こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 笑う月が追いかけてくる。直径1メートル半ほどの、オレンジ色の満月が、ただふわふわと追いかけてくる。夢のなかで周期的に訪れるこの笑う月は、ぼくにとって恐怖の極限のイメージなのだ──。交錯するユーモアとイロニー、鋭い洞察。夢という<意識下でつづっている創作ノート>は、安部文学生成の秘密を明かしてくれる。表題作ほか、著者が生け捕りにした夢のスナップショット17編。 第二次世界大戦争での敗北は、日本国民に「天皇が絶対的な指導者」という価値観の基盤を崩壊させ、すべての信仰を失った者のように、人々は焼け跡のうえに思考回路を停止させて茫然と立ち尽くしました…