いろいろな紫陽花が庭を彩る。その中、ベビーピンクの額紫陽花は好みの一つ。丸みを帯びた装飾花のそれは色を変えることなく、その色で始まりその色で終わる。それこそ、眺めていてあきない無垢な頬の色。でも、そばの柏葉紫陽花が大きく広がりすぎ、それに覆われるようにして花数が少なくなった。もっと伸び伸びできる場所に移してやるのがいいかもしれない。花が終わったら考えることにしよう。昨日は豊後梅を漬けた。それはずっ...
1件〜100件
紫陽花水やりをしていた。と、そこにひょっこり友の顔。時計を見れば8:15、予定では9:00のはず。「いや、ごめん。暑さが気になって家を6:00に出てきたんだよ」「熱中症が心配になってね。私がせかしたの」と元養護教諭の奥様。小諸から途中休憩を挟んで、2時間15分。「お疲れさん。とりあえず、中で冷たいものでも飲んでから始めよう」喉を潤しながら、大まかな作業の手順や道具、材料の確認をする。そして20分、「じゃあ、始める...
糊空木は清涼感のある爽やかな白い花。装飾花は3枚、4枚、5枚とそれぞれ。その様はいくつもの小な蝶がとまっているようにも見え。中の真花も蕊を伸ばしている。今日は小諸から友人夫婦が来て一日いっしょに外働きの日。気温がかなり上がりそう。気をつけつつ、休みつつ、水分を摂りつつ……。 小蝶舞うごと六月の糊空木おしゃれオシャレお洒落 (実野滸人)...
柏葉紫陽花も咲く。杏や楓の枝を抜けるようにして。白い花は何段もの円錐状。たっぷりと。撓んで。下向きに、横向きに。幅広の葉にはほかの紫陽花にはあまり見られない深い切れ込み。それが柏の葉に似ていることにその名は由来する。逆光で見る重なり合う花びら(萼)が美しい。 老いるほどに人生や本物が見えるという言葉を読み紫陽花の前に立つ (上武旋転子)...
アルストロメリア( Alstromeria・Angela) ~最も早い梅雨明け~
やはりそうかと。今年の六月はは雨が少ないと思っていた。そしたら昨日観測統計において最も早い梅雨明けだと。平年より22に日早く、期間も21日と過去最短だったという。すでに真夏日も続く。これからの七月、八月になればどんな暑さになるかと心配にもなる。冷静に、適正に対処と自己管理をしなくてはだ。アンジェラという名の黄色いアルストロメリアがしばらく前から咲いている。そこで咲くようになってから相当の年月が咲く。そ...
二人の来客があった。来てくれたのはおよそ10年ぶり。それぞれ現役の看護師と銀行員。彼女らとは40年来の付き合い。言葉交わせば互いに自ずとその頃の顔になる。当時の思い出話に花が咲いて。育ち行くお子さん達の今にほころんで。時の経つのも忘れて。近況の伝えが一段落したところでNさんが訪問の本旨を話してくれる。その心遣いをありがたく受け止めてお礼を言う。私も29日から始まる自身のプロジェクトについて話す。それが...
花菖蒲も咲きそろう。虚子の句に はなびらの垂れて静かや花菖蒲 いずれもそんなさまに。それは奥ゆかしい和の美。見る心も自ずと穏やかに。 六月流れる時もゆるりと垂れて花菖蒲 (上武旋転子)...
「ん?んん?」草取りをしていた時だった。その音(声)をもう一度確かめた。まちがいない。姿を見つけることはできなかったがそれはまさしく初蝉。去年よりだいぶ早い。これから少しずつボリュームが上がっていくことに。同時に日々地面の穴の数も。また目に耳に夏が一つ。遅れて咲く二本目の小さなヒメシャラ。日々咲き、そして日々落ちて。 今年も変わらずに大きな声を届けてくれてありがとうなセミ嬉しいよ (居山聞涛)...
甘茶も咲く。はなやぐ人がいて。饒舌な人がいる。控え目な人がいて。訥々な人がいる。花もそんな風。甘茶の花言葉には「謙虚」と。この花を見ては自分を振り返る。『仰臥漫録』正岡子規(明治三十五年) 六月二十五日 晴 盆栽の写真、岐阜三浦某より。 写真数枚古竹より。 光琳百図虚子より 六月仰臥する子規写真と絵で景色を眺め私は甘茶を見る (居山聞涛)...
クジャクサボテン(孔雀仙人掌) ~いっしょに咲くといいのだが~
咲き出した白い孔雀仙人掌を玄関前に移動した。いくつかの蕾があって、それが段々に開いていく。花は3日程でだらりの姿に。みんないっしょに咲くといっそうきれいなのだろうが。それはこちらの勝手な思い。花には花の都合がある。夜に咲く月下美人に似るが、これは朝から咲く花。そういえばきのう、月下美人にも小さな蕾を見つけた。七月の半ば頃になるか。今年の梅雨は早く明けそうだとラジオで気象予報士が伝えていた。 ...
こんもりとしたさまで咲いているのはシモツケ。目を寄せれば小さな赤い花が散房状に。一つの花は数㎜ほどの小さな5弁花。その中には多くの細い蘂。この花には「繡線菊」とのやさしい名も。目には素朴な花だが、文字にするとなにか深い物語がありそうで。 いつしか繡線菊とその名を書けるようになったもう何年になるかとしみじみ眺めて (上武旋転子)...
梅を漬けた。去年より数日早い。この時期、毎年する私の楽しみの作業。塩の濃度を10%と20%の二種類に分けて4㌔。一月後の7月の下旬にはできあがるはず。白い河原撫子が咲いている。五枚の花弁は少し波打ち。その先は糸状に細く切れ込む。繊細で優しくて嫋やかで。 言葉せずにそっと支えるような美しさ撫子は (奈美あや)...
房になって咲くピンクと白のやさしいツートンの花があります。庭藤です。これは藤とは違って蔓を伸ばすことはなく、高くもなりません。基本、放置しても元気に育ちます。時々広がる枝を剪定するだけです。昨日もカッコウが鳴いていました。最近それが「アッホー、アッホー」と聞こえるようになりました。私の様々なことへの戒めでしょうか。気をつけます。 耳にアッホーアッホーと届く鳥の声自戒せよやとか六月の空 (居山...
スイートアリッサム (Sweet alyssum) ~笑うしかない~
朝起きて先ずお茶を淹れる。そして一口。それが一日の始まり。昨日もいつものように茶筒を開けて茶匙のすり切りを急須に入れて。そしてお湯を……。だが私が注いだのは急須でなく、左手に持っていた蓋の開いたままの茶筒だった。気づいた時には中の茶葉はお湯に浸かって冠水状態。あ~あ。何やってるんだろう。家人が起きてくるにはまだ2時間近くある。茶筒の中をすべて捨て、中を洗い流し、布巾できれいに拭く。さらにドライヤーを...
