中庭にも彼岸花がある。部屋から外に目を向ければガーデンテーブルのそばに見える。ちりちりと反り返る花びら。上向きに曲線を描いて伸びる蕊。それらいくつもの花が重なりあって咲く品ある佇まい。アートガーデンのは10日ほど前に咲いて、すでに茎は切られてもうない。その近くでは新たににたくさんの花茎が地面の上に出てきている。同じ花でもある場所によって咲く時期がずれるのが面白い。もともとは一つから球根分けで増えたフ...
ホソミオツネントンボ(細身越年蜻蛉) ~静かな秋の心地よいヒトコマ~
小さな細身越年蜻蛉が木賊にとまった。薄褐色からして今夏に羽化した若い蜻蛉のようだ。からだをピーンと伸ばして。向きを変え、だらりとして。先っぽへ移って。そこで数分。どうやら木賊の肌のざらざら感がとまるにいいらしい。私も腰を屈めて一緒に数分。静かな秋の心地よいヒトコマ。来てくれててありがとう。...
百日草が咲きだしたのは一月ほど前のこと。それから少しずつ花の数も増えた。華やかさはないが、親しみをかんじさせる花だ。その名の通り、秋進む中でもまだしばらくは咲いてくれることだろう。ラジオからは懐かしいエンニオ・モリコーネの曲が流れた。耳を傾けて聞いていた。...
友人から電話があった。11月に伊那市の桜の名所にある美術館で中国の画家と二人展をする。その時の作品搬入と展示への協力依頼だった。彼とは学生時代からの長い付き合い。もちろん即答でOKした。ほとばしる制作意欲と精力的な発表活動。彼は一点にとどまることなく、常に動いている。アートガーデンでは青い宿根アスターがマリーゴールドの中で咲いている。私はパジャマを長袖の秋物に替えた。 ...
先の土曜日には四人の来客があった。翌日そのうちの一人からお礼のメールが届いた。 昨日はありがとうございました。 素敵なお庭、アートガーデン、室内展示作品、アトリエ見学、そしてお茶会で充実した休日となりました。 あらためてもう一人の友人と一緒に10月にお伺いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。「いいですよ」と返した。我が家のいろいろを見て興味を持った事がいくつかあったらしい。別の親しい友人にも紹介...
実りの秋です。毎朝、栗も収穫です。でも、それにも今夏の希なる猛暑の影響が現れています。一つは葉がかなり落ちて隙間が多く、向こう側の景色が見られることです。いつもならぎっしりの青々とした葉に囲まれて実がたくさん生ります。二つ目は実が少ないことです。昨年に比しておよそ3分の1くらいでしょうか。家人が言っています。「今年は皆さんに多くは配れそうもないね」と。子ども食堂に届けたり、友人に送ったり、あるいは...
わずかですが、カリフォルニアポピーが咲いています。5月から7月初旬頃に賑わっていました。何か思い出したようにひょいと顔を出したくなったのでしょうか。花の端境期ですので、こうして少しでも彩りを添えてくれるのはうれしいことです。16℃の朝です。日の出時刻もだいぶ遅くなりました。心も少しずつ秋の装いに替えていきましょう。 花菱草の花言葉に「私の願いを叶えて」とあって今に何を願うと私 (居山聞涛)...
ブルーセージ(Blue Sage・アズレア) ~お彼岸の中日~
お彼岸の中日ですね。そして我が家では女性四人の来客がある日です。60代が二人、初めてお会いする40代が二人。うまく話ができるでしょうか。ブル-セージも咲き出しました。空色の爽やかなかわいい花です。私はこれからポポーと無花果を採りに離れた畑に行ってきます。お客さんにお出しします。 秋の花見ればあれこれ想像膨らみ我が胸も軽やかに澄む (居山聞涛)...
