�「対話」(言葉のやりとり)をする。 「自閉症」の定義の中に、第二の特徴として「言葉の発達の遅れ」が挙げられている。かつては、それをまず一次的な障害として考えられたこともあるほど、周囲には目立つ(気になる)特徴である。それは、要するに「
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・22
《2.近接受容器と遠隔受容器》 ・自閉的な子どもにおける感覚障害を強調する論者の中で、デラカートは、五官をすべて同じ程度に重視している。五官とは、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚であり、平衡感覚や体性感覚、温覚、痛覚などもろもろの皮膚感覚は、す
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・21
《第5章 母子関係と感覚統合》(阿部秀雄) 《1.ハーロウの実験をどう読むか》 ・サルの乳児を使った有名なハーロウの隔離飼育実験から明らかになった事実は、母子関係とは子どもがこの世界で生きて行くのに不可欠な基本的安心感の源泉であり、生後一定
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・20
⑶服薬に対する指導について ・ティンバーゲン夫妻は「お医者さんの中には、自閉症児とみるとすぐに精神安定剤その他の薬を飲ませようとする人がいます。・・・これは緊急の場合か短期間だけの場合でないかぎり、好ましくありません」(「自閉症
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・19
《3.考察・・・ 田口理論実践面での疑問点》 ⑴田口理論の適応について ・「ことばの遅れ」の要因は,田口氏の古い著書(「言語発達の病理」・医学書院・昭和45年)から引用すると、�知能発達の遅れ、�聴覚障害、�発語器官の異常、�情
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・18
◆症例4.女(昭和46年7月20日生) ・6歳2カ月の時、通園中のE肢体不自由児通園施設にて面接をした。 ・脳性マヒ(四肢マヒ)のため座位も保持できない。 ・対人関係はよくとれ、言語理解力はほぼ年齢相当であったが、言語表出では、発声・発語器
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・17
《第4章 言語臨床から見た田口理論》(千葉県障害者相談センター 鈴木弘二) 《1.はじめに》 ・筆者は言語治療に携わって6年になるが、子どもの相談では「ことばの遅れ」を主訴とする相談ケースが相当数あり、その中で田口氏らが言う「しばしば、自閉
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・16
《3.「子どもの不安・緊張の原因」の分析》 ・『言語発達の臨床第2集』では62例にもわたる「不安・緊張の原因」が次の11項目の下に整理されている。A.視線、B.顔、C.声、D.音、E.人の接近、F.接触、G.人の動き・姿勢、H.人からの働き
『「自閉」をひらく母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・15
《2.「子どもの不安緊張症状と思われる行動」の再整理》 ・田口恒夫編『言語発達の臨床第2集』に収められた「子どもの不安緊張症状と思われる行動」は、現実に子どもが不安な状態に陥っているかどうかを見抜くうえで、臨床上きわめて有益である。そこには
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・14
《第3章 田口理論をめぐって �》(鈴木佐江子) 《1.「人にしてもらって楽しい活動」の生理学的分析》 ・田口氏らによって推奨されている「人にしてもらって楽しい活動」90余例を感覚の種類別に系統的に分類整理してみた。その結果、平衡感覚および
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・13
