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家庭菜園と、趣味での小説

ウサギを死なせてしまってペットは飼わないと誓うも、野良猫になつかれ結局飼うハメになちった(苦笑)

和也
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2022/01/14

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  • イブの決意・その20

    黒のレディス・スーツをスタイリッシュに極めたモデル並みの女性が高畑と供に歩いてきた。ライトオン・プロダクションのビルにあるロビーだ。 橘と昭雄は所属しているタレントや歌手の大型パネルに魅入られて全く気がつかない。 美鞘だけは、すぐに気付き、彼等が目の前に来るまでじっと目を離...

  • イブの決意・その19

    それから数日間がなにごともなく去り、美鞘はいつものように昼休みの図書室に行くと昭雄が既に居た。「よっ!早いね」と手を上げて同じテーブルの椅子に座る。「実は昨日橘さんから連絡があったんだ。携帯で電話かメールを送ろうと思ったけど、急ぎでもないし会って話そうかと思ってね」図書室に...

  • イブの決意・その18

    「ところでさ、美鞘ちゃん。剣術の練習はどうしてんの?」と橘が訊いた。「え~と、ですね。今の学校には女子剣道部がないんですよ。だから放課後一旦家に帰り、日が沈むまで人気のない場所まで行って、やってます」淡々と答える。「あ~そうか~。でもひとりだけで練習していても上手くならない...

  • イブの決意・その17

    「おっ、そうだ」橘は携帯を取り出した。昭雄は未だにスマホではなくガラケーの携帯を使っている橘を見てホwwッと声に出さず息を吐いた。(私もガラケー^^) 「早速高畑さんに電話で訊いてみるわ」ふたりは頷く。ボタンを操作し耳に当てて暫くすると、高畑が電話に出たようだ。 「あwwも...

  • イブの決意・その16

    昭雄と美鞘は同じように小首を傾げ眉根の中央に皺を寄せた。橘は話を切り、正面からふたりの表情を面白そうに見ている。 先に、もぞもぞとぎこちなく肩を揺らし口を開いたのは、やはり昭雄であった。言われた事を一旦プールして、自分なりの考察をはしょるタイプだ。 彼の場合、答える相手が居...

  • イブの決意・その15

    「まだ数ヶ月しか経っていないからお前たちの記憶に残っていると思うが黄色のダイバー・スーツのようなもの着た女性が、人並み外れた脚力、跳力を駆使して国道を走り抜け、それを目の当たりに見た市民をパニック状態にした。興味を持ったメディアが目撃者の証言をもとに辿っていくと、角川市の野...

  • イブの決意・その14

    9時50分、昭雄は『喫茶ドンとコイ』に着いた。自転車を店の玄関脇に停める。店主の手作りなのか、厚めの板に墨で黒々と極太の文字が躍っている看板がドアにぶら下がっている。現在駐車場には見たことのあるオンボロの軽自動車が一台と、店主の物であろうライトバンが一番店から離れた所に停め...

  • イブの決意・その13

    橘が昭雄に今週の日曜日に会えないかと電話すると、即ОKとの返事が返ってきた。(こいつ、余程暇を持て余してるんだな~。そういえば俺が立哨している時、挨拶代わりに『何か面白いことないですか?』だもんな~)一度署長に注意を受けてから、長話しはできなくなったので、最近ではお互いに心...

  • イブの決意・その12

    橘が家路に着いたのは午後5時前。家路といっても安アパートに、だ。実家は北海道の登別。自然に溢れてると云ったら聞こえはいいが、何もない辺鄙なド田舎だ。そんな所に嫌気が差して中学を卒業して直ぐに長野の親戚の家に下宿したのだった。両親は健在で、農業を営んでいる。時々は、橘のもとへ...

  • イブの決意・その11

    イブは全く不本意だと思った。突然現れた橘と云う警察官によって、どんどん目的が脇道に逸れてしまう。イブ的にはキリクノにグリーン・ビッチ製の剣を持った少女の素性を訊きたいだけなのだ。この事務所に出入りしているだろうから、玄関前付近で何気なく待っていて、彼女たちが現れたら話しかけ...

  • イブの決意・その10

    「いや、どうもお待たせしました」応接室のソファーに座っている橘とイブに声をかけ、高畑が対面のソファーに掛ける。 彼等が書斎をでて5分ほど、殆ど待っていると云うほど時間は経っていなかったのだが。 「社長と相談した結果、採用させて頂くこととなりました」そういってイブの反応を見る...

  • イブの決意・その9

    ライトオン・プロは業界で今最も注目されている成長株で、歴史が浅いのにも関わらず業界のナンバー3に肉迫している。そこの社長ならば、さぞやヤリ手で生き馬の目を抜く程の精力、活力に溢れている人物を想像するが全く正反対のキャラクターだった。その無駄に肥満な体を持て余し、温和で気の小...

