【誰か助けて】助けを必要とする迷える人間スレ【お悩み相談】 478:以下、名無しに変わりまして悩み人がお送りします オッケー。カブトムシと眼鏡っ子、それに殿の関係性についてはなんとなく理解した。 けどさ、結局のところ、最初の相談だった眼鏡っ子がカブトムシに激怒して無視してたっての...
ノマカプのオリジナルとAPH(ヘタリア)のギルアサ、アンアサの二次創作BL小説のサイトです。
5年間ほどPixivで書き続けていた小説を移行しつつ、毎日1P分くらいの更新を続けています。 ゆえに…記事の数だけは多いです(*゜―゜)b 今現在1000記事以上っ!
彼女が彼に恋した時_7_幕間_不死川実弥が他人を頼った結果後編
【誰か助けて】助けを必要とする迷える人間スレ【お悩み相談】 478:以下、名無しに変わりまして悩み人がお送りします オッケー。カブトムシと眼鏡っ子、それに殿の関係性についてはなんとなく理解した。 けどさ、結局のところ、最初の相談だった眼鏡っ子がカブトムシに激怒して無視してたっての...
彼女が彼に恋した時_7_幕間_不死川実弥が他人を頼った結果中編
【誰か助けて】助けを必要とする迷える人間スレ【お悩み相談】 380:以下、名無しに変わりまして悩み人がお送りします …カブトムシ大丈夫かな…
彼女が彼に恋した時_7_幕間_不死川実弥が他人を頼った結果前編
【誰か助けて】助けを必要とする迷える人間スレ【お悩み相談】 325:カブトムシ 誰かいるかァ? こんな時間だから誰もいねえかもしんねえけど、報告させてくれェ
もう義勇にも何がなんだかよくわからない。 不死川はキレているし、前日の甘露寺さんへの諸々で今不死川への評価が駄々下がり中の伊黒君もキレ気味だ。
教室につくと義勇はまず伊黒君に礼を言いに行ったのだが、伊黒君は照れ屋なのだろう。 「確かに俺は甘露寺の願いを叶えるために冨岡に恋人が出来れば良いと思っていたし、その恋人に相応しいのは錆兎を置いて他にないと思っていた。 だから二人がつきあうように勧めようと思っていたのは確かだが、俺...
朝…義勇はいつもの通り少しだけ早めの登校で、学校の最寄り駅から甘露寺さんと伊黒君と合流して、そのまま学校まで一緒に行った。
【誰か助けて】助けを必要とする迷える人間スレ【お悩み相談】 102:以下、名無しに変わりまして悩み人がお送りします 誰かいるかァ? 話を聞いてくれェ。 アドバイスくれるとなお嬉しい。
わざとではない。 わざとではないのは小等部からの付き合いだからよくわかる。 でも義勇はいちいち不死川のイラつくポイントを突いてきすぎだ…と、宇髄は内心ため息をついた。
昼休み…鱗滝君は本当に卒が無くて、先生に揉め事の仲裁をするのでと許可を取って会議室を借りてくれて、そこに朝の8名がそれぞれ弁当を持って集合した。
義勇が甘露寺さんと体育館に行くと、そこには当たり前だが剣道着を着た鱗滝君と煉獄君がいる。
月曜日…途中で甘露寺さんに呼び出されて宇髄君の話を聞いて時間をとられたが、その後のクレープ屋さんでは楽しかったどころか、なんと鱗滝君と付き合うことになってしまって、夢見心地の義勇。
翌日、宇髄は関わったこと、自分の対応など、全てを後悔をする。 宇髄が朝に登校してみれば、なんだか隣のクラスが騒々しい。 宇髄のクラスの多くの同級生達も隣のクラスを見に行っているようだ。
──不死川~、とりあえず許す条件は聞いてきたぜ? そう連絡を取ったのが電話でもなければ直接でもない、Lineだったのは理由がある。
「なあ…もしかして、あいつらつきあってたりすんの?」 義勇を呼び出したら何故か鱗滝錆兎までついてきた時点で、宇髄はかなり動揺したが、二人がこれからクレープを食べに行くというのを見送った頃にはだいぶ落ち着いてきた。
そうして二人でクレープを頬張りながら、おしゃべりをする。 甘露寺さんならとにかく、鱗滝君とこんなことできるとは思ってもみなかったが、すごく楽しい。 鱗滝君自身は恥ずかしいというが、今どきスイーツ男子なんて別に特に変な事じゃないと義勇は思う。
マックから5分ほど駅の方に戻ったクレープ店。 ちょうど学校帰りの学生が多い時間帯で、義勇達が着いた時には数人並んでいた。 そこで鱗滝君はメニューの写真を撮ると、義勇を連れて座席の方へ。
その日は待ちに待った鱗滝君と放課後にクレープを食べに行く日。 やっぱり好きな男の子と出かけるのだから、少しでも可愛くしたい。 なので姉に頼んで普段は下ろしっぱなしの髪を可愛く編み込みにしてもらった。
甘露寺に呼び出してもらって待つ事10分弱。 3人の前に姿を現した義勇は一人ではなかった。 それを甘露寺は知っていたらしく、甘露寺以外のこの世の全てがどうでもいい伊黒は義勇が一人で来ようと二人で来ようと興味はないらしい。 しかし宇髄にしてみたらそれは大問題だった。 義勇が一人じゃな...
