人付き合いは殆どなし。引っ越し挨拶もお隣と数件だけ。真裏に喫茶店があるので情報収集に挨拶に行った。 マスターは私と同い年で、会社員から定年退職後出店したようだ。自治会に入らなければいけないか聞いたが 別に自由なんじゃないの?との意見。この辺一帯は自分達より年上が多く、難しい...
家庭菜園と、趣味での小説
ウサギを死なせてしまってペットは飼わないと誓うも、野良猫になつかれ結局飼うハメになちった(苦笑)
秀也は給水塔の土台のコンクリートに腰かけ、両手をあごの下で組んで、清志が近づいて来るのを見ている。清志は近づくにつれ、恐怖心が芽生えてきた。一歩一歩が、とても重い。自然に諤々と膝が震えてくる。自己暗示もどこかに飛んで行った。それでも、ようやく目の前まで行くと「用事ってなに?...
弁当をたいらげ「ふ~」と一息吐いて前を見ると、いつの間にか秀也が席をたっていた。 それに気がつかなかった自分に、彼に対して神経過敏でないことは良い兆候だと安堵した。 いつも清志は、弁当の後は机にうつ伏して昼寝をするか、次の授業の予習をする。昨日休んだ分を取り戻すため、教科書...
清志が教室に入ると既に秀也は居て、横向きに座り隣の男子と雑談をしているところだった。 秀也の後ろが清志の席だ。通路を長い足でせき止められている。清志はその前で立ち止まり「おはよう。」と声を掛けた。秀也は、その声で初めて気が付いたように足を引っ込め「あっ、おはよう。体の具合は...
清志は以前の体調に戻った喜びを噛みしめながら学校に向かっていたが、それと同時に大きな難問が待ち受けていることが分かっているから、弱気にならないよう自己暗示をかけ続けた。(秀也なんか怖くない。同い年じゃないか。負けない、負けるもんか!)だが、あの体格と腕力では、いざとなったら...
清志はいつも通り7時過ぎに起床した。前夜に飲んだ松本病院の錠剤が本当に効くのか不安で、なかなか寝付けなかったが起き上がってみると、何の違和感もない。(効いている・・・。間違いない)これも皆、冴子さんやハヤテ君たちのお陰だと、心から感謝した。「清志~!起きてる~?」母の呼ぶ声...
一本歯下駄に指を通しながら「ちょっと出かけてきます。」と店を出たのが10時前。店の前は、本道から外れた枝道だから車の行き来も少ない。しかも通勤時間帯はとっくに過ぎている。ハヤテは、のんびりと街並みを眺めながら歩いている。本道に入ると、さすがに騒音が激しくなる。山を下りた当初...
次の日の朝、ハヤテは心地よい気分で目が覚めた。昨夜の夢が、鮮明に蘇ってくる。(じいちゃんが天国から僕を応援してくれてる。たぶん母さんも)カーテンを開けると、朝日が差し込んでパーッと部屋を明るくした。窓を開ければ、爽やかで新鮮な空気が風と共に入ってきた。おおきく深呼吸しながら...
歩いて10分程でスーパーに着く。着くまでに歩美は思いつくままイブに質問してきた。 ホームレスしていた以前は何処にいたとか、歳は幾つだとか、親は何処にいるとか・・・。 殆ど答えられない。苦笑を返すばかりだ。歩美も最後は音をあげて黙ってしまった。 スーパーは年季の入ったと云うべ...
イブはレベル2にセットしてジャンプした。普通なら砂浜か波打ち際に落ちて、その周辺にいる人々を巻き込む二次災害の恐怖が、見上げている者の脳裏をかすめたのも頷ける。その頃、弘と歩美はビーチ・ボールに夢中で気付かなかったが、均は何か胸騒ぎがして監視台の方を見たところだった。(あち...
いつも買い物に行くスーパーマーケットの隣にあるバス停まで、それぞれがバッグやらクーラーボックスに楽しみを詰め込んで歩いていく。途中で歩美のリュックをイブが持ってあげた。バスに揺られて30分、大きなソテツの木が道路の両側に並び、葉が潮風に心地よさげに吹かれている海岸前の停留所...
夕食後、弘は早朝と云うか深夜と云うか、午前2時に起きて新聞配達所に出勤しなければならないので、風呂に入り寝るために早々と自分の部屋に戻った。他の3人は台所で雑談に講じている。「弘さん、頑張っているんですね。」イブが言うと「ああ、随分助けてもらってる。」と、均が今しがた出て行...
買い物から帰り、ふたりはキッチンに入る。一応古臭い流し台が設備してあるし、電子レンジやオーブントースター、ガスレンジもある。イブはそれらの一つ一つを観察するようにみた。人工頭脳が解析を始めている。「イブさんはお料理したことあるの?」買い物袋からテーブルに食材を移しながら歩美...
その夜、夢の中にじいちゃんが現れた。それを夢とは思えぬほどのリアリティーで、ハヤテはみていた。 ハヤテは日和山にいた。なぜか冴子に買ってもらった厚地の黄色いシャツを着ている、幼い頃の自分がいる。 土間にしゃがみ一本歯下駄を履こうとしているハヤテに、囲炉裏にあたって赤ら顔のじ...