  • イブの決意・その8

    橘を残し、高畑とイブは応接室の奥にある部屋に入った。そこに社長はいた。12畳ほどの洋間の壁際は全面本棚となっており、夥しい数の本がぎっしりと並べられていた。ここは、主に社長の書斎として使っている。大きなテーブルの向うに髪の薄い口髭を生やした、でっぷりとした体格の50代と思わ...

  • イブの決意・その7

    ライトオン・ミュージック・プロダクションは洗練された5階建てのビルで、玄関の自動ドアを開けると、広々としたロビーになっていた。ふたりはロビーの中程まで進んだ。特大のポスターパネルが壁一面に掲げてある。それはライトオン・プロダクション所属のスター達の華やかな共演であり、競演で...

  • イブの決意・その6

    「用件?・・・ですか~」イブは橘から視線を逸らし行き交う車の群れを漠然と眺めながら言った。 「私・・・私はキリキリくノ一隊の大ファンで、。いつしか彼女たちの様になりたいと憧れるようになったんです。それで、キリくノ隊のメンバーの方たちに話を聴いてみたいと・・・」嘘が下手だなと...

  • イブの決意・その5

    橘は現在日本には2体の宇宙人が暗躍していると考えている。1体は地球を滅ぼそうと画策し既に実行していると思われる最強で最悪な宇宙人。 もう1体は数ヶ月前、いっときテレビで大騒ぎとなったがそれ以来鳴りを潜めた、考えられない走力跳力を白昼堂々と見せしめて忽然と消えた宇宙人。 その...

  • イブの決意・その4

    橘は何気なく喫茶店の窓から店の前を行き来する人やその向こうの車道、そして建ち並ぶビル群を観ていた。 車道では途切れることなくかなりのスピードで車両が走っている。 (さすが東京だわ。自分らの住んでいる田舎と大違いや~)と、へんなところで感心している。ふと、道路を隔てた向こう側...

  • イブの決意・その3

    勤務明けに橘は早速高畑マネージャーに電話して、会って話したいことがある旨を伝えた。高畑の携帯電話の番号は特別待遇の橘の携帯に登録されている。「では早速今日の昼過ぎの・・・、そうですね、1時丁度にうちの事務所前にある『喫茶サンシャイン』でどうでしょう?」との問いかけに「その時...

  • イブの決意・その2

    イブの人工頭脳は、昨夜のうちにWi-Fi接続でインターネット検索を実行し「キリキリくノ一隊」の詳細を調べ上げていた。 「ライトオンプロダクション」所属。5人組ミュージック・ユニット。忍者のコスプレで軽業を取り入れた斬新なダンスと、 リード・ボーカルの由真を中心とした歌唱力も...

  • イブの決意・その1

    家の外は薄暗い午前4時。いつもの様に、強のアルバイトである新聞配達に送り出した後、身支度をして玄関口へ。均も歩美もまだ就寝中だ。 ここに来た時肩に掛けていたバッグには、博士が救助時にと用意した人工皮膚と同じ素材で出来ている黄色のコスチュームとブーツ、ヘッドホン式受信機が入っ...

  • 悩めるロボット・その1

    未無来がスクランブル交差点で観たトピックを、同日の夜遅くに放送する報道番組でイブも観ていた。 イブは自分が勤めているスーパーで、あの怪物の来訪を受けた日以降、ニュースや報道を常に神経を尖らせみていた。 イブのなかの赤い石は、未無来が宇宙的に恐れられる『グレート・デストロイ』...

  • 月光の剣・その7

    乾はみるみる血色がよくなり、顔もシワのないピンク色に変わったが・・・残念ながらピカリと光る頭だけは変わらなかった。「おお~!この爽快感!随分長い間忘れてた。まるで、心に澄み切った青空が広がっている様だ。この気分をこの年になって感じることができるなんて・・・。う、うっう・・あ...

  • 月光の剣・その6

    「あわわわっ!」加藤は逃げようとする気持ちと裏腹に、足がすくんで動けなくなりその場に腰が抜けたようにしゃがみ込んだ。お尻の辺りの床に水溜まりができている。恐怖の余り漏らしてしまったようだ。所長は両手で自分の頭を持ち上げて「頭って結構重いもんですね~、ヨイショっと。」首に乗っ...

  • 月光の剣・その5

    未無來所長は東京にいた。厚労省高官の乾から呼ばれたのだ。ここには、あのドリンクを飲ませた 加藤もいる。来る途中考えた。(加藤はもう用無しだな・・・。消えてもらうか)警備 員に乾の名を告げるとしばらく待たされたのち、許可証を渡された。エレベータに乗り込むと前もって聞いてある階...

  • 月光の剣・その4

    「皆さんこんばんわー、イブニングニュースの時間です。」 爽やかな笑顔でニュースキャスターの岡田が挨拶し、横にいる女性キャスターの矢田も同様に頭を下げて番組が始まった。一通り政治経済や、事件報道を 映像に合わせ解説して芸能ニュースのコーナーになった。芸能関係担当の 西野リポー...