…俺って馬鹿みてえに人が良いんじゃね? と、宇髄は今、目の前に山盛りのマック商品を積まれて目を輝かせている甘露寺を前に自分自身に対して呆れ返っている。
──やっぱ、あれかぁ?マジうめえって言ってやるべきだったかァ? 土曜の帰りの時間。 私立産屋敷学園は土曜は半日授業である。 中等部生はほとんど自宅に帰って昼食を摂るが、宇髄の家は両親とも仕事で海外で実質一人暮らしなので、土曜の昼は途中で学生でも入りやすいファストフードで食べること...
──最低だなっ!! と、まず煉獄君が言う。 彼的には普通の声で言っているつもりなのだろうが、彼の声はとにかく大きくてよく通るので、部屋中のクラスメートたちの注目がこちらに集まった。
義勇達の班は全員仲良しで、いつも班ごとの行事ではなくても班員が一緒に行動していた。 だが、クッキー希望者とカップケーキ希望者に分かれることになった調理実習で、カップケーキを作るという男子達に甘露寺さんが自分達は今回はクッキーを焼くからと宣言してくれた。
最初の席替えは名前順。 その時は前方の席の鱗滝君を後ろの方の席から眺めるのが義勇の楽しみだった。
最初の席替えの次の席替えは生徒が好きな相手同士で班を作って、その班の位置だけを先生が決めるというものだった。
庭である…そんな認識も吹き飛んでしまうくらいに、義勇の目にはそこはまるで外のように木々が生い茂る広い空間だった。 もちろんその木は綺麗に秩序を持って植えられていたものではあったのだが、生まれてこの方部屋から出た事がほぼない義勇にそんな違いが分かるわけはない。
…寒い…喉も痛い…ついでに身体の節々が痛む… 目を覚ました時に感じたのはそんな不快感だった。
細い…小さい…脆い…… ………… ………… ………… 怖い…怖くて、怖くて……… 壊しそうなのが怖くて仕方がない…… 岸にたどり着いた時に止まっていた呼吸はなんとか再開した。 弱々しい呼吸と鼓動。 ちょっとした刺激で壊れてしまいそうな脆さ…… 守りたいのだ。 守ろうと思うのに、ま...
バシャーン!!と派手な水しぶきをあげて海へと落ちた錆兎は、その衝撃に一瞬顔をしかめるが、すぐに目を見開いて必死に白い姿を追い求めた。
…え? 驚くべき速さで走り去る少年。 ついさっきまで打ち解けていたように思ったのに何故?? と、炭治郎は唖然とそれを見送って、次の瞬間ハッとする。 まずい!逃げられたっ!!つかまえなくてはっ!!! そう気づいた時には少年は遥か遠くまで逃げてしまっている。 弱々しい感じなのに逃げ脚...
