昨日の来客は17:10に帰った。連絡をもらった予定では16:00だった。それだけ時間を気にすることなく楽しく過ごしてもらえたのなら私もうれしい。また来たいとも言っていたが……。お堅い同業の職に就いているという幼なじみの二人。それ以外のことは年齢も含めてまだよく知らない。家族構成なども含め、身上については私も敢えて訊いていない。そのうち自らが身の内を語ってくれるのだろう。帰る時、笑顔で何度も頭を下げる二人の姿に...
昨日の来客は17:10に帰った。連絡をもらった予定では16:00だった。それだけ時間を気にすることなく楽しく過ごしてもらえたのなら私もうれしい。また来たいとも言っていたが……。お堅い同業の職に就いているという幼なじみの二人。それ以外のことは年齢も含めてまだよく知らない。家族構成なども含め、身上については私も敢えて訊いていない。そのうち自らが身の内を語ってくれるのだろう。帰る時、笑顔で何度も頭を下げる二人の姿に...
庭の横を川が流れている。ゆえに1年を通して生活の中に川の音がある。梅雨時はそれが濁流となって怖くもなる。夏は涼やかな風を吹き上げて家までに届けてくれる。秋の河原は溝蕎麦のかわいい花を広げる。冬は神秘的な氷の造型を出現させる。そして雪解けのせせらぎは春の到来を楽しませる。何年か前になる。そこに私は細くて長い道を作った。一人で何カ月もかけて。それに“思索の小径”と名付けた。時を定めずに気分の赴くままに歩...
ノコンギク咲いた。アブがとまる。セセリチョウもとまった。中学校の時、若い二人の悲しい恋物語の映画を見た。自然に涙が出た。土曜日の午後だった。当時、学校では映画を見ることは禁止されていた。休憩時間の明るくなった館内に生徒指導の先生方が入ってきて補導された。私以外にも10人近くがいた。月曜日に反省文を書いて提出しろと言われた。生徒から恐れられていた主任の数学教師の顔は今でも忘れれない。野菊を見るとそんな...
公募展の作品が返ってきた。その搬入搬出の費用27,500円を送金した。友人から個展案内が届いた。初日に行くと伝えた。若い人から「28日の午後2時半に伺いたいと思います」と連絡が入った。「いいですよ」と返信した。アマリリスや君子蘭などの鉢物を室内に入れた。掛け軸を『柘榴』に替えた。押し入れの整理をした。冬用の新しいパジャマを2着買った。家人はまだ旅から帰ってこない。私は楠で栗を彫っている。庭にはピンクの薔薇...
朝の肌に感じる冷ややかさ。向こうの景色は川霧に覆われ。足元の草花は露を乗せる。いつの間にか虫の音も消えて。手紙ならば「秋冷の候」と相応し。名前の知らない白い小菊が咲いている。野菊もだいぶ目に付くようになった。そんな今は菊にとって一番いい季節らしい。...
庭で先に色づくのは花水木。ややくすんだ紅い色の葉に。一緒に実も真っ赤に。茱萸に似て美味しそうで。(食べたことはないが)艶やかで空の青に映えて。秋がさらに秋らしくなっていく。色も形も香りも空気も。家人は遠い地の秋を訪ねる5泊6日の旅に出かけた。私は彫刻刀で秋を制作している。 先の秋に誘われて次の秋も来る赤い実をつけた花水木は紅葉を始めた (上武旋転子)...
アートガーデンの一角に段菊があり、少し前から咲き出した。青紫の小花が密になって茎をぐるりと取り巻く。それが下から上に向かってだんだんと咲いていく。飾らない素朴な佇まいがいい。。その近くにモンシロチョウが来て翅を休めていた。友人が渡り鳥を見てきたと、その様子を動画で送ってきてくれた。懐かしい気分になった。そして「10月は他の月より心が波立つしざわめきもします」と一文が添えてあった。それぞれに思いを深く...
セキヤノアキチョウジ(関屋の秋丁字) ~耳を立てた小動物の顔~
いつもは葉をいっぱいにした茎が賑やかに立つセキヤノアキチョウジも今夏の猛暑で多くが枯れた。全滅するのではないかと心配したが、葉を少なくした弱々しい姿でなんとか数本が残った。そして今、小さな筒状の白い花を咲かせている。花の先は耳を立てた小動物の顔のようで、見る度に楽しくなる。このセキヤノアキチョウジには冬の楽しみもある。我が家で唯一、「霜の花」を造型するのである。それは毎年、刈られた冬枯れの茶色い花茎...
野良着姿の義姉が葱と金時草を持ってきてくれた。一人暮らしながらほんとによく働く。そして「美樹が4日に帰省するんだけど、その時お宅にもお邪魔したいんだって。都合はどう?」と。「特に予定は入っていないのでいいですよ」次女が住んでいるのは仙台。ご主人の運転で来るというが、どのくらいかかるのだろう。名古屋での結婚式以来、二人にはお会いしていない。それからもうかなりの年月が経つ。美樹さんは犬や猫などのもふも...
ホトトギスは花びらに濃い赤紫の斑点を蜜に散りばめる。その模様が杜鵑の胸毛の様に似ているので、この名がつけられたという。蕊には小さなビーズのような球がいくつも乗る。何ともいえない自然の造型の妙。花言葉は「秘めた思い」「永遠にあなたのもの」とある。よくわからないが、女性の立場からなのだろうか。イチモンジセセリチョウが来てとまった。昔「♪花が女か 男が蝶か~」という歌があったのを思い出した。 秋風に...
玄関近くの見上げるところで金木犀が咲いている。そこに立てば甘い香りが降ってくる。それは二階の寝室からも見える。遠くに塩見岳などの南アルプスの山並みを背にして。それとは別に2メ-トルほどの高さのが5本ある。家を取り巻くように台所のそばと、ダイニングの外に2本と、そして染井吉野の下にも2本。ゆえに外のどこを歩いてもその香りがミストのように漂う。花は咲き出したばかりで、まだ完全に開いているのは少ない。満開...
浜菊が咲き出したのは数日前から。大きめの白い舌状花。円形に整った黄色い筒状花。厚めで艶がある葉。年季を経て木化した茎。名に「浜」を冠することで分かるように、もともとは太平洋側沿岸の野生菊。それがこうして山国信州の秋庭に。今年は花が少ない。黄色い葉も目立つ。それでもあの猛暑を乗り切ってくれた。そこでもう20数年になる。 朝陽射し浜菊の影濃き秋の庭(奈美あや)...
柿の葉が落ちる。バサッバサッと地に音を立てて。利休梅も落ちる。軽やかに揺れて音もなく。梅も桜も李も舞って。掃く。前庭を中庭を北庭を南の庭を。そこもどこもどれをも。臘梅の下には薄いピンクの一重秋明菊が咲く。柘榴が赤い大きな実を付けている。私は脚が冷えるようになった。 修飾する言葉は何にする心に囁き誘い湧かせて秋の不思議 (上武旋転子)...
キイジョウロウホトトギス(紀伊上臈杜鵑草) ~二人の若い来訪者~
昨日の午後2時。二人の若い来訪者があった。赤いスポーティな車に乗って。どちらかというと体育会的の元気な方と。どちらかというと口数の少ない控え目な方と。互いは幼なじみで小中高を一緒に過ごした親友。アートガーデンであれこれを見、私の部屋でいろいろを話し、お帰りになったのは午後4時45分。10月の内にもう一度来るということに。そして、この歳ながら今風にLINEで連絡を取り合うこととなった。常は人付き合いも少なく...
白い秋明菊がちらほら。実は多くは夏の暑さにやられて。今あるのはそれを乗り越えたものたち。いつもなら長い花茎がたくさん伸びてゆらゆらと。隣り合うどうしで話でもするかのように近づいたり離れたり。今年は少ない花だがそれでも変わらずに、“秋の、明るい、菊”。きれいに丸く整った蕊は放射状に伸びて太陽のよう。 友人が、制作した3枚の絵の写真を送ってくれた。「出来映えはともかく、作ることで高揚感を感...
アンネのバラ(Souvenir d'Anne Frank) ~穏やかな秋の日に~
穏やかな秋の日。アンネのバラが咲いた。いい色。柿を採った。腰籠の一つ分だけだった。例年、この木からはコンテナの2箱から3箱は採れるのだが。9月の内にだいぶ落ちた。もう一本の次郎柿の収穫は少し先になる。百舌の甲高い鳴き声が響き渡る。 思春期の少女の心を思わせるような色の薔薇が咲いている秋の日 (居山聞涛)...
