chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
しろげしんた
フォロー
住所
八幡西区
出身
八幡西区
ブログ村参加

2021/10/07

1件〜100件

  • 『問題児』

    中一の頃、教師間のぼくの称号は、『問題児』だった。そのきっかけとなったのは、クラス内で暴れていた級友を止めようとしたことにあった。担任の女教師はなぜかことのいきさつも調べずに、それをけんかと見なし、勝手にぼくをその首謀者に仕立てあげた。あまりの馬鹿馬鹿しさにぼくは呆れてしまい、何も弁解しないでおいたのだが、それがまずかった。担任はさらに調子に乗って、ぼくを『問題児』扱いするようになったのだ。ノートに落書きすると『問題児』。他の先生に叩かれると『問題児』。美術の作品を出し忘れると『問題児』。体育の授業を見学すると『問題児』。流行りの言葉を使うと『問題児』。一人で繁華街行きのバスに乗っているところを見られて『問題児』(町の柔道場に通っていた)。『問題児』、『問題児』、『問題児』・・。いったいどれだけ『問題児』...『問題児』

  • ご安全に

    昼間、車を走らせている時だった。太陽をキラリと反射させた飛行物体が、こちらをめがけて飛んできた。ぼくは思わずブレーキを踏んだ。よく見ると、その飛行物体は、今年初めて見るトンボだった。シオカラなどの普通サイズのトンボではなくて、オニヤンマやギンヤンマといった、まさに飛行物体と呼べるような存在感のある大きなトンボだった。さて、ブレーキを踏んで減速したものの、元々車はスピードを出してなかったので、トンボは車に激突せずにうまく車をよけていったと思われる。いくら昆虫とはいえ、車に当たれば、「コツッ」程度の音はするだろう。だが、その音は聞こえなかった。ところでそのトンボ、えらくきつそうに飛んでいるように見えたけど、きっとこの暑さと湿気で、体の切れが悪かったのだろう。もしかしたら、汗が目に入ってしまい、車が見えなかった...ご安全に

  • 海はヌルッとしてました

    この団地の先に海があります。まあ海と言っても港湾ですし、対岸は老舗の化学工場だから、誰一人泳ぐ人などおりません。昔より綺麗になっているので泳げないことはないのですが、泳ぎたいとは思わないのです。勿論落ちたら泳ぐでしょうがそこに落ちる馬鹿はいません。ごく一握りの人を除いてはね。どんな人が落ちるかというと、俗にドジとか言われる人です。そのごく一握りの人をぼくは知っていますよ。はい私です。海はヌルッとしてました

  • 選挙と担任の話

    高校二年の頃、休み時間中に担任の先生から「しんた、ちょっと来てくれ」と進路指導室に呼ばれたことがある。高校二年時の担任は、いろいろないきさつがあり、ぼくを嫌っていた。当然ぼくも彼を嫌っていたのだが、その絡みで何か文句を言われるのではないかと思い、憂鬱な気分で進路指導室に入った。「何ですか?」とぼくが不愛想に言うと、彼は「まあ、そこに座れ」と言う。そして彼は急に笑顔になり、「お願いがあるんやけど」と言った。「えっ?」「今度、選挙があるやろ」「ええ」「親御さんに社会党に入れるように頼んでくれんかのう」『何で生徒にそういうことを頼んでくるんだ。頼むのなら、直接本人に言えよ』と思いながら、ぼくは、「はあ」と生返事をしておいた。担任はその返事を聞いて、さらにぼくを嫌ったようだった。もちろん、ぼくは『親御さん』には何...選挙と担任の話

  • 期日前投票

    先日、期日前投票に行ってきたのだが、そこに行くと、毎回毎回同じ質問をされて、うんざりしてしまう。「投票日には行けないのですか?」「はい」(何でいちいちそんなことを聞くかなあ。その日は都合が悪いから、今日来ているんでしょうが)「その日は仕事なんですか?」「そうです」(私はね、仕事柄日曜日が休めない人間でしてね。でもそんなことはどうでもいいことでしょう、現に投票に来ているんだからね)50歳を過ぎてから、選挙には毎回参加している。それは少しでもいい世の中、例えば期日前に投票しにきても、毎回毎回その理由を聞かれるようなことのない、そんな世の中になってもらいたいからだ。しかし、期日前に投票しに来た人を捕まえて、選挙の日に投票に行けない理由を聞く暇があったら、選挙後に投票しなかった人の所に行って、投票しなかった理由を...期日前投票

  • 怠け者列伝

    かつて日教組出身のおっさんと組んで、派遣の仕事をしたことがある。何の教科の先生だったかは知らないが、そのおっさんの言うことはいちいち理が通って立派だった。ところが一緒に仕事をしていくうちに、おっさんが立派なのは口だけで、仕事をしない人間だということがわかった。やたら休憩を取るし、定時より早く帰るし、しょっちゅうズル休みするし、あげくに職場の女の子に手を出す始末だ。見かねた上司が注意をしたが、「はいはい」と言いながらも、まったく聞く耳を持たなかった。結局おっさんは、契約が切れるまでその会社に居座っていた。約切れの何日か前、「あ、まだ有給休暇が残っていた。じゃ明日から来なくていいな。あんたもちゃんと有給休暇を取りなさいよ」と言って、それ以来姿を見せなくなった。さて、おっさん。その仕事の絡みで、ちゃっかりとコネ...怠け者列伝

  • 鬼太郎の思い出

    ぼくが鬼太郎を知ったのは小学4年生の頃、そうテレビマンガ『ゲゲゲの鬼太郎』が始まった時だ。当時のぼくは少年サンデーばかり読んでいて、少年マガジンにどんなマンガが載っているのかをまったく知らなかった。それゆえに鬼太郎は、テレビで見たのが初めてということになる。ぼくの周りも圧倒的にサンデーファンが多かったので、鬼太郎に関しては、巨人の星などと同じくテレビから入っていった人間がほとんどだった。とはいえ、ぼくは鬼太郎のことを、まったく知らないわけではなかった。大正生まれの伯父が、「戦前、紙芝居で『ハカバキタロー』というのがあったけど、あれは面白かったぞ」と言っているのを聞き、キタローなるものに興味をそそられ、それが潜在意識にインプットされていたのだ。そのせいか、テレビで『ゲゲゲの鬼太郎』が始まった時は敏感に反応し...鬼太郎の思い出

  • 猫にふられる理由

    猫は本能で生きている動物だから自分の行動に理屈をつけることをしない。行動に理屈をつけることをしないからのんびりと人生を考えることもない。人生を考えることがないということは裏返せばそんな暇はないということになる。つまり猫はその時その時の行動に人生のすべてを賭けているわけでだから今日はこのくらいにしておこうなどと言って手抜きをすることもなければやろうかな、どうしようかななどという優柔不断な行動をとることもない。猫はすべてに真剣勝負なわけだから「猫は本能で生きている動物だから自分の行動に理屈をつけることをしない・・」などと勝手に猫の人生を考えているような暇な人間を相手にする暇を持ち合わせてはいない。猫にふられる理由

  • もう一つのサイダー

    小学生の頃、ぼくの周りでは、サイダーといえば三ツ矢サイダーという認識だった。近くにスーパーマーケットなどなく、駄菓子屋がすべてだった時代、その他のサイダーなんて見たこともなかったし、その存在すら知らなかった。後年、サイダー分類されていると知ったキリンレモンは、レモンが入っているからという理由で、ぼくたちの間ではサイダー認定をしていなかった。だから今でも、ぼくの中ではキリンレモンはサイダーではないのだ。小学四年のある日、ある番組が始まってから、レモンの入ってない、サイダーらしきものがこの世にあるのを知ることになった。もちろん古くからある飲み物なので、他の地方や地区には流通していたかもしれない。だが、ぼくたちの住む世界には、その飲み物は存在しなかった。その番組とは、アニメ(当時はまだアニメとは言わずテレビ漫画...もう一つのサイダー

  • 環境破壊

    五十歳になって変ったことはトイレで手を洗わないという地球の環境に優しい生活から、トイレの後に手を洗うという環境破壊の生活になったこと。ぼくの中で大きな変化だった。環境破壊は今なお続いていて後ろめたい気持ちで一杯です。六十歳になって変ったことはハンカチを持込まないというばい菌のない清潔な生活から、ハンカチを持込んでばい菌が繁殖し汚染生活になったこと。ズボンの中は濡れハンカチで繁殖したばい菌がいっぱいだ。ポケットに手を突っ込めない。環境破壊

  • おいしいチャンポン

    チャンポン好きのぼくは、いつもおいしいチャンポンを探している。グルメな知人から「どこどこがおいしいかったぞ」と聞けば、必ずそこに行ってみる。その知人の情報は確かで、ほとんどハズレたことがない。しかし、ぼくが情報を仕入れるのは、何もそのグルメな知人からだけではない。とにかくぼくはチャンポンに関しては貪欲だから、食に関してのセンスを持ち合わせていない嫁さんが、仕入れてくるようなテキトーな情報でも、とりあえずは調べてみる。そして、まあまあ以上の評判ならば足を運んでいる。ということで昨日、食に関してのセンスを持ち合わせていない嫁さんの、情報を元にチャンポンを食べに行った。もちろんテキトーな情報だから、下調べをちゃんとやった。ところが、嫁さんの持ってくる情報はやはりテキトーで、その店の名前が見当たらないのだ。しかし...おいしいチャンポン

  • 寝言

    休日になるといつも眠気が襲ってくる。何をやっていても、ついつい居眠りしてしまうんだ。きっと休みで気が張ってないから、どうしてもそうなってしまうのだろう。いや、待てよ、それはちょっと違うかもしれない。なぜなら気が張っているはずの仕事中でも、眠気はしょっちゅう襲ってくる。ということは、気が張っていてもいなくても、いつも眠たいということだ。もしかしたら人間というものは、本来眠たい動物なのかもしれないな。若い頃、何かの本で読んだのだが、元々人類の祖先は本能に逆らわず、眠って何ぼの生活スタイルで健康的な人生を全うしていた。ところがある時期から、起きてて何ぼの生活スタイルに変化し、それこそが進化と考え、自由に眠ることを拒むようになったのだという。つまり人類は、文明が発展するにつれて本能を悪と捉えるようになり、不健康な...寝言