紅額の装飾花の多くは今は白い。それは先端のから少しずつ紅くなっていく。そしてしまいにはその名が示すようにすべてが染まる。目を近づければ真花も咲き出しているのがわかる。その形もまた愛らしく楽しい。 光太郎の哀しみと額の花とそこにある六月の感傷 (実野滸人)...
八重十薬が梅の木の下にあります。何段かになって構成される円錐状をしています。最下段の白の中には緑が混ざっているのも見られます。花に見えるそれが葉の変じた総苞であることが分かります。ほんとの花はその上に見えるたくさんの小さな黄色の部分です。花びらを持たない珍しい独特の形をしています。先日、この花がほしいという方がいて、差し上げました。「増えますので植える場所に気をつけてくださいね」と言って。 寄...
上には八つ手。下には風知草。あいだに挟まれてアナベルも花を大きくする。蕾は緑。開いてライムグリーンへ。咲き進むにつれさらに色を薄くし。満開は真白になる。そして形は大きな白手毬のごとに。昨日家人は3つ切ってガラスの器に挿した。 緑より出(いで)色を脱ぎ行く手毬花梅雨晴間の朝 (居山聞涛)...
「気が早くないですか?」と言いたくなる。春の名残の花や咲き始めた夏の花に混じってコスモスが咲いている。それは去年のこぼれ種からの。まだ梅雨の中だというのに。これからが夏本番だというのに。でもまあ、こんなフライングなら愉快。この時期だから、「梅雨桜」あるいは「夏桜」とでも名付けてあげよう。手前には向日葵が伸び始めている。 数えられるコスモス揺れてきょうは夏至 (奈美あや)...
藍色を集めて山紫陽花。野趣の佇まい。素朴な味わい。やさしい装飾花。目立たずに真花。いにしえ人の歌に預ける心をふと思う。あじさゐに私だけの時間。 掌にあぢさゐと書いて思ひ出を包む (奈美あや)...
庭の隅にはドクダミ。山茶花の下の陰するところ。そこらを灯すように。4枚の白い総苞と中に立つ黄色い花穂(かすい)の均衡と調和。その小さな真花にヒラタアブがとまる。 アブよ君と同じに私もドクダミの花と匂いが好きなんだ六月の (居山聞涛)...
薔薇のそばに青い花菖蒲。花はアヤメに似るがそれより一月ほど遅れて咲く。花びらの奥の黄色に網目模様がないことでもその区別ができる。この花には雨もいい。しっとりと濡れる様はいっそう感慨をもよおさせる。 梅雨合間ひたすら手を動かし草を取る過去もあれこれ片付けたいことばかり (居山聞涛)...
久しぶりに美術館へ出かけた。知人の彫刻展が開かれている。ヤギがいて、猫がいて、牛がいて、ヘビも加わったり。動物をモチーフとして、あたたかさとやさしさ、諷刺とユーモア、愛と正義等をテーマに機知に富んだ作品の数々。屋外の木々の下、テラスの上、そしてアトリエ棟内では畳に、風呂場に、壁と障子にと、展示も工夫されて観る者を惹きつける。心洗われた思い。そして刺激と励みに。庭の薔薇も咲く花と散る花が同居して。ミ...
レンズキャップをなくしたのは5月の末だった。それから二週間と少しの昨日、見つかった。庭掃きをしていたときだった。風知草の中にあった。誰かが歌ったように、「探すのを止めたとき、見つかることもよくある話で……」ほんとに。ヒガンザクラの下ではバイカウツギ・ベルエトワールが咲いている。この花は甘い果物のようないい香りがする。花数はいつもの三分の一ほど。弱っているようにも見える。 花を見つつ一人語りいっし...
ユキノシタに囲まれた小さな花はツクシカラマツ。蕾は淡紫。開けば白みを帯び。形は放射状。線香花火のように。どんなに小さかろうが、花は自分の咲く季(とき)を知っているから不思議である。 私に見られるためだけに今年もそこに咲く筑紫唐松は (居山聞涛)...
庭の周りには紫露草。白から赤まで色を違えて。三枚の花びらはそれぞれ丸味を帯びたり三角に近かったり。そして6本の雄蕊と多くの繊毛。それにいろいろな昆虫が引き寄せられる。中には脚に花粉団子をつけている蜂も。花は朝に開き、午後には萎む。午前のやわらかな光が好きらしい。小諸の友人からメール。「午後一時頃、妻と二人で訪問します」と。彼とは学生時代、同じ研究室。そしてまったくの偶然、就職したのも同じ職場。奥さ...
びっしりと長く垂れ下がる黄白色の花。それは雄花。隠れるようにしてある小さな丸い花。それは雌花。そこから特有の強い香りが辺りに放たれる。今、栗の木に花が満ち、六月、梅雨さなかであることを告げる。木は大実の“丹沢”と”筑波”の2本。その向こう遙かには伊那山脈と南アルプス。毎年毎年私はそこに居る。その不思議な花と青くさい香りを浴びながら。 目をとじても胸の奥に届く奇妙な匂い花栗の六月 (居山聞涛)...
朝仕事をしていた。カッコウが鳴いた。近づいた。上の電線にとまった。でもすぐに飛んでいった。カッコーはデクレッシェンドになって。そして消えた。玄関前には孔雀仙人掌。美しい翅を広げておもてなし。 翅を広げ「私のすべてを見てください…」と鮮やかに妖しげに仙人掌の花 (上武旋転子)...
アマリリス(アイスクイーン・Ice Queen) ~スイカを食べた~
「スイカを買ってきた~」と嬉しそうに出す。まだ6月だというのに?早すぎないか。そして「切ってね」と。食べやすいように少し小さめに切る。熊本産だった。フォークで口に運ぶ。甘かった。6月にスイカを食べたのは初めてではないか。。玄関横にはアイスクイーンの名の白い八重アマリリス。 少しの諦めと表に出さぬ嘆き白きアマリリスよ慰めてくれないか (居山聞涛)...
たくさんのユキノシタ。花びらは5枚。下の二つは白く、長く膨らむ。上の三つは短く、赤い点化粧。黄色い蕊はつぶつぶつやつや。いろんな方向へ伸びた細い茎の上でそれぞれがバランスを取るかのようにして。それはまるでキネティック・アート。 「ユキノシタってかわいいね」「かわいい」「モビールをみたいだね」「そうそう」と六月 (上武旋転子)...
ゲラニウム ブルックサイド( Geranium h ybrid Brookside) ~「採ってきたよ」と~
青い花はゲラニウム ブルックサイド。細い茎の上で。ゆらゆらと。5裂した紫色の蕊が伸び出る。蜂がやってきてとまる。「ユスラウメを採ってきたよ」と家人が言った。開いた手に7個乗っていた。その場で一つ取って口に入れた。 花が咲いて花を見てふと思った花に見られているのだと (上武旋転子)...
