今回は臨床場面で難渋する膝後面の痛みに対して末梢神経へのアプローチ方法について書いた記事です。
臨床経験20年以上、整形クリニック勤務20年の理学療法士によるブログです。本ブログでは日々の臨床の中で考えていることや行っていること、研修会や学会で学んだことのまとめなどについて書いています。
今回は臨床場面で難渋する膝後面の痛みに対して末梢神経へのアプローチ方法について書いた記事です。
先日受講した『末梢神経の「なぜ?」がわかる機能解剖学』という研修の中で、私が特に印象に残ったことについてまとめた記事です。
はじめに 前十字靭帯の術後に限らず、運動器術後のリハビリテーションにおいて可動域の獲得が重要なことは言うまでもありません。しかし、靭帯損傷に対する再建術後の可動域訓練の進め方は非常に繊細で経験測によるところが大きい気がします。 そこで、今回は膝前十字靭帯損傷に対する手術件数が日本一である関東労災病院の今屋 健先生の著書からそのコツを学んでみたいと思います。 前十字靭帯損傷術後の関節可動域訓練は難しい 別の記事 膝前十字靭帯(ACL)損傷のリハビリテーションの進め方 - docdamitaro’s blog でも書きましたが前十字靭帯再建術後の関節可動域訓練の進め方は非常に難しいです。骨折後の関…
はじめに 今回のは麻布大学生命・環境科学部教授 守口 徹 先生監修の『図解 眠れなくなるほど面白い脂質の話』という書籍のまとめを書きたいと思います。 監修者紹介 監修者である 守口 徹 先生は麻布大学 生命・環境科学部教授。1982年、横浜市立大学を卒業後、製薬会社の薬理部門に勤務。国立がんセンター研究所、東京大学薬学部に出向後同大学で博士号を取得。1997年、客員研究員として米国国立衛生研究所で脂肪酸と脳機能に関して研究。2020年3月からは日本脂質栄養学会の理事長も務める。 脂質 ダイエットや健康を考えると「油は控えるべき」というイメージがあるが、脂質は我々の体を動かすエネルギーになるほか…
はじめに 最近、なぜか私の勤務しているクリニックに膝の内側側副靭帯(MCL)の患者さんがたくさん来られています。そこで、自分の勉強の意味もこめて今回は膝の内側側副靭帯損傷後のリハビリテーションの進め方について書いていきたいと思います。 解剖・生理 内側側副靭帯(MCL)は浅層と深層に分けられる。 浅層は前縦走線維(anterior oblique ligament:AOL)と後方を通る後斜靭帯(post oblique ligament:POL)とに分かれる。浅層は大腿骨内側上顆から起こり、遠位部では鵞足の深部を通過し脛骨内側顆の内側縁と後縁に幅広く停止する。長さは約9cmの靭帯で膝関節内側の…
はじめに みなさんは患者さんに「最近、筋力をつけるためにウォーキングをやってます!(^^)!」ということを言われたことはありますか?私は結構頻繁に言われます。最近はそうでもないですが、数年前まではウォーキング最強説的な雰囲気が世の中にあったような気がしていて、あちこちの病院で患者さんが「とにかく歩きなさい」と指導を受けたと言っていました。 でも、私はPTとしてウォーキングって実際どの程度運動になっているか疑問がありました。 そこで、今回はウォーキングが実際体にどのような効果をもたらしているのかについて書いてみたいと思います。 「歩く」とは 歩行は「姿勢の安定を維持しながら下肢運動を何度も繰り返…
はじめに 前回の記事で変形性膝関節症の保存的理学療法を行うときは『膝の外旋』に着目すると良いということを書きました。今回は、『では、具体的にどうやって膝を内旋位にもっていくのか』について私が臨床の場で実際にやっている方法を書いていきたいと思います。 前回の記事をまだ読まれてない方は是非こちらからどうぞ。 まず確認 まずは膝関節の遊びを確認する。いろいろな患者さんの膝を触っていると膝の内旋方向への(関節の)遊びが大きい柔らかい膝とほとんど動かない硬い膝があると感じます。そこで、まず目の前の患者さんが膝の遊びが大きい患者さんなのかそれとも小さい患者さんなのかを確認します。 手順は、患者さんを背臥位…
変形性膝関節症(osteoarthritis of the knee)の保存的理学療法
