空に架かる橋 29
身体は不思議だ。少年の意識は混濁し思いも心も感情もいまや、定かじゃない。だけど彼のその部分は生きる事を求め、温みを欲しがる。その、身体の不思議な訴えはあたしにもおきていた。身体には個人の感情やこだわりや、そんなものに動じないもっと大きな希求があるとしか思えない。そう・・・。あたしの女性である部分はあたしの思惑をこえ、彼を包んでやりたいと訴えだしていたんだ。もちろん、あたしは彼の生きようとする姿を目の当たりにして、不埒な性的欲求や興奮なんて感情はあろうはずも無かった。それなのに、あたしのその部分は彼を生をいとしみ、彼を包んでやりたいと泣くかのように濡れそぼっていたんだ。身体はもっともっと大きな心を具有しているとしか思え無かった。空に架かる橋29
2022/09/13 18:53