久しぶりに町の温泉施設に行った。駐車場には愛知、岐阜、山梨、東京などの県外ナンバーも多く見られる。以前は県内客に限定されていた。そして入ってすぐのところには係の人がいて、居住地と氏名、それに電話番号を記入し提出させていた。それらはすべて撤廃されたようだ。(マスク着用は継続されている)少しずつ元に戻りつつある。メインの展望大風呂、次に露天風呂、ラジウム鉱泉、絹の湯、ジェット風呂、そして薬湯に。ああ、...
ウツギの花人知る夏の歌。ほのかに香り。ウツギの葉。肌はザラザラ。白い星状毛。ウツギの枝。芯は抜けて。中空の木。そして今、3時50分。キョッキョッキョキョキョキョ。杜鵑が鳴いた。 早朝に杜鵑嬉し思わず聞きなしを真似て合わせ (居山聞涛)...
ゲウム ゴールドボール(Geum chiloense goldball) ~宿根草~
6日に梅雨入り宣言があった後、雨は降らなかった。そして昨日ようやくの夕立。多量というわけではなかったが。それでも花や木たちにとっては喜び。咲く八重の黄色い花は宿根草のゲウムゴールドボール。放っといてもちゃんと伸びて。蕊や花びらが取れた終わりの姿は何かに似ている。ウニ?その隣ではセントーレアパープルハートが二輪咲いている。 雨がほしいと思っていたら雨が降った外に出て山紫陽花を見た (上武旋転子...
アスチルベ(Astilbe・泡盛草) ~小さな花が集まって~
アスチルベは毎年の宿根草。それも今咲く時。小さな花が集まって。穂状となって。和名で泡盛草とあるのは小花が次々に咲く様を泡に喩たのだろうか。近くでは梅の実が「そろそろ採って」といった表情をしている。 小綬鶏の声の渡る梅日かな (奈美あや)...
古い知人からメールがあった。「今月26日の日曜日に、○○さんと一緒にお宅にお伺いしたいのですが、ご都合はいかがですか」と。カレンダーを確認すると、予定は何も入っていない。「大丈夫です。お待ちしてます。訪問時刻を連絡ください」と返信した。メールをくれたNさんは看護師、もう一人のUさんは銀行に勤めている。今から10年前にもその二人で訪ねてきてくれたことがある。その時持ってきてくれたセロームは今でも私の部屋の中...
ヒペリカム(Hypericum) ~黄色い花と赤い実と蓑虫と梅雨~
ヒペリカムは黄色い花。中からたくさんの長い蕊。ああ、楽しい。それは赤い実にかわり。つやつや、ツヤツヤ。ああ、きれい。蓑虫が一つぶら下がっている。上手な家づくり。ああ、面白い。梅雨入りしたというのに雨は降らず。作業は捗り。ああ、嬉しい。 梅雨の合間李に四十雀来て賑やかに六月の庭 (居山聞涛)...
役場産業観光課からお知らせいたします。本日午前8時半頃、○○地区の県道付近でツキノワグマの目撃情報がありました。危害を加える恐れがありますので十分気をつけてください。また熊を見かけたら、役場産業観光課までご連絡ください。出没したのは、町の温泉施設のある地域。比較的近い場所だ。果樹園が多いこの地では折にそんな広報がスピーカーから流れる。サルナシの花も咲いている。 ...
鮮やかなピンクの花が溢れるように咲いている。モーツアルトは房咲き一重の薔薇。華やかというより賑やかというのが合っている。奔放な芸術家の作った軽快な音楽のように。旧友から電話がある。知人からメールが届く。たんたんと六月が進む。 房咲きの小さき薔薇放縦に我は我なりと言い聞かせて六月 (居山聞涛)...
4月中旬に白い花を咲かせたジューンベリー。今それは小さな丸い赤い実に。ぼつぼつと黒みを増したのも出てきて。食べ頃が近くなったと。でも見る度にそれが少なくなっている。昨日、分かった。ヒヨドリが来て食べていた。そうだったのか。しょうがないなあ。そういえばサクランボもすべてが食べつくされて、一つも口に入らずじまいだった。今年の収穫はあきらめて彼の好きなように。それでもと黒みがかったのを一つ選んで口に入れ...
ノスタルジィは覆輪の薔薇。白味の花びらは縁を紅色に包まれる。それは咲き進むにつれ全面染まっていく。そんな色移りに少しの寂しさも。ところでなぜノスタルジィの名が付いたのだろう。異郷にて遠い故郷を懐かしむ……と。 そうびよ自分一人の胸に納めたままにして語らないこともあるのだ (居山聞涛)...
ワイルドストロベリー(Wild strawberry) ~色を選り分けて~
一面に広がるワイルドストロベリー。ここ数日ほぼ毎日摘む。置き去りにされたかのように白い花の一輪。 それも芯はすでに膨らみ。花びらを落として色づくのを待つ。実は小指の先ほど。洗って蔕を取り笊に入れる。そしてデザート。つまんで口に放る。甘い味と香り。 野いちごに朝陽射す色を選り分けて潰さぬように三つ指で摘む (上武旋転子)...
バラ(薔薇・オールドローズ キング・ジョージ4世) ~品ある佇まい~
各地からバラ便り。そんな季節。我が家でもだんだんと。こぶりのキング・ジョージ4世も。品のある深い赤。これはオールドローズで香りが良い。おりに仕事の手を休めてはそのそばに。 紅茶を手に漫ろに歩く庭オールドローズの前にしばし佇み言葉を探す (上武旋転子) ...
オオテンニンギク(大天人菊・ガイラルディア) ~天人のような花と~
オオテンニンギクはほかの花々より少し頭を出して咲く。色は濃いオレンジと黄色の覆輪。個体によってその面積比はさまざま。中央の蕊は向日葵に似た形に少し盛り上がる。これはこのまま次々と秋まで長く。...
更紗空木も枝いっぱいに。蕾は少しの赤みに包まれる。それが解けると中からたくさんの白い花びら。外側のは薄紅をまとい。それは更紗の染め模様。花びらが細かく分かれて風に散る。 見上げる月のそばをISSが通り南アルプスへ消えていった人類のロマンと宇宙の平和6分 (上武旋転子)...
それは春には白い花だった。夏になって朱い実となった。そして熟した。それで摘んだ。小籠の半分ほどになった。子ども気分で楽しかった。「ラズベリー摘んできたよ」と渡した。家人は喜んだ。デザートにした。まだ何日かは摘めそうだ。 ラズベリーを摘んだ小籠に摘んだ二人で食べた笑って食べた (居山聞涛)...
