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明治大正埋蔵本読渉記 https://ensourdine.hatenablog.jp/

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

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2022/01/13

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  • 『世界風流好色譚』 風流隠士(石井哲夫)

    新説今昔物語:風流隠士(石井哲夫) 1951年(昭26)1月~1952年(昭27)1月、雑誌「富士」連載。 1956年(昭31)妙義出版刊、スマイルブックス『新説今昔物語』6篇所収。 今年の8月に読んだ連載物の残り半分を読了した。筆名風流隠士の石井哲夫については、この『好色譚』のあと、同じ雑誌「富士」に新しい時代小説の連載物『半四郎風流帖』を3話だけ書いた後、消息を絶っている。もし物故していたとすれば惜しいことだと思った。(生没年等は不明) 世界風流好色譚:風流隠士、沢田正太郎・画1 西洋の艶笑譚は「デカメロン」以来の伝統があり、あけすけな色恋沙汰には日本の物よりもむしろ親近感を覚える。名前を…

  • 『魔性の女』 小川煙村

    魔性の女:小川煙村 1912年(明45)九葉堂刊。 小川煙村(えんそん、1877~1952)は新聞の記者作家として出発し、明治後期から昭和戦中期まで小説、戯曲、歴史書などを書いた。 この作品は、芸妓や愛妾として気ままに暮らす美貌の女お艶によって次々とメロメロ、骨抜きになる男たちの醜態を描く。待合での芸妓と酔客との惚れたはれたの他愛もないやり取り、思わせぶりとはぐらかしの応酬の記述が続く。情景描写に体言止めを多用するのも特徴的に思えた。女の魔性云々よりも男たちの甲斐性の無さ、美しい女に抵抗できない本能的な弱さを思い知らされた気がした。☆☆☆ 魔性の女:小川煙村、近藤紫雲・画1 国会図書館デジタル…

  • 『あばれ振袖』 高木彬光

    あばれ振袖:高木彬光 1955年(昭30)東京文芸社刊。正続2巻。 ひと言で言えば相馬中村藩のお家騒動をめぐる伝奇小説。藩主重胤が重病の床についたので、世継ぎ問題が表面化した。娘の琴絵姫に婿を取るか、弟の長十郎に譲るか、御落胤の柳太郎を探し出して呼び戻すか、の三案が考えられた。 最も説得性のあるのが御落胤なのだが、藩の江戸家老はそれを暗殺しようと試み、自分の息子を身代わりの御落胤に仕立てて御対面させようとする。柳太郎は身を守るために女装して目をくらませたり、叔父にあたる盗賊の蜘蛛六に助けられたりする。大目付の遠山景元やその影武者の神尾左近、岡っ引の彦三、女賊の稲妻お妙、悪役の剣客近藤一角など、…

  • 『小林清親 東京名所図』 小林清親

    小林清親 東京名所図 2012年(平24)二玄社刊。《謎解き浮世絵叢書》の一冊。 幕末の北斎や広重の大人気のあと、明治維新以降の日本の風景画(版画)については、せいぜい文明開化の様子を描いた錦絵ぐらいしか記憶していない。 偶然にもNDLイメージバンクの中から『小林清親の光線画』 ndlsearch.ndl.go.jp という記事を見つけて、その光線画という木版画での斬新な表現に目を見張らされた。その関連図書として上記の本を読むことになった。 小林清親(1847~1915)は幕府の下級役の侍の家で育ち、戊辰戦争にも関わったが、明治維新で失職したため得意の絵筆で生計を立て直す決心をした。西欧の画法…

  • 『大岡越前守』 滴翠軒

    大岡越前守:滴翠軒 1911年(明44)金正堂刊。袖珍講談文庫。 作者名の滴翠軒(てきすいけん)とは京都東本願寺に付属する庭園渉成園にある茶亭と同名であり、版元の都合で便宜的に使われた筆名ではないかと思われる。この本は、大阪の二つの版元(金正堂と文祥堂)が共同で刊行した袖珍講談文庫の一冊で、奥付の著作者名には講談文庫編輯部としか記されていない。 この頃には講談速記本から「書き講談」へと変化して行ったようで、口語体での書き言葉の使用も安定してきた。日清・日露の戦争での勝利を経験した日本人が国力への自信をつけ、「国家精神の涵養」を意図した偉人・賢人・豪傑・名将の事績をこのような講話本を通して学ぶ意…

  • 『からみ合い』 南条範夫

    からみ合い:南条範夫 1959年(昭34)7月~12月、雑誌「宝石」連載。 1959年(昭34)光文社、カッパ・ブックス。 1973年(昭48)講談社、現代推理小説大系 16巻 所収。 1981年(昭56)徳間文庫刊。 巨額の遺産相続をめぐる人間模様を描く、しっかりと構成されたサスペンス小説だった。胃癌で余命半年を自覚した実業家が財産を整理するとかなりの巨額に及ぶことを知った。彼には若い美人の妻がいるだけで、子供はいなかった。夫婦関係は冷え切っており、彼は思い切って、昔関係した4人の女にそれぞれ産ませていた子供にも相続させることを決断し、会社の秘書や顧問弁護士にその調査を依頼した。 4人の子供…

  • 『怪談驟雨』 蛙声庵主人(浅見俊雄)

    怪談驟雨:蛙声堂主人 1889年(明22)吉田博声堂刊。 (くわいだん・にはかあめ)副題として「一名:四つ手の尼」と出ているので最初から化物譚だろうと想像がつく。作者は蛙声庵(あせいあん)主人となっているが、京都の新聞社の作家記者と思われる。当初京都日報に10回にわたり連載されたようだ。 怪談驟雨:蛙声堂主人、芳州・画1 京都の呉服屋で働く若者宗次郎が、仕事で丹波方面に出かけた途上で大雨に遭い、雨宿りした所が尼僧の庵室だった。彼は尼僧の美貌に惹かれつつ、大雨を口実にそこで一夜を過ごすことになる。尼僧はある理由から出家して世を忍ぶことになったと話す。情欲を抑えられなくなった宗次郎は結婚話を持ち出…

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