「気遣いが足りなくてすみませんでした…」 2人して目と鼻の頭が真っ赤になるほど泣いた後、先に泣き止んだ炭治郎はそう謝罪した。 そして手にしたハンカチで義勇の目元を拭いてやる。
びっくり眼。 小さな悲鳴。 自分の姿を見て身をすくめて狭い場所なのでギリギリ後ずさられる。
それはまるでお伽噺のような光景だった。 小さな薔薇の家。 周りには不思議な事にキラキラとした光が舞っている。
「寒いな…早く見つけないと……」 まだ午前中で陽はあるものの、大陸の中でも北のほうに位置する水の国は春先や秋口でも冷える。 高熱ではなくなったものの微熱もある少年の体調が悪化しないよう、早急に保護しなければならない。
「錆兎っ!!逃げたっ!!逃げちゃったのっ!!捕まえてっ!!!」 いきなり部屋のドアが開いて焦った顔の真菰が飛び込んできた。 「「逃げたって、何がっ?!!」」 と、驚いた錆兎と炭治郎の声がはもる。
熱がなかなか引かず、早1週間。 体調が回復するまではなるべく側についているつもりだったのだが、錆兎も一国の王なので、さすがにそれにも限界が来る。 朝食を一緒に取って薬を飲ませてウトウトと眠ったところでソッとその側を離れて執務室へと急いだ。
錆兎の大切な被保護者が目を覚ましたのは、翌日の明け方だった。 発見したのが前日の午後で錆兎はそれから傍らに付き添って、日が落ちてまた登るのを横目に濡れタオルをかえてやりながら、汗を拭いてやっている。 王と言っても割合と自分で動きたい性質の錆兎だが、あいにくというか幸いと言うか、周...
冷え切った体…青い顔…… ベッドに寝かせてやった方が体勢的には楽なのかもしれないが、冷え切っているので体温を少しでも分け与えてやりたい。 結果、ベッドで半身起こす形で抱きしめる。
幻の国に使いを送ったところで、もう打てる手は打ったことになる。 今までの経験上、返答が来るまで1週間から10日ほど。 協力を依頼したからには、それまでは動くわけにはいかない。
元々嵐の国がかなり攻撃的な国であること、使者の件、炭治郎の件で杏寿郎はかなり戦う方に傾いてきている。
「おかえり! 余裕で間に合ったようだな。 まあ君のことだから心配はしていなかったが…」
やがてドアがノックされ、どうやらリビングの方からメイドらしき声に昼食の用意が出来た事を告げられるが、とてもではないが寒くてベッドから出る事が出来ない。 なのであとで食べるので置いておいて欲しいとベッドの中から告げると、あとで食器を取りにくる旨を告げて下がって行く。 その気配を感じ...
真菰さんに言わせると、錆兎さんは【昭和の親父】みたいなところのある人なのだという。 真菰さんと共に大叔父さんに引き取られて現代っ子も少なくはないお弟子さん達と接するうちにアップグレードされて今では表にだすことはないらしいが、幼い頃はよく『男なら、』とか『男として生まれたなら、』み...
もしかして義勇には好きな奴が出来たのかもしれない。 俺がそう気づいたのは、例のキス事件の少しあとだった。
──えっ?!!バレてたっ?!!! 俺が錆兎さんにキスをしたのが錆兎さんにバレてしまっていた。 それを真菰さんから聞いた時、俺は人生が終わったかと思うくらい衝撃を受けた。
午前中は特に重要な案件もないので、一応村田に隣の自宅に居ることを伝えた上で、リビングで真菰に話を聞いてもらった。
思春期になって距離が出来てしまったように思っていた息子との距離がまた近くなってきた。 義勇が俺の部屋を訪ねて来た時、そう喜んでいた俺は翌朝、何もなかったように義勇を中学に送り出すと、深い悩みを抱えつつ不本意ながら真菰を呼ぶことにした。
──錆兎さん、今日一緒に寝ていい? とある夜のことである。
それを実行するかどうか、俺はぎりぎりまで迷っていた。 いけないことだって自覚はすごくある。
その話をしたのはいつだったのかな…。 1月2日だったのは確かだった。
錆兎さんの事で本人に言えない事は真菰さんへ…そういう認識だったからついつい真菰さんがいいって言っちゃったけど、落ち着いて考えてみたら異性の真菰さんに話すことじゃないのかもしれない…
中学1年生くらいでああいう漫画とかを見たら、女の人の裸とかで頭がいっぱいになるものなんだろうけど、その日に俺の頭をいっぱいに占めていたのは、登場人物の身体じゃなくて、表情だった。
小学生時代…学校側とも町会とも仲良しだった錆兎さんの数々の個性的な提案で、俺達の小学校は随分と変わったらしい。
不死川君と言い争っていた大垣君はいわゆるいじめっ子らしい。 1年生の時に不死川君が俺にそうだったみたいに、クラスメート全体に対して乱暴で、なかでも3年生から同じクラスになった秋山君に特に意地悪をしているそうだ。
錆兎さんの教育方針の一つに、俺と錆兎さんで情報を共有しようというのがある。 それは小学校入学式の時に錆兎さんが自分は何でも知りたがりだから…と言った言葉にも表れているように、すごく好奇心旺盛な人で、普通の大人なら聞き流してしまうような些細な話もすごく楽しそうに聞いてくれるから、続...
