弘法大師の遺誡に見る戒学について
しっかりとした先行研究もある分野なので、この記事はあくまでも当方の学び、という感じである。そこで、近年は偽撰という扱いになっているようだが、弘法大師空海が弘仁四年仲夏之月晦日(813年5月晦日)に示されたという『同大師重誡』という文献がある。その中には、戒学に関する説示が見られるので、見ておきたい。諸の弟子等に語るに、凡そ出家修道の本は、仏果を期す。更に輪王・梵家を要せざれ。況や人間の少少の果報をや。心を遠渉に発すことは、足るに非ざれば能わず。仏道に趣向することは、戒に非しては、寧ろ到らんや。必ず顕密二教を須いて、堅固に清浄の戒を受持して、犯すこと莫るべし。いわゆる、顕の戒とは、三帰・五戒及び声聞・菩薩等の戒なり。四衆に各おの本戒あり。密の戒とは、いわゆる三昧耶戒なり。亦、仏戒と名づけ、亦は発菩提心戒と名...弘法大師の遺誡に見る戒学について
2022/11/09 08:58