理学療法初学者に向けて変形性膝関節症の理学療法を行う際に『まず注目すべき点』について書いた記事です。
前十字靭帯(ACL)損傷の術後では関節への剪断力の関係からCKC(Close kinetic Chain)での筋力トレーニングが術後早期から行われます。今回の記事ではACL術後早期からアスレティックリハビリテーション期にかけてのCKCでの筋力トレーニングの進め方について書いていきたいと思います。
はじめに 前回の投稿からずいぶん時間が経ってしまいましたが、今回は足底板(インソール)、特に私が臨床で用いている入谷式足底板について書きたいと思います。 足底板とは まず初めに、足底板とは靴の中敷きに凹凸を付け、人間の土台となる足の肢位や使い方に変化を与えるものです。靴の歴史が長いヨーロッパ諸国などではかなり古くから使用され発展してきました。 入谷式足底板とは 入谷式足底板とは横浜にある「足と歩きの研究所」所長の『入谷 誠」先生が考案された足底板です。 入谷式足底板の考え方 下肢障害の多くは小さなメカニカルストレスの繰り返しにより発生し、これが疼痛などの症状を引き起こす原因となっています。よっ…
はじめに 皆さんはPRP(Platelet-Rich Plasma)療法をご存じでしょうか。数年前から私の担当患者さんの中でも試される方が増えてきて、今年の春ごろから私の勤務する病院でも開始しました。PRPは現在、自費診療扱いとなるため一回の施行で20万円前後の費用が必要となります。ただ、私が担当している患者さんに限って言うと、高額な費用のわりに際立った効果を実感できる方がほとんどいないように感じます。そこで、今回はこのPRPの効果についてシステマティックレビューを基にその効果の是非について書いていきたいと思います。 PRPとは まず始めにPRP(多血小板血漿)療法とは、患者さんの血液中の血小…
はじめに 前回、五十肩の患者さんに対する病期別の対応方法を書きました。今回は五十肩の患者さんがリハ室に来られてからの実際の流れ(進め方)について書いていきたいと思います。 理学療法のすすめ方 まず、五十肩の理学療法を進めていくにあたって前回記載した病期を把握していくことはmustです。病期を間違えて理学療法を進めていくとかえって症状を悪化させ患者さんからの信頼も失います。自信のない方は前回の記事(五十肩のリハビリ~病期別の考え方~)をまず読んでおいてください。 問診 これも、以前に書いた記事の中で既に書いていることですが、保存療法を行っていくにあたって『問診』は非常に重要です。この段階でどのく…
はじめに 今回は五十肩(肩関節周囲炎)のリハビリについて書きたいと思います。肩のリハビリは奥が深く、書こうと思ったら膨大な量になりそうなので今回はまず肩関節周囲炎のリハビリの基礎について書いていきたいと思います。今回は初学者向けの内容となります。 肩関節疾患の中でも五十肩に特化して書いてある本です。肩関節疾患は幅が広いので五十肩について知りたければまず本書を読んでみると良いと思います。 五十肩の評価と運動療法 あなたも必ず治せるようになる! (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ) [ 土屋元明 ] 五十肩とは 信原病院の信原先生によると「いわゆる五十肩というのは、50歳代を中心としてその年配に…
はじめに 今回は、スポーツ障害患者の理学療法を行うにあたって必要不可欠な考え方である関節モーメントを応用した理学療法のすすめ方書いていきたいと思います。 関節モーメントとは まず、モーメントとは物体が回転しようとする力(回転力)のことであり、トルクとも呼ばれ以下の式で表される。 モーメント(M)=力(N)×距離(m) 関節モーメントとは筋張力などにより関節を回転させる作用のことである。言葉で伝えても分かりにくいため以下の図を見て下さい。 まっすぐ立てた棒(A)を少し傾けると棒は倒れそうになりますよね(B)。この時、棒を倒そうとする力G(厳密にいうと力ではないのですがイメージしやすくするために「…
