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お話 https://blog.goo.ne.jp/shin-nobukami

日々思いついた「お話」を思いついたままに書く

或る時はファンタジー、或る時はSF、又或る時は探偵もの・・・などと色々なジャンルに挑戦して参りたいと思っています。中途参入者では御座いますが、どうか、末永くお付き合いくださいますように、隅から隅まで、ず、ず、ずぃ〜っと、御願い、奉りまする!

伸神 紳
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2007/11/10

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  • ジェシルと赤いゲート 74

    「なんだ、そりゃあ!宇宙パトロールの新兵器かあ?」コルンディは叫ぶ。傭兵たちは相変わらず動けない。「コルンディ君……」マスケード博士が尻餅をついたままのコルンディに近づく。「兵器開発者の君にはそのように見えるのかも知れんが、これは神のなせる業なのだよ……」「神、だとぉ……」「そうだよ」ジャンセンはうなずく。「この二人は、この時代の神として、今ここにいるんだ。さっきからそう言っているじゃないか。素直に認めなよ」「ふざけるな!」コルンディは立ち上がる。「何が神だ!オレは信じないぞ!」コルンディは言うと、上着の左内側に右手を入れ、ショルダーホルスターから熱線銃を抜き取り、銃口をジェシルたちに向ける。ジャンセンと博士は数歩後退するが、ジェシルとマーベラは無言のまま動かない。ジャンセンは、マーベラの仮面の細くくり貫...ジェシルと赤いゲート74

  • ジェシルと赤いゲート 73

    「おいおいおいおい!」コルンディが叫ぶ。静かに見つめるジェシル、不気味な仮面をつけて見つめるマーベラ。その異様な雰囲気はコルンディのみならず、並んでいる傭兵たちをも怖じ気づかせる。「何だよ、こりゃあ!一体何なんだよお!」コルンディは泣き声だ。「……ジェシル、悪かったよお!お前を始末するのは無しだ!」「ブオーサ・マイメーラ!」ジェシルが声を張った。「ブオーサ・マイメーラ!」マーベラも声を張る。「何だってんだよお!何を言ってんだよお!」コルンディはへたり込むように座る。「コルンディさん……」ジャンセンは並び立つジェシルとマーベラの横から姿を見せ、大きなため息をつく。「この二人が言っているのは古代ペトラン語で『神は怒る』って言っているんだ。……あんた、開けちゃいけない封印を開けちゃったみたいだねぇ……」「神、だ...ジェシルと赤いゲート73

  • ジェシルと赤いゲート 72

    突然、強烈な風が一瞬コルンディと傭兵たちの間を吹き抜けた。ジェシルは背筋を伸ばして立ち、コルンディを見据える。マーベラもトランのからだを地面に静かに横たえると、同じように背筋を伸ばして立ち上がり、コルンディを見据える。「おいおい、怒るなよ……」コルンディは苦笑する。「彼が飛び出して来るなんて想定外だぜ」しかし、二人は返事を返さない。黙ってコルンディを見据えている。「悪かったよ!」コルンディは只ならぬ雰囲気に慌てる。「マーベラ、この償いは必ずさせてもらうから……」マーベラはゆっくりとコルンディの方へと歩を進める。ジェシルもそれに合わせる。二人は並んで歩き始めた。「なんだよ!それ以上近付くと、二人とも撃っちまうぜ!」コルンディが声を荒げる。傭兵たちが銃口をジェシルとマーベラに向ける。ジェシルとマーベラの歩みが...ジェシルと赤いゲート72

  • ジェシルと赤いゲート 71

    「ジェシル……」コルンディは笑む。「最期だ。言い残す事はないか?」「そうねぇ……」ジェシルは平然と腕を組み、考え込む。「……トールメン部長には『碌で無し』って書き残したし。……特にないわ」「そうかい」コルンディは残忍な笑みへと変わる。「君を死なせるのは忍びないが、会社のためだ」「会社のため?あなた個人のため、の間違いでしょ?」ジェシルはコルンディを睨み付ける。「……わたしは仕方がないけど、他のみんなは無事に戻してちょうだい。それを約束しないと、最後に大暴れするわよ」「ははは、こんな絶体絶命の状況でも強気でいられるとはな!」コルンディは笑う。残忍さが消え、いかにも楽しいと言った感じだ。「君はその女神の格好で永遠に全宇宙を経巡る事になるだろう。ははは、オレって詩人の才能も有りそうだな!」「あなたの詩の才能なん...ジェシルと赤いゲート71

