最終章:終わりの祈り
沈黙の神殿、その最奥。八つの石台の試練を越え、彼らはついに最深部へと辿り着いた。そこには何もなかった。祭壇も、玉座も、敵も。ただ一枚の黒い石板が、空間の中心に埋め込まれているだけだった。「……これが、“深淵の声”か?」リオネルが近づくと、石板の上に淡い光が浮かび始める。それは文字でも図でもなく、感情のようなものだった。「よく来た。ここが終わりであり、始まりである」その“声”は耳ではなく、胸に直接響いた。「お前は……神なのか?」ミリアが問うたが、答えはなかった。代わりに、神殿の壁がひとりでに動き出し、周囲の空間が広がっていく。それは、世界の記憶だった。かつて滅びかけた文明、犠牲となった命、守られた願い。あらゆる“終わり”が、この場所に集まり、静かに記録されていた。「俺たちは、これを知るために来たのか?」エリ...最終章:終わりの祈り
2025/06/15 08:16