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  • 東響第99回川崎定期(3月31日)

    東響初登場の指揮者オスモ・ヴァンスカがどんな音楽を聞かせてくれるか楽しみに出かけた今シーズン最終の定期である。ニールセンの序曲「ヘリオス」OP.17、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番ハ短調OP.37、そしてプロコフィエフの交響曲第5番変ロ長調Op.100というプログラム。不思議なプログラムではあるが、あえて言えばどの曲も肯定的な雰囲気に終わるということか。きな臭い今のご時世ではこれは大いに聴く者の心のなぐさみになる。まずは明快な音色にこの作曲家を強く感じるニールセンの序曲で気持ちよく始まった。この曲はデンマーク放送では新春を寿ぐ音楽だったそうだ。ヴァンスカの堅固で迷いのない音楽が心地よい。続いてピアノにイノン・バルナタンを招いたベートーヴェンのコンチェルト。これは正統的なベートーヴェンと明らかに異なる音...東響第99回川崎定期(3月31日)

  • コンサート・ホール・ソサエティのこと

    もう50年以上も前のことになるが、世界最大のレコードクラブと称する「コンサート・ホール・ソサエティ」という主にクラシック系のレコードクラブの広告を雑誌でよく見かけることがあった。当時30cmLPは一枚2,000円前後(今のCDとほぼ変わらない)だったが、この会社のLPは一枚1,350円だったので、貧乏学生にはとても魅力があった。会費はなく、毎月自宅に送られてくる「音楽通信」という小冊子に紹介されている「今月のレコード」が自動的に届くシステムである。その場合は梱包に同封されている振り込み用紙で期限までに支払いを済ますのである。もし記事を見て欲しくない場合は定められた期日までに同封の断り用のハガキで返信すればパスできる。小冊子には今月のレコード以外にも何枚か紹介されていて、それをオプションで注文することもでき...コンサート・ホール・ソサエティのこと

  • かなっくde古楽アンサンブル(3月22日)

    慶應義塾大学の学生団体「慶應バロックアンサンブル」のOB&OGで主に構成されているアンサンブル山手バロッコが、小林恵(ソプラノ)、池田英三子(トランペット)、小野萬里(ヴァイオリン)、坪田一子(ヴィオラ・ダ・ガンバ)という3名の古楽器奏者をゲストに迎えて開催されたオール・バッハのマチネーである。開催場所は東神奈川駅に隣接した横浜市神奈川区民文化センターかなっくホール。このホールは単なる箱物に終わらず数々の企画を積極的に展開している。これはそんな主催公演の一つでこの日も満員の盛況だった。曲目はJ.S.バッハのブランデンブルグ協奏曲第6番変ロ長調BWV1051とカンタータ第209番BWV209「悲しみのいかなるかを知らず」よりシンフォニアとアリア「不安や怖れを乗り切った舟人は」、そして休憩を挟んでブランデンブ...かなっくde古楽アンサンブル(3月22日)

  • 神奈川県民ホールの休館によせて

    東京では音楽ホールの休館が相次ぐ。現在休館中の東京芸術劇場(2024.9.30~2025.08)に続いては紀尾井ホール(2025.8.1~2026.12.31)、東京オペラシティの2つのホール(2026.01~06)、サントリーホール(2027.1~秋)東京文化会館(2026.5~3年間)と続いて東京のコンサート事情はおおきくそれに影響されるだろう。しかしこれらは皆機能を新たにして再開するのだから、ある意味では、親しんだ意匠が変更さえたりして懐かしさは半減するかもしれないけれども大いに希望はある。なにせあの東京文化の狭い椅子ではオペラの長丁場はきつい。(キャパは若干減らしても前川國男氏の傑作の雰囲気をうまく残して居心地良くしてもらいたいものだ)しかし神奈川県民ホールの休館は先が見えない。この横浜は山下公園...神奈川県民ホールの休館によせて

  • 京都市響第698回定期(3月15日)

    常任指揮者沖澤のどかが振る今年度2回目の定期演奏会だ。昨秋には出産のため欠場だったが無事出産を終え復帰である。このプログラムを知った時からとても期待していたが果たして期待は裏切られることはなかったまずは藤倉大の「ダブル協奏曲ーヴァイオリンとフルートのための」ではバイオリンの金川真弓とフルートのクレア・チェイスが気持ち良い呼応を聴かせてとても大きな効果をあげた。名手に恵まれれば音楽的共感が得られる佳作だと言っていいだろう。そして待ちに待ったR.シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」は丁寧に扱いつつも強烈なドライブ感を感じさせる若々しく颯爽とした演奏で、京都市響が強靱に鳴りきった。プレトークで今回は練習に同会場が使えて音が変わったと言っていたが、たしかに一皮剥けた芯の強さが感じられたのである。巨匠の熟達した音楽も...京都市響第698回定期(3月15日)

  • 紀尾井ホール室内管第144回定期(3月14日)