《9.自閉論への寄与》 ・田口理論やティンバーゲン夫妻の理論をめぐって、心因論か素質論か器質論かをあげつらってみても、あまり生産的ではないかもしれない。 ・田口理論の持つ最も重要な意義は、「言語発達遅滞」児にとっても、正常に発達した児童とま
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・12
《8.集団生活に入れる時期》 ・母子関係ができて初めて他児への関心が育ってくるのが発達の原則であるから、早すぎる母子分離が子どもの発達の基盤を弱めてしまう危険は十分にある。「お母さんから離れたがらない子どもを子どもを無理に引き離して、子ども
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・11
《6.「喜ばせる」活動の位置づけ》 ・「喜ばせる」活動は、『第1集』では「言語発達遅滞」児を援助する主要な活動であったが。『第2集』以後になると、「ただ喜ばせることから、安心させること、おびえさせないことに重点をおく」ように方針が少し変えら
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・10
《5.子どもの側の問題》 ・田口理論をさらに発展させるためには、むしろ子どもの側に視点をずらして、そうした子どもたちはなぜ生得的に泣かないか、あるいは泣きやまないかという問いを提起することが必要であろう。母性行動は本来、最も切実な基本的欲求
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・9
《4.心因論への偏り》 ・田口理論の問題点のひとつは、心因論に傾きやすい点である。 ・『第1集』において生得的に愛着行動が弱い事実は認められているにしても、それによって誘発される育児行動が少なくなることが直接の原因として重視されている。 ・
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・8
《2.「言語発達の臨床」理論から人格発達の臨床理論へ》 ・田口理論の卓越した点は、家庭から離れて育てられている児童に対してでなく、また実の家庭にあって両親から虐待ないしは放置されている児童に対してでもなく、両親の愛護のもとで育てられている「
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・7
《第2章 田口理論をめぐって �》(阿部秀雄) ・本稿では、お茶の水女子大学の田口恒夫氏を中心とする言語発達臨床研究会の言語発達遅滞」児に関する理論(以下「田口理論」と称する)を紹介しながら、私見を述べる。 《1.田口理論でいう言語発達遅滞
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・6
《4.「基本的障害」を腑分けすれば》 ・ウィング女史の「基本的障害」にある「コミュニケーションの障害」というカテゴリーは、対人関係の障害という二次的障害の結果生じるいわば三次的障害としてはずすことにする。 ・また「運動統制の障害」にある「腕
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・5
《3.コミュニケーション能力は上部構造》 ・ウィング女史に従えば、自閉症児におけるコミュニケーション能力の障害は、表現と理解、話しことば(スピーチ)、言語(ランゲージ)、言語以前のコミュニケーションというあらゆる水準に及んでいる。「自閉症児
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・4
《2.母子関係の軽視》 ・ウィング女史らに発達的な視点が欠落している、と言えばたしかに言い過ぎであろう。しかし、対人関係がどのように発達するか、対人関係とコミュニケーション能力との発達的関連はどのようなものであるか、についての考察は不十分で
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・3
【第1部 理論】 《第1章 ウィング理論を超えて》(阿部秀雄) 《1.あまりに多面的すぎる》 ・ウィング夫妻らの自閉論の特徴は、自閉を派生的な(二次的)な障害としてとらえる器質論的共通の立場に立ちながら、基本的(一次的)な障害は単一のもの
