅されて殺そうと思ったらしい。 別れ話をいったん撤回して謝って、実は田中に誘惑されたと嘘をつ...
「君たちは一体……」 縛られて床に正座をさせられた状態で呆然とする長谷川に、不死川は 「まあ、話そうぜ、先生」 と、自分のベッドに腰をかけた。
「じゃ、今日でラストだな」 その日は不死川の部屋には誰も現れなかったらしい。 そして翌日の夜、4人は不死川の部屋に集合していた。 3人はそれぞれ、ベッドの下、ベランダ、シャワー室に隠れて待機、義勇は不死川の部屋の椅子に腰をかけた。
(夜中にこっそりなんて、ホント怪しい奴みたいだよなァ…) (仕方ないだろう。見つからないようにしないと意味がないしな) (…こんなもんでいいかァ?) (…ああ、そんなもんか…) (植木鉢…もってきた) (おっけぃ、それに土を少し入れてくれ) (あとは…朝を待って、外出許可取るだけ...
同級生の部屋に招かれる。 それは不死川にとって、高校始まって以来の事だった。 1人でも全く問題はない、大丈夫、と思っていた昨日の午前中までが嘘のように、スマホの写真以外に話す相手がいるというのは楽しい。
学園警察のスタッフのほとんどがそうであるように、錆兎の朝は早い。 たいてい4時半に起きて筋トレからランニング。 それから勉強。 様々な学校で様々な出来事に対処するには、鍛錬と学力の維持は欠かせない。
──えへへ、3人揃って元気に戻ったら先生びっくりするかな? 最終選別の地、藤襲山から徒歩で汽車の駅まで。 そこから汽車で二駅も行くと、懐かしの狭霧山の最寄り駅だ。 義勇がこの駅で降りるのは前世では何度もあったが今生では2回目。 前回は3年ほど前、親戚の手から逃れるために決死の覚悟...
そうして一気に和やかになった空気の中、拠点に戻れば、緊張した面持ちだった同期達は一様にほっとした様子で4人の帰還を歓迎し、そうしているうちにゆるゆると東の空が赤く染まってきた。
皆が笑顔でワイワイと郊外での合宿のような7日間。 その最後の夜のことだった。
結局離脱者は一人もなし。 そりゃあそうだ。 7日間の労働と引き換えに命が助かり7日間生き延びて鬼殺隊に入るという目的が達成できるのだ。 それこそ言い出しっぺの錆兎自身くらい強くて一人でも余裕で生き残れるのであろうほどの実力がある者でなければ、離脱なんて選択肢はありはしない。
それからすぐ鬼を倒して戻ってきた錆兎が 「義勇が世話になったな」 と、義勇を腕の中に戻すと、彼女は 「さびとぉ、おかえり!今回も錆兎の剣技は見事だったっ! さすが錆兎だっ!」 と、ぽわぽわ微笑んで錆兎に抱きついた。
──肆ノ型 打ち潮!! 目の前で青い水しぶきが3体の鬼の首を一気に跳ね飛ばす。 いきなり現れた不思議な少年のそれはあまりに見事な剣技だった。 村田は水の呼吸を学んでこの最終選別に臨んだのだが、これほど完璧に力強く美しい打ち潮を見たことはない。 村田どころか村田の師匠のそれよりもす...
──…眠れないのか…? 夜…電気は消しているのだが、真っ暗闇は嫌だ…と義勇が言ったため、錆兎は小さなスタンドを用意してくれた。
そして1年半後… 最終選別の前日の夜…前世の最終選別で二人が亡くなった記憶のある義勇は不安で眠れない。 食事も砂を噛むように味がしなくて半分ほど食べて部屋に戻って青ざめて俯いていると、このところ夜遅くまで鱗滝先生に直前まで稽古をつけてもらうのだと言って居なかった真菰が珍しく早く部...
「ぎ~ゆうっ!今日はこの飾り紐で結ってみようかっ」 狭霧山の鱗滝先生の館では弟子たちはまだ暗いうちから起き出して修業を始めるが、それでも女子は身支度の時間は削れないらしい。 前世では義勇は錆兎と同じ部屋に寝起きをしていたので錆兎に起こされて寝ぼけ眼で顔を洗いに引きずられていくこと...
