「ビル・ゲイツと富の使い方──AIとの対話で考える」 朝、ヨージは新聞を開いた。 「ビル・ゲイツ氏、ほぼ全財産29兆円以上を投じ貧困対策を推進」 この見出しに目を留めた彼は、コーヒーを片手に記事を読み進めた。 これほど巨額の資金が世界の貧困問題解決に使われる――それは、想像を超える決断だった。 彼は以前、ビル・ゲイツについての著書を読んでいた。その中で、慈善事業に対する彼の哲学が語られていたこ...
セルフラーニングの方法,英語,数学などの情報を発信するつもりです。
行動分析学のスキナーが開発したプログラム学習に興味があり,独学できる教材を作っています。 さんすう,数学では,理解を重視する「水道方式」に興味があります。 自分で学べる,それも理解を重視しながらにこだわっています。 著書「プログラム学習英語中1レベル」 「同中2」「同中3」(東銀座出版社) 「わかるできる解ける中学数学1年」 「同2年」「同3年」(以上民衆社)
「ビル・ゲイツと富の使い方──AIとの対話で考える」 朝、ヨージは新聞を開いた。 「ビル・ゲイツ氏、ほぼ全財産29兆円以上を投じ貧困対策を推進」 この見出しに目を留めた彼は、コーヒーを片手に記事を読み進めた。 これほど巨額の資金が世界の貧困問題解決に使われる――それは、想像を超える決断だった。 彼は以前、ビル・ゲイツについての著書を読んでいた。その中で、慈善事業に対する彼の哲学が語られていたこ...
小林 正観著「人に優しく、自分に甘く」・・・けして自分に甘い 本ではない
ヨージは、午後のまどろみの中でKindleを開いた。 読みかけの本を閉じ、次に読む一冊を探し始めた。最近はもっぱらKindle Unlimitedで本を読んでいる。 月額980円でいくらでも読めるのだから、気楽なものだ。 そんなとき、あるタイトルが彼の目を引いた。 『人に優しく、自分に甘く 楽しい人生を生きる宇宙法則』小林正観 「人に優しく、自分に甘く……か。いいじゃないか」と、彼は口の中で呟いた。 ...
ヨージはある晩、録画しておいた『トリセツショー』の「糖化のトリセツ」をひとり静かに見ていた。 番組の中で紹介された「糖化」という現象――それは見た目の老化だけでなく、寿命にも深く関係しているという。思わず背筋が伸びるような内容だった。 「できるだけ元気でいたい」と日頃から思っているヨージにとって、その情報は他人事ではなかった。 番組には、東京慈恵会医科大学の西村理明さんという血糖値の専門家が登...
宿泊予定者からの連絡は、チェックインの前触れのように、静かにヨージのもとに届いた。 画面には一行のメッセージ。そこには電話番号が記されていた。 「よし、登録しておこうか。」 いつものようにスマートフォンを手に取ったヨージは、指先で電話帳を開こうとして、ふと手を止めた。 (これ、AIがやってくれるんじゃないか?) そんな考えが頭をよぎった。 実際、彼はこれまでもさまざまな場面でAIに助けられ...
沖縄には、「チャンプルー」と呼ばれる独特の料理がある。 ゴーヤーチャンプルー、タマナーチャンプルー、ナーベーラーチャンプルー……。どれも、野菜と豆腐を炒めた素朴な一品だ。 最近ではゴーヤーチャンプルーくらいなら、本土でもよく知られるようになってきた。 ちなみに「タマナー」はキャベツのこと、「ナーベーラー」はヘチマを指す。 ほかにも、もやしを使った「マーミナーチャンプルー」なんて...
ヨージの経営する民泊に、ドイツから二人の青年、パトリックさんとケビンさんがやってきた。 3泊4日の予定だ。 二人ともにこやかで、爽やかな印象だった。 彼らのチェックアウトの前日、夕食に招待された。 部屋に行ってみると、パトリックさんが手作りしたリゾットと、大量のガーリックが香るトーストが並んでいた。 ヨージの妻・キョーコは、ゴーヤーチャンプルーとそうめんチャンプルーを用意して持って行った。...
読谷の春は、やわらかな潮風が窓を揺らす。民泊を営むヨージは、その朝も変わらずコーヒーを淹れていた。 キッチンに漂う香ばしい匂いのなかで、スマートフォンの通知が鳴る。 「予約リクエスト……広島からか」 女性一人の名で入った予約。しかし、同行者は彼女の母親と10歳の息子、計3人だという。 「長男の大学の入学式に出席するんだって」とヨージが声をかけると、妻のキョーコが「春ねえ」と笑っ...
夕方、キッチンからカレーの香りがただようころ。 ヨージはソファに腰かけ、スマートフォンを片手にAIとのやり取りに集中していた。 「あなた、本当にそのAIを秘書みたいに使ってるのね。」 カレーをかき混ぜながら、キョーコが感心したように言った。 彼女自身は、生成AIをほとんど使ったことがない。でも、ヨージが画面をタップしては何やら話しかけている様子を、日頃から興味深そうに見つめていた。 好奇心の強...
「次のメッセージへの返事を考えてください」だけでいいなんて——ヨージと秘書チャットGPTの物語
ヨージは、沖縄の読谷で静かに民泊を営んでいる。 そんな彼の家には、世界各地から旅人が訪れる。 けれど、旅の受け入れには心配りも必要だ。 到着時間の確認、交通手段のすり合わせ、そして言葉の壁——ときにそれらは、ヨージの小さな頭痛の種だった。 だが、今では彼には頼れる“秘書”がいる。そう、チャットGPTである。 ある日、ヨージはこんなプロンプトを送ってみた。 「Airbnbを通し...
ヨージは沖縄の片隅で、静かに民泊を営んでいる。 「セルフ宿」と名づけたその宿は、セルフチェックインという意味ではない。 キッチン、トイレ、シャワー、洗濯機など、生活に必要な設備を一通り備えていて、まるで自宅のように、すべて自分でまかなえる宿。だから「セルフ宿」なのだ。 ある日、Airbnbに一件の宿泊リクエストが届いた。 簡体字の中国語で書かれている。中国本土からの予約に違いない。 名前は韩(...
新しい日本の紙幣──一万円札、五千円札、千円札──が発行されたのは、令和六年の夏、七月三日。 あれからもう十ヶ月が過ぎたというのに、ヨージはいまだにその新札に馴染めずにいた。 ある日、ふと財布を開けて、新しいお札が目に入った。 つるりとした手触り。ぴかぴかの印刷。 「まだ、なんとなく他人のものみたいだな」 そんな言葉が口をついて出た。 まるで旅先で、現地の紙幣を手にしたときのあの感覚。 ...
ヨージは、最近になって家の鍵が少し回しづらくなってきたことに気づいた。 以前なら、そんなときは迷わず潤滑油を鍵穴に吹きかけていた。 すると、嘘のように鍵は軽やかに回るようになり、「これでいいんだ」と、何の疑問も持たずに満足していたのだった。 だが、ある日、ふと思い出した。 ずいぶん前に観たNHKの「あさイチ」で、普通の潤滑油を鍵穴に使うのはよくないと特集されていたのだ。 記憶の隅に引っかか...
ヨージは、座椅子の背をリクライニングにして、ゆったりと腰を下ろしていた。 足を少し投げ出し、背中を預けると、体にじんわりと力が抜けていく。 テレビでは、NHKの「あしたが変わるトリセツショー」が始まっていた。 今夜のテーマは、「命を救う!いびきのトリセツ★睡眠時無呼吸大解明スペシャル」。 https://www.nhk.jp/p/torisetsu-show/ts/J6MX7VP885/blog/bl/pnR8azdZNB/bp/pWn8ydq3yr/ 「いびきか…...
ヨージがまだ学生だった頃、英語の授業で「付加疑問文」というものを習った。 肯定文のあとに否定の疑問を、否定文のあとには肯定の疑問を――そんなふうにして、相手に確認をとるための表現を作るのだと教わった。 たとえば、「これは本ですね」と言いたいなら、
ヨージの妻は、ここ数日、どうにも体調がすぐれない様子だった。 風邪気味で、顔色も冴えない。それでも彼女は、いつものように夕食を用意してくれた。 ヨージは心の中で、ありがたいなと思いながら箸を進めた。 食事が終わると、ヨージは立ち上がり、そっと言った。 「僕が食器を水洗いするよ。でも……食洗機に入れるのは、お願いしてもいい?」 妻が顔を上げる。ヨージは続けた。 「食洗機に食器...