──なんだ…いわゆる試し行動というやつか… 俺が嘘をついたと打ち明けても錆兎さんは怒らなかった。
錆兎さんが嘘をついた俺の両肩に手を置いて ──義勇、正直に話して欲しい… と真剣な顔で言った時、俺は錆兎さんを試すような嘘をついたことを心の底から後悔した。
その日…俺は出会ってから始めて錆兎さんに嘘をついた。
俺が小学校5年生になった頃、真菰さんが30歳になった。 もちろん独身で、俺はその理由を知っている。 錆兎さんも知っていて、さらに村田さんも知っているらしい。
「すげえっ!錆兎さんがハゲ山黙らせたぜぇ!!」 4年生の運動会が終わって1週間ほど経ったある日のことだった。 錆兎さんはやると言ってやらないなんてことはない。 ちゃんとPTAで集まって先生達と全員リレーについて話し合いの席を設けたらしい。
俺が小学校5年生になった年だった。 俺と不死川君は同じクラスで、PTA会長の宇髄さんはもうお子さんが卒業していたので、錆兎さんがPTA会長になっていた。
あの日から俺と真菰さんは内緒の話もできる友達になった。 真菰さんの大好きな人と言うのは、なんと彼女と錆兎さんを引き取ってくれた大叔父さんで、俺と錆兎さんの関係にもなんだか似ている気がして、余計に仲良しに慣れた気がする。
話したっ! 錆兎さんに、俺の錆兎さんなのに不死川君が錆兎さんのことを自分の方が仲良しみたいに話すから、すごくもやもやしてて、でも不死川君がせっかく良い子になったのに、そんなことを思っちゃう自分が意地悪な子みたいで、俺がそんな子だってわかったら錆兎さんも俺のことが嫌になっちゃうんじ...
俺は一所懸命話したけど、小学1年生で、自分でもよくわかっていない気持ちについてだったから、かなりわかりにくかったと思う。
話し合いの日の次の日から、なんだか不死川君が変わった。 うん…なんというか…親切になった。
こうして翌日、学校が終わったあとに錆兎さんと不死川君がお話をすることになった。 その日は特に先生たちが必ず教室にいるようにして注意していたため、俺にも他の子にも不死川君が色々言ってくることはなく、全てが平和に和やかに進んで行って、放課後になる。
その日、家に帰ると錆兎さんはお客様と話をしていて、真菰さんが鍵を開けてくれた。 でも真菰さんもお仕事ですぐ事務所にもどってしまったので、俺は一人の部屋で考えた。
俺は自分で言うのもなんだが平和主義者だ。 喧嘩をするくらいなら少しくらいなら我慢してしまえば良いという性格である。 だから喧嘩なんて本当にしたことがなかったんだけど、そんな俺でも我慢できないことが起こったんだ。
錆兎さんがよく小学校に顔をだしてくれたおかげもあって、俺の小学生生活のスタートは順調だったと思う。 先生も優しい女の先生で、俺が錆兎さんの子どもだからか、たまに顔を合わせるとPTAの宇髄さんが頭を撫でてくれたりもした。
小学校と言うのは意外に保護者のボランティア募集が多いものらしい。 PTAはもちろんのこと、子どもに絵本を読んで聞かせる読み聞かせボランティア。 体力測定の手伝いをするボランティア。 子どもが登校する時間に車が通れないように柵で道を遮る柵だし。 子どもが校外学習に行くときに付き添い...
