僕は自転車で坂を下ってすぐに左に曲がるそのとき急に飛び出してきたのはカニさんだったブレーキは間に合わないハンドルをどう切れば避けられるだろうか君が動くのは右か…
年の瀬にビートルズを聴きながらオーブンの中の餅が膨らむのを腰をかがめて待つ思わぬ場所から膨らみ始めて人生ってそんなもんだと思うあんなにカチコチだったのにこんな…
男に騙されても騙されてもまた騙されるあなたよくよく話を聞くと騙されたとは微塵も思っておらずだから繰り返されるのだけどだから微塵も傷付いていないあなたに過去はな…
県庁所在地ではあるけど我が街はしっかりとした田舎メインストリートに灯ったイルミネーションはちょっと寂しいけどそれなりに頑張って人も時間もお金もかけているこの世…
ちょっと行って来ると言う僕に君は珍しく何処へ行くのと言った驚いてタイミングを失くした僕はじゃあと言って家を出たなぜかな夕焼けを見て来るって言えなかったのは五分…
昔の歌が妙に心に染み入るのはどういう訳だろうあの頃は心の何処にも引っかからず素通りしていった歌なのに年を取ったと言えばそれまでだけどそれだけじゃない何かが粗塩…
雲から日差しがこぼれてふわりと空気が浮き上がるから僕の足も軽くなって体じゅうの細胞がざわめくばったり出会った知り合いが車のフロントガラスを拭いていた鳥に糞を落…
握手しなよと促されても僕が右手で自分の左手を握ってその場を繕えずにいると君はあっけない位にあっさりと両手を差し出した僕は右手を左手から離し君の両手の間に滑らせ…
真面目で正直すぎる君がいくら答えを探しても流行りの歌みたいな答えしか見つけられなくて行き場をなくしてしまった君の質問は単純だったけど君自身の生活が複雑でねじり…
歩道を埋め尽くしていた銀杏の葉はすっかりなくなって吹き溜まりで寄り添っている見上げればほとんど裸の枝のどれもが空を目指していて銀杏の次の1年はもう始まっている…
といっても何も思い出せない世間では色んな出来事が確かにあったし一喜一憂したような気もするでも個人的に何処かに行ったとか何かをしたということはなく平坦な1年だっ…
「ワタシあの人と一緒に仕事するの嫌なんよ人の悪口ばっかり言ってるし自分が一番賢いと思ってるし」「はぁ、そうですか〜」「そう思うでしょう?」「まぁ、そうですかね…
霰混じりの雨だった小さな氷の粒が上着の袖の上で弾けたり止まったり滑り落ちたり見とれて自転車のハンドルのグリップを電柱で擦った手に持っていた手袋を落としたヨタヨ…
冬は嫌いじゃなかった嫌いだと思って過ごすのはとんでもない損失だと思ったとんでもない寒がりなのに嫌いじゃないと思うようにしていたけど無理しているのも分かっていた…
あの隙間の向こうは目を凝らしても見えない目を閉じて深呼吸して体の力を抜いて自分を脱いでいくまだ何も見えないけど存在を感じるあの人の顔は思い出せるのに名前が思い…
久しぶりの馴染みのカフェで新しく仕入れたと茉莉花茶をポットで出してくれたこの香りにはなぜか懐かしさを感じる昔よりもっと前の前世の記憶だろうかバッタだったかもと…
「あなたは男の気持ちを全く分かっていない」そう言われて目を丸くして驚いた顔で僕を見ていたあなた僕がどうしてあんなことを言ってしまったのだろうかと思った頃あなた…
パラパラパラ聞き慣れない音の正体は霰(あられ)だった打たれて帰ろうか止むまで待とうかそうだったすぐそこの100円ショップでパジャマのゴム紐を買いたいと思ってい…
まるで神様に試されてるみたいに何かをしようと決めた時それを阻もうとする事が起きるなぜこのタイミングなのかと天に問いたくなるけどこれこそがベストのタイミングなの…
僕の何処にあったのか今もまだ分からないけど僕のスイッチが入ったカチッとは言わなくて熱く焼けたナイフをバターに差し込んだようになんの手応えもなく何か大きなきっか…
夜の12時前に電話が鳴ったバイトしている長男が忘れ物を届けて欲しいと二つ返事でOKしたのは僕にはスイッチが入ってたから自転車で10分の距離だけど僕は風呂上がり…
気温12℃で風はなく心地よい寒さかが身を覆う雲の向こうから太陽が顔を出した瞬間世界は一変するこのあたたかさを表現しきれる言葉はなく何かのあたたかさに触れたとき…
よく見ないと見つけられないものがあるしよく見ていても見つけられないものもあるそして意思の疎通とか天使の悪戯とかがあってやっと見つけられるものもあるこんなところ…
その人は揺るぎない正義感のもと次々と他人を断罪していく平たく言えば悪口を言いまくるその人の正義の設定が間違っているから広がった枝葉はとんでもない言いがかりとな…