読めない漢字を AI に教えてもらう ヨージは、日々の記録をスマートフォンのGoogle カレンダーと日記アプリに綴る習慣があった。 何気ない出来事や気になったニュース、そしてその日見たテレビ番組のタイトルまで——。 ヨージはその晩、座椅子にもたれかかりながら、ほとんど横になったような格好でくつろいでいた。 手にはスマートフォン。操作といっても、指先で文字を打つわけではない。彼はもっぱら音...
ヨージが働いていたころは、運動の「う」の字を考える暇もなかった。 だが、定年を迎えてからというもの、少しずつ生活のリズムを見直すようになった。なかでも、健康への意識は年を重ねるごとに強まっていった。 70歳を過ぎた今では、食事・運動・睡眠——この三つを何よりも大切にしている。 「健康こそがいちばんの資本だ」と、ヨージは常々思っていた。 テレビ番組で健康に関するものがあれば、できるだけ...
ヨージは、日々の暮らしの中で生成AIをまるで秘書のように使っている。 頼めば何でもサッとこなしてくれる存在は、いまや手放せない相棒となっている。 「本当にありがたいなあ」と、彼はつぶやくことがよくある。 ただ、そんな彼にも苦手なことがある。電話だ。 声を使って誰かと直接やりとりするのが、どうにも性に合わない。何か用事があっても、できればメッセージで済ませたい。 けれどどうしても電話をかけね...
似たもの夫婦で不便なところ ヨージと妻は、「似たもの夫婦」という言葉がまるで自分たちのためにあるかのように感じている。 考え方も価値観も、よく似ている。 政治の話でも、宗教の話でも、意見が食い違うことは滅多にない。だからこそ、会話はいつも自然に弾む。 朝食はそれぞれのペースで、別々にとるのが日課だが、昼と夜は必ず一緒に食卓を囲む。 その時間は、ふたりにとって小さな「おしゃべりの森」だ。 ...
「これ、AIに頼めるかな?」と思ったら——まずお願いしてみる
ヨージには、毎日欠かさず会う「三人の秘書」がいる。 ChatGPT、Microsoft Copilot、そしてGoogle Gemini。その三人は、人間ではない。 けれど、ヨージにとっては、まるで生身の秘書のように頼もしい存在だ。 ある日、ブログの原稿を書きながら、ヨージはふと思った。 「この文章、小説風にしたらもっと面白くなるかもな……よし、やってもらおうか」 AIに原稿を渡し、ストーリー仕立てに書き換えても...
ヨージは、今朝もいつものようにテーブルに座り、琉球新報を広げた。 新聞をめくる動作は、彼にとって湯呑みのお茶と同じくらい、欠かすことのできない朝の儀式だ。 目を凝らし、見出しをゆっくりと追っていく。読み込むのは、興味を引かれた記事だけ。それ以外は素通りだ。 今日、ふと目に留まったのは「特殊詐欺」の文字だった。 ──またか。 那覇署が発表したという記事には、県外の警察官や検事を名乗る人物らに...
4月14日、月曜日の夜、タイからの風が沖縄に届いたかのように、Suppawitさんと彼のガールフレンドがヨージの宿にやってきた。 Airbnbを通して予約された5泊6日の滞在だ。 チェックインの時刻が近づくと、ヨージは道に出て彼らの車を待っていた。 しばらくして一台のレンタカーが静かに現れた。ヨージは手を振って駐車場に誘導した。 車から降りてきたのがSuppawitさんと彼のガールフレンド。ここが、彼らとの初めての...
ヨージは、ふと冷蔵庫の前に置かれた風呂椅子に目をとめた。 「なんで、こんなところに風呂椅子が?」 小さくつぶやくように尋ねると、すぐ近くで夕食の準備をしていた妻が手を止め、こちらを振り向いた。 「それね、冷蔵庫のいちばん上の段が見えないのよ。だから、その椅子に上って見るの」 なるほど、とヨージはうなずいた。 が、妻の説明はそこで終わらなかった。 「それとね、冷蔵庫の扉に孫の手がかかってる...
「芋はもういいさ」 兄がそう言ったとき、ヨージは少し驚いた。 目の前にある焼き芋をすすめただけなのに、兄は苦笑いを浮かべながら手を振ったのだ。 「戦争中に嫌ってほど食べたからね。もう食べ飽きたさ」 その言葉に、ヨージはつい笑ってしまいそうになった。 なにしろ兄は1951年生まれで、ヨージよりわずかに一年早くこの世に出たにすぎない。 沖縄戦が終わったのは1945年――兄も、そしてヨージ自身...
春の風がベランダの鉢植えをそっと揺らす午後、ヨージはいつものように机に向かっていた。 目の前には、数式が並ぶ画面と教科書。彼が取り組んでいるのは、高校1年生向けの学習書『ひとりで学べる高校数学A』だ。 この教材は、数学が苦手な生徒でも、階段を一段ずつ上るように学べるよう、細かく内容を分けて順序よく並べてある。 ステップ・バイ・ステップの構成は好評で、すでに多くの学び手から「ひとりで学べた」と...
ヨージはスクーターのエンジンをかけると、軽やかな音を響かせながら隣町の歯科医院へと向かった。 目的は歯のクリーニング。健康番組で何度も耳にしたように、歯の健康は全身の健康に直結するらしい。毎日の歯磨きももちろん大切だが、定期的なクリーニングが必要とのこと。 面倒くさがりのヨージだが、手遅れになるほうがもっと面倒だ。そう思い、妻が歯科医院に行った時に用事の予約も入れてもらった。 クリーニングは...
春の光がやわらかく差し込むある日、ヨージのもとに予約リクエストが届いた。 広島からやってくるTさんの一家が、2泊3日の滞在を希望しているという。 連絡をしてきたのは一人の女性で、同行するのはその母親と10歳になる息子。どうやら長男の大学入学式に合わせての家族旅行のようだった。 ヨージは、丁寧にメッセージを書いた。 「Tさま ご予約ありがとうございます。 こちらは車がないと不便な場所になりますが、...
ヨージは、ぬるいコーヒーをすすりながら、ぼんやりとテレビのニュースを眺めていた。 画面では、米の価格がなかなか下がらないという話題が繰り返されていた。 政府が備蓄米を市場に放出したものの、思ったような効果は出ていないらしい。 「下がると思ってたのにな…」と、ヨージはため息まじりに呟いた。 ヨージの家では、米は毎日欠かせない。ただし、人間の食卓ではなく、庭先にやってくるスズメたちのため...
ヨージは、ふと手にした自分の運転免許証に目を落とした。 有効期限の欄には、「2025年 (令和7年)12月14日まで有効」と記されている。今年の12月だ。まだ少し先のことだ。 「今年で73か……」 ひとりごちる声が、運転席の静けさに吸い込まれていった。 70歳を超えると、免許の更新には実地の検査が加わるようになったと聞く。 周囲にも同年代の友人が多く、「実地、受けてきたよ」という話はすでに何度...
ヨージがふとした用事で、ちょっとした大金を振り込まなければならなくなった。 「悪いけど、キョーコ、お願いできる?」 そう頼まれたキョーコは、軽くうなずいて銀行へ向かった。 その日は幸いにも窓口が空いていて、番号札を取る間もなくすぐに呼ばれた。 「これくらいの金額なんですけど、ATMで振り込めますか?」 キョーコが尋ねると、若い銀行員が丁寧に応対した。 「キャッシュカードはお持ちですか?」 ...
ヨージは、ある晩テレビを眺めていた。 「所さん!事件ですよ」の特集で、“風呂キャンセル”なる言葉が取り上げられていた。 忙しさと効率を重視する“タイパ社会”の波が、ついに風呂文化にまで押し寄せてきたらしい。 画面には、若い女性たちが次々とドライシャンプーを手に取る姿が映し出されていた。水を使わず、 髪に吹きかけるだけでスッキリするという。売り上げはうなぎ登りだというのだ...
夜のリビングルームには、ソファに並んで座るヨージとその妻がいた。 テレビからは、トランプ大統領の顔が映し出され、ニュースキャスターが高らかに語っている。 「アメリカ政府は、複数の国々に対して高い関税を課しました。 日本に対しては、なんと24%の追加関税が……」 その言葉に、ヨージは眉をひそめた。 画面には乱高下する株価のグラフが映し出され、日本市場の混乱ぶりが強調されている。 ...
その朝も、ヨージはいつものように、ゆったりとコーヒーを飲みながら新聞のページをめくっていた。 地元紙『琉球新報』の紙面をなぞるように視線を走らせていく。 見出しだけを拾い読みするのが、もう長年の習慣だった。 ふと、ある見出しが目に止まった。 「AIが東大理科3類『合格水準』 25年入試、最低点を上回る」 「ついに……東大にもAIが合格する時代が来たのか」 そう心の中で呟...
