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田舎住まい https://blog.goo.ne.jp/onime_001

吸血鬼テーマーの怪奇伝奇小説を書いています。田舎ではスローライフをたのしんでいます。

ソニー・ロリンズは三度カムバックしたといわれています。 アンソニー・ホプキンス主演の「世界最速のインディアン」の二人をめざしています。 ということはだいぶ歳もくたびれていますが、精神には衰えはありません。 なにせ吸血鬼作家ですから。 よろしくご愛読のほど。ズズイットおねがいします

オニメ
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2007/08/13

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  • 五月のばら園にばらの花降る 麻屋与志夫

    超短編五月のばら園にばらの花降る大温室が無数の窓群で構成されているように光っていた。矩形に格子で仕切られているので遠目には窓のようにみえたのだろう。五月の薫風にのってばら園からはかぐわしい芳香がただよってきた。ここは神代植物園だ。彼女はまだこない。「五月の第一金曜日に会おう」そう決めていたのに彼女は現れない。どうしてきてくれないのだろう。もう少し待てば彼女は長い黒髪を風になびかせて颯爽と現れるはずだ。温室の方角から来るだろうか。藤棚の方からかな?ああ早く会いたい。彼女とは二月ほど前に一度あったきりだった。彼女はバラ園を眺めていた。白いワンピースに真紅の細いベルトをしていた。その後ろ姿をみただけで彼は動悸がたかなるのを覚えた。ヴイルヘルム・ハンマースホイの画がいた女性。後ろ姿のイーダの哀愁ある立ち姿だった。...五月のばら園にばらの花降る麻屋与志夫

  • さもしい夢をみたものだ。 麻屋与志夫

    4月28日金曜日またおかしな夢をみた。ずるずると岡からずり落ちた。川があった。大きな魚が泳いでいる。わたしには魚の名前はわからない。鯉に似ている。手づかみでつかまえた。ほいと投げ上げると、だれか上の方にいるヤツがうけとった。すごいよ。凄いよ。と褒めてくれた。ぼくは、もう一匹つかまえて、部屋に入っていった。どうやら、新聞社の編集室らしい。魚はすでに料理され、みんながおいしそうに食べている。刺身にしたり、てんぷらにしている。ぼくはもう一匹わたす。「おい、たまには編集長と飲むといいぞ」と顔見知りの男にいわれた。接待すればぼくの小説を載せてくれるということらしい。そこで、目をさました。なんとも、サモシイ夢をみたものだ。いかにもオファのこなくなった物書きの夢らしい。むかしは、よく出版社の編集部に原稿の持ち込みをした...さもしい夢をみたものだ。麻屋与志夫

  • 詩16 田村隆一に捧げる 麻屋与志夫

    詩16田村隆一に捧げる枕ほどの高さの田村隆一全詩集をまさか枕にするわけでもなく抱き枕としゃれこんで抱えこんで寝ている酒をノメ黄金色に輝くウェスキーをのめ酒を飲もうぜ詩集は毎夜詠いだす困ってしまうアル中で死ぬのがぼくの夢なのだがまだ書きたい小説がある書き上げたらなら書き上げたら心の師私淑しているあなたと田村隆一さまお酒飲みたいのみたいノミタイ詩16田村隆一に捧げる麻屋与志夫

  • 詩15 黒い流れ 麻屋与志夫

    詩15黒い流れふるさと鹿沼に黒川川には幾つもの橋人は橋を架けるのがすきだ橋を架け土手をコンクリートの堤にしてただせわしなく人と車が行き来している人が通る車が通る浪費だどうせなら人と自然の間に橋を架けてください恋のために苦しみ生きる悩みをかかえ川にとびこんでくださいでもでももうもう川の水はおおすぎる橋にはらをたててコンクリートの堤にはらをたててどこか別のところを流れています川にはもう水は流れていないのですほんとうは川は乱伐にはらをたてているのです源流の山にはブナやヒノキやケヤキも杉もろもろのなつかしい日本の黒い森はありません豪雨のあとだけ黒川があらわれます黒ぐろとながれた川の面影をみせてくれます思い出させてくれますこれでは川がかわいそうこれでは川がないてます白鷺も鴨も小鳥もツバメ遊び場を水飲み場をうしなって...詩15黒い流れ麻屋与志夫