入学式が終わった後、俺達はいったん教室へ。 次いで今度は保護者も中に入ってくる。 さて、錆兎さんは…というと、真菰さんと並んで教室の後ろに立っているのだが、それでなくとも顔が良くてピシッとスーツを着こなしていてカッコいいのに、さらに背が高いため随分と目立っている気がした。
そうして迎えた入学式当日。 俺は錆兎さんと真菰さんに手を繋がれて小学校の門をくぐった。
「やっぱりスーツは〇okiとか〇oyamaで新調するべきか?」 で始まった錆兎さんの入学式の参列準備。
ビルに着くと俺達を下ろして村田さんが車で走り去る。 家に帰るのかな?と思ってじ~っと見送っていると、錆兎さんが
錆兎さんは 『経済の神様に愛された男』 なのだと真菰さんが言っていた。 それは真菰さんだけじゃなく、その業界でもかなり有名なことらしい。
「…もう錆兎、ほんっとに突然なんだから。 巻き込まれてあげるのはあげるけど、そもそもあんた本当に子どもなんて育てられるの?」
俺と錆兎さんの出会いは15年前。 決してめでたい場ではないどころか、なんと俺の両親の葬式の場だった。
育った子どもの姿は育てた人の子育ての通信簿…らしい。 つまり…22歳を迎えて学生時代を終了し、来月からは新社会人になる俺の今の姿は、俺を6歳から育ててくれた錆兎さんの子育て通信簿というわけだ。 なのでこれから少し錆兎さんの子育てについて振り返ってみたいと思う。
1_プロローグ_16年の通信簿
「着替えはどうされますか? 手伝いが必要なら俺がお手伝いさせて頂きますし、ご自身での方が良いということなら俺は退室しておきます」 と言われて、義勇は自分で…と答える。
そうして着いた部屋。 海に面した側は広い窓があって光いっぱいで、綺麗な青い絨毯が敷き詰められた廊下に並んだドアの中の一つの前で少年は止まった。 これもやはり友好国の王から頼まれた客人という位置づけのせいなのだろうか。 ドアを開けて入ったのは、義勇が見たこともないくらい綺麗で素敵な...
水の国はその名に違わず大海に面して建っていて、庭に面した渡り廊下を歩けば風に乗ってわずかに潮の香りが漂ってくる。
どうしてもこのままこの国に…もっと言うなら、水の国の王のもとに居たい…。 それは姉が亡くなって以来、全てを諦めて居た義勇が初めて人生に見出した希望だった。 しかしそれを願い出ようにも城に着くなり王はどこかへ行ってしまった。
「ここが…水の国のお城……」 結局あれから一日弱。 義勇を乗せた馬が辿りついたのは、自国、森の国の城とは大きさも堅固さも全く違う、見た事もないほど荘厳な城だった。
こうして回収して数時間。 途中馬を乗り換えてもまだ少年は気を失ったまま。 (色々疲れたんだろうなぁ……) と、錆兎はため息をついた。
細い、小さい、なんだか柔らかくてフワフワしている。 それが錆兎が腕の中の少年に対して今現在感じている感想だ。
悪漢に攫われかけてた少年をギリギリのところで助けた。 さすが俺…… と、思ったのも束の間、自分の正体がばれたら気を失われた。
ことり…と頭を預けている先は快適とは言えない。 ふんわりとした物に包まれている感覚はあるものの、包んだ先にあるものはゴツゴツと固い。 なのに…それを差し置いてもどこか心地良い。 抱きこまれた身体をしっかりと支える腕。 身体の下にあるものは酷く揺れて不安定な感覚を否めない状況なのに...
──じゃあ、行くぞ。 一応、立場としては賊からの保護というものではあるのだが、では嵐の国の人間が来たなら引き渡すかというと、それも悩むところである。
こうして錆兎は少年を拾った……というか、救出した。 15人ほどの一般兵など水獅子王の敵ではない。 あっという間に全員地面の上に転がして、残酷なシーンを見せるのも…と、そっと少年の視界を塞ぐためにかけていた自分のマントをその小さな頭から取り去ると、ガラス玉のようにまん丸く澄んだブル...