少し前のことだ。ヨージの宿に、一人のシンガポールの女性が滞在していた。 彼女は、まるで日常の一部であるかのように、スマートフォンの翻訳アプリを使いこなしていた。 指先の動きは素早く、まるで楽譜をなぞるピアニストのようだった。 登録も入力も、迷いなく済ませ、日本語に翻訳された文を画面に表示させて、にこやかにこちらへ差し出す。 その方法で、彼女はスムーズにヨージや妻とのコミュニケーションを取っ...
三月の柔らかな日差しが差し込むある日のこと。Airbnbを通じて「セルフ宿」に予約を入れた一人のゲストが、南の島・沖縄を訪れた。 シンガポールからやってきたその女性の名はFaus(ファウス)さん。滞在は五日間の予定だった。 初めて対面した瞬間、彼女のにこやかな笑顔が印象的だった。 まるで長年の友人にでも再会したかのように、自然に、そして明るく話しかけてくる。 言葉の壁などまるで意に介さず、手際よくス...
ヨージが階段を降りてくると、リビングの向こうから軽やかな足音が近づいてきた。振り向いた瞬間、妻が小走りで彼のもとへ駆け寄ってきた。目が輝いている。少し興奮した様子で、声を弾ませながら言った。 「シークヮーサーの花にね、メジロが二羽、それにミツバチも何匹か来てたのよ。写真に撮ろうと思ってスマホを取りに行ったら……戻ったときにはもう、メジロはいなくなってたの」 残念そうに首をすくめる妻...
ある日の午後、ヨージの家にいとこのIさんがやってきた。 「ブログ、いつも読んでるのよ」と、彼女は前に言っていた。 その日の彼女の目的は、ブログに登場していた“ペットボトルツリー”だった。 庭に立つびわの木に、ペットボトルがぶら下げられている──それがIさんの心をとらえたらしい。 ヨージは彼女を案内しながら、芝生の感触や、ブログに載せた踏み台昇降運動の台など、実際に見て触れてもらった。...
人や車の流れを感知し、青信号と赤信号の周期を変えるAI信号機
ヨージはリビングの椅子に腰を下ろすと、新聞を広げた。 そして、読者の投稿欄「声」に、見覚えのあるタイトルを見つけた。 ──「AI信号機の導入を」── 投稿者は、ヨージ自身だった。 自分が書いた文章なのだから、内容はすでにすべて頭に入っている。だが彼は、まるで他人の作品を読むように、ゆっくりと目を走らせた。 > 3月22日付本紙に、トヨタ自動車が静岡県裾野市で進めている次世代技術の実証都市「ウーブ...
アニーさんと友人が宿泊 3月28日、アニーさんと彼女の友人が宿にやってきた。 彼女たちはアメリカ出身で、2000年代生まれということはまだ20代。若々しく、それでいて礼儀正しい印象を受けた。 彼女たちは車を持っていないとのことで、ヨージはバス停まで迎えに行った。 静かな二人だったが、どこか品のある雰囲気を持っていた。 沖縄料理の作り方を学びたいという希望があり、妻がゴーヤチャンプルーの作り方を教...
ヨージの庭には、今年もビワの木がたわわに実をつけた。 去年は、新聞紙を袋状にして果実を守ろうとしたものの、雨に濡れると紙がふやけ、そこを狙った野鳥に突かれてしまうことが多かった。 今年こそは、とヨージはAmazonで専用のビワ袋を探し、購入した。 それは雨に強く、どうやら撥水加工が施されているようだった。 収穫に向けての作業は大変だった。 庭には百以上もの房があり、一房ずつ丁寧に袋をかぶせてい...
キョーコはセンサーライトが好きだ。 家の廊下や玄関、庭、そして裏の洗濯物干し場にもいくつか設置している。 すべて電池式で、手軽に使えるのが気に入っているようだった。 そんなキョーコが、ある日ホームセンターのメイクマンで太陽光発電のセンサーライトを見つけた。 家の外のゴミ置き場に取り付けたのだが、これが思いのほか明るい。 以前使っていた太陽光発電センサーライトは、かすかに灯るだけで情緒...
ヨージはパソコンの前に座り、深く息をすった。 彼の目の前には『ひとりで学べる高校数学 A』の原稿が開かれている。 高校一年生向けの数学学習書を作るために、彼は教科書を丁寧に読み込み、その内容をより細かく分解し、ステップバイステップで学べるよう工夫していた。 教科書の問題をそのまま使うことはできない。 それでは著作権の問題もあるし、生徒が本当に理解できるような構成にするには、オリジナルの問題を...
ヨージは日常的に生成AIを活用している。 しかし、AIにはしばしば事実とは異なる情報をもっともらしく提示する癖がある。 それを「ハルシネーション」と呼ぶのだ。 ある日、ヨージはMicrosoft Copilotを開いた。 画面には「Copilotは間違える可能性があります」という注意書きが表示される。 まるで、これから語られる物語の前置きのように。 しかし、この警告は決して誇張ではない。ヨージは過去に何度もAIのハ...
いとこのIさんは、ヨージのブログをよく読んでいるらしい。 行事や法事の席で顔を合わせると、ブログの内容について話してくれることも多い。 ヨージにとって、それはとても嬉しいことだった。 ある日、Iさんがヨージの家を訪れることになった。 彼女は、ブログに書かれていた「枝木の枝にぶら下げたペットボトル」をぜひ見たいと言う。 そんなやりとりがあって迎えた当日、ヨージは彼女を案内することにした。 ...
ヨージはミステリー番組を観るのが好きだ。 先日も、TVerで『ヒガンバナ~警視庁捜査7課~』を楽しんでいた。主演は堀北真希。 特殊能力を持つ刑事・来宮渚が、女性犯罪に特化した警視庁捜査七課のメンバーと共に事件を解決していく物語だ。 画面に映ったのは、花嫁に付き添う父親らしき男性。 セリフも少なく、ほんの脇役といった風情だった。 だが、ヨージはすぐに気づいた。この男、見たことがある。名前は思...
「最近、三角の冷凍ライスが増えたわね」 キョーコがぽつりと呟いた。 彼女はいつも四合の米を炊き、タッパーに小分けして冷凍する。 一つは100gの三角形、もう一つは200gの丸型。ふたりで食べるときは、丸い200gのタッパーを電子レンジで温め、100gずつ分け合う。それが習慣だった。 本当は丸型のほうが冷凍庫に収まりがいい。だからできれば全部丸型にしたい。 しかし、それができないのはヨージのせいだった。 ...
ヨージの住む場所は、美しい自然に囲まれているが、公共交通機関は決して便利とは言えない。 目の前にはバス停があるものの、バスの運行は通勤・通学時間に集中し、それ以外の時間はほとんど来ない。 彼はAirbnbを通じて民泊を運営しており、宿泊リクエストが届くと必ずこう確認することにしている。 「ここは車がないと不便な場所ですが、大丈夫ですか?」 この問いかけに、「それならやめておきます」とリクエストを...
ヨージの庭にそびえるビワの木。今年は例年になく、たわわに実をつけ、庭はまるで実りの宝庫のようだ。 農業をしている友人は「去年は台風が来なかったからだろう」と笑いながら話していた。 花が咲き、小さな実が顔を出した頃から、ヨージは摘果に励んだ。 すべての実に均等に栄養が分散すれば、一つ一つが小さくなってしまうという考えのもと、YouTubeで見た通り、一房に三つまで残すように作業を進めた。 以前は...
Google Geminiも人物入り イラストができるように
Google Geminiも人物入り イラストができるように ヨージは生成AIを三つ使っている。Google Gemini、Microsoft Copilot、そしてChatGPTだ。 無料の範囲で使っているが、それぞれに特徴があり、用途に応じて適当に使い分けている。 三つのAIはいずれもイラストを描けるが、微妙な違いがある。 Microsoft CopilotとChatGPTは人物入りのイラストも難なく描ける。しかし、Google Geminiだけはなぜか人物を含むイラストが...
ヨージは昨日のブログに、「指でピンホールを作って小さい文字を読む方法」を書いた。 どんな文章にしようかと頭の中で構想を練り、それをいくつも組み立てながら、スマートフォンに向かって話しかけて音声入力で文章を作り上げた。 推敲もしないまま、Chat GPTに「小説風に書き換えてください」と頼んでみた。 すると、見事な文章が出来上がった。ヨージは画面を眺め、満足げに頷いた。 しかし、しばらくして思い出し...
