訓読 >>> 婦負(めひ)の野のすすき押しなべ降る雪に宿(やど)借る今日(けふ)し悲しく思ほゆ 要旨 >>> 婦負の野のススキを一面に倒しながら雪が降っている。ここで宿を取らねばならないのかと思うと、今日はことに悲しく思われる。 鑑賞 >>> 高市黒人の歌。「婦負の野」は、富山県射水市あたりの野。「押しなぶ」は、横に倒す意。黒人は、越中にも旅したことがあるのか、左注には、この歌を伝誦したのは三国真人五百国(みくにのまひといおくに)である、とあります。三国真人五百国の伝は不明ですが、越中国庁に仕えていた人とみられ、天平19年に、国守の大伴家持が記録にとどめていたものです。古歌ですが、この時代まで…