木に白い花があり、ピンクの花があり、赤い花がある。その色混じりに咲くのは箱根空木の花。それぞれの色は、それぞれの花の時間。白く咲いてだんだんに赤みの色を得ていく。見ていて楽しくなる。 移ろいのはこねうつぎに浮かぶ日々 (奈美あや)...
甘柿の木がある。今、それにクリーム色の花。その中でアリたちが遊んでいる。何かいいことがあるのか。蕾を見れば四角い。実の形と同じように。今年秋はどのくらい生ってくれるか。 今年はなぜか五月が行くのがさびしい空は青いのに (居山聞涛)...
夏蝋梅は白木蓮の下。花はほんのりと薄桃色を帯びて。大きな葉に隠れるようにして下向きに。中には黄色くやわらかに膨らむ蘂。そこは人目に付かない庭の西隅。静かに、ひっそりと。 「そこでで咲くの」と微笑み返す木漏れ日の夏蝋梅 (郷羽三夜子) ...
部屋にあるカネノナルキを植え替えました。その生長に伴い、高さや樹形と鉢とのバランスが取れなくなっていました。ずっと気になっていたのです。一回り大きなサイズの新しい鉢を用意し、土も入れ替えて。見た目にも調和と安定感あり、よかったと思います。近くにホオジロがやってきて、ピッチチチィーチュルピィーピリリーと明るく軽やかに鳴いています。山茱萸の下では一房のサクラウツギが咲いています。気持ちのいい風が吹く爽...
キショウブが咲いている。花姿は和の趣を見せるような美しさがあるが、実は外来植物。明治期に観賞用として導入されたものらしい。繁殖力が強いので、ほかの草花に影響を与えないように注意しなければならない。花が終わったら、根茎を掘りあげて株を半分ほどにする。 鎌動かす黄菖蒲の元蛇が行く (実野滸人) ...
白い芍薬がある。重なる花びらのさまは牡丹にも見まがう。優雅で、繊細で。花はすべてが白というわけでなく、わずかに紅をまとう部分がある。それはまるで恥じらい隠れるようにして。 芍薬に杜鵑鳴きし朝の庭 (奈美あや)...
ピラカンサ(Pyracantha・タチバナモドキ) ~自由だなあ~
ピラカンサにたくさんの小さな白い花。その中には可愛い蕊がちょんちょんちょん。そこにいろいろな虫たちがやってきて。気ままに。その上を燕が颯爽と飛び交う。自由だなあ。 手を広げ燕の空に心干す (奈美あや)...
やわらかにふんわりと。やさしくものしずかに。美しい花姿の赤い芍薬。芍薬には顔佳草(かおよぐさ)の別名もあるという。まさしくその名のとおりだと。 紅芍薬はそろりと歩く着物姿の女性を思い描かせて (居山聞涛)...
石斛にも季節。咲くのは李の幹が二つに分かれる付け根。毎年その場所で多数の薄紅色の花を見せてくれる。水やりしたことはないし、肥料をやることもない。どうやら空気中から取り入れる水分だけで十分らしい。そしてそこの環境をも気に入っているのだろう。いずれにしてもずっと元気でいてくれるでありがたい。古名では少彦薬根(すくなひこのくすね)というとある。 月下美人の葉にちょこんと雨蛙私が目を近づければ彼も私を...
まだ梅雨入り前。葉の茂る庭に彩りを添えてくれるのは紫蘭。緑に囲まれその対照的な色は目立つ。花に目を近づければ、唇弁に走る縦襞が美しい。自然の造型の妙。アリ君が一匹遊んでいる。 葉色の中に紫蘭あり言葉を選べとや (上武旋転子)...
ワイルドストロベリー(Wild strawberry) ~小さいけれど~
ワイルドストロベリーを摘みました。今年の一回目です。さっそく洗ってデザートに。小指の先ほどの大きさですが、ふつうの苺に劣らない甘さがあります。あと何度かは収穫できそうです。 庭の苺摘む日曜日一籠分の幸せ (奈美あや)...
家人に頼まれ、畑で茎茗荷を採っていた。土の深くに包丁を入れて根の近くで切る。 その時、鶯が鳴いた。相変わらずの美声だ。かなり大きかったのですぐ近くにいるはずと、辺りを見渡したが、見つけられなかった。ふた鳴きしたあと聞こえなくなった。何かいいことがありそうな気がした。続きをする。収穫籠いっぱいになった。50本くらいあるか。数日前から玄関近くにあるピンクの西洋石楠花がある。まだ蕾の...
