物語イタリアの歴史Ⅱは編年体で歴史を追うというよりも、時代の有名な人にフォーカスを当てて、時代全体を映すという書き方で、塩野七生のローマ人の物語のような物語形式になっています。これは著者が大学教授ではありますが、歴史学者ではなく歴史文学者であることによります。読む方は肩が凝らずに楽しいです。【6月14日】
最新宇宙論を楽しく読みました。超弦理論が必然的に生み出される多元宇宙(マルチバース)、素粒子の性質や質量の違い、真空のエネルギーの違いで無数の宇宙(泡宇宙)が生まれ、消え、あるいは存続し、ひょっとしたらこの地球と同じものがあって、ヒトもいるかもしれない。でもそれらの宇宙と接触することは不可能。SFではなんらかの都合で接触し向こうの生命体とコンタクトを取ることがあるのかもしれませんが。そして三角形の内角の和が180°であるかどうか。机の上ではそれは当たり前のことですが、広大な宇宙の中で3辺を取ったとき、果たしてそうか。これを曲率というのだそうですが、これが180°よりも小さい(負の曲率)であれば泡宇宙の存在に一歩近づき、大きかったら(正の曲率)多元宇宙論はそこで終わりを告げるそうです。いま観測が続けられてい...【5月31日】
昨日に引き続き多元宇宙論集中講義を読んでいます。マルチバースの考え方によれば、無数にある宇宙のたまたま一つが「我々の宇宙」だったということになるそうです。無数の宇宙は物理定数や素粒子のあり方がそれぞれ違っていてもいいそうで、そういう宇宙では知的生命が存在しないこともあるし、あるいはもう一人の自分が無数に存在することもありうるということです。でもそういう宇宙と「我々の宇宙」が干渉しあうことは絶対に無いそうです。【5月30日】
久し振りに宇宙論の本を読んでいます。カリフォルニア大学バークレー校で教授をしている野村泰樹さんの多元宇宙論集中講義で、扶桑社新書というあまりこの手の本では有名でない新書です。多元宇宙論というのはマルチバースということで、我々の住んでいる宇宙は数限りない宇宙の中の一つであるという考え方です。宇宙は10の500乗(!!!!!)以上はあるとされていて、無限ではないですが無限のようなものです。【5月29日】
愛犬(7月で10歳)の心臓の調子が悪くて、このところ獣医巡りをしています。どうも心臓腫瘍(珍しい)のようで、先は長くないようです。この年の夏は悲しみの夏になるかもしれません。3回目のペットロスになりそうです。今日は獣医に時間がかかって本は読んでいません。【5月28日】
dマガジンで山と渓谷6月号を読みました。毎年のことながらこの時季はアルプスのルート案内が特集です。今年もアルプスを登ろうと思っているので参考に楽しく読んでいました。【5月27日】
容疑者Xの献身を読了。冒頭に出てきた殺人事件を湯川准教授と草薙刑事がどう解くか、大学の同期生でお互いに才能を認め合った湯川と石神との友情、石神の靖子に対する愛情は一途に終わるのか、などの伏線を絡めて終局は向かいました。冒頭の「結果」がただの結果ではなかったというのがこの作品を最後まで読ませる力となっています。2005年の作品ですが、ネットとか時流のものを使っていないので、背景の古さを感じさせないですね。今更映画ででも見ようかと思いましたが300円かかります。「容疑者Xの献身」東野圭吾文春文庫電子版【5月26日】
容疑者Xの献身は今日は1章読んだだけでした。東野圭吾の産んだ探偵役の天才物理学者湯川と刑事草薙と事件との絡みですが、この話は倒叙推理というタイプのミステリです。最初に事件が起きて犯人が特定されます。これを湯川と草薙がどう暴いていくのかというもので、刑事コロンボが倒叙ミステリでした。容疑者Xの献身は殺人を犯した犯人を恋心から手助けする天才数学者の男が湯川と大学の同期でこの関係の動きがストーリーになっています。【5月25日】
東野圭吾は当代随一のミステリ作家で作品もファンも多いですが、自分は読んだことはないのです。金田一耕助を読んでいる過程で、東野圭吾の容疑者Xの献身が日本のミステリ史上の最高傑作である(直木賞、ミステリ大賞など5冠を取得)とあるのを知って、読むことを決意。ファンからすれば今更でしょうが、今日から読み始めました。今日は半分近く、9章まで進みました。【5月24日】
今日はなんだかんだと活字に触れる機会がなくお休みです。【5月23日】
奥武蔵の外れというか外秩父というのか天文台のある堂平山周辺を歩いてきました。電車に乗って行きましたが、電車で山に行くと3時間の乗車が必要で読書となります。先月の山行で読み始めた小松左京の短篇集は1/3読んだのですが、引き続いて今日は2/3まで読み進めました。次の電車での山行で残りを読みましょう。【5月22日】
