日々思いついた「お話」を思いついたままに書く
或る時はファンタジー、或る時はSF、又或る時は探偵もの・・・などと色々なジャンルに挑戦して参りたいと思っています。中途参入者では御座いますが、どうか、末永くお付き合いくださいますように、隅から隅まで、ず、ず、ずぃ〜っと、御願い、奉りまする!
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 16
深夜……豆蔵たちは学校のグラウンドに居た。「さあて……」豆蔵はつぶやくと、不敵な笑みを浮かべる。「校長室とやらに乗り込みやすかね」「どのような手順で致しましょうか?」すでに薙刀を手にした冨美代が言う。「ただ乗り込んでも、如何なものかと存じます」「そうですね」みつがうなずく。「冨美代殿おっしゃる通りだと思います」「あらあら、そうやってまた仲良ししちゃってぇ……」虎之助が茶々を入れる。「これから、緊張の時間なのよぉ」「それは、分かっています!」みつが強い口調で言う。「それと、虎之助殿、そう言う物言いはお控えください!」「そうだぜ、言い過ぎだ」竜二が虎之助に言う。しかし、虎之助は笑みを返す。「あら、どうして?わたし、嘘偽りを言ってはいないわよ?」言い終わると、虎之助は挑発的な眼差しをみつに向ける。「わたしは何を言われ...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪16
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 15
松原先生が手を下したわけではないと、末松校長が自らが言い出し、坂本教頭も困ってしまった。「教頭先生は、松原先生が、何やら仕掛けをしたとお思いですの?」百合恵は、困惑の表情の坂本教頭に、笑顔で尋ねる。その目には意地悪そうな光が宿っている。「いや、あの……」坂本教頭は額に汗を浮かべ、ちらちらと末松校長を見る。末松校長は、呆けた顔で百合恵の後ろ姿(主にスラック過ごしの型の良いお尻)を見ている。「……ちょっと、宜しいですか?」坂本教頭は言うと、百合恵を病室の外へと連れ出した。百合恵は病室を出る前に、末松校長に振り返り、飛び切りの笑みを浮かべて見せた。末松校長もつられたのか、あまり品の良くない笑みを浮かべた。谷山先生は百合恵を見ながらむっとした顔をしている。さとみは百合恵について病室を出た。坂本教頭と百合恵はスタッフステ...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪15
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 14
百合恵が先になって廊下を歩く。さとみはてこてこと後について行く。廊下の一番奥の病室の前で百合恵の足が止まり、さとみに振り返る。「ここのようよ」百合恵が言う。さとみは出入り口についている名前表を見る。四つに仕切られた名前表から四人部屋だと知れる。しかし、少し薄くなった「末松」と言う名前しか書かれていなかった。校長しかいないようだ。この表から、校長は右の窓側にいるようだ。「さあ、行くわよ」百合恵は言うと、自分の胸元に手をやる。……百合恵さんも緊張しているんだわ。さとみは思った。「……失礼いたします」百合恵は言いながら病室に入って行く。その後にさとみが続く。右の窓側のベッドに、坂本教頭と谷山先生が並んで立っていて、こちらに顔を向けた。さとみは予想通りだと言うように、眉をひそめた。谷山先生がさとみを認めた。「あらぁ、あ...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪14
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 13
さとみはどたどたと階段を降り、玄関に向かう。百合恵は白のブラウスに黒のスラックスと言う、少々地味な姿だった。化粧もいつもより落ち着き目だ。「……百合恵さん、今日は、また、その、あの……」さとみは言葉に詰まる。百合恵はそんなさとみの様子を見て笑んでいる。「ふふふ……さとみちゃん、言いたい事はちゃんと言わなきゃ、伝わらないわよぉ」百合恵が意地悪っぽい言い方をする。「ねぇ、みんなもそう思うでしょ?」百合恵はさとみの後ろの方を見ながら言った。さとみが振り返ると、豆蔵たちが居た。皆うなずいている。さとみはぷっと頬を膨らませた。「何よう!みんなでぞろぞろ付いて来て!」「良いじゃないの」百合恵は優しく笑む。「みんな、さとみちゃんが心配なのよ」みつと豆蔵が百合恵の前に出て、何やら話をしている。百合恵は驚いたり、うなずいたり、く...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪13