天狗の面を被ったハヤテは、呻き声を発しながらその場に蹲ってしまった。その背中が小刻みに、打ち震えている。冴子と麗美はいきなりの出来事にしばらくの間、動くことさえできなかった。が、はっとして目が覚めたように冴子が駆け寄り、背中を摩ろうとした。しかし白い羽根が邪魔だったので、腕...
麗美が宿題を終えて、二階から降りてきた。もう夜の8時だ。居間にあるテレビのリモコンを取ってテレビに向け電源をオンにする。チャンネルを次々切り替えていたが、気に入った番組がないのかオフにしてポイっとテーブルに投げ捨てる。「あ~あ、つまんないー」両手を頭の後ろに組み、口を尖がら...
その夜、ハヤテは新聞紙が敷き詰められた真ん中に、ちょこんと座らされていた。特大の青いビニール袋の底に穴が開けてあり、頭からスッポリ被せられて穴から頭部だけが抜け出さている。冴子が、シャキシャキと鋏を鳴らしながら、ハヤテの髪形をどうしようかと模索中。(まずは、この長い尻尾をバ...
いつの間にか太陽は西に傾いて茜空となっていた。「何かあったの?」と、好奇心で目がぎらついている立山に、冴子が事の成り行きを短くまとめて話して聞かせた。 立山は「へー!」とか「あ~そう!」とか合いの手を入れながら、やけに楽しそうだ。「・・・っとまあ、こういうことだったのよ。」...
「私は随分と悩みました。大学4年生になっていて、周りは皆、就活に励んでいます。今になってマルサンから方向転換は、目標を失うことに等しい。ですが、現状を見ると入社できたとしても魅力の持てない箱の中で、終身勤め上げなければならない。もしかして、喜びも見つけられず苦痛だけの日々を...
伊藤は少しイラついていた。店長の大学生時代の話はいつまで続くのかと。祖父の偉大さは赤の他人に言われなくても俺はよ~く解っている。今は時々しか会う機会がないが、幼少の頃はとても可愛がってもらった。祖父から直接仕事の話なんか子供の自分には話すわけがなかったが、両親から事ある毎に...
「私はね~、大学生になりたての頃、本屋さんで何気なく一冊の経済誌を手に取ったんですよ。ほんとに何気なく、ぺらぺらと流し読みしてました。 そして中ほどのページで手が止まったんです。独占インタビューの記事でです。頭の禿げ上がった如何にも人の良さそうな初老の方が写ってました。タイ...
ふたりを乗せた車があざ笑うように伊藤の目の前を通り、走り去っていった。ドアの外に出ていた社員や野次馬達も、ひとりふたりと店内に戻って行く。 悔しさに唇を噛み締めていた伊藤だったが、何かを思いついたように従業員通用口の方に駆け出した。従業員通用口は、ひと気のない店の裏側の一角...
レンタカーの適度にエアコンが効いている車内でシートを倒し、立山は両手を頭の後ろで組んで目を閉じている。 清志は、デパートの正面玄関の方を呆然と見て冴子らが出てくるのを待っている。 「あれ?!立山さん!あれ、響さん達じゃないいですか?」その言葉に立山が体を起し、出入り口を見た...
当日と次の日鈍痛がしていたがそれも治まった。人によれば高熱が出て2.3日寝込むものもいるという。イヤミな同僚と話すと、接種後の体調が軽い者は効き目が薄いかも知れんぞと何の根拠もなくのたまった。こう言うデマを流す輩が少なからず居る。そう言う者に限って自分の症状が軽いと「俺は日...
「お兄ちゃん?」歩美が居間に入ってきた。部屋の空気が重いと感じ2人の顔を交互に見ながら「どうかしたの?」と訊いてきた。均は、「あ、いや・・・。どうして?なんか用かい?」歩美を見る。 「勉強、一区切り着いたから、夕飯の買い物に行って来ようと思って。冷蔵庫の食材、残り少ないから...
「私の体を造ってくれた博士は、何故か消息を絶ってしまったのですが・・・」 「私を救助用ロボットとして確立したかったようで、その存在を世間に知ら示める意味合いで、一般路上を走破させたのかも知れません」イブはそう言って、まだ論評を展開しているテレビを観た。「こういう騒動になるこ...
「おそらく・・・」イブは小首を傾け、斜め45度から悪戯っぽい目で均を見ながら言った。 「宇宙から飛来した謎の物体に、この星を乗っ取られると危惧している?」図星だった。 (テレパシーで俺の考えていることを読んでいるのか?)冷や汗が背中をひと筋流れた。驚愕で目を見開いている均に...
「私の星にも地球の様に動ける生物はいたの。でも言葉では伝えない。体には喉とか口がないから。この国で言う思念、テレパシーを使うのよ。そこで私は神に奉れていた。私は動けないけど彼らを使って治めていたの」まるで空想の世界だ。にわかに信じ難い話を目の前の女性型ロボットが淡々と話して...
「単刀直入に訊きますが・・・テレビに映っている謎の女性、あなたじゃないですか?」弟妹が出て行った後も、しばらく無言でどう切り出そうか迷っていた均だが、意を決して言った。 ひとつ間違えば人権蹂躙で訴えられかねない発言だが、彼には確信があった。 じっとイブの目を見詰める。(これ...
