プロフィールPROFILE

財部剣人さんのプロフィール

住所
茨城県
出身
茨城県

自由文未設定

ブログタイトル
財部剣人の館(旧:アヴァンの物語の館)
ブログURL
https://blog.goo.ne.jp/avantgarde-october
ブログ紹介文
「マーメイド クロニクルズ〜第三部配信中!」「第一部 神々がダイスを振る刻」幻冬舎より出版中!
更新頻度(1年)

107回 / 359日(平均2.1回/週)

ブログ村参加:2010/03/19

財部剣人さんのプロフィール
読者になる

財部剣人さんの人気ランキング

  • IN
  • OUT
  • PV
今日 12/06 12/05 12/04 12/03 12/02 12/01 全参加数
総合ランキング(IN) 14,759位 16,789位 16,737位 16,742位 15,768位 14,907位 13,955位 980,048サイト
INポイント 30 30 10 20 20 10 10 130/週
OUTポイント 30 40 10 20 20 10 10 140/週
PVポイント 0 0 0 0 0 0 0 0/週
小説ブログ 95位 112位 110位 109位 101位 96位 91位 12,042サイト
SF小説 2位 2位 2位 2位 2位 2位 2位 388サイト
今日 12/06 12/05 12/04 12/03 12/02 12/01 全参加数
総合ランキング(OUT) 31,838位 34,235位 34,210位 34,344位 33,152位 32,141位 31,046位 980,048サイト
INポイント 30 30 10 20 20 10 10 130/週
OUTポイント 30 40 10 20 20 10 10 140/週
PVポイント 0 0 0 0 0 0 0 0/週
小説ブログ 166位 184位 180位 182位 177位 165位 157位 12,042サイト
SF小説 1位 1位 1位 1位 1位 1位 1位 388サイト
今日 12/06 12/05 12/04 12/03 12/02 12/01 全参加数
総合ランキング(PV) 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 980,048サイト
INポイント 30 30 10 20 20 10 10 130/週
OUTポイント 30 40 10 20 20 10 10 140/週
PVポイント 0 0 0 0 0 0 0 0/週
小説ブログ 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 12,042サイト
SF小説 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 圏外 388サイト

新機能の「ブログリーダー」を活用して、財部剣人さんの読者になりませんか?

ハンドル名
財部剣人さん
ブログタイトル
財部剣人の館(旧:アヴァンの物語の館)
更新頻度
107回 / 359日(平均2.1回/週)
読者になる
財部剣人の館(旧:アヴァンの物語の館)

財部剣人さんの新着記事

1件〜30件

  • 第一部 第6章−2 ジェフが語る国際関係論

    「はい、よろこんで。今のところテロ組織として認知される集団は世界で約二百九十に上ります。二十世紀のテロ組織はその目的により五つに分類出来ます。一番目は思想的背景を持つ革命指向型ですが、これは冷戦構造の崩壊に伴い衰退していくでしょう」「わたしは冥界にいた時から知っていたけれど、それがわかっていたとは人間にしてはたいしたものね」「二十世紀は戦争と革命の世紀です。しかし、ソビエト連邦下の共産圏の国々が民主革命によって打破されてからは世界は一つのイデオロギーによって統一されるでしょう」「資本主義、あるいは拝金主義という名のイデオロギーにね」「その通りです。冷戦構造という重しが取れれば、二十一世紀に向けてその他四タイプの力が増していくでしょう。二番目が政府の支配から逃れようとする独立戦争型、三番目が他民族の弾圧から逃れよ...第一部第6章−2ジェフが語る国際関係論

  • 第一部 第6章−1 動き出すゲーム

    一九九〇年五月、マクミラは十八歳になっていた。「マクミラ様、またゲームのことをお考えですね?」ジェフが言った。「お前に隠しごとは出来ないわね。すでに勝ちが見えたゲームで果たすべき役割は何だろうと考えていたの。相手の動きが見えないうちは動きようがないとはなさけないわ」「ご主人様なら、これはと思う人物をしもべとすることで完璧を期せましょう。そうしておけばマーメイドごときが動いても努力を無効化出来るのでは」「話はそう簡単じゃないの。無制限にヴァンパイアを増やせば世界はヴァンパイアだらけになってしまうし、足跡を残せばハンターに狙われる危険も高まる。ヴァン・ヘルシングを気取る連中は今でも存在するわ」「なるほど」「それに一度くらい血を吸われても、全員がヴァンパイアになるわけではない。その資格を認められて、血の洗礼を受けなけ...第一部第6章−1動き出すゲーム

