花より男子の二次小説。つかつくメインのオールCPです。
Re: notitle 13この女は一体、何を考えているのか。分からない。仕事以外で女と話すことなどないから、分からない。今までの人生において「分からない」という選択肢はなかった。彼女は、俺が出会いも結婚相手も求めていないことに気が付いているから、何しに来たという質問が出たのだろう。だからといって、それを正直に話す必要もない。これは返答次第では、運営に報告されるような話だ。出会いも結婚も求めていないのに、こうし...
Take your time. 2 (完)「……ん、」しばらくそのまま髪の毛を撫でながら牧野を見ていたが、それに気が付いたのか薄っすらと目を開けた牧野。初めはぼんやりとしていたけど、俺の姿を確認すると、また涙を流し始めた。やっぱり俺か。また俺が、何かをしたんだ。「……牧野」「道明寺、」「ごめんな、何が悪いのか分からないんだ。牧野を泣かせたいわけじゃないんだが、これ以上どうしたら良いのか分からなくてな」「ちが、違うの……!」...
Take your time. 1昨年のクリスマスの朝にケンカをしたことから始まった別れ話。牧野が家を出て行ってしまったり、道明寺家と牧野が養子縁組することになったり、色々あった。結局、納会ではもちろん牧野の養子縁組ではなく、俺と牧野の結婚が報告されたわけだけど。牧野が妊娠していることを知ったあの日から約一ヶ月。最近、牧野が素っ気ない。当たり前の日常がいつもあるなんてことはなくて、「いつも」は誰かの支えで出来てい...
Re: notitle 12この男は一体、何を考えているのか。確かに無口で、女性が苦手だとは言っていた。だからって、置いていく?!途中であたしが隣にいないことに気が付いて戻ってきてくれたのは良いけど、ゆっくり歩いてくれって言ったのに、ほんの少ししかゆっくりにしてくれなかった。だから、あたしはほぼ小走りで彼のあとを付いていく羽目に。たまにちらりとこちらを見ているから、あたしが小走りなのに気が付いているはずなのに!...
Re: notitle 11姿見の前でくるりと回る。変なところないよね。白のざっくりニットに、紺色のタイトスカート。コートは黒にした。靴も黒のショートブーツ。アクセサリーはどうしようか悩んで、シンプルなネックレスとピアスを付けることにした。肩より長い髪の毛は後ろで束ねてポニーテールに。今日は本当にミドウさんは来るのかな。お店を予約したと言っていたから、今日は絶対来てくれるはず。もし来なくてもパンケーキだけは絶対...
Re: notitle 10あきらと総二郎に薦められて始めた婚活アプリ。俺が何かすることは一切なく、この日を迎えた。憂鬱だ。今までの人生において、こんなに憂鬱だったことはない。どれだけ厄介な仕事でも、どれだけ面倒な見合いでも、ここまで気持ちが沈んだことはなかった。午前中のNYとの会議が長引けばいいと思っていたのに、西田にきっちり時間通りに切り上げさせられた。これから付き合う予定もない、一回会っておしまいになるだろ...
Re: notitle 09進に薦められて始めた婚活アプリ。進に改善点を見つけたいと、あたしからの条件を呑み、上司を巻き込んでまで頼んできたことに出来ないと断ることは出来ず、真剣に結婚相手を探しているだろう彼らには申し訳ないと思いながら会っていた。あたしから誰かにイイねをすることはなく、イイねしてくれた人からプロフィールを見て適当に選び、数人にだけイイねを返した。そこでマッチングしてメッセージをくれた人と何回か...
Re: notitle 08「司、類がそこまで興味を持つ女、気にならねぇ?」「……ならないと言ったら嘘になるな」「だよな!その部下の姉も同じアプリ使ってるって言ってたよな?もしかしたら司とマッチングすることもあるかもな〜」総二郎がニヤニヤしながら俺を見てくるが、たとえ類が興味を持ったとしても俺はどの女にも会うつもりはないのに、馬鹿なことを言う。類は着ていたコートをダイニングのイスに掛け、カウンターのイスに座るとキ...
Re: notitle 07「姉ちゃん、今日は楽しかったね!」「進、あの人は一体何なの?」「あの人って専務のこと?」「自己紹介して食事が始まったまでは良かったのに、食べ始めてしばらくしてから、あたしと進を見て笑い転げるって何?!連れてきてもらったことには感謝してもし尽せないけど、あれはちょっと失礼じゃないかな?!」「いや、専務とご飯食べる時はいつもあんな感じだよ。今日は一段と笑ってたけど、俺も初めて専務とご飯食...
Re: notitle 06 「司、おかえり〜!」「……お前ら、どうやって部屋に入ったんだ」「ん?聞いてねぇ?西田さんから合鍵預かってるけど」また総二郎とあきら。暇ではないだろうに、こいつらも何を考えてるのか。あきらはともかく、総二郎は茶事が続く年末年始はいつも忙しくしていたはず。西田も西田だ。何でこいつらに合鍵なんて渡したんだ。合鍵と言ってもカードキーだし、指紋認証もしないと入れないはずなのに。わざわざカー...