今、ユーチューブで民謡日本一の朝倉さやさんがjーポップを東北弁で歌っていて話題になっている。その声は3オクターブは有るだろうし高音部も涼しい顔で難なく出せてるのに驚く。私の幼少の頃は三橋美智也さんが民謡上がりで素晴らしいのどを披露し、ヒット曲を連発し、有名どころでは金沢明子...
冴子は事務所の扉を開け放ち一段と歌声を張り上げた。冴子の歌声を聴かせて眠らせる能力は、移動する際には不利となる。 歌声が届かなくなれば、術にかけられていた者はすぐに目覚める。現状を取り戻す時間は個々によって違い、普段の寝起きとほぼ同等だ。 だが目覚め後も、いきなり眠ってしま...
伊藤が、いきなり専属キャラクター云々と口走ったので冴子たちより店長がびっくり顔で彼を見ている。目の前に置かれたコーヒーも目に入らないようだ。 「い、伊藤君、そりゃあ先走り過ぎだよ~。海のものとも山のものとも・・・いや、失礼。と、とにかく何の肩書きもない君が勝手に推し進めるこ...
窓際の上座に冴子、その隣にハヤテが居心地悪そうに座っている。冴子の前に店長がお飾りで座らされ、伊藤だけがやけに満面笑顔でふたりを見つめている。ふたりの前に名刺が差し出されている。名刺にはマルサンデパート如月支店・店長 里中秀雄とある。「こちら店長の里中です。」と伊藤が紹介す...
立山はシートを少し倒してぼんやり車外の景色を見ている。太陽の光で何もかもが白っぽく映っている。(働き口を早く見つけないとな・・・) トントンとリヤ・ウインドゥを叩き、顔を向けると清志が覗き込んでいる。体を起し、少し開けて「開いてるから入れよ。」と、声をかけた。 後部のドアを...
一方、冴子とハヤテはまだ柱の影に潜んでいた。一度出掛かったが、冴子が何を思ったのか直ぐに引き返したのである。 ハヤテの耳から栓を外し、「まるちゃん、作戦変更するわ。これだけ大勢の人達を眠らせたら、間違いなくけが人が出るわ。見て。あそこにエスカレーターが動いているし、こちらに...
店長は思わず両肘をデスクにのせて手を握り、その上に顎を掛けてため息をついた。伊藤の提案をのんでしまった自分が情けないこともあるが、今後の展開に不安を感じずにはいられなかったからだ。店長は頭の中で若手社員の伊藤とは、どういう社内評価なのかを思い浮かべた。確か伊藤は入社5年目で...
「やばいことになっちまったなww」2Fの通路をひた走りながら、目を皿の様にして冴子を探すハヤテ。 ふと、目の端に何かが引っかかった。急停止し、よく視ると婦人服売り場の柱の影からニョキッと腕が出て手招きしている。 (もしや、あれは・・・!)ハヤテは柱の影に近づいた。やはり、冴...
この大型ショッピング・センターは広大な立地面積を誇るが高さは然程ない。階は1階と2階だけだ。1Fは西から電化製品や靴屋、本屋、軽食・ファースト・フード店があり、東側に薬や化粧品売り場。そして最も大きくスペースをとり食料品売り場がある。それらの中央に位置する所にイベント広場が...
「ふー!」と大きく息を吐き「まっ、これで取りあえずはいいでしょ!」と満足げに微笑む冴子の横で、大袋を両手に提げて疲れ切ったハヤテがいる。 「パンツの裾直しは後日になったけど、また立山さんを頼むか、それが無理ならバスでも来られるから。」ねっ、とハヤテに笑顔を向けた。 適当に頷...
やがて一同は郊外にある大型ショッピング・センターに着いた。広大な駐車場と、どっしりとした存在感のある建物。遠くからでも見える大きな看板。 ハヤテは「わ~すげww!僕が住んでた日和山よりでかいんじゃないんかな~!」と、思わず感嘆の声を上げた。 そして、色とりどりに空に浮かんで...
『喫茶サンシャイン』で話しているうちに昼前となり、軽食をオーダーすることにした。 冴子はミックスサンドセット。サンドウィッチにコンソメ・スープが付いてくる。立山はミート・スパゲティのセット。これもスープつき。 清志とハヤテは少しボリュームのある、ハンバーグ定食のライス付。食...
依然、均が俯いたまま黙っているので微妙に白けた間ができてしまい、各自無言でテレビを眺めている。『・・・・いまだに足取りはつかめていません』画面では投稿者による動画の再生を次々と映し出し、5人の解説者があーだこーだと講釈を垂れている。対象となる者の映像はどれも鮮明でなく、特に...
「あっ、そうそう。イブさんのショルダーバッグも汚れていたから、よく絞った濡れ布巾で拭いたけどよかった?」歩美がイブに言う。「・・・・あ、はい。・・・どこに置いてくれましたか?」「洗濯機の横の台の上に。持って来ようか?」「すみません、お願いします」オッケーと言って身軽な動作で...
玄関の掃除を終えて気だるそうに居間に入る。弘と歩美がコソコソ小声でなにか話している。 均は既にお笑いが終わってニュースをやっているテレビを、何気に観ながら胡坐を組んだ。それを待っていたかのように、2人が均に話しかけてきた。「兄ちゃん、あの人普通じゃないよ。服着たままシャワー...