  • ジェシルと赤いゲート 70

    跳躍したジェシルは、宙で右肘を大きく後ろへ引き、硬く握った拳をコルンディの顔面目がけて繰り出した。が、いきなり現われた黒い壁に阻まれた。と同時に、ジェシルの腹部に激痛が走り、弾き返されるように飛ばされた。立っていた場所近くまで飛ばされたジェシルは、襲ってくる腹部の苦痛に呻きながら片膝を突いた。食いしばった歯をむき出しに殺気の籠った眼差しでコルンディを見る。コルンディの前に大柄な傭兵が右手にハンマーを持って立っていた。ハンマーで腹を殴られたようだ。赤い痣がジェシルのへその周りに広がっている。「どうだ、オレの所の傭兵は強いだろう?」傭兵の脇からコルンディが顔を出す。その顔に小馬鹿にした笑みが浮かんでいる。「まあ、宇宙パトロールのコンバットスーツだったら、そこまで吹っ飛ばされる事はなかっただろうになぁ。そんな肌...ジェシルと赤いゲート70

  • ジェシルと赤いゲート 69

    「じゃあ、そんな違法行為をした理由は何なのよ、おじいちゃん?」ジェシルが小馬鹿にしたようにマスケード博士に訊く。「お金だけが目当てだったの?」「ふん!」博士は鼻を鳴らし、ジェシルを睨み付ける。「わしは、こんな狭苦しい世界を微々たる報酬で生きて行くのが馬鹿らしくなったのだ」「でも、おじいちゃんは考古学の権威なんでしょ?」ジェシルが呆れた顔で言う。「膨大な知識を持っているんでしょ?それは凄い事じゃないの?」「学問なんてものは、世の役に立つかどうかで価値が決まるのだ」博士は忌々しそうに言う。「さまざまな進歩が激しい今の世界では、考古学などお遊びにしか捉えられておらん」「そんな……」マーベラは絶句する。「博士は、過去を知る事こそが将来には大切な事だと常々おっしゃっておられたではないですか!」「そんなのは、お前たち...ジェシルと赤いゲート69

  • ジェシルと赤いゲート 68

    「え?マスケード博士?」そう言いながら樹の陰から顔を出したのはジャンセンだった。ジャンセンの声にトランも顔を出した。「トラン君!どうやら君のもくろみは当たった様だぞ!」ジャンセンが楽しそうな声を上げる。「これで役者が揃ったんじゃないか?」三人の顔会を見た途端、マスケード博士は手にしたステッキを振り上げた。ステッキが怒りで震えている。「お前たち!」マスケード博士は高齢とは思えない荒々しい声を張り上げ、怒りで血走っている眼を三人に順に向けた。「マーベラ・トワットソン!トラン・トワットソン!ジャンセン・トルーダ!……許さん、許さん、許さんぞぉぉ!」「マスケード博士!」マーベラが声を荒げる。「やはり、この一連の黒幕は博士なんですか?」「博士!」トランも声を荒げる。「ぼくたちが一体何をしたって言うんですか?ぼくと姉...ジェシルと赤いゲート68

  • ジェシルと赤いゲート 67

    「大騒ぎになったら、どうなるのかしら?」マーベラが皆を見回して訊く。「ぼくたちをこの時代に飛ばしたことがばれちゃうだろうから、考古学界自体が大打撃を受け、大問題になるだろうね」トランが意地悪そうな笑みを浮かべて答える。「まあ、それを狙ったわけだけど」「じゃあ、さっさと蓋を溶接しちゃいましょう」トラブルが大好きなジェシルはご機嫌だ。「そうだわ!トラン君、メモ用紙一枚もらえる?」「それは構いませんが、どうするんです?」「『トールメン部長の碌で無し!』って書いて箱に収めておくの」ジェシルはにやにやが止まらない。「さすがに何時もの様な無表情で入られないと思うわ」「部長って事は君の上司なんじゃないのかい?」ジャンセンは驚いて訊く。「解雇になっちゃうぞ?……まあ、そうなったらぼくの手伝いをしてもらえるかな?」「解雇に...ジェシルと赤いゲート67

  • ジェシルと赤いゲート 66

    目当てのものを見つけたトランは取り出した。長さが六インチ、幅が四インチ、高さが三インチほどの銀色に輝くゼライズ鉱製の箱だった。「小さいもので良さそうな物を採取してしまっておくための箱なんですよ」トランが箱を見せながら言う。「いわゆる、活動資金を得るための採取だね」ジャンセンが言って、うなずく。「姉思いの結晶だね。マーベラ、トラン君に感謝しなきゃだぞ」「はいはい……」マーベラは適当に流す。「……それで、トラン、その箱をどうするの?」「実は出土されたのはこの手の箱だったんだ。……いや、これなんだよ」トランは真面目な顔で言う。「ぼくは思うんだけど、この惑星の発掘調査は、ぼくたちを飛ばす下調べと同時に、飛ばした証拠のゲートの回収もあったんじゃないかと思うんだ。知られちゃまずいから、博士自らが指揮して極秘裏にって感...ジェシルと赤いゲート66