家の横は川になっている。庭から数㍍の下に流れている。固定のはしご段があり、降りられる。今そこには溝蕎麦が広がる。毎年見られる光景である。薄紅色と白に染まる花は磁器のような艶がある。それが散形にまとまり咲く。シジミチョウやハナアブたちが次々にやってくる。そして楽しそうに渡る。彼らの目にはどう見えているんだろう。 チョウがくるアブがくるみぞそばの広がりに身を浸す秋の日快し (上武旋転子)...
コルチカム(colchicum・イヌサフラン) ~サツマイモを7本~
家の入り口の東側には山茶花がある。今その下にコルチカムが二輪。毎年変わらずのやさしい淡紫紅色の。これも彼岸花と同じように「葉知らず花知らず」で。腰を屈めて見て気づいた。その一輪の花びらの一つがだらりと長いのに。そしてその先は割れている。いつもはみんな整った形で咲くのだが。そういえば、去年は3輪だった。どうしたんだろう。Iさんがサツマイモを7本くださった。「20日が出産予定なんです」と大きなおなかを...
アートガーデンにはコスモスがいっぱい。六月初旬に咲き、八月九月を経て今が一番の盛り。まさにわが季(とき)と。赤やピンクや白のが。そよ吹く風に軽やかに揺れて。よく考えればコスモスに青や黄色を見たことがない。ガーデンにはキバナコスモスもあるが、それは別種で丈は低い。その昔、青い薔薇が作出されたとの話題があり、見に行った頃がある。誰か青いコスモスを作り出せないか。空は青い。ピンクの上には白い月。花にはツ...
月下美人が咲いたんです。この鉢のは四度目だと思います。おとといの昼に咲く気配を感じ、部屋に入れました。一夜の花ですのでそのタイミングをは見逃せません。夕食終えて私の部屋の入るとよい香りが広がっていました。開きはじめていたんです。花は夏のより若干こぶりには見えますが、やはり麗人を想わせる花です。二つが寄り添っていい姿です。少しずつ大きく開いていきます。香りもいっそう強くなります。それを私が独り占めし...
シュウメイギクも咲く時期になりました。家には三種類があります。先駆けは薄紅紫色の八重の花です。そこは中の小径のちょうど中ほどにあります。上には蝋梅があって夏は涼を得られる場所です。ナミホシヒラタアブがとまっていました。友人から「渡り鳥の観察会に行きます」とメールが届きました。どんな様子が見られたのでしょうか。 秋明菊に花が一つまた一つと増えて一際映えわが庭あかるし (上武旋転子)...
松葉菊は夏にたくさん咲いた。そしてすべての花は終わり、緑の葉だけになった。北側の道沿いにはおよそ40メートルに渡って植えてある。その一角の50㎝ほどだけの箇所にまた咲いた。ピンクの艶あるきれいな放射状の花が。秋なのに。中庭では花の春の馬酔木に今溢れるように蕾があるし、ムスカリも至るところに顔を出している。猛暑と少雨だった影響か、今年はこのように庭の花たちにも常と違える様相がいろいろ見られる。 今...
遅れてまた彼岸花。それは九月中旬と下旬に続いて三番目の開花。イメージ的には十月の今咲くのが順当かもしれない。見れば、先に咲き終わったのからは葉が出ている。「葉は花知らず、花は葉知らず彼岸花」と言われるように、花と葉は同時に存在しない。互いにまみえること能わぬさだめ。花は葉に想いを寄せ、葉は花の姿を想像しつつそれぞれの時を全うする。朝夕の気温がだいぶ下がる。県内にも冠雪の便り。 彼岸花の三番花咲...
土の上に象牙色のやわらかな茗荷の花が並ぶ。つまりそれは収穫時期であることを示している。花の下に指を入れて捻り取る。二籠分になった。後はまた間を置いて別の日としよう。家人も一気には処理しきれないだろうから。外の水場で土を洗い落として渡した。茗荷は好き。 株の中に並ぶやさしき茗荷の花を無情に捻り抜いていく秋半ばの朝 (上武旋転子)...
鷹の羽薄が穂を立てています。それに午後の光が当たり輝きます。その葉には白い斑が入ります。それが名の由来です。南の庭にあります。染井吉野の下です。風に揺れます。いい景色です。秋の趣です。今朝も6℃と、十月初旬とは思えないほどの冷えでした。 鷹の羽薄のさやさやを眺めつつ一人風に身を置く快し秋時間 (上武旋転子)...
スイートアリッサム (Sweet alyssum) ~急な気温の変化~
今朝は9℃だった。昨夕のテレビの予報であらかじめ知ってはいたので、パジャマの上にベストを着て寝た。首には綿のマフラー、足には綿の靴下も履いて。起きての今は膝にフリースのブランケットを掛けている。急な気温の変化に体調管理にも気をつけなくては。少しだが白いスイートアリッサムが咲いている。花たちも戸惑っているかもしれない。4弁の可愛い小さな花だ。鼻を付ければほんのり香りがする。...
原種シクラメン・ヘデリフォリウム(Hederifolium) ~見かけの様と違って強い~
枯れ葉の中にほんの小さな白い花が一本立っていた。高さは5㎝ほど。葉はまだ出ていない。秋咲きの原種シクラメン・ヘデリフォリウムはいつもそんな風に咲く。たぶんこの後、2,3本が立ち、葉も出てくるはず。これは20年ほど前にで買ったもの。たしか安曇野の美術館を観ての帰りだったか。その時とほとんど変わらないままこうして毎年そこで咲く。繊細な見かけの様とは違って強い花だ。向こうの里山で小綬鶏が大きな声で鳴いた。 ...
庭にホトトギスはいくつかある。先駆けて咲いたのはシロホトトギス。色が色だけに目立たずつつましい。これも今夏の猛暑の影響を受け、何本かが枯れてしまった。今咲いてるのはそれを乗り越えた強い花たち。けなげで。つつましく。 寂しき心抱きて歩を進めれば隣家の杉先で百舌高く唄う (上武旋転子)...
ナツメをとった。脚立を立ててとった。一つ二つ口に入れつつとった。りんごのような味と食感だ。中にはラグビーボルのような形の種が一つ入っている。たくさんとれた。籠いっぱいになった。家人は喜んだ。「なつめは美容と老化防止に効果があるんだよね」と。一日に棗を3個食べると老いないという言い伝えがあることは知っている。皿に盛ってデザートにした。「半分は干して」という。私は生食が好きだが……。また一つ仕事が増えた...
オオテンニンギク(大天人菊・ガイラルディア) ~再会の約束~
ガーデンに咲く花の種類がだいぶ少なくなった。そんな中、今目立つのは大天人菊の黄色とオレンジ。長く伸びてだらしなく曲がる花茎の先に数え切れないほど。野放図ではあるが、静かな秋に彩りを添え興趣を与えてくれてありがたいと思う。多くの蝶の吸蜜や蜻蛉の休む場にもなって、目を楽しませてくれてもいる。東京に住む高校の同期生と電話で話をした。用あって私は近々六本木に行くのでその日程を知らせた。そしたら「その周辺の...
大文字草はその名の通り、花びらが「大」の文字のようになって咲く。それぞれを見れば、ところでは字画が一筆多かったり。左右の払いの長さが揃わなかったり。全体の字形の均衡が整わなかったり。ではあるけど、どれもこれも個性的な「大」でいい。その中に小さなアリさんが遊んでいた。私が大文字草を初めて庭に入れたのは2008年の10月下旬。熊谷守一記念館に行った折、休憩した店先に並ぶんでいたのを購入したものだった。...
中庭にも彼岸花がある。部屋から外に目を向ければガーデンテーブルのそばに見える。ちりちりと反り返る花びら。上向きに曲線を描いて伸びる蕊。それらいくつもの花が重なりあって咲く品ある佇まい。アートガーデンのは10日ほど前に咲いて、すでに茎は切られてもうない。その近くでは新たににたくさんの花茎が地面の上に出てきている。同じ花でもある場所によって咲く時期がずれるのが面白い。もともとは一つから球根分けで増えたフ...
ホソミオツネントンボ(細身越年蜻蛉) ~静かな秋の心地よいヒトコマ~
小さな細身越年蜻蛉が木賊にとまった。薄褐色からして今夏に羽化した若い蜻蛉のようだ。からだをピーンと伸ばして。向きを変え、だらりとして。先っぽへ移って。そこで数分。どうやら木賊の肌のざらざら感がとまるにいいらしい。私も腰を屈めて一緒に数分。静かな秋の心地よいヒトコマ。来てくれててありがとう。...