イブと歩美が風呂場に行く。古い建屋だが一応シャワーがあり、歩美は使い方をイブに教えている。「操作の仕方わかる?」「いえ、解かりません」「そう?色々なタイプあるからね。」1から説明をするのだが、操作方法と云うよりボタンひとつレバーひとつに初物を見る様な仕草をする。(この人、シ...
と、その時目の前で女性の声がした。「ありがとうございます、もう大丈夫です」 今まで棒状になっていた体は、しなやかさを取り戻し密着している均に息づかいや心臓の鼓動まで伝わってきた。イブは両足を曲げ正座して弟妹を見ている。均はあわてて腕を解き、イブの前方にまわり込んだ。イブは視...
軽く昼食を摂った後4人は車に乗って郊外の大型ショッピングセンターに向かった。ハヤテの身の回りの物を買うためだ。 「清志君、本当に帰らなくてもいいの?あなたを送ってから出直してもいいのよ。」と、冴子が言う。 「いえ、いいんです。たまには僕も楽しみたいんです。一緒に連れって行っ...
『喫茶サンシャイン』で話しているうちに昼前となり、軽食をオーダーすることにした。 冴子はミックスサンドセット。サンドウィッチにコンソメ・スープが付いてくる。立山はミート・スパゲティのセット。これもスープつき。 清志とハヤテは少しボリュームのある、ハンバーグ定食のライス付。食...
「その頃俺は22歳だったから龍二さんはひとつ上の23歳。斑目は30歳を越えてたんじゃないかな?普通で考えりゃぁ、修羅場をくぐって凌いでいるあの組長や斑目などの組員からしてみれば、口を利く事さえも許さない一般庶民のただの青年。その彼に、たった一夜の数時間でわけなく仕切られてし...
「じゃあちょっとあちらに行こうか。彼らも落ち着きを取り戻したみたいだからな。」龍二がスツールから降りた。それを立山が横目で見ていると、 「何している、お前も行くんだよ。」と、龍二が声を掛けた。(えっ?俺も?勘弁して欲しいな~)と、思いつつも逆らえるわけがない。言われるままに...
皆は再びクラブに戻った。いつの間にか一般客は居なくなっていた。ママが帰したのだろう。元のテーブル席に組長と若い衆がふたり。龍二と立山も元の止まり木に座って、斑目だけが出口に近い一番端の止まり木に移動して死人の様に俯いたまま微動だにしていない。 立山が他の者に聴こえない様に龍...
銃声音は大して大きくなかったから付近の住民は花火かタイヤのパンクぐらいにしか思ってなかったのだろう、誰一人出てくる気配がない。 斑目が手にしている拳銃は、おそらく護身用の小型拳銃だろう。だが、至近距離から撃ったので殺傷能力は充分にあるはずだ。 クラブのドアが放たれ、立山と幸...
「世の中つまらんと思い、生きていてもしょうがないと日々過ごしていたが、偶にはこんな楽しめる事もあるんやな~。ストレス溜まってる分チカラも半端なく出せそうや。圭太よ、今の俺は麻雀屋での非力な俺じゃないぜ。こんなクズ共、叩きのめしても本人以外泣く者はひとりとしておらん。むしろ喜...
「おう幸恵、久しぶりだな。」上機嫌の斑目が、カウンターの中で止まり木(一本足のスツール)に座っている立山達の相手をしている幸恵に声を掛けた。 テーブル席で他の客についていたママさんが、驚いた顔をしてあたふたと駆け寄ってきた時には、彼らに続いて5人の若い衆が入ってきたのと同時...
冴子たちのテーブルだけが、暗く閉ざされた空間になっていた。ウェイトレスのお姉さんからしてみれば、早く腰を上げてくれないかと願うばかりだと想像する。だが、当の本人たちにその意識がない。 「だけど・・・龍二さんは、俺にとっては恩人と云っていい人なんだ。」唐突に、俯いた姿勢のまま...
冴子はハヤテを抱きしめながら鞍馬父子の行く末を心底嘆いた。 今の龍にぃには、優しく思いやりがあったかった十代の頃の面影が欠片も見当たらない。たったひとりの実の息子を傷つけ、いや死なせることを目的に執念を燃やし生きている。龍にぃは暗闇に住んでいる鬼のようだ。そして、暗闇よりも...
冴子はハヤテを抱きしめながら、祐蔵が香典返しを持参して店(骨董・民芸の店 響)に訪れたときの事を思い出していた。なぜかハヤテを抱いていた。(まるちゃん、龍にぃと一緒に住んで居ないのかしら?)その時ふと疑問に思ったが、その後の、祐蔵の話しを聞いて愕然とした。 「あれは事故じゃ...
父に恨まれている理由を教えてほしいと懇願したことをハヤテは悔やんだ。 体全体が震えだし、意識が遠のきそうになった。「おっ、おっ、おおおwww!」抑え切れない慟哭が、店内に響き渡った。お茶を楽しんでいる連中が(何ごと?)と思わず立ち上がってハヤテを視ている。ウェイトレスのお姉...
信長の背から秀吉が降り、「信長、じゃあ頼むよ。」とハヤテが声をかけると翼を広げて信長は飛び立った。 横断歩道のない道路を車の行き来を見計らって渡り、喫茶店に戻った。 冴子らのテーブルに近付くと、皆一瞬ビクリと怯えた顔をして一斉にハヤテを見た。 「ほっ・・。まるちゃん、おかえ...