レインスーツを買った。私には珍しく、やや派手目の色を選んだ。長年使っていたアウトドアメーカーのがだいぶくたびれて、機能の劣化を感じていた。さっそく着て作業をした。防水性、撥水性、透湿性がとても良いと実感できた。タグを見れば生産国がMyanmarと書いてあった。ニュースの映像が浮かび、少し複雑な思いになった。山茱萸の下には小手毬も。花は小さな白い5弁花。茶色くなり始めている。 薬局から戻れば花を乗せて...
雨の中、傘を差して外に出る。ジャーマンアイリスが雨粒を乗せている。濡れ姿の花は詩(うた)。大雨にならなければいいが。 色アイリス雨に呼応してささやく (奈美あや)...
ナンジャモンジャノキ(ヒトツバタゴ・一つ葉田子) ~五月の燕(つばくらめ)~
今年もまたナンジャモンジャノキの木が白くなる。4つに深裂した花は清楚という形容がにあう。細いそれは少しの風にもヒラヒラ。しばらく前から『北原白秋詩集』を読んでいる。昨日はその「人形つくり」(思ひ出)の中に 外ぢや五月の燕(つばくらめ)ついついひらりと飛び翔る。(28行目)とあるのを見つけ、、「うんうん」と嬉しくなる。今、まさにその光景を毎日見るのだから。ナンジャモンジャノキの上をも。 ナンジャモ...
キバナイカリソウ(黄花錨草) ~そろそろ梅雨入りでしょうか~
透明感のある淡黄色の花は黄花錨草です。四弁の先が細く伸びて、名が示すように船の錨の形に似ています。それがいくつもがまとまって下向きに垂れて咲いています。日毎の最高気温の上がり下がりが大きいこの頃です。着るものも先に行ったり、戻ったりです。これが五月の特徴と言えばそうなのですが。各地で早い梅雨入りのようです。ここでもそろそろでしょうか。 垂れる錨花子どもの頃描いた写生会なつかし (実野滸人)...
先の土曜日に知人(女流画家)から電話があった。「美術展の当番は18日(火)の午前中です」と。不安が募るばかりのこのご時世、人が混雑しない時間帯に観るのがいい。開場時刻の9時に行くことを伝えた。文化芸術活動と日常生活。不要不急をどう線引きするか難しいが……。対策を万全に講じて出かけよう。庭の牡丹もそろそろ終わりに近づき、残るのは三色のみとなった。牡丹色のは“花遊”で、唐紅は“花王”の名だったか。淡黄色の花弁...
あやめも見頃となりました。それぞれに高さを少しずつ違え、間合いを取ったりしながら咲いています。そのまとまりを切り取ると、屏風絵のようにも見えます。そしてまた一つの花だけでもその味わいは深く。天を差す蕾もきりっとして。離れても、近寄っても、多くても少なくてもあやめは和の美です。一輪切って竹筒に挿しました。 まっすぐに吾が生まれ月の花あやめ (奈美あや)...
燕子花が一輪咲きました。さっと筆で引いたような白い一筋が目を惹きます。ほかの株には蕾は見えません。いつもは下旬に入ってからでしたので、まだこれからなのかもしれません。つつましくて。きよらかで。ひんがよくて。昔には貌吉花(かほよはな)の名もあったそうですが、そんな感じです。好きです。 いつしか覚えた古人の妻恋歌かきつばた見るたびに (郷羽三夜子)...
朝、いろいろな鳥がやってきて声を聞かせてくれ、清々しい気分になる。一時期数が少なくなってきたと思っていた雀も姿をよく見せるようになっている。昨日は久しぶりにカワラヒワを見た。だが、その中にうるさい複数の声を聞くと、複雑な思いにさせられる。この時期、毎年繰り返されるある場所から響くヒヨドリの声のことだ。そう、桜桃の木にやってきてその実を啄んでいるのである。その下に実がだいぶ落ちているので気にはなって...
ブルーベリー(blueberry) ~花の数が実の数……と~
細い枝にたくさんの花がぶら下がる。その鐘状の白い花はブルーベリー。基部はすでに青い実の色。花の数が実の数……。 トンビ鳴いて木々の香木々の色満ちる中にいる (奈美あや)...