遠くから聞こえる足音。 息をひそめて気配を消して錆兎はそれが十分な距離まで近づいてくるのをジッと待つ。 普通にしていれば立っているだけでも圧倒的な存在感を持つ男と言われるが、何も気配を消せないわけじゃない。 爪を隠せない獣なんてただの愚か者だ。 能ある鷹ほど上手に爪は隠すものである。
通常なら王自ら動くなどとんでもないことだが、水や炎の国では王自身が国一番の猛者で、先陣を切って兵を鼓舞するなども珍しい事ではない。
縁もゆかりもない小国の子どもだったとしても、危険な目に遭うのがわかっていて放置は確かに寝覚めが悪い。
──錆兎、君に相談したいことがある… それはとある日の午後のことだった。 水の国の王である錆兎を訪ねて来た炎の国の王の杏寿郎は開口一番そう言った。
――俺の領地で無体を働くとは、覚悟あってのことだろうな? 全てを運命に任せる事にして身を固くしたまま不快感に耐え続け、一体どのくらいの時が過ぎたのだろうか… どんよりと全てが薄暗い中、それは強い光のような眩しさを持って目に耳に飛び込んできた。
こうして13歳の春…なんとか回避できないかと思いつつもどうすることも出来ないまま、約束通り嵐の国へと送られる事が決まり、それまで見た事も触れた事もないような上等の絹の長衣を着せられて、まるでおとぎ話に出てくるような繊細で美しいレースのヴェールをかぶせられ、初めて馬車に乗って王宮の...
それはちょうど4つの国の境界線のあたりだった。 国から付き添ってきた従者達はとっくに逃げ出してしまった馬車の中、義勇はなるべく身を低くして、息を殺してあたりの気配を探っていた。
1_プロローグ
──もちろん断ったよね?! と詰め寄ってきたのは義勇ではなく百舞子の方だ。 もちろん、百舞子がそういう意味で錆兎に気があるわけではない。 ただ推しを任せるのに選んだ相手に勝手にその役を降りられても困るだけである。 ということで、そこに当事者の恥じらいや戸惑いが無い分、非常に前のめ...
──義勇君、キャンディどう? 一方で待たされ組の3人が陣取る教室の片隅。 しょぼんと肩を落とす義勇に当然のごとく気づいた百舞子が差し出す、普段なら義勇が大好きなお菓子にも、義勇は悲し気に首を横に振ってため息を零す。
本当は突然クラスLineのため交換したLineに個人的に学校外で会いたいと連絡が来たのだが、学校外は無理と断った。 異性と二人きりと言うのは色々怖いし、何かあった時の場合に…と、指定した図書室の片隅。
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【誰か助けて】助けを必要とする迷える人間スレ【お悩み相談】 325:カブトムシ 誰かいるかァ? こんな時間だから誰もいねえかもしんねえけど、報告させてくれェ
もう義勇にも何がなんだかよくわからない。 不死川はキレているし、前日の甘露寺さんへの諸々で今不死川への評価が駄々下がり中の伊黒君もキレ気味だ。
教室につくと義勇はまず伊黒君に礼を言いに行ったのだが、伊黒君は照れ屋なのだろう。 「確かに俺は甘露寺の願いを叶えるために冨岡に恋人が出来れば良いと思っていたし、その恋人に相応しいのは錆兎を置いて他にないと思っていた。 だから二人がつきあうように勧めようと思っていたのは確かだが、俺...