はじめに 今回は樺沢紫苑さんの書かれた「学びを結果に変えるアウトプット大全」を読んで「なるほど」と思った11項目について書いていきたいと思います。本当は7選とかにしたかったんですが11項目以上絞れませんでした。 11選/全96 アウトプットの基本法則3 インプットとアウトプットの最も効率的な割合はどれくらいか?について書かれた項目です。 コロンビア大学の心理学者アーサー・ゲイツ博士は次のような実験をしました。それは、小3から中2までの100人以上の子供たちに「紳士録」に書かれた人物プロフィールを9分間で覚えて暗唱するように指示し、『覚える時間』(インプット時間)と『練習する時間』(アウトプット…
はじめに 私の勤めているクリニックはACL損傷の患者さんがたくさん来られます。また、近くに大学があり、学生さんは地元でOpeをする方も多いため全国各地の病院で前十字靭帯再建術を行った患者さんを診る機会をいただいています。 そこで、今回はスポーツ外傷の代表格ともいうべき膝前十字靭帯(以下、ACL)損傷のリハビリテーションの進め方について書いていきたいと思います。 前十字靭帯の機能解剖 ACLは大腿骨外顆後方から起こり、脛骨顆間結節の前方からやや内側に付着する靭帯である。ACLの全長は約30~35mm、横径は役10mmで2束もしくは3束からなる線維束で形成されている。 右膝関節前面 1)より引用 …
はじめに 今回はコンディション・ラボ所長で理学療法士である園部 俊晴先生が書かれた『園部 俊晴の臨床~膝関節~』を読んで感じたことを書いていきたいと思います。 構成 本書籍は以下の5章で構成されている 第1章 臨床における仮説検証の重要性第2章 臨床推論における評価第3章 痛みを生じやすい組織の評価と治療の実際第4章 可動域・柔軟性の改善第5章 2つの症候群 本書の中で語られている事 以下に本書の中で私の臨床と重なると感じたことや「なるほど」と感じた内容について書きます。 第3水準の評価 筆者は臨床における評価を第1~第3水準までの三段階に分け、特に本書では第3水準の重要性を述べています。 ま…
はじめに 前回に引き続き『第9回日本運動器理学療法学術大会』で勉強になった講演紹介の第2弾です。今回は『足関節障害に対する理学療法の標準化』です。シンポジストは 小林 匠先生(北海道千歳リハビリテーション大学健康科学部)、壇 順司先生(帝京大学福岡医療技術学部理学療法学科)、野田 祐樹先生(奈良学園大学保健医療学部リハビリテーション学科)の3人の先生方でした。 小林 匠先生 まずお一人目は小林 匠先生です。小林先生は「足関節捻挫・慢性足関節不安定症に対する理学療法の標準化」についてお話しされました。小林先生のお話では、足関節靭帯損傷後に一定数が慢性足関節不安定症(CAI)へ移行することや各病期…
はじめに 先週の土曜日・日曜日(9.11~9.12)にWebで行われた第9回日本運動器理学療法学術大会に参加しました。今回は学会に出席して印象に残った話について書いていきたいと思います。 標準化=正解にどうやって近づくか まず1つ目は2日目の朝に行われたモーニングセミナーです。「標準化=正解にどうやって近づくか?」というテーマで広島大学の浦部 幸雄先生が公演されました。内容はざっくりいうとPTの主観ではなくきちんと数値化し客観的な評価に基づいて理学療法を行っていくべき(数字をもっと大切にしよう)というものでした。私がこの公演の中で特に印象に残ったのは浦部先生が「真実と事実の違い」という表現でし…
こんな方に見てほしい 初学者の方これからクリニックで働いてみようと思っている方クリニックで働き始めたばかりの方 はじめに 当院に入ってくる新人や急性期などの他分野から移ってきたスタッフがまず最初に困っていること。そう、どういう流れで患者さんを診ていくかということです。今回は私が実際に行っている臨床の流れについて書いていきたいと思います。 大まかな流れ これは教科書にも記載してあると思いますが、大まかな流れとしては以下の通りです。 評価理学療法的介入再評価再介入or終了 恐ろしくざっくりですが、私はこの1→4を毎回繰り返しています。評価→介入(治療)→再評価→介入(治療)・・・・・・・。この流れ…