バラ(薔薇・ピンクノックアウト) ~長い付き合いの甘い香り~
ピンクノックアウトはこうして毎年甘い香りを届けてくれる。通る度に私は鼻を寄せる。「ああ~」ここ数年、株が弱ってきたのがわかる。枝と枝に隙間ができ、花数も少なくなった。植えてからもう20年以上にもなるのだろうから仕方ないことだとは思う。思えば私も、瑞々しい苗木で来た時の君と同じようにその頃は元気だった。互いに体に苔が生えそうになってきているが、無理せずに一所懸命でいこう。何事も終わるときは必ずくるの...
色とりどりのひなげし。細い茎の上で。薄い花びらが。ひらひらと。やさしく。蕊はきれいに揃って花火のよう。そして一枚ずつ散り。残る形も愛らしく。 夢見る少女になります麦稈帽子を乗せてポピーの花の中で遠い過去 (奈美あや)...
花の形が桜に似て。花の色も桜に似て。それで桜空木。わかりやすい。五弁の花は白から紅への階調。白い雌蕊を取り囲む10本の雄しべしっかりと閉じた蕾と中から黄色い蘂が覗く開きかけもまた……。 六月の時にうつうつあればやさし潔し紅うつぎ (実野滸人)...
緑葉の中にすくっと和の佇まいの黄菖蒲。でも違う。これは繁殖力の強い外来種が野生化したもの。いつの頃からか住み着いて。それで抜いて減らしてそこだけに。見れば美しいものでもほどほどがいい。 風の歌雲の声聞いて静かに黄菖蒲六月のしみじみ (奈美あや)...
梅花空木は白い花。お椀のような形で。ほんのり香り。見れば自ずと静められ。花言葉には「思い出」とあって。こんな私にもこの先まだ思い出作りができるのだろうか。 入梅前にやることをやろうと働き働く腕腰の痛みも心地よいと褒めて (居山聞涛)...
八重の赤芍薬は二輪。たっぷりの花びら。重そうに少し傾いて。上で明るく軽やかな声がする 見上げると電線にホオジロがいた。しばらくそこに居てくれた。さて六月の仕事をしよう。 「人生というのは究極に孤独なんですね」と美術家は語った「そうなのか。そうなんだろう」 (上武旋転子)...
アンネのバラ(Souvenir d'Anne Frank) ~アンネ・フランクの形見「long for peace」~
今年も「アンネのバラ」が。花は黄色からオレンジ、淡いピンクからさらに赤へと色を濃くしていく。まるで多感な十五歳の少女のように。日々表情豊かに。恒久の平和を希求する象徴として知られるこのバラ。そして今。そして六月。 薔薇が咲く夢見る少女の平和のバラが静かに (奈美あや) ...
黄花山法師も少し前から。うっすら黄色のひらひらの花(総苞片)。花びらはやわらかにうねり。写真に収めて部屋に入る。レンズキャップがないのに気がつく。急いで戻ってその周辺をくまなく探す。ない。歩いた箇所に範囲を広げる。見つからない。ほんの数分前のことなのに。これで何度目だろう。過去にはしばらくしてから見つけることができた。たとえば三ヶ月程して草むらからとか、二週間後に机の片隅からとか。一応、予備の古い...
赤い芍薬も咲く。ふんわりと。折々風に花びらが巻かれたりして。芍薬には異名として顔佳草(かおよぐさ)もあるという。見てまさしくそのとおりだと。そういえば顔佳草はカキツバタにも充てられている。昔の人の感性が美しい女性の面影をそれらの花に投射しての名付けなのだろう。あやおや、脚を花粉まみれにして……。 紅芍薬はそろりとそろりの平安の女(ひと)しなやかであでやかで (上武旋転子)...
アヤメの横では背丈の低いこぶりの白いアヤメも。ずっとシロアヤメと呼んできたが正しいのかどうかはよくわからない。検索すると鎌倉長谷寺ではそれは“三寸アヤメ白”と紹介されている。それが本来の名かもしれない。アヤメのような強い繁殖力もなく、何年もその大きさの株のまま。小さいけれどその楚々とした佇まいがいい。ひとまずこの時期のアヤメ科の花はこれで終わり。残りは夏盛りのヒオウギのみとなる。 そうか五月も終...
ハコネウツギは色移りの花。白い花とピンクの花と赤い花が一緒に。その色の違いは、それぞれの花の咲いた時間。花言葉は「人の魅力を引き出す」だとか。魅力……かあ。 移ろいのはこねうつぎに浮かぶ楽しい日々悲しい出来事 (奈美あや)...
青い空にツルバラ。高いところでツルバラ。枝を撓めてツルバラ。木により掛かってツルバラ。五月の庭に赤いツルバラ。それは家で一番古いバラだ。それはほんの小さな苗だった。 薔薇を見て過ぎ去りし時のさまざまさくっきりとあるいはぼんやりと (居山聞涛)...
たっぷりとした白い八重の芍薬がある。白い花びらの芯の部分に赤いマーブリング模様が施される特徴がある。一年に一度出会えるこの花の不思議と美しさ。植えてからもう10数年以上になる。「氷点」という名が付いている。ほかにも芍薬があるが、印象深いこの花の名前だけを知っている。その昔、『氷点』いう小説があった。 「五月がそろそろ終わるのだよ」と自分に言い聞かせて日記を閉じる (居山聞涛)...
近くの多くでは田植えが終わった様子。10㎝程の苗が整然と並んで水面の上で揺れている。秋の実りに向けて、「これから始まり」の様は見ていて清々しい。我が家の庭の横を流れる井水の量も増えて勢いよく流れている。私は生涯においてたった一度だけ手で田植えをしたことがある。それは20代の初めの頃、職場の先輩が「何事も経験」と自宅の田んぼに誘ってくれた。だいぶラインが曲がっていたこと、泥の中の足がなかなか抜けなかっ...
カルミアはツツジ科だという。花の大きさや形はまるで異なるが。たとえば蕾は濃いピンクの美味しそうな金平糖。たとえば花は開いた日傘。傘を内から見るように中にはビザギザ模様が施され、雄蕊が骨のように並び雌蘂は柄。かわいい、楽しい花。「ズームで研修会を開きます」と案内があった。無理だ。やめておこう。...
姫沙羅がぽつぽつと咲き出した。それは白い5弁花の花。いい味を醸している。姫沙羅は2本を一緒に並べて植えた。でもこちらのがいつも早く咲く。花も少し大きめで花数も少ない。品種が違ったのだろうか。その横にはやはり同じ時に植えた沙羅もあるのだが、それには蕾はまだ一つもない。入梅は来週後半だと天気予報士を語っていた。野山を、草木を潤す季節を迎える。それも人の生活に支障を与えずにほどほどであればいいが。...
芍薬にも時が訪れる。先に咲いたのは外花弁のみを薄紅色に染める白い芍薬。物静かでふんわりとしたそれは風の誘いに任せて乱れ。あふれる黄色い蕊の中で虫も恍惚に。「芍薬は好きな花」と言ってた人がいた。何かの思い出でもあるのだろうか。 そろりと歩く着物姿の女性を思い描かせて悩まし白芍薬 (居山聞涛)...