  • 月光の剣・その3

    常識で考えられない事が目の前で起こった時、人間というものはあらゆる機能が低下するらしい。そのステージが終わった直後は美鞘と昭雄以外の人達は、口を半開きにして焦点の 定まらぬ目で彼女を見るだけだった。「みなさーん、今日はホントにありがとー」 と美鞘がマイクで挨拶しなかったらい...

  • 月光の剣・その2

    不満顔の昭雄に気付き橘が声を掛ける。「どうした、青年!何か言いたいことありそうだな?」昭雄は「いえ・・・。ファンを騙すというのはどうかと・・・。」歯切れの悪い口調で遠慮気味に昭雄が言う。「騙す?騙してなんかいないさ。美鞘ちゃんは今日採用されて出演するキリクノ隊の新メンバーだ...

  • 月光の剣その1

    緊急マイク放送が流れた。由真に関しての内容は避け、調整中なので暫くの間、静かに待つようにとの事だった。流石にプロ。この放送でざわついていた会場は、次第に静粛さを取り戻していった。しかし見渡すと、観客は皆一様に不安げな表情をしている。 昭雄はふと橘が気になり前屈みにのぞき見た...

  • ベストパートナー・その7

    刀に疑惑が及ばず一先ずホッとしてお互い微笑んだところで、開場となった。ガードマンの指示に従い、順次入って行く。割り込む者も無く皆礼儀を わきまえている。ガードマンは橘と顔見知りらしく、顔を見るなり敬礼をした。 橘のグループと言う事でノーチェックで入れた。指定の座席はいわゆる...

  • ベストパートナー・その6

    昭雄は思ってもみない絶好のチャンスが訪れたと思った。チケットを片手に美鞘に電話した。美鞘もとても喜んで、どんな事があっても必ず行く~!なんて、はしゃいでいる。 美鞘は単純にコンサートを観に行ける事が嬉しいのだ。まっいいか~と昭雄。 『キリくノ隊』のライブ・コンサートは観客の...

  • ベストパートナー・その5

    昭雄は美鞘の目をじっと見つめて聞き入った。そして美鞘が飲み物を口に運んで一息着いたのを見て、微笑んでこう言った。「美鞘さん。僕で良けりゃあ喜んで協 力させてもらうよ, どんな些細なことでも遠慮なく言ってくれていいよ。」「おそら く途轍もなく強い相手だと思うけど、その剣の力さ...

  • ベストパートナー・その4

    気がつけば、太陽は二人の真上から強烈な光射を降り注いでいた。幾ら木陰に居てもちょっとキツイ。「暑いね~!北見さん、僕ん家に行こうか~.。此処よりかマシだよ?」「え?」ちらっと家を見た。(どうしようか~?)「用事ある の?」っと昭雄。「僕、母さんと二人暮らしなんだけど母さんパ...

  • ベストパートナー・その3

    美鞘はワザと(やれやれ・・・)という顔付きをして立ち上がった。 昭雄はニコニコ笑って目を輝かせている。ガッツも嬉しそうに尻尾を振っている。 「じゃあ、やるかー!」」美鞘は気合の入った声を上げた。何が始まるのか 浮き浮き顔で昭雄が観ている。美鞘は「シュッ」と剣を鞘に収めた。す...

  • ベストパートナー・その2

    晴れ渡る空、木漏れ日の中。早朝の爽やかな、そよ風が心地よい林の中に美鞘は背筋を伸ばし立っている。小鳥が楽しそうにピーチク囀ってる。 両手を大きく広げ深呼吸を数回・・・空気が体に染み込む様だ。(美味い!)目を閉じ無想・・精神統一。あらゆる概念が消え自分自身のみになる。 「よ...

  • ベストパートナー・その1

    はや夏休み~! 引越しや転校した学校、ご近所の挨拶回りやお付き合いなんかで、瞬く間に月日が過ぎていった感がある。やっと落ち着いたと思ったら夏休み。 でもこれっていいかも~。月光の剣を試す時! 学校から帰って家に居る時は剣を片時も離さないでいた。自分の一部と化、しようと心掛け...

  • 昭雄の事情・その4

    熱にうなされながら三日三晩寝続けたらしい。ぼんやり目を開くと、母が心配そうな顔をしてこちらを見ている。笑ってみせるとホッとした顔で微笑んだ。よく見ると点滴をしている。「血がね~、出すぎたんだって・・それと傷口に汚水が入ったし。後、肺炎起しかかっていたって先生が・・・。でも峠...

  • 昭雄の事情・その3

    そんなことがありながらも咋な苛めは起こらなかった。浩之とて昭雄を苛めて楽しむ気持ちはさらさらなかったが、平穏に暮らしていた我が家にある日突然やってきた親子が疎ましく思ったのだ。そして同い年ゆえ何かに付け比べられる。祖父祖母も以前は自分をとても可愛がってくれたのに・・・。 自...