百日草が咲きだしたのは一月ほど前のこと。それから少しずつ花の数も増えた。華やかさはないが、親しみをかんじさせる花だ。その名の通り、秋進む中でもまだしばらくは咲いてくれることだろう。ラジオからは懐かしいエンニオ・モリコーネの曲が流れた。耳を傾けて聞いていた。...
友人から電話があった。11月に伊那市の桜の名所にある美術館で中国の画家と二人展をする。その時の作品搬入と展示への協力依頼だった。彼とは学生時代からの長い付き合い。もちろん即答でOKした。ほとばしる制作意欲と精力的な発表活動。彼は一点にとどまることなく、常に動いている。アートガーデンでは青い宿根アスターがマリーゴールドの中で咲いている。私はパジャマを長袖の秋物に替えた。 ...
先の土曜日には四人の来客があった。翌日そのうちの一人からお礼のメールが届いた。 昨日はありがとうございました。 素敵なお庭、アートガーデン、室内展示作品、アトリエ見学、そしてお茶会で充実した休日となりました。 あらためてもう一人の友人と一緒に10月にお伺いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。「いいですよ」と返した。我が家のいろいろを見て興味を持った事がいくつかあったらしい。別の親しい友人にも紹介...
実りの秋です。毎朝、栗も収穫です。でも、それにも今夏の希なる猛暑の影響が現れています。一つは葉がかなり落ちて隙間が多く、向こう側の景色が見られることです。いつもならぎっしりの青々とした葉に囲まれて実がたくさん生ります。二つ目は実が少ないことです。昨年に比しておよそ3分の1くらいでしょうか。家人が言っています。「今年は皆さんに多くは配れそうもないね」と。子ども食堂に届けたり、友人に送ったり、あるいは...
わずかですが、カリフォルニアポピーが咲いています。5月から7月初旬頃に賑わっていました。何か思い出したようにひょいと顔を出したくなったのでしょうか。花の端境期ですので、こうして少しでも彩りを添えてくれるのはうれしいことです。16℃の朝です。日の出時刻もだいぶ遅くなりました。心も少しずつ秋の装いに替えていきましょう。 花菱草の花言葉に「私の願いを叶えて」とあって今に何を願うと私 (居山聞涛)...
ブルーセージ(Blue Sage・アズレア) ~お彼岸の中日~
お彼岸の中日ですね。そして我が家では女性四人の来客がある日です。60代が二人、初めてお会いする40代が二人。うまく話ができるでしょうか。ブル-セージも咲き出しました。空色の爽やかなかわいい花です。私はこれからポポーと無花果を採りに離れた畑に行ってきます。お客さんにお出しします。 秋の花見ればあれこれ想像膨らみ我が胸も軽やかに澄む (居山聞涛)...
義姉から「野菜を持ちに来て」と電話がありました。庭の草取りをしてしっかり汗を搔き、シャワーを浴びて着替えをしたところでした。すぐに伺いました。「お茶を用意してあるから上がっていって」と。岐阜から散り寄せたという葛餅と、冷えたメロンと、茄子の浅漬けと、スライスした干し林檎がテーブルの上にありました。お茶はコクモツチャだそうです。いろいろが溶け込んだという感じがします。きっと健康にいいんでしょうね。最...
リコリス・スプレンゲリー(Lycoris sprengeri) ~これから個展を見に行くの~
きのうは彼岸入り。昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と言うが、今年に限ってはどうやら当てはまらなく。9月も中旬なのにずっと30℃超えの日が続いていて。そんな朝に彼岸花の横ではスプレンゲリーも。それは花びらの先端を青く染めるリコリス。その色調の変化は日本画で描かれたような趣。庭を掃いていたら、お洒落した穂波さんが野菜を持ってきてくださった。「これから妹と新井さんの個展を見に行くの」と言って。中には大きなゴーヤ...
ピンクノックアウトに花三輪。それは芳香のする薔薇。去年もほぼ同じ頃に。今年も6月初めに多く咲いた。そして秋の開花では少し小振りになり、花数も少ない。どこか艶を感じさせる。このところ百舌が毎日来て喋ってくれる。美声ではないが、楽しくなる。 人それぞれ言う薔薇は棘があるけど美しいと美しいけど棘があると百舌よおまえはどう思う (上武旋転子)...
いくつかのまとまりとなってヒガンバナが咲いている。それはほかの花にはない不思議でゆかしい佇まい。全体を見ても一つでも部分でも、どれも味わい深くて。上に向かって湾曲する蕊はいつも感嘆を誘う。先日、知人がやってきた時それを見て「曼珠沙華、いいねえ……」としみじみ。たしかにこの花は日常から少し離れた時に置いてくれる感じがする。...
その高さは2㍍は超えているでしょうか。手の届かない高いところでキクイモが咲いています。ヒマワリにも似た黄色い花です。枯れ向日葵に白い大理石の「森の子」のそばです。おやおや、蟷螂君がいましたよ。和みます。芋の収穫は毎年11月にします。それを家人は毎年漬物にしてくれます。土臭さのあるその独特コリコリとした食感が好きです。 外の秋自分の中の秋静かに時が進みものをみつめ言葉を選ぶ秋 (上武旋転子)...
アメリカフヨウに二度目の開花。そのやわらかな濃いピンクの大きな花は例年通りに盛夏の7月下旬に咲いた。そして終わった。なのに九月にまたおなじような姿で現れて。テレビのニュースが伝えていた。農作物がいつもと違うと。栗が、葡萄が、松茸がおかしいと。もう色づいていいはずの紅葉の名所で知られる高山もまだ青々とした緑のままだと。昨日はここらでも34.8℃もあった。石楠花は葉焼けしている。百舌が鳴いている。...
小紫が実をつける。小さく丸い。ツヤツヤとしてあざやかな紫の。枝に沿ってたくさん。小鳥が啄んだのか、傷んでいるのもある。私は食べたことがないが、どんな味なんだろう。...
フジバカマのそばにはオミナエシもある。茎頂に黄色の小さな花を集めて咲く。ところでそれには女郎花の字が充てられる。なるほど美しい女性のしなやかな立ち姿、そんな感じにも見える。ただ一つ、これは部屋には飾りには向かない。花盛りになるとかなりきつい匂いがするから。いにしえの佳人を思い浮かべつつ、秋の野風に揺れるを眺めるのがいい。 風立てば痩身の人のしなのごとくゆるく揺れて女郎花 (居山聞涛)...
フジバカマも咲き出す。それは少し変わった姿。筒状の花びらより捩れた糸のように伸びる蕊が目立つ。美しいというより何か惹きつける繊細な魅力がある。黄揚羽が来た。蜂も来た。 揚羽蝶のとまる藤袴を古歌を読むように静かに見ている (居山聞涛)...
「23日にお伺いしたいんですが、ご都合はいかがでしょうか?」以前に友人を連れて訪ねたいと言っていた知人の女性から電話があった。友人と二人だけだと思っていたら、別の二人も誘って四人だという。それぞれ勤めているので休日のその日に都合を合わせたらしい。特に予定は入っていないので了解した。後でよく考えたら、お彼岸だった。お墓参りは前の日にしよう。しばらく前からフイリヤブランに藤紫の花穂が立っている。ほとん...
ツクツクボウシの大きな声。ミンミンゼミも負けじとまだ元気に。モズは毎日のようにやってきて小刻みに鳴く。アシナガバチがまた巣を作っている。アートガーデンにはコスモスが立つ。隣には終わりのヒマワリ。うしろの次郎柿には青い実がふくらむ。それには白い石の森の子も数個。アカトンボが目にふえて9月も中旬。私は草取りが続く。昨日は4箇所を蚊に刺された。近くの田んぼでは早くも稲刈り。...
野の菊も少しずつ咲く。李の木の下には白山菊が。この花にはいくつかの特徴がある。まず背が1メートルを超えるほどに高い。それで時には支柱を添えなければ倒れてしまう。二つは葉が広いこと。特に下の方は大きな心形になる。三つめは花びらの数の不揃い。5枚もあれば6枚、7枚、8枚のもある。隙間なくきれいに整った舌状花からはかけ離れた並びの悪い様になる。ほかの野菊のような愛らしさはないが、野趣に富んだ味わいがあっ...
ライラックに花があります。常なら、咲くのは春です。今年も5月に入ってすぐでした。葉のだいぶ少なくなってきた今、どうしたんでしょう。よく見れば薄紫の花房の半分ほどは蕾です。満開はこれからのようです。高原の美術館で旧友と彫刻展を鑑賞してきました。彼を見送った後の午後の情景です。 遠方より訪ね来し友に無花果を土産とするリラの返り咲いている日 (居山聞涛)...