ヘミングウェイ全短編2を読み終えました。勝者に報酬はないでは14の短編が、その他3編の短編で構成されています。最後に有名なキリマンジャロの雪が載っています。これらの短編は1930年代のもので、フロリダのキー・ウェストに居を構えていた時代です。作品自体にケチをつけるのではないのですが、キリマンジャロの雪とフランシス・マカンバーの短い幸福な生涯は昔欧米人の間で流行っていたアフリカでの猛獣狩り(サファリ)が舞台です。野牛やライオンを撃ち殺して皮を剥ぐというのを楽しむもので、現代から見れば許されざる蛮行です(今でもやっている連中がいるらしい)。ヘミングウェイを楽しむというより、この頃の欧米人の神経にいささか腹を立てたりして読みました。ニコラス・アダムズが登場する作品はヘミングウェイの分身だそうです。そのニックが登...【5月21日】
ビックコミックオリジナルを読みました。漫画ではない連載があって、アメリカ大統領選を10倍面白く読む!と和食の喪失という両方とも2Pの読み物です。前者は大統領選の裏側とか、アメリカ社会の仕組みがよく理解できます。後者は今号はアサリの話で、アサリは東京湾では小石のように普通の貝だったそうです。戦前は東京湾だけで毎年数万トンが穫れていたのですが、近年は年によっては100トンを切るそうで、全国合わせてもせいぜい4千トンだそうです。そんなかよと唖然です。中国、朝鮮、フィリピンなどの輸入ものを我々は食べています。アサリのバター蒸しは極上なのだけど・・・。【5月20日】
初夏の鳥、ホトトギスがやってきました。今日もヘミングウェイ。死者の博物誌、ワイオミングのワインの2編です。死者の博物誌は戦場の負傷者と死者をめぐる軍医と将校の話。ワイオミング・・はフランスからワインとビール作りの移住者家族と狩猟でバカンス中の主人公との一時の触れ合いの話です。【5月19日】
午前は蕎麦を打ち、午後は家人が熱を出したのでそのつけで忙しく本を読む暇なしでした。【5月18日】
今日もヘミングウェイですが、今読んでいる文庫本は買ってから読まないまま積読ならぬ立て読なのではないかと思われます。読んだ短篇に記憶のあるものがほとんどないのですね。新潮文庫ですが、ヘミングウェイ全短篇2というもので1もあるのですが、こちらも読んだかどうか。今日は4編読みました。【5月17日】
今日はヘミングウェイ短編集から2編、「神よ、男たちを楽しく憩わしめたまえ」「海の変化」です。神よ・・は毎日性的な思いが断ち切れない少年が自ら陰茎を切断してしまう話、海の・・は酒場での男と女の別れ話です。【5月16日】
今日は朝から夜までディズニーランドにいて、活字とは無縁でした。午前は外人さんが目立つなと思っていましたが、午後は修学旅行生がどっと埋め尽くしている感じでした。【5月15日】
なんとなく読みたくなって、本棚にあるヘミングウェイ短編集に取り掛かっています。今日は3編、「嵐のあとで」「清潔で、とても明るいところ」「世の光」です。いつこの短編集を読んだか覚えていませんが前世紀のことだと思えます。【5月14日】
織田信長が歴史の中心に登場するようになると、戦は大名同士の戦いとなりますが、戦国大名が形成されていく初期は、室町守護職や国衆が割拠していて、歴史地図を見るような広大な領土はいきなりは登場しません。今川氏も伊勢氏が今日からやってきて御一門になって領土を広げていきます。それは国衆をいかに味方につけるかの戦いが続くのですが、伊勢氏(北条氏)も伊豆国を堀越公方から奪って戦国大名化してから、旧来勢力である山内上杉氏、扇谷上杉氏との抗争を続ける中では国衆との戦が続きます。伊勢宗瑞が亡くなって氏綱の代になって北条氏と改名します。それは管領上杉氏からみるとよそ者が武蔵を支配していると揶揄するのに対抗してのことです。そういう過程を読んでいくこの本は愉快でした。「今川氏親と伊勢宗瑞」黒田基樹平凡社中世から近世シリーズ【5月13日】
今日も今川氏親と伊勢宗瑞でありました。いやあこの本、面白いですよ。ちょっと歴史マニアック向けなところがありますが、小説のような情緒はなく、わかっている史実に基づいたものなので、信頼も置けます。【5月12日】
今川氏親と伊勢宗瑞に復帰です。氏親と宗瑞は17歳違いで叔父と甥の関係です。氏親の母親は宗瑞の姉にあたります。伊勢氏は京都武士で地方の武士とは違って、公家との交流もあり、幕府将軍にも近いので教養もありました。また、今川氏そのものも足利氏の庶流にあたります。ですから家格は結構高いのです。氏親の結婚相手は戦国大名の娘ではなく、中流公家(大納言までなれる)の娘でした。氏親の四男で今川氏を強勢にした義元は、京文化にハマった公家大名だと陰口を叩かれたりしましたが、けっしてそんなことはありませんでしたね。【5月11日】