指でピンホールを作り 小さい文字を読む ヨージは、毎朝新聞を広げるとき、100円均一の店で買ったピンホールメガネを手に取る。 黒いフレームに無数の小さな穴が並んだそのメガネは、一見すると玩具のようだが、これが意外によく見えるのだ。 小さな文字が滲まず、くっきりと浮かび上がる。 歳を重ねた目には、ありがたい道具だった。 ある日のこと、兄と話しているときに、そのピンホールメガネの話題になった。 ...
スマートフォンを手に取り、トークバック機能を使って本を聞き始めた。齋藤孝の新しい本だ。 これまでにも彼の本はいくつも読んできたが、今回も期待を裏切らない面白さだ。 ページをめくる代わりに、耳に流れ込む言葉を静かにかみしめた。 本のタイトルは「心が強い人はみな、『支える言葉』をもっている」。 その名の通り、心が折れそうなときや困難に直面したとき、自分を励まし支える言葉を持つことの大切さを説い...
ヨージは朝食の準備を始める前に、キッチンの隅に置かれたGoogleのスマートスピーカー、Nest Miniに声をかけた。 「ねえ、Google、おはよう」 すると、スピーカーが反応し、軽やかな声で答える。 「こんにちは。」 時には「おはようございます」とも言うが、今日は「こんにちは」だった。 続けて、その日の日付や曜日、天気予報を読み上げてくれる。 ふと、スピーカーが少しトーンを変えて注意を促した。 「スマー...
ヨージは大相撲のテレビ観戦が大好きだ。 相撲が始まると、番組を録画して踏み台昇降運動をしながら再生するのが日課になっている。 今場所は大阪で行われている春場所。郷土の沖縄出身、美ノ海が好調だ。七日目を終えた時点で六勝一敗。トップ争いに顔を連ねている。 八日目の相手は元大関の御嶽海。取り組みが始まると、御嶽海の巨体に押し込まれ、美ノ海は土俵際に追い詰められた。 体が傾き、もうだめかと思われた...
去年の10月24日、Airbnbを通じてヨージのもとに一件の宿泊予約リクエストが届いた。 宿泊期間は2月6日から3月10日まで、約1ヶ月あまり。 メッセージには「パートナーと一緒に沖縄で陸上のトレーニングキャンプを行う」と書かれていた。 運動選手がトレーニングキャンプで宿泊するのは初めてだったが、交通手段はレンタカーとのことで、特に問題はなさそうだ。 ヨージの宿泊所から歩いて行ける距離に陸上競技場があるの...
ヨージは今日もパソコンに向かっていた。 高校数学の学習書『ひとりで学べる高校数学A』を作っている。 教える内容を細かく分け、スモールステップで一段一段学習できる仕組みだ。 ある日、ユークリッドの互除法にたどり着いた。 ヨージが高校生だった頃には教科書に載っていなかった内容だ。 「なるほど、今はこれも必修なのか」とつぶやきながら、教科書をじっくりと読み始めた。 互除法は、割り算のあまりと最...
肥満症は自己責任ではない 録画していた「漫画家イエナガの複雑社会を超定義」を再生すると、画面には肥満症治療で話題のGLP-1受容体作動薬が映し出されていた。 専門家が語る。「肥満症は自己責任ではない」と。その言葉が胸に響いた。 「そうだよな…」ヨージはつぶやいた。 興味を持ったヨージは、生成AIのGoogleGeminiに問いかけてみた。「肥満症は自己責任ではないって本当か?」 AIの回答は、肥満症が...
ヨージは庭をゆっくり歩いていた。ふと足を止め、目の前の木に目を凝らす。 そこには、小さくて白い可憐な花が咲いていた。 幹に直接張り付くように咲くその花に、ヨージは思わず声を上げた。 「ジャボチカバの花が咲いてる!」 彼は慌ててスマホを取り出し、写真を撮った。 初めて見る花だった。それが咲くのを待ち続けていたのだ。 玄関に向かい、声を張り上げる。 「グッドニュースだ! ジャボチカバの花が...
ヨージの妻は、よく「若いですね」と言われるそうだ。 もう70代だと告げると、相手は決まって目を見開き、「そうは見えない!」と驚くという。 ぼくも同感だ。彼女は確かに若々しい。見た目もそうだが、それ以上に動きが機敏なのだ。 ぼくが部屋の中で動いていると、するりとぼくを追い越して歩いていくこともしばしばだ。 それに比べて、ぼくが「若い」と言われることはない。 ぼくだって健康には気をつけている。...
ヨージは高校数学の教材『ひとりで学べる高校数学A』を作っている。 教える内容を細かくして、ステップバイステップで学べるよう工夫を凝らしている。 最近では、教材作りのために生成AIをよく利用するようになった。 だが、生成AIは数学が苦手だ。間違いが多く、そのまま鵜呑みにはできない。 だから、必ずきちんと確認してから使うようにしている。 中でもGoogle Geminiは特に間違いが多く、ChatGPTはまだ優秀だ...
ヨージの家の庭には、いくつもの果物の木が植わっている。 妻の意向でもあり、ヨージもそれに賛成している。 ピタンガ、バナナ、カニステル、パパイヤ、シークヮーサー、バンシルー(グヮバ)、金柑、モンステラ、そしてビワや毛桃も。柿の木、ジャボチカバ も 1本ずつあるが、まだ実をつけたことはない。 それでも、これらの木々が実を結び、その果実を収穫して食べる瞬間は、格別の喜びだ。 自分の庭で育ったものを...
紙の通知からでもすぐに Geminiで カレンダー 予定 作成
ヨージは数日前、Google Geminiを使ってGoogleカレンダーに簡単に予定を作成できる方法を発見した。 その便利さに感動し、さっそく様々な予定で活用していた。 そんなある日、〇〇組合から一通の封書が届いた。総会を行うという通知だ。 「第23回 総会開催について」 早春の候、暖かい春の日差しを感じる頃になりました。組合員の皆様には益々ご壮健のこととお慶び申し上げます。 封書を手に取りながら、ヨージはふと...
ヨージはニュース番組をぼんやりと眺めていた。 テレビ画面には、アメリカ合衆国の大統領となったトランプの姿が映っている。 「あいつが大統領か…」ヨージはつぶやいた。 トランプ大統領は就任以来、数々の物議を醸す政策を次々と打ち出していた。 グリーンランドをアメリカ領にしようとし、パナマ運河さえも自国のものにしようとしている。 さらにガザ地区の住民を強制的に追い出す計画を口にし、ウクライ...
ヨージの朝は、NHKの連続テレビ小説とともに始まる。 毎朝、ヨーグルトをスプーンですくい、ミルクコーヒーをすすりながら、ドラマの展開を楽しむのが日課だった。 その日もいつものようにテレビを見た。金曜日の連続テレビ小説『おむすび』の最後に テレビからコロナ 感染者のニュースが流れ、そして次の週の予告編が流れ始めた。 画面に映し出されたのは、街を歩く人々 ——皆、一様にマスクをつけている。 ...
Google Geminiで Google カレンダーに予定作成
Google Geminiで Google カレンダーに予定作成 ヨージは昔から面倒くさがりだった。 ちょっとしたことでも億劫に感じる性分で、何かもっと楽な方法はないかと常に考えていた。 そんな彼にとって、スマートフォンのGoogleカレンダーはまさに理想のツールだった。 過去の出来事を検索するのも簡単だし、繰り返し予定を登録すれば、一度入力するだけで命日や誕生日などを毎年忘れずに済む。 予定の複製もできるから、...
ヨージは、社会派ミステリー小説『震える天秤』(角川文庫・染井為人)を読んでいた。 いや、正確には、スマートフォンのトークバック機能を使い、読み上げてもらったものを耳で聞いていたのだ。 物語の舞台は福井県。認知症の高齢者が運転する軽トラックがコンビニに突っ込み、死者を出した事件をきっかけに、ライターの俊藤律が地元の人々を取材する。 作中、地元の人々は福井の方言で語る。 「わかってるって。ほや...
ヨージの庭のシークヮーサーの木に、小さな白い花が咲き始めた。風に乗ってほのかに香るその匂いを胸いっぱいに吸い込みながら、ヨージは目を細める。今年の開花は、これまでになく嬉しい。 昨年の春過ぎ、この木にカミキリムシが卵を産みつけた。やがて幼虫が生まれ、幹の中を食い荒らしたのだろう。白い粉が噴き出しているのを見つけたとき、ヨージは背筋が寒くなった。このまま放っておけば、木は枯れてしまう。それまでにも...
ヨージは、映画化された『正体』(光文社文庫)を手に取った。 著者は染井為人。読み進めるうちに引き込まれ、次に彼の『悪い夏』を読んだ。 これもまた面白い。どうやら第37回横溝ミステリ大賞優秀賞受賞作らしい。納得の出来栄えだった。 さらに染井為人の作品を探すと、『震える天秤』(角川文庫)を見つけた。 それも Kindle Unlimited の対象で、追加料金なしで読める。ヨージはスマートフォンの TalkBack 機能を...