──真菰~!本物の女の子をみつけたっ!!! 狭霧山の山頂にある師匠と姉弟子と共に住む家に戻るなりそう叫んだら、 ──私だって本物の女の子だよっ!!ばかあっ!! と、いきなり殴られた。
明け方になるともう寒くて寒くて泣きながら震えていたが、足の痛みは引くことがなくて、この険しい山を山頂までのぼっていける気がしてこない。 鬼に喰われることはないとしても、やっぱりここで野垂れ死にするんじゃないだろうか…と、さすがに不安になった。 その時である。
気がふれてしまった娘でもあと数年もすれば子は産める。 田舎の嫁のいない親族に娶らせればいい。 幸いにして顔は綺麗な娘だから、相手も嫌がることはないだろう。
まばゆい光に目をつむり…そして目を見開くと、そこには記憶のままの姉がいた。 と同時に怒涛のように記憶がなだれ込んでくる。
人の限界を越えた使い方をしていたからだろう。 まだ25までだいぶ間がある若さだというのに、義勇の身体はずいぶんと前から少しずつ動かなくなっていた。
1_お館様はさんたくろうす 鬼を滅ぼしたあと、寿命で死んだ義勇はお館様こと産屋敷耀哉様そっくりの”さんたくろうす”に願いを一つ叶えてやると言われ… 2_姉との別れ再び 義勇が巻き戻ったのは姉の祝言の前日…つまり姉が食われてしまう日の夜だった。 3_脱出 前世と同様、親戚の元に送ら...
ああ、誰かに大切にされている奴を見ているのは和んでいい…。 あの火事で命を落として人生の時を止めずに成長していたら、少し鈍くさいことはこんな風に少しばかりよく気が回るしっかり者の彼氏でも作って世話を焼かれていたんだろうか… そんなことを思いながら不死川がついつい微笑ましくて二人の...
「宇髄、不死川、コーヒーで良いか? 紅茶派ならダージリン、アールグレー、ラプサンスーチョン、ミルクティが良いならアッサムもあるし、フレーバーティーが良いなら、ピーチかオレンジ、マスカット。 ミントティーもある。 日本茶は煎茶かほうじ茶…あとは…玄米茶と麦茶? ジュースが良ければオ...
一緒に謝りに行ってやろう、そう決めて部屋のドアを開けた時だった。 ドアのすぐ前でまさに今ドアをノックしようとこぶしを握っている男がいた。 義勇と違って編入試験をほぼ満点を取って合格したということで、成績が全てのこの学校では正式にクラスが決まる前から同学年どころか上下の学年の話題ま...
そうして危ういところを救出したのだが、なんだかセクハラをされかけたことで動揺しているのが丸わかりで、じゃ、またなっ!と放置できなくなったのは、不死川が心の底から長子だったからだろう。
まいった… 自分は単に親切心だったのだが、とんでもなく余計な事をしてしまったんじゃないだろうか…
居ない、居ない、居ない、居ない!!! 宇髄と二人、たどり着いた科学準備室。 思わず勢いで飛び込もうとした錆兎を、 「あ~、俺の方が第三者で冷静な分、上手くやれるだろ」 と、宇髄が制した。
「冨岡…このあと少し時間が取れるか?」 4時限目の授業は科学だった。 その授業が終わるチャイムがなると同時くらいに、そう科学の教師に声をかけられた。
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──水の呼吸 拾壱の型…凪 義勇の構えた刀の間合いに入った鬼の攻撃がことごとく消えていく。 錆兎の事は強いと認識していた村田だったが、義勇がここまですごいとは思っていなかった。
そういうことで進むしかないということは決まったわけなのだが、前方からは何かとても嫌な圧がある。 特に気配に敏いというわけでもない村田ですらどこか身震いしてしまうような恐ろしい空気が……
──炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり!!! 煉獄を中心に渦巻く炎が彼を囲む鬼を一掃する。
──館内は広いし敵も多いから班に分かれて行動しようと思う。 全員が揃ったところで水柱はそう言った。
「確かに。 今日は任務で来たんだし、開始時間前とは言え無駄口は控えるべきだな。 すまなかったな、不死川」 ひょいっと顔に付けた面を上にずらす少年。 すると口元から右頬にかけて大きな傷跡があるが、それでも端正な顔がのぞく。 そんな風に面を取るとその容姿の見栄えの良さ品の良さからよけ...