  • 詩14 こころが波立たない 麻屋与志夫

    詩14こころが波立たないこころが波立たないいかりもかなしみもひからびたはっこつ寒さも気にならないふるえるおののきもしわのなかに潜んだ暑さだっておなじだ霜柱をふみに野に立つと幾千万の煌めく針その美しさにもこころが波立たない煌めく針の尖端にもおののかない夏になっても汗も出ないよどうしちまったんだどうなっているんだあわてるなあわてるな終末までにはまだある時間はある詩14こころが波立たない麻屋与志夫

  • 詩13 大樹チャント釣り 麻屋与志夫

    詩13大樹チャント釣り釣りのきらいなジイチャンは大樹チャンに袖をひかれても釣りにはいけない街の舗道に釣竿をひきずってきょうも反省の糸をたれてあるいていますなにか釣れるかなジイチャンの獲物は街にいないジイチャンには餌がないすいっと魚がよってくる餌がないジイチャンはジイチャンを疑似餌にするジイチャンはリールから伸びる釣り糸の先の餌だなにが釣れるかななにを釣りたいのわかんないわからないなにを釣るのかわかっていればジイチャンも釣りがすきになったはずだジイチャンはダンプに轢かれる舗道で平面になってからもなお生きているなにを釣ればいいのなにを釣ればいいのなにを釣ればなにをなにな詩13大樹チャント釣り麻屋与志夫

  • 詩12美智子さんは夜行性 麻屋与志夫

    詩12美智子さんは夜行性夜行性二足歩行動物である美智子さんきょうも日暮れからわたしは黒の大きなリックを背負うパラソルの陰に身を潜ませなくてすむ美智子さんごきげんだわたしは帰路のリックの重みを予感して憂鬱だ紫外線はオハダの大敵なのこうしてあなたと夜歩くのが好きたどりついたスーパーであなたは貪欲に爪をのばし片っぱしからカートのバスケットに獲物をなげこむサイフは支払いの予感におののく麻屋与志夫の小説は下記のカクヨムのサイトで読むことができます。どうぞご訪問ください。ブログで未完の作品は、カクヨムサイトで完成しています。カクヨムサイトはこちら角川のbookwalkerーにも載っています。今日も遊びに来てくれてありがとうございます。お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。皆さんの応援でがんばっています...詩12美智子さんは夜行性麻屋与志夫

  • 詩11シーツの海の美智子さん 麻屋与志夫

    詩11シーツの海の美智子さん今日は金曜日塾はお休みゴミ出しの日遅い朝におどろいて妻の部屋にかけこむおいゴミヤさんがきてしまうぞ詰めて置いてくれればおれがすてにいくのにすてにいくのに純白のシーツの海の波間にあなたはたゆたゆたゆ四角の海に対角線をひいていますこしねていたいわわたしはすごすごと退去するキッチンの廃棄物ポリ袋に詰め込む臭い生ごみ廃棄物キライわたしとあなたが生きるためにスピンオフした残りかす詩を書くためにはおおくのものをすててきたいまさらゴミ捨てなんか厭うきもちはない手触りのいやな廃棄物なんでもすてます捨てますすてますステマスおいゴミはだしておいたからなゆっくりと朝寝をたのしむといい妻の寝室からは応えはもどってこないシーツの海で溺れてやしないか枕の暗礁にのりあげてはいないかシーツに顔をおしつけて窒息...詩11シーツの海の美智子さん麻屋与志夫

  • 詩10 あなたに〈美智子〉さん 麻屋与志夫

    詩10あなたに〈美智子〉さん象のように巨大でないからやさしい象の目をしていないからぼくは象にはかなわないからあなたの髪で故郷につなぎとめられたというのはぼくの詭弁だあなたの豊旗雲の黒髪はでもあなたの華奢で大きな存在はあなたの好きな切り子細工のグラスの空にすかすと刻々とかわる光の波動のように歳月が変転したがあなたと過ごした時は黒髪につながれた象でない象であるぼくには楽しいものでした詩10あなたに〈美智子〉さん麻屋与志夫