  • 第一部 序章と第1〜5章のバックナンバー

    財部剣人です!第三部の完結に向けてがんばっていきますので、どうか乞うご期待!「マーメイドクロニクルズ」第一部神々がダイスを振る刻篇あらすじ深い海の底。海主ネプチュヌスの城では、地球を汚し滅亡させかねない人類絶滅を主張する天主ユピテルと、不干渉を主張する冥主プルートゥの議論が続いていた。今にも議論を打ち切って、神界大戦を始めかねない二人を調停するために、ネプチュヌスは「神々のゲーム」を提案する。マーメイドの娘ナオミがよき人間たちを助けて、地球の運命を救えればよし。悪しき人間たちが勝つようなら、人類は絶滅させられ、すべてはカオスに戻る。しかし、プルートゥの追加提案によって、悪しき人間たちの側にはドラキュラの娘で冥界の神官マクミラがつき、ナオミの助太刀には天使たちがつくことになる。人間界に送り込まれたナオミは、一人の...第一部序章と第1〜5章のバックナンバー

  • 第一部 第5章−11 滅びへの道

    水と緑と空気と大地のエコシステムは、二十一世紀の声を待たずに完膚なきまでに破壊されようとしていた。オゾン層の破壊、地球温暖化、森林地帯の消滅などはほんの微熱に過ぎないほど、地球という「病人」の容態は悪化していた。警鐘を鳴らそうとする者には利益追求の権化の企業群と手先の政治屋たちによって、「狂信的な環境保護主義者」というレッテルが貼られた。ガイアにとって最大の脅威はカチカチと音を立てる人口時限爆弾だった。一九五〇年に二十五億人だった人類は、二〇〇〇年までに人口六十億を突破し、二〇五〇年までには九十億、あるいは百億に達すると予想されていた。わずか百年間で、それは四倍にもならんとしていた。ネズミ算ならぬ「人類算」という言葉が必要だった。気の遠くなるような歳月をかけて自然が作り出したエネルギー資源も、人類の手にかかると...第一部第5章−11滅びへの道

  • 第一部 第5章−10 哲学と歴史学

    会社の建て直しが一段落するとマクミラは、ヌーヴェルヴァーグ財団が所有する図書館で毎日を過ごすようになった。名門大学の図書館に匹敵する蔵書数を誇るだけでなく、宗教、哲学、歴史、神秘学などの分野では世界有数の文献がオーディオ化されていた。しかも、盲目のマクミラのためにどんな言語で書かれた文献も短時間で点字化する設備と人員が用意されていた。彼女は、まず哲学を調べた。冥界に来た哲学者や教祖の誰もが「なぜ人間は生きるのか」という問いに答えを出せなかったという話が気になっていたからだった。調べ出すと、ほとんどの哲学書はくだらない代物だった。哲学者とはまるで最初から存在しない埋蔵金のありかを捜そうとする山師だった。ニーチェにだけは、にやりとさせられたが答えが提示されているとは思えなかった。まあ、答えがないと開き直っている分だ...第一部第5章−10哲学と歴史学

  • 第一部 第5章−9 ようこそファンハウスへ

    列車がぶつかると、お化け屋敷そっくりのドアがギーッと音を立てて観音開きに割れた。終点に着いたのだ。巨大なベッドに男が横たわっていた。こぼれ落ちそうなほど巨大な両眼、不自然なほど高いワシ鼻、ナイフで刻み込んだような深いシワ。男は、南ドイツのバートヴァルゼーの魔女の仮面をかぶっていた。ジェフが真っ黒なゆりかごに寝かされていたマクミラを紹介した。「パパ、娘のマクミラです」「長生きはするものじゃ。麝香の香りを持つ赤子にまさか巡り会えるとは。いや、久しぶりというべきか」ドイツ訛りの英語はしゃがれており相当の年寄りとわかった。「わたしをしってるのでちゅか?」「いかにも」「なぜ?」「儂の名前が、かつてパラケルススだったと言えばわかるかね」赤子は、惚けたような、怒ったような顔をした。「ホッホッホッ興奮させてしまったね。すべては...第一部第5章−9ようこそファンハウスへ

  • 第一部 第5章−8 人間のくせに?