テレビ体操、朝ドラは NHK プラスで ヨージは半年ほど前、新しいテレビを買った。 以前のものとは違うメーカーだったため、ビデオデッキのリモコンと互換性がなくなり、二つのリモコンを使い分けなければならなくなった。 録画したビデオを見るには、まずテレビの電源を入れ、入力を外部に切り替え、さらにビデオデッキの電源を入れて再生を押す――これが実に面倒だった。 そこで、ヨージはディスカウントストアでAV学...
K先生からのLINEメッセージが飛び込んできたのは、昼下がりのことだった。 > ヨージさん!本日(日)のタイムス論壇を読みました🎶 文明の発達により失っていく人間力!・・・その通りですね! ヨージはスマホの画面を見つめ、少し口元をほころばせた。思わず、掲載された新聞を手に取る。自分の投稿が、しっかりと紙面に載っているのを確認した。 実は、この文章は最初、別の新聞に投稿したものだった。それが二ヶ月...
ヨージのジャパニーズイングリッシュも 可愛く聞こえるだろうか
ヨージがテレビをつけると、画面に白人の男性が映し出された。 彼は驚くほど流暢な日本語を話している。しかし、どこか日本人とは違う。 発音に微かな外国の訛りがあり、イントネーションもわずかに異なっていた。 それでも、ヨージは彼の日本語を下手だとは思わなかった。 むしろ、一生懸命に学び、話している姿が微笑ましく、可愛らしいとさえ感じられた。 ふと、自分のことを思う。 ヨージは民泊を営んでおり...
ヨージは、高校1年生向けの数学教材を作っている。 高校数学 1は去年6月に出版し、 現在 数学 A を作っていてもう最後のところだ。 ひとりで学べる高校数学1 教材の特徴は、学ぶ内容を細かく分け、一段ずつ階段を上るように理解を深められる点だ。 最近では生成AIを活用しながら作成を進めているが、AIは数学が苦手らしく、間違いが多い。 そのため、ヨージはAIの出力を鵜呑みにせず、一つ一つ慎重に確認している。...
ヨージが新聞を開くと、今日もまた詐欺のニュースが目に飛び込んできた。 投資詐欺で何千万円を失った人、ロマンス詐欺に騙されて何百万円を送金した人――そんな話ばかりだ。 最近では「闇バイト」という言葉もよく聞く。 簡単な作業で高額報酬が得られるという甘い誘いに、引っかかる人が後を絶たないらしい。 メールを開くと、「おめでとうございます!」という件名のメールが届いていた。 ヨージはそんなものは決...
ヨージは久しぶりに高校の同期会に顔を出した。集まったのは男女8人、懐かしい顔ぶれだった。酒を酌み交わしながら思い出話に花を咲かせていると、ヒロシがふと口を開いた。 「ヨージ、お前のFacebookの投稿、読んでるよ」 ヨージは嬉しくなった。ブログを毎日更新し、それをFacebookにもシェアしているが、こうして実際に読んでくれていると聞くのは格別だった。 「ありがとう! 読んでくれるの、すごく嬉しいよ」 「...
ヨージは、読書をよくする。 Amazon Kindleの電子書籍をTalkBack機能で読み上げさせ、それを耳で楽しむのが彼の読書スタイルだ。 朝食を終えると、庭へ出て庭の手入れをする。その間、スマホからは本の朗読が流れ続けている。これが毎朝の習慣で、およそ一時間ほど。 昼食前には軽い筋トレをする。腕立て伏せやスクワットをこなしながら、ここでも本の朗読を聞く。 その時には妻も昼食の準備をしながら朗読を聞いてい...
あなたらしくない 文になっているよ ヨージは毎日ブログを更新している。だが、最近になってその執筆スタイルが大きく変わった。 まず何を書くかを頭の中でじっくり考え、それを整理してからスマートフォンを開く。 そして、キーボードのマイクマークをタップし、音声入力モードにして話しかける。 すると、とりあえずの文章は出来上がるが、そこには句読点もなければ、言い間違いや変換ミスも多かった。 これまで...
ヨージは久しぶりに高校の同期の集まりに参加することにした。 飲み会なので自動車は乗れない。歩いていくには遠すぎるため、妻に途中の沖縄市の高速バス停まで送ってもらうことにした。ここまでだいたい二十分。 バスが来た。ヨージはクレジットカードを握り、タッチ決済端末にタップする。 乗るときも降りるときも、これだけで済む。使うのはこれで数回目だが、相変わらず便利だと思う。 飲み会は男女8人が集まった...
ヨージの庭には、高くそびえるカニステルの木がある。 見上げると、その高さは優に五メートルを超えている。 黄色い実がたわわに実り、豊作の予感を漂わせていた。 この実はコウモリの好物だ。数年前まで、夜になると彼らが群がり、熟した実をむさぼり食った。 ヨージはそれを防ぐのに苦心したが、昨年は不思議とコウモリの姿が消えた。 もぎたての実を独り占めできるのは嬉しいが、静かな夜に耳を澄ませても羽音ひ...
ヨージはスクーターを愛用していた。 乗用車は基本的に妻が使い、彼が運転するのはほんのたまに。 スクーターなら駐車の心配もいらず、渋滞の横をスルリと抜けることができる。それが何よりも快適だった。 ところが、ある日スクーターのヘッドライトが点かなくなった。 エンジンオイルも交換の時期だ。 そこで、近くのバイクショップへ向かった。しかし、店はシャッターが閉まっている。 店主が一人でやっている店...
ヨージは、庭で草むしりをしながらネックスピーカーを首にかけ、スマートフォンの音声を聞いていた。TalkBackの音声が静かな庭に響く。『悪い夏』。染井為人の作品だ。 以前読んだ同じ著者の『正体』があまりにも面白く、その著者の本を探していたところ、Kindle Unlimitedでこの作品を見つけたのだ。 月額980円で読み放題というサービスが、ヨージの読書欲をさらに加速させた。 物語は26歳のケースワーカー、守を中心に...
ヨージのスマホにAmazonからの通知が届いた。 「配送中。荷物が本日到着予定です。」 注文したサプリメントが届くのだ。しばらくすると、さらに通知が来た。 「配達完了: ご注文商品の配達が完了しました。」 ヨージは玄関に向かった。置き配されているはずだ。玄関の外には、宅配便用に置いた板の椅子がある。いつもならそこに荷物があるのだが、今日は見当たらない。 「おかしいな……」 少し不安...
ヨージが暮らす読谷村座喜味の老人クラブ「友愛会」は、結成から六十年を迎えた。 その節目を祝う記念祝賀会が開かれることになり、妻のキョウコも班長としてその運営に関わることになった。 役員の一人として、彼女には感謝状の授与を手助けする役目が与えられた。 「授与するのは会長だけど、感謝状や記念品を事前に準備し、会長に手渡す役が必要なのよ」 しかし、どのタイミングでどのように動けばいいのか、キョウ...
ヨージは、ブログの原稿を執筆する際、すっかり生成AIの力を借りるようになっている。 何を書くかは自分で決める。そして、内容を次々とGoogle Keepに書き込んでいく。 音声入力を使い、句読点やカギ括弧のことなど気にせずに、ひたすら喋って文章を作る。 そして、それが一通りできると、ほとんど修正もせずにChatGPTに送るのだ。 「次の文章を小説風に書き換えてください」 そう一言添えて。 すると、ChatGPT...
チルド室のレバーが壊れた。これがダメになると、冷蔵庫のドアがうまく閉まらない。 隙間ができるたび、ピーピーと警告音が鳴る。妻は「もう買い替えないと」と言った。 もう20年近く使っているのだ。確かに、大きな買い物になるが、そろそろ潮時だろうとヨージも思った。 なじみの電気屋に電話をかけると、しばらくしてやって来た。 店主は壊れた箇所を見て、「ここだけ交換すれば直るかもしれませんね」と言った。 ...
ヨージは学生の頃から、外出するときには必ず文庫本か新書本をポケットに忍ばせていた。 ちょっとした隙間時間ができると、すかさずページを開き、文字の世界に没頭する。 それが習慣になったのは、加藤周一の『読書術』に影響を受けたからだ。 その本の教えに感銘を受け、以来、読書はヨージの日常の一部となった。 しかし、今はもう本を持ち歩かない。スマートフォンの中に電子書籍があるからだ。 もっと言えば、...