朝…義勇はいつもの通り少しだけ早めの登校で、学校の最寄り駅から甘露寺さんと伊黒君と合流して、そのまま学校まで一緒に行った。
【誰か助けて】助けを必要とする迷える人間スレ【お悩み相談】 102:以下、名無しに変わりまして悩み人がお送りします 誰かいるかァ? 話を聞いてくれェ。 アドバイスくれるとなお嬉しい。
わざとではない。 わざとではないのは小等部からの付き合いだからよくわかる。 でも義勇はいちいち不死川のイラつくポイントを突いてきすぎだ…と、宇髄は内心ため息をついた。
昼休み…鱗滝君は本当に卒が無くて、先生に揉め事の仲裁をするのでと許可を取って会議室を借りてくれて、そこに朝の8名がそれぞれ弁当を持って集合した。
義勇が甘露寺さんと体育館に行くと、そこには当たり前だが剣道着を着た鱗滝君と煉獄君がいる。
月曜日…途中で甘露寺さんに呼び出されて宇髄君の話を聞いて時間をとられたが、その後のクレープ屋さんでは楽しかったどころか、なんと鱗滝君と付き合うことになってしまって、夢見心地の義勇。
翌日、宇髄は関わったこと、自分の対応など、全てを後悔をする。 宇髄が朝に登校してみれば、なんだか隣のクラスが騒々しい。 宇髄のクラスの多くの同級生達も隣のクラスを見に行っているようだ。
──不死川~、とりあえず許す条件は聞いてきたぜ? そう連絡を取ったのが電話でもなければ直接でもない、Lineだったのは理由がある。
「なあ…もしかして、あいつらつきあってたりすんの?」 義勇を呼び出したら何故か鱗滝錆兎までついてきた時点で、宇髄はかなり動揺したが、二人がこれからクレープを食べに行くというのを見送った頃にはだいぶ落ち着いてきた。
そうして二人でクレープを頬張りながら、おしゃべりをする。 甘露寺さんならとにかく、鱗滝君とこんなことできるとは思ってもみなかったが、すごく楽しい。 鱗滝君自身は恥ずかしいというが、今どきスイーツ男子なんて別に特に変な事じゃないと義勇は思う。
マックから5分ほど駅の方に戻ったクレープ店。 ちょうど学校帰りの学生が多い時間帯で、義勇達が着いた時には数人並んでいた。 そこで鱗滝君はメニューの写真を撮ると、義勇を連れて座席の方へ。
その日は待ちに待った鱗滝君と放課後にクレープを食べに行く日。 やっぱり好きな男の子と出かけるのだから、少しでも可愛くしたい。 なので姉に頼んで普段は下ろしっぱなしの髪を可愛く編み込みにしてもらった。
甘露寺に呼び出してもらって待つ事10分弱。 3人の前に姿を現した義勇は一人ではなかった。 それを甘露寺は知っていたらしく、甘露寺以外のこの世の全てがどうでもいい伊黒は義勇が一人で来ようと二人で来ようと興味はないらしい。 しかし宇髄にしてみたらそれは大問題だった。 義勇が一人じゃな...
…俺って馬鹿みてえに人が良いんじゃね? と、宇髄は今、目の前に山盛りのマック商品を積まれて目を輝かせている甘露寺を前に自分自身に対して呆れ返っている。
──やっぱ、あれかぁ?マジうめえって言ってやるべきだったかァ? 土曜の帰りの時間。 私立産屋敷学園は土曜は半日授業である。 中等部生はほとんど自宅に帰って昼食を摂るが、宇髄の家は両親とも仕事で海外で実質一人暮らしなので、土曜の昼は途中で学生でも入りやすいファストフードで食べること...
──えっと…カイザーは特にプリンセスについて触れてませんっ そう言っていきなり持参のタブレットで動画を流したのは、本当に存在感がなさ過ぎてそこに居ることも忘れそうな銀狼寮の寮生だった。
「…とりあえずお話を承ります。 こんな時間に訪ねて見えたのはどういうご用件ででしょうか?」
想像とは微妙に違う… アンは戸惑っていた。 てっきり周りの男どもにメソメソべたべたするしか能がないやからかと思っていたが、銀狼寮のプリンセスは凛とした佇まいで落ち着いていてどこか気品のある、寮長に継ぐ第二の銀狼寮の主だった。
うん?これは何が起こっているのだろう…と、目の前の光景の意外さにアーサーは小首をかしげる。
──え?な、なにっ?!! いきなり聞こえて来た悲鳴の声は高くて、しかし声変わり前の少年のそれとは明らかに違う。 つまり、この学園にいるたった一人の女性、新任の女性教師のものと思われる。
その夜、アーサーはモブ三銃士の一人のマイクと共にルートの部屋で過ごしていた。 いつもなら当然自室にいる時間だが、今日はギルベルトが金竜のプリンセスに助力を頼まれて金竜を混乱に陥れている金竜の寮長ロディの征伐に行っているので、一人は危ないとギルベルトからルートに預けられているのである。
たとえ逆ハーどころか攻略対象者全員に逃げられようと、このままでは終われないっ! 絶対に…絶対に一矢は報いるっ!!