白木蓮の下に咲く花がある。それは夏蝋梅。ずっとこの日当たりの悪いところで。でもそこに植えたのは私。人目に付きそうもない場所なのに。なぜそこだったんだろう。しっとりとした花だ。しとやかで。 咲くのはいつも白木蓮の下しとやかに微笑み返して夏蝋梅 (上武旋転子)...
柿の花は目立たない。大きな葉に比してそれは小さ、しかも葉色と同じ萼に包まれるようにしてある。花そのものも地味なクリーム色で。厚みのある4枚の花びらは反り返る。中にはやはり先をくるりとした雌蘂。今年も秋の実りは期待できそうだ。義姉さんが箱いっぱいの苺と一束のミツバを持ってきてくださった。いつもありがとう。 歌人の姿を忘れさせる程に苺届け...
白、ピンク、青の矢車菊が咲いている。どれも去年のこぼれ種からのもの。今年は今年でまた新たに紫、紫のも加えて蒔いた。それらはたぶん盛夏の頃に顔見せしてくれるはず。青いのにクロアリが遊んでいるのを見つけた。安心、安全の中を気ままに自由にのんびりと。知人から恒例になっている個人の薔薇園への誘いがあった。27日金曜日、いつものメンバーでということである。そろそろ来るかなと思っていたところだった。楽しみに出か...
ピラカンサ(Pyracantha・タチバナモドキ) ~気持ちのいい五月の空~
たくさんの小さな白い花はピラカンサ。梅に似た5弁花で、中には50本程の雄蕊が立つ。咲いたばかりの雄蕊は象牙色で、時間とともにだんだんに赤茶色に変わる。それは秋にヒヨドリやジョウビタキなどの好物のオレンジ色の実になる。この木は鋭い棘を持ち、枝張りが強い。それで毎年冬の内に強い剪定をする。上の電線にはピチュクチュピチュクチュとツバメが一羽いた。 手を広げ五月の空に心干し (奈美あや)...
梨の木を2本伐った。先に作業がしやすいように、葉のついた枝を太枝切り鋏で落として片付ける。そして残りをチェーンソーで短く切っていく。生木なので切りやすいが、その分幹は重い。もう一本の“豊水”はしばらくそのままにしておく。秋になれば少しは収穫できるだろうから。花畑の向日葵も順調に育って伸びている。一月前に4種類を2つずつ8袋、およそ200個ぐらいの種を植えた。夏の青い空には幸せの黄色い花が似合う。 ...
チェリーセージ(Cherry sage) ~コンパクトにシンプルに~
赤いチェリーセージも咲き出した。小さな紙人形のようなかわいい花だ。その花期は秋遅くまで、とかなり長い。ずっと植えっぱなしの株でだいぶ背が伸びた。茎も木化してきているので、そろそろ切ってコンパクトにするのがいいのかもしれない。生活も思い出もダウンサイジング。今日は少し迷っていた梨の二十世紀と幸水の2本を伐ろう。年相応に今できる能力体力に合うよう少しずつ減らしてシンプルに。 カッコウがアソコで鳴い...
細い枝に並ぶ黄色い花がはエニシダ。遠目では小さな蝶がとまっているようにも見える。近寄ればその咲き方の特徴からマメ科であることがわかる。通常、蕊は花の中に隠れているが、それは受粉を終えると外に露出するのだという。漢字では金雀枝・金雀児が充てられる。でもなぜ“雀”が入るんだろう。見た目で言えば「黄蝶枝」の方があっている気もする。あるいは少しロマンチックに「愛縁花」なんてのはどうだろう。 あふれる黄蝶...
茂る緑葉に囲まれて上品な色は紫蘭。両手を広げたようにやわらかに開く側花弁。唇弁に走る縦襞の魅力。花の不思議な造形。中に小さな花蜘蛛が遊んでいた。 やさしき紫蘭から聞こえる「言葉遣いは心遣いぞ」と (上武旋転子)...
木漏れ日が李を抜ける。そこに枝いっぱいに葉を広げるのは真弓。見ればそれに無数の小さな淡い黄緑色の花。その地味な色と形故、この時期にこの木に花が咲くことを知る者以外は気づかない。葉と枝と花とそれがまとまり調和する真弓。それががこの木の味。 昔、「真弓」という名の人がいた今でも顔を覚えている元気だろうか (居山聞涛)...
久しぶりに青空が広がった。気温も上がった。ああ、気持ちいい。華やかにセイヨウシャクナゲ。艶のある反った蕊の形も、今にもという蕾の形も。ああ、みんないい。花は毎日いくつも落ちている。私は毎日は掃いている。 「あれは何?」と鳥の声箸をとめて立ち「黄鶺鴒だね」と答える二人の食の時 (居山聞涛)...
ジャーマンアイリス(German iris) ~「こつこつ」と~
久しぶりに眞民さんの詩集を読んだ。 「こつこつ」 坂村眞民 こつこつ こつこつ 書いてゆこう こつこつ こつこつ 歩いてゆこう こつこつ こつこつ 掘ってゆこうこつこつはものになり。こつこつは形になり。こつこつは厚くなり。こつこつは高くなり。こつこつは深くなる。こつこつとこつこつを続けよう。青いジャーマンアイリス。白いジャーマンアイリス。並んで薄青のジャーマンアイリス。絵の具の混色みたい。 ...
李の叉に薄紫の花。まとまり咲くそれは着生蘭の石斛。何年も前からそこで。花茎の数にその過ぎた月日を感じる。人にも花にもそれぞれに好きな場所とそれぞれが輝ける居場所。 石斛は李の叉のそこが私の一番好きな場所なのと (奈美あや)...
しばらく前から海老根が咲いている。あるのは楓、花水木、李の下と甘野老(あまどころ)のそばの4箇所。それぞれの場所で毎年少しずつ株を増やしながら。また昨日も雨蛙が来てくれた。その表情、その姿に和む。この庭を気に入ってくれくれてありがとう。 月下美人の葉にちょこんと雨蛙私が目を近づければ彼も私をじっと見る (上武旋転子)...
クレマチスは地植えと鉢植えと二つある。玄関横に置いてある鉢にも少し前から咲き出した。色はさわやか淡紫。でもそれらは私が植えたものではない。以前ある作家の名を冠した彫刻美術館を訪ねたことがあった。そこに併設してさまざまな彩り花が咲くクレマチスの丘があった。その緩やかな丘陵を歩きながら家にもほしいと思った。それからしばらくして庭の“ポンポン咲きの金糸梅”の中にクレマチスが出て咲いた。鳥がプレゼントしてく...