昨日は半分まで読んだNewton6月号の残りを読みました。猛毒のサイエンスと銀河百景が楽しかったです。猛毒は人体に対して正反対の効果をするものがあって、それを一度に服用するとどうなるのかという疑問があります。1986年にこの二つの毒(トリカブトの毒とフグの毒)を悪用した殺人事件があったそうです。保険金詐欺なのですが、結婚したての妻に仕掛けて急性心不全で死んだかのようにしたのです。この夫はこの妻の前に2人の妻に保険金詐欺を仕掛けていたことがわかりました。一つの毒はもう一つの毒の作用を抑えますが、その毒の作用は先に切れるため後からもう一つの毒の作用があって、あたかも自然死のように見えるのだそうですが、今回はばれたのです。そんな怪事件が日本にあったとは。【5月10日】
久しぶりにNewtonを買いました。6月号の特集は地球大解剖ということで宇宙以上にわかっていない地球内部の最新事情です。そしてもう一つの特集が科学と倫理の交差点ということで、iPS細胞を使って同性カップルから子どもを作ることが許されるか、生れてくる子どもの遺伝子を改変することは許されるか、薬などを使って(反社会的・暴力的な人を)”道徳的”な人間にすることは許されるかなどろいう生命倫理の話です。なかなか難しい問題です。それよりも昨今話題なのは「LAWS(自律型致死兵器システム)」でAIのロボット兵器が人類を滅ぼすという話、こちらの方がはるかに怖いです。【5月9日】
今日も今川氏親と伊勢宗瑞を読んでいました。伊勢宗瑞は室町幕府の奉公衆でしたが、甥の今川氏親(元服前の名は竜王丸)の駿河統一を手助けするため駿河に下向します。そして、それをきっかけに伊豆に自分の領地を拡大していくこととなります。竜王丸は西に向かって遠江の攻略を開始します。竜王丸の元服は23歳で、何故かはわかりませんが当時の普通の15歳からすればだいぶ遅い元服でした。この辺りは実際もっと合戦とかが絡んでいて読んでいてこんなことが起こっていたのかと初めて知りました。東海の覇者と言われた今川義元の父親の代の話ですが、今川家、北条家が戦国大名として拡大していく様は面白いです。【5月8日】
戦国時代の歴史地図を見ると、東海道には今川氏、関東は北条氏、甲斐信濃は武田氏が領土を持って描かれています。そのちょっと前はどうだったか。今川氏は義元が有名ですが父の氏親が戦国大名としての領土を確定しました。そして北条氏、これは鎌倉北条氏とは全く別の北条氏ですが、今川氏から出た伊勢宗瑞が関東を獲得し、伊勢氏では受けが悪いので北条氏に改名しました。北条と今川は親戚筋にあたるので、平穏に領土を認め合っていました。伊勢宗瑞は北条早雲と改名して、戦国時代を代表する人となりましたね。自分の力で伊豆から相模、武蔵を獲得しました。そんないきさつを書いた本はなかなかなくて、ちょっと真面目な本である今川氏親と伊勢宗瑞という本を買って読んでいます。これは先日読んだ「徳川家康と今川氏真」を読みながら知りたくなって買った本です。【5月7日】
ビックコミックオリジナルを読みました。久しぶりに昭和天皇物語が載っていて、これが最近のお気に入りです。いよいよ開戦直前です。結果を知っている人間が当時の判断をああだこうだと言うのは簡単ですが、(本当に漫画のセリフのように話したかは別として)当時の軍人は秀才だったくせに近視眼過ぎたなあと思いますね。アメリカの思う壺にハマるという感覚は無かったのでしょうかね。そのアメリカもソ連の思う壺で動いたわけですが。【5月6日】
今日はお出かけをしたので活字は無しでした。【5月5日】
幽霊男を1日で一気読み。雑誌連載は1954年。西荻窪などは少し歩くと雑木林で人気が無いとあります。70年前、隔世の感ありありです。怪しげなヌードスタジオを舞台に、そこのモデルが殺されていきます。理由は何か。半分くらいまでは全くわかりません。そして金田一耕助が登場しますが、ホテルのボーイ姿です。袴以外での登場は珍しいと思います。その金田一は犯人に次々と裏をかかれ、畜生!の連発です。後半に登場人物が増え、犯人がわかりにくくなっていきます。もちろん、策士溺れるという格言を金田一が見事に証明して見せますが。これで昨秋から読み続けてきた金田一耕助もおおむね読み終えたと思うのですが、何分図書館に行っても横溝正史のコーナーは異様に小さくて、自分の地方図書館には数冊しかないありさまで、それというのも、角川でも電子版でしか...【5月4日】
