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  • 66 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog 蜘蛛の絲ががんぴの花をしぼりたる 虚子  まず、がんぴの花を調べた。読み込み不足かもしれないががんぴには二種類あってじんちょうげ科のものと、もうひとつはなでしこ科のものがあると読んだ。そして花の形状からこの句はじんちょうげ科のそれを

  • 102 『名句の所以』(著:小澤實)から

    Ryo Daimonji Blog 老人が被つて麦稈帽子かな 今井杏太郎  麦わら帽子を被った祖父の赤銅色の首筋が甦った。父ではなく祖父である。労働に期待を見せずこなす人であった。このかな、実に見事な詠嘆である。

  • 32 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

    Ryo Daimonji Blog 蒼海の浪酒臭しけふの月 芭蕉  蒼青と広がる海、そして波。大自然を前にして尚、酒臭いという。自分が纏っている世俗臭を月のせいにする。確かに月はいつの日も俗世を照らし酒臭いと言えばそうだが、僕はその香りをめでたいと思う。

  • 65 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog 大蛾来て動乱したる灯虫かな 虚子  街灯に虫が集まっている。そこへ一際大きな蛾が来て虫の集団の秩序が乱れてしまった。それを動乱と表現している。たあいない夏の夜の街灯での出来事であったが、取り立てて一句にした手柄を言いたい。

  • 101 『名句の所以』(著:小澤實)から

    Ryo Daimonji Blog 蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな 芥川龍之介 「蝶の舌ゼンマイに似る」とはいかにもよく言ったもので、天下の芥川龍之介さんが小学生のように見たまんまを俳句にして仰ったのだ。このゼンマイに似た蝶の舌というのは蝶の口吻あるいは吸収管で、蝶の成

  • 31 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

    Ryo Daimonji Blog はりぬきの猫もしる也今朝の秋 芭蕉  はりぬきの猫、張子の猫のことでいわゆる招き猫のことであろう。暑さも和らぎ店先の招き猫も秋の到来を知るかのような今朝の秋である。と言った句意であろうか。

  • 64 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog 火の山の裾に夏帽振る別れ 虚子  昭和七年六月の前書に「六月二六日下山。焼岳の辺迄とう等送り来る。」とある。万感の思いはあるにせよ男同士の別れはきっぱりとかくありたい。場所は焼岳の裾、夏帽を振り合うのである。

  • 100 『名句の所以』(著:小澤實)から

    Ryo Daimonji Blog 蜥蜴の交尾ずるずると雄ひきずられ 田川飛旅子  珍しい蜥蜴の交尾だと、僕はこの歳まで見たことがないが見たいとも思はない。交尾をしたまま雌が雄をひきずっているんだ。生殖における雌の優位とかそんなこと飛旅子さんが言いたいわけない、そのま

  • 30 芭蕉の風景・全句 (ウェッジ 小学館)

    Ryo Daimonji Blog 塩にしてもいざことづてん都鳥 芭蕉この句は2021/12/28の再読である。 信徳を介するかは別として、ともあれこの句は清登への芭蕉の友情の句であった。今再読しての感想は都鳥を塩漬にして、食用の土産としてどれほどの価値があるのやら、その根本

  • 63 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog 鉛筆で助炭に書きし覚え書 虚子  この句の虚子さんの状況は全くわかりません。ただとても大事なことをメモる必要があって、咄嗟に助炭に鉛筆で覚書をしたと言う句意のようです。助炭という炭火を長持ちさせるための道具が、その時の時代の空気を

  • 99 『名句の所以』(著:小澤實)から

    Ryo Daimonji Blog青大将に生れ即刻殺たれたし 宮入 聖 子供の頃、青大将と呼ばれる蛇を石でいじめたことがある。殺したかどうかは覚えていないが、相当に弱るところまでやったような記憶だ。この句、作者はその青大将に生まれ、即刻死ぬまでうたれたい、と言う。その

  • 29 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

    Ryo Daimonji Blog 雨の日や世間の秋を堺町 芭蕉  この下五の堺町は東京都中央区人形町、そこの芝居小屋に足を踏み入れると華やかな別世界らしい。世間の雨の秋の日に秋の境を超えて堺町に、と言い掛けているとか。