  • 昭雄の事情その2

    通う事となった学校から、1キロ程離れた杉林の中に昭雄の家はある。 廃屋かと思える位朽ち果てて今にも倒れそうな小さな家。 先月、母と二人で越してきたのであった。母の知人が無償で貸してくれた。 電気や水は来ているから文句は言えなかった。 昭雄が中学1年の時までは、極普通の笑いの...

  • 昭雄の事情その1

    佐藤昭雄はとても不安な気持ちで登校した。本当は母親に付いて来て欲しかったのだ。だが高校生にもなって流石にそれは言えなかった。 きゃしゃで性格も大人しい彼は、これからの学校生活に恐怖感が芽生えて目眩がしそうであった。職員室に入ると、明らかにこの学校の制服ではない女生徒が一人、...

  • 選ばれし救世主・その10

    一体どうなっているのか?抜き身自体が色光を放っている。不思議で魅力的なそのやいばに一同は目を奪われた。ハッと我に返った美鞘が、 皆に「もうここを出よう。」と促した。お昼前、暗い祠から急に明るい所に戻ったので、皆一様に目を細め顔をしかめた。ふと美鞘はこの剣がどれほどの切れ味を...

  • 清志が消えた・その15

    「こんちわ~」店の戸をガラガラと開けて立山が奥に声を掛けた。すぐに冴子の返事があり今のガラス戸が開いた。「どう?無事だった?」いつになく真剣な表情で全身を見回してくる。立山は苦笑しながら「ああ、何とか五体満足で帰って来られたよ。危ないところを龍二さんに助けてもらった」「龍に...

  • 清志が消えた・その14

    とりあえず立山は家に帰った。まだら組の事務所に随分長い時間居た気がしたが、一時間も経っていなかった。外食しても良かったが昨夜、妻の幸恵に話してあったから心配しているに違いない。携帯で無事を告げても良かったが、ハヤテを迎えに行くのには早すぎる。一旦、家に戻って出直しても充分間...

  • 選ばれし救世主・その9

    美鞘が選ばれし者だと分かった日から、継子は美鞘をどのように育てていけばよいのか日々悩んでいた。そんな親の思いをよそに、娘は日を追う毎に心身共々すくすくと成長し、目を瞠る程に輝きを増してくるのであった。小学校を卒業する頃には、並みのアイドル顔負けの端整な容姿を備えていた。本人...

  • 選ばれし救世主・その7

    継正は毎夜異星での夢を見る。江戸時代宇宙に対してどこまでの知識があったかは分からないが、幸いにも継正は物事に柔軟な考え方が出来るのか、 受け入れるのは早かったようだ。だから異星人を認めたし、彼からの話の内容も信用した。異星人から止められたことがひとつ。書き物として残さない事...

  • 選ばれし救世主・その6

    継子(けいこ)は話を整理するように、少しの間押し黙った。皆はそれが伝わったように口を開くのを待っている。父の正男は運転中だから、話にのめり込み過ぎないように自身にセーブを掛けて、時折ナビの画面を視たり窓外の景色を意識して眺めたりしている。 「そうね~、まずはご先祖さんが異星...

  • 選ばれし救世主・その5

    「ちょ、ちょっと待って、お母さん!」美鞘(みさや)が、後部座席から身をのり出す様に母の話を止めさせた。 「あっ、ごめんなさい、話の途中なのに。ちょっとパニクっちゃって・・・」そう言いながら元の位置に座り直す。 「その話、私がその宇宙から来た怪物と戦わなきゃならないわけ?まさ...

  • 清志が消えた・その13

    「俺の提案とはこうだ。今日の所は立山を帰してやる。だが、ただ帰すのではなく伝言役を引き受けてもらう。そこの調子もんの甥っ子が言っていた学生を研究所に連れて行くから明日の・・・そうだな社員を皆帰してからの方が何かと面倒掛からないから夜7時に引き取りに来いと息子に言うんだ。足が...

  • 清志が消えた・その12

    龍二が話した最強なる息子というのを一同がそれぞれに想像しだして、室内は静寂に包まれた。静寂を破ったのは又しても秀也の声だった。「叔父貴ー!誤魔化されてはいかんぜー。そいつは、そのおっさんを助けたいばっかりに嘘をついてるんだ。俺だって多少は知ってるんだぜ。龍二とおっさんは古く...

  • 選ばれし救世主・その4

    車中での母の話の内容に皆は驚きを隠せなかった。が、その一語一句を聞き漏らすまいと皆は押し黙っている。その内容とは・・・ 今から三百年程前の深夜の事。継正の眠っている枕元に何者かが立っていた。継正は剣豪である。その彼にして気衝く事のできない侵入者であった。 (ツグマサ・・・)...