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・2
《まえがき》(つくも幼児教室施設長・阿部秀雄) ・現状では(自閉症、早期小児自閉症、自閉的傾向、自閉性精神薄弱などと呼ばれている子どもたちの)本態も原因も治療の方法もほとんどわかっていない。せいぜい1つの状態像(症状)を記述する用語として「
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・1
【序】 『「自閉」を開く 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)を精読する。この本の目次を見ると「第1部 理論 第1章 ウィング理論を超えて 第2・3章 田口理論をめぐって 第4章 言語臨床から見た田口
「言語発達の臨床第1集」(田口恒夫編・言語臨床研究会著・光生館)通読18
【感想】 E 既存の概念との関係 ⑷心理神経学的学習障害児・各種の行動問題児とはどこが共通し、どこが本当に違っているのか。 《所見》 ・いわゆる「学習障害(LD)児」は、WISC知能診断検査やITPA言語学習能力診断検査などによ
「言語発達の臨床第1集」(田口恒夫編・言語臨床研究会著・光生館)通読17
【感想】 D 治療 ⑴ひとりひとりの子どもに即した、もっとも有効的なアプローチは、どのようにしたらもっとも能率的に発見することができるか。 《所見》 ・子どもへのアプローチで最も大切なことは、「実態を的確に把握すること」(今、ど
「言語発達の臨床第1集」(田口恒夫編・言語臨床研究会著・光生館)通読16
6)残された課題と問題点 【感想】 著者は、今後の研究課題として、29項目列挙しているが、その中から私の独断と偏見で抜粋すると、以下の通りである。また、それぞれの課題について、私なりの《所見》も加えたい。 A 人関係と症状 ⑴
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�「対話」(言葉のやりとり)をする。 「自閉症」の定義の中に、第二の特徴として「言葉の発達の遅れ」が挙げられている。かつては、それをまず一次的な障害として考えられたこともあるほど、周囲には目立つ(気になる)特徴である。それは、要するに「
� スキンシップでかかわる 「スキンシップ(和製英語: skin-ship)は、母親と子供を始めとする家族関係にある者や、ごく親しい友人同士が抱きしめ合ったり手を握り合う、あるいは頬ずりするなど身体や肌の一部を触れ合わせることにより互い
� 「物のやりとり」をする。 乳児期、辺りにある物を手にとって渡す、「ありがとう」とこちらが喜ぶと、また手渡す。こちらが「もういいよ」と言っても、さらに手渡す。今度は、こちらがお菓子を手渡すと「アンガト」などと言って受け取る。「モット」「チ
⑷ 相手との「接し方」・� これからが、いよいよ正念場である。 まず初めに、相手とこちらの関係を見直し(振り返り)、《機は熟しているか》を判断することが大切である。�相手はこちらを見るか、�近づいて来るか、�視線を合わせる
�相手からの「働きかけ」に応える 子どもが激しく泣いている。そんな場面はどこでも見られるが、親にとってはあまり嬉しくない出来事かもしれない。何か異変が起きたのかと心配することは当然である。しかし、思いあたることがないのに泣いている。しか
�相手のマネをする。 マネをすることは、古くは「まねぶ」であり「まなぶ(学ぶ)」の語源であるとも言われている。したがって学習は《マネをする》ことから始まる。親と子ども、教員と子ども、という関係の中で《マネをする》のは子どもの側である、と
⑶ 相手との「接し方」・� �相手に働きかけない まず、相手と「同じ場所」「同じ時間」を共にする。つまり「相手と一緒にいる」ことから始める。「できるだけ長い時間、一緒にいる」ことが大切である。そのためには「寝食を共にする」こ
3.方法 ⑴ 調べる まず相手の「出生から現在まで」の《生育史》を「知る」必要がある。こちらの立場が「親」ならば、調べるまでもなく熟知している事柄であろう。・胎生期の状態・出生時の状態(時期、分娩の様子、産声の有無)・新生児期
2.こちらの心構え 「自閉症(スペクトラム)」と呼ばれる子どもや成人たちと「接し」、「かかわる」際の《心構え》について、いくつか述べたい。 ⑴ 相手を「自閉症」だと思わない。 相手を理解することは、「接し」「かかわる」際に、