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 12
松原先生のマンションを出て、皆はそれぞれ帰宅した。「まあ、気にするなよ」と、松原先生は言っていたが、さとみは気になってしまう。さとみが帰宅すると、いつものように母親が台所ですっとんぱったんしながら夕食を作っていた。「あら。お帰り」母親がさとみに声をかける。「……何だか元気がないわねぇ?」「そんな事ないわよ」さとみは答えるが、思わずため息をついてしまう。「……やっぱり、そんな事あるのかなぁ」「まあ、良いわ。今日はさとみの好きなハンバーグよ」「それってお父さんが好きなんじゃない」さとみは言い返す。「わたしはミートボールが好きなの」「似たような物じゃないの」母親は言うと笑う。さとみは呆れた顔で階段を上り、二階の自室に向かう。着替えもせずにどっかりとベッドに腰掛けたさとみは、ぼうっとした顔で天井を見ていた。……これから...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪12
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 11
ベッドに寝転がって、ぼうっと天井を見つめていた松原先生が起き上がったのは、玄関チャイムが鳴ったからだった。壁に取り付けてある電話の受話器の様なインターホンを取り上げた。古いマンションなので、映像が見えるタイプのものでは無かった。「……はい?」松原先生は気の無い声で応対する。「どちら様?」『あ、先生!わたしです、栗田です!』声はしのぶだった。『今、みんなと来たんです。お話があります』「みんなって、『百合恵会』か?」『そうです!』「じゃあ。百合恵さんも一緒かな?」『百合恵特別顧問はいません』「そうか……」松原先生はため息をつく。「じゃあ、今開けるから、待っていてくれ」松原先生は玄関ドアを開ける。松原先生は青いTシャツにジーンズ姿だった。教師には全然見えない。「松原先生……」先頭にいたさとみが言ってぺこりと頭を下げた...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪11
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 10
「えええええ~っ!」「そんなぁ!」「不当な処置じゃないですかぁ!」「てめぇ、ふざけんじゃねぇぞ!」皆は抗議の声を上げた(一人だけ抗議の声を上げなかったが)。「君たちが何を言っても、これは決まった事だ」坂本教頭はうるさそうな顔をする。「さあ、もう帰りなさい」「そうですぅ!」谷山先生が教頭の尻馬に乗って、ふんぞり返る。「校長先生に危害を加えるような先生が顧問をしているサークルなど、もうおしまいですわぁ!」「おい!」アイがずいっと谷山先生の前に出た。「今、何て言いやがった?あ?」「ひえっ!」谷山先生はアイの迫力に押されて短い悲鳴を上げると、坂本教頭の後ろに隠れた。「な、何だね、君は!」坂本教頭が言う。しかし、目が泳いでいる。「生徒の分際で、教師を脅すのかね?そうか、君があの不良のアイだな?これは問題だな!停学、いや、...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪10
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 9
「皆さん、お待ちなさいぃ!」出入りの引き戸の前に仁王立ちする谷山先生は、一人も逃すまいと言う気迫で、生徒たちを睨み回す。「なんだよ?これから用事があるんだよ!」真っ先に口を開いたのはアイだ。アイは言いながら前に出て、谷山先生のすぐ前に立つ。谷山先生より背の高いアイは、鋭い目付きで先生を見下ろす。「どけよ!もう放課後だぜ?先生が帰宅を阻止するのか?知り合いの弁護士に相談しようか?」容赦のないアイの言いっぷりに、谷山先生がひるむ。「ふむ、知り合いの弁護士か……」別の声がして、谷山先生の後ろから坂本教頭が入って来た。小馬鹿にしたような半笑い顔をしていた。「大きく出たな……」坂本教頭は言う。「白々しいはったりだ。所詮は不良娘の戯言だろうが」「はあ?」アイが教頭を睨みつける。「はったりかどうか、試してみるかい?わたしはこ...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪9
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 8