はじめに 膝の患者さんを診ていると避けては通れない半月板損傷。最近は若年者のみならず中高齢者の半月板損傷も注目されているみたいです。そこで、今回は半月板についての基礎として半月板の可動性について書いていきたいと思います。 半月板の役割 半月板(Meniscus)は、ヒトの膝関節の間にあってクッションとなり、膝の円滑な運動を助ける働きをする線維軟骨組織である。半月板の主な役割は以下の5つです。 関節軟骨の衝撃吸収可動域を適正に保つ関節の適合を良くする滑液を分散させる関節内圧を均等化する プロメテウス解剖学コアアトラス第2版より引用 線維軟骨と硝子軟骨 次に半月板の構成要素である線維軟骨の特徴と関…
はじめに 日頃働いていて「なんであいつばかり評価されるんだ」、「何で自分ばかり注意されるんだ」と思うことありませんか?それはもしかしたら心理学用語でいうハロー効果によるものかもしれません。このハロー効果を知ることで明日からの職場で自分の評価を変えることができる・・・かも。そこで、今回はこのハロー効果についてまとめていきたいと思います。 ハロー効果とは ハロー効果(halo effect、またはhalo error)は心理学における認知バイアスの一種で、ある対象に対する印象や評価がその見た目や特徴に左右されてゆがめられてしまう現象。ハローとは後光という意味で、対象を後ろから光り輝かせるというもの…
3D render of a medical image of close up of bone in shoulder はじめに 肩関節疾患の患者さんの可動域訓練(ROM Ex)を行う上で最も大切なのは「軟部組織の伸長方向を意識して行うこと」だと思います。そこで今回は肩関節、特に肩甲上腕関節の運動方向と伸長される軟部組織についてまとめてみたいと思います。 靭帯 烏口上腕靭帯(大結節付着線維) (以下、肩甲上腕関節)内転位での外旋、90°外転位での外旋、外旋位での水平外転で伸長される 烏口上腕靭帯(小結節付着線維) 内転位での外旋、90°外転位での外旋 、 90°外転位での内旋、伸展位での内転…
はじめに 「肩の患者さんの担当になったんだけど肩の評価ってどうやるんだったかな?」とお困りの方のために、今回は肩のスペシャルテストについてまとめたいと思います。私にも思い当たることがあるんですが、まだ経験が浅いときに「明日肩の患者さんが来るんだけど評価どうしよう~(+_+) 」ってことありますよね。今はネットですぐに調べられますが昔は本や手持ちの文献を探しまくって・・・。 いい時代になりました。 肩甲上腕関節のテスト 腱板、肩峰下滑液包(以下、疑われる組織) painful arc sign 肩甲骨面で挙上し60~120°の挙上域で疼痛が増強し、その前後で疼痛のない現象 drop arm si…
はじめに 今回は理学療法士(以下、PT)の基本中の基本、関節可動域制限(ROM制限)について書いていきたいと思います。 私がまだ臨床2~3年目で、まだ急性期にいたころの話です。自分はどうやったら認められるのか、医師は自分たちに何を求めているのかが知りたくて直接整形外科医に質問したことがあります。直球で「先生はPTに何を求めますか?」と聞きました。医師の答えは「関節可動域の改善」。数人の医師に同じ質問をしましたが同じ答えでした。それから十数年後、ある研究会で若手のPTが「先生たちは我々に何を求めていますか」という質問をしました。その時の医師の答えもやはり「関節可動域の改善」でした。このやり取りを…
今回の記事はこんな方にお勧めです いつか整形外科のクリニックで働いてみたい方整形クリニックに興味はあるけど自分の技術が通用するか不安な方整形外科のクリニックに面接に行ったが不採用とされた方 私がブログを書こうと思ったきっかけ まず初めに、これまでブログはおろかSNSなども一切やったことがない私がブログを書こうと思ったきっかけについて書きたいと思います。 前回の自己紹介にも書いた通り、私は現在、リハ科の責任者として入職希望者の面接を行っております。 昨年度も多くの方に面接に来ていただいたのですが、残念ながらほとんどの方はお断りさせていただきました。その中のお一人の方に「クリニックは他にもいくつか…