    気づくと机上で真っ黒なベビークリフが揺れていた。闇夜のように不吉な思いがよぎった。まあ、最後の願いくらい聞いてやっても罰はあたるまい。ベイビーの顔を見たらおいとましてこの会社の精算の算段でもすることにしようと思い直した。「お名前は?」「マクミラと言います」「めずらしいお名前ですな。パパに似てかわいいお顔をしてま・・・」最後の部分は、声にならなかった。赤ん坊のするどい爪がのどぶえを絞りあげたからだった。助けを求めて声を絞りだそうとするが、ただ意味のないうめき声だけが漏れる。「いいこでちゅね。もうすこしそうちてなちゃい」暗い影が近寄ると、首筋に冷たい唇を当てられたような気がした。その後、貧血を起こしたような気分になって気が遠くなっていった。その後、彼は追加融資を破格の条件で行う契約書を締結すると、最高級マンションの...第一部第5章−8人間のくせに?

  • 第一部 第5章−7 ヌーヴェルヴァーグ・シニア

    一九七二年秋。ここ数ヶ月でジェフェリー・ヌーヴェルヴァーグが行った改革は見事の一言に尽きた。賠償起訴を乗り切ったジェフは、遊休資産を次々有利な条件で売却し、リストラを徹底的に行った。さらにヨーロッパの製薬会社と提携話を成立させ、あっと言う間にヌーヴェルヴァーグ製薬の業績を回復させてしまった。社内の雰囲気も一変した。「わかるかい。頭のよい者が生き残るでもなければ、強い者が生き残るのでもない。変化に適応出来る者だけが生き残るのだ。ピンチは今まで変えられなかったシステムを変えるチャンスなのだ。だが、ピンチをピンチと認識出来ない者が社内にいたとしたらそれこそピンチだが」深夜にしか開かれなくなった会議でジェフが発言すると取締役連中の背筋が引き締まった。お坊ちゃまと思われていた彼からおどおどした雰囲気が消えて自信満々に物事...第一部第5章−7ヌーヴェルヴァーグ・シニア

  • 第一部 第5章−6 生きる目的

    「つくづくおもしろい子ね」マウスピークスは考える様子をした。「『人生はただ歩きまわる影法師、哀れな役者だ』。聞いたことある?」「はい」夏海が持っていた教科書で見かけたことがあった。「そう。でもわたしには、そこまでシニカルには考えられない」「シニカルでしょうか?」「文学的ではあるけれどシニカルとは思わないかな。わたしたちは、台本のない芝居を演じてるようなものだわ。『人生』を生きる。それはあなたがさっきしたように階段を上るようなもの。さまざまな出会い、楽しいこと、苦しいこともあって。時には立ち止まって、踊り場で休むことも必要。どこまで上れるかは誰も知らないし、最後に何が待っているかもわからない。他人の階段がどうなっているかもわからない。誰かと一緒に行くこともあれば途中から別れ別れになることもある。でも、あなたがみた...第一部第5章−6生きる目的

  • 第一部 第5章−5 ホモ・コントラバーシア

    少し歩いただけで足が痛み出す童話の人魚姫とは違って、ナオミの足は丈夫だった。少女時代の海岸遊びと訓練のたまものだった。講演が終わるとナオミはゴムまりのように弾んで階段をかけ抜けた。なぜ彼女はマウスピークスとの邂逅にそれほどまで興奮したのだろう。悩み続けてきた問題の答えが与えられる予感を得たせいかも知れなかった。ドアをノックすると返事を待つ間さえももどかしくドアを開けた。「元気のいいお嬢さん。階段を段飛ばしに上る音が聞こえたわよ」マウスピークスは巨体をカウチに沈めていた。竜延香・・・・・・ナオミが入ってきた瞬間、かすかに漂う香水に気づいた。興奮した犬のように息を切らしたナオミは言った。「すいません。二段飛ばしに来ました。ナオミ・アプリオールと言います」「つっ立ってないでおすわりなさい。何か聞きたいことがあるんでし...第一部第5章−5ホモ・コントラバーシア