朝食時のこと。大きな声が庭から入る。「あれ、なに?」「コジュケイだよ」「コジュケイ?」「そう。鳥」「鳥?へえ、なにか動物かと思った」かなり音量で鳴くのでそう思ったのだろう。その姿を収めようと、カメラを用意するうちに声はしなくなった。筍入りの味噌汁がうまい。三つ葉のおひたしもいい。外に出て庭掃きの続きをする。ツルコザクラの桃色の小さな5弁花が溢れるように咲いている。 蔓小桜よ私にだって純情の五月...
ビバーナム・スノーボール(西洋手毬肝木) ~蒔いた種、埋めた種~
しばらく前に9面の花壇に花の種を蒔いた。向日葵は咲いた時の状況をイメージし、間隔を置きながら並べて埋めた。そのどれもが発芽している。土の上にちょこんと出たそれぞれの芽がかわいい。形や大きさ高さの違う色とりどりの花々が咲き乱れる様子を楽しんで待ちたい。「蒔かぬ種は生えぬ」ふとそんな言葉を思い出した。山茱萸の木の下ではビバーナム・スノーボールが咲いている。ラジオからはさわやかで明るい五月の歌が流れてい...
チェリーセージ(Cherry sage) ~電池交換とカット~
「ねえ、車のキーの反応が悪いんだけど」と、家人が言う。ドアの開閉の作動状況が良くないらしい。たぶん電池の消耗だろう。電子カードキーのカバーを取り外し、ボタン電池の品番を確かめホームセンターに行く。戻って、新しいのに交換し取り付ける。車の前に立って押す。直った。急に髪を切りたくなった。馴染みの理容店に行った。だいぶ短くしてもらい、すっきりした。チェリーセージにたくさんの赤い花。常よりかなり早い開花の...
五月も進み、木々の葉がだいぶ茂るようになった。庭にも木陰が多くなる。気持ちのいい風が抜ける。そしてそこにも花の姿がいくつか見られる。黄海老根の花は通常のに比べると大きい。知人から美術展の招待状が届いた。77回目となる歴史ある総合展である。会期は5月16日から23日。会場にいる日を確かめて出かけることにする。 愛らしと屈み見る吾を笑い見る花えびね (上武旋転子)...
道沿いには赤い新葉の生け垣。その中に小さな花がまとまり咲く。葉にまぎれてあまり目立たないが、白い5弁花でかわいい。時々覗いて楽しむ。下旬には剪定して生け垣全体の形を整えよう。 繰り返される人の心に響かない言葉と皮相な感性生け垣の中には小さな花の命 (上武旋転子)...
一八も咲く。だらりと開かれた青紫の花びら。奥からは広がる赤紫のさざ波模様。その上には白いとさか状の突起。基部から立ち上がる鳶の尾のような三本の花柱。庭で一八が初めて咲いたのは2007年5月10日のこと。そして今年もこの日にその花を見ることができる。 健康であることのありがたさをしみじみと今年も咲きいでつ鳶尾見る (居山聞涛)...
ワイルドストロベリー(Wild strawberry) ~小さな白い花と小さな実と小さな虫~
並ぶ山吹の下にはワイルドストロベリーがある。もともとはハーブとして植えたのが始まりだが、今ではグランドカバーとなって広がり、草を抑えてくれている。名前の通りの野性的で、繁殖力が強くまるで手がかからない。そこは少し前までは白い花で覆われていたが、今はその半分程は実の形にかわりつつある。実は小指の先ほどの大きさで、ふつうの苺に比べるとかなり小さいが、赤く熟すといい香りを放ちとても甘い。つまんで口に運ぶ...
甘野老に可憐な花がいくつも咲いている。柔らかな曲線を描く花茎に小さな鐘形が垂れて並ぶ。仲良く二輪ずつだったり、あるいは離れてそれぞれ一輪ずつだったりして。白い花はその先を薄い緑色に染め、笹に似た葉は縁辺に白い斑を入れる。その調和がまた似つかわしい。きょうの天気は良いという。旧友の個展を観に軽井沢へ。岡谷まで高速、それから国道で片道3時間10分。二年半ぶりの再会。ゆっくりと語り合ってこよう。甘野老の...
衝羽根空木は30年近く毎年咲いてくれる。木の高さ大きさはほとんど変わらずに。花は漏斗状で5裂し、その付け根には名のもとになる衝羽根の形。白い花びらは柔毛を持ち、中には不規則な橙の網目模様。控え目ながらほかとは違う魅力。そこいらに花のある五月。 木の花が生き方問う五月かな (奈美あや)...