自己紹介 はじめまして。この度、人生で初めてブログを書いてみようと思います。つきまして、今回は自己紹介をさせていただきます。 私は日本国内で理学療法士(PT)として働き続け、今年で20年をむかえました。 最初の5年は急性期の病院で整形疾患、中枢疾患、呼吸器疾患など幅広い患者さんをみせていただいておりました。 その後、自分の技術がどれくらい通用するかを試してみたくて整形のクリニックに異動し、現在に至ります。ちなみに異動した時から現在までリハビリテーション科の科長を務めており、現在はリハ科の運営から入職希望者の採用面接まで関わっております。 また、クリニックに異動したころから○○大学の商学部に通い…
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今回は臨床場面で難渋する膝後面の痛みに対して末梢神経へのアプローチ方法について書いた記事です。
先日受講した『末梢神経の「なぜ?」がわかる機能解剖学』という研修の中で、私が特に印象に残ったことについてまとめた記事です。
はじめに 前十字靭帯の術後に限らず、運動器術後のリハビリテーションにおいて可動域の獲得が重要なことは言うまでもありません。しかし、靭帯損傷に対する再建術後の可動域訓練の進め方は非常に繊細で経験測によるところが大きい気がします。 そこで、今回は膝前十字靭帯損傷に対する手術件数が日本一である関東労災病院の今屋 健先生の著書からそのコツを学んでみたいと思います。 前十字靭帯損傷術後の関節可動域訓練は難しい 別の記事 膝前十字靭帯(ACL)損傷のリハビリテーションの進め方 - docdamitaro’s blog でも書きましたが前十字靭帯再建術後の関節可動域訓練の進め方は非常に難しいです。骨折後の関…
はじめに 今回のは麻布大学生命・環境科学部教授 守口 徹 先生監修の『図解 眠れなくなるほど面白い脂質の話』という書籍のまとめを書きたいと思います。 監修者紹介 監修者である 守口 徹 先生は麻布大学 生命・環境科学部教授。1982年、横浜市立大学を卒業後、製薬会社の薬理部門に勤務。国立がんセンター研究所、東京大学薬学部に出向後同大学で博士号を取得。1997年、客員研究員として米国国立衛生研究所で脂肪酸と脳機能に関して研究。2020年3月からは日本脂質栄養学会の理事長も務める。 脂質 ダイエットや健康を考えると「油は控えるべき」というイメージがあるが、脂質は我々の体を動かすエネルギーになるほか…
はじめに 最近、なぜか私の勤務しているクリニックに膝の内側側副靭帯(MCL)の患者さんがたくさん来られています。そこで、自分の勉強の意味もこめて今回は膝の内側側副靭帯損傷後のリハビリテーションの進め方について書いていきたいと思います。 解剖・生理 内側側副靭帯(MCL)は浅層と深層に分けられる。 浅層は前縦走線維(anterior oblique ligament:AOL)と後方を通る後斜靭帯(post oblique ligament:POL)とに分かれる。浅層は大腿骨内側上顆から起こり、遠位部では鵞足の深部を通過し脛骨内側顆の内側縁と後縁に幅広く停止する。長さは約9cmの靭帯で膝関節内側の…
はじめに みなさんは患者さんに「最近、筋力をつけるためにウォーキングをやってます!(^^)!」ということを言われたことはありますか?私は結構頻繁に言われます。最近はそうでもないですが、数年前まではウォーキング最強説的な雰囲気が世の中にあったような気がしていて、あちこちの病院で患者さんが「とにかく歩きなさい」と指導を受けたと言っていました。 でも、私はPTとしてウォーキングって実際どの程度運動になっているか疑問がありました。 そこで、今回はウォーキングが実際体にどのような効果をもたらしているのかについて書いてみたいと思います。 「歩く」とは 歩行は「姿勢の安定を維持しながら下肢運動を何度も繰り返…
はじめに 前回の記事で変形性膝関節症の保存的理学療法を行うときは『膝の外旋』に着目すると良いということを書きました。今回は、『では、具体的にどうやって膝を内旋位にもっていくのか』について私が臨床の場で実際にやっている方法を書いていきたいと思います。 前回の記事をまだ読まれてない方は是非こちらからどうぞ。 まず確認 まずは膝関節の遊びを確認する。いろいろな患者さんの膝を触っていると膝の内旋方向への(関節の)遊びが大きい柔らかい膝とほとんど動かない硬い膝があると感じます。そこで、まず目の前の患者さんが膝の遊びが大きい患者さんなのかそれとも小さい患者さんなのかを確認します。 手順は、患者さんを背臥位…
