**************** 伊吹と実家に戻ったのが週末。「真崎君はいるかっ」「はぁい」 週明け一番に響き渡った聞き覚えのある声に、京介はやれやれと顔を上げる。「あれ、細田課長、おはようございま
ツンデレ姫と美貌の付き人などの恋愛ファンタジー毎日連載。『アルファポリス』『小説家になろう』参加。
男勝り姫君ユーノと美貌の付き人アシャのハーレクインロマンス的なファンジー小説『ラズーン』毎日連載。『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』は出戻り姫シャルンと腹黒王レダンのラブコメディ、時々連載。
『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』第3話 花咲姫と奔流王 15.光の繭(1)
**************** 「なっ…?」 何が起こった? レダンは戸惑いながら周囲を見回す。 薄黄色の淡い光に包まれて、レダンは柔らかな草原にいる。草原と感じたのは、細く揺れる無数の草のような
『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』第3話 花咲姫と奔流王 14.薄闇の猿ども(4)
**************** 「……よし」 一瞬歯を食い縛り、レダンは立ち上がった。「それなら安心だ」「え?」「シャルンを殺すはずがない、そうだろう?」 そうであってくれと祈りながら、続ける。「
『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』第3話 花咲姫と奔流王 14.薄闇の猿ども(3)
**************** 「!」 遠くで悲鳴が聞こえたような気がして、レダンは鋭く頭を上げた。眉をしかめて耳を澄ませる。だが、それ以上の物音は続かない。「レダン」「…先へ進む」 左手を壁に突
『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』第3話 花咲姫と奔流王 14.薄闇の猿ども(2)
**************** 黒くない。 薄白い。 薄白い小さな人の姿をしたものが、真っ黒な顔に赤い目を細め、牙を剥いた口を黒い両手で覆って体を揺らせて笑っている。 私は国を守ることが出来る
『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』第3話 花咲姫と奔流王 14.薄闇の猿ども(1)
**************** 「った、」 手探りだから用心深く足を運んだつもりだったが、また強く躓いてシャルンは立ち止まった。 足先が痛い。足首も。これで何度躓いたことだろう。真っ暗ならば注意
『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』第3話 花咲姫と奔流王 13.襲撃(2)
**************** 「で?」「で、とは」「これからどうなさるおつもりですか」「どうなさるも何も」 腕組みをしているルッカに問いただされて、ガストは部屋の中で無言でじっと指先に摘んだも
『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』第3話 花咲姫と奔流王 13.襲撃(2)
**************** 「で?」「で、とは」「これからどうなさるおつもりですか」「どうなさるも何も」 腕組みをしているルッカに問いただされて、ガストは部屋の中で無言でじっと指先に摘んだも
『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』第3話 花咲姫と奔流王 13.襲撃(1)
**************** 「地下通路は一本道なんだ」 松明を掲げて先頭を歩むミラルシアに続きながら、サリスは話す。「『海辺の塔』まで長くはあるけれど、迷いようのない一本道」「…なのに、迷宮が
いつもご訪問ありがとうございます。 なかなか連載の続きをかけなくてすみません。 代用で、というのではないのですが、現在アルファポリスで 『ドラゴン・イン・ナ・シティ』(BL)を毎月26日に、『segakiyui
**************** 「『高王』……」「お前が書く限り、俺は偽物だって思い知らされる……こんなに頑張ってるのに……こんなに必死に……小説を書いてるのに……」「………済まん」 俺は謝った。「……だが……俺
**************** 「……」 多分、10分はたったと思う。「…石路技さん」 開いたドアの彼方を見たまま、呆然と立ち竦んでいる相手に声をかけてみた。「あの…済まないけど」 のろのろと相手が振
1930000ヒット、ありがとうございました! 『猫たちの時間+(プラス)』11.さらば友よ(1)
