日々思いついた「お話」を思いついたままに書く
或る時はファンタジー、或る時はSF、又或る時は探偵もの・・・などと色々なジャンルに挑戦して参りたいと思っています。中途参入者では御座いますが、どうか、末永くお付き合いくださいますように、隅から隅まで、ず、ず、ずぃ〜っと、御願い、奉りまする!
老婆たちが放った炎が消えた。消えたというよりも、消し飛ばされた。腕を振り下ろした老婆たちが互いに顔を見合う。二人とも怪訝な表情をしている。その表情のままで、二人はジェシルに振り返った。ジェシルは笑顔を湛えたままで静かに立っている。ジャンセンは呆気にとられた表情で立っていた。「ジェシル……」ジャンセンが声をかける。「今、熱線銃を撃ったよな?」「あら、そうだったかしら?」ジェシルは笑顔のままで答える。「とにかく、炎が消えて何よりね」老婆たちが互いに炎を放ち合った時、ジェシルが素早く腰の背の方に手を廻し、挟んでいた熱線銃を取って炎に向かって熱線を撃ったのだ。炎よりも高温だったため、放ち合った炎を消し飛ばした。それから銃を腰に戻し、何も無かったように笑みを湛えた。一瞬の出来事だった。ジャンセンはその動きを見ていた...ジェシルと赤いゲート33
ジェシルとメギドベレンカの笑顔の見つめ合いが続く。さすがにジェシルは頬に痛みを感じ始めた。額にうっすらと汗が噴き出る。「……ジャン」ジェシルは笑顔のままで小声で傍に立っているジャンセンに声をかける。「そろそろ限界なんだけど……」「頑張れジェシル、君なら出来る!」ジャンセンはきっぱりと言う。しかし、ジェシルには思い切り無責任な発言にしか思えなかった。「何よ、他人事だと思ってさ」ジェシルはジャンセンを見る。笑顔だが、目は笑っていなかった。「元々笑顔なんて作らない方だから、もうダメだわ……」「それは相手のメギドベレンカも同じみたいだぜ」ジャンセンがそう言って、メギドベレンカを指差す。ジェシルはメギドベレンカに向き直る。メギドベレンカの頬がひくひくとし始めていた。額から汗が伝っているのが見える。……わたしよりバテ...ジェシルと赤いゲート32
ジェシルとジャンセンの気まずそうな雰囲気を察したのか、村の長がおずおずと話しだした。ジャンセンはうなずきながら話を聞いている。途中でケルパムも口を挟んできた。三人は更に白熱したように話をし、終いには笑い出していた。すっかり仲間外れのジェシルは憮然とした表情になる。「ジャン!」ジェシルは声を荒げた。「何よう!わたしを除け者にしちゃってさあ!」ジェシルの怒った顔を見た村の長とケルパムは、地面に額を押し付ける格好をし、しきりに何かを唱え始めた。「……二人ともどうしちゃったの?」ジェシルは驚いた顔でジャンセンを見る。怒っていたのを忘れてしまったようだ。「何だか、必死な感じなんだけど……」「そりゃ、そうさ」ジャンセンは苦笑する。「畏れ多い女神アーロンテイシア様がお怒りなんだぜ。彼らに取っちゃ命を奪われても仕方がない...ジェシルと赤いゲート31
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