心臓がドクドクいっているのは自分でもわかったが、本当にどうしたものか…沈黙に耐えられず俺の方から、「…聖名…」「…うん…」聖名の方もかなり緊張しているようで、俺は逆に安心した。そして、(プラトニックなタイプなのかな?)なんて思った。すると、聖名が頬にキス…なぜ唇にしてくれないんだろう…なんてそんなことを少し思ったりして…すると、「ごめん緊張しちゃって…」そう言ってしがみついてきた。(もしかして本当は聖名も男は初めてで困っているんだろうか…)そこから先は何事もなく…でも緊張はしているし、それで疲れているしで眠れず…聖名も眠れはしないらしく、俺もその気配のため眠れなかった。それでも少しは眠ったようで、次の朝目覚めるといつもより少し遅い時間だった。◆小説「傾国のラヴァーズ」76・聖名との夜