  • 選ばれし救世主・その3

    美鞘の住む埼玉と母の実家である群馬県とは隣県ではあるけれど車で行くには1時間以上かかる。 母の継子は美鞘代わり助手席に座った。そして正男にアドバイスを受けながら、通販で買った小さなカーナビに行き先をセットした。父の正男は、継子の実家には2度だけしか行った事がなかった。1度目...

  • 選ばれし救世主・その2

    車を脇に寄せハザードランプを点けながら憔悴しきった父がいる。蹴られたところが痛むのか、顔を顰めて体のあちらこちらを摩っている。だが大した怪我でもないであろう、 向こうは暴力のプロなのだ。マル暴がうるさくなってる昨今、傷跡を残すようなへまはしない。彼らは精神的ダメージを与える...

  • 選ばれし救世主・その1

    未無来がチンピラ達と車に乗り研究所に向かう途中でのこと。 田舎の国道を軽乗用車が走っている。車内は陽気な笑い声であふれている。 「だからな、お父さん耐えきれなくなって部長にこういってやったんだよ 『ダレジャ?性もないダジャレ言ってんの。寒すぎてギャグクリ腰になっちまったよ』...

  • 未無来統一という男・その6

    未無来所長は、組の事務所に出入を許され、暫くは退屈しない日々を於くっていたが、何時までもそうしている訳にはいかないと思った。そして朝方研究所に戻る途中、若い下っ端がささいな事故を起こしてしまったのだ。後部座席で(やれやれ・・・)と事が収まるのを待っていたが思わぬ事態になった...

  • 清志が消えた・その11

    「ふあwwぁ」突然龍二が大あくびをしたので、張り詰めていた空気が一瞬にして消え去った。 「もういい、やめろ。しようもない。この事務所や俺達を汚い血で染めるつもりか?馬鹿ばっかりだな、全く」「お前、俊介って言うのか?お前だけだな、まともな考え方しているのは。あそこにいる調子も...

  • 清志が消えた・その10

    事務所内が立山を取り囲んで騒然としている中、龍二だけはあくびを嚙み殺しながらソファーに座っている。それは殺気立った周囲の中で、異様に映った。まるで同じ場所に居ながら、彼だけ別世界に存在しているかのような・・・。誰もいないソファーに、座っている龍二を切り取ってきて張り付けた合...

  • 未無来統一という男・その5

    勝ち誇ったように退室した加藤の残像でも見ているのか、乾は暫くの間、身動ぎもせず鬼の形相でソファーを睨みつけていた。「おのれ~出来ぞこ無いが~偉そうにー!あいつだけは絶対に許さんww!」思わず声に出してしまう程、激昂していた。 が、数十秒後 さすが東大出の超エリートは冷静さを...

  • 未無来統一という男・その4

    厚労省のトップに居座ってるその男は、加藤と同期であった。 不器用な彼とは正反対に、あらゆる汚い手を使いまくって最高速で 今の地位に登りつめた男である。同期ゆえに、互いの胸の奥で 微妙に意識する存在であった。片や優越感と蔑みであり、片や誰よりも遠避けたい世界で最も嫌な男なので...

  • 未無来統一という男・その3

    帰宅途中の加藤は胸を張り、颯爽と歩いていた。自分は森羅万象全てから祝福されているとの心持ちであった。(無敵だ、あのエキスを飲んだ時から私は無敵になったのだ。あふれ出るエネルギーがそれを実証している。)自然に笑みがこぼれ、思わず高笑いしたい気分だ。 普通なら朝帰りなどしたら、...

  • 未無来統一という男・その2

    この章は18歳未満お断りです^^;小説の流れ上、どうしても必要だと判断し、少しだけエロい筋書きとなっておりますので><;。よいこのみなさんや真面目な方々は、す~っと流し読みしていってくださいね^^; そのドリンクを飲んだ瞬間、言い様のない強烈な生臭さと『ドロリ』とした粘リ気...

  • 未無来統一という男・その1

    (あ~、ここだ、ここだ。)地図らしき物を手にし、ようやくたどり着いたと云わんばかりに『ふーっ!』とひとつタメ息をついて加藤は玄関前に立った。彼は厚生労働省の外回りで、申請登録を受けてここに訪れたのだった。ビルのテナントに金看板で「医療研究所 所長 未無来 統一」(みむら・・...

  • イブ#その56

    薄汚れたハーフコートの男の真上でホバリングしているイーグル・アイからの映像は、イブの予想を裏切るものだった。 明らかに怪しいと睨んだその男の行動は、普通客以上に正常だった。なぜなら、商品棚から遠く離れた通路に佇んで殆ど移動しないからだ。 買い物客が右往左往している中、その男...

  • 清志が消えた・その9

    「雅次兄さん・・・。あっ、危ないじゃないっすか!怪我すっから、そんなもん収めてください」立山から3,4メートル離れたところで、真っ青な顔色をして、震えながらドスを構えているのは、立山より2つ年上の雅次だった。荒っぽい連中の中にあって、普段はとても大人しく、性格的に似ている所...