三つ首塔を読みました。(昭和30年で)100億円の遺産相続をめぐって(現代なら5千億円という話かも)、相続対象者の争奪戦が始まります。殺人により一人一人相続者が減り、最後は三つ首塔で相続の秘密と謎が明らかにされますが、最後の最後は八ツ墓村のような地中での攻防になります。こうした流れをヒロインの手記という形で述べられていて、金田一はかなり最初から登場しますが、伏線のような立場です。ヒロインに付きまとう男の謎もこの話の大事なところです。彼はヒロインに対して是なのか非なのか。「三つ首塔」横溝正史角川e文庫【5月3日】
夜光怪人のあと短篇2篇が入っていますが、これはそれぞれ数分で読めるもので、まさに少年少女向けのものでした。両方とも金田一耕助は登場せず、1篇は等々力警部が、1篇は自称小説家が登場します。昔は少年少女向け雑誌が多く出版されていましたが、今は絶滅してこの手の小説も同時に絶滅しましたね。スマホで片手で読めるネット小説が世の主流のようで、淋しくもあります。「夜光怪人」横溝正史角川e文庫【5月2日】
金田一耕助を読み続けていますが、次はジュブナイルです。昭和24年に連載された夜光怪人を読みました。ピストルがどんどん登場して撃ち合いになります。特に最後はあの獄門島が登場してそこで武装警官と海賊と夜光怪人一味とでドンパチがくり広げられます。ここはアメリカかと思う感じ。もともとは由利先生ものだったのを金田一に書き換えたものだそうです。その金田一は半ばから登場し、最初は犯人の推理を間違えたりします。獄門島で本領発揮となります。昭和24年頃の東京の様子が偲べて面白いです。【5月1日】
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物語イタリアの歴史Ⅱは編年体で歴史を追うというよりも、時代の有名な人にフォーカスを当てて、時代全体を映すという書き方で、塩野七生のローマ人の物語のような物語形式になっています。これは著者が大学教授ではありますが、歴史学者ではなく歴史文学者であることによります。読む方は肩が凝らずに楽しいです。【6月14日】
イタリアにいつか行くためにイタリア語も学びたいと思いますが、歴史も学んでおこうと思って新書を2冊手にしました。藤沢道郎先生の物語イタリアの歴史とそのⅡです。Ⅱの方が本が新しいので(両方とも古本で入手)活字と行間が大きいので読みやすく、こちらから読み始めました。ローマ帝国五賢帝のハドリアヌスとカトリック教会で二人しかいない大教皇の名を有するグレゴリウス一世の2章を読みました。【6月13日】
dマガジンで時空旅人7月号を読んでいました。空海と真言宗の特集で、平安仏教で天台宗の最澄と並ぶ巨人です。個人的には最澄よりも空海の方が好きですね。最澄は比叡山に籠っていたのか、日本列島での逸話がありません。でも空海はここかしこに足跡のような伝説を残しています。多くは杖をトンと突くとそこから泉がでたとかいうものです。また真言密教の本尊は曼荼羅でそれも面白いです。【6月12日】
林芙美子の渡欧は11月から5月までと冬が中心になりました。なので欧州独特の暗い冬を経験したわけです。1か月ほど倫敦にも滞在しましたが、夏目漱石と同じように鬱気味になってしまったのは、霧とこの日照時間にあるのではとも思います。すっかり日本が恋しくなってしまいました。欧州が輝きを取り戻す5月半ばにマルセイユから今度は船でスエズ運河経由、帰国の途に就きます。その後は樺太・道東を旅したり、伊豆の温泉に行ったりしました。樺太の様子はなかなか知ることがないので、この紀行文はとてもためになりました。「下駄で歩いた巴里」林芙美子岩波文庫【6月11日】
巴里に着いた林芙美子は8ヶ月ほど滞在します。フランス語は日本で少しかじりましたが、片言の域を越えることはなく、でもなんとかフランス人とコミュニーケーションは取っていたようです。すでに作家として名を成していたので、日本人とも広く付き合えたというのもありました。3回アパートを変えたのですが、日々食事は手製で、フランスパンをかじり、鰯を食べていたようです。そして下駄の歯音を鳴らしながらモンマルトルなどを散歩していました。【6月10日】
林芙美子は昭和9年11月巴里に向かいます。10日に下関を出て釜山に着き、朝鮮半島を縦断して満州鉄道から13日にシベリア(西比利亜)鉄道に入ります。モスクワに20日の夜着。三等寝台では色々な露西亜人に会います。すでにロシアではなくソ連になっていましたが、三等車に集う人は貧し気なプロレタリアートで、共産主義といいながらすでに貧富と階級があったことを看破しています。そしてワルシャワ、ベルリンを経由して23日夜明けに巴里到着です。二週間ほどの汽車の旅でした。約400円かかったといい、現在に換算すると100万円です。現代ではビジネスクラスに乗ってもお釣りが来ますね。よくそんな大金を見た目17歳(とみられていた)の女性が一人、トランクを下げて旅行できたものです。稼いだ印税で家を買うよりも旅に出るという主義で、あちこち...【6月9日】
