ジェシルと赤いゲート 33
老婆たちが放った炎が消えた。消えたというよりも、消し飛ばされた。腕を振り下ろした老婆たちが互いに顔を見合う。二人とも怪訝な表情をしている。その表情のままで、二人はジェシルに振り返った。ジェシルは笑顔を湛えたままで静かに立っている。ジャンセンは呆気にとられた表情で立っていた。「ジェシル……」ジャンセンが声をかける。「今、熱線銃を撃ったよな?」「あら、そうだったかしら?」ジェシルは笑顔のままで答える。「とにかく、炎が消えて何よりね」老婆たちが互いに炎を放ち合った時、ジェシルが素早く腰の背の方に手を廻し、挟んでいた熱線銃を取って炎に向かって熱線を撃ったのだ。炎よりも高温だったため、放ち合った炎を消し飛ばした。それから銃を腰に戻し、何も無かったように笑みを湛えた。一瞬の出来事だった。ジャンセンはその動きを見ていた...ジェシルと赤いゲート33
2023/05/23 10:00