ブルーサルビア(Salvia farinacea) ~「一緒に行かない?」
小諸の友から電話があったのは5日前のこと。「オレの知人がさあ、そちらの近くで個展をすることになったんだよ。急だけどさあ、一緒に行かない?」詳しく聞けば、南信州の高原にある小さな美術館での彫刻展らしい。スキー場の側にあり、名前だけは聞いて知っているが、行ったことはない。「いいよ。何時に来る?」「家を7時前に出てそちらに9時半頃。それでオレの車に乗って一台で行こう」「分かった。ここから一時間以上かかる...
ニラの花が咲く。白い小さな六弁花が伸び立つ細い茎の頂にいくつも。多年草なので放置したままで毎年こうして。先を尖らせたその形は雪の結晶のようにも見える。ウラナミシジミがやってきた。その近くにはアリンコも乗っている。女房詞ではニラのこと“ふたもじ”といったとか。その昔、植えてこの花咲く様を味わい見るようになってから知ったことである。家人は何本もを切ってまとめて活けた。...
白萩もたくさん。枝はたわんで地に垂れる。離れてまとまるすべてのふわりを。空の青に一枝を仰いで。花一つを手に取り人想ってじっくりと見ればなおよし。萩は万葉集で一番多く歌われている花だとか。桜より、梅よりも。性別、年齢層、職業や身分をも超えさまざまな人の心を惹きつけ。わかる気がする。 齢七十良寛の歌の想いに心馳せつつ白萩見ている涼し朝 (上武旋転子)...
昨日、約束の時刻に義姉のお宅へお邪魔した。部屋に入るとテーブルの上には冷えた麦茶と水羊羹、そして梨、収穫のミニトマトと漬物が並ぶ。「九月に入っても厳しい残暑が続くねえ。さあさあ、どうぞ」と促される。それらを口に通しながら話を聞く。義姉は地域で歌会の指導や新聞の選評も行っている歌人である。だが、私の知る昔の義姉は水彩画や油絵も描き、公募展にも出品していた。高校の頃は美術班に属していて芸大を目指してい...
ほんの少しだけ、百日草が咲いている。同じように種蒔きした昨年、一昨年はもっとたくさん咲いていたのだが。その名の通り花期の長い花だ。近くでは彼岸花が数本伸び、茎頂に赤い蕾が見えている。秋の形が少しずつ。今日は義姉に呼ばれてお茶する日。どんな話が聞けるか楽しみ。...
昨日も涼しい内にと、早朝からの草取り。1時間ほどで予定したエリアを終えると、時刻は6時15分を過ぎたところ。中に入り着替えて一人のお茶時間。読みかけだった古い「男鹿和雄展」のカタログを捲りながら。と、庭から「キィーキィーキチキチキチキチキチ」と鳥の声。その特徴あるリズムと甲高い声は過去に何度も耳にしているので主はすぐわかる。部屋のガラス戸をそおーっと開いて見上げればやはりいた。染井吉野の天辺に近い枝...
九月も三日。そこはナンジャモンジャノキの下。マリーゴールドの中に白い野菊。細い茎と切れ込みのある細い葉のそれはユウガギクだろうか。どれも似ていて私はよくわからない。「野菊」という文字と「ノ・ギ・ク」という響きにしみじみと湧き起こるものを感じる。それは少年の日に刻まれたもの。映画で見て涙した政夫と民子のかなしい純愛。この歳になってもいくつかの場面が目に浮かぶ。空を仰げばサーッと掃かれたような雲が何カ...
萩です。ここへ来て一気に開きはじめました。緑の葉と赤い花の調和したふんわりとした様に穏やかな思いになります。ところどころに二つが寄り添い語り合うかのような様に心嬉しくなります。良寛さんと貞心尼さんの相聞歌を思い出しました。 秋はぎの花さくころは來て見ませ いのちまたくば共にかざさむ (良寛) 秋萩の花咲くころを待ちとをみ 夏草わけて又も來にけり (貞心尼)二...
ペパーミントは土手にある。それは生命力が強く、かなりの勢いで繁殖する。それでガーデン内には植えてない。今それは花の時。穂状になって咲く。そこに小さな花蜘蛛がいた。起きて西の空を見たら、大きな月が浮かんでいた。きっと万葉の人々もそのスーパームーンを見ていたのだろう。 心なき秋の月夜の物思ふと寐の寝らえぬに照りつつもとな かくだにも妹を待ちなむさ夜更けて出で来し月のかたぶくまでに 萩の花咲きのををり...
弁慶草が少しずつ咲き出す。大半はまだ蕾なので、満開になるのはもう少し。花は小さな薄いピンクの肉厚。それがたくさん集まってこんもりの形に。その上にフタモンアシナガバチいる。ハナムグリもいる。ところで花の名にこうして弁慶草があって一人静も。ならば義経草もあるのかと、調べてみたが出てこなかった。今朝は西の空に明るい月が浮かんでいる。...
昨日、家人が「髪切って」と言った。今度は5泊6日の旅だと。その前にはいつも頼まれる。カットの道具が一式ある。鏡も立ててさながらミニ美容室。まだ白髪が目立たなかった頃からだから、だいぶ年季が入っている。いい仕上がり。今日このあと、8時過ぎの高速バスに乗るのに送っていく。若い頃から旅行好きだった。少しだけだが、アートガーデンにキバナコスモスが咲いている。それはこぼれ種からの花。毎年そのように。少し怠けて...
庭の蝉の声は6月下旬頃からのニイニイゼミから始まり、蜩、油蝉、ミンミンゼミ。そして今は、ツクツクボウシ。独特のリズムと音程の抑揚とデクレッシェンドを組み合わせた少しユーモアのある調子の。それは夏の終わりを伝える一つの象徴。その体全体から発するかのような大きな声を味わいつつ聞く。しばらく前からは淡いブルーのクロホオズキも。花後には茶枯れの袋を作り。それを採って部屋飾りにして楽しむ。 一人の暗い朝...
一昨日、涼しげな服に身を粧った義姉が寄ってくれた。そして「友達からナシをたくさんもらったので」と袋を。中には赤梨が4つ入っていた。「幸水ですか?」「アイカンスイと言うんだって」これから歌会があるからと、上がらずに車に乗った。初めて耳にするその「アイカンスイ」とはどういう字を書くのだろうとネットで調べた。それは“愛甘水”だった。やや大きめなのでそれを半割にして二人でいただく。水分の多い甘い梨だった。そ...
江戸絞りは七月初め頃からの早咲き萩。そして一休みし、また八月末頃からも咲く二度咲きの萩。その白地に淡紅色の線模様は相変わらずやさしい。その近くでは白萩も咲き出している。飛ぶトンボも多くなってきた。昨日の早朝の草取りではキリギリスも見つけた。そろそろかな、夏と秋のバトンタッチも。 二度咲きの木萩のやさしき色模様冴えて今日は爽やかに空も晴れたり (上武旋転子)...
昨日のことである。5時30分、支度してマグボトルにお茶を入れ、離れた畑の草取り準備。すると、「ついでにゼブラを採ってきて」と家人。「まだ早いよ。いつも9月中旬からだから」「でも見てきて」「分かった」ゼブラとは無花果のゼブラスイートのことで家人はいつも略して言う。それは黄色い皮に緑の筋が入るとても甘い実。畑に着く。その入り口で高さ3~4メートほどの木にたくさんなっている。枝を引き寄せて実を触るとどれもまだ...
ブラックベリーは花と実りを長く楽しめる木苺(キイチゴ)。つる性でラズベリーの上を数メートルの長さで横に伸びている。ブラックベリーとラズベリーはそばに植えてはいけないらしいが(当時は知らなかった)、ここではうまく共存している。その薄いピンク色の花が咲きだしたのは6月に入った頃。そして7月の末頃からはラズベリーの2倍ほどの艶やかな実も採れ始めた。未熟の色は茶赤だが、熟すと黒になる。それがまだ今も収穫で...
今年、月下美人はこれまでに3回咲き、今その鉢は庭の隅に出してある。その大きな葉の上に色を同化させた雨蛙がいた。そこは座り心地がいいのだろう。平たいし、厚くてしっかりしているし。前から後から横から上からと、いろいろで見る。可愛くもあり修行僧のようでもあり、相変わらずいい表情と姿をしている。月下美人は4回目も咲くかなあ。雨蛙を彫るのもいいなあ。 月下美人の葉の上に雨蛙が座す修行僧のような顔をして ...