──村田っ、久しいなっ! 急にふわりと圧を感じた。 別にそれは殺気とかそういう類のものではなく、単に強烈な存在感というものだったが、不死川は一瞬あわてて刀に伸ばしかけ、しかし寸でで堪えて、そんな自分の過剰な反応を内心恥じる。
「今日の任務は桃太郎と鬼退治らしいぜ」 「俺たち、運が良かったな」 集合場所にはだいぶ早めについたのだが、もうほとんど集まっていて、目の前で何人かの参加者がにこやかに話をしている。
不死川実弥は新米隊士である。 鬼になってしまって6人いた弟妹達の5人までを殺してしまった母親を殺して、それを唯一生き残った弟玄弥に目撃され、誤解されたまま分かれて数か月。
「おかえり。お疲れ様、錆兎」 帰宅時…錆兎に鍵を開けずにチャイムを鳴らす習慣がついて早半年。 ピンポ~ン!と鳴らすと、愛しい伴侶と可愛い娘のお出迎えがあるからだ。
人間に戻って想いを伝えたい… と、その願いが叶ったのは良いが、錆兎はもういまさらだが女性の真菰にまで素っ裸を見られて恥ずか死ぬかと思った。
…あ、気づいたよ…… 誰かに抱かれている。 錆兎よりもだいぶん小さくて柔らかいその感触には覚えがあった。
普段はエレベータで1階につくとそこからは出口とは反対側にある駐車場へ向かうのだが、今日は早朝のランニング時と同じく出口の方へ。
赤ん坊…可愛かった。 小さかった、ふわふわしてた。 錆兎に似た綺麗な宍色の髪と、美人として名高かった義勇の祖母に似た愛らしい顔立ち。 あの子は確かに錆兎の子ではないのかもしれないが、自分がいなければ錆兎はあんな風に愛らしい子どもを持って幸せになれるのかもしれない。
「…接近禁止、忘れてますか?」 「忘れてませんよ。 でもマンションに押し入っているわけでもなければ、話しかけちゃダメなのはこじぎに対してで鱗滝さんに対してじゃなくて、こじぎには話しかけてないからセーフです」
こうして接近禁止も無事決まり、これでもう今日分かれたら今後マリに会うことはないだろうと心の底から安堵した義勇は、そのまま立会人の弁護士と錆兎と共に、マリの退去を手伝うことになった。
やっぱり怖い…緊張する… いったん錆兎の部屋の方に来た弁護士と今日の流れを再確認して、10時10分前に義勇は弁護士と錆兎と3人で久々に自分の部屋に足を踏み入れた。
朝… 人間になってからの義勇の朝は子猫の頃よりもさらに早い。 子猫の頃は起こすだけだったのだが、今は錆兎と自分の朝食を作ってから錆兎を起こすからだ。
そうして隣の部屋を売って錆兎と暮らすことにした義勇がまず始めなければならなかったのは、マリが置いたまま出ていった荷物の整理である。
珠世が訪ねて来て錆兎に諸々を打ち明けて、弁護士から資産の引き継ぎをしてもらって…それからは色々が怒涛だった。
「すまんな、でかくて…」 悲報!借りた錆兎の服がぶかぶかだったっ!!
「冨岡さんっ!!なに?!!なんなの?!!鱗滝君とどういう知り合いっ?!!!」
翌朝…錆兎は義勇の最寄り駅の改札で待っていてくれた。 そして、義勇が来ると当然のように持たれるカバン。 促されるまま昨日と同様に腕に手をかけると、歩きやすいように誘導される。
こうして街に戻ると、サビトはアイテムの受取所へ直行。 自分の倉庫から何かアイテムを出している。 そのあとにさらに競売へ。
タンジロウと分かれて戻った街で、ギユウもレベルが上がったからと、サビトが裁縫の合成で今のギユウのレベルに見合った装備を作ってくれた。 手の中でしゅわしゅわと混ぜるのは昨日ギユウやタンジロウがやっていたスキル上げの合成と同じなのだが、完成前にそれがキラキラと輝いて、どこかピカピカし...