Re: notitle 05「姉ちゃん、おかえり〜」「……あんたね、来るなら来るでメールの一つくらいしなさいよ」もうすぐ年末。年末は通常業務に加え雑務が多くなるし、週末にある納会の準備で残業になってしまった。クタクタに疲れて、今日のお夕飯はカップ麺で済ませちゃおうかな、なんて思いながら帰ってきた。アパートの玄関横の窓から漏れる光に、ため息をついて鍵を開けて中に入れば、また合鍵で勝手に人の家に上がり込み、こたつに埋...
Re: notitle 04「ほら司。ニックネーム何にする?」「んなもん知るか!お前らで勝手にやってろ」本人確認が取れたのか、プロフィール登録まで始めた三人。「ミドウ ジョウ」「ん?何か言ったか、類」「アナグラムだよ。「道明寺」をバラして、組み替える」「お〜!さすが類くん!それっぽい!それでいこう」いつも無表情の類も、心なしかウキウキしたような顔をしている。まぁ自分が責任者なら、それなりに改善点を洗い出した...
Re: notitle 03「ほら姉ちゃん。アプリ、ダウンロードしたから写真撮らせて」「写真?!載せるの?!」「違うよ、本人確認で必要なんだ。姉ちゃんパスポート持ってるよね?」「めんどくさ!」「プロフィールに載せる写真とは違うから。正面から撮るよ」「えっ」戸惑っている間に写真を撮られ、パスポートを出すように催促される。これで顔認証システム?でパスポートの写真と、いま撮った写真が同一人物だと確認されればオッケーな...
Re: notitle 02「絶対に嫌だ。ふざけんなクソが」「まぁ、そう言うなよ司」「司も来月には30歳だろ?流石にそろそろ考えないと」幼稚舎からの幼馴染み、西門総二郎と美作あきら、それに花沢類と俺の四人は、幼い頃からいつも一緒にいた。楽しいことも、悪いことも、ほとんどがこいつらとの記憶ばかりだ。お互いの生まれた環境が似ていたから、理解し合える部分も多かったんだろう。四人ともそれなりの年齢になり家業を継ぐべく、あ...
Re: notitle 01「絶っっっ対に嫌!だからね!」「姉ちゃん!頼む!俺を助けると思って!」いくら弟の頼みとはいえ、嫌なものは嫌。「い、や!」三歳下の弟の進は、花沢物産にSEとして勤めている。そこのアプリケーション開発コンペで最終選考まで残り、遂には採用されたのだという。進の提案したそのアプリは既に開発されテストも終わり、運用が始まっているらしい。花沢物産が運用しているアプリと言うことで信頼性はあり、認知度...
次のお話のお話。(2023.01.19)こんにちは。当ブログにお越しくださりまして、ありがとうございます。みなさまからの拍手やコメントに励まされて生きています。次のお話ですが、予約投稿日を間違えまして。本当は昨日から始める予定でしたが、うっかりでした。楽しみにしていただいた方には、大変申し訳ないことをしました。すみませんでした。ということで、本日から新しいお話を始めます。またつかつくです。「類つく」にするか「...
Take a look at me now. 〜 Live,love,laugh and be happy!2 〜
Take a look at me now. 〜 Live,love,laugh and be happy!2 〜桜子と滋さんとランチビッフェに来たはずのあたし。なのにアイマスクをされ、服を剥ぎ取られエステをしたあと、アイマスクを付けたままで桜子と滋さんに手を引かれて歩いていた。「ねぇ、これさ、今あたし何を着てるの?」エステで着るようなバスローブでもないし、もちろん着てきた服でもないと思う。なんだか動くたびにガサゴソと音がするし、歩きにくい...
Take a look at me now. 〜 Live,love,laugh and be happy!1 〜
Take a look at me now. 〜 Live,love,laugh and be happy!1 〜お見合いの二週間後から道明寺の秘書を始めたのと同時に、道明寺からの強い要望により一緒に暮らすことになったんだけど。本当に意外だったのは、道明寺が思ったより身の回りのことを自分ですることだった。ご飯はそんなに作らないようだけど、洗濯に掃除、コーヒーを淹れるくらいはする。ずっとお邸で生活していた人だし、NYでも日本でもペントハウスにハ...
Take a look at me now. 〜 After story within the company. 2 〜
Take a look at me now. 〜After story within the company. 2 〜「社長、社員さんたちの前で何を言うつもりですかっ」食堂横のエレベーターホールで待ってる間も小声で道明寺に注意を促すけど、たまにキレると手が付けられない時があるから困ったもので。社員さんたちの前ではキレることは滅多になかったんだけどなぁ。「うるせぇ!断ってんのに、どいつもこいつもしつこいんだよ!しかも勝手に体に触るやつがあるか!...
Take a look at me now. 〜After story within the company. 1 〜
Take a look at me now. 〜After story within the company. 1 〜お見合いをした後に、一週間で引継ぎをして日本へ戻れと言われたけど、実際には二週間かかった。会長秘書だから、生活拠点はもちろん会長と同じくNY。会長と社長のスケジュールも上手く噛み合わず、時差もあって西田さんとなかなか引継ぎ作業が出来なかった。今まで道明寺はずっと西田さんをメインに男性秘書を連れていて、一度も女性を秘書にすることは...