「それで、松原先生は教頭の権限で帰らされちまったって事です」アイが締め括る。「じゃあ、松原先生、自宅にいるのね」さとみが心配そうに言う。「でも、松原先生が暴力なんて……」「わたしもそう思います!」しのぶが言う。「松原先生、ちょっと変な所があるけど(「のぶに言われたくないわよ」と朱音が横やりを入れる)、決して手を上げる先生じゃないです!」「たしかに、あの先生じゃ、殴って来てもたかが知れているよなぁ……」アイは言いながらうなずく。「でも、よっぽど腹が立ったんじゃないですかね?校長野郎、陰険だから」「アイも何かあったみたいな言い方ね」麗子が言う。「ほら、何時だったか、校長に呼び出しを受けたって言ってたじゃない?」「……ああ、そんな事もあったな。でも、その時に限らず、呼び出しは食らっていたよ」アイは言うとにやりと笑う。...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪8
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 7
「会長!」放課後に、しのぶがさとみの教室に来た。さとみは驚いた。まだ教室にはさとみの同級生が幾人も残っている中を入って来たからだ。それだけでは無い。どちらかと言うとぽっちゃり目のしのぶが走って教室に入って来たからだ。しのぶの様子に、既に下校の準備が出来ていて、のろのろと動いているさとみにいらいらしていた麗子も驚いていた。「あら、しのぶちゃん、どうしたの?」さとみは呑気そうな声で訊く。「なんだか、慌てているみたいだけど……?」「え?会長、知らないんですか!」額に汗を浮かべ、はあはあと息の上がっているしのぶが、目を大きく見開いた。「一大事ですよ!」「一大事?」麗子が言う。「なんだか、大袈裟っぽいけど?」「麗子先輩!」しのぶがむっとした顔で麗子を見る。「そんな事無いですよ!『百合恵会』存亡の危機なんです!」「ますます...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪7
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 6
「そりゃ、一体、どう言う事です?」松原先生は驚き呆れている。「ボクは、校長に危害を加えてはいませんよ?」「そう言われても、校長先生がそうおしゃっておられますのでぇ……」「たしかにちょっと口論めいた事にはなりましたよ。でも、ボクは暴力は振るいませんよ。そんな事をしたらどうなるかくらい分かりますからね」「では、校長先生が嘘をおっしゃっているとぉ?」谷山先生はわざとらしいほどの驚いた顔をして見せる。生徒の何人かが「うえっ……」と吐くような声を漏らした。「それは問題発言ですわねぇ……」「じゃあ、ボクが嘘をついていると言うんですか?」松原先生は呆れた顔で言う。「ボクが校長を殴ったとか、蹴ったとか?」「あら、どうしてそう直接的な暴力の事を言うのかしらぁ?」「だって、校長が、ボクにやられたとか言ったんでしょ?」「おほほほ……...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪6
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 5
松原先生が一年生の授業をしていると、救急車のサイレンが聞こえてきた。たまに聞こえるから気にはしていなかったが、それが段々と大きく聞こえるようになると、話は別だ。「あ、救急車、学校へ来たぞ!」外を見ていた不埒な男子生徒が言って立ち上がる。皆もつられて立ち上がり、窓の方へと集まる。松原先生も外を覗く。救急車はサイレンを止め、昇降口へと向かう。昇降口はここからは見えない。「先生、何があったんでしょうか?」女子生徒の一人が松原先生に訊く。「何か、変な人が侵入して来て暴れたとか……」「いや、違うな」松原先生は冷静に答える。「もしそうなら、もっと叫び声やら悲鳴やらが聞こえるはずだ。それに警察も来るだろうし」「先生って、落ち着き過ぎていて、つまんない」訊いて来た女子生徒が文句を言う。「だから、みんなに『クール松原』って言われ...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪5
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 4
「まったく!何てヤツだ!」末松校長は、松原先生が出て行ったドアを睨みつける。腹立ちが治まらない。「な~にが、最新のペン型ICレコーダーだ!そんなもの、恐るるに足らんぞ!」末松校長は言うが、冷や汗も流している。気にはしているようだ。権力にしがみつくものは権力を失う事を一番恐れているからだ。「……とにかく、あの生意気なヤツをぶっ潰さねば、腹の虫が治まらん!」末松校長は、机の上にあった書類をつかむと、くしゃくしゃに丸めた。それが重要書類かどうかなど見もしない。どうせ、ざっと見て判を押すだけの事しかしないのだから、関係は無かった。もし、重要書類だったら「わたしは見ていない。もらっていない」と言い張り、取り巻きの一人に責任をなすりつけ、後で「すまなかったねぇ」と猫なで声に謝り、ちょっと良い思いをさせてやれば済む事だ。末松...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪4