◆はじめに 現状では「自閉症は治らない」ということが通説になっている。自閉症の原因は「脳の機能障害」だと《推定》されている。「親の育て方」が原因だと思われた時期もあったが、今、はっきり「それは誤りだ」と《断定》されている。 私自身も35
【あとがき】 現代では「哺乳びん」「紙オムツ」「ベビーカー」が育児の《三点セット》になっているようである。親にとっては、甚だ「都合のよい」便利で合理的な用品に違いない。しかし、育児は、それらに頼れるほど《便利》《安直》にできるものではない
⑷ 「自閉症児」(と呼ばれる子ども)の育児は、まず何を措いても、この「対人関係」に注目し、いつでも、どこでも、完全に「できる」ようになるまで、繰り返し「続ける」ことが肝要である。その具体的方法について、『言語発達の臨床第1集』(
⑶ (5歳頃までの)「自閉症児」(と呼ばれている子ども)の実態を「遠城寺式・乳幼児分析的発達検査表」(九州大学小児科改訂版)」(遠城寺宗徳・慶應義塾大学出版会・1977年)で評価すると、子どもによって千差万別の違いがあるが、《「
⑵ 子どもは、「学習」を通して成長・発達する。「学習」とは「学ぶ」ことであり、「学ぶ」とは「真似る」ことから始まる。子どもは生後間もなく《親》と出会い、その《親》とのかかわりを通して、《親》の言動を「真似る」ことによって、成長・
4 いくつかの留意点・(1) 子どもが「自閉症児と呼ばれる」ようになるのは、通説では「自閉性障害のの基本的特徴は3歳位までに表れる」とあるので、早くて1歳半健診時、遅くて3歳児健診の頃であろう。したがって、その「疑い」もしくは「断定」を受
12 「自閉症児」の育て方・10・《まとめ》 「2 基本的な考え方」で述べたように、「自閉症」の《本態》は「人に関する関心・反応が乏しい」という一点に絞られる。したがって、「自閉症児」の《育て方》も、その一点、すなわち「人に対する関心・反
11 「自閉症児」の育て方・9・《「動作」のやりとり》 乳幼児は、これまでに述べた「泣くことによって人を呼ぶ」「笑顔のやりとり」「表情のやりとり」「声のやりとり」などを土台として、あるいは《それに伴って》「動作」のやりとりができるようにな
10 「自閉症児」の育て方・8・《「物」のやりとり》 「物」のやりとりをするためには、以下のようなレディネス(土台)が必要条件である。�触れた物を握っている(1か月)、�手を開いたり閉じたりする(1か月)、�手を口のもっていってしゃぶる(
9 「自閉症児」の育て方・7・《「声」のやりとり》 生後1か月頃になると、乳児は「泣く」とき以外にも「声」を出すようになる。授乳後、満足して、気分がいいときなど、「アー、ウー」「オックン」など、いかにも「話をしている」様子に見受けられる。
8 「自閉症児」の育て方・6・《「表情」のやりとり》 「笑顔」は表情の一つだが、それ以外にも「泣き顔」「怖い顔」「驚いた顔」「変な顔」「寂しそうな顔」「悲しそうな顔」「浮かない顔」等々、人間の表情は「千変万化」する。また「表情一つ変えない
《第十一章 情緒障害各論》【要約】《一 日常生活と情緒障害 ・・諺を中心として・・》・われわれは、日常生活において、一過性ではあるが情緒障害を起こすことがよくある。・自分の心の中で、もっともコントロールしにくいのが情緒である。だから、情緒を
《第十章 教育と情緒障害》【要約】・ここでは、教育と情緒障害の問題を要約し、学業不振の問題について考えたい。・現在の教育を成立させている基本的な理念、考え方の誤謬を情緒障害の立場から論じる。一教師、一学校の問題ではない。教育行政の問題でもな
《二 情緒の変容を利用する》【要約】⑴自消作用を利用すること・情緒の変容は、ある種の情緒の発動を自ら消す効果をもっている。◎ぐち:ぐちは一種の甘えであって退行の一種と考えられるが、一種のカタルシスが起こって、ある程度の不愉快な感
《第九章 情緒障害の予防(精神衛生)》【要約】・要するに、C領域を成長することに成功すれば、かなりの情緒障害は防げるはずである。《一 C領域を成長させる》⑴経験を豊富にすることである。・C領域を育てるということは、情緒的な体験を