ビジョナデシコ(美女撫子・ヒゲナデシコ) ~自由に交じりあえる道~
白や赤いやピンクなどの美女撫子。花の中に輪を持ったりするものも。カリフォルニアポピーとケイランサスの黄色に見え隠れて。あっちにこっちで。幸せを運ぶという燕。その飛び交う数も増えた。空は彼らのどこでも道。のどかで平和で自由に交じりあえる道。 「寄り添うという言葉を軽々しく使って欲しくない」と、何をすればいいのか五月の燕よ (居山聞涛)...
奥に風知草と楓。手前には大きな二つのホスタといくつものミニホスタ。その中に一輪の青い花。今年も花びらに白い一筋を引いてカキツバタ。花言葉に『思慕』とあるのは古き歌人の妻恋う歌に因るのか。そして貌吉花(かほよはな)の異名もあるというその佇まいはまさに。日当たりの良いところへ移してやればいいのだが。私はその場所がこの花には似合うような気がして。そこで眺めるのが好きで。 いつか覚えた古(いにしえ)人...
このところ毎日のように、雨蛙が庭のそこここに来てくれる。昨日も月下美人の広い葉にちょこんと座って。ずっとじっとしてして。私は目を近づけ、前から横からそして後ろに回る。背中を人差し指でちょんちょんと押す。彼は体の向きを少し変え、一二歩前に動く。また押す。また向きを変える。そして右指で持って左の掌に乗せる。いやがるふうではない。また葉に戻す。「遊んでくれてありがとう」 悟りの顔して雨蛙今日は月下美...
アヤメの横には白いジャーマンアイリスも。そして近くで聞こえたのは雨蛙の声。ゲッゲッゲッ……。彼らにとっても動くにいい季節。そのうちガラス戸にへばりつく裏姿が見られるか。 人の心にも時には雨もいい少し立ち止まらせて思いを深くさせて (上武旋転子)...
ラナンキュラス・ゴールドコイン(Ranunculas repens 'Gold Coin' ) ~心励まされ~
黄金色の艶のある八重の花はラナンキュラス・ゴールドコイン。辺りを明るく賑やかに。そして励まされる気分にもなって。ふと自分の心の金貨は……と。 小さな花に心洗われて歳を見つめる (奈美あや)...
ナンジャモンジャノキ(ヒトツバタゴ・一つ葉田子) ~この木の名を誰も知らず……~
木に雪が降り積もったような様はナンジャモンジャノキ。花びらは4枚に細く切れ込む。その奥にわずかに赤い色を覗かせる。清楚で爽やかで。時に散歩やウオーキングの人にその名を尋ねられたりする。「ナンジャモンジャノキです」と答えると、だいたい「えっ?」と返ってくる。「江戸時代にはそう呼ばれていたようですが、正しくはヒトツバタゴという木です」と付け加える。高くなりすぎないように主幹の頂部は切った。横に広がり、...
アヤメは増える。それはたった一つの株だった。その一つの立ち姿もまとまりの様もそれらはいつか見た日本画の世界。そして蕾も、咲きかけも、開ききったのも。どれも菖蒲としての美しさ。さらには花の奥にある妖し文様も魅力的で。アヤメは増えた。これからもきっと増える。 隣り合う高さに差のありて琴の音の響きを見る菖蒲かな (奈美あや)...
道路から家へ入るところにまとまって小さな桜色の花がある。それは毎年咲く宿根草のツルコザクラ。この愛らしい花が咲くともう夏は隣。そういえば、きのう卯の花にもいくつも蕾があるのに気がついた。 スパティフィラムの鉢替えをするまた一つ歳を重ねた私も一回り大きくなれと (居山聞涛)...
山茱萸の下ではコデマリも咲く。小さな白い花が密集し丸くまとまる。花は五弁でたくさんの蕊を持つ。近くの里山から小綬鶏(コジュケイ)の大きな声が届く。今年の初鳴きだ。「チョットコ~イ、チョットコ~イ」と、聞いていて楽しくなる。 野山には彩りと笑いありて変わらなきゃと言い聞かせている五月の私 (上武旋転子)...
田に水が張る。その中を首を下にしてサギが歩く。餌になるものがいるらしい。中山さんが農作業車に乗って手を振っていく。義姉さんがまた袋いっぱいに三ツ葉を届けてくれる。庭には長い距のある赤みのセイヨウオダマキ。 何気ない景色と日常こその幸せとしみじみに五月 (居山聞涛)...
今年はこれまでにいろいろを切った。そして昨日は高くなった金木犀を一本。幹には苔もだいぶ生えている。植えてから30数年は経つのではないか。その周りが少しすっきりした。まだ何本かあるので花と香りを楽しむに差し支えない。李の木の下では黄花碇草が咲いている。少し光沢があって淡黄色のシルクのような肌の花である。 不思議な生をつくづくと考える五月の吾 (実野滸人)...
竹箒を買った。広葉樹の中にはこの時期、古い葉が枝を新葉に譲って自ら散るものがある。たとえば金木犀などのように。その落ち葉を掃くために。前のはまだ使えないことはないが、穂がだいぶ短く固くなった。去年も同じ頃に買い換えた記憶がある。だいたい1年ごとに新しくしているのだと思う。さっそく使ってみた。長く細い穂先が柔らかくていい感じだ。私は庭や畑を掃くのが好きだ。畑の一角には大きな株になったラズベリーが立ち...
鮮やかな赤と紫の牡丹も咲く。どうやら今年はこれでおしまい。黄色いのには花は咲かなかった。家人が6日間の旅から帰ってきた。いろいろに楽しめただろうか。これでようやく食事の心配をしなくてすむ。よかった。 「高きに灯をともしましょう」と牡丹が語りかける5月10日 (居山聞涛)...
姫楮に雌雄の花が一緒に咲いている。細い糸状の集まった赤いのが雌花。それは夏にラズベリーのような朱色の実となる。甘味があるが、食べた後に口の中に残滓があるのが気になる。雄花は濃紫色の球状の蕾が割れて、中から黄白色の花と蕊が飛び出す。両方ともに一般的な花びらの形をしていない。この木も近縁の楮と同じく皮が和紙の原料に使われるらしい。それがなぜ家にあるのかよくわからない。邪魔にはならないのでいいが。 ...
ジャーマンアイリス(German iris) ~たっぷりとして~
ジャーマンアイリスも咲く。花びらはたっぷりとして。おおらかで堂々として。華やかで。原産地は欧州。………………。 アイリスのなんと豊かなことラジオからは『花はどこへ行った』の歌が流れて (居山聞涛)...
ギザギザ花びらの白牡丹は御国の曙という品種。膨らむ赤い蕊を朝陽を見立てての名付けだろうか。黄鶺鴒が来て地面を突いていた。何を食べているのだろう。その上の桜には小啄木鳥(コゲラ)も鳴く。 白牡丹咲く庭に黄鶺鴒の来て遊ぶ風さわやかに五月 (奈美あや)...