家人はバジルが好きだ。アートガーデンに出ると、その芳香を放つ葉をだいたい数枚取ってくる。そしてそれを鼻に寄せて深く吸い込み「ああ、いい香り」などと、気持ちよさそうな顔をする。時折は料理の上に乗せて出してくれる。花は小さくて白い。だいぶ前から咲いていて、その数は少なくなってきた。一方、葉の方はしっかりなのでまだしばらくその役目を果たしてくれそう。さて、近くの小学校では二学期が始まったらしい。信州の夏...
高砂百合が咲いている。それぞれ離れてそこかしこに。百合としていい立ち姿なのだが。これは種によって繁殖する生命力の強い帰化植物。それが野生化し、こうして庭の周りに勝手に顔を出す。毎年抜き取っているが、同様なことが繰り返されている。今年も花が終わったら早めに処分しよう。先般夫妻で訪ねてくれた東京に住む高校同期の友人から電話があった。そして「10月の再会を楽しみに待っているよ」と話してくれる。今度は私が訪...
残暑の中、庭藤が咲いている。ピンクと白のやさしい色合わせで。これはいつも6月が盛りになる花。そしてまた、毎年こうして夏にも二度咲きする。時には9月の場合もある。株は通常の藤の様に蔓は伸びず、自立し枝を横に広げてこんもりする。房も垂れるというより横に伸びる形になる。肥料いらずの丈夫な木である。アカトンボを一つ見た。...
外から「チュリュリ、チュリリ……」と鳥の声が届く。聞き覚えはあるが、はてなんだったかと庭に出る。小さな体に長い尾が特徴のエナガだった。彼岸桜に10羽ほどいた。ちょこまかとせわしく動く。とまるのが垂直だったり逆さになったりで、見ていて楽しく愛らしい。よく見ればその群れの中に一羽のヤマガラが入っていた。それらが混群するのは知っていたが、見るのは初めてだった。小さな鳥たちは知恵を出し、仲良く助け合っている...
百日紅に映えの季節。その赤い花は手が届かないだいぶの高さにある。二階の寝室に立てば、ちょうど目の位置になる。そこから見れば横に伸びる南アルプスがその背景になる。放任のまま伸びすぎた感がある。蕾もまだ多い。花が終わったら半分の高さに切ろう。...
小中高と同じを過ごした旧友が訪ねてきた。今は東京郊外に住んでいる。私とは初対面になる奥様を伴い、高速に乗って10時30分に到着した。2019年の高校の同期会で意気投合し、個人的に会う機会を作ろうと約束した。それからおよそ4年の歳月が過ぎて昨日実現した。ハチノコを炒めたものを家人が出した。はたして箸をつけるかどうかと思ったが、初めてだという奥様は「香ばしくておいしい」と残さずにすべてを口に運んだ。都...
菖蒲色、杜若色、杏色、苺色、桜色、紫苑色、萩色、薔薇色、藤色、牡丹色、山吹色、梔色……。日本の色には花の名を冠したものが多い。その名から、すぐに色のイメージが湧く。桔梗色もそう。淡い青紫と。ある本にはそれは昔から人々に好まれた色だと解説される。ならば、平安の女性たちがその色の着物を身につけたりしていたのかもと想像を馳せる。今、それが咲いている。蕾は整った五角。子どもの頃の紙風船を思い出させる。そうい...
豊水を採ってお盆のお供えにした。もとは新水と二十世紀とを加え三本があった。そのうちの二本を伐り、この豊水だけが残った。今年は四月中旬に花が咲いた。これまでで最も早い開花におどろいたのを覚えている。その清らかな白い5弁の花が好き。甘くてジューシーな実はもちろん。ところで坂村真民さんに梨の花と実を詠んだ「梨花序詩」という短い詩がある。たまたま一昨日に書き写したところだった。 花咲けば 共に眺めん 実...
柏葉紫陽花がまだ残っている。いや、残してある。それは6月には白かった。今は薄緑から赤茶色へのグラデーション。ドライフラワーを作る過程のように。そんな様をしばらく楽しみたくて。でもそろそろ切るのがいいのだろう。暑い夏までありがとう。...
また非常に強い台風7号が接近し、その後上陸するとの予報。暴風と大雨へ早めの対策が呼びかけられる。交通機関への影響も大きく出そう。たび重なる土砂災害、大きな被害をもたらした台風、そして続く危険な暑さ。今年の夏はその季節をなかなか安心して楽しむことができない。草だけは勢いよく育っている。昨日も2時間ほど作業をした。河原鶸が庭の上を通る電線にいた。全体は少し緑を帯びて。ベビーピンク色の太いくちばしと脚。...
一羽のキアゲハが大天人菊に口吻を伸ばして蜜を吸っていた。近寄って見る。そばにいてもあまり気にならないようだ。少しして花を移る。次も大天人菊に。追う。さらに移るもまた大天人菊。その次もその次も。周りにはヒマワリやコスモス、ルドベキアタカオ、イトバハルシャギク、ヘリオプシスなどもある。バラやニワフジも少し咲いている。しかしそれらには目もくれず、ずっと大天人菊だけを渡っている。結局その時間は別の花に止ま...
撫子がぽつりぽつり。六月の中頃が盛りだった。その名残の花。白があり、薄い色や濃い色のピンクがあり。単色のがあり、模様入りのがあり。いずれも楚々として。なでしこ、なでしこ、なでしこ。声に出すとその響きもまた可憐で。...
家の南側は川になっている。葦が生え、ミゾソバが広がり、ところどころからは葛やアレチウリが這い上がってくる。それで川に降りて草払い機などを用いて刈る。いつも梅雨前と秋雨に入る前の二回する。長さにして数十㍍。昨日それを一人で。ひたすらに2時間半ほど。汗が目に入る。何度も顔を拭う。肌着は絞れるほどに濡れ。シャワーを浴びて着替える。冷えた炭酸割りの柘榴酢を飲む。アートガーデンに出る。マリーゴルドが広がって...
夏の庭。風知草があちこちに。暑さをものともせず。涼やかにふんわりと。裏葉草(うらはぐさ)が本来の名という。葉は基でひっくり返り、上下が逆になっていて、上に見えているのは葉裏で葉表は下なのだと。秋にはすべて麦色の染まる。見ればもう花穂が出ている。桜の木から口笛のような伸びやかないい声が響く。見たらイカルが二羽いた。番なのだろう。毎年2~3回は来てくれる。さて……。 風知る草を見て感じて考えて悔いて恥...
このところほとんど雨はなく。日々、早朝に水遣り。1時間から1時間半ほどかけて根に届ける。薔薇にもじっくりと。そのいくつかには一つ二つと咲いている。朝陽を受けた花は色を冴え、輪郭をくっきりさせる。6月の花の頃のとはまた一味違う引き締まった清楚感。散水を止め、カメラを持ち出し収めた。 薔薇に「そうび」との読みがあることを知った若い頃今でも時々その名で見ている (上武旋転子) ...
今年のコスモス開花は五月下旬とかなり早かった。そして今もさやさやと。一般的には秋の花イメージだが、どうやら蒔いたのは夏咲きの品種だったらしい。セセリチョウが口吻を伸ばしている。上を向いて咲くコスモスは昆虫たちにとってはとまりやすくていいのかもしれない。今日は立秋だという。暑さ極まる中、暦はたんたんと季節を先に進める。 青い空の下自分色にありのままの姿でコスモス咲いて秋は立つ (上武旋転子)...
艶あるライトブルーの花はリナムペレンネ。春にいち早く茎を伸ばし、五月の初旬には咲き出した。それからずっとかわるがわる咲き続けて今にいたる。この猛暑続きの中でも細い花茎は萎れることなくしっかり立って。ここにきて大半は種を包む茶色の丸い殻の形に変わりつつある。そろそろ終わりに近づいているようだ。コアシナガバチの巣が物干し近くにあった。大きさは15㎝ほど。蜂に毎年2~3回は刺されている。完全防備をして取...
ミズーリマツヨイグサ(ミズーリ待宵草)~ふた月の間をおいて~
ミズーリ待宵草は六月初旬に次から次と咲いていた。そして、ふた月の間をおいてまた花を見せている。株は直立せず、濃い披針形の葉を這うように横に広げる。 花はふんわりとした掌サイズのレモン色。中には長い蕊。一日花で赤くなって萎む。その近くではメマツヨイグサも二輪咲いている。これは自然に生えた野生のもの。...
オオテンニンギク(大天人菊・ガイラルディア) ~朝食前までには水遣りを~
うだる暑さの中、オオテンニンギクが咲いている。内側が濃いオレンジと外環が黄色の覆輪の花。いかにも夏といった感じの色合いで。どの株も半分ほどは終わりになって、筒状花が膨らんだ丸い姿になっている。今日もだいぶ気温が上がりそうだ。朝食前までには水遣りをすませよう。...