Take a look at me now. 〜After story with makino family. 〜
Take a look at me now. 〜After story with makino family. 〜あのお見合いの日から約一ヶ月後のある日。道明寺は一度決めたら、実行するまでが本当に早い。それが財閥の社長なんて仕事をやっていられる所以なのだろうけど。今は、道明寺と二人で牧野家に来たところで。あたしの家族には、お見合いをしたこと、そのお見合い相手の人と結婚することにしたから、一度会ってほしいと時間を作ってもらった。普通は予め相手...
Take a look at me now. 後書き「Take a look at me now. 」を最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。「今の私を見て」ってことで、テーマとしては「存在意義と幸せ」でした。もう、最後のほうは本当に鬱々としながら書いてました。だってなんか道明寺が道明寺らしくないじゃん。書いてる本人が言うなよって話なんですけどね、本当に。どうしてこの話を思いついたのか忘れたんですけど、存在意義を調べて...
Take a look at me now. 37 (完)「道明寺、あなただってこの五年間、何もしなかったわけじゃないでしょ?」「……牧野が、言ったから。何から始めたら良いのか分からなかったけど、牧野が俺なら出来るって、言ってくれた。だからそれを信じて、今まで出来なかったことを、人を大切にすることから始めてみようと、ただそれだけで、俺の言動一つで誰かを笑顔に、幸せに出来るんだって、牧野が教えてくれたから」「誰かを大事に大切にす...
Take a look at me now. 36一頻り食べて満足したらしい牧野は、ソファに移って食後のコーヒーにミルクと砂糖をたっぷり入れて飲んでいたが、さっきから隣に座る俺をチラチラと見てくる。「さっきから何だよ」「あ、あのね、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、でも、あのー、話したくなければ話さなくても良いんだけど、えっと」「何だよ、聞いてみないと分かんないだろ。なに?」「あの……、赤札、のことなんだけど」ドッと一瞬...
Take a look at me now. 35ふと目が覚めると、目の前には道明寺のきれいな寝顔があった。起きてすぐに道明寺の顔って!心臓に悪い!ドキドキしつつも初めて見る寝顔に嬉しさが込み上げてきて、まじまじと見てしまう。長い睫毛に、高めの鼻は鼻筋も真っ直ぐで、薄めの唇も触れると意外と柔らかいことを知った。同じ人間なのに、こうも作りが違うものかと感心してしまう。その唇に、ほんの少し指先で触りながら、その柔らかさを確か...
Take a look at me now. 34ついさっきまで、あたしが道明寺に今までのことを怒って言っていたはずなのに。いつの間にあたしが責任を取るなんて話になってるの?365日24時間秘書ってなに?どういうこと?それに、この人は、本当に道明寺?今までちょっと乱暴だったり強引だったりすることはあったけど、ここまで口を挟ませないほどに事を運ばれたのは初めてで、だからって、まだ何も話してないのに!「ちょ、ちょっと待って!」「お...
Take a look at me now. 33「これから一生俺の側から放してやれなくて、ごめんな」「は?」「は?って何だよ、そのままだろ。俺は一度もお前を忘れたなんて言ってねぇよ。諦めたとも言ってないし、俺の中から牧野がいなくなったこともない。だが、そうだな。一つ言うなら、類とのことを勘違いして連絡しなかったのは、悪かった」「え?」「え?じゃねぇよ。そもそもにあんな写真撮らせたのが悪いんだろ。お前も簡単に類に騙されて...
Take a look at me now. 32「愛してる」なんて、酷い人。この五年間、何が起こってもあたしの気持ちは一つもブレなかった。ただ、ただ道明寺が好きなで、愛していただけ。なのに、この人は。噂や信憑性のない雑誌に惑わされ、勝手に結論付けて連絡を断ち、あたしを忘れようとした。何も言わずに、黙って。あたしに対する気持ちは、そんなものだった?あたしだけが、いつまでも。他に想う人が出来たなら、言えばいい。それでもあた...
Take a look at me now. 31「それで?俺と牧野が結婚するって勘違いした司は、牧野を忘れようと仕事ばっかりしてたわけ?」「……別に忘れようとしてたわけじゃねぇよ。だから今回も相手が牧野と知る前に断りを入れただろ」「知らないでお見合いを受けたのには変わりないでしょうよ」牧野がぎろりと俺を一睨みするから、どうも居たたまれない。俺も多少は悪いのは分かっているが、分が悪過ぎる。気まずくて、手元の会席料理に視線を...
Take a look at me now. 30 「牧野。あなたが司さんを動かしたのね」「……私ですか?」 「やめろって言ってんだろ。牧野は関係ねぇ!」 テーブルを思い切り叩きたい衝動に駆られる。こんな時に話さなくても良いことだ。あんな赤札を貼って面白がっていたなんてことは人生で一番の後悔だ。他人に、改めて話されたくもない。 「あの……、その中学の同級生と同窓会で会ったのは、道明寺が謝罪に来た後だと思います…...
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