《三 情緒障害のメカニズム》・「情緒をとりまく心の構造図」(A領域=生理・心理的な領域、B領域=欲求・情緒、C領域=意欲・情操、D領域=知識・「情緒障害」のメカニズムを一言でいうなら「C領域が十分に成長していない状態である」といえる。・C領
《二 情緒障害の定義》◎情緒障害とは「情緒の現れ方の歪曲」である。・「現れ方」は、厳密には「情緒の動き方」「発動のしかた」という表現の方がよいかもしれない。・「歪曲」とは、次のような「動き方」を代表させた表現である。⑴普通一般の
《第八章 情緒障害の構造》《一 情緒障害はふえてゆく》【要約】・現代人のD領域は、社外の渉外的なことにのみ専念している社長のようなものである。自分の本来の仕事である部下や社員を調整したり指導したり、リードしたりする役割を捨ててしまった。した
《七 攻撃》【要約】・外からの刺激を受けて、自らの心情の中に、ある種の曲折が起こり、その結果としてそれらのものが表出される。そのことによって、自らの情緒的な不安定感・不快をいやそうとするメカニズムである。代償行為と合理化は、その表出される段
《四 合理化》【要約】・代償行動のかわりに、いかにも合理的・論理的な言葉で、自分の不愉快さを避けようとし、自分の行動を正統化しようとする心の動きを合理化と呼ぶ。・合理的な見せかけであり、「屁理屈」「いいわけ」「責任転嫁」が相当する。・情緒的
《第七章 情緒の変容様態》【要約】・情緒は、周辺にある要素との関係の中でどのような動きをするか。本項では、危機場面における「働き方」の特性について述べる。・情緒の動きが、もっともよく観察されるのは、その人間が困った場面に出会った時である。困
《二 教えることと育てること》【要約】・「教える」という働きと「育てる」という働きは、基本的に違った働きをもっている。・「教える」という働きは、ほとんど知識と技術を伝達することと解してよい。この働きを営むには、第三者の関係が、もっとも能率的
《第六章 情緒の力動》《一 情緒をとりまく心の構造》【要約】・心の中心部に、分析することの不可能な領域がある。心理的にコントロールすることもできない。「生理的・心理的な領域」(A領域と名づける)自律神経系と深い関係がある。夢の世界でこの領域
《第五章 欲求と意欲》《一 欲求と意欲の違い》【要約】・食欲・性欲・睡眠の欲求といった生理的な欲求と、獲得欲求(プラモデルが欲しい、100点が欲しい)、愛情欲求(かわいがられたい)は、基本的欲求と呼ばれ、人間の生得的にもっている欲求である・
《第四章 欲求と情緒》《一 盾の両面》【要約】・欲求と情緒は、盾の両面である。・情緒が現れるためには、そのベースに欲求がある。母親に家に「いてほしい」という欲求があって、それが阻止される(母親が家にいない)と、そこに「淋しさ」が生ずる。宿題
《二 感情の系列》【要約】・もっともプリミティブなものは原情である。感覚をベースにして、物象の触発によって生ずる感情である。「人」とは無関係、欲求もきわめて希薄という点で、情緒とは違う。「人」による欲求阻止もないし、衝動的な行動が「他人」に
《第三章 情緒と情操》《一 情操の特性》【要約】・感情の中には、情緒・原情のほかに、情操といわれるものが含まれている。ドラマに感動したり、文学や音楽に感動したりする心をいう。情緒のレベルより、いちだんと成長した感情であるといえる。◎情操の特
《第二章 情緒と風土》【要約】・情緒は、民族や文化によって根本的な規制を受けるものではなく、人類に共通のものである。しかし、ある種の情緒が風土の影響で、濃淡をもっているという事実はある。(暑いインドでは太陽が憎しみの対象になっているが、日本
《七 情緒のない世界》【要約】◎人間から情緒というものがなくなれば・・・・。・他人をうらんだり、憎んだり、怒ったりすることがなくなれば「傷害事件」は起こらなくなる。・ねたましい、のろわしい、うらやましい、うらめしいといった情緒がなくなれば、
《六 情緒と生理現象》【要約】・「病は気から」という考え方は、近代医学によって一度は否定されたが、病原菌による病気のほとんどが征服されるようになって、再び見なおされてきたようである・ヒステリーは、少なくとも精神的な原因によって一時的な身体症
《五 情緒の特性》 【要約】⑴ 没論理性:二通りの意味がある。 �情緒は面前の刺激に直接的な反応として現れるのであって、論理的な思考の結果として、現れるということはあり得ない。*怒りは、相手が、自分に悪意を抱いていると感じた時