義姉から「野菜を持ちに来て」と電話がありました。庭の草取りをしてしっかり汗を搔き、シャワーを浴びて着替えをしたところでした。すぐに伺いました。「お茶を用意してあるから上がっていって」と。岐阜から散り寄せたという葛餅と、冷えたメロンと、茄子の浅漬けと、スライスした干し林檎がテーブルの上にありました。お茶はコクモツチャだそうです。いろいろが溶け込んだという感じがします。きっと健康にいいんでしょうね。最...
リコリス・スプレンゲリー(Lycoris sprengeri) ~これから個展を見に行くの~
きのうは彼岸入り。昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と言うが、今年に限ってはどうやら当てはまらなく。9月も中旬なのにずっと30℃超えの日が続いていて。そんな朝に彼岸花の横ではスプレンゲリーも。それは花びらの先端を青く染めるリコリス。その色調の変化は日本画で描かれたような趣。庭を掃いていたら、お洒落した穂波さんが野菜を持ってきてくださった。「これから妹と新井さんの個展を見に行くの」と言って。中には大きなゴーヤ...
ピンクノックアウトに花三輪。それは芳香のする薔薇。去年もほぼ同じ頃に。今年も6月初めに多く咲いた。そして秋の開花では少し小振りになり、花数も少ない。どこか艶を感じさせる。このところ百舌が毎日来て喋ってくれる。美声ではないが、楽しくなる。 人それぞれ言う薔薇は棘があるけど美しいと美しいけど棘があると百舌よおまえはどう思う (上武旋転子)...
いくつかのまとまりとなってヒガンバナが咲いている。それはほかの花にはない不思議でゆかしい佇まい。全体を見ても一つでも部分でも、どれも味わい深くて。上に向かって湾曲する蕊はいつも感嘆を誘う。先日、知人がやってきた時それを見て「曼珠沙華、いいねえ……」としみじみ。たしかにこの花は日常から少し離れた時に置いてくれる感じがする。...
その高さは2㍍は超えているでしょうか。手の届かない高いところでキクイモが咲いています。ヒマワリにも似た黄色い花です。枯れ向日葵に白い大理石の「森の子」のそばです。おやおや、蟷螂君がいましたよ。和みます。芋の収穫は毎年11月にします。それを家人は毎年漬物にしてくれます。土臭さのあるその独特コリコリとした食感が好きです。 外の秋自分の中の秋静かに時が進みものをみつめ言葉を選ぶ秋 (上武旋転子)...
アメリカフヨウに二度目の開花。そのやわらかな濃いピンクの大きな花は例年通りに盛夏の7月下旬に咲いた。そして終わった。なのに九月にまたおなじような姿で現れて。テレビのニュースが伝えていた。農作物がいつもと違うと。栗が、葡萄が、松茸がおかしいと。もう色づいていいはずの紅葉の名所で知られる高山もまだ青々とした緑のままだと。昨日はここらでも34.8℃もあった。石楠花は葉焼けしている。百舌が鳴いている。...
小紫が実をつける。小さく丸い。ツヤツヤとしてあざやかな紫の。枝に沿ってたくさん。小鳥が啄んだのか、傷んでいるのもある。私は食べたことがないが、どんな味なんだろう。...
フジバカマのそばにはオミナエシもある。茎頂に黄色の小さな花を集めて咲く。ところでそれには女郎花の字が充てられる。なるほど美しい女性のしなやかな立ち姿、そんな感じにも見える。ただ一つ、これは部屋には飾りには向かない。花盛りになるとかなりきつい匂いがするから。いにしえの佳人を思い浮かべつつ、秋の野風に揺れるを眺めるのがいい。 風立てば痩身の人のしなのごとくゆるく揺れて女郎花 (居山聞涛)...
フジバカマも咲き出す。それは少し変わった姿。筒状の花びらより捩れた糸のように伸びる蕊が目立つ。美しいというより何か惹きつける繊細な魅力がある。黄揚羽が来た。蜂も来た。 揚羽蝶のとまる藤袴を古歌を読むように静かに見ている (居山聞涛)...