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 3
末松校長は松原先生を睨みつける。しかし、松原先生は委縮はしない。嫌いな人間に嫌いだと意思表示されても、元々が嫌いなのだから、それ以上の感情も湧かない。やっぱりボクは校長が嫌いなんだ、くらいにしか思わない。末松校長は、生意気な若造め、お前のようなヤツには権力の恐ろしさを知らしむべきなのだと怒り、知っている教育委員会のお偉いさんに言って教職の剥奪してやるぞと、鼻息を荒くする。「それで?学外者を学校に入れる許可を誰に申請するんですか?」松原先生が訊く。「学年主任ですか?教頭ですか?」「むっ!」敢えて校長の名を出さない事に末松校長の怒りは高まる。それでも、威厳を保とうと落ち着いた声を出す。「……分からんのかね?学校で一番の権限を持つ者だよ」「ほう。……と言うと?」松原先生はすっとぼけた顔で訊き返す。「そんな人、居ました...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪3
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 2
何とか校長室の前に着いた。松原先生は、ノックをしようと右手を上げたが、そのまま手を止めてしまう。……あの校長、お気に入りには薄気味悪い猫なで声を出すくせに、気に入らないとなると、ねちねちぐちぐちと嫌味の連続だものなぁ。良くあれだけの言葉が出るものだと、感心してしまうよ。きっと国語でも教えていたんだろうな。松原先生は思う。松原先生は明らかに末松校長に気に入られていない。松原先生も末松校長が嫌いだった。だったら、それでおあいこにすれば良いのだが、権力のある側はそうはさせない。明らかな優位を示し、完膚なきまでに相手を叩き潰すまで、その手を緩めない。特に末松校長はその傾向が強い。そして、松原先生はそういう相手に徹底的に逆らう傾向が強かった。……まあ、ねちねちぐちぐちが始まったら、いつものように、頭の中で円周率を暗唱して...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪2
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第六章 備品飛び交う校長室の怪 1
重い足取りだ。一歩歩く毎に全身の力が急速に抜けて行く。これは絶対に行きたくないと言う、無意識の意識だ。そう思った『富美江会』顧問の松原先生は、廊下を歩きながら、ため息をつき、足を止める。これで何度目だろうか。目的地までは大した距離ではないが、兎に角、行きたくなかったのだ。松原先生は、次の授業が無かったので、数学準備室で一年生のしのぶ用に難しい問題を作成していた。と、内線電話が鳴った。他の先生方は授業で出払っている。やれやれと思い、受話器に手を掛けようとするが、架けて来た相手の名前を見て、手が止まる。「……校長……」松原先生はつぶやき、物凄くイヤな顔をした。校長は、末松泰三と言って、年配の男性だったが、自分の思い通りにならないと嫌味を言い続ける。教育委員会のお偉いさんとのつながりが強いらしく、逆らう先生を僻地の学...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第六章備品飛び交う校長室の怪1
オレは「スペシャルマン」と呼ばれる正義のヒーローだ。常人の及ばない様々な特殊能力を秘めている。この力で悪を倒し続けているのだ。さて、ヒーローの条件の一つとして認識されているものに、ヒーローが持つ、特殊能力と言うのがある。垂直の壁を上れるとか、からだがゴムのように伸びるとか、空や海中を何の装置も無く行き来できるとか、他にも色々とあるだろう。しかし、ここで気がつく事がある。それは、特殊能力と言うものは、一ヒーローに一つずつ備わっている、言ってみれば「一芸ヒーロー」だ。一人で幾つもの特殊能力を持つヒーローなんていないだろう?では、オレはどうかと言うと、残念ながら、突出した特殊能力は待っていない。どうだ、素直に言えるオレって、正直者だろう?とは言え、どの能力も平均よりは高いのだ。自己紹介で「常人の及ばない様々な特殊能力...ヒーロー「スペシャルマン」・17