  • ゲーコ

    ぼくの家のそばに、そこそこ幅のある川が流れている。今でこそ魚が跳びはね、それを鷺がジッと狙っているような、自然を象徴する川になっているが、かつては魚も住まないような、それはそれは汚い川だった。ま、そのことはさておいて―。二十年ほど前まで、その川に沿ってもうひとつ、狭い川が流れていた。汚い川に輪をかけたようなドブ川で、何とも形容しづらい臭いを放ち、黒いヘドロの上に奇妙な色の液体が泡立ちながら浮かんでいた。それを初めて見た時、ぼくは吐き気を催したほどで、さすが死の海と呼ばれていた洞海湾に注ぐ川だ、と思ったものだ。ところが海と違ってその川は死んではいなかった。実はそこにはちゃんと生物が生息していたのだ。その生物は夏になると一斉に「ゲーコ、ゲーコ」と鳴き出した。そう、カエルである。生息する場所が場所だけに、案外奇...ゲーコ

  • 火薬の臭い

    夕方になると、どこからともなく火薬の臭いがしてくる。実際のところ何の臭いかわからないが、昔遊んだ2B弾だとか、ロケット花火の臭いによく似ている。とはいえこの辺に花火を作る工場はないし、炭鉱がない今は火薬を扱うような現場もない。そういえば近くに弾薬庫のようなものがあったらしいのだが、それも何十年も前の話だという。とにかく、最近は火薬のことを聞いたことはない。ということでそれは火薬の臭いではなく、火薬の臭いに似た何かということになるのだろうが、いったい何の臭いだろう。火薬という危険物よりも、正体不明の臭いのほうが、却って気味悪く、怖いです。火薬の臭い

  • 梅雨怪談

    この時期に幽霊が出てきた。頬にホクロの二つ並んだ、青黒い顔の女幽霊で、彼女がトイレとか部屋の中とかを、浮かぬ顔して往き来している。そこでぼくは除霊しようと思い、伝家の宝刀である般若心経を唱えた。ところが、肉体のぼくは寝ているので、口が機能しないのか、はっきりとした言葉になって出てこない。「マーカハンニャーハーラー」が「ファーファーファーファー」となってしまう。それが実にもどかしく、つい意地になって何度も何度もやってみる。しかし相変わらず言葉にならず、女幽霊はいつまで経っても消えようとしない。幽霊の横には嫁さんがいるのだが、きっと彼女には見えてないのだろう、『何やってんだ?』みたいな顔をして、ジーッとこちらを見ている。その時だった。誰かがぼくの後ろから肩をポンポンと叩くのだ。『誰だろう』と思い振り向くと、『...梅雨怪談

  • 早帰り

    今日は仕事を三十分早く終え、急いで家に帰ってきたのだが、野暮用で時間を費やしてしまい、結局風呂に入る時間はいつもと同じで、まったく新鮮味のない夜を迎えている。しかし考えてみれば、たかだか三十分早く帰ったくらいで、どんなすばらしい世界が待っているというのだ。所詮はいつもの生活の上に、ちょっと時間が乗っかっただけの話で、別にその時間に特別な楽しみが用意されているわけではないのだ。今夜みたいに、時間にふられて損した気分になるくらいなら、ありもしない「特別な時間」なんか期待せずに、その生活の中に楽しみを見いだすほうがよっぽどいいわい。早帰り

  • 夜中に目が覚めると

    夜中に目が覚めると、なぜか眠れなくなる。別に仕事のことを考えているわけでもなく、頭に嫌な奴のことを描いているわけでもなく、神経質になっているわけでもない。眠たくないのではない、気持ちは眠たいのだ。きっと体や心のどこかに、睡眠を妨害する奴が潜んでいて、しきりにちょっかいかけているんだろう。以前はそれを七人の小人がやってるんだと思っていた。ところが七人の小人の姿を想像すると、逆に落ち着いて眠れていた。ということは彼らがやっているのではないのだろう。人の睡眠を妨害するような奴だから、七人の小人みたいにかわいくはなく、おそらく悪魔顔なんかしてるはずだ。こうなりゃとことん闘ってやるぞ。「出でよ、デーモン・・」ああ、今夜も眠れない。夜中に目が覚めると

  • 臭さ

    自分の人生の中で培われた考えがそっくりそのまま書かれている、そんな本に出会うことがたまにある。そういう時、「ああ、これを書いた人も、同じ生き方をしてきたんだな」と、まるで生涯の友にでも会ったような、大きな喜びを得るものだ。そういう本は、自分を変えてやろうと意気込んで読む、生き方だの思想だの哲学だのといった小難しいものには少ない。どちらかというとトイレなどで読み流すような、小説やマンガなんかに多いのだ。所詮は臭い考えということなのか?それとも臭さに意味があるということなのか?臭さ

  • 遠い灯り

    幼い頃から、遠い灯りを見ると、何か惹かれるものがあった。心がウキウキしてきて、夢や希望がふくらんでくるんだ。ところが昼間そこに行ってみると、別に大したところではなく、パチンコ屋のネオンだったり、カラオケ店の看板だったりする。そういえば人生のイベントだって、同じようなものだ。そこにたどり着くまでは、遠い灯りを見るように心を弾ませているのだが、着いてしまうと何のことはなく、そこには日常生活が待っているだけだ。たとえば修学旅行がそうだった。行くまでは何かと心がウキウキして、期待に胸をふくらませたが、ふたを開けてみると何と言うことはない。最初のうちこそ気も浮かれているが、そこにいるのはいつもの友だちや先生なので、そのうち浮いた気分も吹き飛んでしまった。「つまりは場所を変えた学校生活じゃないか。そんな中でいったい何...遠い灯り

  • 古い歌

    1,ラジオから古い歌が流れていた。例えば50年以上前の歌謡曲だとか、その頃流行ったGSの歌だとかだ。番組を制作しているプロデューサーは、きっとぼくと同じ世代の人なのだろう。その時代に生きていた人にしか、出来ないような選曲になっているからだ。ところでそういう歌を聴いていて、気づいたことがある。それは歌詞がおかしいということだ。メロとサビの歌詞の内容が違うものだったり、誰も知らないのに伝説だったり、うぶな女性が一人で飲み歩いていたり、とにかく現実味を感じないものが多くある。さらに思うことがある。それは、安易に人が死んでいるということだ。死んだ人のほとんどが恋人、それも女性で、病死したり、冬山で遭難したり、神隠しにあったり、湖に身を投げしたりして、その生涯を終えている。あの当時、それほど恋人と死別することが多か...古い歌

  • かつて好きだった有名人

    映画「お嫁においで」の頃の内藤洋子ドラマ「これが青春だ」の頃の岡田可愛ドラマ「キイハンター」の頃の野際陽子ドラマ「柔道一直線」の頃の吉沢京子ドラマ「おくさまは18歳」の頃の岡崎友紀ドラマ「姿三四郎」の頃の新藤恵美ドラマ「おひかえあそばせ」の頃の鳥居恵子ドラマ「おれは男だ!」の頃の小川ひろみ中山律子、須田開代子、並木恵美子よりも野村美枝子ドラマ「コートにかける青春」の頃の森川千恵子ドラマ「光る海」の頃の中野良子ドラマ「雑居時代」の頃の浅野真弓同じく「雑居時代」の頃の竹下景子ドラマ「水もれ甲介」の頃の村地弘美「欽ドン」の頃の香坂みゆきドラマ「花吹雪はしご一家」の頃の相本久美子ドラマ「前略おふくろ様」の頃の坂口良子キャンディーズの藤村美樹ドラマ「俺たちの朝」の頃の長谷直美ドラマ「気まぐれ本格派」の頃の水沢アキド...かつて好きだった有名人

  • バランス

    ここまでの人生、ぼくは惜しみもなく支出ばかりに重点を置いてきた。おかげで収支のバランスは崩れたままだ。しかも支出は増え続けていく一方で、返済のめどさえ立っていない。だけどぼくは諦めているわけではない。どちらか一方に重点が置かれたまま物事が進むはずがないのを、ぼくは知っているからだ。自然はいつも中庸であろうとする。ということは、自然はこのバランスを修復すべく収入攻勢をやってくれるはずなのだ。それがいつになるのかはわからないが、ぼくはワクワクしながら待っている。バランス

  • 十番目の夏

    一番目の夏が来て人は、来年からネクタイをしなければならないというルールを作った。二番目の夏が来て人は、ネクタイをすることになった。三番目の夏が来て人は、ネクタイをすると体感温度が上がることがわかった。四番目の夏が来て人は、体感温度と地球温暖化の因果関係がわかった。五番目の夏が来て人は、「もうネクタイをやめよう」と言いだした。六番目の夏が来て人は、ネクタイを外そうとしたが出来なかった。七番目の夏が来て人は、なぜネクタイが外せないのかを考えた。八番目の夏が来て人は、ネクタイを外すためのルールがないからだとわかった。九番目の夏が来て人は、来年から夏はネクタイを外してもよいというルールを作った。十番目の夏が来て人は、ようやくネクタイを外すことができた。十番目の夏

  • 印象

    たとえば深夜、街が寝静まっている時に一匹の猫の子が鳴いたとしましょう。これが妙に心に響くのです。昼間、喧噪の中で重大な事件があったとしても、人にはその声の方が一日の印象として残るものなのです。仕事でも同じことでしてね、会議が行き詰まって誰も発言が出なくなった時に、意見を吐く人がいたとしましょう。そういう意見は大体が下らん意見だったり、誰かの意見の受け売りだったりするわけですが、人々の印象にはその人の意見が残るのです。いや、その人が残るのです。結局そういう人が勝ち組なっていくんですね。組織は目立って何ぼのもんだから、例えその人が馬鹿であっても、印象に残ったその人は、いい方向に向かっていくものなのです。同じく目立って何ぼでやってきた上司から、「おっ、おれの若い頃に似ている」と思ってかわいがられる。そしてその上...印象

  • まさにドラマだ

    「生きていることの意味」、そんなことを考えるのはおそらく人間だけで、他の生物はそんなことを考えることはないだろう。なぜなら他の生物は人間のように暇じゃなく、生きることに精一杯だからだ。たとえばさっきからぼくの周りをしつこく飛んでいるハエが、「おれは何のために生きているんだ?」などと考えながら飛んでいたら、いとも簡単に叩き殺されてしまうだろう。つまりハエは生きることに一生懸命で、「おれは何のために生きているんだ?」なんて暇なことを考えて生きていないから、今のように子孫繁栄しているわけだ。「子孫繁栄」、ああそうだ、子孫繁栄だ。われわれはそのために生まれてきたんだ。つまり生きている意味というのもそこにあるわけだ。種の保存、結局はそこに行き着くんだな。ということはだ、「われわれ生物というのは、ラブストーリーを完成...まさにドラマだ

