4月17日水曜日御殿山と千手山の桜が散った。わが庭の藤の花が咲きだした。藤の花は咲きながら花房がしだいにのびていく。それを毎朝眺めるのが楽しみだ。小説を書くのにももっとも適した季節だ。わたしは歳を取ってからすごい寒がりになった。気力がなくなったというよりは、体力が衰退している。今朝は、小雨が降っていた。右手に杖。左手に傘で散歩にでるのは危険だ。両手がふさがっているときに、転倒して額をわった。手をついて受け身をとるのが遅れたのだ。だいたい、倒れるときには何の予告もなく瞬間的に倒れてしまう。だから年寄りは倒れて怪我をする。そこで寝込んでしまう。こわい。こわいな。思い切って杖なしで出かけた。なんとか30分いつもどおり歩ききった。小説を書き、わたしの頭に咲く花の季節をまだまだつづけたい。花の季節を引き延ばしたい。花の季節を引き延ばしたい。麻屋与志夫