  • 9詩 美智子さんベッドからおちた

    9詩美智子さんベッドからおちたみちこさんベッドからおちたキングサイズの広大なシーツの海をしわくちゃにして輾転反転ただよっていたあなたまだ地球が平坦だったころ海の果ては滝のよう地の果ては崖のようそのような場所から夢の果てから真っ逆さまに墜落したようにあなたはおちた悲鳴がわたしをあなたのところへよびよせるよびよせる美智子さんのいちだいじロシナンテのようによたよたよたよたあくせくあくせくトロットトロット腰に痣わきばらにあざうでにもアザアタマウッタイタイイタイパクパクおぼれた魚人魚のなみだ麻屋与志夫の小説は下記のカクヨムのサイトで読むことができます。どうぞご訪問ください。ブログで未完の作品は、カクヨムサイトで完成しています。カクヨムサイトはこちら角川のbookwalkerーにも載っています。今日も遊びに来てくれて...9詩美智子さんベッドからおちた

  • 詩8 ブーゲンビリア 麻屋与志夫

    詩8ブーゲンビリアことしの夏ブーゲンビリアは咲かなかった南国の真紅の花文学作品でしかしらなかった情熱の血ふぶきの花ヨーカ堂のフロントの花屋で鉢植えの花を妻と選んでいたときだねきみとあったのは来春の市長選にはでるからよろしくとあいさつされたのはそのきみが当選の報をきいたのは臨死の床そして息をひきとるまでの百五十秒にっこりと笑って死んだと新聞は報じていたきみはなにを考えていたのだろう花を思え咲かなかった真紅のブーゲンビリアを追慕せよ一秒に一ひら花弁を造形せよヒャクトゴジュウの花弁を友の墓前に捧げよはじめて友のしにあった詩人は死人のように青い夏を生きていますことしは冷夏さむざむとした夏だブーゲンビリアは咲きませんきみのところではどうなんだい……注市長当選後、数秒で他界した稲川武君へ。麻屋与志夫の小説は下記のカク...詩8ブーゲンビリア麻屋与志夫

  • 詩7 誰もいない部屋で手をたたく 麻屋与志夫

    詩7誰もいない部屋で手をたたく毎日の授業で話しすぎるのでのどのいたみがとれませんヤスリをかけられたようにこそばゆくていたみます塾生は遊びざかりのこどもたちかれらの話声を封じようといたむ声帯をふるわせてすませました今宵の授業誰もいない部屋にもどって声が出ないので手をたたいたらミュ―とムックがはしってきた猫は足音をたてない肉球が音を吸いとるどうしてかなとても力強い足音がした誰もいない部屋で手をたたくとカミサンのかわりにミュ―とムックがとんでくる詩7誰もいない部屋で手をたたく麻屋与志夫

  • 詩6 鹿沼 詩可沼 麻屋与志夫

    詩6鹿沼詩可沼ぼくに一掬の詩魂があれば流れ出て詩の河にそそげ猫の朝猫は悪魔なんていやねえ悪魔は猫なんて嘘よーね魔導師の使い魔は犬か豚ミュ―とムックアタシとボクは宿主を見守る眼球燦々と輝く黄金色の四球二日酔いのご主人さまにはウィスキー色に映える四杯のストレートグラスアタシはミュー猫のなきごえちがうわーミュタントのミューネコデナイネコだわよミューミューミューミューミューミューミュー我が輩にはもう名前があるのでR母ミュ―の胎内よりいでしときより6キロあったのでRなんていっちゃって実は不肖の息子だったりして名は無食ムッツリスケベエのアノヒトハ木喰上人の信奉者でありましてそこで我が輩名はムックウとはっします水濁って魚住む詩可沼にと湯あみしゃしたナンッチヤッテかっこつけちゃっているがねねなにも食わずにおおきくなった無...詩6鹿沼詩可沼麻屋与志夫

