固定資本減耗をGDPから除したNDP(国内純生産)について、労働時間あたりの数値を計算し、国際比較してみます。 1. 日本の労働時間あたり国内純生産 前回は人口1人あたりの国内純資産(NDP)について国際比較してみました。 日本は固定資産の維持費とも呼べる固定資本減耗が多く、正味の国内純生産の水準はひと際減少する事がわかりました。 今回は、労働者が稼いだ純付加価値とも言える国内純生産を労働時間で割った労働時間あたりNDPついて計算してみます。 労働時間あたりNDP = ( GDP - 固定資本減耗) ÷ 総労働時間 まずは日本のデータから推移を見てみましょう。 労働時間あ
固定資産の維持費用とも言える固定資本減耗の水準について国際比較してみます。 1. 固定資本減耗とは 前回は、より実際的な国民の平均的豊かさを表すとされる1人あたりNDPについて国際比較してみました。 日本は固定資本減耗が多く、1人あたりGDPよりも1人あたりNDPの方が国際順位が低下します。 日本経済の特徴として、固定資本減耗が多いという事が言えそうです。 今回は、固定資本減耗の国際比較により、日本の水準が国際的に見てどの程度の立ち位置なのかを確認してみたいと思います。 まずおさらいですが、固定資本減耗とは次のように定義されています。 (内閣府 国民経済計算 用語の解説より抜
国民の経済厚生を測る指標として注目されている1人あたりNDPの国際比較をしてみます。 1. 1人あたりNDPの推移:為替レート換算値 前回は、日本の国内純生産(NDP: Net Domestic Product)についてご紹介しました。 今回は1人あたりNDPの水準について国際比較するとともに、固定資本減耗についての日本の特徴も確認してみます。 NDPは、国内総生産(GDP)から減価償却費に相当する固定資本減耗を差し引いた指標です。 固定資本減耗は、建物・構築物、機械・設備など固定資産の維持費用と言えます。 NDPは、稼いだ付加価値のうち固定資産の維持費用を差し引いた、実際に家計
国内総生産(GDP)から固定資本減耗を差し引いた国内純生産(NDP)について統計データを確認してみます。 1. 国内純生産とは 前回まではILOの統計データを基に、各国の労働生産性について国際比較してみました。 日本は世界的に見ればまだ上位と言える水準ですが、少しずつ立ち位置が低下している状況のようです。 日本経済の特徴は多くありますが、私が特に特徴的と思うのは、相対的に投資が多く固定資産が蓄積されている割には付加価値を稼げていないという事です。 統計データを見る限りでは、「成長には投資が必要」とか、「日本は投資が少ないので成長しなかった」といった言説とは矛盾するような状況のよ
1. 労働者1人あたりGDPの国際比較 前回は、中東・CIS諸国の労働生産性(労働者1人あたりGDP、労働時間あたりGDP)についての国際比較をしてみました。 サウジアラビアやカタールなどの産油国は高い水準に達していますが、時系列で見るとアップダウンが激しく不安定な印象です。 一方、イスラエルやトルコは順調に上昇していて、特に労働者1人あたりGDPでは日本を大きく上回ります。 今回は、日本も属するアジア・大洋州の労働生産性について国際比較してみたいと思います。 人口が多く存在感の増す中国やインド、高い水準が予想されるシンガポール、台湾、香港などが実際にはどの程度なのか、詳細に
1. 労働者1人あたりGDPの国際比較 前回は、東欧・南欧諸国の労働生産性(労働者1人あたりGDP、労働時間あたりGDP)についてご紹介しました。 南欧諸国はイタリア、スペイン、ギリシャなど2000年代から停滞傾向の国が多い一方で、東欧諸国は上昇傾向が続き、近年では多くの国が日本を上回るようになっています。 今回は、普段のOECDの統計データでは範囲外となる中東、CIS諸国の労働生産性についてご紹介します。 CIS諸国は外務省の区分では欧州に分類されますが、地域的に近くJETROの統計調査で個別で区分される事と、欧州の国が多くなりすぎるため、今回は中東諸国と同じ区分として扱いま
1. 労働者1人あたりGDPの国際比較 前回は、西欧・北欧・北米諸国の労働生産性(労働者1人あたりGDP、労働時間あたりGDP)についてご紹介しました。 この地域はどの国も労働生産性が軒並み高く、全ての国で日本の水準を大幅に上回っている事がわかりました。 今回は、急速に経済水準の上昇している東欧諸国と、変調が指摘されがちな南欧諸国の労働生産性についてご紹介していきたいと思います。 まずは、2023年の労働者1人あたりGDPについて国際比較してみましょう。 労働者1人あたりGDP 実質 購買力平価換算値 東欧・南欧 2023年 図1 労働者1人あたりGDP 実質 購買力平価換算値
1. 労働者1人あたりGDPの国際比較 前回までは、ILOのデータベースを基に、189の国・地域での労働生産性について国際順位をご紹介しました。 労働者1人あたりGDPでも、労働時間あたりGDPでも日本は40位台後半で、近年では色々な国に追い抜かれたり、追い上げられたりしている状況のようです。 今回からはもう少し詳細に、各地域ごとに労働生産性の比較をしていきたいと思います。 地域の分け方は外務省の区分をベースとしながら、欧州は西欧・北欧と、東欧・南欧に分けています。 また、ロシアなどCIS諸国は欧州の区分になりますが、地域的にも近い中東と合わせて中東・CISとして区分しました
351 労働生産性の国際比較 - ILO労働時間あたりGDP
1. 労働時間あたりGDP 1~50位 前回は、ILOのデータベースから、労働生産性の指標である労働者1人あたりGDP(実質、購買力平価換算値)について国際比較をしてみました。 日本は2023年で8万ドル程度で、世界187の国と地域中46番目の水準でした。 近年ではやや停滞傾向が続いていて、他の主要先進国や西欧諸国との差が開き、東欧諸国と同じくらいの水準となります。 所得水準の高い国は労働時間が短い傾向になり、パートタイム労働者の割合も多くなります。 労働者1人あたりよりも、労働時間あたりで見た生産性の方がより公正な評価となるという意見もあるようです。 今回は、ILOのデータベ
350 労働生産性の国際比較 - ILOの労働者1人あたりGDP
国際労働機関(ILO)の統計データから、世界各国の労働生産性について国際比較してみます。 1. ILOとは 前回までは、IMFの統計データから、1人あたりGDPの国際比較をしてみました。 日本は欧米を中心とした先進国の中ではかなり低い水準となりますが、世界の中ではまだ上位40位以内に入っているようです。 相対的な順位は低下していますので、今後の推移が気になるところですね。 今回から、国際労働機関(ILO: International Labour Organization)の公開している労働生産性の国際比較をしていきたいと思います。 ILOのウェブサイトによれば、ILOとは次
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