  • 第一部 第5章−4 マウスピークスかく語りき

    「一九五〇年代に政治演説研究をしていた英文学部所属の学者たちが始めたのがコミュニケーション学部の前身になったレトリック学部よ。古(いにしえ)の哲人たちは『思索』と『批評』の両方をしていたのに、いつのまにか批評は哲学者の仕事ではなくなった。英文学部を飛び出した学者たちは文学という虚構の言説の批評に不満を持って、現実世界の言説の批評を目指してコミュニケーション学を発祥させた。アリストテレスの『レトリカ』は単なる美辞麗句を弄することを教えた本じゃない。いかなる場合にも可能な説得の手段を見つける能力を教える本よ。さらにプラトン以前に雄弁術を教えたソフィストと呼ばれた哲学者たちに始まる二千三百年の伝統を持つ学問、それがコミュニケーション学なの」マウスピークスは、コーヒーを口にした。「この後はくわしい説明を要しない。中西部...第一部第5章−4マウスピークスかく語りき

  • 第一部 第5章−3 マウスピークス

    一九九一年一月の最終金曜日。ハイスクール最終学年になってもナオミはアイデンティティギャップに悩み続けていた。身長一六六センチ体重四十九キロと体格こそすくすくと育っていたが、人とマーメイドとしての精神の発達はいまだアンバランスだった。頭の中にあったのは考えても答えのでない疑問の数々。人間であるとはいったいどういうこと?生きるって何のため?わたしのマーメイドの心は何のため?こうした疑問は成長するにつれて膨らむばかりだった。さらに、率直な物言いをするアメリカ人の中で暮らしいてさえ「言語」というシステムには苦労させられた。人が言うことと思うことの間には違いがあると知るまで物議をかもし出したのは一度や二度ではなかった。テレパスの存在を確認してみたいならば自殺者リストを調べてみるとよい。悪意に満ちた内面とお愛想の差違にさら...第一部第5章−3マウスピークス

  • 第一部 第5章−2 神海魚ナオミ

    「おやおや、深海魚ならめずらしくないが。神界魚(ルビ)のご訪問とはね」「おばあ様・・・・・・」「こんな近くにまで来られるほど大きくなったんだね。でもマーメイドはやたらに涙を流すもんじゃないよ。別れはつらいかもしれないけれど新しい出会いのためさ。それに夏海とお前たちの運命はちゃんとつながってる。しばらくしたら、どこかでちゃんと絡み合うことになってる。さあ、ケネスが心配するよ。ゆっくりお上がり」そうか、また夏海とはどこかで会えるのか。安心したナオミはゆっくり上を目指して行った。その時、トーミは夏海をこの先待ち受けているのがやっかいごとであり、ナオミがそのトラブルに引き寄せられていくために再会出来るとは伝えなかった。その代わり独り言の思念を発した。ナオミや、お前は困っているみんなを助けてやるんだろ。儂には何もできない...第一部第5章−2神海魚ナオミ

  • 第一部 第5章−1 残されし者たち

    強がりながらも夏海を失って、ケネスはすべてにどうでもよくなってしまった。何をするわけでもなく飲んだくれているケネスにナオミが言った。「ねえ、海に連れてって」「うるせえ。そんなに行きたきゃ一人で勝手に行け。どうせクソ野郎に拾われたことを後悔してるんだろ。とっとと海の底に戻っちまえ!」下を向いているナオミにケネスが言った。「おい、自分でも口が悪いのはわかってるんだが、今のは言い過ぎた」「違う・・・・・・」「違うって何だ?」「ナオミはね、ケネスを、元気づけられなくて悲しいんだよ」今度はケネスがうつむく番だった。「ねえ」「何だ?」「ナオミを拾って後悔してる?」不安を隠せない風に言った。「バカ言ってんじゃねえ。こんないい子が他のどこにいるってんだ」ケネスは照れ隠しにナオミの髪をクシャクシャにした。「ウッキッキー!海に行こ...第一部第5章−1残されし者たち