今日も林芙美子の紀行集です。文庫の前半は海外もの、後半は国内ものにまとめられていて、海外ものを読んでから後ろを開いて国内ものを読むという感じで5編ほど読みました、国内編は下田港、奈良、京都、大阪で海外は満州(哈爾浜ハルビン)です。昭和の初めの頃の話ですが、紀行ものとしてとても楽しく読めます。【6月8日】
林芙美子の紀行集下駄で歩いた巴里から北京紀行と私の東京地図をパラパラと読んでいました。林芙美子が30歳前後の頃、アジアも欧州も大戦の風雲急を告げる頃、女一人、ボストンバッグと帰りの旅費無しで旅に出るという大胆なことをしました。北京を大変気に入って20日も滞在し、ふらふらと歩き回りました。アヘン、ヘロインの香る前門街の夜を歩くなんて、現代でもできない技ですね。【6月7日】
コンスタンティノープルの陥落を残り半分、一気に読みました。再読のつもりで読み始めましたが、読んだ記憶が無いのですな。積読のまま本棚にしまったのでしょうか。こういう攻城戦というのは古今東西を問わず籠城する側と攻める側の人間模様が面白いです。特にコンスタンティノープルは東ローマ帝国の首都ということで、西欧人にとって特別な思い入れがある場所であり、正教会の本山でるためカトリックとは何回も公会議をもって合同を模索してきましたが、ついにかなわずということになりました。コンスタンティヌス帝の皇女がロシア公国に嫁いで、ロシアはローマ帝国の継承者と名乗りましたが、西欧は歯牙にもかけなかったようです。そもそもロシアは欧州ではないですからねえ。この物語は生き残ったベネチア人、ジェノバ人、ローマ枢機卿などが後に残した回想記を丹...【6月6日】
ビックコミックオリジナルの日です。この頃は雑誌はコンビニですね。そのコンビニの雑誌置き場も三分の一が成人ものだったりして、雑誌の減少は肌で感じますね。セシルの女王が面白いですが、黄昏流星群も面白い展開になってきました。【6月5日】
本棚にある塩野七生の作品、コンスタンティノープルの陥落を100P程進めました。1100年間にわたって東ローマ帝国(ビザンチン帝国)の首都であったコンスタンティノープルはトルコに攻め落とされる頃にはほとんど都市国家になってしまっていました。攻め落とされた後は現在イスタンブールとなりトルコ最大の都市(欧州でも最大)となっています。世界史地図帳を眺めていた(高校)時代は東ローマ帝国が年代が下るにつれて、どんどん小さくなっていくのを見て不思議な思いで見ていましたね。【6月4日】
一泊旅行の二日目。ホテルを出てからアウトレットに行ってそこを周回し、昼飯はハワイ飯を食べて帰ってきたら一日が終わりました。ということで今日も活字はなし。【6月3日】
今日は家族で一泊旅行にでまして、アクアラインの見えるSPAホテルだったので水遊びしたりで活字は無しでした。【6月2日】
ローマが好きで一度は行きたいのですがまだ行けていません。円安になったので航空券もホテルも高くなって敷居が上がっています。でも必ず死ぬまでに一度はと思っています。なぜそんなにローマに惹かれるのかというと、やはり古代ローマ帝国に惹かれているからでしょう。塩野七生のローマ人の物語の影響も大きいです。そのローマは東西分裂をしてから東ローマ帝国が生き残り、やがてビザンチン帝国と名を変えましたが、1000年以上に渡って生き長らえました。本棚にある塩野七生のコンスタンティノーブルの陥落を読んでいます。ローマ人の物語の完結と言うことです。【6月1日】
最新宇宙論を楽しく読みました。超弦理論が必然的に生み出される多元宇宙(マルチバース)、素粒子の性質や質量の違い、真空のエネルギーの違いで無数の宇宙(泡宇宙)が生まれ、消え、あるいは存続し、ひょっとしたらこの地球と同じものがあって、ヒトもいるかもしれない。でもそれらの宇宙と接触することは不可能。SFではなんらかの都合で接触し向こうの生命体とコンタクトを取ることがあるのかもしれませんが。そして三角形の内角の和が180°であるかどうか。机の上ではそれは当たり前のことですが、広大な宇宙の中で3辺を取ったとき、果たしてそうか。これを曲率というのだそうですが、これが180°よりも小さい(負の曲率)であれば泡宇宙の存在に一歩近づき、大きかったら(正の曲率)多元宇宙論はそこで終わりを告げるそうです。いま観測が続けられてい...【5月31日】