ハヤテは喫茶店の出入り口に神経を集中させながら、信長に声を掛ける。 「信長、今から男の人がふたり出てくる。彼らの顔をよく憶えておくんだ。そして、しばらくの間彼らを見張っていてほしい。彼等が車を出したら尾行し今日行った場所に向かったら、僕に知らせてほしいんだ。」 ハヤテは人の...
ハヤテが席に着くと冴子が暗い表情をしてハヤテを見た。立山も心配顔でハヤテを見る。 「あの、一番奥の席で、背中を向けているのが、あなたのお父さんよ。」「・・・はい。」双方、承知の上での会話をした。 「さあ、何か飲みなさい。みな、アイス・コーヒーを注文したわ。」淡いピンクと水色...
店は、程好く空調がなされていて、一同は入った途端に心地よい爽やかな気分となった。 先頭で入った立山が、観葉植物で仕切られている各テーブルを素早く眼だけ動かしチェックする。座れば植物と衝立で遮蔽され、ほとんど様子を窺うことができないが、今は立っているから店内の客の上半身だけだ...
冴子と清志を乗せたレンタカーは病院の駐車場を出て、公道に出た。 次第にビルやマンションが多くなり、走る車の台数も増えてきたが、尚も立山は走り続けた。 やがて歓楽街と思われる一角に入って行くと、速度を落とした。飲み屋の派手な看板が軒先やビルの外壁に設置されているが、暗くなって...
それにしても奇妙な体勢で倒れている。均は、これは現実に起きている出来事なのか?自分は夢でも観ているのだろうか?と頬をつねりたくなった。確かに変わっている人だとは思った。が、なぜに他人の家の玄関で、これ見よがしにこの状態なんだと。顔面を横木に打ち付けて、へこむ程強打しているに...
走り出して間もなく急激に動作が鈍くなった。今になって、レベル3を発動させてしまったツケがまわってきたのだ。赤い石から発してるエネルギーが残り少なくなってきている。人工頭脳にはまだ影響を受けていないが、各所の動力部分への供給量が極端に減少している。足の動きが緩慢になり、なかな...
『ズーンww』篭ったような地響きがした。畑のど真ん中、雨上がりの水を充分に含んだ土の中に全身が呑み込まれた。駅までその音は届いただろうが、駅員は改札口でホームに戻ったイブの動向に気を取られていたのか、確かめにも来なかった。穴の中から無表情で上半身を起こし、辺りを見回したが辺...
扉が開き下車客が降りるのを待って乗り込むと、客は疎らで座席も所どころ空いていた。だが降りる駅までは10分程なので、いつもの様に出入り口付近のつり革を持った。均に倣うように、それが当然の如くイブが隣のつり革を掴んだ。均はさっきから、いや恐らくバスに乗る前からだろう、ある種の嫌...
「それじゃ」とひとこと言って、均は駅舎に向かった。自動改札機を抜け、下りホームへの陸橋を上る。ローカルで2つ目の駅、前橋が最寄り駅だ。待合所の時刻表をチラ見し12時08分発があるのを確認している。上手い具合に後5分ほどだ。暗い顔でベンチに座って何気なく線路を見ていたが、ふと...
清志は、まさかあの薬のせいで幻影が観えているのかと我が目を疑った。なぜなら、待合所から見たあの大きな鳥がまだ車の上に停まっていて、自分達が近付きつつあるのに、一向に飛び立つ気配がないからである。 むしろ、ソッポを向きつつ猛禽類特有の鋭い眼で、こちらの様子を窺っているような気...
診察室から出てきた清志はちらっと受付窓口を見、そして待合室に冴子たちがまだいないことを確認しつつ、茶色い長椅子の端っこに座った。 壁に掛けてある大型の液晶テレビは国会中継を映していて野党の共産党議員が、熱弁を繰り広げている。 テレビに目を向けてはいるが観ていない。清志は少し...
「つまりだな、君は現実のなかで脳が創りだした夢を観ていた。心が君の周辺の物を変化させた。これは唯心論の定義みたいじゃないか?」 「だが唯心論や観念論提唱者は、ただ単に唯物論に対して反論材料として用いただけとの風評が強くある。つまり、嫌がらせだ。」 「私としては全て世の中、物...
清志の症状を診た脳神経内科の山崎先生は、最初に服用した頭の良くなる薬が、確かに脳細胞から多量のホルモン分泌を促す向精神薬類であることを、概ね認めた。病院にも類似した薬があるという。しかし、薬の作用によって一時的に脳の機能が活発化したところで、長期にわたり影響され続けることは...
冴子は、バッグからスマホを取り出し清志に電話を掛けたが、すぐにあてた耳から離した。「マナーモードだわ。」メールアドレスも登録してあるのか、すぐにキーを打ち出した。その間3人とも無言で居る。途中から冴子と席を変わり、後部座席でハヤテが秀吉をかまっている。 打ち終わったのかスマ...
