chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • オヤジのあくび554

    鎌倉武士は将軍から賜った土地を守るために一所懸命戦ったという。権利者の系譜はそれほど重要でなかったので、北条政子の泣き顔に騙され、上皇軍に刃向かってしまった。日本史上宮家が率いる軍と一般ピープルが戦い、しかも勝ってしまうという前例のないことをやってしまった。それはまだ織田信長が、傭兵=足軽をフル活用した集団戦法を始める前の話。武士としてのプライドはひとえに、おらが家族と土地を守ることで保たれていたのだろう。 さて、ボクは武士ではないし誰かから土地を賜ったわけでもない。翻ってボクの一所とは何だろう? 仕事? 家族? 仲間? 趣味道楽⁇ 言えることは大袈裟なことではなくて、自分の力で守れる範囲は限…

  • オヤジのあくび553

    小林よしのり「新戦争論」を読む。 アフォリズム。警句を並べ立てて読者を煽り立てるのは著者の得意技だ。目立ってしまうが故に、対立する人々に事欠かずネトウヨを始め、氏の意見から派生する様々な動きとの軋轢を体験的に描いている。けれども戦争の反対は話し合い、平和の反対は無秩序・混乱であると書いてあると「それはそうですね」と思わず頷きたくなってしまう。 氏の発言にふれた方ならご存知でしょうが、彼はアメリカ合衆国が嫌いなのだ。保守を自称する人々は多いが、親米派が多数を占める中で独特です。イラク戦争の失敗を例に、アメリカ合衆国、当時イラクに大量破壊兵器があるという偽りの情報を元に戦争を始めたネオコンを弾劾す…

  • オヤジのあくび552

    加藤周一「梁塵秘抄」を読む2 源平の時代を取り上げたドラマには、必ず権謀術数に長けた後白河法皇が登場する。日本の経済や統治機構をどのように変えたいとか、清盛や頼朝のような政治信念はない。権力維持のための院宣乱発、だから歴史を変えた人としては評価の対象外なのだ。けれども日本芸能史を辿ると梁塵秘抄の編者としてその存在は燦然と輝いている。 ここからはボクの邪推に過ぎないのですが、今様で歌われている言葉は貴族社会ではタブーになっていたNGワードがたくさん含まれていた。だから後白河法皇は他の貴族から変わり者の物好きと言うか、ほとんど疎まれていた一因になっているのではなかろうか? 例えば男女の性愛に関する…

  • オヤジのあくび551

    加藤周一「梁塵秘抄」を読む1 大河ドラマなどで平安期の歌舞の場面が出てくると、踊っているのは白拍子である。加藤さんは、今様を歌っていた人々として他に傀儡子(くぐつ)がいたと言う。人形遣いの人々のことであろう。梁塵秘抄は彼らの歌謡だったのだ。だから宮廷内で生み出された文化ではない。 紫式部に代表される平安文学は、想像の世界を遊泳していた。そこで描かれる世界はあくまでも紫式部の脳裏から生まれたイメージの産物であり、当時の庶民の生活とはほとんど関係がない。ところが梁塵秘抄は、貴族社会=宮廷から遠いところで生活している人の歌なのだ。クラシック音楽とポピュラー音楽の落差に近いかもしれない。 実は図書館内…

  • オヤジのあくび550

    諏訪正樹「身体が生み出すクリエイティブ」を読む2 「身体で触れるように世界に接する」ことで、手持ちの知識やスキーマと呼ぶ行為パターンから抜けることが可能だと著者はいう。体感を言葉に置き換えておくことの意義を語る。体験が経験になる、現象学的には「現出が現出者に変わる」過程で元々皮膚なり私たちの五感が感じていたはずのものに、繊細かつ研ぎ澄まされた言葉で近づけるのではないか? と説くのだ。 著者の仮説を裏付ける研究者として神経生物学者のダマシオが紹介される。彼によれば「我々の推論や意思決定を陰で支えているのは、感情や情動を司る中枢機構」なのだ。そしてそれは進化的に古い脳の部位である。その前後で著者は…

  • オヤジのあくび549

    諏訪正樹「身体が生み出すクリエイティブ」を読む1 漫才のボケを例にして、普通は想定しないものごとにパッと「跳ぶ」。目のつけどころが良くて新しい視点をもたらすことは、クリエイティブであることの必要条件だと言う。しかし「跳ぶ」ことはあくまでも結果に過ぎず「体感に耳を澄まし、それに向き合って、身体の発露として、臨機応変に対応すること」が重要であるとも言う。 しかしながら、柔軟性とか臨機応変というのは、言うは易く行うは難しの代表選手で、たまたま発揮できた類のものであり、人に教えることはなかなか困難なのだ。そこで身体知という言葉が出てくる。直接対面しての会話は、身体のリアクションを通して言葉以外の+α部…

  • オヤジのあくび548

    小西正一「小鳥はなぜ歌うのか」を読む2 「どこでどう鳴くか?」は、周波数との関わりで説明してくれる。一般に森の中の小鳥は低周波で鳴く。高周波の声は樹々の枝に遮られて届かないからだそうだ。それよりも大切なのは、自分達を捕食するタカやフクロウからどう身を守るか? またそれをどう知らせるか? タカの可聴範囲を超えた周波数で鳴けば、仲間に知らせることができて、自分の位置もわからない。フクロウに対しても特定しづらい鳴き声を工夫していると言う。 「習わないとダメなのか?」と言う疑問については、若鳥を防音壁で囲われた部屋で育てる実験を紹介している。人間か言語を獲得する過程と同じように若鳥は師匠である成鳥から…

  • オヤジのあくび547

    小西正一「小鳥はなぜ歌うのか」を読む1 普通、動物が声を発する時、それを鳴くとか吠えるとか言う。けれど小鳥の鳴き声は「歌う」なのだ。中世のヨーロッパ人は小鳥に鳴き声をフラジオレットで学習させようと企んだ。小動物とのコミュニケーションとして微笑ましい。 なぜ? どうして? と問い始め答えを探すことで、人類は科学を発達させてきたのだ。「小鳥がなぜ歌うのか」「そんなの歌いたいからに決まってるじゃん!」と曰う御仁は、この本を手にすることがないかもしれない。 洋の東西を問わず演奏者・作曲家にとって、最大の課題は、聴き手が飽きたり寝てしまったりすることをどう防ぐか? です。小鳥の世界にも似たような工夫はあ…

  • オヤジのあくび546

    近藤勝重「昭和歌謡は終わらない」を読む3 美空ひばり、俳優畑から石原裕次郎に高倉健、ちあきなおみ、北島三郎・・と昭和歌謡史を彩る歌手の思い出を語っていく。紹介される歌は、すぐに口ずさむことができるし、声や歌い回しも思い出せる。これが昭和歌謡だったんだなぁ。 本書は、百恵→聖子→明菜と続き、それぞれがどんな歌詞を歌っていたのか? とりわけ売野雅勇が歌詞を書き、中森明菜が歌った「少女A」に突っ込みを入れている。 さらに著者曰く「気障」なジュリー。化身という言葉が文中に出てくるけれど、まさに昭和という時代の歌の化身なのかもしれない。本書から離れるけれど、ザ・タイガースに曲を提供していたのが、すぎやま…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、ほいほいさんをフォローしませんか?

ハンドル名
ほいほいさん
ブログタイトル
ほいほいの気ままに音楽エッセイ
フォロー
ほいほいの気ままに音楽エッセイ

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用