「23日にお伺いしたいんですが、ご都合はいかがでしょうか?」以前に友人を連れて訪ねたいと言っていた知人の女性から電話があった。友人と二人だけだと思っていたら、別の二人も誘って四人だという。それぞれ勤めているので休日のその日に都合を合わせたらしい。特に予定は入っていないので了解した。後でよく考えたら、お彼岸だった。お墓参りは前の日にしよう。しばらく前からフイリヤブランに藤紫の花穂が立っている。ほとん...
ツクツクボウシの大きな声。ミンミンゼミも負けじとまだ元気に。モズは毎日のようにやってきて小刻みに鳴く。アシナガバチがまた巣を作っている。アートガーデンにはコスモスが立つ。隣には終わりのヒマワリ。うしろの次郎柿には青い実がふくらむ。それには白い石の森の子も数個。アカトンボが目にふえて9月も中旬。私は草取りが続く。昨日は4箇所を蚊に刺された。近くの田んぼでは早くも稲刈り。...
野の菊も少しずつ咲く。李の木の下には白山菊が。この花にはいくつかの特徴がある。まず背が1メートルを超えるほどに高い。それで時には支柱を添えなければ倒れてしまう。二つは葉が広いこと。特に下の方は大きな心形になる。三つめは花びらの数の不揃い。5枚もあれば6枚、7枚、8枚のもある。隙間なくきれいに整った舌状花からはかけ離れた並びの悪い様になる。ほかの野菊のような愛らしさはないが、野趣に富んだ味わいがあっ...
ライラックに花があります。常なら、咲くのは春です。今年も5月に入ってすぐでした。葉のだいぶ少なくなってきた今、どうしたんでしょう。よく見れば薄紫の花房の半分ほどは蕾です。満開はこれからのようです。高原の美術館で旧友と彫刻展を鑑賞してきました。彼を見送った後の午後の情景です。 遠方より訪ね来し友に無花果を土産とするリラの返り咲いている日 (居山聞涛)...
ブルーサルビア(Salvia farinacea) ~「一緒に行かない?」
小諸の友から電話があったのは5日前のこと。「オレの知人がさあ、そちらの近くで個展をすることになったんだよ。急だけどさあ、一緒に行かない?」詳しく聞けば、南信州の高原にある小さな美術館での彫刻展らしい。スキー場の側にあり、名前だけは聞いて知っているが、行ったことはない。「いいよ。何時に来る?」「家を7時前に出てそちらに9時半頃。それでオレの車に乗って一台で行こう」「分かった。ここから一時間以上かかる...
ニラの花が咲く。白い小さな六弁花が伸び立つ細い茎の頂にいくつも。多年草なので放置したままで毎年こうして。先を尖らせたその形は雪の結晶のようにも見える。ウラナミシジミがやってきた。その近くにはアリンコも乗っている。女房詞ではニラのこと“ふたもじ”といったとか。その昔、植えてこの花咲く様を味わい見るようになってから知ったことである。家人は何本もを切ってまとめて活けた。...
白萩もたくさん。枝はたわんで地に垂れる。離れてまとまるすべてのふわりを。空の青に一枝を仰いで。花一つを手に取り人想ってじっくりと見ればなおよし。萩は万葉集で一番多く歌われている花だとか。桜より、梅よりも。性別、年齢層、職業や身分をも超えさまざまな人の心を惹きつけ。わかる気がする。 齢七十良寛の歌の想いに心馳せつつ白萩見ている涼し朝 (上武旋転子)...
昨日、約束の時刻に義姉のお宅へお邪魔した。部屋に入るとテーブルの上には冷えた麦茶と水羊羹、そして梨、収穫のミニトマトと漬物が並ぶ。「九月に入っても厳しい残暑が続くねえ。さあさあ、どうぞ」と促される。それらを口に通しながら話を聞く。義姉は地域で歌会の指導や新聞の選評も行っている歌人である。だが、私の知る昔の義姉は水彩画や油絵も描き、公募展にも出品していた。高校の頃は美術班に属していて芸大を目指してい...