**************** 何だ、こいつら? 夜の『いしろぎリネンサプライ』の事務室で、パイプ椅子に作業服を着たまま縛り付けられた滝は、頭の中に疑問符を溢れさせながら、目の前の男2人に目をや
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**************** 伊吹と実家に戻ったのが週末。「真崎君はいるかっ」「はぁい」 週明け一番に響き渡った聞き覚えのある声に、京介はやれやれと顔を上げる。「あれ、細田課長、おはようございま
**************** 「圭吾!」 走りながら、上がりそうな息で必死に叫ぶ。周囲を見回して、胸の底でずっと忘れなかった後ろ姿を探す。「圭吾!」 美並の声が響くのに、会社のホールを通る人々が
**************** 「ふぅん」 真崎が目を細めて振り向く。「そうなんだ?」「あの、ずっと前のことです、それに」「今でも好きなんだ」「はい…?」 もう一度繰り返されて、ようやく一連の会話
**************** 「あの、今なんて?」「……聞こえなかったならいいよ」 真崎はむつっとした顔で呟き、また窓の外をじっと見ている。「どうせ、僕とは違うタイプだし」「……はい……??」 またわ
**************** 「何…っ」 いつの間に戻ってきたのか、声に真崎が身を引いた。「す、すみません」「課長、おかしなことしないでくださいよ」 石塚が睨む。「おかしなことなんかしていないよ、
**************** 新年一週間たって、ようやく美並の気持ちが決まった。 大石となら頑張っていけるかもしれない、温かな笑顔を思い出しながら、そう思った。 年末から連絡はずっとなかったけれ
**************** それが、週末、のこと。「手、動いてないわよ」「あ、はい」 石塚に指摘されて、美並は慌てて資料を捲った。 真崎に耳元で囁かれてぼうっとしていたのかと思われるのは恥ずか
**************** 「やあ、おはよう」「……お、はようございます」 翌朝、大あくびをしていたところをまともに大輔に見られて、美並は引きつった。 夕べの衝撃的な真崎の告白がまだ頭に残っている
**************** 旅先で、夜中に入ってきた真崎はまっすぐ美並の枕元にやってきた。「……伊吹さん」 何かをしかけてくるようなら、力の限り抵抗してやる。 布団の中でこぶしを握り締めていた
**************** 夜中にまた夢を見た。 押し倒されて首を押さえられる。息ができなくてもがいたとたん、目が覚めた。「は…っ…はっ」 喘ぎながら汗に塗れて目を開けると、見上げたすぐ目の前
**************** 意外な応えが返って目を見開くと、生真面目な顔で尋ねられた。「イブキは誰の猫なんですか?」 いぶき、は誰のものなんですか。 一瞬そう聞こえて、ことばにならなかった。
**************** 近付いてくる唇を拒めなかった。 伸び上がって吸いついてくるべったり濡れたそれは強い化粧品の匂いがして、押し倒されてのしかかられて、ぼんやり見上げていたら繰り返し吸
**************** 一瞬伊吹が来てくれたのかな、と無邪気に思って苦笑する。「京ちゃん?」 ああ、あんたか。 なるほど、そういや来てくれとか言ってたよね、すっかり忘れてたよ。 一人ごち
**************** 苦しくて、眠れない。 京介は唇をきつく噛み締めて目を閉じる。 布団に必死に潜り込んで、大丈夫だ、大輔はいない、と言い聞かせるのに、身体が納得してくれない。 ずっと
**************** 何だろう。 何だろう。 更けていく夜に美並はずっと考えている。 何かどこかが妙な感じだ。 真崎の話で行くと、真崎と前後してここから離れた孝はかなり荒れた生活をしてい
**************** 「う~」 頭、痛ー。 眉をしかめる美並の手を引いて、ゆっくり山道を降りながら、真崎は不安そうな顔で覗き込んでくる。「見えるって大変なんだね」 あんなになっちゃうなん
**************** 抱きたいな。 もう、ほんとに駄目だ、伊吹が抱きたい。 けれど。「う~……頭……いたー」 足下をふらつかせながら歩いている伊吹の手を引きながら京介は振り向く。 伊吹の顔
**************** もがいたり逃げたりするかと思っていた伊吹は、抱き竦めても動かなかった。 動けない、ということではない。余分なところに力が入っていない。自分の意志で動こうとしていな
**************** 「………だから見せに来たんですか」「え?」「大輔さんと恵子さんに」「……」 黙り込んだ真崎に、やっぱり、と思った。 ただのイブキの墓参りなら、まっすぐここへ来ればいいだ
**************** 残念ながら、移動先での一休みと食事にはありつけなかった。 周囲を警戒しながら進んでいたはずだが、燃え続けて収まる気配のない『氷の双宮』に皆が気を取られた一瞬、「敵
**************** 何を考えているのか。「私が聞きたいところだ」 冷ややかに嗤いながら、リヒャルティを置き去りに、セシ公は自室から持ち出した紫の布包みを手に、パディスへ馬を走らせ