  • ジェシルと赤いゲート 65

    「結果を変えるって……」ジェシルは不安そうな顔でジャンセンを見る。「ジャン、それってやっちゃいけない事なんでしょ?」「まあ、そうだねぇ……」ジャンセンは曖昧に答える。「でもね、この度は違うと言える」「ジェシルさん」トランが真顔になって言う。「考えてみてください。ぼくたちがここにいると言うこと自体が、歴史が変わったと言う事になるんです。ぼくたちが居なければ、ベランデューヌとダームフェリアは今現在まで争いが絶えない関係であったかもしれないんです」「そうかも知れないけど……」「良好な関係が築かれていたとしても、ぼくたちの関与が無ければ、別の方法があったはずなんです」「分かったような、分からないような……」ジェシルは困惑の表情をジャンセンに向ける。「ジャン……」「トラン君が言いたいのは、ぼくたちは歴史を動かせる時...ジェシルと赤いゲート65

  • ジェシルと赤いゲート 64

    「誰がどう関与しているのかは、戻らなければ分からないわ」ジェシルは忌々しそうな表情になる。「でも、どうやって戻れば良いのかしらねぇ……」「そうだねぇ……」ジャンセンはため息をつく。「ここにあるのは出口専用のゲートだしねぇ……」「ジェシルじゃないけど」マーベラが言う。「出入りできるゲートがどこかにないかしら」三人はそれぞれ腕組みをし、考え込んでいる。爽やかな風が三人の間を吹き抜ける。「……あら、トラン?」マーベラが、ゲートの方へ歩き出したトランに声をかける。「どこへ行くの?」「実はね」トランがマーベラに振り返る。「ぼくもジャンセンさんが肩掛けしている様な鞄を持ってここに来たんだけど、持ち運びが大変そうだからゲートの脇に隠しておいていたんだ」「そうだったんだ……」マーベラが言う。「言われてみれば、いつもの鞄を...ジェシルと赤いゲート64

  • ジェシルと赤いゲート 63

    マーベラはジェシルを睨み付ける。「……マーベラ……ごめんなさい。言い過ぎたわ……」ジェシルは言うと、両の手の平を顔の下辺りで合わせて見せた。「何だい、そのポーズは?」ジャンセンが驚いて訊く。「一体どこの民族の風習なんだい?ぼくの知っている文献には載って無いポーズだけど?」「これ?」ジェシルは手を合わせたままの格好でジャンセンに振り向く。「これは、辺境惑星の地球の日本って言う地域――地球では『国』って言っているけど――での謝罪のポーズよ。うんと親しい相手に許しを請う時に用いるようだわ」「うんと親しい、ですってえ!」マーベラは目を細める。「勝手な事を言わないで!」「姉さん!」怒った顔のトランがマーベラの前にすっと立った。「もういい加減にしてくれよ!姉さんは普段から事実をちゃんと見ないといけないって言っているじ...ジェシルと赤いゲート63

  • ジェシルと赤いゲート 62

    皆でぞろぞろと森を歩いている。柔らかな陽射しと澄んだ空気、鳥のさえずり、遠くから和解したベランデューヌとダームフェリアの民たちの笑い声が流れてくる。穏やかな中にあって、マーベラ、ジャンセン、トランの表情は暗く重かった。……マーベラたちのゲートは戻る事が出来るものなのかと言う疑問と不安、さらに、今回の五里霧中の真相……そんな中にあって、ジェシルだけは不敵な笑みを浮かべている。戻ったら真相を暴いて関係者たちをギッタンギッタンにグッチャングチャンにしてやろうと心に決めていたからだ。無意識に腰の熱線銃に手を伸ばす。宇宙パトロール捜査官に血が騒いで騒いで仕方がないと言った状態だった。「……あそこです」しばらく歩いたのち、トランが言って前方を指差した。少し開けた場所に、ジェシルたちのと同じ赤いゲートが立っていた。「こ...ジェシルと赤いゲート62