理学療法初学者に向けて変形性膝関節症の理学療法を行う際に『まず注目すべき点』について書いた記事です。
前十字靭帯(ACL)損傷の術後では関節への剪断力の関係からCKC(Close kinetic Chain)での筋力トレーニングが術後早期から行われます。今回の記事ではACL術後早期からアスレティックリハビリテーション期にかけてのCKCでの筋力トレーニングの進め方について書いていきたいと思います。
はじめに 前回の投稿からずいぶん時間が経ってしまいましたが、今回は足底板(インソール)、特に私が臨床で用いている入谷式足底板について書きたいと思います。 足底板とは まず初めに、足底板とは靴の中敷きに凹凸を付け、人間の土台となる足の肢位や使い方に変化を与えるものです。靴の歴史が長いヨーロッパ諸国などではかなり古くから使用され発展してきました。 入谷式足底板とは 入谷式足底板とは横浜にある「足と歩きの研究所」所長の『入谷 誠」先生が考案された足底板です。 入谷式足底板の考え方 下肢障害の多くは小さなメカニカルストレスの繰り返しにより発生し、これが疼痛などの症状を引き起こす原因となっています。よっ…
はじめに 皆さんはPRP(Platelet-Rich Plasma)療法をご存じでしょうか。数年前から私の担当患者さんの中でも試される方が増えてきて、今年の春ごろから私の勤務する病院でも開始しました。PRPは現在、自費診療扱いとなるため一回の施行で20万円前後の費用が必要となります。ただ、私が担当している患者さんに限って言うと、高額な費用のわりに際立った効果を実感できる方がほとんどいないように感じます。そこで、今回はこのPRPの効果についてシステマティックレビューを基にその効果の是非について書いていきたいと思います。 PRPとは まず始めにPRP(多血小板血漿)療法とは、患者さんの血液中の血小…
はじめに 前回、五十肩の患者さんに対する病期別の対応方法を書きました。今回は五十肩の患者さんがリハ室に来られてからの実際の流れ(進め方)について書いていきたいと思います。 理学療法のすすめ方 まず、五十肩の理学療法を進めていくにあたって前回記載した病期を把握していくことはmustです。病期を間違えて理学療法を進めていくとかえって症状を悪化させ患者さんからの信頼も失います。自信のない方は前回の記事(五十肩のリハビリ~病期別の考え方~)をまず読んでおいてください。 問診 これも、以前に書いた記事の中で既に書いていることですが、保存療法を行っていくにあたって『問診』は非常に重要です。この段階でどのく…
はじめに 今回は五十肩(肩関節周囲炎)のリハビリについて書きたいと思います。肩のリハビリは奥が深く、書こうと思ったら膨大な量になりそうなので今回はまず肩関節周囲炎のリハビリの基礎について書いていきたいと思います。今回は初学者向けの内容となります。 肩関節疾患の中でも五十肩に特化して書いてある本です。肩関節疾患は幅が広いので五十肩について知りたければまず本書を読んでみると良いと思います。 五十肩の評価と運動療法 あなたも必ず治せるようになる! (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ) [ 土屋元明 ] 五十肩とは 信原病院の信原先生によると「いわゆる五十肩というのは、50歳代を中心としてその年配に…
はじめに 今回は、スポーツ障害患者の理学療法を行うにあたって必要不可欠な考え方である関節モーメントを応用した理学療法のすすめ方書いていきたいと思います。 関節モーメントとは まず、モーメントとは物体が回転しようとする力(回転力)のことであり、トルクとも呼ばれ以下の式で表される。 モーメント(M)=力(N)×距離(m) 関節モーメントとは筋張力などにより関節を回転させる作用のことである。言葉で伝えても分かりにくいため以下の図を見て下さい。 まっすぐ立てた棒(A)を少し傾けると棒は倒れそうになりますよね(B)。この時、棒を倒そうとする力G(厳密にいうと力ではないのですがイメージしやすくするために「…
