chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
十日小説 https://10daysstory.seesaa.net/

10日間のショートストーリー 日々の体験を元にして書いていきたいと思います

10日ストーリー
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2024/10/31

arrow_drop_down
  • 最終話「四月の終わりにめくるページ」 四月のスケッチブック

    最終話「四月の終わりにめくるページ」 四月の終わり。 教室の窓から差し込む光が、少しだけ強くなった。 桜はとうに散って、新芽の葉が青く光っている。 季節は、ちゃんと次へ進んでいた。 スケッチブックの最後のページが、まだ白いままだった。 みんながページを重ねていくたびに、そこだけは不思議と誰も触れなかった。 千紘は、「最後は誰かが、ちゃんと終わらせて」と笑った。 クラスの誰か…

  • 第9話「描かれた横顔」 四月のスケッチブック

    九日目「描かれた横顔」 放課後の教室。 今日も誰かが、例のスケッチブックをめくっていた。 棚の上には、付箋で「今ここ!」と書かれた目印が貼られていて、みんなが次のページを待ち望んでいるのがわかる。 けれど、今日のページは、いつもと少し違っていた。 「……これって、もしかして――」 ざわざわ、とした空気が教室を揺らした。 そこに描かれていたのは、ある男子生徒の横顔。 下を…

  • 第8話「秘密のページ」 四月のスケッチブック

    八日目「秘密のページ」 クラスの棚に置かれた「みんなのスケッチブック」は、日ごとに厚みを増していった。 詩、落書き、しりとり、意味不明な謎かけ。 最初は戸惑っていたみんなも、今では笑いながら「次、誰か何か描いてた?」と確認し合うのが日課になっていた。 千紘は、以前のように誰よりも真ん中で笑っていた。 俺は、その姿を見て、ようやく“春が戻ってきた”と思っていた。 だけど―― そ…

  • 第7話「ひとつのスケッチブック」 四月のスケッチブック

    七日目「ひとつのスケッチブック」 次の日、千紘は、何事もなかったかのように教室に現れた。 だけど、昨日までとは少しだけ違っていた。 「みんなに、話したいことがあるんだ」 昼休み。 千紘は、スケッチブックを両手に抱えて、教室の真ん中に立った。 みんな、最初はきょとんとしていた。何を言うんだろうって顔をしていた。 「このあいだまで、机に落書きしてたの、私。 ……でも、言葉を書…

  • 第6話 閉じられたページ 四月のスケッチブック

    六日目「閉じられたページ」 昼休み、千紘の姿は教室になかった。 彼女の机の上には、スケッチブックが一冊、ぽつんと置かれている。 誰も、そこに触れようとはしなかった。 まるで、そこだけ違う空気が流れているみたいに、誰も近づこうとしなかった。 俺は、そっとそのスケッチブックを手に取った。 持ち上げると、表紙には小さな文字が書かれていた。 * 四月のスケッチブック * 中を開…

  • 第5話「すれ違う風」 四月のスケッチブック

    五日目「すれ違う風」 放課後の教室に戻ると、いつも誰かがまだ残っていた。 今日も同じだ。窓際の席では、千紘がスケッチブックに向かってペンを走らせていた。斜め後ろでは、クラス委員の桐生(きりゅう)が何やら書類をまとめている。窓から吹き込む風に、彼の髪がふわりと揺れた。 机の上をふと見ると、また新しい“交換”が始まっていた。 * きみに、春を届けたくて * その下に、小さなチューリ…

  • 第4話「書かれなかった名前」 四月のスケッチブック

    四日目「書かれなかった名前」 その日、落書きはなかった。 昼休み、いつもと同じように机を覗いた俺は、そこで立ち止まった。 昨日まであった“ことば”も、“絵”も、消されていた。 何度も消しゴムで擦ったような跡が残っていて、消したのは誰か、なんとなく“怒っていた”ように感じられた。 「……誰が、消したんだ?」 誰にともなくつぶやいた声は、当然ながら誰にも届かない。 千紘も気づい…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、10日ストーリーさんをフォローしませんか?

ハンドル名
10日ストーリーさん
ブログタイトル
十日小説
フォロー
十日小説

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用