  • 第一部 序章と第1〜4章のバックナンバー

    財部剣人です!第三部の完結に向けてがんばっていきますので、どうか乞うご期待!「マーメイドクロニクルズ」第一部神々がダイスを振る刻篇あらすじ深い海の底。海主ネプチュヌスの城では、地球を汚し滅亡させかねない人類絶滅を主張する天主ユピテルと、不干渉を主張する冥主プルートゥの議論が続いていた。今にも議論を打ち切って、神界大戦を始めかねない二人を調停するために、ネプチュヌスは「神々のゲーム」を提案する。マーメイドの娘ナオミがよき人間たちを助けて、地球の運命を救えればよし。悪しき人間たちが勝つようなら、人類は絶滅させられ、すべてはカオスに戻る。しかし、プルートゥの追加提案によって、悪しき人間たちの側にはドラキュラの娘で冥界の神官マクミラがつき、ナオミの助太刀には天使たちがつくことになる。人間界に送り込まれたナオミは、一人の...第一部序章と第1〜4章のバックナンバー

  • 第一部 第4章−10 夏海の置き手紙

    次の日、喪服のような服を着て夏海は出て行った。以前出演したホノルルの舞台が評判になり自分目当ての客が増えたのを夏海はよろこんでいた。だが、数ヶ月前から、君には才能がある、チャンスをあげるからニューヨークに来ないかとある劇団に誘われて気持ちが揺れていた。仕事から帰ったケネスは、置き手紙を見つけた。ケネスへいままでありがとう。大きなあなたの愛に包まれてこのまま自分のしたいことが出来なくなってしまうことが怖いの。ゴメンナサイ。劇団に誘われてチャンスだと思いました。どうしても自分の可能性を試したい。心が動いたのは、昔の恋人がニューヨークにいると聞いたこともあります。さびしい時に出会ってやさしくしてもらったくせになんて女と思います。でも自分を偽りながら暮らせない。あなたは何も悪くない。私がわがままなだけ。ナオミを置いてい...第一部第4章−10夏海の置き手紙

  • 第一部 第4章−9 チョイス・イズ・トラジック

    ナオミは、何ごとか考えている様子で言った。「おもしろい?」「はぁ?」夏海は間の抜けた声を出した。「何をしたらいいか決めるのって、おもしろいかって聞いてるの」「チョイス・イズ・トラジックってわかる?」夏海は思わず微笑んだ。「チョイス・イズ・チョラジック?」「選択はいつも悲劇的と言うことよ」「難し過ぎる。わかんない」「ひとつのことを選べば別のことは選べなくなるという意味よ。ケーキをお昼のデザートに食べてしまえば三時のおやつにそのケーキは食べられないでしょう」「トラジディーだ」「トラジディーね。人は生きる限り決定を迫られる。そんな時、はっきりした答えを出すのは難しいわ。せいぜい出来るのは、やってみるメリットと失われるデメリットを比べてみること。天秤の使い方はもう習ったでしょう。ディベートを知っているのは心の天秤がある...第一部第4章−9チョイス・イズ・トラジック

  • 第一部 第4章−8 なぜ、なぜ、なぜ

    プライマリースクール時代に、ナオミはどんな科目でも言われた通りに勉強する優等生たちの気持ちが理解出来なかった。なぜそうなるのか?なぜ別の考えをしてはいけないの?なぜ答えが複数あってはいけないの?なぜ、なぜ、なぜ?教師がいやがる質問ばかりをしては皆のからかいの対象になった。マクベスに登場する魔女たちなら「いいは悪いで、悪いはいい」と言うところだ。だが、「好きは好きで、嫌いは嫌い」を信条とするナオミは思ったことをそのまま口にしては周りを唖然とさせた。「正しいことは正しい」はずだが、世の常はそうでなかった。「天使の無垢さ」、「悪魔の狡猾さ」という言葉はあっても「マーメイドの正直さ」という表現は人の語彙にないようだった。まるで、よい部分や悪い部分は想像上の存在に任せるくせに、普通に行動するのは自分に任せろと勘違いしてい...第一部第4章−8なぜ、なぜ、なぜ