  • 清志が消えた・その8

    「警察に電話しますわ。まだら組に誘拐されたと」立山はスッとポケットから携帯を取り出しボタンを押そうとした。「ちょっと待てや、こらww!」組長が乗り出して押そうとした方の腕を掴んだ。立山は組長を睨みつけながら「今すぐ清志を解放して下さい。連れて帰りますから」声に怒気を孕んで叫...

  • 清志が消えた・その7

    班目が立山の向かい側のソファーにドカリと座り、その隣に伏し目がちな龍二が静かにゆっくりと座った。ソファーの脇に立っている俊介に顎をしゃくって(引っ込んでろ)と合図を送る。俊介は一礼して退いた。班目はイラついている様子を隠そうともせず、テーブルに備え付けられているシガレット・...

  • イブ#その55

    偵察機よろしく張り切って飛んで行ったビートルであったが、イブの人工頭脳を介して映し出された映像は、前後、左右、上下を目まぐるしく移動し心臓部の赤い鉱石は焦った。そこで原因究明をコンピューターに指示したところパーツが1個足りなかったと解明し急遽戻ってくるようにビートルに命じた...

  • イブ#その54

    イブは機械として見れば他に類を観ない最高傑作品だが、ヒトとしての判断能力にまだまだ経験不足であり二進法的思考が勝っているから、この場合『良いか悪いか』のふたつしか選択枝がなく『悪い』と人工頭脳がジャッジすれば『良い』状態にするべき対策を図って行動を起すようにできている。ファ...

  • イブ#その53

    万引きに効果的な方法として警備員の巡回と監視カメラの設置及び増設がある。警備員の制服は警察のそれと酷似しているので犯行に及ぶ輩には絶大な効果がある。これは、捕まえるのを目的とせず抑止効果を発揮させる為。だが同時に善良な顧客に威圧感を与えてしまう恐れもある。だから、頻繁な巡回...

  • イブ#その52

    イブの勤めるスーパーは『あけぼし』チェーン葉舞店。均一家の借家も葉舞町に入っている。 兼業農家や、少し離れた場所にある新興住宅地からの客が主に来店し、駅の反対側に建っているマンションからは余り来ない。踏切がネックとなり大回りしなくてはならず、それならと少し離れた郊外の大型ス...

  • イブ#その51

    午前10時前、白衣を着た博士は車椅子を操作して正面玄関前に来た。自動ドアを抜けた瞬間、自然光に耐えられず立ち眩みを覚え、真っ白な景色が本来の色を取り戻すまで十数秒を要した。博士は、目が慣れて少し霞のかかった空を見上げ、深呼吸とも嘆息ともつかない息をひとつ吐いた。 大型自動車...

  • 清志が消えた・その6

    本革のシートに立山は浅く座った。周りは異様な程、静まっている。顔見知りの面々がちょっかい掛けてくるかと思ったがそれもない。究極の居心地の悪さだ。俊介が、組長と龍二のいる部屋に入って10分程経っている。中で何を話しているのか、なかなか出てこない。立山は、イラついてくる気持ちを...

  • 清志が消えた・その5

    立山の妻、幸恵は立山と知り合う以前、班目の女だった。班目が組長になる前の話。 JAに勤めていた頃、仲間たちと飲み歩いた時に何気なく入った店で幸恵と出会い、見染めてしまってから、店に頻繁に通うようになった。幸恵も立山の事を憎からず思うようになり、やがてお互いに愛情を抱くように...

  • 清志が消えた・その4

    次の日の午前10時過ぎ、立山はまだら組が所有するビルの地下駐車場の中に車を停め、その中でシートを倒してタバコを吸っていた。煙が籠るので、両方のサイドウインドウを半分開け、外気を取り込んでいる。この駐車場に入る前に、「喫茶まったり」に組長と龍二がいないか車内から確認したが、い...

  • 清志が消えた・その3

    立山がいつになく深刻な顔で、何か考えている。沈黙に耐えられずに、冴子が「コーヒーでも入れるわ」と立ち上がる。立山は表情を変えずに「うん」と返事した。(明日はハヤテ君を迎えに行く日だ。ハヤテ君は修行の成果を出せたんだろうか?)台所の方から、コーヒー豆をミルで砕く音がする。 (...

  • 清志が消えた・その2

    山の日暮れは早い。午後4時半を過ぎると、もう辺りは薄暗くなってきて(今日はこれくらいにしておこう)と天狗の面を外し額の汗をぬぐった。 原っぱから家に向かう道すがら、ハヤテは疲れ切った足取りでトボトボと歩いてはいるが気持ちは充実していた。何度も崖の上からダイビングを繰り返して...