  • 詩5 いまは黄泉の国にいるともだちに 麻屋与志夫

    詩5いまは黄泉の国にいるともだちにことしも葉桜の季節になったどうして花をみずに葉をみにくるのだろう花が咲くころは華やかすぎてきらいだ人ごみのなかで花など見上げてたのしくなるなんておかしなことだいつもきみたちと会っていたのはここだ千手山公園の天辺のベンチ葉桜の下で故郷の街を見下して青春の夢を語り合った政治家に、なりたかったきみお金もちになりたかったきみ女の子にモテタクテいたきみ演劇にうちこみたかったきみ絵かきに、なりたかったきみ小学校の先生になりたかったきみ成功したものも挫折したものもいまはみんな泉下のひとさびしいよさびしいよ桜の葉をみあげながらいまぼくは言の葉をつむいでいるいつになっても完成しない小説をかいているいちばんひ弱だったぼくが長生きしてこうして言の葉を茂らせているなんて不公平だよな過去った遠い盛...詩5いまは黄泉の国にいるともだちに麻屋与志夫

  • 詩4 朝 めざめると 麻屋与志夫

    詩4朝めざめると目をさますと目覚めるのあいだにはどんな感性のちがいがあるのか目覚めるという感じではないのだ中年になってからは目覚めるには一日への希望の出発がある目をさます倦怠の闇にまだ捕らわれている朝目を覚ますのはミュとムック二匹の猫が起こしに来るからだきまった時間に律儀に寝どこにもぐりこんでくるかのじょとかれはわたしがトイレに入っているとちゃんと待っているかおをかしげて二匹で低く「ニャァ」と朝の挨拶おなかを空かしているときの猫はすごくコケティッシュだ食事をねだるときの猫はすごくファンタスティックだひともいつも飢えていればいいのに飢えのためなら目覚めるも目を覚ますもないとび起きてさあ仕事だ庭の紫陽花は咲いているか無花果の木にかけた農薬はカミキリ虫を駆除したか黒竹は雨で傾いだままか二匹の猫ミュとムックが起こ...詩4朝めざめると麻屋与志夫

  • 詩3 愛猫リリの旅たちに捧げる

    詩3愛猫リリの旅たちに捧げるだれかに見られているようでふりかえって見上げる棚の上からわたしたちを見下していたリリはもういない。うとうととネボケ眼でわたしたちをくびをかしげて、眺めていたリリ、の視線はもうない。部屋の隅にツメトギ台がポツンと置いてあるバリバリと狩りにでる雄叫びのような猛々しいツメトギの音はもう聞かれないのだねリリ、リリ、さびしいよ。ネズミをくわえてきたり子雀をくわえてきたりビンボーな老人老婆のわたしたちを養おうとしていたけなげな勇姿リリ、リリ、リリはもういない。よびかけるとかわいいちいさな顔をかしげおおきなあくびをしていた白く鋭い牙をのぞかせてワイルドなリリリリ、リリ、リリはもういない。病院につれていくキャリーバックのなかでさいごに猫らしくニャオ―と鳴くことができたあれがリリ、リリのおわかれ...詩3愛猫リリの旅たちに捧げる

  • 詩2 リリよ 麻屋与志夫

    詩2リリよ冷凍室をあけると薄緑のアイスノンが目につくリリは一晩この人工の氷にひやされていたほんとうは人肌であたためていたかったのだがかなしくてそれができなかった週刊誌大の氷のうえでひと晩独りぼっちだったのだねリリつめたかったろうリリさびしかったろうこころぼそかったろうくやしかったろう病気にさえならなければまだまだ生きていられたのにたった1年8カ月のいのちだったね腐敗したっていい腐臭を部屋に充満させたっていい氷で冷やしておくなんてことしなければよかった腐って臭くてリリのことがイヤニなっていればリリのみにくい容姿をみていたならば――こんなにかなしまなくてすんだリリ、リリ、リリおまえはさいごまでかわいいかったあまりにあいらしいので「リリ、カワイイ」ワタシタチノ言葉に応えて目を細めてよく――くるりとよこになったね...詩2リリよ麻屋与志夫

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