一人のティータイム。今後の予定をカレンダーに書き込みながら。公募展の搬入は9月21日と。するとお客さん。玄関に出ればご近所の西山さん。南アルプス村という袋を差し出して「主人と行ってきたの」と。そこは私も20年以上も前に訪ねたことがある仙丈ヶ岳の麓の道の駅。袋を開くとクロワッサンが10個。家族はまだ連休中の旅。夕食にした。美味しかった。残りは冷凍に。五月はアヤメ科の季節。イチハツも咲いている。好きな花の一...
衝羽根空木も咲きます。鐘状花の中にはオレンジの網目模様が入ります。やわらかな毛を持って二つずつが寄り添うようにして。花言葉は「長い友情」。老いてもなお、友の存在はうれしいものです。 木の花に生き方問われる五月かな (奈美あや)...
薄紫のクレマチスがあるのは染井吉野の下。“ポンポン咲き金糸梅”の中で、その枝に蔓を絡めて。蕊の形もなかなか美しい。仕事もすべて終えて一息ついていた夕方、旧友から電話があった。特段の用事があったわけでなく、物作りの事や近況報告などを。アヤメ、カキツバタ、イチハツ、そしてヒオウギについても。15分程話しただろうか。「千畳敷にも来れると良いね」と結んで切った。クレマチスの花言葉には「心の美」「精神的な美し...
ニシキギの花は小さい。しかも葉色に近い。だから目立たない。そばを通る人も咲いていることに気がつかない。与えられた錦という名は花にではなく、葉のためのもの。それは秋に鮮やかに紅葉する。その美しい様は楓に並ぶ。植物もそれぞれに輝く部分や時を違えて持つ。...
ブルーベリーの木にたくさんの白い花。膨らむ形は空に浮かぶバルーンのようにも見え。その基部は青紫色。夏の盛りの頃にはこれがみんなその色の実に。今朝起きてメール開けば知人から写生会の誘い。半年ぶりとなる。楽しみに出かけよう。 携帯ラジオで人の動きやイベントの様子を聞きながらつば広帽子を被って剪定作業が私の大型連休 (居山聞涛)...
ケイランサス(ニオイアラセイトウ・匂紫羅欄花) ~「そうだ、髪を切ろう」~
ケイランサスが咲いている。菜の花に似た総状の濃黄色の花で香りがする。交通量が多くなった。県外ナンバーの車が目立つ。何処へも出かけない私。「そうだ、髪を切ろう」理容店に行き、短くカットしてもらった。すっきりした。10年余続いた髭もさっぱり落とした。心の中もこうしてバッサリ切ることができるといいのだが。 高校の同期生に黄綬褒章の知らせある当時よりのその誠実な顔が思い浮かぶ (上武旋転子)...
斜めになった花茎に垂れて並ぶ甘野老。細長の白い花が寄り添って二つずつ。先端だけが少し薄緑に染まり。閉じられたその部分が控え目に開く。葉は笹に似て、その縁辺に白い斑が入り。見ている自分の心と顔が穏やかになっている。 アルバムの中にグローブ構える小学生の私そんな時もあったモノクロのこどもの日 (居山聞涛)...
リナム ペレネ(Linum perenne・宿根亜麻) ~海の色を思わせる青~
海の色を思わせる青い花は“リナム ペレネ”5弁の花は少しの艶を乗せる。去年の株からまた咲いて。「出てきてくれてありがとう」。私は染井吉野の木に登って張り出す長くて太い枝を切った。薔薇やクレマチスなどへの陽の入りが良くなった。「いい仕事してます」と自分を褒める。...
白い牡丹に木漏れの光が届く。一つひとつの花びらは白とグレーのソフトグラデーションとなり。前の花びらは後の花びらの影絵となる。上から覗けばその中にはたくさんの黄色い蕊。麗しさと気高さと優しさと。 白牡丹に昔そういう佇まいの麗女がいたかもしれないとふと春草(しゅんそう)の絵を思い出し (上武旋転子)...
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いろいろな紫陽花が庭を彩る。その中、ベビーピンクの額紫陽花は好みの一つ。丸みを帯びた装飾花のそれは色を変えることなく、その色で始まりその色で終わる。それこそ、眺めていてあきない無垢な頬の色。でも、そばの柏葉紫陽花が大きく広がりすぎ、それに覆われるようにして花数が少なくなった。もっと伸び伸びできる場所に移してやるのがいいかもしれない。花が終わったら考えることにしよう。昨日は豊後梅を漬けた。それはずっ...
背を伸ばした鬼百合に花が咲く。朱色の花びらをくるりと上に反り返らせて。その中には濃赤色の斑点が散りばめられる。花はまだ下の方だけで上は蕾。じゅんばんで。じゅんばんに。奥から伸び出る蕊が小刻みに揺れ動く。りんりんりん。りんりんりん。 長い蕊があるからこそ美しいのだよ百合の花は (郷羽 都)...
家人に頼まれて一緒に近くの商業施設へ行った。常は一人で行くのだが、たくさんの買い物を予定しているようだった。カートを押しながら付いていく。20分ほどで終わった。家に戻り、ドアを開けて荷物を運ぼうとしたときだった。大きな声で郭公が鳴いた。「あっ、カッコウ」どうやら隣の竹村さんの杉の木にいるらしい。家人は素っ気なく「そうね」と言って、あまり興味ないらしく先に家の中に入っていく。「カッコーカッコー」と続け...
7月に行われる展覧会要項が届き、その内容を確認していた。電話が鳴った。Hさんからだった。「また蛍を見に行きたいと思いますが。……」「いつですか?」「今日の夜……」「えっ」先日知人夫婦と一緒に見た彼女、今度は友人と同僚を誘って三人でと。「急ですが、いいですか?」「わかりました。では前と同じ時間に同じ場所で待ち合わせましょう」急いで風呂に入り、夕食の準備を手伝い、早めの食事を済ませる。黒い雲の広がる空模様...
この梅雨の時期、何年も同じ場所で咲くイトバハルシャギク。そこが気に入ってくれているのか、目に映る姿とは違ってとても強い花だ。黄色がそろって、さやさや、さやさや。その中で小さな虫たちが遊んでいる。 夏の風に一緒に揺れながら。台風が近づいているという。大雨をもたらさなければよいのだが。 “弥勒世”という少女の澄んだ歌響く六月の摩文仁は雨 (実野滸人)...
中庭に李、山茶花、金糸梅、雪柳の木々。その下に広がる白、白、白、白……。夏の目に涼を届けてくれているのは十薬。ひらひらの苞の上に棒状に立つたくさんの黄色い花。その一つ一つは愛らしく、「ド・ク・ダ・ミ」という重い響きの名はそぐわない。毎年、この眺める時期が過ぎれば、繁殖を抑えるために少しを残し抜き取る。覆われているその下には片栗があり、鈴蘭があり、一人静があるのだから。 灯りのごと十薬の香の立つ木...