宇宙探検隊は宇宙の知られざる惑星や生命体や現象を調査することが目的だ。「隊長、怪現象に遭遇しました」「宇宙に怪現象はない。原因不明なだけだ」「無数の宇宙船があります」メイン・スクリーンに、様々な異星人たちの様々な形の宇宙船が乱雑に漂っている宙域が映し出されていた。「生命反応はありませんね」隊員がパネルを見ながら言う。「何なんでしょうか?」「ここは難破した宇宙船の辿り着く、宇宙船の墓場だな」隊長がスクリーンを見ながら言う。「……おや、珍しい宇宙船だぞ」「じゃあ、回収して、持って帰りましょう」探検隊の宇宙船が近付くと、突然、停止してしまった。「何と、宇宙船が故障したのか?」「隊長!ここは宇宙蜘蛛デデダダの巣です!生き物はヤツの餌になります!」スクリーンにデデダダが大写しになった。作者註:突然の「宇宙探検隊の冒険」で...宇宙探検隊の冒険78~宇宙船の墓場~
宇宙探検隊は宇宙の知られざる惑星や生命体や現象を調査することが目的だ。「隊長、宇宙人と接触しました」「異星人か地球外知的生命体と言うのだ」「兄弟げんかの仲裁のお願いだそうです」「なんと。下らぬ話だが宇宙平和のためだ」相手の宇宙船に乗り込むと、からだは一つで頭が二つの異星人が立っていた。「聞いてください」一方の頭が言った。「兄は右へ行きたいと言うのです」「弟は左と言って譲らんのです」もう一方の頭が言う。「それで、けんかなのです」「ならば、間を取って正面へ進むのが良い」隊長の提案に異星人は納得し、礼を述べて出発した。「さすが隊長ですね」隊員は感心している。「……隊長、先ほどの宇宙人からで、友人の兄弟げんかも仲裁してくれと……」「構わんぞ、どうせ進行方向の問題だろう」「ですが、十人兄弟だそうです……」宇宙探検隊の冒険77~兄弟げんか~
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第五章 駈け回る体育館の怪 34
何度か座り込みそうになるさとみを、アイたちが支えるようにして家へと送ってくれた。「あらあら、皆さん、ありがとうございます」母親が礼を言う。「これで『さざなみ』のメロンパンでも買って食べてちょうだいませ」母親は言うと、財布からお札を取り出して、アイに手渡した。「いえ、そんな、いけませんよ。舎弟は会長第一は当然なんですから」アイは受け取りを拒む。朱音としのぶもうなずく。「どうかお戻し下さい!」「あら、その会長の母親の言う事は聞けないのかしらぁ?」母親はふざけた口調で言う。アイたちは困った表情になった。「ほほほ、良いから受け取ってちょうだい。『さざなみ』のメロンパン、さとみも好物なのよ」アイたちはお札を受け取り、礼を述べて帰って行った。その間、ぽうっとした顔で立っていたさとみだったが、皆が居なくなると三和土にしゃがみ...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第五章駈け回る体育館の怪34
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第五章 駈け回る体育館の怪 33
後の事はお任せくだせぇ、豆蔵がどんと胸を叩いて請け負ってくれ、皆もうなずいてくれたので、さとみは霊体を生身に戻した。途端に全身が重く感じた。さとみは、持った事はなかったが、鉛のような重さとは、この事を言うんだろうなと思った。午後の授業の最中だったが、起きていられなかった。机にうっ伏してしまった。左頬を開いたノートの上に乗せ、半開きにした口から、ちょっと大きめのいびきが漏れた。「綾部!いびき!」教壇から数学の高島先生が怒鳴る。生徒たちはくすくすと笑っている。しかし、さとみは反応しない。麗子がいれば、さとみを叩き起こしてくれるだろうが、今日は休んでいる(ズル休みだ)。高島先生は教壇から下りた。もうそろそろ退官が近いおじいちゃん先生だが、剣道部の顧問をやっているので、身のこなしは軽やかだ。すたすたとさとみの傍まで来る...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第五章駈け回る体育館の怪33
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第五章 駈け回る体育館の怪 32
それは眩しいものでは無く、心安らかになる輝きだった。さとみは全身を金色に光らせながら、一歩前に出る。影はそれを避けるように後退する。「……おばあちゃん……」さとみはつぶやく。……おばあちゃんがわたしを守ってくれているんだわ。そう思うと、さとみに力が湧いてくる。影が怯んだからなのだろうか、動けなかった皆が起き上がった。泣いていたまさきときりとも、さとみの光りで落ち着きを取り戻したようで、泣き止んでいた。倒れていたまきも上半身を起き上がらせ、きょろきょろと周りを見回している。春美はまきに駈け寄って、しっかりと抱きしめた。「さあ、あなたの負けよ!」さとみは影を睨みつける。「大人しく、春美さんと子供たちを解放しなさい!」影は宙を漂っている。さとみの光りのせいなのか、少し縮んだように見える。「嬢様!影野郎、弱ってきている...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第五章駈け回る体育館の怪32