  • ジェシルと赤いゲート 61

    「それで赤いゲートなんだけど」ジェシルはマーベラに顔を向ける。「わたしたちが出てきたゲートからは戻れなかったわ。近くに戻れるゲートがあるのかどうかを調べる前にベランデューヌの民の子供に見つかっちゃて……」「わたしたちのゲートはどうかしらね」マーベラがジェシルに顔を向ける。「多分、同じよね……」「そう思うわ。元々が出口専用なのか、あるいは機能が停止されたのか……」「機能停止……?」「誰かが意図的に止めたって事だよ、姉さん」トランが割り込む。「誰かってのは、今のところは分からないけど」「でも言えるのは、誰かがゲートを設置したって事よ!」ジェシルは力強く言う。「古代の物なら有り得るかも知れないけど、あんな精密な機械が偶然にそこにあったなんて考えられないわ!」「ぼくもそう思う」ジャンセンが言う。「しかも、設置され...ジェシルと赤いゲート61

  • ジェシルと赤いゲート 60

    「ねえ、何の話をしているの?」ジェシルが、にこにこしながらジャンセンに話しかける。「ジャン、あなた暗い顔しているわね。トラン君まで……」「トラン、どうしたのよ?」マーベラもにこにこしている。にこにこしながらトランを叱っている。「わたしとジェシルは仲良くなったのよ?もう争う事はないわ。それなのに、どうしたって言うのよ?」「姉さん……」トランはため息をつきながらマーベラを見る。「あのさ、この状況をどうとも思わないのかい?ぼくたちは古代に飛ばされたんだよ。それも赤いドア枠でさ」「え?」ジェシルは驚いた顔でマーベラを見る。「あなたたちも、あの赤いドア枠、って言うか、ゲートを通ってここに来たの?」「ジェシルたちもそうなの?」マーベラも驚く。「……わたしたちって、すっかりそっくりなのね!」「そうね、すっかりそっくりだ...ジェシルと赤いゲート60

  • ジェシルと赤いゲート 59

    「……地下の貯蔵庫は」トランはマーベラを伺いながら話し始める。マーベラはジェシルときゃあきゃあしている。「かなり広かったですね。事前に照明器具が持ち込まれていました」「博士が準備に手を回してくれたのかねぇ?」ジャンセンはつぶやく。「ぼくの時はそんな事は一度もなかったなぁ……」「照明を点けると隅々まで明るくなりました。姉さんは、さすがマスケード博士だわって喜んでいましたね」「それで、君たちは何を探しに来たんだい?」「隅々まで探索し、何か気がついたものでもあれば回収するようにと言う指示でした」「大雑把な指示だねぇ。いつもそんな感じなのかい?」「いえ、いつもは具体的です。だから、珍しい事だなぁとは思いました」トランはマーベラを見る。「……姉さんは、それだけわたしたちを信頼してくれているのよって、張り切っていまし...ジェシルと赤いゲート59

  • ジェシルと赤いゲート 58

    「おや、話し合いは終わったのかい?」ジャンセンはジェシルとマーベラの殺気を無視し、座ったまま顔だけ上げて、呑気そうな声で訊く。トランは慌てて立ち上がる。「ジャンセン、あなた、わたしたちの事を馬鹿にしてたわね!」マーベラが凄む。トランはそんな姉の様子にはらはらしている。「しかもマスケード博士の事まで!」「ジャン!こんな女を馬鹿にするのは一向に構わないけど、わたしを含めるのは許せないわ!」ジェシルはマーベラを指差しながら口を挟む。マーベラが明らかな殺意の籠った視線をジェシルに向ける。「なによ!」「なによって、なによ!」マーベラの言葉にジェシルが言い返す。そして、二人はまた睨み合う。「……二人とも落ち着いてください」トランがおろおろしながらも割って入る。「特に姉さん、ジェシルさんとジャンセンさんは、ぼくたちを助...ジェシルと赤いゲート58

  • ジェシルと赤いゲート 57

    「そうだったわ!」ジェシルはむっとした顔で言う。「マーベラのせいで忘れていたわ!」「それはこっちのセリフだわ!」マーベラもむっとしている。「考古学のこの字も知らないような宇宙パトロール風情がうるさいのよ!」「なによ!」「なによって、なによ!」二人はぐっと顔を近付けて睨み合う。そして、互いを大声で罵り始めた。何時終わるともしれない罵り合いに、トランとジャンセンは顔を合わせて呆れたような溜め息をつく。「……そう言えば、君たちがここに来る事になった経緯って聞いていなかったねぇ……」ジャンセンは草むらの上に座り込むと、トランに話しかけた。罵り合いを無視する事にしたようだ。「そうでした……」トランも同様の心づもりをしたようで、ジャンセンの隣に座り話し出した。「あれは三週間くらい前だったんですが、マスケード博士からの...ジェシルと赤いゲート57

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