新しい花壇を作り終えました。いろんな種類のたくさんの種を蒔きました。それぞれ彩りや高さの違う1年草がメインです。初めての試みです。夏から秋にかけて次々に花を咲かせてくれるはずです。楽しみです。李の下ではキバナホウチャクソウが咲いています。しなびたような葉の付け根から、うなだれたようなうつむきの姿で。 “井浚い”終えたと長靴モンペ姿の義姉どのような歌を詠むか繊細な心で (上武旋転子)...
友人の彫刻家から個展の案内が届いた。会場は軽井沢で5月8日(土)が初日。オープンイベントとして、午後からプロのダンサーによるジャズダンスの披露も。青春時代からの長い付き合い。行きたいなあ。遠いなあ。話したいなあ。時間がかかるなあ。迷って、悩んで、考えて、結論は送って当日の朝に。庭の片隅で鈴蘭がひっそりと。異名には君影草 (きみかげそう)も。ひたすらな愛の絆を連想。そういえば昔“白い風とすずらん”とい...
一株の蔓日々草を植えたのはもう20年くらい前になります。いい花だなあ、きれいな花だなあと思って。それから時が過ぎ、今では辺り一面に広がっています。すっかり野生化したようです。そこが好きな場所、好きな環境だったのかもしれません。様子を見ながら、蔓の伸びを抑えています。いい色です。 一所懸命と思いつつも小さな慾とつまらない打算が駆ける吾論語を読めど (居山聞涛) ...
牡丹の香りが広がります。赤、白、薄桃。黄色はまだのようですが。五月の庭に彩りが増えます。牡丹には深見草の名もあるそうです。たしかにじっくりとそばで見ていたくなる花です。 富貴草深見草廿日草華やかを静かに長く見る牡丹かな (居山聞涛)...
いくつかの海老根にも花です直立して伸びる花茎に小花が十数輪ずつ連なり咲いています。風が吹くと揃ってヒラヒラ揺れて。一つ一つに目を近づければどれもが愛らしい表情をしていて。花壇作りに精を出しました。二羽のコゲラがそばの梨の木に来てくれました。「ギーギー、オハヨウサン、ギーギー、ガンバッテイルネ」とでも。少し腰に来ています。 楓の下思邪なきえびね咲く私は『邪宗門』の扉を開く (上武旋転子)...
クレマチス(Clematis) ~「霜が降りる恐れがあります」~
昨日の昼過ぎ、町の広報が流れました。「役場産業観光課および農協よりお知らせします。明日の朝は霜が降りる恐れがあります」「果樹栽培の方は防霜ファンなどを稼働させしっかり対策をしてください」「また畑作の方は、野菜などの管理に十分な注意を行ってください」私は外に出したばかりの月下美人と孔雀仙人掌を家の中に取り入れました。今日は陽射したっぷりの日となりそうです。向日葵の種を植えることにします。クレマチスが“...
錦木にも花が咲いているのですが、あまりにも小さく、色も葉に紛れて目立ちません。この時期に咲くことを知っているものでなければ、そこに花があることさえきっと分からないのでしょう。この木の場合、錦の名が与えられるようにあくまでも真っ赤な紅葉が主役。人の目と心を惹きつけ、輝く季節は春ではなく秋なのです。「みんな違ってみんないい」ふと夭逝の詩人の言葉を思い出しました。 ドッドッドッと県外ナンバーのツーリ...
満天星躑躅...
それはまだ世に新型コロナウイルスという言葉がなかった一昨年の5月1日のこと。長年の友人が家族お揃いで訪ねてきてくれた。蓼科高原のホテルに連泊し、どうしても観たかったという碌山美術館まで脚を伸ばした翌日のことだった。庭や畑をぐるりと案内する。その時、ちょうど咲いていたのが林檎の花だった。山を近くに抱える南信州の田舎町とはまったく違う環境で生活する皆さんである。友人は薄紅色のそれを見るのは初めてという...
五月ですね。私は五月を節目として、時折自分なりのイベントを組むことがあります。あるいは、新たなチャレンジを始めることも。五月が好きなのです。今年もさっそく計画を立てました。行動します。庭の一角には著莪がまとまって咲いています。美しい蝶を思わせる花です。 今日今時をその時々の青春と五月の胡蝶花を眺め (上武旋転子)...
枇杷の下に青木があります。葉は艶のある大きな斑入りです。それにほんの小さな赤い花が咲いています。注意して見なければほとんど気づかれないままでしょう。青木はその名の通り、真冬も含めて、一年中青々としています。強い生命力を感じさせる木です。きょうはラベンダーを植えましょう。 見られなくても花は花静かに己を全うする青木は静かに密やかに (郷羽三夜子)...