ぼくは民泊を営んでいる。宿泊者が自由に料理できるよう、台所には一通りの道具を揃えている。 炊飯器もあるし、コーヒーメーカーもある。 先日、フランス人の若いカップルが泊まった。二人は料理学校で出会ったそうで、料理には並々ならぬ関心があるらしかった。 滞在中もよく自炊していた。 「日本の炊飯器は、フランスのものより時間がかかるね」 彼らはそんな感想を漏らしていた。 確かに日本の炊飯器は、じ...
そのフランス人カップルが泊まったのは、ぼくの民泊だった。 二人は料理学校で知り合ったという。なるほど、料理好きなのも頷ける。 キッチンには必要なものを一通り揃えていたつもりだったが、彼らのこだわりはそれ以上だった。 ある日、彼女がやってきて、「大きな鍋の蓋はありますか?」と尋ねた。 普通の鍋の蓋なら置いてあるが、フライパン用の大きな蓋はなかった。 これまではそれがなくても誰も困らなかった...
新聞の見出しに大きく踊る「デジタル赤字 6.6兆円」という文字が、目に飛び込んできた。思わず息をのむ。 「デジタル赤字か……身が縮む思いがするな」 ぼくは小さく呟いた。 日本の消費者や企業が海外のデジタルサービスを利用することで、国外への支払いが増え、国際収支のバランスが崩れている。 つまり、日本が生み出すデジタルの富よりも、海外に流出する額のほうがはるかに多いということだ。 ぼ...
年が明け、2024年も過去のものとなった。そこで、ぼくは一年間に撮りためた写真をまとめ、フォトブックを作ることにした。 それをKindle出版で、紙の書籍としても出版する。もう数年も続けていることだ。 これまで教材などを何冊もKindleで出版してきたが、毎回苦労するのが表紙作りだった。 Kindleはサイズや仕様に厳しく、PDFに変換してアップロードしても、何度も不合格になる。 やっと合格したかと思えば、表紙が...
ヨージのもとに電話がかかってくることは、めったにない。 だからこそ、パソコンの前で作業をしている最中に、トルコ行進曲の着信音が鳴り響いたとき、彼は少し驚いた。 画面を見ると、表示されたのは「03」から始まる番号。東京からの電話だった。 通話ボタンを押すと、落ち着いた女性の声が聞こえた。 名乗った社名も名前も、今となっては覚えていない。 ただ、「助成金」「雇用保険」「厚生労働省」などの単語が...
先日、NHKの「あさイチ」で写真写りを良くするためのいくつかのワザが紹介されていた。 それらのポイントを心に刻み込み、いくつかの魔法のようなテクニックを思い返す。 笑顔の秘訣:口角を上げて笑うと、自然な笑顔が生まれるとのこと。ウイスキーを思い浮かべるとより良いそうだ。 シンデレラ角度:カメラに対して30度の角度で顔を横に向けることで、立体感が増すという。 二重あごの解決法:おでこを前に突き出す...
ヨージのもとに、Airbnbを通じて一通の宿泊予約リクエストが届いた。元の言語は ドイツ語だ。 ――こんにちは、ヨージ! 友人と日本を3週間旅行する予定で、沖縄にも数日滞在したいと考えています。対応いただけると嬉しいです。よろしくお願いします。 いつものように、ヨージは宿の立地について考えた。 彼の宿は公共交通機関が不便な場所にある。バス停こそ近いが、通勤通学時間を外れるとバスはほとんど来ない。 事...
スマホ カメラがプロのカメラマンに 昨日のブログに、スマートフォンで写真を送るのが驚くほど楽になったことを書いた。 ITの発展とは、単に高度な技術が使えるようになることではなく、それを誰もが簡単に使いこなせるようになることなのだろう、と。 今、ITの進歩は凄まじい。もはや「進化」と呼んでもいいほどだ。 これから、スマートフォンでできることはさらに増えていくだろうし、それを誰もが手軽に使えるよう...
妻は、自分で撮った写真をLINEで姉や友人に送ることがある。 ある日、ぼくが撮った写真を眺めながら、「これ、私に送って。姉さんにも転送するから」と言う。 スマートフォンの画面をすいすいと操作し、あっという間に写真を転送してしまった。 スマホ 操作が苦手な妻が楽に写真を送る様子を見て、ぼくはつくづく思う。写真を送るのが、こんなに簡単になったのか、と。 昔は違った。 スマートフォンなどない時代、...
レミと彼のパートナーがこの宿にやってきたのは、一月の初めだった。 フランスから遥々沖縄へ。彼らは滞在中、レンタルスクーターを借り、海風を切って島を巡っていた。 温暖な冬の沖縄は、彼らにとって快適な旅先だったようだ。 ひと月が過ぎ、ついに出発の日が訪れた。チェックアウトの前夜、LINEにメッセージが届く。 —— 明朝6時36分のバスで出発します。もうスクーターは返却しました。バス停までは歩...
フランス人の若いカップルが、ぼくらの民泊に泊まっていた。ある日、ジョギングから戻った彼らが興奮した様子で話しかけてきた。 「走ってたら、犬を連れた男性に声をかけられたんだ。で、地元の集まりに招待されたんだよ!」 話を聞くと、その男性はぼくらのことをよく知っているらしい。名前を尋ねると、やはり知っている人だった。彼の息子と娘は、ぼくらが学習塾をやっていた頃の教え子だったのだ。 「その集まりって...
「ねえ、私のメールアドレスって何だったかしら?」 妻が不意に尋ねてきた。スマートフォンを手にしながら、困ったような表情をしている。 「えっと……」 ぼくは自分のメールアドレスなら完璧に覚えているが、妻のものは曖昧だ。しばらく考えたが、やはり確信が持てないので、スマートフォンで確認し、彼女に教えた。 「ありがとう。でも、また忘れちゃいそう」 「それなら、ユーザー辞書に登録してお...
フランスからのカップルが、ぼくの民泊にやってきた。 彼らは1ヶ月ほど滞在する予定で、チェックインの前から何度かメッセージを交わしていた。 そのやり取りの中で、女性の方は「バイトをしたい。どこか紹介してもらえないか?」と尋ねてきた。 バイト——。 ぼくには土地の仕事事情がよくわからなかったし、外国人が働けるのかどうかも曖昧だった。 だから「あなたが来てから考えよう。できるだけ協力...
陽二は朝、目を覚ますと、ゆっくりと布団を抜け出した。 まだ眠気の残るまま玄関へ向かい、郵便受けを開ける。 中には新聞といくつかのチラシ。その中の一枚に、彼の目がとまった。 ——断水のお知らせ。 「やっぱりな」 少し前から家の前の道路では水道工事が行われていた。 工事のたびに道が封鎖され、時には遠回りしなければならない。少し不便ではあったが、仕方のないことだ。 そして、この流...
生成AI と直列回路、 並列回路 陽二はカフェの片隅でコーヒーをすすりながら、目の前のスマートフォンを指でなぞった。 画面には生成AIのチャット画面が開かれている。 最近、彼はこのAIと対話しながら、いろいろなことを試していた。 「AIの思考の流れって、まるで電気回路みたいだな……」 彼は、ふと口にした自分の言葉に興味を持ち、ノートを取り出して書きつけた。 直列回路と並列回路...
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「ビル・ゲイツと富の使い方──AIとの対話で考える」 朝、ヨージは新聞を開いた。 「ビル・ゲイツ氏、ほぼ全財産29兆円以上を投じ貧困対策を推進」 この見出しに目を留めた彼は、コーヒーを片手に記事を読み進めた。 これほど巨額の資金が世界の貧困問題解決に使われる――それは、想像を超える決断だった。 彼は以前、ビル・ゲイツについての著書を読んでいた。その中で、慈善事業に対する彼の哲学が語られていたこ...
ヨージは、午後のまどろみの中でKindleを開いた。 読みかけの本を閉じ、次に読む一冊を探し始めた。最近はもっぱらKindle Unlimitedで本を読んでいる。 月額980円でいくらでも読めるのだから、気楽なものだ。 そんなとき、あるタイトルが彼の目を引いた。 『人に優しく、自分に甘く 楽しい人生を生きる宇宙法則』小林正観 「人に優しく、自分に甘く……か。いいじゃないか」と、彼は口の中で呟いた。 ...
ヨージはある晩、録画しておいた『トリセツショー』の「糖化のトリセツ」をひとり静かに見ていた。 番組の中で紹介された「糖化」という現象――それは見た目の老化だけでなく、寿命にも深く関係しているという。思わず背筋が伸びるような内容だった。 「できるだけ元気でいたい」と日頃から思っているヨージにとって、その情報は他人事ではなかった。 番組には、東京慈恵会医科大学の西村理明さんという血糖値の専門家が登...