冴子は、バッグからスマホを取り出し清志に電話を掛けたが、すぐにあてた耳から離した。「マナーモードだわ。」メールアドレスも登録してあるのか、すぐにキーを打ち出した。その間3人とも無言で居る。途中から冴子と席を変わり、後部座席でハヤテが秀吉をかまっている。 打ち終わったのかスマ...
清志から話を聴いた昨日の今日だ。調整剤が残り少ないことから殆ど無計画に行動を起したが、正面から突っ込むと拙い結果になるかもしれない。 先々、清志が疑われて暴行される危険性もある。「そうね、今日は様子を探るだけで帰りましょう。脇道はあるのかしら?」冴子と立山はカーナビを覗く。...
私が勤めから帰り車庫に車を入れて家に近づくと既にミャーミャーと鳴き叫ぶ(まさに叫ぶ)声。裏口の磨りガラスに猫の姿が映っている。 「はいはい」と言いながら家に入るとすぐに足に絡まってくる。冷蔵庫から大好物のしらす干しを取り出し皿に小分けして置くと飛びついて食べる。改めて部屋を...
「龍二さんの妻、つまり疾風丸君の母が亡くなり、龍二さんは自暴自棄に陥っていた。その頃俺はまだJA(農協)に勤めていたんだが・・・。 あるトラブルに巻き込まれていた。勤めていると飲み会が結構あって、二次会三次会ってのは、ざらだった。」そこで言葉を切って、「疾風丸君には、少し理...
「ぷはっ!何ですか、これ?面白い飲み物ですね。舌にピリピリくる。」「でも、甘味もあってそんなにわるくない。」 そういって、少しずつ飲み込んでいる。(さすが、適応力あるな)と、立山がコーヒーを、飲みながら見ている。 「ここ暑いから、車に戻って飲もう。」冴子の為に、もう1本缶コ...
山崎脳神経内科は市街地から少し離れた、緑の多い環境の良い処に建っていた。 まだ年数が然程経っていないようで、モダン且つ機能美を併せ持った、見た目にも綺麗な病院であった。 診察客用駐車場には、3台しか車は停まっておらず、冴子は、待合に時間が取られる事はないだろうと、ひとまず予...
立山がパネルを操作しだした。「あ~、出た出た。ここから12、5キロ先だな。もう一箇所は?」清志が「え、と・・・。斑目脳器官研究所・・・だったかな?」と答えると「えっ?!斑目だと!?」驚いたように立山が訊き返す。「何であんなとこに用があるんだ?」語気が荒い。三人は、急変した立...
友人にパソコンからSDカードに入れてもらった歌を聴きながら、海岸を1時間程かけて歩いた。彼と私は同い年で歌の好みもよく似ている。陽水、中島みゆき、大滝詠一などを入れてくれた。彼が言うように、歌を聴きながらだと、ホント全然疲れない。そして最後のアイテムが今日届いた。紫色のリュ...
立山は店のガラス戸を開け、店内を見渡しながら一度だけここに来た時の事を思い出していた。 あの日はアルバイト先の先輩に苛められ、龍二に辞めることを伝えるために訪れた。あのとき、アンティークで奇妙な品々をたった数分ではあったが好奇の目で眺めた。そのときはただ単に面白いとの印象だ...
「写真ですか?」居間の小さなテーブルを囲んで、冴子とハヤテが座った。冴子が「ほんと!懐かしい~」と笑顔を見せながら一枚ずつハヤテに渡す。 それは結婚披露宴の時の写真だ。薄々そうじゃないかと思いながら、「どなたの結婚式ですか?」とハヤテが訊く。「あなたの、お父さんとお母さんの...
冴子が掃除をしている間、ハヤテは店に飾ってある骨董品やら彫刻品を観ていた。 じいちゃんの木彫りは、ひと目見てわかる。幼い頃から土間や居間で隣に座って見ていたから。 見覚えある彫り物も幾つかあった。(あ~、なつかしいなー)すぐさま、あの頃が蘇ってきた。じいちゃんが集中して彫っ...
バスが佐田駅前に到着した。ゾロゾロと乗客が降りていく。均もタイミングを見計らって座席を離れ列に加わった。定期券を出し、運転手に見せタラップを降りた。結局デートはできず家に帰るだけとなったから、弘と歩美に言っておいた「昼食はラーメンでも作って食べなさい」は取り消して、少し贅沢...
公園を出て彼らから見えなくなったのを確かめて、均はほっと安堵のため息を一つつき立ち止まった。イブと向かい合って「勝手なことをして、すみませんでした」と頭を下げた。イブの反応はと云うと、ただ微笑んでいるだけで言葉もなく黙っている。(あれ?)違和感が漂う。関わらないほうがよいと...
均はいきなりベンチの女性が目の前に現れたので、驚きと恐怖で血の気が引くのを覚え一歩退いた。だが、一点の曇りも無い澄みきった瞳に魅入られ、魔法に罹ったように見つめ続けた。その瞳は、今の自分の心境を映しているかの様に、憂いを秘めて悲しげであった。彼女がしなやかに右手を差し伸べた...
今日の泥雲に埋め尽くされた空のように、赤ら顔がくすぼって見え、雄三の表情は暗かった。半年前までは雄三宅で酒を酌み交わし、まるで親子の様に打ち解け談笑していた頃とは全く別人ではないかと思える程、今までに見たこともない冴えない表情で目の前に来て「お母さんの葬式以来のご無沙汰です...