  • シンプル

    観光地のお土産屋さんなどでよくタヌキのアクセサリーを見かけるが、何が楽しいのか、その股間には決まって紐付き金玉が付いている。それを見ていつも思い出すのが、1970年頃に流行した、紐付き金玉をそのまま大きくしたようなアメリカンクラッカーという玩具だ。遊び方はいたってシンプルで、玉と玉を繋いでいる紐の真ん中を指で持ち、それを振って玉と玉を当て、「カチカチ」と音を鳴らすだけのものだった。それと前後して流行ったのがラブ・アンド・ピースのグッズだった。黄色地に二つの点と曲線だけという、シンプルな顔のニコちゃんマークが付いていた。しかしそんなシンプルなものが、どうしてあの時期に流行ったのだろう。1970年といえば、ビートルズが解散した年だけど、それと何か関係あるのだろうか。そういえば最後のシングル『LetItBe』は...シンプル

  • 頑張るリック君

    知人の家に、リックという名のオスのミニチュアダックスがいる。かなり前から飼っていて、人間の歳にするともう七十歳を超えているという。なるほど目は白内障になっていて、歩きもヨタヨタしている。ところがそのリック君、そんな体になってはいてもあちらの方は元気な様子で、何かにつかまっては必死に腰を振っている。それが原因なのだろうか、ヘルニアにもなっているという。そういえばこのリック君、ずっとお座敷で飼ってきたせいで、メスとの接触がまったくなく、この歳まで童貞で通してきたらしい。そのせいかもしれないが、お気に入りの対象がちょっとずれている。申し訳ないけどリック君、ぼくの脚はメスではないんだよ。頑張るリック君

  • じゅげむじゅげむ

    小学三年生の頃、ひょんなことから130文字以上ある『じゅげむ』を一日で覚えた。当時はその程度の文字数なら、何の苦もなく覚えられたのだ。徐々にきつくなったのは中高生の頃で、歴史の年号や数学の公式などに、いつも手こずっていたものだ。社会に出てからさらに酷くなった。深酒やたばこやストレスが老化を早め、次第に脳が暗記を拒むようになったのだ。おかげで延命十句観音経(42文字)程度の言葉でさえ、覚えるのに数日かかってしまった。次に覚えようとした般若心経(262文字)は一週間以上かかり、ついでに覚えようとした観音経(2062文字)に至っては数行覚えるのが精一杯で結局は断念してしまった。以来暗記物はまったくだめだ。そのせいで結婚式のスピーチなんかは、いつも即興でやっている。最初は緊張があるものの、次第に言葉に酔ってきて、...じゅげむじゅげむ

  • クラクション

    車を運転していて怖いのは、夜の歩行者の飛び出しだ。子供や年寄りが飛び出すのではない。ウォーキングに励む中年男女が飛出すのだ。自分のペースを乱されるのが嫌なのか、信号のあるところでも、青になるのを待とうとせずに、好き勝手に道路を渡っている。これなら違反にならないと、横断歩道の手前を歩く御仁もいる。いくら歩行者が悪くても、はねたら運転者の責任だ。彼らはその辺も計算に入れて歩いているのだろう。運動だけが健康の条件ではない。安全も立派な健康の条件なのだ。もっと自分の身の安全を考えろよ。『赤は止まれ、青は進め』、そんな簡単なルールが守れないのなら、ウォーキングなんかやめてしまって、一生高血圧と太り気味を悩んでろ!「ブーブーブー」クラクション

  • 問題は夜が明けてから

    朝7時になると、いつも家の前にある公園近くの家から、ヒップホップが聞こえてくる。数年前から始まったことで、最初はさほど感じなかったのだが、日が経つにつれて音がだんだん大きくなってきて、うるさく感じるようになった。近くにヒップホップをかけるような店はないから、それを鳴らしているのはその辺に住む住民なのだろう。もしかしたらその人は、ドラゴン桜のようにエクササイズをやりながらそれを聴き、英語の勉強をしているのかもしれない。しかし、朝の忙しい時間に大音響でこれをやられると、イラッとする。昨日ここに夜中に聞こえてくる声のことを書いたが、それよりも夜が明けてから聞こえるその音の方が、ぼくの中では耳障りになっている。問題は夜が明けてから

  • 問題はそこなのだ

    夜中になると、いつも家の前の公園から二、三人の子どもたちの遊ぶ甲高い声が聞こえてくる。最初は子どもだなんて思わずに、女子中学生がたむろして、騒いでいるのかと思っていた。ところがそれはどうも違うようだ。「あははは-、きゃっきゃっ」中学生にしては声が若いし、思春期特有の臭みがない。時折「オレ」などという男の子の言葉遣いも混じっている。ということは声の持ち主は、おそらくは幼稚園児か小学校低学年の声だ。そんな幼児が、そんな夜中に、いったい何をやっているのだ。いったい親は何をしているのだ。しかし待てよ、問題はそこにあるのではない。ここに引っ越してきて十数年経つけれど、「あははは-、きゃっきゃっ」その声は引っ越してきた当初から今までずっと聞こえていて、なぜか同じ子どもの声なのだ。果たしておよそ二十年前の幼児が、二十年...問題はそこなのだ

  • 流れ

    好きな言葉の一つに「流れ」がある。昔ある問題を抱えていたことがあって、何をやってもなかなか解決しようとしない。そういう時に読んだ本が、老子であったり禅書であったりしたのだが、こうなりゃどうにでもなれという気持ちで、そこに書いてあった「流れ」というものに任せ、慌てず、力まず、来るもの拒まずでやってみた。するとどうだろう。あれだけ悩んだ問題が、するするとうまく解決できたのだ。それこそ流れがよくなったのだろう。以来この言葉が好きになったというわけだ。会社を辞めた時も、再就職先を決めた時も、すべて流れに従った。もちろん流れの中の出来事だから、退職したことによる落ち込みもなかったし、再就職のストレスもほとんど感じなかった。最近は最近でこの「流れ」に任せていると、結構いいことがあったりするようになった。要は慌てず、力...流れ

  • やまとなでしこ

    知り合いに26歳の女の子がいるのだが、その子から同い年の彼氏のことで相談を受けた。彼女は結婚の目標年齢を27歳に決めていて、それが原因で彼氏ともめているという。彼氏は30歳前後に結婚を見据えているようで、その三年の溝が埋まらないらしい。それを聞いて、昔見たドラマを思い出した。そのドラマの主人公が結婚目標年齢としていたのが、彼女と同じく27歳だったのだ。ドラマの中で主人公は「27歳を過ぎると値崩れが始まる」と言っていた。主人公は目標通り27歳で、もう一つの目標であった大金持ちとの結婚にこぎつける。ところが結婚式当日にある事件が起こり、その結婚が自分の心に反したものだったことを主人公は悟ることになる。結局その結婚は破談になった。28歳の誕生日に主人公は、結婚してない自分を顧みて、「わたし何やってたんだろう」と...やまとなでしこ

  • もう一人の自分

    自分の心をどこまでも掘り下げていけば、別の人間にたどり着くのではないかと、常々ぼくは思っている。時々、現実とはまったく違った環境の中で、生活している夢を見る。なぜかその内容がえらく現実味を帯びていて、そこでの生活が自然に感じるのだ。その中に登場する人物も、現実では知らない人ばかりだが、夢の中ではえらく親しく懐かしい。そういうことを、ぼくは夢の中だけで体験しているのではない。ちょっと瞑想している時にだって体験している。ふと気づけばそこの人たちと、親しげに会話し盛り上がっているのだ。夢と瞑想、そのどちらの場合も、現実に戻った後には、すっかり内容を忘れている。だけど、そこで生活し、そこで会話したという現実味を帯びた感覚だけはしっかりと憶えている。これはいったい何なのだろうか。話は飛ぶが、地球空洞説というのがある...もう一人の自分

  • 河童

    前の会社にいた頃、昼食後いつもぼくは自分の車の中で寝ていたのだが、そこで時々不思議なことが起きていた。何者かが車内で横になっているぼくのお腹の上に乗り、ドンドン飛び跳ねるのだ。『誰だ!?』と目を開けても誰もいない。おかしいなと思いながら目をつぶると、しばらくしてからまた飛び跳ねる。おかげでゆっくり昼寝が出来なかった。ところで、その会社はいつも水に祟られていた。プロの水道屋さんが水道管を破ってしまって、社内の床が水浸しになったとか、専門業者が来て消火栓を点検していると、なぜかホースが外れて天井から水が降ってきたとか、とにかく普通では考えられない水の事故がしょっ中起きていたのだ。昔からその地に住んでいる人に聞いてみると、そこは元々池があって、その会社が建つ時にすべて埋めてしまったということだ。池にしろ川にしろ...河童

  • それは天職なんですよ

    何が楽しいというのではなく楽しくない場面がなぜか少ない。だから長丁場でも堪えられるのだ。不思議なことにそれをやっていると何度もいい運に巡り会う。どんな修羅場でも不思議と救いの主が現れる。仮にそれを辞めたとしても回り回ってまた同じことをやるだろう。そういう時なぜか力が増しているものだ。同じことをやると言ってもそれは決して逃げ場などではない。本能がそれを好んでいるのだ。だからいい自分をイメージできるしだから他人にもやさしくなれる。つまりはそれがいい運を運んでくるのだ。不器用などという言葉で片付けてはならない。それしか出来ないからやっているのではない。それが天職だからやっているのだ。それは天職なんですよ

  • あと十年経ったら

    ウェブ日記を始めたのは、二十世紀最後の年だった。その前の年にパソコンを手に入れ、ホームページという存在を知り、とりあえずそれまでノートなどに書きためていたものを打ち込んで、小出しにサーバーに上げていた。内容は多岐にわたっていたが、基本は思い出話や体験談だった。今そういうものを読み返してみると、その頃思い出となっていた多くのことが、今では思い出になってないことに気づく。つまり忘れているわけだ。思考の忘却ならわからないでもないが、体験の忘却だからしゃれにならない。二十年でこの有様か・・。あと十年経ったら、どれだけのことを忘れているのだろう。あと十年経ったら