ルドベキア・タカオ(Rudbeckia triloba ‘Takao’) ~お墓の掃除をして~
いつも野菜をいただく義姉に柘榴酢を届けに行った。猛暑続きの中でも畑作業をしてそれを野良着のまま持ってきてくださる。少しでも体の栄養補給になればと。チャイムを鳴らすと、薄い黒い上下の服を着て出てこられた。「柘榴酢です。美容と健康にいいらしいですよ」「ありがとう。上がって話していって」「では、少しだけ」冷えたトウモロコシと麦茶を出してくださった。先ほどまでお墓の掃除をして、汗をかいたのでシャワーを浴び...
夏に咲く花いろいろあれど、やはりヒマワリは格別。見ていると子どもだったあの頃に戻してくれるくれる。たとえば夏休みの思い出に。今、アートガーデンにも大きさや形、咲き方を違えたその花がある。色も一般的な黄色に加え、淡いレモンイエローやオレンジ系、茶系とさまざまに。それらの花にいろいろな虫がつぎつぎにやってくる。蜂が一番多いが、かわいい小さなハナグモもいたりする。向日葵には彼らをも惹きつける何かがあるの...
また義姉さんがたくさんの夏野菜を持ってきてくれました。トマトやミニトマト、ナスにキュウリ、ピーマンとシシトウ。そして今回はニガウリ(ゴーヤ)もありました。初収穫が3本あり、その1本だそうです。一人で暑い中での農作業です。いろいろ対策をしているとは思いますが、連日熱中症で多くの方が搬送されていると。案じつつ有難く感謝していただきます。薄紫の木槿も白いののそばで並んで咲いています。いい色ですね。...
とてつもない暑さが続いています。そんな中、スイトピーが咲いていました。パステルカラーの淡い青とピンクです。少しの香りがします。スイトピーに「少女の気持ち」と綴った文を読んだことがあります。見てて、なるほどだなあって思いました。...
たくさんの白い木槿です。毎朝次々に咲きます。これも夕には萎む花です。白楽天が「槿花一日の栄え一朝の夢」と詠むようにです。花の底には冴えた紅色が収まります。その中で花蜂が体を粉まみれにしています。花の中に蜂のいる光景を見るのが好きです。その様に夭折の女流詩人の詩を脳裡に呟いています。 白木槿に花蜂のいる朝良いことが何かありそうに思われて (上武旋転子)...
ギボウシ(ミニホスタ・Mini Hosta) ~作品搬出の日~
ミニホスタが並びます。低いところで小さな葉を広げています。立ち上がった細い花茎に薄紫の小さな花が咲いています。それにクマバチがやってきました。猛暑続くこんな折に外を飛び回ってだいじょうぶですかね。今日はグループ展の最終日です。また長野まで行って作品を搬出してきます。高速を走って伊那谷と善光寺までの往復およそ5時間になります。若い頃は長距離の運転も好きだったんですが、この歳になると疲れを感じます。た...
今、外作業は暑さを避けて5時半頃からスタートする。ポケットラジオで各地各人からの様々な情報を得ながら。6時頃になると庭に伸びる陽にも強さを感じるようになる。その朝の陽射しを待ってさやに咲く花たちもある。大きくてやわらかな濃いピンクのアメリカフヨウもその一つ。そしてそれは夕には萎む一日花。すでにいくつかが咲いていくつかが散った。この花の場合、一度に一斉咲くより、だんだんに少しずつ咲くのが美徳のようだ。...
ウツセミ(蝉の穴と脱け殻) ~何年もいた土の中から這い出て~
庭を歩けばそこかしこに蝉の穴がある。そして草木の枝や葉にはいくつもの脱け殻がくっついている。背中に白い気管がついているのはごく最近羽化したものなのだろう。アブラゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシなどの殻はどれも艶があって妙な美しさがある。そして昨日は万年青の葉と木賊の茎に合わせて3つのニイニイゼミのを見つけた。高さは30~40㎝ほどと、ほかの種類のよりも比較的低い位置で抜けている。それは、発掘さればかりの...
ホスタ・ハルシオン(ギボウシ・Hosta Halcyon) ~七月の緑陰~
庭には何種類かのホスタがある。でも名前を判別できるのはわずか。ほかのはもう咲き終わる頃だが、遅れて今咲き始めたのはハルシオン。青みががかった厚みのある大きな葉でこれはわかる。花茎はあまり伸びず花が詰まってまとまるのも特徴。葉の割に花が小さいのもそう。一日花で花言葉には「沈静」と「清楚」とある。あるのは楓の下。ホスタは花より葉が主役の木漏れ日に似合う植物である。 花擬宝珠奥にごそごそ蜂のいる七月...
連日高温の日が続きます。今日も最高気温の予報は36℃と出ています。そんな中、鮮やかな濃朱色の鬼百合が咲いています。すっとしたいい立ち姿です。大きさも高さも前に咲いた小鬼百合の倍ほどあります。葉の付け根にはいくつものむかご(零余子)がついています。くるりと反る花びらとそれに散りばめられる斑点と中から伸び出るりんりんの蕊と。いいですね。好きな花です。しばらく雨もありません。このあと、時間を掛けてたっぷり...
久々の高速に乗った長距離の運転。相変わらず古い曲をかけながら。仲間に会え、それぞれの作品を観て。往復の5時間と展示。少しの疲れはあるけれど。さらなる励みに。禊萩も咲く。林立するように群れて淡紫色の花。花をつぶさに見ると花びらには皺。雄蕊の色は珍しいエメラルドグリーン。奥には黄色い雌蕊。夏には夏の花。 夏の夕首にタオル顔に汗で義姉はスイカが採れたと届けてくれる (上武旋転子)...
アートガーデンではカサブランカも咲く。先日訪ねてきたNさんを案内した時、その白い大きな百合の前で彼女は足を止め「ヤマユリですか」と訊いた。「いえ、カサブランカです」と教えた。それに鼻を付けて吸い込み、「強い香りですね」と言った。そして「百合もいいなあ。庭にも植えようかしら」と。今日はグループ展の搬入で県立美術館へ。中央道、長野道、上信越道と高速をつないで長野市までおよそ2時間半。7時半頃出れば飾り...
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昨日の来客は17:10に帰った。連絡をもらった予定では16:00だった。それだけ時間を気にすることなく楽しく過ごしてもらえたのなら私もうれしい。また来たいとも言っていたが……。お堅い同業の職に就いているという幼なじみの二人。それ以外のことは年齢も含めてまだよく知らない。家族構成なども含め、身上については私も敢えて訊いていない。そのうち自らが身の内を語ってくれるのだろう。帰る時、笑顔で何度も頭を下げる二人の姿に...
庭の横を川が流れている。ゆえに1年を通して生活の中に川の音がある。梅雨時はそれが濁流となって怖くもなる。夏は涼やかな風を吹き上げて家までに届けてくれる。秋の河原は溝蕎麦のかわいい花を広げる。冬は神秘的な氷の造型を出現させる。そして雪解けのせせらぎは春の到来を楽しませる。何年か前になる。そこに私は細くて長い道を作った。一人で何カ月もかけて。それに“思索の小径”と名付けた。時を定めずに気分の赴くままに歩...
ノコンギク咲いた。アブがとまる。セセリチョウもとまった。中学校の時、若い二人の悲しい恋物語の映画を見た。自然に涙が出た。土曜日の午後だった。当時、学校では映画を見ることは禁止されていた。休憩時間の明るくなった館内に生徒指導の先生方が入ってきて補導された。私以外にも10人近くがいた。月曜日に反省文を書いて提出しろと言われた。生徒から恐れられていた主任の数学教師の顔は今でも忘れれない。野菊を見るとそんな...
公募展の作品が返ってきた。その搬入搬出の費用27,500円を送金した。友人から個展案内が届いた。初日に行くと伝えた。若い人から「28日の午後2時半に伺いたいと思います」と連絡が入った。「いいですよ」と返信した。アマリリスや君子蘭などの鉢物を室内に入れた。掛け軸を『柘榴』に替えた。押し入れの整理をした。冬用の新しいパジャマを2着買った。家人はまだ旅から帰ってこない。私は楠で栗を彫っている。庭にはピンクの薔薇...
朝の肌に感じる冷ややかさ。向こうの景色は川霧に覆われ。足元の草花は露を乗せる。いつの間にか虫の音も消えて。手紙ならば「秋冷の候」と相応し。名前の知らない白い小菊が咲いている。野菊もだいぶ目に付くようになった。そんな今は菊にとって一番いい季節らしい。...
