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明治大正埋蔵本読渉記 https://ensourdine.hatenablog.jp/

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

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2022/01/13

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  • 『悪霊の群』 山田風太郎・高木彬光 合作

    悪霊の群:山田風太郎&高木彬光 1956年(昭31) 大日本雄弁会講談社刊。 これは珍しい山田風太郎と高木彬光の合作推理小説だった。作家が一人だけで書き上げるのとはかなり勝手が違ってくるので、感覚的にはもどかしい点もあっただろうと思う。登場人物の使い方の違いなども何となく想像しながら読むのも面白味があった。 推理作家にはそれぞれ「手持ち」の名探偵がいるのだが、山田風太郎の現代物の推理小説で活躍する荊木歓喜という酔いどれ医者もその一人なのを最近知ったばかりだ。ブログでお世話になっている「みずすまし亭」さんに簡潔にまとまった解説があった。 *山田風太郎の荊木歓喜シリーズ(みずすまし亭通信) ame…

  • 『新聞小説の周辺で』 川合澄男

    新聞小説の周辺で:川合澄男 1997年(平9)学芸通信社刊。 筆者は全国各地の新聞社に学芸・文芸の分野での記事情報を配信している学芸通信社の二代目社長だった人物。特に新聞小説の連載に関しては、地方紙では個別に作家との交渉をとるよりも、こうした通信社が媒介となって、地方紙何社かの合同で全国紙のレベルの作家に連載を書いてもらう裏事情も垣間見ることができた。 出身地山梨県をはじめ、東京都、神奈川県での文芸出版業界での交遊、特に大衆文学研究会や直木三十五を偲ぶ南国忌での事務方の仕事を精力的にこなしたようだ。親しい作家たちとの交遊や追悼の小文集にもほのぼのした味わいがあった。☆

  • 『神変呉越草紙』 白井喬二

    神変呉越草紙:白井喬二 1926年(大15)衆文社刊。河野通勢・画。 1969年(昭44)学芸書林刊、定本白井喬二全集6、御正伸・画。 1970年(昭45)番町書房刊、日本伝奇名作全集1、小島剛夕・画。 神変呉越草紙:白井喬二、御正伸・画 典型的な伝奇小説だろうが遍歴小説とも言えるような展開だった。主人公の相模竜太郎は、漫然と士禄を食む暮らしに飽きて、緊張感とやりがいを求めて浪人になり、家屋敷を売り払い、妹の藤乃を連れて旅に出る。しかし最初に会った仙人の指摘で、自宅の屋根裏から、山中に隠された財宝の在り処を示す地図を見つけ出し、まだ見知らぬ異母兄を頼って秩父を目指すことになる。 神変呉越草紙:…

  • 『黄薔薇』 三遊亭円朝

    黄薔薇:三遊亭円朝 1887年(明20)金泉堂刊。 1926年(大15)春陽堂、円朝全集 巻の七 「欧州小説・黄薔薇」(くわうしやうび/こうしょうび)と銘打っての口演速記本なのだが、当時まだ聴衆や読者には西欧の事物について見聞きしたことがない人がほとんどだったので、単なる翻訳ではなく、人名は和名に置き換え、かつ地名も日本の場所にあて直し、そのまま読み聞きすれば、明治期の日本の物語と思えるように作り変えていた。西洋の探偵小説の翻案で人気を博した黒岩涙香よりも数年早く、円朝がここまで取り組んでいたことには頭が下がる。しかも最初からこの「言い換え、置き換え」を丁寧に説明しており、この物語が翻案である…

  • 『裸女と拳銃』 鷲尾三郎

    裸女と拳銃:鷲尾三郎 1956年(昭31)3月~5月、新聞「内外タイムス」に連載。原題は『地獄の神々』 1959年(昭34)同光社刊。 1959年(昭34)春陽文庫。 この作品は1958年に日活で映画化されたときのタイトルが「裸女と拳銃」であったため、以後の刊行ではそれに変更された。このほうが食いつきやすい感じなのは確かだ。 主人公は新聞社のカメラマンだが、盛り場で飲んだ後、路地を歩いていると突然全裸の若い女が飛び出してきて彼に助けを求める。彼は彼女に自分のコートを着せて、タクシーで彼女の自宅まで送るが、その家でいきなり頭を殴られ気絶する。気がついた時、他には誰もおらず、一人の男が殺されていた…

  • 『薔薇夫人』 竹田敏彦

    薔薇夫人:竹田敏彦 1952年(昭27)向日書館刊。 1957年(昭32)東方社刊。 旧華族の邸宅を買い取って高級中華料理店「薔薇園」を営む女主人の葉山貴志子の謎めいた行動が興味を引く。しかしながら物語はいきなり戦前の中国に舞台を移す。青島で日系のマッチ会社の社員瀬田荘吉は仲間の姦策によって匪賊に囚われ、山中の巌窟で苦渋の日々を送ることになる。この部分はデュマの「モンテクリスト伯」いわゆる「巌窟王」に似せている。翻案的な骨格でありながらも、作者の描写は丹念で迫真的であり、興味が衰えることはなかった。姦策を巡らした青木兄弟はさらに瀬田の美人妻貞江や娘貴美子までも翻弄する。脱獄に成功した瀬田は財宝…

  • 『池田大助捕物日記』 野村胡堂

    池田大助捕物日記:野村胡堂 1953年(昭28)同光社磯部書房刊。11篇所収。 1952年(昭27)雑誌「読切倶楽部」一部掲載。 野村胡堂と言えば「銭形平次捕物帳」が代名詞のようになっているが、その外に「池田大助」の捕物帳のシリーズがある。この池田大助ものは戦後になってから書き始められ、雑誌「読切倶楽部」などに長期間連載されていた。全集10巻本に83篇が収められている。 池田大助捕物日記:野村胡堂、成瀬一富・画 主人公の池田大助は大岡越前守の屋敷の用人として抱えられているが、奉行所の与力や同心ではなく、あくまでも「手伝い用人」として御用聞きの源太親分や飴屋の仙太郎とともに難事件を解いていくとい…

  • 『新聞小説史』(昭和初期・昭和中期)高木健夫

    新聞小説史(昭和初期):高木健夫 1976年(昭51)11月~1978年(昭53)2月「新聞研究」304号~319号に〈昭和初期〉を連載。 1978年(昭53)3月~1981年(昭56)4月「新聞研究」320号~357号に〈昭和中期〉を連載。 明治篇から通算すると131回の連載だった。文字通りのライフワークだったと思う。昭和中期篇が戦後10年経過した昭和30年頃までで途切れてしまったのは残念としか言いようがない。特にこの昭和の時期に関しては、著者自身も新聞社を渡り歩きながら、直接・間接に作家たちあるいは連載担当者たちとの交流を重ねたこともあり、作品を新聞に連載させるまでのウラ話などにもリアルで…

  • 『不思議な巷』 大河内常平

    不思議な巷:大河内常平 1956年(昭31)あまとりあ社刊。 大河内常平(おおこうち・つねひら、1925~1986)は探偵作家として戦後の10数年間のみの活動しかなく、あまり記憶に残る大作もなかったので忘れ去られている。これは初期の短編10作を集めたもので、副題に「エロチック・ミステリイ」と付されているが、版元が性文学専門なので仕方がなかったかも。しかし各篇とも中身はかなりドライな語り口で、社会の片隅に生きる人間模様が描かれていて味わいがあった。 特に表題作の『不思議な巷』は、終戦直後の歓楽街の場末にある祈祷師の所で、頼んだ願い事が短絡的な偶然で次々と実現するという、ネルヴァル風の怪異譚に似た…

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