  • ジャニス・イアンのライブ

    もう十数年前になるが、ブルー・ノートが博多にあった頃に、ジャニス・イアンのライブを見に行ったことがある。ドラマ『グッドバイママ』や『岸辺のアルバム』の主題歌がえらく気に入り、それから彼女の歌を聴くようになった。現在主だったアルバムはすべて持っている。さてそのライブ、彼女を見てその歌が聴けるだけで充分だったのだが、よくよく考えてみたら、そこは狭い会場だ。あのジャニス・イアンが、ぼくから10メートルも離れてない場所にいて、同じ空気を吸っているのだ。そのことに気づいた時に、ぼくは一気に感動してしまい、止めどなく涙が流れたものだった。それより以前にボブ・ディランのコンサートに行ったことがある。ミュージシャンというよりも、詩人として好きな方で、昔から本物を見れば確実に泣くと思うほど深く傾倒していたのだが、厚生年金会館(当...ジャニス・イアンのライブ

  • 一日の疲れ

    眠っている間は完全に忘れているのに、目が覚めて、布団の上で今日の予定などを考えていると、なぜか昨日あった嫌なことが蘇ってしまう。嫌なことなんだから見過ごしてしまえばいいのに、思考の回路は必ずその部分にも光を当てる。まあ、それはそれで呆けてない証なのだから良しとしよう。要はそこにとどまらずに次の項目に進めばいいのだ。ところが思考回路はその部分ばかり照らしている。仕方がないのでつきあっていると、それが元で、もっと過去にあった嫌なことまでが蘇ってしまい、嫌なこと、嫌なことが心の中を覆ってしまう。そういう心の状態を払拭しようとすると、くだらない心の葛藤が始まってしまい、さらに嫌なことが巨大化してしまう。一日の疲れはそこから始まっているのだ。一日の疲れ

  • もう一つの家族

    ぼくら家族が住むこの家にはもう一つの家族が住んでいる。彼らは老若や男女の区別なく酷く好戦的で無慈悲で野蛮でぼくらの姿を見つけるや否やきゃーきゃーと奇声を上げてはきもの片手に襲ってきたり猛毒の霧をふりかけてきたり時に凍死させようと試みたりこちらの息の根を止めるまでその手をゆるめず攻めてくる。例えその場で取り逃がしても通り道に罠を仕掛けてみたり毒煙を撒いて住めなくしたり手を替え品を替え攻めてくる。世間に迷惑がかからぬように人目を避けながら生きている大人しいぼくらを滅ぼそうとしつこくしつこく攻めてくる。ぼくら家族が住むこの家には酷く好戦的で無慈悲で野蛮なもう一つの家族が住んでいる。もう一つの家族

  • うつぶせ

    今日は休み。昼寝しようかどうしようか、微妙なタイミングでこれを書いている。いちおう布団の上にいて、今うつぶせになっている。枕元のタブレットの横には、読みかけの『鎌倉ものがたり』が置いてある。そういえばこの姿勢、けっこう以前からやっていて、古くは四十数年前、歌詞なんかを作っていた頃。あの頃も今と同じように、いつ眠ってもいいように、このポーズを取っていたんだった。そうそう、大学ノートの横には、読みかけの『マカロニほうれん荘』が置いてあった。そうなんです。昔と何ら変わらない、進歩のない男なのでございます。うつぶせ

  • 怒る

    小学生の頃ぼくは怒ることのない子だった。他人から馬鹿にされても意地悪されても、まったく怒ることはなかった。決して気が弱かったわけではない。怒りがこみ上げることがなかったのだ。「なんで怒らないのか」と、そのことで友だちから不思議そうな顔をして問われても、『こいつ変なこと聞くなぁ』と友だちの顔を、不思議な気持ちで見ていたものだった。それが変わったのは中学生になった頃からで、あまりに周りが変なことを聞くので怒らないと何か損したような気がして、無理して怒るようになったのだ。そして、それがだんだん癖となっていき、社会に出てからは、いつもいつもいつも、怒ったり、怒ったような顔をしたりして、けっこう怖い人だと噂されるようになった。だけど何かが違っていたんだな。怒ったあとの気分は最悪だったし、その日はロクな目に遭わなかったし。...怒る

  • 持病と予防

    『これはポケットに入れておかないと、いつか落としそうな気がする』そう思った時は、決まってそれをどこかに落としている。だから落としそうな気がした時は、それをポケットに入れるようにと言い聞かせている。ところが、実際にそんな気がした時、ぼくは落とした過去を忘れてしまい、なぜか無意識に手にそれを持ってしまうのだ。そして、またそれをどこかに落としている。それを落としそうな気がする時は、きっと神や仏が教えてくれているのだ。あとで悔やまないためにも、そういう声にぼくはもっと真剣でなければならない。持病と予防

  • アコースティックギター

    ギブソンに、『ダヴ』とか『ハミングバード』という名のアコースティックギターがある。高校の頃、ぼくたちギター仲間の憧れで、誰もが欲しがる一本だったが、あの時代の輸入物はやたら高くて、そうそう手の出る代物ではなかった。そうした輸入物への漠然とした憧れを、現実のものとして捉えられるようになったのは、ぼくが二十歳を過ぎてからのことで、その頃には円の力もついていて、少し背伸びすれば買えるようになった。そこで箔付けに筋の通った一本を買おうと、楽器屋に何度も足を運んで候補を絞った。もちろん『ダヴ』や『ハミングバード』もその中にあったのだが、どうも『ダヴ』や『ハミングバード』の赤い色が引っかかる。それに加えてピックガードの鳩や鳥の画だ。「これだと飽きが来るに違いない」と思い、『ダヴ』や『ハミングバード』はやめた。他にもギブソン...アコースティックギター

  • 最初で最後の思い出

    関門橋が開通した頃だったか、友人と門司港に遊びに行ったことがある。門司港は市の東の端に位置し、西の端にあるぼくたちの住むの街からは、およそ30キロ離れている。それだけ離れていれば、国鉄(当時)を利用するのが普通だが、ぼくたちはその方法をとらなかった。チンチン電車に乗って行くことにしたのだ。その理由は、友だちもぼくも、チンチン電車で終点まで行ったことがなかったからだ。もちろん幼い頃からチンチン電車はしょっ中利用していたが、利用するのはいつも2、3キロ離れた繁華街までだった。その日は、最寄り駅の二つ手前にある始発駅から乗った。せっかくだから始発駅から終着駅まで乗ることにしたのだ。その所要時間は、並行して走る国鉄(普通電車で40分程度)の4、5倍かかったような気がする。国鉄のように専用軌道ではなく、道路上を走るので、...最初で最後の思い出

  • 只今大ヒット中

    20歳を過ぎてから40歳過ぎまで、ぼくはテレビをあまり見てこなかった。だからなんだろうけど、80年代と90年代の流行が、ほぼほぼ欠落している。その頃どんなファッションが流行っていたのかも憶えてないし、その頃どんなドラマが流行っていたのかも憶えてない。当時の流行語なんかも憶えてないし、どんな歌手がいたのかも、どんな歌が流行ったのかもはっきりとは憶えていない。とりあえず憶えているのは、『サボテンの花』のリバイバルヒットくらいだ。だからというわけではないのだが、そんなぼくの中ではいまだに70年代中期が新しく、その頃の歌が只今大ヒット中なのだ。ぼくの中では、サザンだって長渕だって浜省だって、いまだに新人なんだな、これが。只今大ヒット中

  • 水道水

    家に帰ってから水道水でうがいをする。口に入れた瞬間、あまりのまずさに水を吐き出してしまう。こういうことがしょっ中ある。いくらきれいだからといっても、最近の水道水はうまいものではない。そういえば子どもの頃の楽しみのひとつに、広場で野球をするというのがあった。組織化された少年野球とかじゃなくて、誰彼となく集まっては成り行きで野球を始める、つまり草野球だ。夏の炎天下でも厭わなかった。太陽の下で遊ぶのが子どもだったし、当時は誰もが暑ければ日陰で涼むという常識を知っていたから、倒れる子どももいなかった。野球を終えると渇いた子どもたちは、水道の蛇口に群がってがぶがぶと水を飲む。考えてみれば、あの頃の水道水は決してきれいではなかったけど、おいしかった。水道水

  • 一族の自慢

    「先祖に小学校の校長先生がいた」というのが、うちの一族の自慢で、小さい頃からよく聞かされていた。高校の頃に馬鹿やっていた友だちが校長をやっていたくらいだから、現在の校長先生というのは、そこまで価値を持たないのかも知れない。が、先祖の活躍した時代は明治だ。しかもその小学校の初代校長であったと言うから、その価値は計り知れないものがある。ところが社会に出てから、その手の話を至る所で聞くことになった。実際同じ職場で働く人の中にも二人ほどいた。で、その人たちとぼくは親戚なのかというとそうではなく、まったく血のつながりのない他人なのだ。そういうことがあって以来、校長先生話は、ぼくの中では眉唾物だという結論に達していた。しかしそれが事実だということを近年知ることになる。実はその小学校というのが嫁さんの通った学校で、校長室に飾...一族の自慢

  • ニンニク臭

    昨晩9時頃だったか、スーパーの惣菜コーナーで買った唐揚げを食べたのだが、朝になっても胃の中にニンニク臭が残っていて、その臭いが気になって仕方ない。昔は唐揚げを食べても、ニンニク臭を感じたことがなかった。というか、ニンニクが入っているなんて思ったこともなかったのだ。昔は少しだけしか入ってなかったか、もしくは入ってなかったのかもしれない。最近は、ニンニクさえ入っていればおいしいとでも思っているのか、唐揚げに限らず何にでもニンニクが入っている。例えばポテチなどのお菓子の中にもニンニクが入っているのがある。おかげでいつも口臭を気にしている。昼間になってもゲップをすれば、ニンニク臭が出てくるのかなあ・・・。今日は仕事なので困ってしまう。あとで牛乳を飲んでおこう。ニンニク臭

  • 五月の病気

    今から四十四年前、東京に出た年のちょうど五月のこの時期のことだったが、集中力の欠けた、気合いの入らない毎日をぼくは送っていた。五月病だったのかというと、そうではない。実は腫れ痔に悩んでいたのだ。別に不衛生にしていたわけではないのだが、なぜかお尻はいつも痛みと熱を持っていて、それが気になって落ち着かない。時には急にふさぎ込んだりするもんで、周りから変な人と思われていたようだ。痔のことを周りに言えば変な人と思われることもなく、あわよくば同情する人が現れて、そこから友情も生まれたかもしれないが、六十歳を過ぎた今ならともかくも、二十歳になったばかりの若者が、「いやー、実は腫れ痔でね」なんて易々と口に出来るわけがない。というわけで、東京に出てから数ヶ月、ぼくはその恥ずかしい病気が原因の、孤独で寂しい人だったのだ。五月の病気