庭で先に色づくのは花水木。ややくすんだ紅い色の葉に。一緒に実も真っ赤に。茱萸に似て美味しそうで。(食べたことはないが)艶やかで空の青に映えて。秋がさらに秋らしくなっていく。色も形も香りも空気も。家人は遠い地の秋を訪ねる5泊6日の旅に出かけた。私は彫刻刀で秋を制作している。 先の秋に誘われて次の秋も来る赤い実をつけた花水木は紅葉を始めた (上武旋転子)...
アートガーデンの一角に段菊があり、少し前から咲き出した。青紫の小花が密になって茎をぐるりと取り巻く。それが下から上に向かってだんだんと咲いていく。飾らない素朴な佇まいがいい。。その近くにモンシロチョウが来て翅を休めていた。友人が渡り鳥を見てきたと、その様子を動画で送ってきてくれた。懐かしい気分になった。そして「10月は他の月より心が波立つしざわめきもします」と一文が添えてあった。それぞれに思いを深く...
いつもは葉をいっぱいにした茎が賑やかに立つセキヤノアキチョウジも今夏の猛暑で多くが枯れた。全滅するのではないかと心配したが、葉を少なくした弱々しい姿でなんとか数本が残った。そして今、小さな筒状の白い花を咲かせている。花の先は耳を立てた小動物の顔のようで、見る度に楽しくなる。このセキヤノアキチョウジには冬の楽しみもある。我が家で唯一、「霜の花」を造型するのである。それは毎年、刈られた冬枯れの茶色い花茎...
野良着姿の義姉が葱と金時草を持ってきてくれた。一人暮らしながらほんとによく働く。そして「美樹が4日に帰省するんだけど、その時お宅にもお邪魔したいんだって。都合はどう?」と。「特に予定は入っていないのでいいですよ」次女が住んでいるのは仙台。ご主人の運転で来るというが、どのくらいかかるのだろう。名古屋での結婚式以来、二人にはお会いしていない。それからもうかなりの年月が経つ。美樹さんは犬や猫などのもふも...
ホトトギスは花びらに濃い赤紫の斑点を蜜に散りばめる。その模様が杜鵑の胸毛の様に似ているので、この名がつけられたという。蕊には小さなビーズのような球がいくつも乗る。何ともいえない自然の造型の妙。花言葉は「秘めた思い」「永遠にあなたのもの」とある。よくわからないが、女性の立場からなのだろうか。イチモンジセセリチョウが来てとまった。昔「♪花が女か 男が蝶か~」という歌があったのを思い出した。 秋風に...
玄関近くの見上げるところで金木犀が咲いている。そこに立てば甘い香りが降ってくる。それは二階の寝室からも見える。遠くに塩見岳などの南アルプスの山並みを背にして。それとは別に2メ-トルほどの高さのが5本ある。家を取り巻くように台所のそばと、ダイニングの外に2本と、そして染井吉野の下にも2本。ゆえに外のどこを歩いてもその香りがミストのように漂う。花は咲き出したばかりで、まだ完全に開いているのは少ない。満開...
浜菊が咲き出したのは数日前から。大きめの白い舌状花。円形に整った黄色い筒状花。厚めで艶がある葉。年季を経て木化した茎。名に「浜」を冠することで分かるように、もともとは太平洋側沿岸の野生菊。それがこうして山国信州の秋庭に。今年は花が少ない。黄色い葉も目立つ。それでもあの猛暑を乗り切ってくれた。そこでもう20数年になる。 朝陽射し浜菊の影濃き秋の庭(奈美あや)...
柿の葉が落ちる。バサッバサッと地に音を立てて。利休梅も落ちる。軽やかに揺れて音もなく。梅も桜も李も舞って。掃く。前庭を中庭を北庭を南の庭を。そこもどこもどれをも。臘梅の下には薄いピンクの一重秋明菊が咲く。柘榴が赤い大きな実を付けている。私は脚が冷えるようになった。 修飾する言葉は何にする心に囁き誘い湧かせて秋の不思議 (上武旋転子)...
昨日の午後2時。二人の若い来訪者があった。赤いスポーティな車に乗って。どちらかというと体育会的の元気な方と。どちらかというと口数の少ない控え目な方と。互いは幼なじみで小中高を一緒に過ごした親友。アートガーデンであれこれを見、私の部屋でいろいろを話し、お帰りになったのは午後4時45分。10月の内にもう一度来るということに。そして、この歳ながら今風にLINEで連絡を取り合うこととなった。常は人付き合いも少なく...
白い秋明菊がちらほら。実は多くは夏の暑さにやられて。今あるのはそれを乗り越えたものたち。いつもなら長い花茎がたくさん伸びてゆらゆらと。隣り合うどうしで話でもするかのように近づいたり離れたり。今年は少ない花だがそれでも変わらずに、“秋の、明るい、菊”。きれいに丸く整った蕊は放射状に伸びて太陽のよう。 友人が、制作した3枚の絵の写真を送ってくれた。「出来映えはともかく、作ることで高揚感を感...
穏やかな秋の日。アンネのバラが咲いた。いい色。柿を採った。腰籠の一つ分だけだった。例年、この木からはコンテナの2箱から3箱は採れるのだが。9月の内にだいぶ落ちた。もう一本の次郎柿の収穫は少し先になる。百舌の甲高い鳴き声が響き渡る。 思春期の少女の心を思わせるような色の薔薇が咲いている秋の日 (居山聞涛)...
家の横は川になっている。庭から数㍍の下に流れている。固定のはしご段があり、降りられる。今そこには溝蕎麦が広がる。毎年見られる光景である。薄紅色と白に染まる花は磁器のような艶がある。それが散形にまとまり咲く。シジミチョウやハナアブたちが次々にやってくる。そして楽しそうに渡る。彼らの目にはどう見えているんだろう。 チョウがくるアブがくるみぞそばの広がりに身を浸す秋の日快し (上武旋転子)...
家の入り口の東側には山茶花がある。今その下にコルチカムが二輪。毎年変わらずのやさしい淡紫紅色の。これも彼岸花と同じように「葉知らず花知らず」で。腰を屈めて見て気づいた。その一輪の花びらの一つがだらりと長いのに。そしてその先は割れている。いつもはみんな整った形で咲くのだが。そういえば、去年は3輪だった。どうしたんだろう。Iさんがサツマイモを7本くださった。「20日が出産予定なんです」と大きなおなかを...
アートガーデンにはコスモスがいっぱい。六月初旬に咲き、八月九月を経て今が一番の盛り。まさにわが季(とき)と。赤やピンクや白のが。そよ吹く風に軽やかに揺れて。よく考えればコスモスに青や黄色を見たことがない。ガーデンにはキバナコスモスもあるが、それは別種で丈は低い。その昔、青い薔薇が作出されたとの話題があり、見に行った頃がある。誰か青いコスモスを作り出せないか。空は青い。ピンクの上には白い月。花にはツ...
月下美人が咲いたんです。この鉢のは四度目だと思います。おとといの昼に咲く気配を感じ、部屋に入れました。一夜の花ですのでそのタイミングをは見逃せません。夕食終えて私の部屋の入るとよい香りが広がっていました。開きはじめていたんです。花は夏のより若干こぶりには見えますが、やはり麗人を想わせる花です。二つが寄り添っていい姿です。少しずつ大きく開いていきます。香りもいっそう強くなります。それを私が独り占めし...
ピンクの小さな花が3輪。ちょっと淋しげに。それはいつもなら春に咲くヒマラヤユキノシタ。今年も4月初旬にたっぷり咲いていた。なぜ寒気強まる今頃なんだろう。その2度咲きを初めて見る。30年来の知己であるM氏の個展に出かけた。広域農道を北に向かって走り、およそ1時間。そこは大学近くにある喫茶店に併設されたギャラリーだった。中に入るとそこに彼の姿、手を上げて振ると彼も同じように返す。「記帳を頼むね」とまっ...
フユシラズの花があった。一旦通り過ぎてから「あれっ」と戻った。よく見ればそのそばにいたのは体を土色にした蟷螂だった。「へえ~」こんなに寒くなっても動くのか。「ふ~ん」しばらく屈んで見ていた。何か絵本の物語の一場面のようにも思えて。フユシラズという名の通り、この花は冬から明けて初夏まで長く咲く。もしかすると蟷螂は卵を産み付ける場所を探していたのかもしれない。昨日はよく働いた。左右の親指が割れて痛い。...