    このオケの定期で初めての試みである演奏会形式のオペラに選ばれたのは、モーツァルトの「コジ・ファン・トゥッテ」。指揮は首席指揮者のトレヴァー・ピノックだ。少し奥に下がったオケの前の空間とホール平土間通路を使った家田淳の演出は簡素ながら十分に立体的ドラマを表現した。何より気持ちよさそうに振るピノックの闊達な指揮がオケを沸き立たせ、そこに聴かれる多彩なオーケストレーションに天才の筆致を聞いた。この作品の特徴として重唱の美しさが挙げられることは多いがオケ伴も中々凄いことになっていて、単なる歌の伴奏にとどまらず歌以上にドラマを表現している箇所が沢山あったのだということに遅ればせながら気がつき、聴きながら嬉しくなってきた。(人生はやはり短いな)ピノックの絶大な力量に負うところが大きいと思う。配役には歌役者が揃った。フ...紀尾井ホール室内管第144回定期(3月14日)

  • 日本オペラ協会「静と義経」(3月9日)

    1993年に鎌倉芸術館の開館記念委託作品として制作初演された三木稔の作品で台本はなかにし礼。今回は新鋭生田みゆき演出によるニュープロダクションだ。(当初は三浦安浩がクレジットされていたが一身上の都合とやらで変更された)指揮は2019年3月に行われた本協会による再演でも指揮を執り、西洋物でも23年9月藤原歌劇団の「二人のフォスカリ」等で鮮やかな仕切りを見せている田中祐子。源義経と静の悲恋を描いたなかにし礼の脚本は流れが良く、さすがに歌詞もよく聞き取れて全くストレスがない。(今回は英語の字幕付き)三木の音楽は邦楽器や打楽器も多用したものだが、それらはオーケストラの中に自然に落とし込まれて違和感なく効果をあげ、華やかな群衆場面もアリアも盛り込まれた立派なグランドオペラ風作品に仕上がっている。当日の歌手陣は皆自然...日本オペラ協会「静と義経」(3月9日)

  • 東京シティ・フィル第377回定期(3月8日)

    思い返せば4年前の今頃はコロナ禍の中で多くの音楽会が中止されたり変更されたりしていた。そんな感染症の状況は未だ完全に払拭された訳ではないのだが、そんなことが遠い過去のことになり平常な生活が戻ってきているのが実に不思議だ。さてTCPの今年度最後の定期演奏会は、そんな折に大規模声楽曲を避けて曲目変更された2021年3月定期のリヴェンジ公演である。独唱陣は最初のアナウンスと変更なしという大きな拘りがこのオケらしい。(シティ・フィルは演奏会形式の「トスカ」の日程変更に際しても同様の拘りをみせた過去がある)指揮はもちろん常任指揮者の高関健である。何よりその拘りの独唱陣がとても良かった。ソプラノの中江早希の良く伸びるビブラートの少ない純粋な声はまさにレクイエムに相応しかった。メゾソプラノの加納悦子の深く掘り下げたドラ...東京シティ・フィル第377回定期(3月8日)

  • 新国「カルメン」(3月6日)

    2021年7月に初演されたアレックス・オリエのプロダクションが3年振りに再演された。指揮はコロナ禍で外人指揮者の欠場が相次いだ時期に日本に残留して強い助っ人として活躍したことが思い出されるガエターノ・スピノーザだ。実は本舞台初演後に行われた「高校生のための公演」で、指揮沼尻竜典、カルメン山下牧子、ドン・ホセ村上公太、エスカミーリオ須藤慎吾、ミカエラ石橋栄実という顔ぶれで観ていたプロダクションだ。しかし今回はコロナ禍で動きに制限の多かった初演時とは別の舞台と考えたほうが良いだろう。設定は現代日本で、カルメンは来日したロックバンドの人気歌手、エスカミーリオはその警護にあたる警察官の一人。そしてこのバンドは実は密輸もしているという話になる。決して読み替えではなく脚本の要点はきちんと踏襲した分かり易く退屈しないと...新国「カルメン」(3月6日)

  • びわ湖ホール「死の都」(3月1日)

    昨年の「ばらの騎士」に続くびわ湖ホール芸術監督阪哲朗プロデュース・オペラの第二弾はコルンゴルドの「死の都」である。とは言え今回のプロダクションは2014年3月8日に新国の初演に4日先立って日本初の舞台上演となった故栗山昌良によるプロダクションを今回岩田逹宗が再演出したものだ。初日の今日は何よりパウル役のびわ湖声楽アンサンブル出身の清水徹太郎が声、演技ともに大層充実した出来栄えを示し全体を強く牽引した。対する友人フランクの黒田祐貴は渋い歌と演技で大きな存在感を示した。マリー/マリエッタ役の森谷真里は幕を追う毎に迫力を増してゆき、終幕で自分の恵まれぬ人生を語る件(くだり)以降は正に鳥肌の立つ程の絶唱だった。侍女ブリギッタの八木寿子は深い美声と冷静沈着な役作りで脇を固めた。その他ユリエッテに船越亜弥、ルシエンヌ...びわ湖ホール「死の都」(3月1日)

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