──少し話がある。今日は1時間ほど早くログインしてもらっていいだろうか? その日の夜、錆兎から来たそんなLineに義勇は即、了承の旨を返す。 良くないわけがない。 少しでも長く一緒に居られるのなら、大歓迎だ。
それはまるで悪夢のようだった…。 依頼した日…甘露寺が義勇をゲームに誘って、義勇が了承しているのは確認したので、早ければ今晩あたりやるんじゃないかと、不死川は、プレイヤーが最初にログインからしばらく過ごす初心者の村で、ずっと義勇らしきキャラが来るのを待っていた。
「え、ちょ、ちょっとっ!!美紀、見てよっ!!鱗滝君いるっ!!」 翌日、色々がまるで頭に入らず迎えた終礼前。 窓際の女子が嬌声をあげた。
夜中の0時…PCの電源を落とした義勇は8歳上の姉、蔦子の部屋に駆け込んだ。 社会人の姉はだいたい0時半くらいまで起きていることが多いことを知っているからである。
その日はそれから3人で狩り。 タンジロウとサビトは素材狩りがてらギユウのレベル上げに付き合うことに。
そんな日々の中で、いきなり流行りのオンラインゲームを始めたのは、最初はクラスメート達と話題を合わせるためだった。 しかし、いざ始めてみると、これが意外に面白い。
鱗滝錆兎は女子が苦手である。 決して嫌いなわけではない。 小さく可愛らしい子がいれば、親切にしたいと思うし、必要であれば守ってやりたいとも思う。 だが彼女たちは錆兎に守ってもらうよりも、離れてくれることを望んでいるので……
ピッポコ、ピッポコ、ボンボコリン♪ そうして到着したキノコの森、マジックフォレストは、まあるいキノコが明るい音楽に合わせて踊っているような可愛らしい場所である。
「炭治郎、今のは魔法?あ、あれ可愛いな?え?敵なのか?」 一学年上の悪の魔王、不死川実弥に騙されてオンラインゲームをやることになった義勇。 炭治郎はそれを守るべくスマホ片手に色々と教えながら、今日は憧れの女性と一緒にゲームを楽しんでいる。
(…本当に、絶対に絶対に絶対にっ!!義勇さんは俺が守らなければっ!!) 竈門炭治郎は小等部から私立産屋敷学園に通う、現在は中等部男子科の3年生である。
そんなある日の終礼前。 不死川実弥はやっぱりため息をついていた。 「どうしたらいいんだろうなぁ…」 と、宇随を捕まえて、まるで日課のようにどうしようもないであろうことを零している。
──とみおかぁ~、ちょっと顔貸せやぁ~!! 廊下で数メートル先に見えるぴょんぴょんと跳ねた黒髪を見かけて不死川がそう声をかけたら、遠目でもわかるようにぴゃっとその体が飛び上がり、そして、ぴゅ~!!!と駆け出して行った。
1_不死川実弥の初恋について 軍の奥深くの一室で戦略を練るだけの生活だったため世間を知らない義勇はひょんなことから敵軍に潜入して来いと言われて子どもの頃以来初めて外に出ることに…
──これより先に進めるのは資格を持つ者のみだ…… 地図に従ってたどり着いた先は一見何もない平原だった。 しかし、そこに突然現れる銀色に輝く扉。 そう、何もない平原にいきなり扉が浮かんでいるのである。
結局船はシェンに任せて、いつもの4人で紫禁城へ。 正門は南の午門だが、住職に言われて北の神武門から足を踏み入れる。 すると何か空気がゆがむような感覚があって、いきなり何もない暗い洞窟のような所へと飛ばされた。
──ということでね、はい、これは私からのクルシマ討伐完遂のプレゼント と、いきなりマリアが錆兎に投げてよこしたのは、何やら古い巻物だ。