「そうなると思ってた」腰痛になったのを白状した時の妻の第一声だったシーグラスを103個拾ったと報告した時の第一声が「きっとまた腰痛になるよ」どんなの拾ったのか…
うつらうつらとしてしまったのは午後二時のソファの上だった床に落としたスマホを拾わずそのまま眠ってしまうのはこの上ないシアワセでは?だけど部屋が寒かったのでスマ…
あの雲の向こうには太陽があると誰もが知っている真意を計り知れない人の向こうにはきっと太陽じゃなくて無数に落ちてる枯れ葉か掴みどころの無い埃か踏み潰された銀杏か…
海岸に出る為に急な坂を登る途中で地図を手にした年配の女性に道を尋ねられた「どの道から来ましたか」「あっちの橋を渡って」 「それなら和歌山のアマルフィと呼ばれる…
人間にとって都合悪いからと切り倒された大きな木切ると決めた人よりもその木はうんと高齢のはずだそこに畏敬の念があったと信じたいどのくらい時間が経っただろうか彼ら…
あちこちの鉢に顔を出してあっと言う間に侵食我が物顔で席巻するけど朝に咲いて夕方前には閉じてしまう積極的と奥ゆかさが同居する人の魅力と同じ「洗濯物を取り入れたら…
控え目な朝焼けだった圧倒的な空よりも心奪われるのは齢のせいかやたらとかまって欲しい新人は最初は好意的に受け入れられたけど旧人はじんわりと疲れ出して気持ちは一歩…
湯呑みには熱過ぎるほうじ茶が入っていた窓の外を見るといい雲が浮んでいた名前は知らないけど好きだなと思った雲に見とれているとプリンを食べたくなったクリームチーズ…
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僕は自転車で坂を下ってすぐに左に曲がるそのとき急に飛び出してきたのはカニさんだったブレーキは間に合わないハンドルをどう切れば避けられるだろうか君が動くのは右か…
「こんな番組を観るようになったら私もオバハンやな」昭和の懐かしい歌番組を観て妻がつぶやくちゃんと聞き取れなくて聞き直したから二度も言わせて悪かったでもこの番組…
これはもう夏の雲なのではと思った日昨日ちょっとしたミスで落ち込んでいると言う人にどんな言葉も昨日のその人には届く筈もなく今日のその人には気休め未満でしかない遠…
挨拶しても無視されるまあいいか煙草の臭いがやってきたまあいいか自分の方が雑なのに細かい事を指摘してきたまあいいか何を話しても自分の話にすり替えられるまあいいか…
いっぱい知ったからいっぱい忘れられるのかいっぱい知ろうとすればいっぱい忘れられるのか忘れたいと思ってることは忘れたいと思えば思うほど忘れるリストの先頭から後ろ…
窓を開ければレースのカーテンがぐぐっと部屋の内側にふくらんでふくらんで耐えきれずしぼんでいって外に出たいけど叶わずそうこうしているうちにまたぐぐっとそんな永遠…
ポーチュラカが咲いた冬を越して春に少し伸びて梅雨になって蕾を付けた今日落ちてしまう一日花だけど次の蕾がすぐ隣で明日を待っている時の過ごし方は違うけど人の世と同じ
辺りはもう明るいほんの30分ほど前はまだ薄暗かったのに太陽の偉大さに改めて気付かされて外に出ると肌寒かった陽を浴びた風は後からやって来るんだ小鳥のさえずりが一…
夕暮れに雑木林に入ってすぐ話し声が聞こえる目を凝らせばオレンジ色の短パンに黒Tシャツで緑色のキャップ口ひげを生やした太ったオジサンが一人で立ち止まってずっと喋…
もうあと数日たてば職場で健康診断がある誰もが考える愚かなことだけど少しでも体重を落とそうと頑張ろうと思って本当に頑張れるのは十人に一人くらいかその一人になろう…
ポーチュラカを植える為のスペースを確保しようと土を掘り起こしているとでっかいミミズが現れた騒がしてゴメンなさい君がここの土をフワフワのフカフカにしてくれてたん…
からりと晴れた日でも雑木林の中は程よい湿気を纏っているいつものコースを歩き進めると前から若い女性もしかしてこの前の魔女かいいや黒いパンツに黒い靴だけど真っ白な…
この時期はもう夕方の庭いじりは危険でほんの30分程の間に20ヶ所も蚊に刺された最初はちょっとくらいならいいよと刺されても無視していたけどとろい奴がいるよと連絡…
ぼっぽつぱぽばぱぱぼっぽばぽばぱら雨合羽に落ちる雨粒は紛れもないアナログの音フードの中で共鳴するのは頭の中の遠い記憶かずっと聴いていられるしずっと聴いていたい…
雨はそんなに嫌いじゃないこれは周りに気を遣って本心を隠した言葉雨も結構好きだなんて言うと醒めた目で0.5秒程見られてすぐに視線を逸らされて嫌な顔をされる若い頃…
雨水を吸い込んだ雑木林は新芽がぐんと伸びて緑が濃く深くなっている時を忘れて佇めば足から根が生えて木になってしまいそう前から来た女性は上下が真っ黒で黒いフェイス…