はじめに 今回は樺沢紫苑さんの書かれた「学びを結果に変えるアウトプット大全」を読んで「なるほど」と思った11項目について書いていきたいと思います。本当は7選とかにしたかったんですが11項目以上絞れませんでした。 11選/全96 アウトプットの基本法則3 インプットとアウトプットの最も効率的な割合はどれくらいか?について書かれた項目です。 コロンビア大学の心理学者アーサー・ゲイツ博士は次のような実験をしました。それは、小3から中2までの100人以上の子供たちに「紳士録」に書かれた人物プロフィールを9分間で覚えて暗唱するように指示し、『覚える時間』(インプット時間)と『練習する時間』(アウトプット…
はじめに 私の勤めているクリニックはACL損傷の患者さんがたくさん来られます。また、近くに大学があり、学生さんは地元でOpeをする方も多いため全国各地の病院で前十字靭帯再建術を行った患者さんを診る機会をいただいています。 そこで、今回はスポーツ外傷の代表格ともいうべき膝前十字靭帯(以下、ACL)損傷のリハビリテーションの進め方について書いていきたいと思います。 前十字靭帯の機能解剖 ACLは大腿骨外顆後方から起こり、脛骨顆間結節の前方からやや内側に付着する靭帯である。ACLの全長は約30~35mm、横径は役10mmで2束もしくは3束からなる線維束で形成されている。 右膝関節前面 1)より引用 …
はじめに 今回はコンディション・ラボ所長で理学療法士である園部 俊晴先生が書かれた『園部 俊晴の臨床~膝関節~』を読んで感じたことを書いていきたいと思います。 構成 本書籍は以下の5章で構成されている 第1章 臨床における仮説検証の重要性第2章 臨床推論における評価第3章 痛みを生じやすい組織の評価と治療の実際第4章 可動域・柔軟性の改善第5章 2つの症候群 本書の中で語られている事 以下に本書の中で私の臨床と重なると感じたことや「なるほど」と感じた内容について書きます。 第3水準の評価 筆者は臨床における評価を第1~第3水準までの三段階に分け、特に本書では第3水準の重要性を述べています。 ま…
はじめに 前回に引き続き『第9回日本運動器理学療法学術大会』で勉強になった講演紹介の第2弾です。今回は『足関節障害に対する理学療法の標準化』です。シンポジストは 小林 匠先生(北海道千歳リハビリテーション大学健康科学部)、壇 順司先生(帝京大学福岡医療技術学部理学療法学科)、野田 祐樹先生(奈良学園大学保健医療学部リハビリテーション学科)の3人の先生方でした。 小林 匠先生 まずお一人目は小林 匠先生です。小林先生は「足関節捻挫・慢性足関節不安定症に対する理学療法の標準化」についてお話しされました。小林先生のお話では、足関節靭帯損傷後に一定数が慢性足関節不安定症(CAI)へ移行することや各病期…
はじめに 先週の土曜日・日曜日(9.11~9.12)にWebで行われた第9回日本運動器理学療法学術大会に参加しました。今回は学会に出席して印象に残った話について書いていきたいと思います。 標準化=正解にどうやって近づくか まず1つ目は2日目の朝に行われたモーニングセミナーです。「標準化=正解にどうやって近づくか?」というテーマで広島大学の浦部 幸雄先生が公演されました。内容はざっくりいうとPTの主観ではなくきちんと数値化し客観的な評価に基づいて理学療法を行っていくべき(数字をもっと大切にしよう)というものでした。私がこの公演の中で特に印象に残ったのは浦部先生が「真実と事実の違い」という表現でし…
こんな方に見てほしい 初学者の方これからクリニックで働いてみようと思っている方クリニックで働き始めたばかりの方 はじめに 当院に入ってくる新人や急性期などの他分野から移ってきたスタッフがまず最初に困っていること。そう、どういう流れで患者さんを診ていくかということです。今回は私が実際に行っている臨床の流れについて書いていきたいと思います。 大まかな流れ これは教科書にも記載してあると思いますが、大まかな流れとしては以下の通りです。 評価理学療法的介入再評価再介入or終了 恐ろしくざっくりですが、私はこの1→4を毎回繰り返しています。評価→介入(治療)→再評価→介入(治療)・・・・・・・。この流れ…