  • 第一部 第4章−7 ビッグ・パイル・オブ・ブルシュガー

    「おい、六本指のシュリンプ!」月曜日にナオミが学校に行くと、いつものようにオーエンがちよっかいを出してきた。ナオミは振り返った。「なにか用?女にしか威張れないウィンプ(注、口語でwimpは弱虫の意味)」そう言ってナオミは足払いをかけた。転んだオーエンには何が起こったかわからなかった。次に、尾てい骨に激痛を感じて大声で泣き出した。マークとジムは親分がやられてどうしていいかわからないようだった。しばらくすると、なさけない顔をしているオーエンを置き去りにして一目散に逃げ出してしまった。いままではやり返したらどれだけ気持ちがいいかと思っていたけど・・・・・・くだらない相手をやっつけるのって山盛りのウンチになった気分だわ。帰宅するとケネスが待っていた。「その顔色だと性根の腐ったクズ野郎には勝ったらしいな。どうだ気分は?」...第一部第4章−7ビッグ・パイル・オブ・ブルシュガー

  • 第一部 第4章−6 シュリンプとウィンプ

    一九八〇年九月。ナオミはすでに七歳になっていた。つやつやした肌は健康そうに見えた。大きな目が見る者が見ればわかる常人とは違う意思の強さを感じさせた。マーメイドの記憶は断片的でも、使命を持って人間界に送り込まれたことは確信していた。寝床や白昼夢で、時々祖母トーミの声を聞いたからだ。「元気かえ?」「楽しくやってるわ、おばあ様」「姿を見せるのはもう少し待っておくれ。まだ海の底で生きていられるようだ」「会いたいけど、いつまでも生きていてくれた方がうれしいわ」「よろこばせておくれでないか。でも心配はいらない。時間切れがだんだん近づいているようだ」「ナオミは何をすればいいの?」「わたしゃ方向は間違っていても前向きな奴が好きさ。正しいか間違っているか、やってみる前から決められる奴なんているのかい。すべては仲間に出会う時に知れ...第一部第4章−6シュリンプとウィンプ

  • 第一部 第4章−5 一難去って・・・

    夜中近くにもかかわらず電話が鳴った。恐る恐る受話器を取り上げる。「社長、もう大丈夫です。集団起訴を起こした連中が訴えを取り下げると言ってます。被害者全員のむくみがすっかり取れて今までにないすがすがしい気分だと言うんです」あまりの興奮で最初はわからなかったが、電話の主は最後まで残っていた父の代からの忠臣ゴールウィンだった。「それから裏切り者の役員たちと組んで訴えてきたグッテンバーグ弁護士ですが・・・・・・」「ふん、示談でも持ちかけてきたか」話しながらジェフは自信満々だった頃の気分が戻ってくるのを感じていた。「もう示談を持ちかけることは不可能でしょうな。別荘で首をくくっているのが見つかったそうです。遺書が発見されて、裏切り者たちと組んで資料をねつ造したことや起訴を起こした連中にあることないこと吹き込んだと告白したそ...第一部第4章−5一難去って・・・

  • 第一部 第4章−4 赤子と三匹の子犬たち

    ジェフの目はすやすやと眠る赤子に釘付けになった。顔色は青白く死人のようだが唇はつやつやしていた。女だな、彼は直感した。かすかに麝香の香りが辺りに漂っていた。赤ん坊のあやしげな美しさに引きつけられてゆりかごに近づくと彼を睨みつける三匹の子犬を見つけた。毛並みのよいゴールデン・レトリーバーが一匹、あとの二匹は黄色と黒色のラブラドール・レトリーバーだ。彼らこそ魔犬ケルベロスの息子キルベロス、カルベロス、ルルベロスが変化を遂げた姿だった。人なつっこいはずのレトリーバー種の子犬たちが唸りを上げている。「おい、ちびちゃんたち。何もしないったら」ジェフが声をかけても三匹は眠れる森の美女を守る衛兵のように今にも飛びかからんばかりになっている。彼が思わず逃げ出しそうになった時、蒼水晶のような目を持つ赤ん坊がニコリとした。プレイボ...第一部第4章−4赤子と三匹の子犬たち