  • 友人からの電話

    先日、友人から電話が入った。「おまえ、トーカイシを知っとるか?」その言葉を聞いて、ぼくの頭の中を、『十日石』という文字がよぎった。『十日石、さてどんな石だったろうか?』いや、友人は石のことを聞いて来るような人間ではない。『トーカイシ、トーカイシ・・。あ、もしかしたら東海市かも知れん』そこで「それは地名か?」と聞いてみたら、友人は「そうだ」と答える。東海市なら知っている。「知っとるよ。名古屋の隣の東海市やろ」「それは最近出来た市か?」「いや、何十年も前からあるぞ。中学になる前からその地名やったから、もう五十年以上になるんじゃないかの。以前は知多郡何とか町やったと思う」「えらく詳しいのう」東海市、久しぶりに聞く地名だ。そこは母の下の弟がかつて住んでいた所で、その知多郡何とか町から東海市に変わったと聞いたのが、その地...友人からの電話

  • 夫婦生活

    朝、嫁さんのあとにトイレに入る時ふと『何でこの女の生活臭の中にいるんだろう』なんて思うことがある。昼間、嫁さんと二人で買い物に行っている時ふと『何でこの女と共に歩いているんだろう』なんて思うことがある。夜間、嫁さんと二人でテレビを見ている時ふと『何でこの女とくつろいでいるんだろう』なんて思うことがある。夜中、嫁さんのイビキで目をさまされる時ふと『何でこの女が横に寝ているんだろう』なんて思うことがある。縁だと言えばそれまでだが考えてみれば不思議なことだ。夫婦生活

  • 野菜ジュース

    「気分は健康状態にあるのだが、腹の調子がしっくりこない。それはきっと野菜不足のせいだ」そう思って、数日前から野菜ジュースを飲んでいるのだが、その野菜ジュースを飲む時、決まって東京で一人暮らしをしていた頃を思い出す。あの頃は、朝は飯抜き。昼は肉まんと野菜ジュース。夜はインスタントラーメンに切り餅をトッピング。そういう献立で生活していた。「なるべく金を遣わないで、空腹をしのぐにはどうしたらいいか?」と考えた末の献立だった。当時の野菜ジュースというのは、トマトジュースに毛の生えた程度のもので、使用している野菜の種類も少なく味はかなりまずかった。それでも野菜ジュースを加えた理由は、健康を考えていたから、ではなくて、ただ単に値段が安かったからだ。とはいえ大病もせずに過ごせたのは、その野菜ジュースのおかげが大きいだろう。生...野菜ジュース

  • われ日にわが身を三省す

    きっと若い頃に読んだ論語の影響だろう。変な気癖がついている。「われ日にわが身を三省す」という言葉が心を責めて、いつも反省を促してくるのだ。そのためにひどく心が疲れてしまう。しなければならぬ反省ならともかくも、しなくてもいい反省までしてしまう。反省材料のない時には、わざわざ過去から反省材料を引っ張り出してくるしまつだ。どこかで歯止めをかけないと、やっとられんわい。人生の楽しみすら奪われてしまう。われ日にわが身を三省す

  • うんこ座り

    以前は何の苦もなく出来ていたことなのに、西洋化した生活のせいで出来なくなってしまったことがある。それはうんこ座りだ。うんこ座りをやっていた頃は、体はわりと柔らかかった。肩こりや腰痛などという、疲れを連想する言葉を使うこともなかった。そうだ。体が硬くなったり、肩こり腰痛という言葉を常に使うようになったのは、うんこ座りの必要がなくなってからだ。それ以来靴紐を結ぶのもひと苦労するし、体を曲げるのもつい慎重になってしまう。最近、そのうんこ座りと体の変調の因果関係に気づいたぼくは、暇があればうんこ座りをすることにした。今のぼくにはこれが一番重要な運動になっているのだが、久しぶりのうんこ座りは重労働で、たとえば足の裏がつりそうになったり、たとえばすねの筋肉が痛くなったり、と、毎日悪戦苦闘している。とにかく難なくうんこ座りが...うんこ座り

  • 田んぼの中のの

    ぼくの通った小学校から少し離れた地区に、一面田んぼだらけの場所があり、そこに仲のいい友だちの家があった。夏の暑い日、その友だちの家の庭に巣くっていたアリジゴクを観察しに行ったり、冬の寒い日、グリコアーモンドチョコレートの懸賞賞品だった「おしゃべり九官鳥」を見せてもらいに行ったり、数々の思い出の中に、田んぼの中のその家は登場する。小学生の終わる頃、その友だちは引っ越してしまい、以来そこに行くことはなくなった。それから数年後、ぼくの行かなくなったその場所で、国道のバイパス工事が始まった。道は街を作り、街は人を呼ぶ。当然のように一面の田んぼは消され、多くの建物がその一帯を飾るようになった。そしていつしか町名も変わった。先日その場所を嫁さんと訪れてみたのだが、かつて通った懐かしい友だちの家はすでになく、近くには駅が出来...田んぼの中のの

  • お客様、それはないでしょう

    某家電専門店に勤める知り合いから、こういう話を聞いた。初老の男性が販売員に声をかけた。「このテレビを届けてくれ」「ありがとうございます。では、こちらにお届け先の住所をお書き下さい」「何で書かんとならんのか」「えっ、配達されるんでしょ?」「何を聞いとるんだ。そう言っとるじゃないか」「だから、こちらにご住所をお書き下さい」「だから、何で君に個人情報を教える必要があるんだ。ちゃんと法律で教えんでいいようになっとるだろうが」「・・・・・・・」「こんな非常識な店では買えん」そう言い捨てて、そのお客は帰ったそうだ。かつて、ぼくも似たような仕事をしていたことがあるのだが、その頃、こういうことがあった。「明日X時に、この商品をここに届けて下さい」「ありがとうございます。お支払いはどうされますか?」「代金引換にして下さい」「かし...お客様、それはないでしょう

  • 駅前通り

    駅から放射状に伸びる道が街を作っている。かつてこの沿道には多くの店が建ち並び、ここは県内でも有数の繁華街だった。ところが今世紀に入ってから、店はどんどん閉鎖していき、その跡は無意味な駐車場になっている。毎日がお祭り騒ぎだった市場の通りも、今はいつ行っても閑散としている。何とか往年の賑わいを残しているのは、裏通りにある飲み屋街だけだ。かつての街の賑わいを若い人に話しても、誰も信用してはくれない。彼らが認識しているこの街は、ドンキも含めて、すでに夜の街なのだ。だけど解せない。別にこの地区の人口は大きく変わってはいない。なのにこの有様なのだ。あのお祭り騒ぎの人たちは、いったいどこに消えたんだろう。駅前通り

  • 地元のニオイ

    社会に出てから四十年以上経つ。ずっと流通業に携わってきたわけだが、現在働いているところは、家から歩いて行けるくらいに近い場所にある。ここまで近いのは初めてだ。一時間以上もバスや電車に揺られ、最後は走って職場まで通っていたのがうそのようだ。さて、地元だからということでもないのだろうが、見知らぬお客さんから「あんた、この辺の人やろ?」と聞かれることがよくある。「よくわかりますね」と言うと「そういうニオイがプンプンするんよね」とその方は言う。さて、そういうニオイとは、いったいどういうニオイなんだろうか。地元出身の高倉健さんを見て、『この地域特有の雰囲気がある』と思ったことがあるが、それと同じことなのだろうか。ぼくは健さんのような渋い男ではない。いつも人からボーッとしているように見られる、損なタイプの男だ。さて、そこで...地元のニオイ

  • セルフイメージ

    確固たる自信のないまま生きてきたから、どうもセルフイメージがよくない。端から見ると、いかにも自信家でそつなく見えるかもしれない。だけどそれは表向きを繕うために編み出した、ぼくの忍法だ。そうだ、みんなは誤魔化されているのだ。ぼくはぼくの影を知っている。影にとらわれているのを知っている。だから忍法に頼るのだ。若い頃、知らない人からよく声をかけられることがあった。彼らは決まってこう言うのだ。「あなた哲学やっているでしょう?」と。ぼくが「やってませんよ」と否定すると、「嘘言ってもダメ。あなたの目はそういう目をしている」と曰う。なんだこの誤った自信は。確かにその当時は老荘が好きで、その関連書を読みあさっていた。だが哲学をやっていたわけではない。そこに書いてある処世術を学んでいただけだ。だからその当時のセルフイメージは、思...セルフイメージ

  • 漫画雑誌

    漫画雑誌を初めて自分で買ったのは小学二年生の時で、『オバケのQ太郎』目当てに買った少年サンデーだった。それからサンデーを定期購読するようになり、『おそ松くん』のギャグに笑い、『パーマン』のマスクに憧れ、『ミラクルA』『W3』や『伊賀の影丸』の活躍に胸躍らせていた。しかし『おそ松くん』が『もーれつア太郎』に変わった頃から、徐々にその熱は冷めていった。再び読み出したのが小学校六年の夏だ。その前の年に創刊された少年ジャンプ、『ハレンチ学園』『父の魂』『男一匹ガキ大将』『ど根性ガエル』等を楽しんでいた。『あまたその頃創刊された少年チャンピオンも時々読んでいた。『あばしり一家』『夕焼け番長』等。中学に入ってから、したのジョをやっていた』の少年マガジを併読むようになる。『天才バカボン』『男おいどん』『ワル』『空手バカ一代』...漫画雑誌

  • タイミング悪く

    たとえば今日の仕事が終わり、「さあ帰ろう」と会社を出た時、職場に忘れ物をしていることに気づく。そこで職場に戻ると、なぜかタイミング悪く、「あ、いい所にきた。ちょっとこれやっといて」と軽いノリで声がかかる。ややこしそうな仕事なのに、ついつい釣られて引き受けてしまう。そういう時に限って、なぜかさっさと時間が過ぎていく。気がつけば二時間過ぎていた・・、なんてこともざらにある。「ああ、何で戻ってきたんだろう」と、悔やんでみてももう遅い。「そういうことって、けっこうあるよね」と、友人と話したのはつい先日のことだった。で、昨日は、そういうことがあった一日だった。タイミング悪く