宿泊予定者からの連絡は、チェックインの前触れのように、静かにヨージのもとに届いた。 画面には一行のメッセージ。そこには電話番号が記されていた。 「よし、登録しておこうか。」 いつものようにスマートフォンを手に取ったヨージは、指先で電話帳を開こうとして、ふと手を止めた。 (これ、AIがやってくれるんじゃないか?) そんな考えが頭をよぎった。 実際、彼はこれまでもさまざまな場面でAIに助けられ...
沖縄には、「チャンプルー」と呼ばれる独特の料理がある。 ゴーヤーチャンプルー、タマナーチャンプルー、ナーベーラーチャンプルー……。どれも、野菜と豆腐を炒めた素朴な一品だ。 最近ではゴーヤーチャンプルーくらいなら、本土でもよく知られるようになってきた。 ちなみに「タマナー」はキャベツのこと、「ナーベーラー」はヘチマを指す。 ほかにも、もやしを使った「マーミナーチャンプルー」なんて...
ヨージの経営する民泊に、ドイツから二人の青年、パトリックさんとケビンさんがやってきた。 3泊4日の予定だ。 二人ともにこやかで、爽やかな印象だった。 彼らのチェックアウトの前日、夕食に招待された。 部屋に行ってみると、パトリックさんが手作りしたリゾットと、大量のガーリックが香るトーストが並んでいた。 ヨージの妻・キョーコは、ゴーヤーチャンプルーとそうめんチャンプルーを用意して持って行った。...
読谷の春は、やわらかな潮風が窓を揺らす。民泊を営むヨージは、その朝も変わらずコーヒーを淹れていた。 キッチンに漂う香ばしい匂いのなかで、スマートフォンの通知が鳴る。 「予約リクエスト……広島からか」 女性一人の名で入った予約。しかし、同行者は彼女の母親と10歳の息子、計3人だという。 「長男の大学の入学式に出席するんだって」とヨージが声をかけると、妻のキョーコが「春ねえ」と笑っ...
夕方、キッチンからカレーの香りがただようころ。 ヨージはソファに腰かけ、スマートフォンを片手にAIとのやり取りに集中していた。 「あなた、本当にそのAIを秘書みたいに使ってるのね。」 カレーをかき混ぜながら、キョーコが感心したように言った。 彼女自身は、生成AIをほとんど使ったことがない。でも、ヨージが画面をタップしては何やら話しかけている様子を、日頃から興味深そうに見つめていた。 好奇心の強...
ヨージは、沖縄の読谷で静かに民泊を営んでいる。 そんな彼の家には、世界各地から旅人が訪れる。 けれど、旅の受け入れには心配りも必要だ。 到着時間の確認、交通手段のすり合わせ、そして言葉の壁——ときにそれらは、ヨージの小さな頭痛の種だった。 だが、今では彼には頼れる“秘書”がいる。そう、チャットGPTである。 ある日、ヨージはこんなプロンプトを送ってみた。 「Airbnbを通し...
ヨージは沖縄の片隅で、静かに民泊を営んでいる。 「セルフ宿」と名づけたその宿は、セルフチェックインという意味ではない。 キッチン、トイレ、シャワー、洗濯機など、生活に必要な設備を一通り備えていて、まるで自宅のように、すべて自分でまかなえる宿。だから「セルフ宿」なのだ。 ある日、Airbnbに一件の宿泊リクエストが届いた。 簡体字の中国語で書かれている。中国本土からの予約に違いない。 名前は韩(...
新しい日本の紙幣──一万円札、五千円札、千円札──が発行されたのは、令和六年の夏、七月三日。 あれからもう十ヶ月が過ぎたというのに、ヨージはいまだにその新札に馴染めずにいた。 ある日、ふと財布を開けて、新しいお札が目に入った。 つるりとした手触り。ぴかぴかの印刷。 「まだ、なんとなく他人のものみたいだな」 そんな言葉が口をついて出た。 まるで旅先で、現地の紙幣を手にしたときのあの感覚。 ...
ヨージは、最近になって家の鍵が少し回しづらくなってきたことに気づいた。 以前なら、そんなときは迷わず潤滑油を鍵穴に吹きかけていた。 すると、嘘のように鍵は軽やかに回るようになり、「これでいいんだ」と、何の疑問も持たずに満足していたのだった。 だが、ある日、ふと思い出した。 ずいぶん前に観たNHKの「あさイチ」で、普通の潤滑油を鍵穴に使うのはよくないと特集されていたのだ。 記憶の隅に引っかか...
ヨージは、座椅子の背をリクライニングにして、ゆったりと腰を下ろしていた。 足を少し投げ出し、背中を預けると、体にじんわりと力が抜けていく。 テレビでは、NHKの「あしたが変わるトリセツショー」が始まっていた。 今夜のテーマは、「命を救う!いびきのトリセツ★睡眠時無呼吸大解明スペシャル」。 https://www.nhk.jp/p/torisetsu-show/ts/J6MX7VP885/blog/bl/pnR8azdZNB/bp/pWn8ydq3yr/ 「いびきか…...
ヨージがまだ学生だった頃、英語の授業で「付加疑問文」というものを習った。 肯定文のあとに否定の疑問を、否定文のあとには肯定の疑問を――そんなふうにして、相手に確認をとるための表現を作るのだと教わった。 たとえば、「これは本ですね」と言いたいなら、
ヨージの妻は、ここ数日、どうにも体調がすぐれない様子だった。 風邪気味で、顔色も冴えない。それでも彼女は、いつものように夕食を用意してくれた。 ヨージは心の中で、ありがたいなと思いながら箸を進めた。 食事が終わると、ヨージは立ち上がり、そっと言った。 「僕が食器を水洗いするよ。でも……食洗機に入れるのは、お願いしてもいい?」 妻が顔を上げる。ヨージは続けた。 「食洗機に食器...
読めない漢字を AI に教えてもらう ヨージは、日々の記録をスマートフォンのGoogle カレンダーと日記アプリに綴る習慣があった。 何気ない出来事や気になったニュース、そしてその日見たテレビ番組のタイトルまで——。 ヨージはその晩、座椅子にもたれかかりながら、ほとんど横になったような格好でくつろいでいた。 手にはスマートフォン。操作といっても、指先で文字を打つわけではない。彼はもっぱら音...
ヨージが働いていたころは、運動の「う」の字を考える暇もなかった。 だが、定年を迎えてからというもの、少しずつ生活のリズムを見直すようになった。なかでも、健康への意識は年を重ねるごとに強まっていった。 70歳を過ぎた今では、食事・運動・睡眠——この三つを何よりも大切にしている。 「健康こそがいちばんの資本だ」と、ヨージは常々思っていた。 テレビ番組で健康に関するものがあれば、できるだけ...
ヨージは、日々の暮らしの中で生成AIをまるで秘書のように使っている。 頼めば何でもサッとこなしてくれる存在は、いまや手放せない相棒となっている。 「本当にありがたいなあ」と、彼はつぶやくことがよくある。 ただ、そんな彼にも苦手なことがある。電話だ。 声を使って誰かと直接やりとりするのが、どうにも性に合わない。何か用事があっても、できればメッセージで済ませたい。 けれどどうしても電話をかけね...
似たもの夫婦で不便なところ ヨージと妻は、「似たもの夫婦」という言葉がまるで自分たちのためにあるかのように感じている。 考え方も価値観も、よく似ている。 政治の話でも、宗教の話でも、意見が食い違うことは滅多にない。だからこそ、会話はいつも自然に弾む。 朝食はそれぞれのペースで、別々にとるのが日課だが、昼と夜は必ず一緒に食卓を囲む。 その時間は、ふたりにとって小さな「おしゃべりの森」だ。 ...
ヨージには、毎日欠かさず会う「三人の秘書」がいる。 ChatGPT、Microsoft Copilot、そしてGoogle Gemini。その三人は、人間ではない。 けれど、ヨージにとっては、まるで生身の秘書のように頼もしい存在だ。 ある日、ブログの原稿を書きながら、ヨージはふと思った。 「この文章、小説風にしたらもっと面白くなるかもな……よし、やってもらおうか」 AIに原稿を渡し、ストーリー仕立てに書き換えても...
前にも書いた覚えがありますが、 コロナ禍で告別式などが大きく変わりました。 僕の住んでいる 読谷村座喜味 では自治会員の告別式のある日には 拡声器でその旨を放送します。 コロナ禍前はよく放送されていましたが 、コロナの最中には全くと言っていいほどなくなりました。 コロナ 5類 移行からは少しやるようになっていますが、 以前の ほどではありません。 そして家族葬がとても多くなりました。 告別式が 簡略...