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夕方の天気予報でキャスターが伝えていた。「あすは一日晴れで26℃まで上がり夏日になります」「半袖でも大丈夫でしょう」松本地区では凍霜害による農作物の被害が1億ほど出たとのニュースを聞いたばかりだった。この時期の信州は気温の急激な変化が多く、なかなか対応がままならない。まだ少しは羽織るものを残しておくのがいい。白い4弁の花がナツメの下にある。そのやさしいふんわりの花は白山吹。山吹の名がついているが、そ...
「天気がいいので城山まで行ってくるね」と家人は運動靴を履いて出かけた。この地域を昔治めていた一族の館があった公園で、町一帯が望める高台にある。正面には塩見などの南アルプスが。300段ほどの階段があり、足腰が鍛えられる。「気持ちよかった」と1時間ほどして戻ってきた。そして絨毯の上で横になった。ほかの草花にまぎれてピンクの花がある。いくつかの小さな花の集まる形で。ヒマラヤユキノシタだ。バタバタバタと雉...
アートガーデンにもぼちぼちと花が咲き出す。キャットミントは薄い青紫。宿根草なのでいつもの同じ場所に。かわいい花が穂になって立つ。初秋までその様は続く。蜂がやってきた。そして次々に花を渡って蜜を吸う。「どうだ、おいしいかい?」 花があって蜂がやって来て「よかったらおあがり」「ありがとういただきます」と会話しているのかも (上武旋転子)...
キリシマツツジがある。花が少ない。もっとたくさん咲いてくれたらいいのにと思う。隣のお宅のは葉の緑が見えないほどに染まっている。その違いは何だ。肥料?剪定?それとも愛情?今日は久しぶりに20℃を超えるという。開花の足を止めていた花たちも歩を早めそうだ。...
花蘇枋は紅白あって、少し遅れて白花も咲く。丸味を持つ小さな蝶形花が枝にびっしり付く。このあとハート型の葉が展開する。マメ科の木で、花後にはエンドウなどと同様に莢を付けた実が生る。飯山の“菜の花畑”が例年より早く満開だとローカルニュースが伝えていた。行ってみたいとも思うが、ちょっと遠いか。 四月の風に新しい物語があるように感じてどこか遠くへ出かけたくなった (居山聞涛)...
四月の楓は爽やかな青い葉です。そしてその今、たくさんの花を咲かせます。それは赤みのごく小さな花で目立ちません。あまりにも地味できっとそこで咲いていることさえほとんど気づかれないでしょう。春の木の花、たとえば人を惹きつける梅、桜、桃、あるいは花水木等々を思い浮かべればその差は歴然としています。楓の主役はやはり紅く染まる葉であり、輝く季節は秋なのでしょう。...
カリンも薄紅色の花を咲かせている。それは私には初心な乙女の顔のように見えもする。この2~3日は風があった。花もだいぶ散らされた。下に色が広がる。その小さな花は秋には拳よりも一回り大きな黄色い実になる。数年前までは砂糖漬けにしていたが、もうやめた。 モノもやることも少しずつ減らして身も心も軽くするまたもうすぐ誕生日 (上武旋転子)...
緑の葉がびっしりと長く敷かれる。そこはワイルドストロベリーのところ。今その中に白い花がいくつも顔を出す。それはもれなく実となり、5月から7月頃にかけて収穫できる。実は小指の頭ほどの小粒だがいい香りがしてとても甘い。ワイルドの名が付くように本来は野生種のイチゴ。繁殖力が強く、葉もハーブとして利用できる。私はグランドカバーを兼ねてヤマブキの下に植えてある。ほかの雑草が生えるのを抑えてくれている。 ...
花水木は2本ある。金木犀のそばには薄色のでこれが先に咲く。もう一つ濃い色のが利休梅の横にあり1週間ほど遅れる。枝の広がりや花数にも違いが見られ、濃い方のはコンパクトに収まる。それぞれに味があってどちらもいい。友人が図書館から齋藤孝の本を5冊借りてきて読んでいると連絡をくれた。そして「読後はとてもいいですね。心が潤います」と。 「花を本を愛を贈る日です」とラジオの人が語っていた“サン・ジョルディ”...