土曜日の午前10時。空は薄雲が覆っていて久しぶりに愚図ついた天気になるとの予報だった。均はスーツにネクタイと滅多にない余所行きの服装に身を包み小百合を待っている。バイクは売り払ってしまっていて通勤も電車とバスだから、当然の如くこの公園にもそれを利用した。小百合は電話で迎えに...
ハヤテが立山の所から帰ってくると、響親子が気忙しくバタついていた。「時間割ちゃんとした?ハンカチ持ったわね?忘れ物ないよね?」冴子の声。 「うん、大丈夫。ちゃんとしたよ。」ウンザリって感じで麗美が応え、「じゃあ、行ってきます。」と,使い込んで色がかなり褪せている赤いランドセ...
「おはようございます。」古くて建付けの悪くなった玄関の戸を開け、ハヤテは戸口に立って挨拶をした。 昨日の夕方に訪れた時には周りを観る余裕はなかったが、下駄箱の上に金魚の水槽が置いてあり、五匹の金魚が水草の周りを、気持ち良さ気にゆったりと泳いでいる。その隣には小判を持った白猫...
麗美は昨夜の出来事なんか忘れたようにはしゃいでいた。その原因はテーブルの上にあった。 ハヤテは秀吉に麗美の相手を頼んだのだ。少女にとって小動物は何よりの癒しになると思ったのだ。 何時も以上に不機嫌な顔で席に着いた麗美が、おもむろにトーストを齧った瞬間、目の前に現れた茶褐色の...
「おばさ・・・冴子さん。朝食の準備がいち段落したら、信長を紹介するよー。」そう言って、生ゴミの中からキャベツの固すぎて捨てた葉っぱや、削り取ったにんじんの表皮、昨日の残飯などを、二重にした古新聞の上に寄せ集めた。結構な量になった。「後、2、3分待ってね。後は種火にしておけば...
『トン、トン・・・』まな板の上で何かを刻んでいるのだろうか、小気味良い音が聴こえてきてハヤテは目を覚ました。 布団を折りたたみジャージを着ていると、秀吉が素早く足元から肩まで一気に駆け上ってきた。 「おはよう、秀吉。昨日は狭いところばかり居させてごめんな。」手を持っていくと...
音楽好きの友人がMP3プレーヤー(超軽量ウォークマン?)とワイヤレスイヤホンを買って公園の山道を歩くことを日課としていると聞いて、私も買う事にしました。実はワイヤレスイヤホンはかなり以前に片耳用を安売りしていたのを買い、3か月ほどで不具合を起こし捨てたこともありプレーヤーも...
「あっ、いけね!すっかり忘れてた!」脱いであったジャージのポケットにそっと手を突っ込み、リスの秀吉を掴み出した。 すっかり寝ついていて、まるでマスコットの様に微動だにしない。「ま~、可愛いぬいぐるみね~」冴子が触ろうとする。 「ぬいぐるみじゃないよ、友達の秀吉だ。本物の日本...
イブは均を知っていた。あの日最初に見たのが彼だったから・・・。 それは快晴で穏やかな秋半ばの日曜日。均はまだ高校生で、幼い弟、妹を連れて近くの小高い山にハイキングに出かけるところだった。各自,母に弁当を作ってもらいリュックにお菓子と共に詰め込んだ。「じゃあ行こうか?」均がに...
看護師の伊藤が出て行って20分程しただろうか、担当の整形外科医松本ともう一人若い医師が伊藤と共に病室に入ってきた。松本が「どうですか?具合の方は」と、先ほどのにこやかな表情ではなく、(少し困ったな)と、そんな顔つきで博士の目を見た。「伊藤に聞いたのですが記憶がハッキリしない...
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人付き合いは殆どなし。引っ越し挨拶もお隣と数件だけ。真裏に喫茶店があるので情報収集に挨拶に行った。 マスターは私と同い年で、会社員から定年退職後出店したようだ。自治会に入らなければいけないか聞いたが 別に自由なんじゃないの?との意見。この辺一帯は自分達より年上が多く、難しい...
家が古くなりあちらこちらに不具合が発生するようになりました。 その上ウサギを部屋で放し飼いして襖はぼろぼろ、現在は住み着いた野良猫に柱は爪研ぎでガリガリ。 子供たちに戻って来る気はあるかと問えばその気はないと言う。じゃ残りのわずかな人生はよその地で過ご して良いかと訊けば良...
種から育てた野菜も苗で育てた野菜も今年は生育が悪い。その上虫にやられて大葉は悲惨な状態。 トマト苗も桃太郎を買ってきたのに成って来たのは桃太郎じゃない!以前生産者としてハウス栽培していたから判る。 プランターの安い培養土も影響しているのかも。でも直播きもダメって感じ。自分一...
まさか今日電車を乗り継ぎ、佐田駅からバスに乗ってこの野花公園に着いてすぐに博士に出会えるとは思わなかったので、イブはさすがに驚きを隠せなかった。隣に居る白衣の上に紺のカーディガンを羽織った女性が怪訝そうな表情でイブの顔をまじまじと見ている。 だがイブは博士に釘付けとなってお...