  • 第一部 第4章−3 冥主との約束

    よく出来たホラー小説では、非日常が日常に入り込む。ドラキュラなら、吸血鬼伯爵がトランシルヴァニアの古城から大都会ロンドンにやってくる。フランケンシュタインなら、天才医学者がつなぎ合わせた遺体が雷の力で動き出す。オオカミ男なら、ルーマニアの銀狼にかまれた男が満月の夜に変身する。だが、これは不自然とか非現実的とかいう次元の話ではない。冥王が時空間の割れ目からニューヨークに現れて、ゲームだから赤ん坊を育てろだと?面倒くさいばかりか、不機嫌な顔も高飛車な調子も、何もかも気に入らない。なにしろ、すでにゲームセットが自分に宣告されているのを認めているのだから。ジェフは、にやりと笑うと窓から身を踊らせた。後は、これまでの人生がフラッシュバックしてジ・エンドのはずだった。しかし、彼の身体は真っ暗な闇に浮かんでいた。摩天楼から直...第一部第4章−3冥主との約束

  • 第一部 第4章−2 選ばれた男

    ジェフには何が起こっているのか皆目見当がつかなかった。目の前の時空間がゆがみ裂け始めていた。星空が消え去って景色が真っ暗になる。バキバキと焚き火に爆竹を投げ込んだような音を立てて裂け目が渦巻き冷たい炎が吹き出す。子どもの頃に絵本で見たファイヤー・ドラゴンが夜空に浮かび上がった。口から紫の煙をあげるドラゴンの背に乗るのは恐ろしく不機嫌な顔をした紅色に燃えたつ髪をした男。(ジェフ、冥界の帝王プルートゥじゃ)彼の頭に強い思念がガンガンこだました。今の今まで自殺を考えていたのも忘れて自分の髪がプルートゥ以上に逆立つのを覚えた。その声にいっぺんの疑いも許さない響きを感じたからだ。(怖ろしいか?怖れずともよい。話がある。悪い話ではないぞ、これを見よ)そういったプルートゥの左手には真紅のマントにつつまれた赤子がいた。(育てる...第一部第4章−2選ばれた男

  • 第一部 第4章−1 冥主、摩天楼に現る

    ある作家が言った。「ニューヨークの摩天楼は成功を象徴する屹立した巨大な男根だ」この比喩に従うなら、十九世紀には巨大船舶、二十世紀にはジャンボジェットに乗って「アメリカの夢」を求めてやってくる移民たちは港に吐き出される大量の精子かも知れない。しかし、彼らは知らない。ほとんどが外に出た瞬間に命を失いせいぜい数億個に一つか二つが生き残る運命なのだ。一九七二年二月二十九日。ニューヨークの摩天楼の中でもひときわ高くそびえ立つ、九十九階建てのヌーヴェルヴァーグ・タワー。全米は言うに及ばず一攫千金を夢見て世界中から集まってきたビジネスマン、ビジネスウーマンたちの最終目的地のひとつ。ヌーヴェルヴァーグ製薬が借り切る最上階フロアの窓から外を眺める一人の男。厳しい製薬業界のサバイバルレースに敗れて人生の舞台の幕を下ろそうとしている...第一部第4章−1冥主、摩天楼に現る

  • 第一部 序章と1〜3章のバックナンバー

    財部剣人です!第三部の完結に向けてがんばっていきますので、どうか乞うご期待!「マーメイドクロニクルズ」第一部神々がダイスを振る刻篇あらすじ深い海の底。海主ネプチュヌスの城では、地球を汚し滅亡させかねない人類絶滅を主張する天主ユピテルと、不干渉を主張する冥主プルートゥの議論が続いていた。今にも議論を打ち切って、神界大戦を始めかねない二人を調停するために、ネプチュヌスは「神々のゲーム」を提案する。マーメイドの娘ナオミがよき人間たちを助けて、地球の運命を救えればよし。悪しき人間たちが勝つようなら、人類は絶滅させられ、すべてはカオスに戻る。しかし、プルートゥの追加提案によって、悪しき人間たちの側にはドラキュラの娘で冥界の神官マクミラがつき、ナオミの助太刀には天使たちがつくことになる。人間界に送り込まれたナオミは、一人の...第一部序章と1〜3章のバックナンバー

