ゴミ出し日になると、いつもやってくる迷惑な動物がいる。そう、カラスである。ぼくが出勤する時、いつもゴミ収集所の周りに彼らはたむろして、「カーカー」言っている。「汚い」「迷惑だ」「うるさい」「気味が悪い」「危ない」「凶暴だ」「意地が悪い」「不吉だ」彼らを評する町の声である。確かにその通りだ。ゴミの件を別にしても、車の前を平気で横切ったりするので、迷惑だし、危ないし、また不吉でもある。だが、ぼくは個人的に、それほどカラスを嫌ってはいない。どちらかというと、親近感を抱いている。それは、学生時代に隣のおじさんがカラスを飼っていたことに起因する。まあ、飼っていたというか、羽をケガしていたカラスをどこからか拾ってきて、ケガが治るまで保護していたと言ったほうが正しいだろう。そのカラス、拾われてきた当初は人間に警戒心を抱...カラスの話