野花公園に来たのは今日で6日目だ。もちろん毎日車が借りられる訳では無い。 最初の1、2回は担当医の松本先生が「治療の為に」と口利きをして貰ったのもあり、事務方も快くキーを貸してくれたのだが、 最近では「伊藤さん、確かにあのワゴン車は普段使わないけどね、だからといって好きに乗...
デスクトップパソコンでYouTubeを観ていた。 背後には2階に上がる階段がある。『ミシ、ミシ、ミシ、』階段を降りてくる気配がする。 ミャーか?パソコンから目を離して周囲を見る。ミャーは座椅子に寝転んで毛繕いをしている。 (うわっ!出やがった。)気配が真後ろを通り台所の方に...
初老のおじさんとメス猫一匹生活はつらい。 何が辛いのかと云うと仕事に出た後の、一匹ぽっちになった猫さんの事。 私は変則勤務なので、平日は夜勤、土日祝は24時間勤務。なので勤務日の夜は暗い中一匹ぽっちで過ごす。 野良猫当時は色んな所で時間つぶしできていただろうが、今は飼われて...
こうなると酒飲みの考えることは(天ぷらにして食べたら美味いやろな〜)でしょ?(笑) 親戚がくれた玉ねぎもある。エピを買ってきて老人の体に良くない天ぷら尽くし。 だが多分上手には出来ない。いくらYouTubeの動画を観ながらしても、そのようには行かない。 大葉はせんべいに、海...
2、3日前からミャーが居間で変な動きを見せる様になった。私が今まで飼っていた猫では見せた事がなかった動き。 動画をタイミング良く撮れればいいが、多分そういう時には動作をやめてしまうだろう。 説明すると、猫座り(両手を前に置き猫背の姿勢)その姿勢のまま足は動かさず手(腕)だけ...
五穀豊穣を祈願して毎年行ってた山車引きの行事はコロナの影響を考慮して昨年同様今年も中止となった。 お祭好きでもない私としては、(あw、楽でええわ꒪꒫꒪))なんやけど、中には異常に好きな者もいて悔しさに打ち震えているんやないかと想像する。現在は綱を握る町民も減り、役をする子供...
ミャーとの添い寝画像をupします(*^^*) 要らない?(笑)
薄い親戚のうちから畑に雑草が生えて処理に困っている。どうにかできないかと相談を受けた。そのうちは非農家で将来息子が家を建てる為に購入したという。見た目畑なのに宅なのか首を捻ってきくと、その辺よく分からないという(苦笑)私としてはどうでも良い事なので、現場を見て雑草が生い茂っ...
「私がなぜいきなり正体を打ち明けたのかと言いますと、この私の左腕にあります」そういうと右腕で下におろしている左腕の肘の部分を持って、テーブルの上に『ゴトッ』と置いた。「屋上から美鞘さんと飛び降りた際、衝撃を和らげる為に壁に打ち当てました。腕が壁に刺さり思惑通り落下の加速は防...
高畑はイブが自分をロボットだと言うのが信じられない。いや、キリクノメンバーも黙ってはいるが全員信じてはいないはずだ。だがイブはこれでは前に進めない、どうしても認めてもらわなければ次の行動に移れないと思った。イブは仕方ないという様な表情をし、溜め息をひとつ吐いた。目の前のむぎ...
昨夜、明日が快晴なら公園で歩いてこようと決めていた。 いつものように午前3時頃、猫のミャーに起こされてシラス干しを与えパソコンを起こしてウクライナ情報を観た後、二度寝した。 6時半に起きて庭に出て「よし!いい天気!」とつぶやきつつ、野菜の苗たちに水をやる。 カインズで5日程...
キリクノのメンバーを帰した後、使用中の札に差し替えて5人は応接室に入った。 高畑の隣にイブが座り、テーブルをはさんでゆったりと3名が座れるソファーに左から橘、昭雄、美鞘の順で座った。いつもなら来訪者を応接室に招くと、流れとしてイブがお茶を用意するのが普通なのだが、なぜかイブ...
「ちょっと俺も外の空気吸ってくるよ」と言い残し、橘が車から降りて行った。 ふと見ると助手席にイブが座ったままでいる。昭雄は「イブさん、休憩とらないんですか?」と声を掛けた。昭雄は既に橘から成り行きを聴いていたので、イブが自分はロボットだと打ち明けた後、どういう行動をとるのか...
コンビニに着いて駐車場に車を停めると、疲れ切った表情でキリクノのメンバーが降りて行った。昭雄は、まだ起き上がれないでいる美鞘を心配そうに見ている。美鞘は意識はしっかりしていて目も開けているのだが、ショックが尾を引いていて、その影響が体を思うように動かせない状態にしているよう...
高畑の運転するワゴン車は、工場が見えなくなるまでかなりのスピードで突っ走った。今の日本はどんな細い交通量の少ない道や農道でも舗装されている。されていないとすれば、けもの道くらいだ。私の在所では、一昔前までは年に2回出合いがあって未舗装のくぼみにスコップで小砂利を敷き、地均し...
家が古くなりあちらこちらに不具合が発生するようになりました。 その上ウサギを部屋で放し飼いして襖はぼろぼろ、現在は住み着いた野良猫に柱は爪研ぎでガリガリ。 子供たちに戻って来る気はあるかと問えばその気はないと言う。じゃ残りのわずかな人生はよその地で過ご して良いかと訊けば良...