カラタチには太くて鋭い棘がある。何度か当たって痛い思いをしている。たとえば落ち葉を掃きながら後へ下がって背中を。花は白い。スプーン状の5弁で蕊から少し香りがする。花びらを落としたものはすでに小さな実の形になっている。食用にならないのが残念。少し肌寒かった。カーディガンを羽織った。風も強かった。玄関の外に出してあった孔雀仙人掌の鉢が倒れていた。3つ付いていた蕾は無事だった。内側に移動した。役場から「...
彼岸桜の下では三葉躑躅が咲いている。私には色辞典が二冊ある。【つつじいろ(躑躅色)】として載るその色見本は両方ともまさにこの色である。その一冊には次のように説明が記される。【つつじいろ(躑躅色)】赤躑躅の花の色から名付けられた色名で、紫みの赤い色を表わしている。すでに平安時代、そのいつの頃からかはわかはわからないが、躑躅という色も名前も知られていたことはまちがいない。たとえば「枕草子」の中で、清少...
ラズベリーはアートガーデンの北側に並ぶ。私の背よりも高い。今それに白い花。花びらが落ちると花托がふくらみ、そして実となる。家のは濃いオレンジ色。およそ6月前後が収穫の時期。消毒などしないのでその場で採って口に入れたりする。気の早い薔薇が咲き出した。この黄色いのはたしかゴールドバニーの名だったか。 木苺に白い花白い花たくさん生れよたくさん生れよ摘みたいよ (居山聞涛)...
昨日は29℃に。風も出て。キクザキヤマブキの花びらは細い。その枝がしなやかに揺れる。せっせと働かなきゃ。春だもの。もっともっと動かなきゃ。 しなやかにゆらゆらりと山吹の風に誘われて四月の29℃ (上武旋転子)...
一仕事を終えてお茶を飲んでいた。枝が屋根に当たりそうになっていた李の剪定などだ。それにしても暑かった。電話が鳴った。ディスプレイに義姉の名が表示される。「リーフレタスを収穫したから持ちに来ない?」と。「分かりました。すぐに伺います」車で5歩ほどの所に一人で住んでいる。玄関にレジ袋に入れて用意してあった。「葱も取ってあったので」ともう一袋。歌の選者でもある歌人が表の顔だが、野菜作りにも年季が入る。私...
茶筒の中がだいぶ低くなっていた。そろそろ用意しなくてはとお茶屋さんにでかけた。長年同じのを愛飲している。それの新茶が出ていた。もうそんな時期なんだ。「今日は暑いですね」「真夏のようですね」そんな会話を交わしながら一つ求めた。利休梅も満開。花は純白の五弁。花びらは縮織りの様。さわやかに。おだやかに。卓にも一枝を。...
今、いろいろに花。小さな草にも高い木にも。そろぞれの色で。それぞれの形で。青い空の下、花水木にも溢れる。花はゆるやかにうねり。色を少しの階調にして。「花水木のすてきな色は造形の神にしか出せない…」以前、そんな文を読んだことがある。 愛の歌がこぼれてくるような気がしてあふれる花水木を見上げている (居山聞涛)...
遅れて鬱金桜も咲きます。黄色い八重の桜です。花びらには黄緑色の斑が見られます。そして咲き進むと中のほうから赤みがでてきます。一味違う桜です。 四月の風に黄桜咲いている道ゆく人は気づかず (上武旋転子)...
梅桃の花は5弁の白い花です。梅のようでもあり桜にも似ています。それは6月頃、赤い小さな実になります。甘味と酸味がほどよく混じります。この可憐な花には「郷愁」の花言葉がありました。「郷愁」……ですか。さて、あと二ヶ月後の収穫を楽しみにしましょう。...
山吹が並ぶ。家を挟んで、花水木の下と桜の下に。あふれて気持ちいい。風に応じて枝がふわっと揺れる。一つは一つでゆかしく。手を添えたくなり。今日は画家の知人宅を訪問する日。石楠花の広がる庭、アトリエ見学、そしてこだわりのコーヒーを淹れてくれるというお誘い。昨夏の約束を忘れずにいてくれて。 やさしく揺れてそっと触れてさまざまな思いを振り返らせるごとに山吹のある (上武旋転子)...
ラジオでパーソナリティーがリスナーに問いかけていました。「あなたが春を感じるのはどんな時、どんなことでしょう」と。草花、人事、伝統行事などの答えが届けられていました。 私の頭に出てきたのは食器洗いです。水の温みを感じ、手袋を外すようになったことです。片栗とか福寿草とか蕗の薹なども思い浮かんだのですが。洗い物をするとき、少し前までは水が冷たくて、手袋をしていました。それが今は素...