  • 62 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog 秋山や槶をはじき笹を分け 虚子  秋山を行く時、笹を分け入ることはよくあることです、それに加えて椢をはじきと付け加えることで秋山の豊かさがたっぷり伝わります。こういうさりげない表現、虚子さんならでは。

  • 98 『名句の所以』(著:小澤實)から

    Ryo Daimonji Blog水ゆれて鳳凰堂へ蛇の首 阿波野青畝 この句は想像句であろうか写生句であろうか。私は、写生句と解する。鳳凰堂の前に阿字池と呼ばれる池がある、「水ゆれて」はその池の水のことだろう、そこに一匹の蛇がいて鳳凰堂に向かって泳いだのである。それが

  • 28 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

    Ryo Daimonji Blog 実や月間口千金の通り町 芭蕉  月の美しい通りを詠まれたのであろう、東京都中央区日本橋に輝く月は、値千金とある。さらに「月千金」「間口千金」の言い掛けは、謡曲「田村」を踏む、とある。調べるも僧と少年との清水寺での春宵一刻値千金の一幕

  • 61 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog  もの言ひて露けき夜と覚えたり 虚子  前書きに「八月二十六日、鎌倉俳句会、たかし庵」とあるらしい。「もの言ひて」の上五に句座一同「やられた」と唸ったことだろう。常套表現だがなかなかこれが出ない。

  • 2023年 夏

    Ryo Daimonji Blog「栄冠は君に輝く」という高校野球讃歌があっていろいろな人が高らかに歌う、僕はそれを聞くたびに涙してしまう。この曲はまさに高校野球球児の俳句で、あの歳でなすスポーツの美しさ、空、雲、夏、友情、敗北、恋さえも写しているのではないか。悔しさ、

  • 97 『名句の所以』(著:小澤實)から

    Ryo Daimonji Blogひるがほに電流かよひゐはせぬか 三橋鷹女 私も花は好きで、人並みに四季の花を見てきた。日に透ける花弁を見ていると電流が流れているかのような美しさを感じることは、よくあることだ。しかし、ひるがほにそれを見出すとは、鷹女さんの感性の特異さ

  • 27 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

    Ryo Daimonji Blog 秋きぬと妻こふ星や鹿の革 芭蕉  陰暦の七夕は七月七日に牽牛星と織姫星が天の川を渡る祭りですが、新暦では八月二十二日秋の日の祭りとなります。そして、牽牛星(彦星)が妻である織姫星を恋い始める秋頃になりますと、鹿も妻恋の声を発するように

  • 60 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog 蜘蛛打つて暫心静まらず 虚子  場面がよくわからない、蚊、蠅、蜚蠊、などを打って心が動揺することはそうあるまい、それぞれに打たれるに足る所以があるからだ、しかし蜘蛛。家の内であれば掃除に打つこともあるが、外での場合、勤勉にただ巣をは

  • 96 『名句の所以』(著:小澤實)から

    Ryo Daimonji Blog夏草に鶏一羽かくれけり 福田把栗 夏の草は強い日差しのせいか、葉にしても花にしても逞しい。草刈るのも相応の覚悟がいるように思う。庭の夏草に放し飼いの鶏が入っていった。めったなこともないのだが気にかかる。餌を探しているだけなのだが、鶏の

  • 26 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

    Ryo Daimonji Blog 水学も乗物かさんあまの川 芭蕉  水学とは、水からくりの優れた技術者水学宗甫のことであるらしい。その水学が天の川が増水して牽牛・織姫が逢瀬を妨げられたら、乗物の舟をだして助けることでしょう、と七夕伝説を脚色している。あと、七夕の習俗

  • 59 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog 闇なれば衣まとふ間の裸かな 虚子  人間の裸というのは、状況によってはエロスの象徴ともなる。電気を消して闇にして衣をまとうまでの裸、自分のことの場合もあろうが、やはり妻であったり恋人の場合の方が直接的に響く。だからどうとかではなく、

  • 95 『名句の所以』(著:小澤實)から

    Ryo Daimonji Blog頭の中で白い夏野となつている 高屋窓秋 炎天とか炎昼のイメージって白い。かといって夏野のイメージが白いとは限らない。夏野に咲く萱草の花や凌霄花を思うとき、緑と相まって強く生命力を感じる。したがって、この句のモチベーションがどういう絶望

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