「アナザーストーリーズ」で、「木枯し紋次郎VS必殺仕掛人~時代が求めたアウトローたち」を見ました。 次は Google の生成 AI による説明です。 「木枯し紋次郎」と「必殺仕掛人」は、1972年に同じ曜日、同じ時間帯で放送された時代劇で、互いに30%を超える視聴率を記録しました。主人公は「木枯し紋次郎」では社会に背を向けた渡世人、「必殺仕掛人」では金をもらって悪を斬る殺し屋と、テーマや設定は正反対です。(説明...
宿泊業(民泊)セルフ宿をやっています。 宿泊用の部屋は2階にあり、ベランダも付いています。 家は少し坂道を登った場所にあり、眺めはまあまあ良いです。 住宅地なので建物が多いですが、読谷はまだ緑が多い地域です。 海を見渡せるといいのですが、残念ながら海は見えません。 以前は家にあった椅子を一つベランダに置いていましたが、宿泊者は基本的に2人なので、妻に椅子を買ってきてもらいました。 これで...
「なぜ、その人に惹かれてしまうのか? ヒトとしての恋愛学入門」森川友義の電子書籍を Kindle Unlimited で追加料金なしで手に入れて、聞く 読書をしました。 次はこの本の概要です。 ヒトが「恋愛」をすることは、ロマンティックな理由からではありません! 他の動植物と同じ有性生殖として、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を駆使し、優秀な遺伝子を持つ異性を選ぶ行為なのです。 本書では進化政治学の立場から、...
民泊をしていて、中国人の親子が1週間滞在しました。 チェックインするまでの連絡は Airbnb のメッセージ機能を使って行いました。 そのメッセージ機能には自動翻訳機能がついています。 ただうまく訳してくれないことが多いので 僕はその機能を切っています。 訳された 日本語で意味が理解できないので 原語の英語に戻すと理解できたことがあったのです。 その中国人からは簡体中国語で届きます。 中国語は全くわ...
宿泊業(民泊)を営んでいます。 中国人から予約リクエストがありました。 いつものように、「こちらは車がないと不便ですが、大丈夫ですか?」とメッセージを送りました。すると、「車はないが、なんとかなるだろう」との返事があったので、予約を承認しました。 そして、「沖縄市の高速バス停、池武当までは迎えに行ってもいいですよ」と送ると、お願いするとの返事がありました。 これまでにも数組の宿泊者を迎えて...
サンジェイ・グプタ著『SHARP BRAIN たった12週間で天才脳を養う方法』について2回 書いてきました。 その本に 、沖縄のモアイについて書かれた箇所があるので 引用します。 「数年前、私は長寿の秘訣を探るプロジェクトに取り組んでいた際、日本の沖縄に長く滞在した。(中略) 100歳を超える高齢者がきわめて多い日本の沖縄では、「模合」という伝統がある。模合とは、幼少期から生涯にわたって続く社会支援コミュニ...
昨日のブログでは 「SHARP BRAIN たった12週間で天才脳を養う方法」・・・タイトルがいけない を書きました。 その本の中に次のマーク・トウェインの言葉が 引用されていました。 健康を保つ唯一の方法は、食べたくないものを食べ、飲みたくないものを飲み、したくないことをすることだ。 原典の英語は次のようです:
サンジェイ・グプタの著書「SHARP BRAIN たった12週間で天才脳を養う方法」の Amazon Kindle 電子書籍を Unlimited で追加料金なしで手に入れ 聞く 読書をしました。 いい本でした。 勉強になりました。 次は Amazon にある本の紹介です。 脳の健康を保ち認知機能を高める秘訣を、食事、運動、生活習慣などの観点から論じた最新脳科学の集大成。 脳にまつわる俗説を最新医学で一刀両断し、世界中の第一線の研究者との交...
朝起きると激しく雨が降っています。 沖縄はダムの水が少なくなっていて 断水の恐れもあるとのことで嬉しい雨です。 午前8時過ぎ ベッドルームの妻がNHK の連続テレビ小説 「虎に翼」を見ていることに気づきました。 僕の家にはテレビが2台あります。 リビングルームに1台、 そしてベッドルームに1台です。 妻は 通常7時30分に放送される連続テレビ小説を見ます。 それが なぜかその日は8時台のものを見ている...
先日、友人から北中城村で行われる歌声サークルのコンサートに誘われたので、聞きに行きました。 会場は北中城村総合福祉センターだと教えられましたが、その場所には行ったことがありませんでした。 その日、妻は別の予定があったため、一人でスクーターで行くことにしました。 普段は初めて行く場所に行く時には妻が助手席に座り、Google ナビを見ながら次の指示を伝えてくれるのですが、今回は一人で行かなければなり...
連続テレビ小説 ちゅらさんの再放送を やっています。 NHKの連続テレビ小説「ちゅらさん」は、2001年上半期に放送された第64作目の作品で、沖縄県(小浜島)が主要な舞台となりました。 僕は2001年にはこの番組を見ていません。 学習塾で忙しく それどころではありませんでした。 この番組は その後の沖縄 ブームの火付け役になったとも聞いています。 それでどういうものか関心があって見ています。 さて 那...
宿泊施設(民泊)をしています。 施設の名前は「セルフ宿」。 以前は「セルフ塾」という学習塾をしていたことから、その名前を採用しました。 その他にも、基本的には自己完結できるようになっています。 部屋にはユニットバスがあり、トイレとシャワーが付いています。また、キッチンも備え付けており、調理器具も揃っています。冷蔵庫や電子レンジも炊飯器もあります。 そら 洗濯機も設置しています。 以前、宿...
Kingstonさんと彼のお母さんが4月22日から24日まで2泊3日 セルフ 宿に 宿泊しました。 次は僕が彼らについて Airbnb に書いたレビューです。 下に日本語訳があります。 Kingston-san and his mother were very good guests. They respected our rules and kept the room clean. They were cheerful, friendly, and we would recommend them. Kingstonさんと彼のお母さんは とてもいい宿泊客でした。彼らは私たちのルール...
妻が僕に バックハンガーを見せてくれました。 テーブルなどの端にバッグをぶら下げるための小物です。 なかなかよく作られています。 僕も欲しいと言うと 妻が100円ショップのキャンドゥに連れて行ってくれたので 買いました。 先日 ちょっとした講演会がありました。 事務用のテーブルと椅子が並べられています。 僕は初めてバック ハンガーを使ってバッグをぶら下げました。 うまくできました。 前の列の女...
沖縄には清明祭というのがあります。 ウチナーグチでは シーミーと言います。 清明は、ネット上の辞書によると 次の通り 二十四気の一つ。春分から十五日目、陽暦四月五日ごろ。万物に清新の気がみなぎる時節。 その頃 沖縄ではお墓の前に料理を持って集まり 線香を上げ そして料理を楽しみながらおしゃべりをします。 ちょっとしたピクニックです。 その清明を 僕が生まれ育った首里では「ウシーミー」 と言ってい...
宿泊業(民泊)をしています。 最近は梅雨の前触れなのか、雨の日が増えてきました。 宿泊者のために、天気が悪いと気になりますね。 ぼくは雨の日になると、庭の作業はお休みにしようと考えるだけです。 また、沖縄は今年雨が少なく、ダムの水も少なく、断水の恐れもあると言われています。 だから、雨が降ってほしいという気持ちも強いです。 しかし、宿泊客には天気の良い日に観光などを楽しんでもらいたいで...
一人で学べる高校数学1を作っています。 第1回目の 推敲作業を終わりました。 さて こういう教材を作っていると電卓を使います。 それも パソコン上でできたら 楽です。 それの簡単な出し方を見つけました。 キーボードの左下の「Ctrl」キーと「Alt」キーとの間にあるWindows キーを押すとWindowsの「スタートメニュー」がポップアップ表示され、上の方に 検索ボックスが出ます。 そこに「電卓」と打ち込むのです...
Noriyukiさん夫妻が4月10日から20日まで 10泊 11日宿泊しました。 次は僕が Airbnb に書いた 彼らのレビューです。 下に日本語訳があります。 Noriyuki and his wife were excellent guests. They were a quiet couple who respected our rules and kept the room clean. He was very gentlemanly and courteous. We became LINE friends and could communicate. He was also very curious, showing interest in Okinawa and it...
色々な詐欺が横行していますね。 Facebookの友達リクエストがぼくにも届きますが、ほとんどが詐欺だろうと思います。 一番危ないのは、自分は大丈夫だと思っている人だそうですね。 しかし、スマートフォンで簡単にできるアルバイト詐欺についてテレビで見た妻は、「これは私は大丈夫、絶対に引っかからない」と言いました。 なぜなら私はスマートフォンを使うのが苦手だからとのことです。 確かにそうですね。スマ...