  • プラチナの指輪

    たとえばクリスマスだとか誕生日だとかに、ぼくは嫁さんにプレゼントをしたことがない。逆に嫁さんからプレゼントをもらったこともない。お互いそういうことが好きではないので、それはそれでいいことにしている。そうそう結婚記念日もそうだ。だから嫁さんは結婚記念日を曖昧にしか覚えてないのだろう。ところでぼくは一度だけ、そういう行事以外の日に嫁さんにプレゼントをあげたことがある。プラチナの指輪だ。いや、別に気取ってそんなものをあげたのではない。勤めていた店が閉店する時に、それがえらく安値で出ていたのだ。それでつい買う気になったわけだ。つまり衝動買いしたということだ。さて指輪を買う時に困るのが指のサイズだ。ビックリさせてやろうと思っていたから、面と向かって聞くことが出来ない。そこでプレゼントのことは伏せ、嫁さんの指の太さをけなし...プラチナの指輪

  • 以心伝心

    昔はよく車で遠出をしていた。日帰り宮崎だとか、日帰り鹿児島だとか、北九州からだと日帰りがきつそうな場所にも、けっこう足を伸ばしていた。中でも好きだったのが阿蘇へのドライブで、雄大な風景を目にすると、心が洗われる思いがしたものだ。黒川だとか湯布院だとか、帰りに立ち寄る温泉も格別によかった。さて、そういうドライブをする際、曲がりくねった細い山道なんかを走ったりすることがよくあるのだが、そこで一番困るのが後続車の運転マナーだ。こちらとしては初めての道だから、慎重に運転している。ところが後ろに地元の車だとか、道慣れたトラックなんかがつくと、その慎重さを許してくれない。相手は慣れているからがんがん飛ばしている。極力よけてやってはいるのだが、何せ曲がりくねった細い道のこと、そのタイミングが実に難しい。その間ずっとベタ付けさ...以心伝心

  • 遠距離恋愛

    職場に遠距離恋愛をしている女の子がいて、口を開くたびに、「遠距離恋愛はすれ違いが多くて大変です」と言っている。聞くと彼氏はアメリカにいるらしく、時差がそのすれ違いを作っているということだ。そのことについて、時々ぼくも相談に乗ってやることがあるのだが、遠距離恋愛なんてしたことがないのでわからない部分が多い。しかも複雑な女心の相談なので無理がある。それはさておき、実際のところ遠距離恋愛というものは、どういうものなのだろうか。例えば『よろしく哀愁』のように、あえない時間で愛は育っていくものなのだろうか?それとも『木綿のハンカチーフ』のように、徐々に心が離れていくものなのだろうか?仮に『よろしく哀愁』のように愛が育ったとしても、相手に何年も待たされたりすると、愛が育ちすぎて破局ということになりかねない。しかも、これだと...遠距離恋愛

  • 生姜

    たとえば腹が痛い時には決まってお腹が冷えていて、逆に元気な時には決まってお腹は温まっている。それは心も同じことで、苦しみだとか悲しみだとかを感じる時には決まって心が冷えていて、逆に喜びだとか幸せだとかを感じる時には決まって心は温まっている。というか、熱いんだ。たとえば夢を語る時がそうで、熱くなればなるほど人は喜びを感じるものだ。たとえばいい女やいい男に会った時がそうで、熱くなればなるほど人は幸せを感じるものだ。だから人は夢を追い続け、いい女やいい男を求め続けるのだ。それもこれも心を冷やさないためで、喜びや幸せを感じていたいからだ。つまり夢や異性は、体を温める生姜と同じなんだ。だからちょっと辛いんだね。生姜

  • 遅刻の女王

    学生の頃、何度も遅刻していたから人のことをとやかくは言えないが、会社勤めをしていた頃の部下の遅刻には往生しましたわい。別に悪意を持って遅刻しているのではない。ちょっと変わった女子ではあるが、遅刻が悪いことはわかっているし、根が素直なので注意すれば翌日は遅刻せずにやってくる。とはいえ、やってくる時間がとてつもなく早い。九時半に来ればいいのに、何と七時半だ。おかしいなと思って聞いてみた。「家から会社まで何時間かかるんか?」「一時間くらい」「じゃあ九時半に会社に着くには、何時に家を出たらいいかわかるやろ?」「うん、六時半」間違ってはいない。だけど常識ではない。この問答で、ぼくはあることがわかった。彼女は算数が苦手だったのだ。つまり計算問題が解けないのだ。そこで「渋滞することも頭に入れて、八時くらいに家を出たほうがいい...遅刻の女王

  • 花の首飾り

    昭和43年はグループサウンズの絶頂期で、タイガース、テンプターズ、スパイダース、オックス、カーナビーツ、ゴールデンカップス・・・。小学5年生のぼくの目に、彼らはまぶしく映っていた。一番心を奪われたのは、ジュリーやピーのいたタイガースで、ファンレターなんかも送っていた。そのタイガースの『花の首飾り』が大ヒットした、その年の5月のことだった。母の会社の慰安会に、クレージーキャッツが来るということで、家族で見に行こうということになった。ところがその日は、市民会館でタイガースのコンサートがあったのだ。そこでそちらの方に行きたいと、しつこく母に頼み込んだ。「タイガースのどこがいいんね。どうせ市民会館に集まるのは、ミーちゃんハーちゃんばかりやないね。クレージーでいいやろう」結局母に振り切られ、渋々クレージーを見に行った。植...花の首飾り

  • カメレオン

    会社の帰りにスーパーに寄ったら、見ず知らずの人から、「納豆はどこですか?」と聞かれた。「店の人間ではないですよ」と言うと、「あっすいません」と言って、その人は向こうに行った。こういうことはよくあることで、電気屋でラジカセの説明を求められたり、書店のコミックコーナーで宗教書のありかを尋ねられたり、銀行のATM前で機械が壊れていると文句を言われたり、初めて行ったスナックでマスターと呼ばれたり、通りがかりの葬儀屋の前で葬儀の時間を聞かれたりする。これはきっと、ぼくの風貌がカメレオンのごとく、その場に溶け込んでしまうせいだろう。だが、お役所、税務署、学校などでは、その能力は発揮されないようで、一度も声をかけられたことはない。それはきっと、そこが自分の興味のない場所だからなのだろう。しかし、その解釈でいけば、ぼくは葬儀に...カメレオン

  • 沖縄ベイブルー(4)

    しかしそのことで、ぼくは沖縄を嫌いにはならなかった。あの晩のことを除いては、いい思い出ばかりだったからだ。最初に言ったとおり、風土も匂いもぼくに合っている。「今度来る時は、民謡酒場のある場所をちゃんとチェックしておこう。そこ以外には絶対行かん」そのことを肝に銘じた。さて翌年、前年と同じく社員旅行は沖縄だった。「今度こそ民謡酒場に行くぞ」、と意気込んで那覇の街に出た。その時は5人で行動した。那覇港にあるステーキを食べに行って、いよいよ松山の民謡酒場に行くことになった。しかし、場所がはっきりしない。1時間ほど探したが、それらしき店は見当たらない。「もう時間がないけ、他のところに行こうや」と一人が言った。ぼくも民謡酒場に未練は残ったが、こうやっていても埒が明かないので、その意見に従った。「じゃあ、どこに行こうか?」す...沖縄ベイブルー(4)

  • ワードプレイス

    こうやって毎日ここに文章を書いている。最初は大雑把な文章を書いていたのだが、いつしか細かな言葉を追うようになった。つまりナンバープレイスの数字を探すように、神経を尖らせて言葉を探しているわけだ。そのことに気づいてからぼくは、ここに文章を書くこの場を、ナンバープレイスに引っかけて、ワードプレイスと呼んでいる。このワードプレイスは、一列一行九マスにひとつの数字しか入れられないナンバープレイスと違って、同じ言葉を何度使ってもかまわないのだから、ナンバープレイスよりはずっと楽なはずだ。ところがなかなか理屈通りにはいかない。一列一行九マスの縛りがないということは、決まった答がないということで、これが実に難しい。ぼくはこのワードプレイスというパズルの、答なき答を求めるために、日夜頭を悩ませている。ワードプレイス

  • 夜は寝るためにあるものだ(3)

    部屋に入ると、ホステスが口を開いた。「あの店、こういうシステムになってるの。ごめんね。それで、3万円なんだけど」「そんな金ない」「今日じゃなくていいよ。何なら明日、泊まってるホテルに取りに行ってもいいから」「ホテルに帰っても、そんな金はない」「じゃあ2万円でいいからさあ」「しつこいねえ。ないもんはないんたい!!」ぼくがかなり頭に来ていると気づいて、ホステスは困った顔をした。ちょうどその時電話がかかった。「ちょ、ちょっと待ってね」とホステスは電話に出た。どうやら仲間からの電話のようだった。方言、つまりウチナーグチでしゃべっているので、こちらはなんと言っているかわからなかった。おそらく、「こいつ、金持ってないみたい」とでも言っていたのだろう。しばらく電話でやりとりしていたが、突然「お友だちよ」と言って、受話器をぼく...夜は寝るためにあるものだ(3)

  • 気になる言葉

    (1)最近気になる言葉があって、それがことあるごとにぼくの頭の中をよぎっていく。どんな言葉なのかというと、「ゆっくり、ゆっくり」だ。どういう意図があって、こういう言葉がよぎるのだろう?焦っている自分を戒めているのだろうか。そういえば、その言葉が頭の中をよぎる時は、決まって緊張感が漂っているような気がする。しかし気になる。ということで、今日それが何を意味しているのかを確かめる実験をやってみた。「ゆっくり、ゆっくり」を行動に移してみたのだ。つまり、すべてのことをゆっくりやってみたわけだ。歩くのもゆっくり、動作もゆっくり、考え事もゆっくりである。すると、面白い結果が出た。歩いている時のことだが、ゆっくりを実践していると、不思議と信号などに引っかからないことがわかった。信号にさしかかった時にタイミングよく青になって、待...気になる言葉

  • 気になる言葉

    (1)最近気になる言葉があって、それがことあるごとにぼくの頭の中をよぎっていく。どんな言葉なのかというと、「ゆっくり、ゆっくり」だ。どういう意図があって、こういう言葉がよぎるのだろう?焦っている自分を戒めているのだろうか。そういえば、その言葉が頭の中をよぎる時は、決まって緊張感が漂っているような気がする。しかし気になる。ということで、今日それが何を意味しているのかを確かめる実験をやってみた。「ゆっくり、ゆっくり」を行動に移してみたのだ。つまり、すべてのことをゆっくりやってみたわけだ。歩くのもゆっくり、動作もゆっくり、考え事もゆっくりである。すると、面白い結果が出た。歩いている時のことだが、ゆっくりを実践していると、不思議と信号などに引っかからないことがわかった。信号にさしかかった時にタイミングよく青になって、待...気になる言葉