雨あがりの夕暮れ前小鳥たちは騒ぎいつもはのんびりのダンゴムシも少し早足雨あがりの宴に僕も参加させて貰おうと長雨で溶けそうな花を摘み進めれば遠目に鮮やかさが蘇り…
何故だろうミルクティーは好きじゃないのにふと飲みたくなったその前にミルクティーが好きじゃないのは何故だったか思い出せないままひと口飲むとミルクティーが好きで飲…
戻れるならいつに戻りたい?なんて話に花が咲いてでも仕事が始まり僕の番は回って来ずその日は終わったそしてお風呂の中でゆっくり考えるはからずも人生を振り返ることに…
花の植え替えをしているとフリーペーパーを配布する人が「いつも勉強になるなと思って見させて貰ってるんですよ。園芸の専門家の方ですか?」「いえいえ、趣味でやってる…
うまくいかない日っていうのは昼寝さえうまくいかない寝苦しくて寝付けずもういいやと起き上がると頭がぼんやりしていてこのあと頭痛になる気配だったけどふと見たスマホ…
店の駐車場にはロープが張られて定休日の文字も昨日あんなに練った予定がボロボロと崩れ落ちるその後は何をやってもうまくいかない今日はそういう日だったんだと諦めかけ…
結局車の買い替えはやめて車検を受けることにしただけど10日ほどの間に夫婦であれこれ話し合って改めてお互いの考えや何に重きを置いて生きているのかがよく分かってよ…
夢を見ながらこれは今後の人生の指針となる夢だから一語一句漏らさず覚えておこうと思っていたそして目覚めるときれいさっぱり忘れていたなんとかして思い出そうと五十音…
雨の日車の中で人を待つスマホがあるからいくらでも待てるでもスマホがなかった時代でもフロントガラスにぶつかって流れ落ちる雨粒の様子はいつまででも見ていられた今な…
車検のタイミングで買い替えの案が出たディーラーを三軒回れば三人の営業と出会うよく喋る人こっちが喋らされる人雜談ばっかりの人人間って面白いだけど三台も買えない誰…
ウォーキングの折り返しに大きな木が群生しているこんにちは挨拶するけど何も言わないでも本当は僕より先に何か言ってるのに僕には聞こえていないのだろうこの世はきっと…
思いがけない休日の朝予定はまだないだらりと伸びた身体は水飴のようだけどそんなに甘くはない学生の頃炉端焼き屋でバイトしていて経営者が醤油ダレを作るのを見せてくれ…
僕は気が動転していたと思うみんなが食べてもちろん僕も食べて残ったわらび餅が三つきな粉を薄く纏って肩を寄せているこういう時は僕が完食するのが通例だけどなんだか気…
時々やってくる浮遊感身体は軽いけど軽過ぎず心はすべすべの縁取りの中を行ったり来たりおかげで心もすべすべのつやつやぎゅっとつかんでもすぐに元に戻りそうだからとい…
僕はその人が苦手だったその人がいきなりやって来て何かの説明を始めたけど全く理解できないその人の言った言葉が頭の中には入らず目の前でフライパンで煽られて跳び跳ね…
今年初めてスイカを食べた年に一度か二度しか食べないのにまだ六月なのにもう食べてしまったスイカはスイカ以上でもスイカ以下でもスイカ以外でもなくスイカだった思った…
風に揺れる枝葉に心奪われるのはとても疲れているからか悟りの境地に近いのかそれほど疲れていないからきっとどっちも違う手を伸ばして触れたい何かがあるとぼんやり分か…
年配女性のコミュニケーション能力の高さには頭が下がったまま上がらない整形外科の待ち合いでそれはすぐに始まるしかも声が大きいから会話の内容は全筒抜けで個人情報は…
念願の朝五時に起きた目覚まし時計に頼ることなくとういうことは起きられたら起きてそうでなかったらまあいいかという淡い念願だった朝焼けに間に合うそう思って屋上に出…
他人のせいで自分の予定が狂ったことを空間をねじ曲げるように自分の思いをねじ曲げて自分のせいにしたり狂った結果が予定より良かったと思うことは出来ると思う空間をね…
雲が繋がっているのか離れているのかまだら模様でどっち付かずそこに飛行機が繋げようと縫っていくもう充分に繋がったタペストリーキャロル・キングの歌を聴きたくなる夕…
夕方六時前でもこんなに明るいのは水平線の向こうまで夏が来ている証拠だ歩幅を少し広くとって足首を使って歩くそう決めていても歩いていると色んな思いが浮んでおろそか…
こんな時代が来るなんてひとつの部屋に家族全員がいてみんな別の方向を向いて手にはスマホかタブレットそれでも誰かの声に反応はして言葉が行ったり来たり昔は視線も姿勢…
天気は下り坂坂はまだまだ続くだろう身体が重く感じる午後ふとやって来た小鳥がひょいひょいと枝を渡っているから僕は窓に駆け寄ったけど思ったよりも身体は鈍くて窓ガラ…