昨日に引き続き多元宇宙論集中講義を読んでいます。マルチバースの考え方によれば、無数にある宇宙のたまたま一つが「我々の宇宙」だったということになるそうです。無数の宇宙は物理定数や素粒子のあり方がそれぞれ違っていてもいいそうで、そういう宇宙では知的生命が存在しないこともあるし、あるいはもう一人の自分が無数に存在することもありうるということです。でもそういう宇宙と「我々の宇宙」が干渉しあうことは絶対に無いそうです。【5月30日】
久し振りに宇宙論の本を読んでいます。カリフォルニア大学バークレー校で教授をしている野村泰樹さんの多元宇宙論集中講義で、扶桑社新書というあまりこの手の本では有名でない新書です。多元宇宙論というのはマルチバースということで、我々の住んでいる宇宙は数限りない宇宙の中の一つであるという考え方です。宇宙は10の500乗(!!!!!)以上はあるとされていて、無限ではないですが無限のようなものです。【5月29日】
愛犬(7月で10歳)の心臓の調子が悪くて、このところ獣医巡りをしています。どうも心臓腫瘍(珍しい)のようで、先は長くないようです。この年の夏は悲しみの夏になるかもしれません。3回目のペットロスになりそうです。今日は獣医に時間がかかって本は読んでいません。【5月28日】
dマガジンで山と渓谷6月号を読みました。毎年のことながらこの時季はアルプスのルート案内が特集です。今年もアルプスを登ろうと思っているので参考に楽しく読んでいました。【5月27日】
容疑者Xの献身を読了。冒頭に出てきた殺人事件を湯川准教授と草薙刑事がどう解くか、大学の同期生でお互いに才能を認め合った湯川と石神との友情、石神の靖子に対する愛情は一途に終わるのか、などの伏線を絡めて終局は向かいました。冒頭の「結果」がただの結果ではなかったというのがこの作品を最後まで読ませる力となっています。2005年の作品ですが、ネットとか時流のものを使っていないので、背景の古さを感じさせないですね。今更映画ででも見ようかと思いましたが300円かかります。「容疑者Xの献身」東野圭吾文春文庫電子版【5月26日】
引き続き古典と日本人を読んでいます。へえとわかったのは、私たちの多くは、和歌とは自由に詠むものと思っていますが、実際はそうではないのだそうです。題詠・本歌取りを枠組みとしていて、特に藤原定家は先行する和歌の表現を少しだけ変える表現でいいということを主導しました。和歌を詠む人が定家並みのレベルなら別ですが、やむを得ず詠む人も多かったのであり、和歌詠作の易化に繋がったことは間違いないそうです。月並みの和歌と呼ばれる和歌が大量生産されることになったとのこと。まあそうですね。現代だって誰もがオリジナルに作詞作曲できるわけではない。中世の人も純粋にオリジナルな和歌を誰もが詠えたわけではなかったのです。【6月15日】
高校時代に苦手だったものは、化学の他に古文(古典)がありましたね。化学は今更こつこつ一般書を読んでいますが、古典は昔から読みたいもののどうしてもあの下二段活用とか助動詞の意味とかが相変わらずネックになっていて、何を読んでも進みませんね。源氏物語は与謝野晶子の現代訳でかろうじて読みましたが、徒然草にしても伊勢物語にしても現代語対訳式でないとだめですね。そもそもなぜ古文を学ぶのか。日本人の残してきた知性に触れたいためなのですが、古典と日本人という新書がこの辺りを明かしてくれているので読んでいます。【6月13日】
古い書物ならなんでも古典かというとそうではなさそうです。古典として成立するには注釈本があることが条件だそうです。源氏物語、古今集、伊勢物語、和漢朗詠集が最も古くに注釈された4大タイトルだそうです。こういうのは西洋東洋を問わず決まったことだそうです。【6月14日】
dマガジンで先週の週刊ダイアモンドと週刊東洋経済の2誌を読みました。ダイアモンドは医学部と医者の話で、かつては白い巨塔と言われ、医局には絶対王権のようなヒエラルキーが存在したのですが、研修医制度、専門医制度などで医局離れが続き、現在はどうなのかという話です。東洋経済は寺の檀家離れが進み、またコロナ禍で家族葬など宗教を介さない葬儀が進むようになり、寺の存在が希薄になって来ているという話です。今の医局って臨床に出してはいけない、つまり能力が著しく低い中高年以上の医師を囲っておく懐の深さがあるそうです。そういう医者はひたすら患者へのアナムネ(病気の経過や状況の聴取)をさせて、命に関わる医療行為は絶対にさせないのだそうです。そういう医師が開業したりどこかの病院の医師に収まっていたら怖いですな。【6月12日】