瑞々しい若い色。端境の混ざり合う色。満々の濃い色。そして……。花の色は移りゆく。そんな紫陽花を見て人の一生を思うことがある。 あぢさゐにたくした文今も覚えて (奈美あや)...
家人がどこかから戻ってきた。「枇杷をね、Kさんと、Iさんと、Tさんところへ届けてきたの」「それはよかった。お義姉さんがトウモロコシを3本持ってきてくれたよ。静岡の知人が送ってきてくれたんだって」「じゃあ、夕食にだすね」寺岡薊が咲いている。ティアラのように美しい。一輪だけで寂しくないかと思った。 薊咲いて語らずともそこにある存在 (実野滸人)...
花菖蒲がある。だらりとして。たおやかで。あでやかでもあり。たとえれば着物姿。さて、これから暑くならないうちにイヌツゲを伐る。 あれこれと片付けたいことばかりいくつかの過去もまとめて鋸を持つ (居山聞涛)...
草取りをしていた。目の前の草をひたすらに。少し移動しようと顔を上げた。体が一瞬かたまった。少し先にアオダイショウがいた。長さは80㎝ほどのまだ若い蛇だ。彼が動くのを待つしかない。立ち上がって静かにじっと見る。「おや?」まったく動かない。ずっと同じポーズのままだ。距離を縮めて見る。死んでいた。ダイニングにいた家人に「アオダイショウが死んでいるよ」と声をかけた。サンダルを履いて出てきた。そしてさらりと見...
姫沙羅は庭の西側にある。たくさんの黄色い蕊を持つ白い花は今が盛り。その命は短かい。2~3日でその形のままで次々に木から離れる。落ちて苔の上にある様もなかなか趣あっていい。ついつい角度や視点を変えて目を寄せる。 淡々と腕は六月の日を受けて濃く (居山聞涛)...
梅擬の花が咲いている。それはよく見なければわからないほど小さい。そこは染井吉野の下の木陰。ちょっと気の毒か……。考えた。陰を作っている大きく張りだした太い枝を切ろうと。高い三脚を出す。その最上段に登り、そこから幹に乗り移る。不安定な姿勢でなかなか力がうまく鋸に伝わらない。無理せずにと、とにかく少しずつ引く。ゴシゴシ、ギゴギゴとおよそ20分。切れた。降りてさらに枝を短く細かくする。集めると小さな山となっ...
昨夜は隣の市の知人と蛍を観てきました。一緒の会で、家の近くに蛍の名所があることを話したところ、ぜひ観たいということになりました。彼は40年、観たことがないのだそうです。もう一人の会の仲間の女性も加え、奥様と三人で待ち合わせ場所にやってきました。そこから数分歩いたところの洞が地区の方々がずっと保護してきている生息地です。竹筒を刳り抜いた蝋燭の灯りが道案内です。小さな子どもさんの親子連れなど、大勢の人が...
素朴な佇まいの山紫陽花。昔からの藍の色を集めて。それはいかにも林の中の色。ふと、万葉や平安の人々はそれを見て何を感じ何を思ったのだろうかと。アブが夢中になって。遊んでいる。自分だけの場所と時間にして。 掌にあぢさゐと書いて思ひ出を包む (奈美あや)...
紅額も咲き出しました。装飾花の縁はやわらくギザギザに切れ込む特徴があります。それの今は真っ白です。しばらくはそのままを保ちます。そしてこの先、中の真花が咲きそろう頃になると、紅色に染まっていきます。そんな移ろいを日の流れとともに味わうことのできる花です。ハナアブでしょうか、虫たちが遊びにやってきました。 『白金之独楽』と額の花とそこにある六月の感傷 (実野滸人)...
梅の下に八重十薬。段々に積み重なった白いのは苞。集まる黄色いつぶつぶ。それがが真花。花びらはない。匂う。いかにも薬効ある如くに匂う。嫌いではない。そばを赤蛇(ジムグリ)が抜けていった。 たとえばそれは寄り添うような深い匂い触れて指を離れずどくだみは (郷羽三夜子)...
梅雨晴間の庭。土深く沁み込んだ雨を吸い上げた草木の表情にもうれしさと喜びが見える。そしてこの季節を待っていたかのように多くの花も開く。柏葉紫陽花も、白い花(萼)を円錐状に咲かせている。元から先に向かい何段にもなって。たっぷりの花房はいかにも重く、茎は撓み横向きにあるいは下向きに。広く、あるいは絞って、はたまた拡大と、どうトリミングしてもなかなか魅力ある花である。深い切れ込みのある幅広の葉に特徴があ...
ボールペンを買うために隣の市の文具店に行った。外出用のバッグにいつも手帳とともに携帯しているそれがない。思いつく所を探してみたが出てこない。いつどこで失くしたかまるでわからない。濃緑色の軸で少し重みがあって気に入っていた。ショーケースを見ていると若い女性の店員が声をかける。「何かお探しですか?」「ボールペンを……」すると中のいくつかのに目をやっていて、光沢のある黒いのを取り出した。「こちらはとても書...
それぞれに季節を象徴する花の香りがある。梅雨時の場合、それは栗。特有の強い青臭さは、少し離れていても鼻に飛び込む。今、木を覆う黄白色の花から辺り一面に発せられる。びっしりと猫の尾のように穂状になって長く垂れ下がるのは雄花。その基部にちょこんとある小さな丸い形のが雌花。毎秋たくさんの実を付けてくれるこの木は、若い頃に植えた“丹沢”という大実の品種。少し前にだいぶ枝を切った。今年の実りはどうだろう。遙か...
黄花山法師も開く。ヒラヒラした花びらに見えるのは総苞片。その中に塊となってまとまり咲くのが真の花。蕊も小さいながらちゃんと元気に。ホトトギスが鳴いた。今年初めてきくか。 六月や鳥に秘めた言葉を聞きなして一人 (奈美あや)...
季節感あふれる花たちをどうぞ〜♪ 野の花・・庭の花・・・散歩道に咲く花・・どんな花も可愛いね〜〜=*^-^*=
花や昆虫、鳥や小動物など身近にある自然の写真を撮ったらトラックバックして下さい。ネイチャースナップも歓迎。もちろん風景もOKです。
自宅のガーデニング、植物園の花、季節の花、等々、 「花の写真」 に関するテーマです。 たくさんのトラックバック、お待ちしています。
庭で咲く花も昔から植わっているものや雑草の花、 鳥が種を落としていったもの、友人からいただいた 花たち、園芸店で一目ぼれして買ってしまったもの どれも大切に育てている人。 花の記事をアップしたらトラックバックどうぞ^^
ふと季節を感じた瞬間・・ そんな素敵な彩りをみつけたら・・どうぞ〜♪ 光・・風・・空・・緑・・海・・山・・街・・ 植物・・動物・・ 感じるままに・・
心に感じた風景・花
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