  • 夜は寝るためにあるものだ(2)

    その店に入ってまず気づいたことは、全然賑やかさがないということだった。お客もそこそこ入っているし、それ以上にホステスもいるのだが、何かひっそりとしている。BGMも鳴っていることは鳴っているが、全体に音が小さい。「変な店だなあ」と思いながらも、ぼくらは席に着いた。ほどなく三人のホステスがやってきた。「いらっしゃーい」その声には明るさがなかった。「私、○○でーす。よろしくお願いしまーす」と、各自自己紹介を始めた。若作りはしているものの、ぼくたちよりは歳がいっている。しばらく談笑していたが、盛り上がらない。いっしょに行っていたメンバーの一人であるGさんが、「よーし、おれが景気付けに歌ってくる」と席を立ち、ステージに上がった。Gさんは調子に乗って3曲ばかり歌った。しかし、拍手の一つもない。こちらのパブなら、いくら下手で...夜は寝るためにあるものだ(2)

  • シャンプー断ちと石鹸断ち

    1、一ヶ月ちょっと前から、ぼくはシャンプーや石鹸を使わない生活を送っている。実は3月の終わりに床屋に行ったのだが、帰ってから鏡を見てみると、地肌が透けて見えるのだ。「まさか髪が薄くなったのか?」と、髪の毛を触ってみると、えらく髪の毛がサラサラしている。元々ゴワ毛なので、これに違和感を感じ、鏡でよく見てみると、なんと髪の毛の一本一本が細っているではないか。それで地肌が透けて見えたのわけだ。これには思い当たる節がある。昨年末から、えらくフケが多く出るようになったのだ。「これはいかん」と始めたのが、フケに効く強いシャンプーだった。そのシャンプーを3月まで使っていたのだ。今回の毛細りは、どうもそのシャンプーが影響しているように思えてならない。いろいろ調べてみても、髪のトラブルの原因はシャンプーによるものが多いという。そ...シャンプー断ちと石鹸断ち

  • 夜は寝るためにあるものだ(1)

    今月の15日で、沖縄は本土復帰50年を迎える。あれから50年、その当時ぼくは中学3年だった。その日は確か月曜日だったと思うが、学校は半ドンになり、早く帰ったのだった。家に帰ってからすることもないので、親戚の家に遊びに行った。親戚の家に着くと、テレビで沖縄返還の特集をやっていた。その頃、ぼくが沖縄について知っていたことは、沖縄戦と屋良主席と琉球飴のことだけだった。琉球飴は、ぼくが小学生の頃テレビでよくCMが流れていた。「琉球飴は夢の味♪」というCMソングとともに、男の子と女の子の画が出てくるのだが、その画は戦前の雑誌に載っているような、古臭い子供の画だったのを憶えている。沖縄返還特集で、「これからは、パスポートなしで沖縄に行けるようになりますね」と言っていた。それを聞いて、「沖縄に行きたい」と、その時ぼくは思った...夜は寝るためにあるものだ(1)

  • 人を喜ばせる仕事

    30代前半に、小倉で適職とかを占ってもらったことがある。その時に「あなたは多くの人を喜ばせる仕事が向いていますね。そういう仕事に就いていると自分も向上できるでしょう」と言われた。当時ぼくは、家電専門店に勤めていたのだが、「果たして今の仕事は、人を喜ばせるような仕事なのだろうか?」と疑問を抱き、その数年後、ぼくはその会社を辞めてしまう。いつも自分の行動は正しいと信じているから、会社を辞めたことは間違ってなかった。現に辞める時はちゃんと流れに乗っていたし、次の就職もその流れの延長上にあった。おかげで難なく転職が出来たのだった。転職先は、小学生の頃から働いてみたいと思っていた、地場の大手企業だった。つまり、夢が叶ったということになる。しかしそこの仕事が、多くの人を喜ばせるものなのかどうなのかは別問題である。仕事の内容...人を喜ばせる仕事

  • なにかがいるのです

    花が不気味なものに思える時、やたらと水を飲みたくなる時、後ろに違った気配を感じる時、鏡に映る自分を見たくない時、そこに行くと息苦しくなる時、急に場が変わった気がする時、突然バシッという音がする時、あいつの顔に黒い影を見た時、白い物が目の前を横切った時、鴉の鳴き声が妙に耳につく時、腐ったようなにおいがする時、小鳥が何か語りかけている時、そこにはなにかがいるのです。なにかがいるのです

  • 支配欲

    彼らは、とある大手企業の支社に勤めるサラリーマンだった。人生何も考えず、気楽にのんびり、本社に依存して暮らしていた。ところがある日、本社が他社との競争に負けて、会社は倒産寸前に追い込まれてしまった。その時、彼ら支社社員の中から、支配欲に駆られる者が出てきた。そして「もうここは支社でも何でもない。独立した会社の立派な本社である。みんなおれについてこい」と支社内で、新しい会社作りを始めたのだった。この支社には、支配欲に駆られた人がもう一人いた。彼はライバル会社に取り入って、本社の経営を妨害していた人物だった。彼はそのライバル会社の支援を受けて、支店内で新会社設立を進めていった。ほどなく両者は派手なケンカを始めた。ケンカはいろんな会社を巻き込んだ大がかりなものとなっていった。ケンカはなかなか決着がつかない。そのうち外...支配欲

  • ヨーイドン

    何をやるのかを決めたらあれこれ考えるのをやめ人に惑わされることなく前だけをしっかり見据えしっかりと自分を持って「ヨーイドン」するんだ完全無欠を求める心とかまだ早いという怖れとか誰に悪いという言訳とか何もかも捨ててしまってとにかく一歩を踏出して「ヨーイドン」するんだヨーイドン

  • 大丈夫!

    焦らない、焦らない。気持ちが先走りそうになった時はすかさず「大丈夫!」と言い聞かせる。そのうち大丈夫になってくる。悩まない、悩まない。悩み虫が出そうになった時はすかさず「大丈夫!」と切り返す。そのうち大丈夫がやってくる。落ち込まない、落ち込まない。状況にめげそうになった時はすかさず「大丈夫!」と笑ってみる。そのうち大丈夫がついてくる。諦めない、諦めない。もうダメだと思った時もとりあえず「大丈夫!」と言ってみる。そのうち大丈夫になっている。大丈夫!

  • お金の遣い道

    主なお金の遣い道。十代までは本代と駄菓子代だった。十代は本代とレコード代とギター代。二十代は本代とレコード代と飲み代。三十代は本代とCD代とカーローンと飲み代と。四十代は本代と車の維持費と家のローンと飲み代と。それ以降は電子書籍を含む本代と家のローンと。いつの時代も本代に、かなりお金を割いている。そういえば学生時代は、飯を抜いても本を買っていたものだ。下宿も本屋の近くを選び、毎日毎日通っていた。さて、そうやって買った本は、今でも捨てずにとっていて、部屋の一角を占領している。だから家のローンといったって、実は本代の延長というわけだ。今後も本代の首位は続く。お金の遣い道

  • イン・マイ・ライフ

    日常生活の蓄積が人生なのだから今日のちょっとした出来事だってぼくの人生だったと言えるだろう。時にはちょっとした出来事が人生を、大きく変えることもある。だからちょっとした出来事と言って決して疎かには出来ないものだ。ただ、それにこだわるとだめなんだな。たとえば晩飯の中に大っ嫌いなグリーンピースが入っていたことを根に持ったりするとろくなことがない。最初は「こんなもの入れやがって」というちょっとした怒りに過ぎなかったのに、そのうち「あいつは殺す気だったんだ」なんて被害妄想にまで発展することもあるんだ。だから大っ嫌いなグリーンピースのことは今この時点でさっさと捨ててしまうんだ。そしてグリーピースのことを気にしない自分に一つマルを付けて喜びとするんだ。そのマルがたくさん貯まっている時というのが、実は人生がいい方向に向かって...イン・マイ・ライフ

  • シャッター

    シャッターが下りている。何をやっているんだろう。というか何があったんだろう。まさか倒産したんじゃなかろうか。そこはマンションや団地のある住宅地だから、人は多く住んでいる。ゆえにお客が来ないということはないはずだが・・。案外、オーナーが株に手を出して失敗したとか。もしそうだとすれば、店の前に駐めてある車は、破産管財人のものなのかもしれない。ということで昨日、この店の近くに住んでいる職場の人に訊いてみた。「あそこのセブン、潰れたと?」「いいえ、潰れてないですよ」「でもシャッターが下りとったよ」「ああ、あれですか。実はあの店の従業員がコロナにかかったらしいんです。それで数日前から閉めてるんですよ」「ああ、それでか。でも店まで閉めんでいいのにねえ」「ええ、ほんと困るんですよね」シャッターの下りたセブンイレブンなんて、初...シャッター

  • 迷惑電話

    2002年4月16日「しろげ、しんたさんですか?」「はい」「初めまして。私、株式会社××の○○と申します。今、お時間のほうよろしいですか?」「はい」「今日は、英会話の件で、お電話さしあげたんですけど、しんたさんは英会話に興味はありますか?」高校を卒業した頃から、こういう電話が頻繁にかかるようになった。いつも若い女性からだった。英会話だけではなく、他に海外旅行やスポーツ器具などもあったが、ぼくはこういう商売には引っかかったことがない。こういう話には、勘のようなものが働くのだ。最初の頃は、そういう応対になれてなかったので、「まったく興味がありません!」と言って電話を切っていたのだが、そのうちそういう電話に慣れてきて、応対に余裕が出てきた。「しろげ、しんたさんですか?」この時点で、相手がわかるようになった。「そうです...迷惑電話

  • 犬の置物

    数年前、実家に立ち寄った時に母が「これ、あんたのやろ?」と言って金属製の犬の置物をぼくに手渡した。いぶし銀色のずっしりとした置物で犬というよりも狼の風貌をしている。あんたのものだと手渡されたものの自分で買ったおぼえがまったくない。猫の置物なら買うかもしれないけど犬の置物など自分で買うはずがない。いつ誰に貰ったかの記憶も一切ない。母があんたのものだと言い張るのでしかたなく家に持って帰ったのだがそれを置くほどよいスペースがない玄関に置けなくはないが、風水では玄関に犬を置くのはよくないらしい。困ったあげく置いた場所が神棚の下。以来どのくらい時間がたったろうか何か運が悪くなったような気がする。ということで一月末、新聞紙に包みゴミ袋の中に入れて捨てたのだった。その夜、神棚の下から気配を感じた。何だろうと見てみると、「えー...犬の置物