周期表の本読んだばかりで、化学の読みかけ本を読みました。教養の化学です。まだ三分の一くらい残っています。一般向けの化学のいい教科書だと思いますね。【6月11日】
周期表の本に戻りました。著者は現在は医者が家業なので、ナトリウムとカリウムによる神経と筋肉の動きについて説明があり、なぜ塩分(食塩としてのナトリウム)を取り過ぎてしまうのかなどを優しく説明してくれます。なるほどと思いました。同時にカリウムを取ればいいのですが、腎臓の悪い人はそれはできないので、健康な人は海藻類をいっぱい食べてカリウムを採ると、ナトリウムを排出する手助けになるのだそうです。【6月9日】
宇宙創成のビッグバンで水素とヘリウムとリチウムができましたが、その後の元素は恒星の内部で作られ、超新星爆発で宇宙にばらまかれ、その時に重金属が生成され一緒にばらまかれました。周期表には118の元素がありますが、自然界に存在するのは約90。さらに原子番号30番の亜鉛くらいまでの元素が人体に必要な元素(全部ではありませんが)ということで、宇宙に豊富な元素で生物は作られたということになります。周期表は慣れると面白いものだなあと思いましたが、以前読んだブルーバックス元素118の新知識が第二版になっているのでぜひ買おうかなと思っています。「元素周期表で世界はすべて読み解ける」吉田たかよし光文社新書電子版【6月10日】
自治会で防災セミナーをやるのでその必要上以前読んだ巨大地震はなぜ連鎖するのかを一気に再読。最近は色々とネットや文献を当たっているので、この本を初回に読んだ時よりも書いてあることがすんなりと理解できました。新書ですからそもそもそんなに難しくはないです。これから気を付けなくてはいけないのは、関東の人は首都直下地震、東北の人は東日本大震災に関連するアウターライズ地震、西日本の人は南海トラフ地震とそれが起こる前に西日本全域で起きる内陸型の地震です。日本はどこに住んでいても地震から逃れることはできません。起きることはしょうがないので、どう生き抜くか、どう復活するか、最善の手立てを考えなくてはいけません。【6月8日】
周期表の本に戻りました。著者の吉田たかよしは変わった履歴の持ち主で、東大で量子化学を専攻して周期表の不思議に埋没します。そうかと思えば経済学を学び、国家公務員試験1種に2年続けて合格。しかしNHKに入局しアナウンサーになります。退職後元自民党幹事長の加藤紘一の公設秘書になり、神奈川から衆議院選挙に出るものの落選。北里大学に学士入学して医者になります。今は受験生用の心療内科の病院を東大赤門の前で開業しています。いろいろなことをしてきたものの、周期表愛はなくならず、世界中の周期表を集めているそうです。Wikiによると、同僚だった池上彰に、情報よりも前に自分が出ていると言われたそうです。ある意味目立ちたがり屋なのですね。【6月7日】
周期表というものがあります。この世に存在する元素とその関連性を表にしたものです。高校化学教科書の表表紙か裏表紙の内側にありました。そんなもの蹴とばしていましたが、宇宙論から量子の世界覗いていると、化学が近づいてきて周期表を無視するわけにはいかなくなってきました。かといって、化学を1から勉強し直すというのも難しいのですが、最近はいい本もあって(YouTubeしかり)、やり直しが効くようになってきました。元素周期表で世界はすべて読み解けるを買ってきました。【6月5日】
ビックコミックオリジナルを読んでいました。この雑誌は今年で発刊50周年だそうです。自分はいつから読み始めたのだろう。記憶が定かでありません。今号は記念として浦沢直樹の漫画家としてスタートを切った学生時代の渾身の作品が掲載されていました。近未来の人類対ロボットの戦いの話です。随所に今の浦沢直樹の作品に通じる動きの描き方が見られますね。【6月6日】
昨日の読みかけのCAPA6月号を読んで、あとは終日パワーポイントと格闘していました。月末に防災セミナーの講演がありますもので。それにしても予想される南海トラフ地震のことの資料を読んでいると気がめいりますね。日本は終了!となってしまいそうです。【6月4日】
読み残していたサライ6月号とCAPA6月号を読みました。カメラは年に何回も新機種がでて、それも40万円も50万円もするもので、プロならいざ知らず、趣味の世界でこの金額を投入するという人が(製品が出る以上)それなりにいるということですね。おまけにレンズを買い足すと、これも1本30万円、場合によっては100万円を超えます。10万円台の下位グレードの機種もありますけれどね。フィルム写真機の時代は下位と上位の差はそんなにありませんでした。そして、古くなってもそう値落ちしなかったものです。今は半導体の塊ですから古い半導体に価値はありません。写真雑誌を読んでいると複雑な気持ちになります。【6月3日】