風知草は小麦色に変わった。その中にはおびただしい数の小穂。それらの色と形が相まって漂う寂寥。そろそろ秋も終わる。一昨日は御射鹿池へ。昨日は二つの美術展をはしご。今日から新たな制作。明日は南箕輪村まで友人の個展へ。感傷の秋、鑑賞の秋、心の秋。 見て感じて考えて悔いて風知る草の紅葉私もどこか放哉に似ているか (居山聞涛)...
私の作品を見てY先生はおっしゃった。「ブロンズにはしないんですか?」と。「はい。高いですからね」と私は答えた。市井の人間が自作をブロンズにするのはなかなか勇気が要る。それで白い石膏に着色して完成としている。いかにも金属質の緑がかったブロンズ風に。最近仕上がったばかりの《女の首》もそう。ポスターカラーのバーントシェンナとコバルトブルーとパーマネントグリーンを混色すればその色はできる。それは長年やって...
しばらく前からマメガキにたくさんの実。その多くの熟すのを待っていた。そして昨日。11月も下旬となり、木からは葉が落ち、実も大方が黒く色づき今が採り時。高枝鋏を用いて実の付いた枝を剪り取る。一山できる。手で一つ一つ捥いで籠に入れる。時々口にも入れながら。ねっとりとしてしっかり甘さが入っている。茶の色が残ってのはまだ渋い。ほとんどは種なしだが、たまに種が入っているのもある。枝付きぶりがいいのを10数本ほ...
白い山茶花が咲いている。名前は知らない。紅みのある花びらの様は“朝倉”に似ているがでも違う。朝倉はほぼ外輪のみが紅い。 これは外側のいくつかに加え中央部にも紅色が出る。そして10月下旬に咲いていた“朝倉”の多くはすでに散って、わずか一輪だけしか残っていない。この山茶花には蕾がたくさんあり、これからが盛りと、時期も一月ほどの差がある。なかなかの佇まいのこの花、きっとそれにふさわしい名が付い...
枇杷も咲き出した。花は白色五弁で芳香を放つ。それが密集し円錐花序をなす。蕾は淡茶の絨毛に包まれる。ミツバチが毎日やってきて頭を中に入れる。そしてじっとせず、短時間で次々と花を移る。こんな寒くなる時期にも健気にせっせと働いている。植えてある品種は「田中」。夏に多くの実を生らせてくれる。しかし毎年その大半はハクビシンに食べられる。袋がけもするが大して役に立たない。まあいい。ところでこの時期の御射鹿池は...
花はそれぞれ求める季節がある。山茶花は晩秋。赤い山茶花も今花梨の下で花開く。蕊は汚れのない黄色。それにヒラタアブがとまる。望めば塩見岳もすっかり雪に覆われて。 晩い秋私はこの時期が一番好きなのと紅い山茶花咲く (実野滸人)...
楓が紅葉する。それは一斉に同じ色に染まらない。陽の当たり具合、位置の上下、外表と裏蔭と。場所ごとで色づきの進みを違えて。まだ緑、あるいは黄色、あるいは真っ赤に。一枚の葉の中もまだらだにあるいはグラデーションにして。早い遅い、濃い薄いのはそれぞれが持つ紅葉時間。そのどれもに個の主張。 日毎に緑から黄色紅にと楓の葉は自分時間をゆっくり粧って (上武旋転子)...
明るい日和。季は“小雪”の候。山頭火が吟じたように「また逢へた山茶花も咲いてゐる」。そこは床の間の部屋から座して見えるところ。石蕗や大文字草など、和の花々のある中庭。李の太い枝が伸びるその下。濃く厚い艶葉の中に。八重の白山茶花。白、シロ、しろ、たくさんのやわらかな白。そして近くの里山にも茶や赤や黄色。 山茶花を眺めながら誰か一緒にお茶でも飲まないか白い心になって (実野滸人)...
しばらく前から南天に赤い艶のあ実がある。いくつかの房からはだいぶなくなっている。たぶん鳥が食べたのだろう。それは彼らが啄むにはほどよい大きさだから。毎年正月飾りに使うのでその分はいい形のままで残して欲しいのだが。昨日のこと、知人が「いただいた月下美人が一輪咲きました」と話してくれた。9月3日にご夫婦で来訪した際、鉢植えを差し上げたのだった。「初めて見た女房がとても感動していました。アルコール漬けして...
予定した作業が一段落し、外に出る。少し西に傾いた陽が紅葉の檀に届く。たくさんの小さな実も葉同様に赤く染まっている。陽を背にしてみれば隣り合う互いの葉が作る影絵。虫喰いのさまにもゆかしい趣を見る。しんみりとしたいかにも晩秋らしい光景。 「近くまで来たからこれからちょっと寄るけどいいかい」と小諸に住む旧友からの電話。学生時代から変わらぬ関係。そして2...
小さなポットのイソギク(磯菊)を買ったのは10数年以上前のこと。それは筒状花だけで咲く独特の様に魅力がある。以来、株は年々大きく成長し、花数を増やしていった。それから少しずつ株分けし、庭のいろいろな場所に植えた。ところが移したものの多くは姿を舌状花を持つ形のハナイソギクに変わった。そしてその変異にはいくつかのパターンが出現する。一番多いのは周りに白い小さな舌状花を伴うもの。さらにその舌状花を大きく発...
満作があるのは川に面した庭の南側。そこは朝から沈むまで日が一番長くあたるところ。今その黄葉。寄ればそれぞれに趣のある様。陽の光を向こうにすると輪郭や虫喰い穴もくっきりと。枝にはすでにたくさんの蕾。あの紐状の花が咲くのは春三月。その備えをこうして冬前から。静かで確かな木の営み。信州の秋は一層深まる。 帰るなりクレジットカードが読み取れなかったと愚痴る家人現金で払ったと少し苛ついて (上武旋転子)...
葉のない桜の木のそば。深い茜色の薔薇一輪。咲いているのはプリンセスミチコ。ぐるりと回って。視点をかえ、光をかえ、背景をかえ。いろいろに見る。そのどれもに気品。夏の終わり頃は弱って心配していたが。秋になって元気を取り戻してくれたよう。 愛と別れ喜びと悲しみ状況によって使い分ける薔薇バラばらの文字 (居山聞涛)...
花梨の葉もほとんど落ちました。掃きます。竹箒を動かす度にカサカサします。土手に捨てます。15分ほどで終わりました。見上げれば数個の黄色い実。今年はどうしたのでしょう。去年まではたくさんたくさん生っていたのに。木が弱ってきているのでしょうか。そばを伸びる電線に三羽の雀がとまっていました。そしてその背後には白い半月。気持ちのいい秋の朝です。...
腓返りで目がさめた。両脚が同時に。痛かった。ベッドの上で膝を立ててマッサージした。少しやわらいだところで階下に降りた。ずっと立ちっぱなしの作業が続いたので筋肉が疲れたのだろうか。菊が咲いている。花茎を地に着くように横に伸ばして。花びらの表は濃朱。そして裏は黄色。それぞれは自由に好き好きな形で。私は母に連なる菊が好きだ。...
11月の朝、陽は塩見岳の横あたり。まだ低いそれは庭に伸びて木々を照らす。紅く染まった満天星躑躅をも。そして葉色をいっそう鮮やかにする。葉脈までもをくっきりと浮立たせて。強い光はそれぞれに濃い影を作る。11月の朝、満天星躑躅の紅葉を見ている自分の不思議。ある詩人は言う。 おもうにそれはである 僕のことなんか ぼくに聞いてはくどくなるだけである 満天星躑躅の紅葉ある十一月ここにいる私は本当の私なのか ...
新しいカレンダーが届いた。いつもこの時期に送ってくれる。長年、名画や画家シリーズテーマにしたものを。来年は卯年。そうか。ふ~ん。そうなんだ。そうだ、日記帳も用意するか。郡をまたいだ市にある書店で毎年同じ物を買っている。もう並んでいるはず。今日で神経使った作業も一段落になりそうだし。気分転換にドライブがてら明日にでも出かけよう。昨日の落ち葉掃きは1時間ほどかかった。李と桜はほとんどの葉を落として幹と...
ナンジャモンジャノキが立つその下の黄色い花は磯菊。1㎝ほどのこの花はほかの菊と違った特徴を持つ。一番は通常の菊に見られる周りの舌状花がなく、中の筒状花だけで咲くこと。もう一つは葉裏が白く、それが表に回り込んで縁取ること。そんな独特の様を持つこの菊、名に「磯」とつくように本来は温暖な海岸の崖などが自生地らしい。私は何カ所に株分けしてあるが、面白いことにそれらの多くは姿を変えて咲く。ほかの野菊などと交...