  • 第一部 第3章−10 

    「自分がどうしても受け入れることが出来ない人間だよ。そんな人間は相手から見たら透明人間さ」「透明人間?」「目の前に存在していてもいないのと同じ。誰かに腹を立てるのは何かを期待してかまってもらいたいと思っているからだよ。でも、透明人間は回りから何も期待されないから腹を立てられることもない。お前だってどうでもいいと思っている人がどうなろうと関係ないだろう?」「誰からも関心を持たれない、俺はそんな奴にだけはなりたくない」「それには心のバランスを取ることが大切さ。でなけりゃ自分で自分を嫌いになっちまう。そんな人間は他人を好きになることも出来ない。でもあまりつらいことがあると、そこまでの力が湧いてこないこともあるさ」「どういうことだい?」「たとえば、ろくでなしに置き去りにされたシングルマザー。おっと、あたしがそれを言っち...第一部第3章−10

  • 第一部 第3章−9 父と娘

    ナオミが育つにつれてケネスは午前中を海で過ごすのが日課になった。彼女が海で泳ぐことを好んだからだ。ナオミが泳ぐ姿は巨大な一匹の魚の優雅さを持っていた。黒髪をゆらゆらと揺らしながら泳ぐのが、ナオミには至福のひと時だった。人混みの中にいてさえ孤独を感じるケネスにとって、ナオミと遊んでいる時だけはすべての生命との一体感を感じられた。ナオミは深い海の底まで泳いでいっては宝探しをし、潮の流れを友人にしては鬼ごっこを楽しんだ。あまりにも海になじんでいるナオミを見て夏海は、シーモンキーとあだ名を付けた。実の子ども以上の愛情を二人はそそぎ、ナオミも二人を実の親以上に愛した。俺のようなやつは子孫をのこしちゃいけねえと20代でパイプカットをしてしまったケネスには子種がなかった。ケネスの母マリアは、ニューヨークで性的虐待を受けた児童...第一部第3章−9父と娘

  • 第一部 第3章−8 ナオミの名はナオミ

    「信じられるか?ネイビー時代のドラッグの影響で頭がおかしくなったんだろうか?」「信じるわ。あなたがこの何ヶ月かわたしに隠れてタトゥーショップに通いつめてたんじゃなければ」「どういう意味だ?」「鏡で背中を見てご覧なさい」ケネスが後ろの鏡を振り返ってみると背中一面に立ち上がって爪を今にも敵に伸ばそうとするマーライオンの勇姿が彫り込まれていた。「おい、お前もオレと同じことを考えてるのか?」夏海はうなずいた。「忘れたの、わたしの実家?」動転して忘れていたが、夏海は日本でもめずらしい人魚を祭った湘南の比丘尼(びくに)神社の一人娘だった。得体のしれない海軍兵上がりに娘を奪われて逆上した父親とはずっと絶縁状態の二人だったが。「こっちにいらっしゃい」夏海が赤ん坊を抱き上げると部屋全体が白い光に包まれて、気づいた時には尾ビレはな...第一部第3章−8ナオミの名はナオミ

  • 第一部 第3章−7 マーメイドの赤ん坊

    ケネスが呆然としたのも、不思議はない。赤ん坊には尾ビレがあったのだ。海軍暮らしの長かったケネスは海の伝説には一通りの知識があった。海の支配者ネプチュヌス、半身半魚の海の王子トリトン、妖精ニンフネレイアデス、海の怪物クラーケン。だが何といっても、「海の男」なら一度会ってみたいと望むのはマーメイド。それも漁や航海に命を懸ける男たちの海への畏れと陸への郷愁が生み出した幻にすぎないはずだった。ただし、今日までは。気を取り直すと、毎朝この海岸線をジョギングすることを知っている悪友たちのプラクティカル・ジョークではないかと疑った。だが、赤ん坊はつくりものにしては出来が良過ぎるし本物にしては現実味がなさ過ぎた。尾ビレに触るとザラザラした感触がする。色は見事な茜色で上半身は赤ん坊特有にぷよぷよとしていたが、下半身はぬるぬるした...第一部第3章−7マーメイドの赤ん坊

カテゴリー一覧
商用