テロルの決算を読了。山口二矢が浅沼稲次郎を演説会壇上で刺し殺した瞬間は、毎日新聞の写真部員によって撮られ、日本人初のピュリッツァー賞を受賞しました。今まさに両手に刃物を持ち腰ダメにし、刺そうとしている山口の顔、そしてメガネが半分ずり落ちている浅沼の顔がしっかり写されています。山口の顔はこれが17歳かと思える顔です。山口は警視庁の取り調べから少年鑑別所に移されて直ぐに自殺を遂げます。浅沼稲次郎の暗殺以降も日本では要人に対するテロは起きていて、最近は安倍元首相や岸田首相へのテロがあったばかりです。テロを起こす側の思いつめた心理というのはなかなか理解できません。山口二矢にははっきりとした政治的な意思がありましたが、昨今の二人はどうでなのでしょう。「テロルの決算」沢木耕太郎文春文庫電子版【6月2日】
浅沼稲次郎刺殺事件は右翼少年の暴発くらいの理解しかありませんでしたが、浅沼稲次郎の生涯と短いながらも山口二矢の生涯を対比させられて読んでいると、浅沼の生涯は無産党から始まる日本社会党の歴史、山口の生涯は彼を巡る右翼運動の歴史であることがわかります。少なくとも沢木耕太郎はそう描いています。言い換えると、浅沼は人生すべてを社会党に捧げたといってもいいでしょう。山口は日本愛国党を出発点として、右翼の一殺にすべてを捧げたわけです。そして、浅沼は社会主義者として理論家ではなかったし、山口も(17歳という年齢からして)理論家ではもちろんなかった。両者に共通するのは「純粋な気持ち」でしょうか。【6月1日】
テロルの決算を読んだり、調べたいことがあって印旛沼周遊記という本棚にあるちょっと古い本を取り出して読んだり、サライ6月号を読んだり(このごろ見ている朝ドラの牧野富太郎の特集とLPレコードの話が面白く)していました。【5月31日】
昭文社の山と高原地図は有名ですが、この地図に手を加えたアルプストレッキングというムック(?)を読んで、今年の夏山縦走の計画を頭上(?)演習しました。ほかのガイドブックを読むと、結構難しい上級者コースみたいなのが、マーキングと鎖をしっかりつかんでいけば大丈夫と書いてあったりして(剱岳など)ちょっと逡巡していた山に行ってみようかと思ったりしました。沢木耕太郎の名作、テロルの決算を読み始めました。【5月29日】
1960年の安保闘争が終わったあと、日本社会党は運動方針はどうあるべきか、新しい書記長浅沼稲次郎にまかせ、次の選挙に向けて走り出したその時、自民党、社会党、民社党による三党演説会(当時は街頭演説会よりも立会演説会なるものが頻繁に行われていた)が日比谷公会堂で開催されました。その時壇上に立った浅沼は右翼少年山口二矢に刺殺されました。その瞬間はテレビにも流され、衝撃的な映像でした。浅沼稲次郎と山口二矢をそれぞれ深掘りして、このテロは何だったのかを浮かび上がらせようというのがテロルの決算です。【5月30日】
日本人初のエベレスト登頂から50年を記念して、日本人によるエベレスト登頂の歴史を数人の著述家でノンフィクションしたこの本は、あまりにもその名を知られた山、エベレストの持っている特殊性をいかんなく説明しています。世界で最も登山が難しいと言われている世界第2位の高峰K2はエベレストよりも標高が200mほど低いのですが、実はこの200mはその辺の山の200mとはわけが違うのだそうです。とにかく急激に酸素濃度が落ちていくというデス・ゾーンなのだそうです。やはりエベレストが世界で一番難しいといえ、8848mという標高はあくまでも尊く高いのです。「日本人とエベレスト電子版」山と渓谷社【5月28日】
エベレストは世界最高峰が故に、多くの人たちの目標になりますが、バリエーションルートとか無酸素登頂が一通り終わってしまうと、登山家による登頂に価値はなくなってしまいます。現在はほぼ公募登山により登山が主流になっています。一方で七大陸最高峰を極めるというのもブームになっていて、公募登山でもこれを目的にしているものも多くあるそうです。日本人の野口健、石川直樹、山田淳はそれぞれ当時の七大陸最高峰制覇最少年齢記録を作りました。みな23歳前後ですが、今は13歳が登ったという話もあるそうで、山田淳はもうブレーキをかけないといけないのではないかと言っています。3人は七大陸最高峰制覇を目指しましたが、結果として最少年齢だったのでそれを目指したのではありませんでした。一方で、最高齢の登山は今も燦然と日本人に輝いています。男子...【5月27日】