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第五章 駈け回る体育館の怪 31
みきのさとみをつかむ手が離れた。離された右手はだらりと下がり、座り込んいる床に当たった。それすら気がついていないさとみは、じっと影の真っ黒な瞳を見つめている。みきの全身から黒い霧のようなものが浸み出してきた。さとみはその様子に驚きもしない。ぽうっとした顔で成り行きを見ている。やがて霧のようなものはみきの全身を覆い、みきは見えなくなってしまった。霧の様なものはゆっくりと上って行く。霧の離れたみきは、元の幼い子供の顔に戻って立っていた。目を閉じていた。さとみは上って行く霧を目で追う。それに連れてさとみの顔は上を向く。そして、誘われるように立ち上がった。みきには全く関心を持ってはないなかった。霧はゆっくりと集まり始めた。霧は影へと姿を変えた。しかし、さとみは反応しない。相変わらず、ぽうっとした顔で影を見ている。「さと...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第五章駈け回る体育館の怪31
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第五章 駈け回る体育館の怪 30
「おねえちゃん、たいへんだね」みきがさとみを見上げて言う。「わたしより、みんなの方が大変よ」さとみが答える。「みんな命懸けだわ……」「みんな、しんでいるんだよ?」みきが不思議そうな顔で言う。「それなのに、いのちがけ?」「あら、変な事言っちゃったかな?みんな一生懸命って意味よ」幼稚園児相手なのだが、さとみは対等なつもりで話してしまう。「おねえちゃんはしんでいないの?」みきがじっとさとみを見て唐突に言う。「え?ええ、そうなんだけど……みんなを助けたいって言うか、あの世に送ってあげたいと言うか……」「ふ~ん……」「何か変かなぁ?」「おねえちゃん、ずるいわ。しんでいないのに、しんだようなことができるなんて」さとみは返事に窮した。狡いなんて初めて言われたからだ。「……それはね、わたしの、何て言うのかなぁ……使命と言うか、...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第五章駈け回る体育館の怪30
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第五章 駈け回る体育館の怪 29
さとみたちは北校舎に向かう。最近長い時間霊体を抜け出させているせいか、霊体でいる時の方がさとみは状態が良い気がしている。つまり、生身でいる時は疲れやすくなった。これではいけないとさとみ自身も思うのだが、こう色々と出来事が続くと、気にしてはいられない。まして、今回は子供たちが絡んでいる。ますます放ってはおけない。北校舎の一階に来た。既に妖しい気配が漂っている。「こりゃあ、あっしが探りに来た時よりも、いやな感じが増してやすぜ……」豆蔵は言うと、右の手の甲で顎の下を拭く仕草をする。緊張しているのだろう。「早いとこ、上へ参ぇりやしょう」「待って、豆ちゃん」虎之助が言う。「みんなで一斉に行くとすぐに見つかっちゃうわ。そうなったら、子供たちが危ないかもしれない。だから、わたしが様子を見て来るわ」「いえ、探りならあっしの方が...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第五章駈け回る体育館の怪29
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第五章 駈け回る体育館の怪 28
昼休みが終わり、午後の授業が始まる。眠い目を擦りながらいるさとみだったが、ふと教室の外に豆蔵がいるのを見つけた。豆蔵は軽く頭を下げた。さとみは霊体を抜け出させた。「豆蔵、何か分かったのね?」「へい」豆蔵はうなずく。「あんな影野郎ごときで怖じ気づいちゃいられやせんぜ」「わあっ、頼もしい事言ってくれるわね」さとみはにこにこする。「春美さんたちを助けてあげたいけど、どうしたら良いのかって悩んでいたから、嬉しいわ」「やっぱり嬢様は逞しいでやすねぇ……」豆蔵は昨夜の百合恵との会話を思い出してしみじみと言う。「それで?」さとみは豆蔵の感慨に頓着する事無く訊く。「春美さんたち、どこにいるの?」「あちこちの伝手を巡って、見つけやした」豆蔵は険しい表情になる。「春美さんたちは、この学校の中におりやす」「え、そうなの?」さとみはほ...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第五章駈け回る体育館の怪28