  • とりあえずとりあえず

    更年期が続いている同世代の女子諸君、前立腺に悩んでいる同世代の男子諸君、人生いろいろありましょうがとりあえずとりあえずとりあえずそちらの方向に目を向けたり心を奪われたりすることなく、塞がず焦らず前を向き明るく笑顔でいきましょう。止やまない雨はないんだし、流れない雲はないんだし、とりあえずとりあえずとりあえず寿命が尽きるまでは生きるんだし、とりあえずとりあえずとりあえず何言っているのかわからないですが、とりあえずとりあえずとりあえずいつかは空も晴れるのですから。とりあえずとりあえず

  • アンケート

    ・・・・・・性別の欄をどう埋めようか。やはり「男性」と書くべきなのかもしくは「男子」と書くべきなのかそれとも「男」と書くべきなのか記述例がないので困っています。「男性」が一般的なんだろうがそれだとあまりに客観的だし「男子」と書くのも悪くはないがそれではあまりに若すぎるし「男」というのも有りだろうがそれなら「漢」と書きたくなるしいったいどれが正解なんだ。性別の欄をどう埋めようか・・・・・・アンケート

  • 性格

    ちょっとしたミスをしてしまい悔しい思いをした経験が自分には何度もあります。自分の集中力のなさや不甲斐なさをいつも嘆いているのであります。ところが少しも反省しない!ゆえにそのことを防ぐ方法などまったく考えないのであります。だからまたもや同じ過ちをやってしまうわのであります。「もういいかげんにこんなだらしない自分をやめよう」と、いつも嘆いているのであります。ところがこれも反省しない!ゆえにこんな自分から脱皮できないのであります。その脱皮できない繰り返しが性格に変な色をつけるのであります。「そのせいで自分の理想とする性格とかけ離れたものになってしまった」と、いつも嘆いているのであります。ところがこれまた反省しない!ゆえにこんな妙な感じの性格になっているのであります。性格

  • 糖分は控え目に

    地味糖だとか、利権眠酒糖だとか、小梅糖だとか、狐狗狸眠酒糖だとか、強酸糖だとか、三味線糖だとか、糖分表示のない糖だとか、我々の集合体の中にはいくつかの糖分があるわけでありまして、その糖分が微妙に絡み合ってこの体を蝕み、この虚弱体質を作っているのであります。これから先、よほどのことがない限りこれら糖分がこの体を離れるようなことはないと思われます。ゆえにこの体質は改善されることなく、徐々に弱体化していくことでしょう。特に身に危険が迫った時には防御に必要なJ体が機能しないため様々なウイルスに冒されて、悪くすれば死に至るでしょう。糖分は控え目に

  • 三十年以上前の愛読書

    三十年以上前に愛読していた、とある中国の古典を読み返している。あの頃は訳を読むことでしか理解出来なかったが今は読み下し文を読むだけで充分に理解出来る。それが何ともうれしい。しかしそれよりも大きな収穫がある。あの頃は受け入れることが出来なった内容を今では気持ちよく受け入れることが出来るのだ。それに気づくことに大きな喜びを感じている。それがわかる年になったのか。それとも無意識のうちにそれを実践していたのか。もしかしたら今、無意識の実践の成果を確認させられているのかもしれない。しかしまだ受け入れられないところが多くある。よくよく我執に凝り固まっているのだろう。三十年以上前の愛読書

  • 湯シャンの効果?

    先日ホームセンターで買い物している時に、知らない爺さんから声をかけられた。「ちょっと、あんた。きれいな髪してますねえ」「えっ?」「うん、きれいな白だ」「そうですか?」「染めてるんですか?」「いや、染めてないですよ。染めるなら黒にしますよ」「そうですか。いやー、実に見事だ」こういう時、何と返していいかわからないので、とりあえず「ありがとうございます」とだけ言っておいた。かつてロックの兄ちゃんから、「髪の色、カッコいいっすね」と言われたことはあるが、白髪がきれいだと言われたのは初めてだ。整髪料などは一切使ってないし、頭皮のマッサージもやってない。一ヶ月ほど前からシャンプーや石鹸を使わない洗髪、いわゆる湯シャンというやつをやっているのだが、その効果かもしれない。湯シャンの効果?

  • 無理しない人生に感謝

    笑うようなことがないから無理して笑わない。この時間はそんな時間だ。ありがとうございます。誰とも話したくないから無理して話さない。今日はそんな日だ。ありがとうございます。まったくやる気が起きないから無理してやる気を起こさない。今週はそんな週だ。ありがとうございます。嫌なところばかり見えるから無理して人を見ようとしない。今月はそんな月だ。ありがとうございます。どうも腰が痛いから無理して体を動かさない。今はそんな季節だ。ありがとうございます。いいことがありそうな気がするから無理して自分を抑えない。今年はそんな年だ。ありがとうございます。自由にやるほうが向いているから無理して人に合わせようとしない。今世はそんな人生だ。ありがとうございます。無理しない人生に感謝

  • 満塁ホームラン

    1、ここのブログに移ってからは書いたことがないが、ぼくは大のソフトバンクホークスファンだ。ホークスが福岡にやって来る2年ほど前からのファンだから、もう30年以上ファンをやっている。ホークスが福岡に来てから10年近く、しょっちゅう球場に足を運んでいた。しかし、ホークスが強くなってからは、ドームに行くのをやめ、テレビで観戦するようになった。理由は、観戦中にビールを飲めなくなったことにある。それまでは5回くらいまでビールを飲み、酔いがさめてから車で帰っていた。ところがホークスが強くなった頃から、道交法が厳しくなり、それが出来なくなったのだ。もちろんドームでビールを飲むことは出来る。だが、それをやるためには、公共交通機関を使わなければならない。車だと1時間程度で帰れるのだが、公共交通機関だと乗り換え時間を含めると、倍近...満塁ホームラン

  • 置土産

    車のガラスに蝿がとまっている。春のゆるやかな陽射しを浴びて気持ちよさそうにとまっている。居眠りでもしているのだろうか一向に動く気配が感じられない。ところで彼らにはこのガラスがどんな風に見えているのだろう。やっぱり人と同じく向こう側が見通せる透明な物なのだろうか。それとも表面がガサガサとして向こうが見えにくい物だろうか。いずれにしろそこに人がいても逃げないから向こう側と隔てる物としての認識はあるのだろう。さて蝿のお腹を見ているうちに段々と不快になってきたぼくはガラスを指で弾いて振動を与えヤツをその場から立ち退かせた。何とその跡には置土産があった。黄色っぽい液体の粒だ。ヤツは気持ちよくやりやがったんだ─。置土産

  • 中学の頃

    こんにちは、こんにちは、世界の国から、こんにちは、万博、万博、世の中すべて万博だ、仰げば尊し、我が師の恩、小学校を卒業すれば、その時から世界が変わる、晴れて中学一年生、初めて着る学生服、女子の胸の膨らみと、わけのわからない衝動と、初めての中間試験、期末試験、初めてやる一夜漬け、初めて聴く深夜放送、初めて書くメッセージ、ゴーゴーゴー糸居五郎、ゴーズオン、カメ&アンコ―、哲ちゃん誕生日、おめでとう、ポールマッカートニー脱退、ビートルズ解散、マイ・スウィート・ロード、パワー・トゥ・ザ・ピープル、マザー、ラブ、戦争を知らない子供たち、時間ですよ、細腕繁盛記、お荷物小荷物、ありがとう、鼻血ブー、ウーマン・リブ、モーレツからビューティフル、小川ローザから松尾ジーナ、男は黙ってサッポロビール、コカコーラのミニボトル、アメリカ...中学の頃

  • 霊界役場生物課会議

    1,犬係係長おいおい、下界じゃまた猫が車に轢かれているじゃないか。一体何千匹、何万匹殺したら気が済むんだよ。ただでさえ霊界は定数を超えているのに。猫係はちゃんと霊界と下界のバランスを取ってくださいよ。このままだと我々の住家までなくなってしまうじゃないか。2,猫係係長三味線の需要が減っている分何十年も死亡率は変ってない、という統計が出ているんです。ところで犬係さんよ。なんであんたらは生殺与奪の権利を下等な人間どもに与えたんだ。目先しか見ない奴らのせいで犬の寿命は遙かに延びている。こちらの方が問題だと思うぞ。3,生物課課長とはいうものの全ての問題が人間達にあるのは間違いない。奴らは何で自分達が地球上の盟主などではなくて、一番の下等生物だと気づかないんだ。放っておくと自制の効かない人間達のことだ。また勝手に大量の人減...霊界役場生物課会議

  • クールビズ

    5月1日からクールビズ。ということで、昨日は大嫌いなネクタイをせずに出勤した。Yシャツも長袖だと野暮ったく感じるので、半袖を着て行った。ところが、昨日は職場のエアコンの効きが良すぎて寒かった。職場に入るなり、鳥肌が立つ始末だ。トイレも近くなるし、困った一日だった。クールビズ

  • 学園通り

    1,その高校は市の中央にそびえる山の中腹に建っている。バスを麓で降りて、そこからは歩いて狭く長い坂道を登ることになる。春や秋は様々な花が咲いていて長い坂を忘れさせてくれるけど夏や冬はその坂道が地獄と化す。夏は所々の急な勾配と陽射しで朝から汗まみれになってしまう。冬はさらに酷くて、雪が降ると坂は凍結してしまい、ちょっとバランスを崩すと転んでしまう。だからだろうか、女子の制服のスカートは他校よりも少し長い。2,通りは朝方と夕方は生徒たちの行き帰りで賑わっているもののそれ以外の時間帯は付近に住むお年寄りが歩いているくらいで人を見かけることはあまりない。だから学校を抜出ても住民から通報されることはほとんどない。ただお年寄りも男女交際だけは敏感で、おたくの生徒が通りでいちゃいちゃしてましたぞとか、バス停でキスしてましたぞ...学園通り

ブログリーダー」を活用して、しろげしんたさんをフォローしませんか?

ハンドル名
しろげしんたさん
ブログタイトル
吹く風ネット
フォロー
吹く風ネット

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用