  • 清志が消えた・その1

    ハヤテは翼を羽ばたかせた感覚を忘れないうちにと、腰かけていた岩から立ち上がった。「よし、やるかー!」と声に出して、気合を入れた。 先ほどのダイビングで、心身とも、取り分け精神的疲労は激しかっただろうが、そこは15歳という若さがものをいう。たった10分程で急速に回復できた。 ...

  • 山籠もり・その16

    腰かけるのに丁度よい岩が目に入った。ハヤテは安堵のため息を吐きながらそこに腰を下ろした。 なぜ飛べたのか?なぜ翼を羽ばたかせることができたのかが分からない。決死の覚悟からの火事場の底力なのか。わからない・・・。今一度、ダイビングした後の自己分析をしてみようと頭の中で再現した...

  • 山籠もり・その15

    ハヤテが地面を蹴って幅跳びでもするように空中に身を投げた。一瞬浮いたように感じたが、あっという間に落下し始めた。 飛び込む前にシュミレーションした通り、うつむせになり両手両足を大きく広げ、空気抵抗を最大限受ける姿勢をとった。 それでも自然の中では石ころや木の葉と何ら変わりは...

  • 山籠もり・その14

    ハヤテはしゃがみ込んだまま、いろんなことを思い出していた。じいちゃんとの生活や、森の仲間たちとの楽しかった日々が次から次へと頭の中に浮かんでは消えていく。今思うと、一本歯下駄をじいちゃんに与えられ傷だらけになっていた苦痛の日々も、あれはあれで結構有意義に過ごしていたんだなあ...

  • 山籠もり・その13

    (僕は宙を飛ぶとき風を起こす。その風は僕の全身を包み込み、目標にまで運ぶ。あらかじめ目で目標を確認し、そこまで行こうと意識する。すると、一直線に風が運んでくれる。だが、ひょっとすると持っているチカラの使い方を、それしか知らないからやっていないだけなのかもしれない。飛行中に念...

  • 山籠もり・その12

    次の日の朝、ハヤテは草原に来ていた。昨日とはうって変わって雲一つない快晴だった。 「う~ん!いい天気だ!」深呼吸をひとつし、青空を見上げている。昨夜、目を瞑りながら考えた案を実行しようと、既に翼を背負って立っている。この草原を抜けると絶壁がある。子供の頃は、じいちゃんに絶対...

  • 山籠もり・その11

    立山が帰った後も、何をするではなく縁側に腰かけて立ちこめている霧を観ていた。 霧は、やがて水滴となりポツリポツリと小降りとなって、そのうちザーザーと縁側を濡らす程の 本降りとなった。ハヤテは雨に濡れた下駄を縁側のふちを片腕で支え、もう片方の腕を伸ばして鼻緒を掴むと引き上げた...

  • 山籠もり・その10

    山籠もりして三日が経った。今日は今にも雨が降りそうな天気だ。湿気で衣服が肌に纏り付いてくるような不快感。まだ午前10時頃なのに日が遮られて薄暗い。漂う濃霧によって4,5メートル先が見えない。麓の民家の方から見れば、山に雲が垂れ下がっているように見えるだろう。 幾らなんでも、...

  • 山籠もり・その9

    ハヤテは、その場で膝を曲げ腰を少し落として軽く飛び上がった。すると、ふわりと4,5メートルの高さまで浮かび元の位置に着地した。まるでハヤテの周りだけ重力がなくなったようだ。立山は、ふと、古い記憶の中にある映像を思い浮かべた。それはアポロ11号が月に到着し、宇宙服を着たアーム...

  • 山籠もり・その8

    スープを極わずかに残してカップを灰皿代わりに使っていた立山が、短くなったタバコをそこに捨てると小さく『ジュッ』と音がした。消えたのを見届けながら蓋を閉じると、ハヤテのそばに来て、また胡坐をかいた。断るわけでもなく羽根を触ったり布で編みこんだ背負子や肩ベルトを撫でたりしていた...

  • 山籠もり・その7

    ラーメンのツユを飲み干して「あ-美味かった!ごちそうさん。」と言ってハヤテは立ち上がった。 立山は既に食べ終わって、食後の一服をしている。本数は一日10本に満たないが、無職の今になっても辞められない。これも家族に嫌われる原因のひとつになっているのだが、分かっていながら踏ん切...

  • 山籠もり・その6

    鞍馬家に着いた時、時刻は既に正午近くになっていた。人や車の行き来がないのか 道らしきものはあるのだが、雑草がかなり伸びていて、それがバンパーやシャーシーを擦り車内にかなり大きな音を響かせた。登坂の上にこの雑草なので、2Dに切り替えながら、じわじわと進むほかなかった。しかし家...

  • 山籠もり・その5

    食料を大袋で二袋分買い込み、それとは別に立山が清涼飲料水のペットボトルを3本と牛乳のパック3本を入れた袋をトランクの中に納め、マルサンを出た。 立山は、冴子からお金を預かっていたが、飲み物は自腹で払い、ハヤテに「これは俺のおごりだ。」と言って笑った。売り場でハヤテがかごに入...