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第五章 駈け回る体育館の怪 27
翌日の昼休み、いつものように『百合恵会』は、さとみの教室の外の廊下にたむろしている。麗子は体調がすぐれないとかで休んでいる(本当は昨夜の出来事を聞かされるのがイヤでズル休みをしているのだ。その事はさとみだけが知っている)。しかし、今日は皆の表情が暗く重々しい。「会長、これからどうするんですか?」しのぶが言う。「お話だと、もう、わたしたちの手に負えないような……」昨夜、帰る前に、さとみは皆に状況を話した。保母さんの春美と幼稚園児のまさきときりととまきの霊が体育館に囚われたような状態でいた事。それをあの影が行っていた事。護符の力と対決したが、影が勝った事。そして、春美と子供たちが消えた事。「わたしとしては、春美さんと子供たちを何とか助けてあの世へ行ってもらいたいわ」さとみはしのぶに答える。「でも、危険でもあるわ。あ...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第五章駈け回る体育館の怪27
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第五章 駈け回る体育館の怪 26
昼間のように明るくなった体育館だった。さとみは立ち尽くしている百合恵に駈け寄る。アイと松原先生が、それに続く。朱音としのぶは、ようやく目から手を離した所だった。「百合恵さん!」さとみは百合恵の前に立つ。しかし、百合恵は顔を上げたままだ。「……消えちゃったわね……」百合恵がぽつんと言う。「倒せたと思ったのに……」「百合恵さん……」さとみは心配そうに百合恵を見上げる。「あの保母さんと子供たちも消えちゃった……」百合恵は体育館を見回す。さとみもそれに倣った。みつたちは悔しそうにしている。「歯が立たないわ」百合恵は言うと、力の無い笑みをさとみに向ける。「見てごらんなさい……」百合恵はさとみに半紙を見せた。「あの文字列が、消えている……」さとみは愕然とする。半紙は真っ白で何も書かれていない状態になっていたからだ。「これっ...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第五章駈け回る体育館の怪26
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第五章 駈け回る体育館の怪 25
「さとみちゃん!」百合恵は言うと、ぽうっと立っている生身のさとみの手から半紙を取り上げ、体育館に駈け出した。百合恵は半紙を両手に持って広げ、さとみに向かって来る。書かれている文字列が広げられた半紙の表で仁王立ちしているような姿を作った。金色の光が、さらに増して行った。その光に気圧されたのか、さとみに迫る影が止まった。「さとみちゃん!今なら動けるはずよ!」百合恵が叫ぶ。さとみは生身の戻ろうと動いた。金色に光る体育館に、半紙を持って体育館に立つ百合恵と、身構えているみつたちを見ている自分に、さとみは気がついた。「……百合恵さん」さとみはつぶやく。それから、慌てて大きな声を出した。「百合恵さん!戻れましたあ!」百合恵はさとみに振り返り、大きくうなずいてみせた。と、影がゆらりと動いて向きを変えた。みつたちへと動き始めた...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第五章駈け回る体育館の怪25
霊感少女 さとみ 2 学校七不思議の怪 第五章 駈け回る体育館の怪 24
春美はそのまま体育館の壁の所まで行ってしまった。壁に背凭れ、皆を見るともなく見ていると言った様子だ。「思うのですが……」そう言ってきたのは、みつだった。さとみは春美からみつに顔を向ける。「あの影の力は強力です。春美殿がここから出たいと言う気持ちだけで出られたとは思えません」「どう言う事?」さとみは首をかしげる。「でも、実際に、わたしは春美さんと、わたしの部屋で会ったのよ」「ですから、それはあの影のなせる事ではないでしょうか?」「じゃあ、影がわざとしたって事?」「わたしはそう思います」「そう言えば、部屋で会った時、わたし霊体を抜け出すことが出来なかったわ……」さとみがつぶやく。「あの時は、本当に霊能力が無くなっちゃってのかもって思ったんだけど……」「それは影がさとみ殿を押さえつけていたからではないでしょうか?」「...霊感少女さとみ2学校七不思議の怪第五章駈け回る体育館の怪24
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