ほとんどホラーだった。 綺麗で可愛く優し気なだけに、余計にこの状況での満面の笑みが恐ろしい。 怯えるアンを前にフェリシアーノはしばらくニコニコしていたが、 ──話すこと…ないみたいだね? と言うと、華奢な手で銀の呼び鈴をチリンチリンと鳴らした。 それで開いたドアから入ってきた人物...
「お待たせ。 ごめんね、ギルベルト兄ちゃんとの約束でアーサーは部外者に会わせられないから、お話はよければ俺が聞くよ?」 待たされたのはほんの5分ほどだったが、ギルベルトが金竜から戻ってくるまでという時間が区切られているアンにとっては非常に長く感じた時間。 しかもそれだけ待たされて...
アン・マクレガーは正直後悔していた。 教職員宿舎から銀狼寮までは遠い。 もちろん道は伸びているのだから迷子になることはないのだが、それでも暗い道を一人で移動するのはやや怖い。
悔しいがその時の金虎の寮長は実に凛々しくカッコよかった。 金色の虎の刺繍のマントをたなびかせ、剣を掲げて寮生達に号令を下している姿はギルベルトの目から見ても本当にカッコいい。
そんな風に一瞬ギルベルトが考え込んだのを勘違いしたのか、 「馬鹿が~! 俺が孤立したかとでも思ったかっ!! 操られるだけ操られた挙句にシャルルのガキに寝返った馬鹿どもと違って俺は組織に買われているからなっ! ピンチになればちゃんと援軍が来るんだよっ!!」 と急に元気になったロディ...
──申し訳ありませんっ!いかなる処罰も受け入れますっ!! それはなかなか壮観だった。
おそらくシャマシュークの他の寮長や高等部生達が見たら感動のあまり目を潤ませるであろうこの光景は、そのスピリットを根底から否定したロディには不快なものとしか映らなかった様である。 口の端を歪めて嫌な笑みを浮かべてシャルルを見た。
──おや、うちのを連れ帰ってくれたのか、軍曹。 慌てた寮生とは対照的に、少し経って出てきたロディは随分と落ち着いていて、にこやかに言う。
ユーシスがそんな風に暗躍している頃、ギルベルトは寮生達を率いて金竜寮へと向かっていた。 ギルベルトの次に戦力があるであろうバッシュとルートは銀竜の寮生全員と寮長のルークとプリンセスのフェリ、そして金狼の寮長の香とプリンセスとは名ばかりの怪力アルと共に自寮のプリンセスの護衛に残し、...
アンが自分の携帯を取り出すと、ユーシスは ──これ、借りていいかな?直接話したい。 と上から手を伸ばしてそれを取り上げた。
──こんな遅くにごめんなさい… 動揺している様子をより鮮明にするため、上着も着ずにエントランスまで出てきたアン。 さすがに肌寒いがそれもか弱さを強調するためだ。 自分で自分を両腕で抱きしめるようにすれば、紳士なユーシスはきっと ──大丈夫だよ。それより寒いだろう?これを着て? と...
『銀狼寮には手を出すな』といきなり言われた理由は、傭兵派遣や警備を担っている業界一の大企業ツヴィングリ社の社長であるバッシュ・ツヴィングリが銀狼寮の寮生として在籍していて、すでにアンがJSコーポレーションの意志で動いていることを察知されているから、ということである。
打倒、銀狼寮プリンセス!! …を当面の目標にすることを決意したアン。 明日からは本格的に落とすターゲットをギルベルトに絞って、彼と一緒にあの女…もとい、あの女に似た銀狼寮のプリンセスを追い詰めて行こう。 なんならすべてが寮対抗のこの学園でライバルにあたる他の寮のプリンセスをやっぱ...