  • 山籠もり・その4

    「何だい、お前は~!」ハヤテの表情から好まざる相手だと察した立山が、ハヤテを庇うように前に出た。元はヤクザだから、凄みを効かせると、さすがに伊藤は退いた。周りにいた買い物客たちも驚いて、遠巻きに様子を観ている。 「あっ!いやいやそうじゃなくて・・・」伊藤は少し言い淀み、ハヤ...

  • 山籠もり・その3

    竹で織り込んだ葛籠をハヤテが抱かえてきた。車の脇に立っていた立山が「面白そうな物を持って行くんだなあ。」と、好奇心を露わにした。「向こうに着いたら見せますよ。」と、ハヤテの目が笑っている。 「後部座席に載るようだな。」とドアを開けて立山が受け取り積み込んだ。 ふたりは車に乗...

  • 山籠もり・その2

    夕食が終わり、ハヤテと瑠美と秀吉は居間でテレビを観ている。まだ6時過ぎだから、ニュースとか報道番組ばかりだ。瑠美は7時からの歌謡番組を楽しみにしている。AKBやEXILEもいいけど、今日はmiwaちゃんが出演するという。瑠美はmiwaが大好きなのだ。シンガーソングライターと...

  • イブ#その47

    バッグを受け取ったイブはいつもの(これしかない)白い夏用のドレスを取り出し、目の前にかざした。均は何をするのかと、そのかざしたドレスを漠然と見ている。一瞬イブが体勢を整え、構えたようにみえた。刹那、イブを包むように旋風が起こり砂煙が舞った。均は思わず腕で顔を庇った。その間一...

  • イブ#その50

    博士が記憶を取り戻したいと切望する中で、松本先生がふと洩らしたひと言が気になっていた。救急車で運ばれた時、衣服は血に染まっていて廃棄したのだがそれが白衣の様だったと。白衣を着る職業はそう多くない。病院関係、介護関係、薬剤関係、科学、化学研究者、等等。調理師も白衣を着るがそれ...

  • イブ#その49

    事故で記憶をなくし入院してから2週間。工学博士の所典夫はようやく折れた足の骨もギブスで固定され(それまでは足首にボルトを通してワイヤーでぶら下げ、折れた骨同士をつなぎ合わせていた。)車椅子を担当看護師の伊藤さんに押してもらい、一日に一時間ほど院内を散策することを許されていた...

  • イブ#その48

    海水浴に行った日から一週間が経ち、イブの石田家での生活も少しづつ慣れてきた。就職口だがいずれは将来性のある一流企業か、類稀なる容姿を生かせる職に就くためのオーディションに応募する機会を待とうとの、均の提案が支持された。均は、イブがロボットだと知っているから、自分で『将来性』...

  • イブ#その46

    バショウカジキのような強靭で大きな尾鰭はないが、その分足部の振幅を小さくし超速駆動する事でハンデを補って爆発的遊泳を可能にした。一方沖合いで遭難中のボートの上では、泣きじゃくる弟をなだめる事に疲れた姉が、ほとんど力の入らなくなった腕で、それでも歯を食い縛りながら、再びオール...

  • 山籠もり・その1

    太陽が西に傾き、骨とう品屋・響の看板が朱色に染まって眩しい。 夕飯まで、まだ間があるので、ハヤテはじいちゃんが作った木工品や彫り物を見ている。 冴子は外国本の翻訳が順調なのか、ご機嫌な様子で鼻歌交じりに料理を作っている。 麗美は自分の部屋で宿題と予習、復習をしている。家庭教...

  • 清志と秀也・その10

    秀也は非常階段を降り、校舎の裏側を通って垣根の外に出た。ここは昼間でも薄暗く、舗装が施していないため雑草が足のくるぶし程伸びてはいるが、かなり広い側道である。ここを通る車や人はいない。なぜなら、道なりに進むと行き止まりとなっているからだ。通知表に影響する試験日には佐竹がこの...

  • 清志と秀也・その9

    そして今また、忌まわしいあの鳥が秀也の襲ってきた。なぜなのかわけがわからないが、とにかく屋上の出入り口まで走って逃げ延びなければ、またあの時の二の舞になると思った。必死の形相で走る。喘ぎながらも、ドアまで1、2メートルのところまで来た。(助かった!)と思った。ノブに手を掛け...

  • 清志と秀也・その8

    列車から引きずり出し、いきなり引き倒したが坊主が柔道の受け身のようにクルリと回転し跪いて俺をみている。俺は面白くなかった。倒した後、足蹴にして、のた打ち回らせるタイミングをなくしたからだ。しかも、奴は挑戦的な目で俺を見上げている。俺は空手を習っているから、ある程度体格体形で...

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