ほんの少しだけ、百日草が咲いている。同じように種蒔きした昨年、一昨年はもっとたくさん咲いていたのだが。その名の通り花期の長い花だ。近くでは彼岸花が数本伸び、茎頂に赤い蕾が見えている。秋の形が少しずつ。今日は義姉に呼ばれてお茶する日。どんな話が聞けるか楽しみ。...
昨日も涼しい内にと、早朝からの草取り。1時間ほどで予定したエリアを終えると、時刻は6時15分を過ぎたところ。中に入り着替えて一人のお茶時間。読みかけだった古い「男鹿和雄展」のカタログを捲りながら。と、庭から「キィーキィーキチキチキチキチキチ」と鳥の声。その特徴あるリズムと甲高い声は過去に何度も耳にしているので主はすぐわかる。部屋のガラス戸をそおーっと開いて見上げればやはりいた。染井吉野の天辺に近い枝...
九月も三日。そこはナンジャモンジャノキの下。マリーゴールドの中に白い野菊。細い茎と切れ込みのある細い葉のそれはユウガギクだろうか。どれも似ていて私はよくわからない。「野菊」という文字と「ノ・ギ・ク」という響きにしみじみと湧き起こるものを感じる。それは少年の日に刻まれたもの。映画で見て涙した政夫と民子のかなしい純愛。この歳になってもいくつかの場面が目に浮かぶ。空を仰げばサーッと掃かれたような雲が何カ...
萩です。ここへ来て一気に開きはじめました。緑の葉と赤い花の調和したふんわりとした様に穏やかな思いになります。ところどころに二つが寄り添い語り合うかのような様に心嬉しくなります。良寛さんと貞心尼さんの相聞歌を思い出しました。 秋はぎの花さくころは來て見ませ いのちまたくば共にかざさむ (良寛) 秋萩の花咲くころを待ちとをみ 夏草わけて又も來にけり (貞心尼)二...
ペパーミントは土手にある。それは生命力が強く、かなりの勢いで繁殖する。それでガーデン内には植えてない。今それは花の時。穂状になって咲く。そこに小さな花蜘蛛がいた。起きて西の空を見たら、大きな月が浮かんでいた。きっと万葉の人々もそのスーパームーンを見ていたのだろう。 心なき秋の月夜の物思ふと寐の寝らえぬに照りつつもとな かくだにも妹を待ちなむさ夜更けて出で来し月のかたぶくまでに 萩の花咲きのををり...
「ブログリーダー」を活用して、hiougiさんをフォローしませんか?
指定した記事をブログ村の中で非表示にしたり、削除したりできます。非表示の場合は、再度表示に戻せます。
画像が取得されていないときは、ブログ側にOGP(メタタグ)の設置が必要になる場合があります。
更紗空木は、内側が白く外側が薄紫の色混じりの花です。その名は、それが更紗染めに似ていることからの名付けのようです。八重の花で下向きにたくさん咲きます。昨日は枇杷に袋掛をしました。どうやら夜に白鼻心がやって来ているようなのです。朝に食べられた後のが散らかっています。毎年見られる光景です。高いところなどは無理しないで、手の届くところだけです。効果があればいいのですが……。 くよくよせぬ腹を立てぬ憎ま...
先週のことである。高速バスで東京に行った。地下鉄に乗って、六本木ヒルズ森タワーを目指した。52階の森アーツセンターギャラリーに入った。10人の芸術家によるMUCA展を観た。その中にバンクシーの作品が数多く展示されていた。それが目的だった。進みゆくと、奥の方に、あのシュレッダーにかけられた「ガール・ウイズアウト・バルーン」があった。そこだけは警備員が立っていた。正面からじっくり観た。左右の側面からも見た。そ...